JP2005508884A - 受容体、その使用、およびそのマウス抗体 - Google Patents
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Abstract
Description
特定の態様において、CFR−1タンパク質は、決定基として、付属書類S、細胞株23132にしたがったアミノ酸配列を有する。
上述の作用機構のため、該受容体は原則として、食道、胃、腸、直腸、肝臓、胆嚢、膵臓、肺、気管支、乳房、頚部、前立腺、心臓、バレット、卵巣、および/または子宮の腫瘍を治療するのに適している。
改良法において、該受容体を用いて抗腫瘍抗原を産生することが可能であり、ここで、該受容体に特異的に結合する能力に関して、腫瘍に対して潜在的に有効である化合物をアッセイして、そして陽性結果に際して、すなわち結合の発生に際して、この化合物を薬剤適用に用いる。もちろん、市場に出される薬剤を製造するのに、通常のように、適切に配合し、そして典型的な添加剤を添加することが必要である。
本発明の目的は、受容体構造の確立および該構造の使用である。しかし、「外来(foreign)」抗体および/またはマウス抗体をヒトに反復して注射すると、不都合な過敏性反応が生じ、そしてまた、循環抗体のクリアランス率の上昇が生じて、したがって抗体が標的位置に到達しないため、問題がある。
細胞培養および抗体精製
すべてのアッセイには、樹立胃腺癌細胞株23132(Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)を用いた。10%FCSおよびペニシリン/ストレプトマイシン(どちらも1%)を補ったRPMI−1640(PAA、オーストリア・ウィーン)中で、細胞を80%集密(confluency)まで増殖させた。記載するアッセイのため、トリプシン/EDTAを用いて細胞を剥離し、そして使用前にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。記載されるように(Vollmersら, 1994, Cancer 74:1525−1532)、ヒトハイブリドーマ細胞株103/51を産生し、そして増殖させた。別の箇所に記載されるように(Vollmersら, 1998, Oncol. Rep. 5:549−552)、IgM抗体の精製を行った。
Henselら(Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)によって記載されるように、細胞株23132を用いて、腫瘍細胞から膜タンパク質を単離した。簡潔には、集密腫瘍細胞をPBSで2回洗浄し、細胞スクレーパーで採取し、そして遠心分離し、そして低張緩衝液(20mM HEPES、3mM KCl、3mM MgCl2)に再懸濁した。氷上で15分間インキュベーションし、その後、5分間超音波処理した後、10,000g、10分間の遠心分離によって核をペレットにした。スイングアウトローター中、100,000gで30分間、上清を遠心分離して、膜をペレットにした。低張緩衝液でペレットを洗浄した後、膜溶解緩衝液(50mM HEPES pH7.4、0.1mM EDTA、10%グリセロール、および1% Triton X−100)に再懸濁した。すべての溶液に、プロテアーゼ阻害剤(Boehringer, Mannheim、ドイツ)を添加した。
別の箇所に記載されるような標準的プロトコルを用いて(Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)、タンパク質の10%還元SDS−PAGEゲル電気泳動およびウェスタンブロッティングを行った。簡潔には、ブロッティングしたニトロセルロース膜を、2%低脂肪乳粉末を含有するPBSでブロッキングした後、10μg/ml精製抗体103/51とともに1時間インキュベーションした。Pierce(KMF、ドイツ・セントオーガスチン)のSuperSignal化学発光キットを用いて、二次抗体(ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒトIgM抗体(Dianova、ドイツ・ハンブルグ))を検出した。PBS+0.05% Tween−20で3回洗浄した後、二次抗体(ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒトIgM抗体(Dianova、ドイツ・ハンブルグ))をインキュベーションした。該反応は、Pierce(KMF、ドイツ・セントオーガスチン)のSuperSignal化学発光キットの補助によって検出した。
