JP2005507248A - 遺伝子導入プロトコールのためのマルチ−シストロン性ベクター - Google Patents

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Abstract

本発明の主題は、同時に2〜4個の遺伝子からの発現が可能であり、そして別々に調節されるバイシストロン性転写単位を特徴とする、マルチシストロン性真核生物プラスミド発現ベクターの構築である。これらのベクターの独特な特徴は、単一プロモーターの制御下で2種のタンパク質を翻訳するIRES(内部リボソームエントリー部位)配列の能力に基づくCAP−非依存性翻訳開始機構の存在である。このマルチシストロン性ベクターのファミリーは、2種以上の遺伝子の同時発現が必要である種々の生物工学的応用、例えば、遺伝子導入プロトコール、DNA免疫において、または同じ細胞における異なる分子の発現のために有利に使用することができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、同時に2〜4個の遺伝子の発現が可能であり、そして別々に調節されるバイシストロン性転写単位を特徴とする、マルチシストロン性真核生物プラスミド発現ベクターの構築である。これらのベクターの独特な特徴は、単一プロモーターの制御下で2種のタンパク質を翻訳するIRES(内部リボソームエントリー部位)配列の能力に基づくCAP−非依存性翻訳開始機構の存在である。このマルチシストロン性ベクターのファミリーは、2種以上の遺伝子の同時発現が必要である種々の生物工学的応用、例えば、遺伝子導入プロトコール、DNA免疫において、または同じ細胞における異なる分子の発現のために有利に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
同じウイルス、レトロウイルスまたはDNAプラスミドベクター中の1種以上の遺伝子の同時発現を達成するための、種々の異なるアプローチが文献において存在している。
【0003】
文献に記述される各戦略は、数種のタンパク質の発現のために1種のベクターにおける数種のプロモーターの使用に伴う問題、例えば、転移もしくは欠失の可能性、異なるプロモーターの競合的干渉、またはプロモーターのサプレッションを防ぐという目的を有する。事実、同じベクター内の数種のプロモーターの存在は、関心のある遺伝子の発現に失敗する可能性とともに、しばしば、転写の干渉、または異なる遺伝子の分離した発現をもたらす。
【0004】
記述されたその他のアプローチは融合タンパク質の使用にある、すなわち、2種の遺伝子がキメラタンパク質を得るために「インフレーム」に融合される。しかしながら、このメカニズムは、2種の融合タンパク質が常に同じ活性を保持するとは限らないので、多くの場合にそれを応用不可能にさせる多数の問題を特徴とする;さらに、2種の開始タンパク質の細胞位置は異なるであろうし、そして関心のある個々のタンパク質の発現と機能を問題のあるものとするであろう。
【0005】
第2の選択肢は、翻訳再開始(re−initiation)機構を助けるために、互いに密接に接近した多数のエンコーディング配列からなるポリシストロン性単位の構築である。このアプローチの限界は、第1の遺伝子に続く遺伝子の翻訳効率が、しばしば極端に低下されることである。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、同じベクター内の数種のタンパク質の同時発現に関連するすべての問題を解決することができる、ウイルスのIRES配列の使用に基づく新規なアプローチを記述する。これらの配列は、CAP−依存様式での第1の遺伝子の翻訳に存する操作のメカニズムによって各ペプチドの翻訳の独立した開始を可能にし、それに対して、第2の遺伝子は、IRES−依存様式において翻訳される。このメカニズムは、第1のシストロンの発現機構に対するいかなる種類の干渉もなしに、第2のシストロンの効率的な転写と翻訳をもたらすことが示された。
【0007】
特に、本発明において記述されるテトラシストロン性ベクターは、異なる起源の2種のIRES配列の存在を特徴とし、この配置がベクターの安定性を増大し、そしてクローン化したタンパク質の発現に関与する転写と翻訳因子の間の競合を防ぐことができる。
【0008】
2種の異なる、完全な、そして区別して調節されるバイシストロン性転写単位を特徴とするマルチシストロン性真核生物発現ベクターの新規ファミリーが発見され、そしてここに記述される。これらのベクターは、2種の異なるプロモーター/エンハンサー配列、すなわち、サイトメガロウイルス(p/eCMV)およびラウス肉腫ウイルス(pRSV)の存在を特徴とし、この配列が、独立に、組み換えcDNAの転写を導く。本発明によるバイシストロン性ベクターの独特な特徴は、単一プロモーターの制御下で2種のタンパク質を翻訳するために、IRES配列(内部リボソームエントリー部位)の能力に基づく、もう一方のCAP−非依存性翻訳−開始機構の存在と結び付けられる。上記バイシストロン性ベクターから直接誘導され、そしてコードされているタンパク質の1つが他の効果を調節できる可能性によって異なるタンパク質を発現することができる共通の性質を有する、トリシストロン性もしくはテトラシストロン性ベクターの開発がまた記述される。
【0009】
これらのベクターの発現の効率は、COS細胞トランスフェクションにより、レポーター遺伝子の発現を解析することによって、種々の遺伝子導入プロトコールにおいてイン・ビトロで例証された。
【0010】
これらのマルチシストロン性ベクターは、同時に2種以上の遺伝子を発現することが必要であるすべての生物工学的応用、例えば、遺伝子導入、予防および治療の両目的のためのプラスミドDNAの投与による免疫化において、ならびに互いの効果を調節する異なる分子の発現のために使用することができる。
【0011】
