JP2005508192A - 安定な複合試薬配合物を含む反応チャンバーならびに病原性微生物核酸の検出および単離用の検査キット - Google Patents
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Abstract
本発明は、後に病原性微生物核酸(細菌、ウイルス等)の存在について分析するための患者の複合液体サンプルの保持および任意の保存に適した、安定性を有する複合試薬配合物を含む標準的な反応チャンバに関する。反応チャンバは、生物学的複合サンプル由来のウイルスおよび細菌核酸の検出および定量的単離を、その複製が限られた数であっても可能にする、安定性を有する複合試薬配合物を含むことが好ましい。臨床的に関連する核酸についての単純なアーカイブシステムも同時に作製できる。安定性を有する複合試薬配合物を含む上記反応チャンバの応用により、サンプルの扱いのために必要な方法ステップの劇的な減少、ならびに可能性のある感染の危険性および汚染の危険性の有意な低下が可能になる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存安定性を有する複合試薬配合物(komplexe lagerstabile Reagenzienformulierungen )を含む標準的な反応チャンバー(Reactionsraume)であって、複合的な患者由来の流体サンプルを受け取る(受容する)のに適しており、必要な場合にはかかるサンプルを保存するのに適しており、その後に病原性核酸(細菌、ウイルス等)の存在について検査するのに適した反応チャンバーに関する。前記反応チャンバーは、生物学的複合サンプル中のウイルスおよび細菌核酸のコピー数が極端に低い場合でも、検査キットにおいてそのウイルスおよび細菌核酸の検出および定量的単離を可能にする保存安定性を有する複合的な試薬配合物を呈示することが好ましい。同時に、臨床的に関連する核酸についての単純なアーカイブシステム(Archivierungssystem、保管システム)も提供できる。保存安定性を有する複合試薬配合物を含む上記反応チャンバーを使用することにより、サンプルの扱いに必要なプロセスステップが劇的に減少し、従って、感染の危険性および汚染の危険性が明らかに低下する。
【0002】
感染成分の存在について生物学的複合サンプル(血清、血漿、血液等)をスクリーニングすることは、ますます重要になってきている。HIV、HCVまたはHBV等のウイルス感染は、世界中でますます広がってきている。PCRまたはNASBAなどの高感度増幅技術の使用に基づく新しいテスト方法により、ウイルスの高度に効率的な検出が可能になり、診断手段としてますます頻繁に使われている。専門家は、核酸(RNAまたはDNA)の単離における病原性核酸の検出のためのこれらの技術の利用に必須なステップが、関連する複合的な臨床サンプルを含むことを知っている。このような(例えば、ウイルス核酸の)高度に効率的な単離がなければ、十分に感度の高い診断は行うことができない。
【0003】
現在、例えば血液製剤物由来のウイルス核酸の単離は、高イオン強度のカオトロピック成分を含むバッファーで元の材料を溶解し、その後核酸を固相(例えば、膜フィルター)に結合させることにより通例行われている。結合した核酸は、固相上で洗浄され、最終的に、適切なイオン強度のバッファーで固相から溶解される。
【0004】
とりわけ、このプロセスは、米国特許第5,234,809A号明細書に記載されており、「ブーム特許(Boom Patent)」という名で世界中で知られている。このプロセスは、元の材料を、カオトロピックバッファーおよび固相結合DNAとインキュベートさせることにより、核酸を含む元の材料から核酸を単離させることを説明している。カオトロピックバッファーは、元の物質の溶解、および核酸と固相との結合の両方を実現する。この方法は、少量のサンプルから核酸を単離するのに非常に適しており、特にウイルス核酸単離の分野において実際に適用されている。
【0005】
ウイルスおよび細菌核酸の単離における1つの主要な問題は、十分に高い診断感度の実現である。なぜなら、生物学的複合サンプル中のウイルスのコピー数(または他の微生物病原体のコピー数)は原則的に非常に低いからである。これまで、抽出効率を高めるための解決法は、検査する臨床サンプルの容量を増加するか、または遠心分離技術によりウイルス粒子を富化することに関するものであった。これらの改変には限界があることは専門家には明確であろう。
【0006】
現在使用されている、抽出法による臨床サンプルの初期容量の増加は、抽出バッファーの必要量の必然的な比例的増大または過剰比例的増大を引き起こす。このことによって、その後、増加した容量の処理すべきサンプルを遠心分離フィルター(最終的にこの遠心分離フィルター上で結合させるべき核酸の結合が生じることになる)に移すために必要な遠心分離ステップ数が増大することになる。