Pharmacia(ドイツ・フライブルグ)FPLC装置を用いたカラムクロマトグラフィーによって、抗原の精製を行った。サイズ排除クロマトグラフィーのため、Pharmacia Superdex 200カラム(XK16/60)に5mgの膜調製物を装填し、そして緩衝液A(100mM Tris/Cl、pH7.5、2mM EDTA、40mM NaCl、1% Triton X−100)を用いてクロマトグラフした。その後、溶出物を分画し、そして抗体103/51との反応に関して、ウェスタンブロット解析で調べた。緩衝液Aを用いて、陽性分画をMonoQ(5/5)カラムに装填した。緩衝液B(100mM Tris/Cl、pH7.5、1M NaCl、2mM EDTA、1M NaCl、1% Triton X−100)を用いて、結合タンパク質を直線勾配で溶出し、分画し、そしてクーマシー染色SDS−PAGEおよびウェスタンブロット解析で調べた。陽性バンドをゲルから切り出し、そして配列決定するか、またはマウス免疫に用いた。
目的のバンドを切除し、そして約1mmx1mmの小片に切った。別の箇所に記載されるように(Shevchenkoら, 1996, Anal. Chem. 68:850−858)、ゲル小片を洗浄し、DTTで還元し、ヨードアセトアミドでS−アルキル化し、そしてトリプシン(未修飾、配列決定等級、Boehringer)でゲル内消化した。37℃で3時間消化した後、0.3μlの消化溶液を取り除き、そして遅延引き出し機構(delayed extraction)を備えたBruker反射MALDI−TOF(Bruker−Franzen、ドイツ・ブレーメン)上で、MALDIペプチド・マスマッピングに供した。試料調製には、薄膜技術を採用した(Jensenら, 1996, Rapid. Commun. Mass. Spectrom. 10:1371−1378)。トリプシン・ペプチドマスを用い、自社開発したPeptideSearchソフトウェアプログラムによって、非重複タンパク質配列データベースを検索した。
記載されるように(Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)、RNA単離、cDNA合成、およびPCRを行った。簡潔には、塩基対802〜1699の範囲の897bp断片を増幅するPCRには、以下のプライマーを用いた:CFR−For 5’ GCTTGGAGAAAGGCCTGGTGAA 3’、CFR−Rev 5’ TGGCACTTGCGGTACAGGACAG 3’。以下の周期プロフィールを用いて増幅を行った:95℃2分間、その後、35周期の94℃30秒間;60℃30秒間;72℃60秒間、および72℃4分間の最終伸長。前述のように(Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)、pCR−Script Amp SK(+)ベクターへのクローニングおよびDNA配列決定を行った。挿入物をpHook−2ベクター(Invitrogen、オランダ・リーク)にサブクローニングし、そして再び、配列決定によって、クローニングを管理した。
トランスフェクション48時間後、トリプシン/EDTAによって細胞株23132を培養プレートから剥離し、洗浄し、そして続いて、抗体103/51およびヒト・アイソタイプマッチ対照抗体(Chromopure、ヒトIgM)とともに、氷上で15分間インキュベーションし、その後、FITC標識ウサギ抗ヒトIgM抗体(Dianova)とともに、氷上で15分間インキュベーションした。0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBS中で、抗体を最適に希釈した。フローサイトメトリー(FACScan;Becton Dickinson、米国)によって細胞を解析した。
剥離し、そして洗浄した細胞を、10%FCSを含有するRPMI−1640に再懸濁し、そして氷上で1時間インキュベーションし、その後、計数し、そしてサイトスピンを調製した。風乾後、サイトスピン調製物をアセトン固定し(10分間)、洗浄し、そして20μU/ml O−グリコシダーゼまたは5mU/ml N−グリコシダーゼ(Boehringer)とともに、37℃で4時間インキュベーションした。その後、スライドを洗浄し、そして免疫組織化学的に染色した。
