JP2005505259A - レチノイン酸関連オーファン受容体(ror)に由来するポリペプチド、およびその応用 - Google Patents

レチノイン酸関連オーファン受容体(ror)に由来するポリペプチド、およびその応用 Download PDF

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Abstract

本発明は、哺乳動物におけるレチノイン酸関連オーファン受容体(ROR)に由来するポリペプチドであって、そのN末端の先端において、ラットのRORβ、αもしくはγの第1〜209位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られており、かつ、そのC末端の先端において、ラットのRORβ、αもしくはγの第450〜452位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られていることを特徴とするポリペプチドに関する。本発明は、これらポリペプチド、分子複合体またはそれらを含む結晶の使用であって、アゴニストであるROR−LBDリガンドもしくは上記受容体のアンタゴニストのスクリーニング方法、または上記ポリペプチド、分子複合体もしくは結晶と特定の化合物とで形成される複合体の三次元構造の分析方法を実施するための使用にも関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、非常に大量の所望のタンパク質を産生するばかりでなく、偽リガンドをも与え得る異種発現系を用いることによって、オーファン受容体から結晶構造を得ることである。この予期しない分子の存在は、付随してコアクチベーターのペプチドを加えることによって、活性アゴニストのコンホメーションを安定化するのに重要である。これら2種類の要素は、他の不活性のいかなる代替となるコンホメーションも回避する。
【0002】
本方法は、コアクチベーターペプチドと予期しない脂肪酸リガンドとを複合させた、脳に特異的なレチノイン酸関連オーファン受容体のリガンド結合ドメイン(RORβ−LBD)の結晶によって明示される。本発明は、生理学的リガンドを見出すためか、または合成類似体をスクリーニングするために、タンパク質を生成する、DNA配列または由来する構成体を用いる方法にも関する。本発明は、RORβに結合するリガンドをデザインしかつ選別する方法、およびそのようなリガンドを用いる方法にも関する。それは、RORβと相互作用する他のタンパク質を特定するために、RORβのDNA配列またはそれに由来する配列の使用にも関する。明らかに、本発明の目的は、類似もしくは相同タンパク質またはタンパク質複合体の構造を用いることにでもあり、特にこれらすべての請求項は、2個のアイソタイプ、すなわちRORαおよびγにも該当する。
【背景技術】
【0003】
オーファンレチノイン酸関連オーファン受容体β(RORβ)は、レチノイドZ受容体β(RZRβ)(NR1F2)とも呼ばれて、核内受容体(NR)スーパーファミリーに属し、中枢神経系部域で発現される。核内受容体のリガンド依存性活性は、それらを多くの治療分野におけるドラッグデザインの明白な標的にさせている。しかし、オーファン受容体の場合、リガンドは未知であり、リガンドの存在さえ証明されていない。RORβは、レチノイン酸に結合することが全く示されなかった。RORβは、生産物が感覚入力統合の流れはもとより、生物時計の流れにも役割を果たす、遺伝子を調節する。RORβ−/−マウスの行動上の表現型が観察され、それは、vacillansと呼ばれるマウスの自発的な突然変異について、40年以上前に記載された表現型[Sirlin, 1956]に類似するように思われる。これらのマウスは、アヒルのような歩行様式、雄の生殖の一過性の不能、および出生後に起こる変性を被る重度に組織崩壊した網膜を示す。
【0004】
他の2種類のこれに近い核内受容体は、RORαおよびRORγである。RORαは、RORβと61%の同一性および74%の類似性を示す。RORαは、かなり普遍的に発現され[Becker-Andre et al., 1993]、小脳の発生および免疫応答に重要な役割を果たすことが立証されている[Matysiak-Scholze & Nehls, 1997;Koibuchi & Chin, 1998]。「Staggerer」マウスは、リガンド結合ドメインの翻訳を妨げる欠失をRORα遺伝子内に有することが見出された。それは、プルキンエ細胞の発生における欠陥に関連する、重篤な小脳性運動失調を示す。免疫系の一定の機能も影響を受ける[Hamilton et al., 1996]。
【0005】
免疫系の一定の機能も影響を受ける[Hamilton et al., 1996]。RORαは、筋発生の際にも構成的に発現される[Lau et al., 1999]。
【0006】
RORγの発現は、主として、骨格筋に見出され[Hirose, et al., 1994]、脂肪細胞分化の中期に誘導される[Kurebayashi, S. & Hirose, T., 1998]。
【0007】