【0007】
このように、抽出のための人的労力、抽出時間、および汚染の危険性が高まる。
【0008】
その後に実施される診断的検出のための単離(特にウイルス核酸の単離)におけるさらなる問題は、一連の反応成分を、核酸の抽出用のサンプルを含む反応容器にピペッティングしなければならないことである。
【発明の開示】
【0009】
従って、本発明の課題は、微生物核酸の存在について調査すべき生物学的複合サンプルの取り扱いに関する現存する全ての問題を無くす可能性を探求すること、および患者のサンプルから微生物核酸を単離する方法の簡略化を可能にする反応アプローチを見つけ、さらに該方法を自動化して、サンプルのハイスループットでの平行処理を可能にすることである。さらに、このような反応アプローチを用いることにより、作業ステップの減少を通じて相互汚染という公知の危険性が明らかに低下することになる。
【0010】
本発明は、請求項1、8、11および12に記載の発明により実現され、従属請求項は好ましい態様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記課題は、後に、病原性微生物核酸(細菌、ウイルス等)の存在について(任意の時点で)調査される患者の複合流体サンプルを、受容、そして必要であれば保存するのに適した全ての成分を含む標準反応容器(1.5 mlもしくは2.0 mlエッペンドルフ反応容器、または96ウェルもしくは386ウェルマイクロタイタープレート等)により解決された。すなわち、現行技術にしたがって使用される抽出方法や微生物核酸の診断的検出のための、生物学的サンプルの溶解のために必要な反応チャンバーを提供する。これらは、保存安定性を有する複合的な配合物中に、患者サンプル由来の病原性核酸の単離に必要な全ての成分を呈示する反応チャンバーであることが好ましい。
【0012】
特に、上記は、微生物核酸の検出についての課題であり、
1.少なくとも1つの標準核酸(抽出効率を確認するための対照標準)
2.少なくとも1つのキャリア核酸(ごく微量の微生物核酸さえも抽出可能にするために必要)
3.溶解バッファー剤(Lysepufferformulierung)、および
4.必要であればタンパク質分解酵素(例えば、プロテイナーゼ)
を含む標準反応チャンバーに関する。
【0013】
これら全ての成分は、ほとんどまたは完全に水を含まない試薬配合物として反応キャビティ内に含まれており、僅かな量であるために実質的にほとんど容量を示さない。保存安定性を有する複合試薬配合物の製造は、好ましくは真空乾燥または凍結乾燥のいずれかにより専門家により行われる。
【0014】
このようにして作製した反応チャンバーは、多数の利点を有する。特に、これらは、病原性核酸の検出および単離用の検査キットの内蔵パーツとして適している。例えば、病原性核酸の定量的検出の目的における生物学的複合サンプルの処理を可能にする。これは、本発明によれば、サンプルを反応容器内に移すことから始まる。元の材料の溶解のための全ての成分、および定量的核酸診断に必要な抽出標準は、反応容器に既に入っている。このようにして、バッファーまたは他の必須成分を添加するためのさらなるピペッティングステップが不要になる。従って、必要な「人手による」労力は劇的に減少し、汚染の危険性も同時に明らかに低下する。多くのサンプルを平行処理する場合ほど、これは重要となる。専門家には、本発明による反応材料を含むことにより、非常に単純に自動化が実施できることも明確であろう。
【0015】
さらなる重要な利点は、本発明による反応チャンバーを使用することにより、検査する臨床サンプルの容量を明らかに増やすことができるという事実である。液体の反応成分が完全に無いことにより、最終的に添加されるサンプルの容量は、反応全体の容量に一致する。生物学的サンプルの容量を増加させるためのこれまでに必要であった遠心分離フィルターの複数回の充填ステップは、もう必要ない。元の材料の溶解の後、溶解物を、(例えば、アルコールの)定義された割合で混合し、その後、サンプルの核酸の結合を行う位置にある固相に通す。次いで、この固相を、エタノールを含む洗浄バッファーで洗浄し、低塩バッファーの添加により、抽出標準を含むサンプルの核酸を固相から放出させる。ここで、核酸がその後の定量的分析のために利用可能になる。
【0016】
本発明による検査キットは、反応チャンバーだけではなく、
−核酸を結合させるための固相(専門家には公知)
−必要であれば、元来公知の結合バッファー
−必要であれば、元来公知の洗浄バッファー
−必要であれば、元来公知の低塩バッファー、そして、必要であれば、同じく専門家に公知の補助剤
も含む。
【0017】