抗体103/51の精製抗原5μgを用いて、BALB/cマウスを17日以内に2回免疫し、そして第二の免疫の4日後に殺した。先に記載されるように(Vollmersら, 1985, Cell 40:547−557)、脾臓を機械的に破壊し、そして1x107のNS0細胞と融合させた。免疫組織化学染色およびウェスタンブロット解析における反応によって、抗体産生ハイブリドーマを試験した。陽性に反応するクローン58/47−69をさらなる実験に用いた。
パラフィン包埋したヒト胃粘膜および腫瘍の切片を作成し(5μm)、脱パラフィン処理し、そしてPBSで希釈したBSA(15mg/ml)で30分間ブロッキングした。ハイブリドーマ103/51、または58/47−69の上清、BSA/PBS(Dako、ドイツ・ハンブルグ)で1:15に希釈した、Ki67(Loxo、ドイツ・ドッセンハイム)またはマウス抗サイトケラチン8抗体とともに、切片を、加湿インキュベーター中で2時間インキュベーションした。その後、これらをTris/NaClで3回洗浄し、その後、ウサギ血清を含有するPBS(抗体103/51)中、またはヒトAB血漿を含有するPBS(抗体58/47−69および抗サイトケラチン)中で、1:50に希釈したペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトコンジュゲートまたはウサギ抗マウスコンジュゲート(Dako)とともにインキュベーションした。Tris/NaClで3回洗浄し、そしてPBS中で10分間インキュベーションした後、ジアミノベンジジン(0.05%)−過酸化水素(0.02%)を用いて室温で10分間染色した。流水下で反応を停止し、そして切片をヘマトキシリンで対比染色した。
生存細胞染色のため、細胞を剥離し、洗浄し、そして1x106細胞/mlに希釈した。1mlの細胞懸濁物を1,500gで5分間遠心分離した。完全RPMIで40μg/mlに希釈した抗体を、最終体積1mlまで添加し、そして氷上で90分間インキュベーションした。その後、1,500gで5分間遠心分離して細胞をペレットにし、そして500μlのRPMIに再懸濁した。細胞懸濁物200μlを用いてサイトスピン調製物を調製し、そして30分間風乾した。細胞をアセトン中で30分間固定し、そしてTris/NaClで3回洗浄した。HRP結合ウサギ抗ヒトIgM(DAKO)をPBS/BSA(0.1%)で1:50に希釈し、そして室温で30分間インキュベーションした。3回洗浄した後、上述のように染色を行った。
樹立細胞株23132を用いたMTTアッセイを、記載されるように(Vollmersら, 1994, Cancer 74:1525−1532)行った。簡潔には、トリプシン処理した細胞を、完全増殖培地中、1x106細胞/mlに希釈し、そして細胞懸濁物50μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。その後、完全増殖培地を用いて、示した濃度に希釈した抗体50μlをウェルに添加し、そしてプレートを37℃で1〜2日間、加湿インキュベーター中でインキュベーションした。測定のため、50μlのMTT(3(4,5ジメチルチアゾール)−2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド)溶液(5mg/ml)を各ウェルに添加し、そしてプレートを30分間インキュベーションした。インキュベーション後、プレートを800gで5分間遠心分離し、MTT溶液を取り除き、染色した細胞ペレットを150μlジメチルスルホキシドに溶解し、そして540nmおよび690nmの波長で、吸収を測定した。
cDNAを合成するため、QiagenのRNeasyキットの補助によってRNAを調製した。調製のため、1x106細胞を、氷冷PBSで2回洗浄し、そして1000xgで5分間遠心分離してペレットにし、そして製造者の説明にしたがってRNAを調製した。5μgのRNA(1〜5μl溶液)を1μlのオリゴ−dT15(1μg/μl)および2μlのランダムプライマー(40μM)と混合し、そしてH2Oを用いて8μlの総体積にした。65℃で10分間、RNAを変性し、そして続いて試料を氷上で冷却した。その後、5.2μlのDEPC−H2O、5μlの5x逆転写酵素緩衝液、2.5μlのdNTP(10mMあたり)、2.5μlのDTT(250mM)、0.8μlのRNasin(400U)、および1μlのM−MLV逆転写酵素(200U)からなる17μlのマスターミックスをピペットで添加した。37℃で70分間、cDNA合成を行い、そして続いて、95℃に5分間加熱することによって、合成を終結させた。1〜5μlのcDNAをPCRマスターミックスと混合し、そしてH2Oを用いて25μlの総体積にした。PCRマスターミックスは、2.5μlの10xTaqポリメラーゼ緩衝液、0.5μlの10mM NTP、1.5〜2μlの25mMのMgCl2、各0.5μlの20pM 3’プライマーおよび5’プライマー、並びに0.2μlのTaqポリメラーゼ(1U)からなった。多様なPCR産物の増幅条件を以下の表に列挙する。