RNA翻訳の内部開始を促進するIRES要素の能力は、真核細胞においてポリシストロン性転写単位による2種以上のタンパク質の発現を容易にした。遺伝子を同時発現するために使用される発現ベクターは、しばしば転写干渉および/または別々の遺伝子発現をもたらし、一部の細胞は関心のある遺伝子の1つのみを発現するよう選択される。1つがレポーター遺伝子、選択可能なマーカー、抗原、または免疫調節もしくは免疫刺激活性を有するいずれかの分子である2種のタンパク質の同時発現は、しばしば生物工学的応用の必要条件である;特に、遺伝子治療における多くの応用は、1種以上のタンパク質の整合した放出を必要とする。
【0012】
近年、異なるmRNA転写物の安定性に関わる問題を防ぐために、IRES要素を含有するバイシストロン性ベクターが開発され、そして細胞培養からトランスジェニック動物までの種々の実験局面に応用されてきた。本発明の主題は、遺伝子治療のため、およびタンパク質の発現のための新規な一連のプラスミドの構築であって、それらは、ウイルス起源または真核生物遺伝子由来のレギュレーター要素を含有することを特徴とする。これらの配列は、8000bp未満のこじんまりした、比較的小さいプラスミド中に含有されている;小サイズのベクターは、転写効率を損なうことなく可成のサイズの遺伝子の導入を可能にするか、またはE.コリ(E.coli)株からの大規模のプラスミド生産を可能にする。
【0013】
本発明のプラスミドは、1または2個の独立した転写単位を特徴とし、これらの各々は、強力なウイルスプロモーター/エンハンサー(p/eCMVまたはpRSV)、イントロン配列(CMV−イントロンAまたはウサギβ−グロビンイントロン)からなり、このように得られた転写物、ウイルスIRESおよび効率的な転写終結要素(SV−40のポリアデニル化部位または成長ホルモンBGHのターミネーターであるが、またそれはウサギβ−グロビン遺伝子mRGB由来のターミネーターであってもよい)の安定性を増大する。両転写単位は組み換えcDNAが容易にクローン化できる特異的な希有制限部位を含有する。
【0014】
これらの新規ベクターでは、転写干渉は異なる起源のプロモーターとポリアデニル化シグナルの使用によって、ならびに転写を効果的に終結するために第1の翻訳カセットの末端に減衰部位を導入することによって防止される。
【0015】
本発明のベクターの独特な特徴は、各転写単位が、脳心筋炎ウイルス(ECMV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)に由来し、そして第1のシストロンが慣例のCAP−依存機構において翻訳され、続くシストロンがCAP−非依存性翻訳開始に基づく人為的な真核生物オペロンを組み立てるために使用できる異なるIRES配列を含有することである。実際に予期せぬことに、異なるIRES配列がベクターの安定性を増大し、そして配列においてトランスに作用する因子に対する競合を防ぐことが見い出された。これらのIRES要素は、最も強力な翻訳インデューサーのうちに入り、そしてほとんど組織屈性を示さないことが知られている(Borman A.M.et al.”Comparison of picornaviral IRES−driven internal initiation of translation in cultured cells of different origins” Nucleic Acids Reseach.25(5):925−932,1997)。
【0016】
本発明によるベクターは、細菌における増幅と維持のために、カナマイシン耐性についての遺伝子およびpUC19に基づく複製起点(ori)を有する、原核生物ベクターpUC19に基づいて構築される。
【0017】
最後に、4個の異なる希有の制限部位によるクローニングの可能性が、いかなるcDNAをもこれらのプラスミドに挿入されることを可能にし、そして多くの異なる生物工学的および治療的応用のためにそれらが使用されることを可能にする。
【0018】
したがって、本発明の主題は、読み取り段階において、プロモーター/エンハンサー配列、イントロン配列、クローニング部位、ウイルスIRES配列、クローニング部位およびチェーンターミネーターを含んでなる少なくと1個の真核生物発現カセットを含有する、少なくとも2種の同じか異なる関心のあるタンパク質の発現のためのマルチシストロン性組み換えプラスミドベクターによって表される。
【0019】
好ましくは、IRES配列は脳心筋炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスに由来し、プロモーター/エンハンサー配列はp/eCMVまたはpRSVであり、イントロン配列はCMV−イントロンAまたはウサギβ−グロビンイントロンであり、そしてターミネーターはポリA−SV40およびBGHターミネーター(ウシ成長ホルモンターミネーターであるが、またそれはウサギβ−グロビン遺伝子mRGB由来のターミネーターであってもよい)である。
【0020】
本発明の好適な態様の1つによれば、プロモーター/エンハンサー配列およびイントロン配列は互いに融合されてもよい;特に、プロモーター/エンハンサー配列p/eCMVは、好ましくは、イントロン配列CMV−イントロンAに融合される。
【0021】
ベクターが2種の別の翻訳カセットを含有する場合、2種のIRES配列は、好ましくは、異なるウイルス起源のものである;通常は、1つのカセットは脳心筋炎ウイルスに由来するIRES配列を含有し、そして他のカセットはC型肝炎ウイルスに由来するIRES配列を含有する。同様に、好ましくは、1つのカセットはプロモーター/エンハンサー配列p/eCMVを、他のカセットは配列pRSVを含有し、そして1つのカセットはイントロン配列CMV−イントロンAを、他のカセットはウサギβ−グロビンイントロンを含有する。同様に、1つのカセットはポリA−SV40ターミネーターを、他のカセットはウシ成長ホルモン(BGH)ターミネーターを含有するが、またそれはウサギβ−グロビン遺伝子(mRGB)由来のターミネーターであってもよい。好適なクローニング部位は:SalI、XhoI、BsiWI、NotI、BstBI、EcoRVm、PacIおよびStuIである。
【0022】