核内受容体ファミリーのその他の成員と同様に、RORβは、DNA結合ドメイン(DBD)、およびリガンド結合部位を含む250残基のリガンド結合ドメイン(LBD)を包含する、いくつかの機能性ドメインを有し、リガンド結合機能の切換えを担当する。
【0008】
RORβに対するリガンドを発見するのに要する時間を短縮するための方法および構成を考え出すこと、そのような化合物を合成することならびにそのような化合物を生物に投与してRORβ受容体またはそのアイソタイプのαもしくはγのいずれかにより調節される生理学的過程を調整することは、有利であると思われる。
【0009】
アゴニスト結合コンホメーションでの任意のオーファン受容体のこれまで報告された結晶は皆無である。USP、すなわちRXRの昆虫のオルソログ(ortholog)の構造は最近刊行された。RXRは、9c−RAに結合するが、USPは、このリガンドに結合できず、依然として、オーファン受容体と見なさなければならない。幼若ホルモンがUSPの天然リガンドであると提唱されているが、事柄は、依然として論争を呼んでいる。にもかかわらず、USPのLBD構造は、アンタゴニストのようなコンホメーションをなす。本発明者らは、アゴニスト結合コンホメーションでのオーファン受容体リガンド結合ドメイン(RORβ−LBD)の最初の結晶構造を見い出し、これが核内受容体の転写活性形態を表すことを報告した。
【0010】
発明の要約
本発明は、哺乳動物におけるレチノイン酸関連オーファン受容体(ROR)に由来するポリペプチドであって、少なくともそのN末端の先端においてH1ヘリックスの最初のアミノ酸によって区切られており、そのC末端の先端においてH12ヘリックスの最後のアミノ酸によって区切られている、アミノ酸配列を含むことを特徴とするポリペプチドに関する。
【0011】
本発明は、より詳細には、哺乳動物におけるレチノイン酸関連オーファン受容体(ROR)に由来するポリペプチドであって、そのN末端の先端において、図3に示したとおり、ラット、ヒトもしくはマウスのRORβ、αもしくはγの第1〜209位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られており、かつそのC末端の先端において、図3に示したとおり、ラット、ヒトもしくはマウスのRORβ、αもしくはγの第450〜452位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られていることを特徴とするポリペプチドに関する。
【0012】
本発明は、より詳細には、そのN末端の先端において、図3に示したとおり、ヒトもしくはラットの核内受容体RORβの第1〜209位に位置するアミノ酸によってか、または図3に示したとおり、他のサブタイプ、例えばRORαおよびRORγの、および/もしくは他の哺乳動物の、核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られており、かつそのC末端の先端において、図3に示したとおり、ヒトもしくはラットの核内受容体RORβの第450〜452位に位置するアミノ酸によってか、または他のサブタイプ、例えばRORαおよびRORγの、および/もしくは他の哺乳動物の、核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られていることを特徴とするポリペプチドに関する。
【0013】
本発明は、哺乳動物におけるレチノイン酸関連オーファン受容体(ROR)に由来するポリペプチドであって、そのN末端の先端において、図3に示したとおり、ヒトもしくはラットの核内受容体RORβの第209位に位置するメチオニンによってか、または他のサブタイプ、例えばRORαおよびRORγの、および/もしくは他の哺乳動物の、核内受容体RORの対応する位置にある、メチオニン、もしくはロイシンのような別のアミノ酸によって区切られており、かつそのC末端の先端において、図3に示したとおり、ヒトもしくはラットの核内受容体RORβの第450位に位置するフェニルアラニンによってか、または他のサブタイプ、例えばRORαおよびRORγの、および/もしくは他の哺乳動物の、核内受容体RORの対応する位置にあるフェニルアラニンもしくは別のアミノ酸によって区切られていることを特徴とするポリペプチドにも関する。
【0014】
有利には、本発明による上記に定義されたとおりのポリペプチドは、上記受容体の配列のN末端部分の初めの少なくとも約100〜200個のアミノ酸が欠失していることを特徴とする。
【0015】
上記に定義された本発明によるポリペプチドは、より詳細には、上記受容体のリガンド結合ドメイン、すなわちLBDの結合特性が維持されている、核内受容体RORに由来するポリペプチドであることを特徴とする。
【0016】
本発明は、より詳細には、哺乳動物、例えばヒトまたはラットの核内受容体RORβに由来するポリペプチドであって、この由来するポリペプチドが、上記に定義されたとおりのポリペプチド、例えば図3に示されるラットまたはヒトのRORβの配列の第201〜459位に位置するアミノ酸によって区切られたポリペプチドを含み、上記ポリペプチドが、図3に示したとおり、上記核内受容体RORβのアミノ酸配列の第454もしくは458位のシステインの少なくとも一つが、欠失しているか、または天然のものであるなしを問わず、別のアミノ酸、例えばアラニンもしくはセリンで置換されていることを特徴とする、ポリペプチドに関する。