PCRに用いたオリゴヌクレオチドの配列
オリゴおよびdNTPを除去するため、Sephadex G−50カラムを通過させて反応混合物を精製した。この目的のため、100μlピペットチップの上端までカラム材料を装填し、そして2000xgで3分間遠心分離した。続いて、試料を適用し、そしてこの小カラムを再び遠心分離した。その後、2μl酢酸ナトリウム(pH5.2)および50μl 100%エタノールによってDNAを沈殿させ、そして13,000xgで15分間遠心分離することによってペレットにした。乾燥後、DNAを3μlホルムアミド/25mM EDTA(5:1)に入れ、そして配列決定装置中で解析した。
すべてのクローニングから、少なくとも5クローンを配列決定した。Taqポリメラーゼを用いた増幅中および/または配列決定中に生じるエラーを除去するため、Windows用のDNAsisソフトウェアの補助によって、クローニングしたPCR断片の配列を互いに比較し、そして両方の読み取り方向から、すべてのクローンのコンセンサス配列を確証した。DNA配列をアミノ酸配列に書き直すことによって、サイレント突然変異の数およびアミノ酸置換突然変異の数を決定した。MG160およびCFRの配列をNCBIデータバンクから得て、そしてWindows用のDNAsisプログラムを用いて、配列決定したPCR産物の配列と比較した。
表1:異なる組織と抗体103/51の反応パターン
抗体染色を以下のようにスコア付けした:−=染色なし、+=中程度の染色、++=強い染色。HCC=肝細胞癌、1増殖領域、腺小窩(glandular foveola)、2球状帯、索状帯(膜染色)、3小胞体の集合管。
付属書類A
付属書類B
付属書類S:既に公表されているCFR−1およびMG160の配列に対する、細胞株23132から得たCFR−1のアミノ酸配列の比較。
抗原103/51の精製および同定
ウェスタンブロット解析を用いて、抗体103/51が胃癌細胞上のおよそ130kD膜タンパク質に結合することが示された。我々は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを連続して行って、このタンパク質を前精製した(図1a)。クーマシー染色した分離用SDS−PAGEからこのタンパク質を切除し、一部をマウスモノクローナル抗体の産生に用い(以下を参照されたい)、そして一部を、Shevchenkoら(1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:14440−14445)に概略される方法を用いて、タンパク質を同定するのに用いた。トリプシンで3時間、ゲル内消化した後、総消化体積の約1%を取り除き、そして高マス精度MALDIペプチド・マスマッピングに供した(消化物の残りは、MALDI MSが明確な同定につながらなかった場合に備え、ナノエレクトロスプレー解析のために取り置いた)。MALDI解析には、タンパク質消化物のフェントモル量を消費したが、それにもかかわらず、データベース検索によって、マス精度50ppm以内で、35ペプチドがCFR−1配列にマッチした。これらのペプチドは、CFR−1配列の29%の範囲に渡り、したがって、およそ134kDの計算分子量を有する該タンパク質を明確に同定した(Burrusら, 1992, Mol. Cell Biol. 12:5600−5609)(図1b)。
免疫組織化学およびフローサイトメトリーを用いて、胃癌細胞株23132のアンチセンストランスフェクションの影響を調べた。これを行うため、802および1699塩基対の間の領域に隣接するCFRの897bpのPCR断片を、CMVプロモーターに対してアンチセンス方向で、pHOOK−2ベクターにクローニングした。中間工程で、洗浄した細胞をpHOOK−CFRアンチセンスベクター、pHOOK−lacZ、およびpHOOKベクターでトランスフェクションした。トランスフェクションは、β−ガラクトシダーゼアッセイによって管理した(データ未提示)。トランスフェクション48時間後、サイトスピン調製物を調製し、そして抗体103/51および対照としての抗サイトケラチン18で染色した(データ未提示)。