特に、配列:PL190に対応する配列番号:1、PL178に対応する配列番号:2、PL249に対応する配列番号:3、およびPL250に対応する配列番号:4を有するプラスミドベクターは、本発明の好適な態様を構成する。本発明のさらなる主題は、先に定義されたような少なくとも1種のプラスミドベクターを含有する真核宿主細胞、宿主細胞の培養を含んでなる少なくとも2種の真核生物タンパク質の発現(および場合によっては、タンパク質の回収)のための方法、ならびに遺伝子導入、遺伝子治療およびDNA免疫における本発明によるプラスミドベクターの使用によって表される。
【0023】
本発明のさらなる態様は、次に示す試験の部より明らかになるが、これは、本発明を限定するものと考えるべきではない。
【実施例】
【0024】
原核生物のマーカーを用いる選択系
遺伝子Ampが、AlwNIおよびSspIによる消化によってベクターpUC19(New England,Biolabs)から除去され、そして残りのプラスミドが、Asp700およびAlwNIによってベクターpET39(Novagen)から予め回収されたカナマイシン耐性についての遺伝子に連結されて、Pl−62(2583bp)が生成された。
【0025】
プラスミドの精製
形質転換DH5−α E.コリ株(SUPE44,ΔlacU169(φ80 lacZΔM15),hsdR17,recAI,endAI,gyrA96,thi−1,relAI)中に含有されるDNAが、カナマイシン30μg/mlを補足したLB培地において増殖され、そしてプラスミドDNAが、Clontech Miniprepプラスミドキットにより精製された。DNAはUV分光測定によって定量され、そしてその純度は260nmと280nmにおける吸光度の比を計算することによってチェックされた。
【0026】
クローニング技術
すべてのクローニング技術は、既述の慣用の方法にしたがって実施された(Sambrook,J.,et al.,(1989)Molecular cloning:A laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)。制限および修飾酵素は、New England,Biolabs,Inc.から得られ、そして販売者により推奨されるように使用された。
【0027】
レポーター遺伝子のクローニング
レポーター遺伝子をコードしているDNAが、2種のベクターのクローニング部位における遺伝子の組み込みに都合がよいように特異的制限部位を含有するプライマーの使用によりPCRによって増幅された。EGFP−1(735bp)をコードしている遺伝子は、プライマーEGFP−1(ACGCGTCGACgccaccattggtgagcaag;下線SalI部位、小文字=対合)およびEGFP−2(CCTCCTCGAGttacttgtacagctcgtc;下線XhoI部位、小文字=対合)を用いてベクターpEGFP(Clontech)から増幅され、SalIおよびXhoI制限酵素により消化され、そしてPl−163のSalIおよびXhoI部位(MCS1)に連結されて、ベクターPl−174(5961bp)が生成され、また、プライマーGFP−178−A(AGCTGATATCgccaccatggtgagcaa;下線EcoRV部位、小文字=対合)およびGFP−178−B(ACCGTTCGAAttacttgtacagctcgtc;下線BstBI部位、小文字=対合)を用いてベクターpEGFP(Clontech)から増幅され、EcoRVおよびBstBI制限酵素により消化され、そしてPl−178のEcoRV,BstBI(MCS3)部位に連結されて、プラスミドPl−189(5200bp)が生成された。ルシフェラーゼ(1630bp)をコードしている遺伝子は、プライマーLuc−1(GTATCGTACGtggtctagaattacacggcg;下線BsIWI部位、小文字=対合)およびLuc−2(TACTCGTACGtttccatggaagacgccaa;下線BsIWI部位、小文字=対合)を用いてプラスミドp187(Clontech)からPCRによって増幅され、予めBsIWI(MCS2)で消化されたプラスミドPl−174に連結されて、プラスミドPl−177(7636bp)が生成され、また、プライマーLucif−1(AATGCGGCCGCcatggaagacgccaaa;下線NotI部位、小文字=対合)およびLucif−2(ATAGCCATTCAGGCattacacggcgatctttc;下線BglI部位、小文字=対合)を用いてプラスミドp187(Clontech)から増幅され、NotIおよびBglIにより消化され、そしてPl−189のNotIおよびBglI部位(MCS4)に連結されて、プラスミドベクターPl−193(5200bp)が生成された。得られたプラスミドのすべては、制限および配列解析によってチェックされた。
【0028】
トランスフェクション試験
ベクターp1−177およびp1−193に挿入され、そして前記ルシフェラーゼおよびEGFP−1についてのcDNAを含有する転写単位の活性を例証し、続いて、2種のcDNA間に配置されたIRESの正確な活性を確認するために、得られたベクターは、サルの腎細胞の真核細胞系(COS)にトランスフェクションされた。
【0029】
COS細胞は、10%ウシ胎児血清の存在下の非選択性DMEM培地において単層状態で増殖され、そして10%CO条件下の湿潤環境において37℃で維持された。濃度1x10〜3x10の培養物において維持されたCOS細胞が、最終濃度10〜20μg/mlにおける両組み換えプラスミドp1−177および対照ベクターp1−163を用いて、リン酸カルシウム[(Ca(PO]法によるDNA沈殿によってトランスフェクションされた。トランスフェクションのために使用された細胞は、10cmプレート当たり0.5〜1x10の密度において24時間前に接種された。培地はトランスフェクション4〜8時間前および8〜10時間後に更新された。
【0030】
同じ方法がベクターp1−193によっても追随された。
【0031】
検討
本発明では、種々の生物工学的および治療的応用のために使用できるマルチシストロン性ベクターの新規ファミリーの構築戦略が記述される。ベクターのファミリーは、高レベルの発現および転写物収量の高い安定性と相関した、ウイルス起源の構成的プロモーターおよび異なる転写要素を含有する2種の基礎的バイシストロン性ベクターの構築によって得られた。