【0017】
本発明は、より詳細には、上記に定義されたとおりのポリペプチドであって、
上記受容体の第1〜200位のアミノ酸によって区切られるN末端配列が欠失しており、
かつ図3に示されるヒトまたはラットの核内受容体RORβの第450位のアミノ酸からか、あるいは例えば図3に示したとおり、他のサブタイプの核内受容体ROR、例えばRORαおよびRORγの、および/または他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸から、より好ましくは第451、452または453位のアミノ酸から始まるC末端配列が、欠失している
ことを特徴とするポリペプチドに関する。
【0018】
本発明は、より詳細には、上記に定義されたとおりのポリペプチドであって、そのN末端の先端において、図3に示されたROR配列の第201〜209位の一つに位置するアミノ酸によって区切られており、かつそのC末端の先端において、図3に示されたROR配列の第451または452位の一つに位置するアミノ酸によって区切られている、哺乳動物のROR、より詳細にはラット、ヒトまたはマウスのRORβ、αまたはγのフラグメントに対応することを特徴とするポリペプチドに関する。
【0019】
本発明は、より詳細には、
・図3に示され、配列番号2に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号3に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号4に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号5に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号6に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号7に対応するマウスRORαの配列
の第209〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
【0020】
・図3に示され、配列番号8に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号9に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号10に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号11に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号12に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号13に対応するマウスRORαの配列
の第208〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
【0021】
・図3に示され、配列番号14に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号15に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号16に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号17に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号18に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号19に対応するマウスRORαの配列
の第208〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
【0022】
・図3に示され、配列番号20に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号21に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号22に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号23に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号24に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号25に対応するマウスRORαの配列
の第209〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
【0023】
・図3に示され、配列番号26に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号27に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号28に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号29に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号30に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号31に対応するマウスRORαの配列