CFR−1は、5つのありうるN−グリコシル化部位を持つシアロ糖タンパク質であり、そしてグリコシダーゼFでの処理によって、この分子がこれらの部位でグリコシル化されていることが示されている(Steegmaierら, 1995, Nature 373:615−620)。腫瘍反応性抗体はしばしば、炭水化物残基と反応するため、抗体103/51の場合もそうであるかどうかを調べた。細胞株23132のサイトスピン調製物を、O−グリコシダーゼおよびN−グリコシダーゼとともに4時間インキュベーションし、そしてその後、抗体103/51を用いた免疫組織化学染色に供した。N−グリコシダーゼで細胞を処理すると、103/51染色の劇的な減少が導かれた(図3b)が、脱リン酸化緩衝液(図3a)とのインキュベーション、またはO−グリコシダーゼでの消化(データ未提示)は、抗体103/51の結合に影響を持たなかった。これによって、抗体103/51結合の特異性は、糖残基に位置付けられるはずであり、そして一次タンパク質配列には位置付けられないことが示される。
CFR−1に対する商業的な抗体は入手不能であるため、特異性が強化され、そしてCFR−1発現をさらに性質決定するモノクローナル抗体を産生するために、クーマシー染色SDS−ゲルから溶出した精製タンパク質を用いて、マウスを免疫した。ヘテロ骨髄腫(heteromyeloma)NS0と融合することによって、脾臓細胞を不死化した。免疫組織化学染色に関して、150のクローンを試験した。陽性クローンを再度クローニングし、そしてさらなる性質決定には、クローン58/47−49(IgM)を用いた。ヒト抗体103/51およびネズミ抗体58/47−69の結合特性を調べるため、15の異なる胃腺癌および1つの腺腫のパラフィン切片を染色した。正常上皮組織の腺細胞の同一の染色、および癌細胞の強い染色が見られた(図4)。簡潔には、初期癌(n=2)は、どちらの抗体でも染色された。腸型癌腫に対しては、どちらの抗体も5つの症例のうち4つを染色し、散在型癌に対しては、すべての症例(n=4)が染色され、そして中間型は、どちらの抗体を用いても50%(n=4)が陽性であった。これらの結果によって、胃癌の大部分の症例で、CFR−1が高発現されていることが示される。調べた腺腫は、異なる染色パターンを示し、陽性細胞は、正常細胞から形質転換細胞への推移中にのみ見られた。
胃粘膜に対する抗体103/51の反応パターンを、より詳細に調べるため、炎症を伴わない胃組織、H.ピロリ関連慢性活性胃炎、高い等級の形成異常および胃腺癌に対して、免疫組織化学染色を行った。非炎症胃組織に対しては、反応は見られなかった(図5)。しかし、H.ピロリ胃炎患者の粘膜では、主に小窩細胞の基底領域に染色が見られた。抗体103/51の染色パターンは、Ki67染色によって示される活性化パターンと強い相関を示す(Ramiresら, 1997, J. Pathol. 182:62−65)。胃形成異常の増殖領域で、抗体103/51のより強い染色が見られ、これもまた、Ki67染色と相関していた。最も強い染色は、胃腺癌の増殖領域で見られた。
抗体103/51および58/47−69を用いた、パラフィン切片の免疫組織化学染色によって、他の癌性組織および正常組織におけるCFR−1の発現を調べた。15の癌性組織(胃癌とは異なる)のうち、抗体103/51は13の症例で染色を示した(図6、表1a)。肺の未分化(anaplastic)細胞に対しては陰性染色が観察され、これによって、免疫組織化学染色、並びに細胞株Colo−699およびEPLC−272Hを用いたMTTアッセイ由来の結果が確認された。このデータによって、CFR−1の過剰発現および悪性形質転換細胞の細胞膜への分布が示される。試験した28の正常組織上で、発現は、3つの腸臓器上のみに限定されていた(表1b)。胃の腺小窩、並びに副腎の球状帯および索状帯上で膜染色が観察され、一方、腎臓の集合管ではゴルジ体の染色が見られた(図5)。これによってさらに、この抗原が、Burrusら(1992, Mol. Cell Biol. 12:5600−5609)に先に記載されているCFR−1と性質決定されることが確かめられた。
我々の先の刊行物(Vollmersら, 1994, Cancer 74:1525−1532;Henselら, 1999, Int. J. Cancer 81:229−235)に記載するように、抗体103/51は、in vitroで細胞株23132の刺激を導く。抗体103/51でのこの刺激を、増殖の標準的なアッセイであるミトコンドリア・ヒドロキシラーゼアッセイ(MTT)を用いて測定した(Carmichaelら, 1987, Cancer Res. 47:936−942)。抗体103/51の刺激特性をさらに調べるため、細胞株23132を多様な濃度の精製抗体とインキュベーションした。濃度依存刺激が見られ、最大活性は4μg/mlで見られた(図7a)。濃度がこれより高いと、刺激のわずかな減少が示された。