驚くべきことに、サンプルから得られる核酸は、必要な洗浄ステップおよびその後の固相の乾燥の後も長時間にわたり固相上で安定したまま残ることが認められた。これは、結合形態にある核酸が、保存可能であること、または問題を生じることなく周囲温度にて移送され得るという利点を有する。従って、サンプルから得た核酸の-80℃での面倒な長期保存、およびエタノールを添加する保存も、もう必要ない。必要であれば、サンプルから得た核酸は、低塩バッファーの添加により固相から簡単に除去され、診断に回すことができる。
【0018】
驚くべきことに、RNAも、分解を生じること無しにこのように長い期間保存することができ、任意の所望の時点において固相から除去することができる。このようにして、サンプル由来の核酸についての完全に新しいアーカイブシステムが利用可能になる。
【0019】
固相は、従来、「単管(single Tube)」および個別の反応キャビティ(例えば、96ウェル濾過プレート、384ウェル濾過プレート等)の複数の変形物(multiple Varianten)として入手可能であり得る濾過ユニットの内蔵パーツである。従って、これらは、本発明の反応キャビティに適合し、サンプル由来の核酸の単離または様々な形式でのアーカイブ作製を可能にする。
【0020】
使用する反応チャンバーのさらなる利点は、含まれる核酸が、患者の流体サンプルの添加後に、使用される溶解バッファー剤および添加されるキャリア核酸の下で保護されるという事実に認められる。これは、冷却することなしにサンプルを輸送することを可能にし、従って、(特に、微生物核酸の)その後の定量的診断のためのサンプル収集の作業およびサンプル輸送の作業を非常に容易にする。最後に、本発明による剤はまた、分子診断の多くの他の課題にも使用され得ること、従って、微生物診断における使用に限定されないことを付記する。
【実施例】
【0021】
本発明による反応チャンバーの応用を、実施例により、以下により詳細に説明する。
【0022】
実施形態の例
体内流体 ( 血清、血漿、尿等 ) から得たウイルス核酸の単離
200μlの血清と200μlのH2Oとを混合する。サンプルを、水を含まないかまたはほとんど水を含まない形態の保存安定性を有する試薬配合物を含む本発明による反応チャンバー(2 ml反応容器)に移す。かかる保存安定性試薬配合物は、
1.抽出対照用の標準核酸として、合成遺伝子のDNAおよびRNA(pMS1;Springer Lab Manual; Quantification of mRNA by Polymerase Chain Reaction; Springer Verlag 1995)、
2.キャリア核酸としてtRNA、
3.CTAB、ポリビニルピロリドン、塩化アンモニウム、トリス-HCl、プロテイナーゼKを含む溶解バッファー
を含む。
【0023】
溶液を混合し、サーモミキサー中で56℃にて10分間インキュベートする。その後、400μlイソプロピルアルコールを添加し、溶液を遠心分離カラム(例えば、繊維ガラス材料の会社Invitekの遠心分離カラムを含む)に移す。1分間遠心分離し、濾過液を捨てる。遠心分離カラムを、エタノールを含む洗浄バッファーで二度洗浄する。遠心分離カラムを3分間遠心分離することにより乾燥させる。
【0024】
80μlの溶出バッファー(10 mMトリスHCl;pH 8.5)を、遠心分離カラムに添加し、1分間遠心分離する。
【0025】
単離したウイルスRNAおよび/またはDNAの検出を、公知の増幅技術により行う。
【0001】
本発明は、保存安定性を有する複合試薬配合物(komplexe lagerstabile Reagenzienformulierungen )を含む標準的な反応チャンバー(Reactionsraume)であって、複合的な患者由来の流体サンプルを受け取る(受容する)のに適しており、必要な場合にはかかるサンプルを保存するのに適しており、その後に病原性核酸(細菌、ウイルス等)の存在について検査するのに適した反応チャンバーに関する。前記反応チャンバーは、生物学的複合サンプル中のウイルスおよび細菌核酸のコピー数が極端に低い場合でも、検査キットにおいてそのウイルスおよび細菌核酸の検出および定量的単離を可能にする保存安定性を有する複合的な試薬配合物を呈示することが好ましい。同時に、臨床的に関連する核酸についての単純なアーカイブシステム(Archivierungssystem、保管システム)も提供できる。保存安定性を有する複合試薬配合物を含む上記反応チャンバーを使用することにより、サンプルの扱いに必要なプロセスステップが劇的に減少し、従って、感染の危険性および汚染の危険性が明らかに低下する。
【0002】