の第201〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
【0024】
・図3に示され、配列番号32に対応するラットRORβの配列、
・図3に示され、配列番号33に対応するヒトRORβの配列、
・図3に示され、配列番号34に対応するヒトRORγの配列、
・図3に示され、配列番号35に対応するマウスRORγの配列、
・図3に示され、配列番号36に対応するヒトRORαの配列、
・図3に示され、配列番号37に対応するマウスRORαの配列
の第201〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
のうちから選ばれる、上記に定義されたとおりのポリペプチドに関する。
【0025】
本発明による上記に定義されたとおりのポリペプチドは、より詳細には、下記の特性:
リガンドに結合し、受容体RORのLBDをトランス活性化する特性を有すること、
水性溶媒に可溶性であること、
特に懸滴蒸気拡散法によって、より詳細には約4℃で、水性溶媒中で晶出できること、を特徴とするか、または
上記のものから、例えば1個または数個のアミノ酸の抑制、付加または置換によって誘導される、上記の特性を有するポリペプチドまたはペプチド配列であることを特徴とする。
【0026】
本発明は、上記に定義されたとおりのポリペプチドを含む分子複合体であって、該ペプチドが、
アゴニストであるROR−LBDリガンド、例えばステアリン酸、またはROR−LBDのアンタゴニスト、例えばレチノイン酸と会合しているか、ならびに/あるいは
約15〜20個のアミノ酸の配列を有し、コアクチベーターモチーフLXXLLまたはコリプレッサーモチーフ(I/L)XX(V/I)IもしくはLXX(H/I)IXXX(I/L)(ここで、Xは、天然のものであるなしを問わず、あらゆるアミノ酸を表す)を含むコペプチド、例えば転写のコアクチベーターのフラグメントの中から、特にp160ファミリーのフラグメント、より詳細にはコアクチベーターSRC1のフラグメント、例えばSRC1のフラグメント686〜700の中から、または転写のコリプレッサーの中から選ばれるコペプチドと会合している、分子複合体にも関する。
【0027】
本発明は、上記に定義されたとおりのポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列にも関する。
【0028】
本発明は、上記に定義されたとおりのヌクレオチド配列であって、この配列の転写に必要な要素、特に転写のプロモーターおよびターミネーターに結合する配列にも関する。
【0029】
本発明は、上記に定義されたとおりのヌクレオチド配列を含む、ベクター、特にプラスミドにも関する。
【0030】
本発明は、上記に定義されたとおりのベクターで形質転換された、宿主細胞、例えば大腸菌にも関する。
【0031】
本発明は、上記に定義されたとおりのポリペプチドまたは分子複合体を得る方法であって、
上記に定義されたとおりのベクターを用いて、上記に定義されたとおりのヌクレオチド配列で宿主細胞を形質転換する工程と、
こうして得られた、上記に定義されたとおりの形質転換された宿主細胞を、適切な培地中で培養する工程と、
得られた組換えポリペプチドまたは分子複合体を回収し、必要ならば精製する工程と
を含むことを特徴とする方法にも関する。
【0032】
本発明は、上記によるポリペプチドまたは上記に定義されたとおりの分子複合体を含む、結晶にも関する。
【0033】
有利には、上記に定義されたとおりの結晶が、少なくとも3オングストロームの分解能まで回折させ、その単位胞寸法(unit cell dimension)の5%以内の結晶安定度を有することを特徴とする。
【0034】
上記に定義されたとおりの好適な結晶は、ROR−LBDが、オングストロームで下記の単位胞寸法:a=52.302Å、b=58.490Åおよびc=106.036Å、α=β=χ=90°、ならびに斜方晶系空間群P212121を有するそのようなものである。
【0035】
本発明は、例えば、上記に記載された方法であって、上記に定義されたとおりのポリペプチドまたは分子複合体を、水性溶媒中で、特に4℃で懸滴蒸気拡散法によって晶出させる工程を含む方法を実施することによって得られる、上記に定義されたとおりの結晶にも関する。
【0036】
本発明は、上記に定義されたとおりの、ポリペプチド、分子複合体または結晶の使用であって、
アゴニストであるROR−LBDリガンドもしくは上記受容体のアンタゴニストのスクリーニングのためか、または受容体の構造を摂動させ、コファクター(コアクチベーターおよびコリプレッサー)の動員およびその結果の遺伝子調節に効果を有するリガンドのスクリーニングのための方法、あるいは
上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、特定の化合物とで形成される複合体の三次元構造の分析のための方法