【0032】
構築されたプラスミドのすべては、細菌細胞当たり多数のプラスミドコピーの生産のために複製起点ColE1を含有し、そして細菌系(例えば、E.コリ)における適当な選択のために使用されるアンピシリン耐性の内因性遺伝子をカナマイシン耐性の遺伝子により置換することによって改変されたベクターpUC19の骨格に基づいている。
【0033】
アンピシリンはβ−ラクタム系抗生物質に対する耐性を与えることができ、それがプラスミドDNAの混入物として痕跡に存在した場合、感受性の個人においてアナフィラキシーショックを誘起するので、アンピシリン耐性を使用する選択系に基づいている文献に通常記載されるベクターは、ヒトの遺伝子治療における使用について、国際的規制当局(FDAおよびWHO)によっては実際には受け入れられないであろう。
【0034】
それ故、本発明のベクターは、カナマイシン耐性をコードする遺伝子の存在、および構築物の発現レベルにおいて可能性のある悪影響を防ぐために除去された細菌起源の他の配列の不在を特徴とする。
【0035】
第1のバイシストロン性プラスミドPl−190を構築するために、PCRによる増幅によって得られた種々の転写要素が、基礎ベクターpUC19の配列中に存在するクローニング部位において連結され(図1)、一方、バイシストロン性ベクターPl−178の転写要素のすべては、ベクターpUC19のクローニング領域(ポリリンカー)の下流約200ヌクレオチドに位置するpUC19の制限部位FspIにおいてクローン化された(図2)。これは2つの理由:第1に、プラスミドPl−190中に直接Pl−178の完全な転写カセットをクローン化してPl−250と呼ばれるテトラシストロン性ベクターを生成できるため(図3)、そして第2に、RNAポリメラーゼIIが、第1の転写単位に存在する終結シグナルの後で確実に停止するよう2つの単位間に約200ヌクレオチドの距離を作成するために実施された。
【0036】
トリシストロン性ベクターPl−249は、制限酵素による消化によってベクターPl−250からHCV−IRES配列を除去し、そしてPacIおよびStuI制限部位を付加することによって得られた。
【0037】
また、減衰部位(pause site)が、2つの転写単位間の干渉の可能性を除去するために第1の転写単位の下流にクローン化された。減衰部位が強力なポリアデニル化シグナルの直接下流に置かれる場合、有意なレベルの転写終結が達成されるということが実際に示されていた(Levitt N.,et al.”A pause site for RNA polymerase II is associated with termination of transcription”,EMBO.J.10,7,1833−1842)。RNAポリメラーゼIIによる転写の終結における機能的減衰部位の必要条件は数種の遺伝子:ヒトα2グロビン、後期アデノウイルスメジャー(major)および後期ポリオーマウイルスにおいて示された(Adami G.et al,EMBO J.1998,7,2107−2116 ”The slowing down or pausing of the elongation RNA polymerase beyond the 3’processing signals of the gene is a key component of the termination process”;Eggermont J.,Proudfoot N,J.,”Poly(A) signals and transcriptional pause sites combine to prevent interference between RNA polymerase II promoters”.1993 EMBO J.12(6):2539−2548)。
【0038】
前述の構築物では、ヒトα2グロビン遺伝子の減衰部位が使用された;これはAに非常に富む92bpの領域であると報告されており、そしてほとんど完全な反復配列(CAを特徴とし、これは強力な下流プロセッシングシグナルがRNAポリメラーゼによって達せられる速度を低下させるために方向依存様式において作用する。減衰部位の3’側半分はタンパク質に対する明瞭な結合部位をもたず、またそれは有意に安定なRNA構造中にたたみ込まれることもない(Moreira A.et al.,”Upstream sequence elements enhance poly(A) site efficiency of the C2 complement gene and are phylogenetically conserved”,EMBO.J.1995.14(15):3809−3819)。
【0039】
92bpの領域が有効なポリアデニル化部位の3‘に配置された場合、転写における減衰のみならずまた減衰部位後の有意なレベルの終結も起こさないことが可能である。この領域は転写終結を容易にするためにポリアデニル化部位と相互作用するようである。
【0040】
2つの転写単位を構築するためには、種々の転写要素、例えば強力なウイルスプロモーター(p/eCMVおよびpRSV)、イントロン配列(CMV−イントロンAおよびr−β−グロビンイントロン)、ポリアデニル化部位およびIRES要素が使用された。使用したプロモーターおよび終結シグナルは、いかなる転写干渉の可能性をも除去するために異なる起源のものであった。
【0041】
哺乳動物における発現のための市販ベクターのほとんどは、病原性ウイルスに由来するプロモーターを担持している。これらの要素はウイルスに由来するけれども、多数の哺乳動物組織において転写を開始するそれらの良好な能力のために、それらは遺伝子治療プロトコールにおける使用および遺伝的免疫化のための非常に有用な要素になった。サイトメガロウイルス(p/eCMV)のプロモーター/エンハンサーおよびラウス肉腫ウイルス(pRSV)のプロモーターは2種の非常に強力なウイルスプロモーターであり、そしてそれらは種々の細胞種で強力な構成的発現を誘導するので、もっとも普通に使用されるプロモーターである。2種のプロモーターは類似の強さを示し、そして同じベクター中で使用される場合、2種以上の遺伝子の同時発現を可能にし、発現における差異を防ぐ。