感染成分の存在について生物学的複合サンプル(血清、血漿、血液等)をスクリーニングすることは、ますます重要になってきている。HIV、HCVまたはHBV等のウイルス感染は、世界中でますます広がってきている。PCRまたはNASBAなどの高感度増幅技術の使用に基づく新しいテスト方法により、ウイルスの高度に効率的な検出が可能になり、診断手段としてますます頻繁に使われている。専門家は、核酸(RNAまたはDNA)の単離における病原性核酸の検出のためのこれらの技術の利用に必須なステップが、関連する複合的な臨床サンプルを含むことを知っている。このような(例えば、ウイルス核酸の)高度に効率的な単離がなければ、十分に感度の高い診断は行うことができない。
【0003】
現在、例えば血液製剤物由来のウイルス核酸の単離は、高イオン強度のカオトロピック成分を含むバッファーで元の材料を溶解し、その後核酸を固相(例えば、膜フィルター)に結合させることにより通例行われている。結合した核酸は、固相上で洗浄され、最終的に、適切なイオン強度のバッファーで固相から溶解される。
【0004】
とりわけ、このプロセスは、米国特許第5,234,809A号明細書に記載されており、「ブーム特許(Boom Patent)」という名で世界中で知られている。このプロセスは、元の材料を、カオトロピックバッファーおよび固相結合DNAとインキュベートさせることにより、核酸を含む元の材料から核酸を単離させることを説明している。カオトロピックバッファーは、元の物質の溶解、および核酸と固相との結合の両方を実現する。この方法は、少量のサンプルから核酸を単離するのに非常に適しており、特にウイルス核酸単離の分野において実際に適用されている。
【0005】
ウイルスおよび細菌核酸の単離における1つの主要な問題は、十分に高い診断感度の実現である。なぜなら、生物学的複合サンプル中のウイルスのコピー数(または他の微生物病原体のコピー数)は原則的に非常に低いからである。これまで、抽出効率を高めるための解決法は、検査する臨床サンプルの容量を増加するか、または遠心分離技術によりウイルス粒子を富化することに関するものであった。これらの改変には限界があることは専門家には明確であろう。
【0006】
現在使用されている、抽出法による臨床サンプルの初期容量の増加は、抽出バッファーの必要量の必然的な比例的増大または過剰比例的増大を引き起こす。このことによって、その後、増加した容量の処理すべきサンプルを遠心分離フィルター(最終的にこの遠心分離フィルター上で結合させるべき核酸の結合が生じることになる)に移すために必要な遠心分離ステップ数が増大することになる。
【0007】
このように、抽出のための人的労力、抽出時間、および汚染の危険性が高まる。
【0008】
その後に実施される診断的検出のための単離(特にウイルス核酸の単離)におけるさらなる問題は、一連の反応成分を、核酸の抽出用のサンプルを含む反応容器にピペッティングしなければならないことである。
【発明の開示】
【0009】
従って、本発明の課題は、微生物核酸の存在について調査すべき生物学的複合サンプルの取り扱いに関する現存する全ての問題を無くす可能性を探求すること、および患者のサンプルから微生物核酸を単離する方法の簡略化を可能にする反応アプローチを見つけ、さらに該方法を自動化して、サンプルのハイスループットでの平行処理を可能にすることである。さらに、このような反応アプローチを用いることにより、作業ステップの減少を通じて相互汚染という公知の危険性が明らかに低下することになる。
【0010】
本発明は、請求項1、8、11および12に記載の発明により実現され、従属請求項は好ましい態様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記課題は、後に、病原性微生物核酸(細菌、ウイルス等)の存在について(任意の時点で)調査される患者の複合流体サンプルを、受容、そして必要であれば保存するのに適した全ての成分を含む標準反応容器(1.5 mlもしくは2.0 mlエッペンドルフ反応容器、または96ウェルもしくは386ウェルマイクロタイタープレート等)により解決された。すなわち、現行技術にしたがって使用される抽出方法や微生物核酸の診断的検出のための、生物学的サンプルの溶解のために必要な反応チャンバーを提供する。これらは、保存安定性を有する複合的な配合物中に、患者サンプル由来の病原性核酸の単離に必要な全ての成分を呈示する反応チャンバーであることが好ましい。
【0012】
特に、上記は、微生物核酸の検出についての課題であり、
1.少なくとも1つの標準核酸(抽出効率を確認するための対照標準)
2.少なくとも1つのキャリア核酸(ごく微量の微生物核酸さえも抽出可能にするために必要)
3.溶解バッファー剤(Lysepufferformulierung)、および
4.必要であればタンパク質分解酵素(例えば、プロテイナーゼ)
を含む標準反応チャンバーに関する。
【0013】
これら全ての成分は、ほとんどまたは完全に水を含まない試薬配合物として反応キャビティ内に含まれており、僅かな量であるために実質的にほとんど容量を示さない。保存安定性を有する複合試薬配合物の製造は、好ましくは真空乾燥または凍結乾燥のいずれかにより専門家により行われる。