を実施するための使用にも関する。
【0037】
本発明は、より詳細には、中枢神経系、網膜組織、感覚信号の統合、運動能力および不妊に関連する病理の処置の体制に有用である、RORのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物のスクリーニングのための、上記の使用に関する。
【0038】
本発明は、アゴニストであるROR−LBDリガンド、または上記受容体のアンタゴニストをスクリーニングするための方法であって、下記の工程:
上記に定義されたとおりの、ポリペプチド、分子複合体または結晶を、有利には固体支持体に結合させて、ROR−LBDリガンドになりやすい特定の化合物に接触させる工程(好ましくは、上記ポリペプチド、分子複合体、結晶または試験されたリガンドは、例えば蛍光性、放射性または酵素性の標識で標識されている)と、
上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、試験されたリガンドとの間の可能な会合を、使用済み標識を特に先行工程で用いた支持体を洗浄した後に測定することにより、または変性させない条件下での質量分析法により検出する工程と
を含む方法にも関する。
【0039】
本発明は、上記に定義されたとおりの、ポリペプチド、分子複合体または結晶と、ROR−LBDリガンドになりやすい特定の化合物とで形成された複合体の三次元構造を分析する方法であって、下記の工程:
上記ポリペプチド、分子複合体または結晶を、上記特定の化合物に接触させる工程と、
上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、試験されたリガンドとの間に形成された複合体を、特に蒸気拡散法を用いて晶出させ、特に分子置換法を用いて、上記複合体を三次元的に分析する工程、あるいは
可溶性状態の上記複合体を、NMRなどの適切な方法を用いることによって、三次元的に分析する工程と
を含む方法にも関する。
【0040】
本発明は、リガンドとコアクチベーターペプチドとに結合したRORβ−LBD、すなわちRORβ−LBD/リガンド/ペプチド複合体の結晶を提供する。このリガンドはステアリン酸である。
【0041】
この結晶は、1.9Åの分解能まで回折させる。RORβ−LBDの結晶は、好ましくは、少なくとも243個のアミノ酸を有し、好ましくは、ラットRORβのアミノ酸配列の第208〜451位を含む。本発明は、RORβ−LBD/リガンド/ペプチド複合体の構造座標(structure coordinates)も提供する。完全な座標を表Aに列挙する。
【0042】
リガンドがレチノイン酸である、リガンドとコアクチベーターペプチドとに結合したRORβ−LBD、すなわちRORβ−LBD/リガンド/ペプチド複合体の結晶の完全な座標を表Bに列挙する。
【0043】
本発明は、RORβ−LBDに構造的に類似する少なくともいくつかの特徴を有する、分子または分子複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定する方法も提供する。これらの分子または分子複合体は、表AによるRORβ−LBDのアミノ酸Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446、またはその突然変異種もしくは相同体の構造座標によって規定されるリガンド結合部位の少なくとも一部を含むのが好ましい。
【0044】
本発明は、表Aに含まれる座標のコンピューター可読形態を包含するコンピューターも提供する。
【0045】
本発明は、さらに、RORβ−LBDアゴニストまたはアンタゴニストのリガンドに対するRORβ−LBD内の結合部位、ならびに本明細書に開示された結晶構造に関する情報を用いて、RORのアゴニスト、アンタゴニストおよび/または選択的RORβ受容体モジュレーター(SRORM)をデザインまたは選別する方法も提供する。
【0046】
本発明は、アゴニストおよびアンタゴニストの発見に重要な、リガンド結合ポケットの決定を可能にする、オーファン受容体を結晶化するための方法も提供する。
【0047】
発明の詳細な説明
RORβリガンド結合ドメイン(RORβ−LBD)の一次結晶構造を、1.9Åの分解能まで決定した。ラットRORβ−LBDの結晶を、0.1MトリスHCl(pH=8.0)および15%PEG6000を含有する晶出溶液から成長させた。結晶からのX線回折パターンは、単位胞寸法a=52.302Å、b=58.490Åおよびc=106.036Åおよび非対称単位あたり1分子(マシューズ容積=2.57Å3Da-1)である、斜方晶系空間群P212121の対称性および系統的不在(systematic absences)を有する。構造は、レチノイン酸(RARγ−LBD)の構造を検索モデルとして用いた、分子置換の方法によって決定した。
【0048】
ステアラートとコアクチベーターペプチドとのRORβ−LBDの複合体は、アゴニストコンホメーションでのオーファン受容体へのリガンドの結合の態様を示す。
【0049】
本願を通じて、下記の略号を用いる:
A=Ala=アラニン
V=Val=バリン
L=Leu=ロイシン