【0042】
タンパク質の発現のためにイントロン配列の使用によって達成される有利な効果に関して、それらがイン・ビトロでの異種遺伝子の発現を増進することが示されている(Chapman et al.,”Effect of intron A from human cytomegalovirus(Towne) immediate−early gene on heterologous expression in mammalian cells”,1991.NAR 19(14):3979−3986)。転写発現におけるそれらの効果は、基本的に、RNAのポリアデニル化の速度の増加およびRNAのスプライシングに関わる核移送に関連している。さらにまた、イントロン配列は抗原発現にも重要な影響を有し、そして種々のトランスフェクション系において遺伝子発現を増進することが示されている。イントロンAおよびウサギβ−グロビンイントロンのタンパク質発現に及ぼすポジティブ効果は、プロモーター/エンハンサー活性による上流要素の調節、または安定なmRNAのプロセッシングへの寄与によるものであろう(Huang M.T.and Gorman C.M.”Interventing sequences increase efficiency of RNA 3’processing and accumulation of cytoplasmic RNA”.1990.NAR.18:937−946)。正確な、そして有効な転写終結に必要であるその他の重要な要素は、ポリアデニル化部位によって構成される。ポリアデニル化は、安定なmRNAの生産のため、ならびに使用される種々のターミネーターにより変えることができるmRNA翻訳効率を増強するために必須のプロセスである。さらにまた、転写開始割合が強力なプロモーター/エンハンサー要素の使用により増大される場合には、転写終結プロセスが転写効率の制限因子になるかもしれない(Jackson R.J.and Standart.”Do the poly(A) tail and 3’ untranslated region control mRNA translation?”.Cell.1990;62:15−24)。SV40の後期ポリアデニル化シグナルは非常に効率的であり、そしてRNAの安定性およびレベルを初期ポリASV40シグナルよりも約5倍以上増大する(Carewell S.and Alwine J.C.”Efficiency of utlization of the simian virus 40 late polyadenilation site:effcts of upstream sequences”.1989.Molecular and Cellular Biology.9:4248−4258)。既述のプラスミドにおいて、このポリアデニル化シグナルは、クローニング部位の丁度下流に置かれたので有効なポリアデニル化シグナルを有しないクローン化遺伝子の効率的なプロセッシングを可能にした。
【0043】
本発明のベクターにおいて使用される他のポリアデニル化部位は、ウシ成長ホルモン(BGH)由来のターミネーターであり、これは必須のポリアデニル化シグナルおよび下流の終結要素を含有するが、それはまたウサギβ−グロビン遺伝子(mRGB)由来のターミネーターであってもよい(Levitt et al.,”Definition of an efficient synthetic poly(A) site”.1989,Genes and Dev.3:1019−1025)。これらの最適化した転写ターミネーターの存在は、他のターミネーターに比較してタンパク質発現を増大することが示された(Hartikka J.et al.”An improved plasmid DNA expression vector for direct injection into skeletal muscle” Human Gene Therapy 1996/7:1205−1217)。
【0044】
本発明にしたがって構築されたプラスミドベクターのファミリーの独特な特徴は、2種の異なるIRESウイルス配列、EMCV−IRESおよびHCV−IRESの存在であり、これらはバイシストロン性mRNAにおける第2のシストロンの翻訳を引き起こすために使用される。
【0045】
内部リボソームエントリー部位(IRES)は、トランスに作用する細胞因子の助けによりmRNA中に存在する内部開始コドンおいて小リボソームサブユニットを用いてシスに作用する要素である。この領域は、第1のシストロンの翻訳を調節するCAP−依存性翻訳機構に影響することなくリーディングコードの効率的翻訳のイニシエーターとして機能できる。また、2つのプロセスのメカニズムは異なる細胞因子の使用とは明らかに異なる。
【0046】
IRES要素は、リボソームの集合とそれらのスキャニングを触媒する特定の二次構造をとることができる。若干の哺乳動物遺伝子はIRES要素を含有して、正常な発生の特殊な段階において、または翻訳が感染の結果として抑圧される場合に翻訳を確保する(Birnstiel M.L.et al.,”Transcription termination and 3’processing:the end is in site.”1985 Cell.4:349−359)。病原性ウイルスはしばしば、宿主の細胞翻訳手段をウイルスの複製の方向に変えて、宿主のCAP−依存性翻訳機構を破壊し、そしてIRES−媒介様式においてそれらの転写を翻訳する。これらのウイルスのメッセンジャーのほとんどはモノシストロン性であるけれども、それらのIRES要素は人為的な真核生物オペロンを組み立てるために使用することができ、このオペロンでは慣例の第1のシストロンがCAP−依存性機構において翻訳され、そして続くシストロンがCAP−非依存性翻訳開始機構にしたがって翻訳される(Fussenegger M.et al.”regulated multicistronic expression technology for mammalian metabolic engineering”.Cytotechnology 1998.28:111−125)。