Claims (16)
- 非常に増殖している細胞、特に胃癌細胞の表面膜上の、糖タンパク質で構成される受容体であって、
該糖タンパク質の少なくとも1つの決定基が、CFR−1タンパク質の決定基に対応し;そしてヒト抗体103/51および/またはネズミ抗体58/47−69(IgM)が該糖タンパク質に特異的に結合することで特徴付けられる、前記受容体。 - 糖タンパク質上の特異的結合部位が、炭水化物残基(糖残基)であることで特徴付けられる、請求項1記載の受容体。
- 糖タンパク質の一次アミノ酸配列が、CFR−1のアミノ酸配列の少なくとも80%に対応する(相同である)ことで特徴付けられる、請求項1記載の受容体。
- 糖タンパク質の決定基が、付属書類S、細胞株23132で再生される(reproduced)アミノ酸配列を有することで特徴付けられる、請求項1記載の受容体。
- およそ130kDの分子量によって特徴付けられる、請求項1〜4の1つに記載の受容体。
- 受容体をin vivoで投与して、抗体形成を誘導することで特徴付けられる、先行する請求項の1つに記載の受容体の使用。
- 受容体を疾病の発生前(予防のため)または発生とともに(療法のため)投与することで特徴付けられる、腫瘍治療のための、先行する請求項の1つに記載の受容体の使用。
- 以下の腫瘍:食道、胃、腸、直腸、肝臓、胆嚢、膵臓、肺、気管支、乳房、頚部、前立腺、心臓、バレット、卵巣、および/または子宮の腫瘍の治療のための、先行する請求項の1つに記載の受容体の使用。
- 以下の腫瘍前駆症:
胃腫瘍の前駆症:
−胃粘膜の形成異常(dysplasia)
−胃の腸化生(metaplasia)
−ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)関連胃炎
−胃の管状腺腫および管状絨毛腺腫
大腸腫瘍の前駆症:
−結腸の管状腺腫
−結腸の絨毛腺腫
−潰瘍性大腸炎における形成異常
食道における前駆症:
−食道のバレット形成異常
−食道のバレット化生
頚部腫瘍の前駆症:
−頚部上皮内新形成(neoplasia)I
−頚部上皮内新形成II
−頚部上皮内新形成III
肺腫瘍の前駆症:
−気管支の扁平上皮化生
−気管支の扁平上皮形成異常
の治療のための、先行する請求項の1つに記載の受容体の使用。 - 対応する抗体および/または受容体の存在、局在、および/または量に関する証拠が、抗体が受容体に結合する能力を介して得られることで特徴付けられる、診断目的のための、先行する請求項の1つに記載の受容体の使用。
- 抗体が腫瘍抗体であることで特徴付けられる、請求項10記載の使用。
- 受容体が腫瘍マーカーであることで特徴付けられる、請求項10記載の使用。
- 先行する請求項の1つに記載の受容体を抽出する方法であって、以下の工程:
a)ヒト腺癌細胞株23132の細胞からの膜タンパク質の調製
b)サイズ排除クロマトグラフィーの実行および
c)陰イオン交換クロマトグラフィーの実行、並びに
d)分離用SDS−PAGEを通じた最終的な抽出
によって特徴付けられる、前記方法。 - 先行する請求項の1つに使用するためのネズミマウス抗体58/47−69、および以下の特徴:
重鎖可変部が付属書類A記載のIGHV 1S 125*01に相同であり、DセグメントがIGHD−ST 4*01に相同であり、そしてJセグメントがIGHJ4*01に相同であり、そして軽鎖可変部が付属書類Bに記載の構造を有し、これがIGKV−17*01に相同であり、JセグメントがIGKJ2*01に相同であること
によって特徴付けられる構造。 - 先行する請求項の1つに記載の受容体を用いて、抗腫瘍剤を産生する方法であって、
先行する請求項の1つに記載の受容体に特異的に結合する能力に関して、潜在的に抗腫瘍活性を持つ化合物を試験し、そして陽性結果の場合、薬剤投与のためにこの化合物を配合し、そしてこの目的のために典型的な添加剤とともに提供することで特徴付けられる、前記方法。 - 請求項15記載の受容体を用いて、抗腫瘍剤を産生する方法であって、
化合物がヒト抗体および/またはマウス抗体および/またはヒト化マウス抗体および/またはFabおよびF(ab)2およびFab’断片および/または一本鎖抗体および/または四量体および/または二量体抗体型および/または二特異性抗体であることで特徴付けられる、前記方法。
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