I=Ile=イソロイシン
P=Pro=プロリン
F=Phe=フェニルアラニン
W=Trp=トリプトファン
M=Met=メチオニン
G=Gly=グリシン
S=Ser=セリン
T=Thr=トレオニン
C=Cys=システイン
Y=Tyr=チロシン
N=Asn=アスパラギン
Q=Gln=グルタミン
D=Asp=アスパラギン酸
E=Glu=グルタミン酸
K=Lys=リシン
R=Arg=アルギニン
H=His=ヒスチジン
【0050】
「原子型」は、座標が決定されている元素を意味する。元素は、列の最初の文字によって定義される。
【0051】
「X、Y、Z」は、各原子について決定された原子位置を結晶学的に規定する。
【0052】
「B」は、原子のその原子中心の周囲の運動を測定する熱因子である。
【0053】
「Occ」は、各原子が座標によって指定された位置を占める、分子の画分を意味する占有因子である。「1」という値は、結晶のすべての分子内で各原子が同じ配座、すなわち同じ位置を有することを示す。
【0054】
さらなる定義は、必要な場合に、本明細書中に説明する。
【0055】
本明細書に記載のRORβ受容体は、天然に産するRORβの活性を有するいかなるポリペプチドも包含するものとする。本明細書で意図されるRORβおよびRORβ−LBDは、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウマ、モルモット、ウサギ、サル、オランウータンおよびヒトなどの、すべての脊椎動物および哺乳動物の品種を包含する。そのような用語は、RORβおよびRORβ−LBDの天然に産する形態とはアミノ酸の欠失、置換および付加を有することによって異なるが、RORβおよびRORβ−LBDのそれぞれの活性を保持するポリペプチドも包含する。本発明の結晶構造は、好ましくは、表Aに列挙された座標の少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくはすべてを有する。本発明のRORβ−LBD/RORβ−LBD−リガンド/RORβ−LBD−リガンドペプチドの結晶は、好ましくは、オングストロームで下記の単位胞寸法:a=52.302Å、b=58.490Å、およびc=106.036Å、ならびに斜方晶系空間群P212121を有する。
【0056】
これは、RORβ−LBDの、アゴニストもしくは活性化物質およびアンタゴニストもしくは阻害物質の双方を包含する。
【0057】
本明細書で言及されるペプチド(例えば、RORβ、RORβ−LBDなど)は、合成による方法、例えば固相、液相および組合せ固/液相合成;場合により部位特異的突然変異誘発と組み合わせた、cDNAクローニングを包含する組換えDNA法;および/または天然に産するタンパク質のフラグメントを生成するための酵素切断法を場合により併用する、天然産物の精製を包含する、任意の周知の方法によって製造されてもよい。
【0058】
有利には、本発明により提供される晶出可能な組成物は、X線結晶学を受け入れられる。そのため、本発明は、RORβ−LBD/RORβ−LBDリガンドペプチド複合体、特にラットRORβ−LBDのステアリン酸との複合体の三次元構造も提供する。
【0059】
本発明のRORβ−LBD/リガンドの三次元構造は、表Aに記載した一組の構造座標によって規定される。用語「構造座標」(structure coordinates)は、結晶形態でのRORβ/ステアリン酸/ペプチド複合体の原子(散乱中心)による、X線の単色光束の回折で得られたパターンに関係する数学的方程式から誘導されるデカルト座標を意味する。回折データは、結晶の繰返し単位の電子密度地図を算出するのに用いられる。そうして、電子密度地図は、複合体の個々の原子の位置を画定するのに用いられる。
【0060】
当業者は、受容体もしくは受容体/リガンド、または受容体/リガンド/ペプチド複合体、あるいはそれらの一部に関する一組の構造座標は、三次元での形状を規定する相対的な一組の点であることを理解するであろう。したがって、完全に異なる一組の座標は、類似または同一の形状を規定し得ることが可能である。その上、個々の座標の僅かな変動は、形状全体に対してほとんど効果を有さないであろう。
【0061】
上記に考察した座標における変動は、構造座標の数学的操作のために発生し得る。例えば、表Aに記載した構造座標は、構造座標の結晶学的置換(crystallographic permutation)、構造座標の分割(fractionalization)、構造座標の集まりへの整数の加算もしくは減算、構造座標の反転(inversion)、または上記のいかなる組合せによっても操作することができる。
【0062】
あるいは、アミノ酸の突然変異、付加、置換および/もしくは欠失、または結晶を構成するいずれかの要素のその他の変化による、結晶構造の変更も、構造座標の変動の原因となる。そのような変動が、本来の座標に比して許容され得る標準誤差以内ならば、得られる三次元的形状は、同じであると見なされる。
【0063】