【0047】
RNA翻訳の内部開始を促進するIRES要素の能力は、真核細胞におけるポリシストロン性転写単位による2種以上のタンパク質の発現を可能にした(Borman A.M.et al.,”Comparison of picornaviral IRES−driven internal initiation of translation in cultured cells of different origins”NAR.1997.25(5):925−932);ほとんどの場合には、第2の遺伝子の発現効率が増大される(Gallardo H.F.et al.”The internal ribosome entry site of the encephalomyelitis virus enables reliable co−expression of two transgenes in human primary T lymphocytes”.Gene Therapy.1997.4:1115−1119)。
【0048】
脳心筋炎ウイルス(EMCV)では、一般分類にしたがってピコルナウイルスII型IRESに包含されているIRES領域は、5’における非翻訳領域の約450〜600ヌクレオチドからなり、そして保存UUUCモチーフからなる25ヌクレオチドの要素、それに続くピリミジンに富むより可変性の部分とGに乏しいスペーサー、および最後に、実際のリボソームエントリー部位であると考えられるAUGトリプレットを含有する3’において終結する。この領域の存在は、それが単一のメッセンジャーによって2個のORFの翻訳を可能にするので、バイシストロン性ベクターの作成を容易にする(Jang S.K.et al.,”A segment of the 5’non−translated region of encephalomyocarditis virus RNA directs internal entry of ribosomes during in vitro translation”.J.of Virology 1998.62(8):2636−2643)。
【0049】
C型肝炎ウイルス(HCV)のIRES配列は、内部翻訳開始を導くための最良の候補として記述されているENCVおよびFMDVのIRESのようなII型IRESと同様に挙動する。この領域は、非翻訳領域の大部分を伴う内部リボソームエントリー部位(IRES)を用いてHCVのポリタンパク質の翻訳を開始できることが知られている。HCVのIRES配列は、このセグメントの一次配列とRNAの二次および三次構造の複合体を形成するその能力の両者に大きく依存する;この領域には、主要なHCVウイルス遺伝子型は、翻訳を開始するためには使用されない5AUGコドンを保持する。
【0050】
種々の研究は、HCVのIRESが霊長類に由来しない細胞系を含む試験された細胞系のすべてにおいて翻訳開始を導くことを示している。さらにまた、他のII型IRESにおいて示されるように、HCVのIRESはイン・ビトロよりもイン・ビボにおいて一層効率的である。最小のHCV−IRES配列はまだ議論の余地がある(Fukushi S.et al.,”Complete 5’non coding region is necessary for the efficient internal initiation of hepatitis C virus RNA” BERC.1994.199(2):425−432;Tsukiyama−Kohara K.et al.”Internal ribosome entry site within hepatitis C virus RNA”.J. of Virology.1992.66(3):1476−1483)。種々の研究は、HCVゲノムのほぼヌクレオチド44から354まで伸長するIRES配列を記述している。本発明者らは、それが最小の機能領域であることが示されたので、ヌクレオチド109〜341(ウイルス遺伝子型1bの230bp)を包含するヌクレオチド配列を使用することを選んだ(Collier A.J.et al.”Translation efficiencies of the 5’ untranslated region from representatives of the six major genotypes of hepatitis C virus using a novel bicistronic reporter assay system”.1998.Journal of General Virology.79:2359−2366)。
【0051】
短いIRESセグメントの使用は、それが治療遺伝子の挿入のための空間の大きさを増加するので、バイシストロン性ベクターの構築のためには特に重要である。本発明のベクターの機能性は、CaCl法の使用によりCOS細胞をトランスフェクションし、そして両イン・ビトロとイン・ビボで容易に検出可能であるEGFPおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子をクローニングすることによってイン・ビトロで試験された。
【0052】
結論
本発明において記述した新規ベクターのファミリーは、新規な遺伝子組み合わせ物が単一ベクターにおいて作成されることを可能にする用途の広い道具を表す。単一ベクターにおいて2種以上の遺伝子を同時発現する機能は、2つの別々のベクターの使用よりも有意に効果的であり、そして有利である。ポリシストロン性ベクターのこのファミリーは、遺伝子治療、同時発現の研究、特定の細胞系における2種の遺伝子の相乗効果の解析および1種のタンパク質の2個以上のサブユニットの同時発現へのアプローチを含む分野において、多くの異なる応用を有するであろう。
【0053】
単一ベクターの使用は同時トランスフェクションの研究を単純化し、そして劇的に増加させる。何故ならば、それは遺伝子の両方を発現するためにコ・トランスフェクション株を作成し、そして2種のタンパク質について類似レベルの発現を達成するために、1回の選択段階で安定なトランスフェクション株を作成する方法において時間を節約させるからである。