【0014】
このようにして作製した反応チャンバーは、多数の利点を有する。特に、これらは、病原性核酸の検出および単離用の検査キットの内蔵パーツとして適している。例えば、病原性核酸の定量的検出の目的における生物学的複合サンプルの処理を可能にする。これは、本発明によれば、サンプルを反応容器内に移すことから始まる。元の材料の溶解のための全ての成分、および定量的核酸診断に必要な抽出標準は、反応容器に既に入っている。このようにして、バッファーまたは他の必須成分を添加するためのさらなるピペッティングステップが不要になる。従って、必要な「人手による」労力は劇的に減少し、汚染の危険性も同時に明らかに低下する。多くのサンプルを平行処理する場合ほど、これは重要となる。専門家には、本発明による反応材料を含むことにより、非常に単純に自動化が実施できることも明確であろう。
【0015】
さらなる重要な利点は、本発明による反応チャンバーを使用することにより、検査する臨床サンプルの容量を明らかに増やすことができるという事実である。液体の反応成分が完全に無いことにより、最終的に添加されるサンプルの容量は、反応全体の容量に一致する。生物学的サンプルの容量を増加させるためのこれまでに必要であった遠心分離フィルターの複数回の充填ステップは、もう必要ない。元の材料の溶解の後、溶解物を、(例えば、アルコールの)定義された割合で混合し、その後、サンプルの核酸の結合を行う位置にある固相に通す。次いで、この固相を、エタノールを含む洗浄バッファーで洗浄し、低塩バッファーの添加により、抽出標準を含むサンプルの核酸を固相から放出させる。ここで、核酸がその後の定量的分析のために利用可能になる。
【0016】
本発明による検査キットは、反応チャンバーだけではなく、
−核酸を結合させるための固相(専門家には公知)
−必要であれば、元来公知の結合バッファー
−必要であれば、元来公知の洗浄バッファー
−必要であれば、元来公知の低塩バッファー、そして、必要であれば、同じく専門家に公知の補助剤
も含む。
【0017】
驚くべきことに、サンプルから得られる核酸は、必要な洗浄ステップおよびその後の固相の乾燥の後も長時間にわたり固相上で安定したまま残ることが認められた。これは、結合形態にある核酸が、保存可能であること、または問題を生じることなく周囲温度にて移送され得るという利点を有する。従って、サンプルから得た核酸の-80℃での面倒な長期保存、およびエタノールを添加する保存も、もう必要ない。必要であれば、サンプルから得た核酸は、低塩バッファーの添加により固相から簡単に除去され、診断に回すことができる。
【0018】
驚くべきことに、RNAも、分解を生じること無しにこのように長い期間保存することができ、任意の所望の時点において固相から除去することができる。このようにして、サンプル由来の核酸についての完全に新しいアーカイブシステムが利用可能になる。
【0019】
固相は、従来、「単管(single Tube)」および個別の反応キャビティ(例えば、96ウェル濾過プレート、384ウェル濾過プレート等)の複数の変形物(multiple Varianten)として入手可能であり得る濾過ユニットの内蔵パーツである。従って、これらは、本発明の反応キャビティに適合し、サンプル由来の核酸の単離または様々な形式でのアーカイブ作製を可能にする。
【0020】
使用する反応チャンバーのさらなる利点は、含まれる核酸が、患者の流体サンプルの添加後に、使用される溶解バッファー剤および添加されるキャリア核酸の下で保護されるという事実に認められる。これは、冷却することなしにサンプルを輸送することを可能にし、従って、(特に、微生物核酸の)その後の定量的診断のためのサンプル収集の作業およびサンプル輸送の作業を非常に容易にする。最後に、本発明による剤はまた、分子診断の多くの他の課題にも使用され得ること、従って、微生物診断における使用に限定されないことを付記する。
【実施例】
【0021】
本発明による反応チャンバーの応用を、実施例により、以下により詳細に説明する。
【0022】
実施形態の例
体内流体 ( 血清、血漿、尿等 ) から得たウイルス核酸の単離
200μlの血清と200μlのH2Oとを混合する。サンプルを、水を含まないかまたはほとんど水を含まない形態の保存安定性を有する試薬配合物を含む本発明による反応チャンバー(2 ml反応容器)に移す。かかる保存安定性試薬配合物は、
1.抽出対照用の標準核酸として、合成遺伝子のDNAおよびRNA(pMS1;Springer Lab Manual; Quantification of mRNA by Polymerase Chain Reaction; Springer Verlag 1995)、
2.キャリア核酸としてtRNA、
3.CTAB、ポリビニルピロリドン、塩化アンモニウム、トリス-HCl、プロテイナーゼKを含む溶解バッファー