そのため、分子もしくは分子複合体またはその一部が、上記に記載されたRORβ受容体/ステアリン酸の全部もしくは一部に充分に類似し、同じであると見なされるか否かを決定するには、様々な計算による解析が必要である。そのような解析は、最新のソフトウェアアプリケーション、例えば量子の分子的類似性アプリケーション(Molecular Similarity application of Quanta)(Molecular Simulations Inc., San Diego, CA)バージョン4.1で、添付の利用者向け指針に記載されたとおりに実施してもよい。
【0064】
分子的類似性アプリケーション(Molecular Similarity application)は、異なる構造、同じ構造の異なるコンホメーション、および同じ構造の異なる部分の比較を可能にする。構造を比較するために分子的類似性に用いられる手順は、4段階、すなわち:(1)比較しようとする構造をロードすること;(2)これらの構造内の原子価を定義すること;(3)適合性演算(fitting operation)を実施すること;(4)結果を分析すること、に分けられる。
【0065】
各構造を名称によって特定する。一つの構造を標的(すなわち固定された構造)として特定し;残余の構造は、すべて、作業構造(すなわち変動する構造)である。QUANTA内の原子価は、利用者の入力によって定義されることから、本発明のためには、本発明者らは、比較される二つの構造間の保存されたすべての残基について、原子価をタンパク質の骨格原子(N、Ca、CおよびO)として定義することになる。本発明者らは、また、厳密な適合性演算(rigid fitting operation)のみを考慮するにすぎないことになる。
【0066】
厳密な適合性演算法を用いるときは、作業構造を、標的構造との最適の適合を得るように並進かつ回転させる。適合性演算は、移動中の構造に適用しようとする最適の並進および回転を、等価な原子の特定された対に対する適合の二乗平均平方根の差が絶対最小値になるように計算するアルゴリズムを用いる。オングストロームで与えられるこの数が、QUANTAによって報告される。
【0067】
本発明のためには、表Aに列挙された構造座標によって記載される関連骨格原子に重ね合わせたときに、1.5Å未満の、保存された残基の骨格原子(N、Ca、CおよびO)の二重平均平方根偏差を有する、いかなる分子または分子複合体も同一であると見なされる。本発明の好適実施態様では、分子または分子複合体は、表AによるRORβ−LBDのアミノ酸Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446、または上記分子もしくは分子複合体の突然変異種もしくは相同体の構造座標によって規定される、リガンド結合部位の少なくとも一部を含む。本発明のためには、「それの少なくとも一部」とは、これらの構造座標によって規定されるリガンド結合部位の全部か、またはいずれかの部分を意味する。より好ましいのは、表AによるRORβ−LBDのアミノ酸Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446、または上記分子もしくは分子複合体の突然変異種もしくは相同体の構造座標によって規定されるリガンド結合部位の全部か、またはいずれかの部分をも含む、分子または分子複合体である。「分子または分子複合体の突然変異種もしくは相同体」とは、上記RORβ−LBDアミノ酸の骨格原子からの二乗平均平方根偏差が1.5オングストロームを超えない、結合ポケットを有する分子または分子複合体を意味する。
【0068】
用語「二乗平均平方根偏差(root mean square deviation)」は、平均からの偏差の二乗の算術平均の平方根を意味する。それは、傾向または対象からの偏差または変動を表す一方法である。本発明のためには、「二乗平均平方根偏差」は、本明細書に記載された構造座標によって規定されるとおりの複合体のRORβ部分の骨格の関連部分からの、タンパク質またはタンパク質複合体の骨格中の変動を定義する。タンパク質結晶の構造座標が決定されたならば、それは、他の結晶の構造を解明することにか、または他のタンパク質、特に2種のアイソタイプのRORαおよびγを相同性によってモデル化することに役立つ。
【0069】
したがって、本発明によれば、RORβ/ステアリン酸/ペプチド複合体、特に複合体およびその部分の構造座標は、機械可読記憶媒体に記憶される。そのようなデータは、様々な目的、例えば薬物の発見、およびタンパク質結晶のX線結晶学的解析に用いてもよい。
【0070】
上記により、本発明の一実施態様では、表Aに記載された構造座標を用いてコード化されたデータ記憶材料を含む、機械可読データ記憶媒体が提供される。
【0071】
初めて、本発明は、RORβ−LBDまたはそのいずれかの部分に結合できる、阻害性および刺激性化合物を包含する、化学物質をデザイン、選別および合成するための、構造に基づくか、または合理的なドラッグデザイン手法の使用を可能にする。
【0072】
本発明により可能となった、特に役立つ一つのドラッグデザイン手法は、反復的なドラッグデザインである。反復的なドラッグデザインは、タンパク質と化合物との会合を、タンパク質/化合物複合体の連続する組の三次元構造を決定し評価することによって最適化する方法である。
【0073】