【0054】
したがって、本発明で記述した新規ベクターは、種々の生物工学的応用において、特に遺伝子治療の応用、例えばがん遺伝子治療、免疫原性治療およびDNAワクチン接種のために、2種以上の遺伝子を発現するために使用することができる。これらのすべての応用において、多遺伝子性アプローチは事実、一遺伝子性アプローチを超える効率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1 ベクターPl−190の構築の図式説明
a)p/eCMV−イントロンA(1622bp)は、プライマーEP1A−1(AAAACTGCAGtgggccattgcatacgttgta;下線PstI部位、小文字=対合)およびEP1A−2(CAAACTGCAGaaaagacccatggggggaaag;下線PstI部位、小文字=対合)を用いてベクターPl−187からPCRによって増幅され、PstI制限酵素により消化され、そしてPl−62のクローニング部位のPstI部位に連結されて、プラスミドPl−93(4205bp)が生成された。
【0056】
プロモーターp/eCMVはベクターpUC19のプロモーターLacZとして同方向にクローン化された;同様のことがp/eCMVプロモーターの下流の他のクローン化フラグメントのすべてについて実施された。
【0057】
b)ECMV−IRES(631bp)は、プライマーpIRES−1(AGCGGATCCtcgagcattctagggcggaatt;下線BamHI部位、小文字=対合)およびpIRES−2(GCGGATCCtttaaatgtggcaagcttattcatcgt;下線BamHI部位、小文字=対合)を用いてpIRES(Invitrogen)から増幅され、BamHI制限酵素により消化され、そしてPl−93のBamHI部位に連結されて、ベクターPl−137(4829bp)が生成された。
【0058】
c)ポリA−SV40フラグメント(430bp)は、プライマーポリ−2A(TC GTACGcagacatgataagatacattg;下線BsIWI部位、小文字=対合)およびポリ−3A(ATCCGCTAGCaccggtcatggctgcgc;下線NheI部位、小文字=対合)を用いてベクターpREP4(Invitrogen)からPCRによって増幅され、予めEcoRIで消化され、そしてクレノウ修飾酵素で処理されたPl−137ベクターに連結された。このクローニングはベクターPl−163(5242bp)をもたらした。BsIWIおよびNheI制限部位が、続いてのクローニング段階を容易にするためにプライマー中に導入された。
【0059】
d)減衰部位フラグメント(98bp)は、プライマーPLS−1(CTAGCTAGCaacatacgctctcc;下線NheI部位、小文字=対合)およびPLS−2(TCAGCTAGCagagaaatgttctggcac;下線NheI部位、小文字=対合)を用いてベクターP−GEM−P(Baseclear,BH Leiden,The Netherlandsから合成で得られた)から増幅され、予めNheIで消化されたベクターPl−163に連結された。このクローニングはプラスミドPl−190(5340bp)をもたらした。
【0060】
得られたベクターのすべては、制限および配列解析によってチェックされた。
MCS=多重クローニング部位。MCS1=SalI、XhoI;MCS2=BsIWI。
【0061】
図2a/b ベクターPl−178の構築の図式説明
a)プラスミドPl−178の構築のために、すべてのフラグメントがPCRによって増幅されて、ベクターPl−62中にフラグメントを組み込むための特異的制限部位が作成され、そしてまた、続くクローニング段階のための新しい独特のクローニング部位が作成された。
【0062】
ウサギβ−グロビンイントロン(700bp)は、プライマーイントロン−1(ATGGCGGCCGATATCatccgtcgaggaattcttt;下線KasI部位、下線EcoRV部位、小文字=対合)およびイントロン−2(ATTCCATATGCTAGCtcgatcgaccgatcctgaga;下線NdeI部位、下線NheI部位、小文字=対合)を用いてベクターPl−79から増幅され、そして予めNdeIおよびKasI制限酵素により消化されたベクターPl−62に連結された。このクローニングはベクターPl−140(3230bp)をもたらした。EcoRVおよびNheI制限部位は続くクローニング段階を容易にするために導入された。
【0063】
b)pRSV(623bp)は、プライマーpRSV−1(CATGCTAGCtacccagcttggaggtgca;下線NheI部位、小文字=対合)およびpRSV−2(ATTCATATGttgacagcttatcatcgcag;下線NdeI部位、小文字=対合)を用いてベクターpREP−4(Invitrogen)から増幅され、NdeIおよびNheIで消化され、そしてPl−140のNdeIおよびNheI部位に連結されて、ベクターPl−154(3859bp)が作成された。
【0064】
c)プラスミドPl−165の構築のために、HCV−IRES領域(260bp)(Baseclear,B.H.Leiden,The Netherlandsにより合成で製造された)をコードしているフラグメントが、ベクターpGEM+HCV−IRESから酵素BglIおよびEcoRVを用いる制限消化によって切断され、そしてプラスミドPl−154のBglIおよびEcoRV部位に連結されて、ベクターPl−165(4110bp)が生成された。
【0065】
d)BGHフラグメント(390bp)は、プライマーmRGB−1(ATAGCCA TTCAGGCtggatccagatctacttc;下線BglI部位、小文字=対合)およびmRGB−2(GACTTGCGCAtcctatgaatttctctccattac;下線FspI部位、小文字=対合)を用いてベクターPl−187から増幅され、BglIおよびFspIで消化され、Pl−165のBglIおよびFspI部位に連結されて、ベクターPl−178(4500bp)が生成された。