を含む。
【0023】
溶液を混合し、サーモミキサー中で56℃にて10分間インキュベートする。その後、400μlイソプロピルアルコールを添加し、溶液を遠心分離カラム(例えば、繊維ガラス材料の会社Invitekの遠心分離カラムを含む)に移す。1分間遠心分離し、濾過液を捨てる。遠心分離カラムを、エタノールを含む洗浄バッファーで二度洗浄する。遠心分離カラムを3分間遠心分離することにより乾燥させる。
【0024】
80μlの溶出バッファー(10 mMトリスHCl;pH 8.5)を、遠心分離カラムに添加し、1分間遠心分離する。
【0025】
単離したウイルスRNAおよび/またはDNAの検出を、公知の増幅技術により行う。
Claims (12)
- 核酸の溶解に適した、保存安定性を有する固体形態の複合試薬配合物を含む、生物学的複合サンプルを受容および保存するための反応チャンバー。
- 少なくとも1つの標準核酸と、
少なくとも1つのキャリア核酸と、
溶解バッファー剤と
を含み、全ての成分が、ほとんどまたは全く水を含有しない試薬配合物として含まれている標準反応チャンバーを有する、請求項1に記載の反応チャンバー。 - 前記標準反応チャンバーが、1.5 mlもしくは2 mlの反応容器、96ウェルマイクロタイタープレート、または384ウェルマイクロタイタープレートであり、個々のウェルが同一または異なる試薬を含む、請求項1または2に記載の反応チャンバー。
- 標準核酸を抽出効率の確認用の対照標準として含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反応チャンバー。
- RNA、ポリRNAまたはDNAを、ごく微量の微生物核酸でさえも抽出可能にするために必要なキャリア核酸として含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反応チャンバー。
- 界面活性剤、一価または多価の陽イオン、トリス-HCl、ポリビニルピロリドン、および他の成分を、溶解バッファー剤として含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反応チャンバー。
- 1種または数種のタンパク質分解酵素、好ましくはプロテイナーゼKのようなプロテイナーゼをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の反応チャンバー。
- ウイルスおよび細菌核酸を検出するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応チャンバーの使用。
- 酵母または原生動物のような病原性微生物由来の核酸を検出するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応チャンバーの使用。
- 微生物核酸を単離するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応チャンバーの使用。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応チャンバー、
核酸を結合させるための固相、
必要であれば結合バッファー、
必要であれば洗浄バッファー、および
必要であれば低塩バッファー
を備える、微生物、好ましくはウイルスおよび細菌核酸の検出および定量的単離用の検査キット。 - ほとんどまたは完全に乾燥状態にある保存安定性形態の結合核酸を呈示している、請求項11に記載の固相を備える、臨床的に関連する核酸のためのアーカイブシステム。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE20117746U DE20117746U1 (de) | 2001-11-02 | 2001-11-02 | Reaktionsräume enthaltend komplexe lagerstabile Reagenzienformulierungen und Testkit zum Nachweis und zur Isolierung pathogener mikorbieller Nukleinsäuren |
PCT/DE2002/004081 WO2003040386A2 (de) | 2001-11-02 | 2002-11-04 | Reaktionsräume enthaltend komplexe lagerstabile reagenzienformulierungen und testkit zum nachweis und zur isolierung pathogener mikrobieller nukleinsäuren |
Publications (1)
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