得られたベクターのすべては、制限および配列解析によってチェックされた。MCS=多重クローニング部位。MCS3=EcoRV、BstBI;MCS4=NotI、BglI(BglI制限部位はテトラシストロン性ベクター中のユニーク部位ではない)。
【0066】
図3 マルチシストロン性ベクターの構築
4遺伝子を潜在的に発現することができるプラスミドPl−150の構築では、ベクターPl−178がFspIおよびNdeIにより消化され、クレノウで処理され、そしてPl−190のFspI部位にクローン化されて、最終プラスミドPl−250が生成された。
【0067】
3遺伝子を潜在的に発現することができるプラスミドPl−249の構築では、HCV−IRES配列が酵素EcoRV−NotIを用いる制限処理によってベクターPl−250から除去され、そしてPacIおよびStuI制限部位が付加された。

Claims (23)

  1. 読み取り段階において、プロモーター/エンハンサー配列、イントロン配列、クローニング部位、ウイルスIRES配列、クローニング部位およびチェーンターミネーターを含んでなる少なくと1個の真核生物発現カセットを含有する、少なくとも2種の同じか異なる関心のあるタンパク質の発現のために使用できるマルチシストロン性組み換えプラスミドベクター。
  2. チェーンターミネーターの下流に配置された転写減衰部位(transcription pause site)を含有する、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  3. IRES配列が脳心筋炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスに由来することを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  4. プロモーター/エンハンサー配列がp/eCMVまたはpRSVであることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  5. イントロン配列がCMV−イントロンAまたはウサギβ−グロビンイントロンであることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  6. プロモーター/エンハンサー配列およびイントロン配列が互いに融合されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  7. チェーンターミネーターがポリA−SV40、BGHおよびmRGBから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  8. 減衰部位がヒトα2グロビン遺伝子であることを特徴とする、請求項2に記載のプラスミドベクター。
  9. 2個の発現カセットが存在することを特徴とする、請求項1〜6に記載のプラスミドベクター。
  10. 2種のIRES配列が異なるウイルス起源のものであることを特徴とする、請求項7に記載のプラスミドベクター。
  11. 1個のカセットが異なるウイルスゲノムに由来する2種のIRES配列を含有することを特徴とする、請求項8に記載のプラスミドベクター。
  12. 1つのカセットが脳心筋炎ウイルスに由来するIRES配列を含有し、そして他のカセットがC型肝炎ウイルスに由来するIRES配列を含有することを特徴とする、請求項9に記載のプラスミドベクター。
  13. 1つのカセットがプロモーター/エンハンサー配列p/eCMVを含有し、そして他のカセットがプロモーター/エンハンサー配列pRSVを含有することを特徴とする、請求項7に記載のプラスミドベクター。
  14. 1つのカセットがイントロン配列CMV−イントロンAを含有し、そして他のカセットがウサギβ−グロビンイントロンを含有することを特徴とする、請求項7に記載のプラスミドベクター。
  15. 1つのカセットがイントロン配列hCMV−イントロンAに融合したプロモーター/エンハンサー配列pCMVおよび脳心筋炎ウイルスに由来するIRES配列を含有し、そして他のカセットがプロモーター/エンハンサー配列pRSV、ウサギβ−グロビンイントロンおよびC型肝炎ウイルスに由来するIRES配列を含有することを特徴とする、請求項7〜12に記載のプラスミドベクター。
  16. 1つのカセットがターミネーターポリA−SV40の配列を含有し、そして他のカセットがターミネーターBGHまたはmRGBを含有することを特徴とする、請求項7〜12に記載のプラスミドベクター。
  17. クローニング部位がSalI、XhoI、BsiWI、NotI、BstBI、EcoRV、PacIおよびStuIから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  18. 配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4を有する、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  19. タンパク質の少なくとも1つが、レポーター遺伝子、選択可能なマーカー、抗原、または免疫調節もしくは免疫刺激活性を有するいずれかの分子であることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  20. 別個のクローニング部位において、少なくとも2種の関心のあるタンパク質をコードしている遺伝子配列を含有する、請求項1に記載のプラスミドベクター。
  21. 請求項18に記載の少なくとも1種のプラスミドベクターを含有することを特徴とする、真核宿主細胞。
  22. 請求項19にしたがって形質転換された宿主細胞の培養、および場合によってはタンパク質の回収を含んでなる、少なくとも2種の真核生物タンパク質の発現のための方法。
  23. 遺伝子導入、遺伝子治療およびDNA免疫における請求項1〜18に記載のプラスミドベクターの使用。
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