当業者は、多くの生物学的な作用機序に基づく、天然のリガンドまたは基質のそれに対応する受容体または酵素の結合ポケットとの会合を理解するであろう。本明細書に用いられる限りでの用語「結合ポケット」は、分子または分子複合体の領域であって、その形状の結果として、他の化学物質または化合物と好適に会合する領域を意味する。同様に、多くの薬物は、受容体および酵素の結合ポケットとの会合を通じて、その生物学的効果を発揮する。そのような会合は、結合ポケットの全部またはいずれかの部分と生じてもよい。そのような会合の理解は、その標的受容体とのより好適な会合を有し、そのため改良された生物学的効果を有する薬物のデザインへと導くのを助けるだろう。したがって、この情報は、受容体の潜在的なリガンドまたは阻害剤、例えばRORβの阻害剤をデザインするのに有用である。
【0074】
用語「と会合する」は、化学物質もしくは化合物またはその部分の間の近接の状態を意味する。会合は、近位が水素結合もしくはファンデルワールスもしくは静電相互作用にエネルギー的に有利である非共有結合であってよく、または共有結合であってよい。
【0075】
反復的なドラッグデザインでは、一連のタンパク質/化合物複合体の結晶を得、次いで各複合体の三次元構造を解明する。そのようなアプローチは、各複合体の三次元構造のタンパク質と化合物との会合に対する洞察を与える。これは、阻害活性を有する化合物を選別し、この新規なタンパク質/化合物複合体の結晶を得、複合体の三次元構造を解明し、新規なタンパク質/化合物複合体と、以前に解明されたタンパク質/化合物複合体との間の会合を比較することによって達成される。化合物中の変化がタンパク質/化合物複合体にいかに影響したかを観察することによって、これらの会合を最適化し得る。
【0076】
ある場合には、反復的なドラッグデザインは、連続的なタンパク質/化合物複合体を形成し、次いで各々の新規な複合体をそれぞれ結晶化させることによって実施する。あるいは、予め形成されたタンパク質結晶を、阻害剤の存在下で浸漬し、それによって、タンパク質/化合物複合体を形成し、個々のタンパク質/化合物複合体を各々晶出させる必要性を回避する。
【0077】
本明細書に用いられる限りで、用語「浸漬」は、所定の化合物を含有する溶液に、結晶を移す工程を意味する。
【0078】
表Aに記載した構造座標は、結晶化された別の分子または分子複合体に関する構造情報を得るのを助けることにも用いることができる。これは、分子置換を包含する、周知の多数の手法のいずれかによって達成してもよい。
【0079】
表Aに記載した構造座標は、RORβに構造的に類似する少なくともいくつかの特徴を有する、分子または分子複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定するのに用いることもできる。特に、結晶化された別の分子または分子複合体に関する構造情報を得てもよい。これは、分子置換を包含する、周知の多数の手法のいずれかによって達成してもよい。
【0080】
したがって、別の実施態様では、本発明は、分子置換を利用して、構造が未知である結晶化された分子または分子複合体に関する構造情報を得る方法であって、
(a)上記分子または分子複合体からX線回折パターンを生成する工程と、
(b)表Aに記載した構造座標の少なくとも一部を、X線回折パターンに適用して、構造が未知である分子または分子複合体の三次元電子密度地図を生成する工程と、
(c)表Aに記載した構造座標の全部または一部を用いて、RORβ−LBDの、または他のいかなる核内オーファンもしくはホルモン受容体のリガンド結合ドメインの、相同性モデルを生成する工程と
を含む方法を提供する。
【0081】
分子置換を用いることによって、本発明により提供されるRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンド/RORβ−LBD−リガンド−ペプチド複合体の、またはその構造が未知である分子複合体の、構造座標の全部もしくは一部が、そのような情報を決定することを初めに試みることにより迅速かつ効率的に与えられる。
【0082】
分子置換は、未知の構造に関する位相の正確な推計を与える。位相は、直接決定することができない結晶構造を解明するのに用いられる方程式中の因子である。位相の正確な値を分子置換以外の方法によって得ることは、近似および精緻化の反復的な循環を伴う、時間のかかる過程であり、結晶構造の解明を非常に妨げる。しかし、少なくとも一つの相同部分を含むタンパク質の結晶構造が解明されたとき、既知の構造からの位相は、未知の構造に関する位相の満足すべき推計を与える。
【0083】
そのため、この方法は、構造が未知である分子または分子複合体の結晶の観察されたX線回折パターンを最も充分に説明するように、未知の分子または分子複合体の結晶の単位胞内に、表AによるRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンド複合体の関連する部分を配向(orienting)かつ位置決め(positioning)することによって、構造座標が未知である分子または分子複合体の予備的モデルを生成することを含む。そうして、このモデルから位相を算出し、観察されたX線回折パターンの強さと組み合わせて、座標が未知である構造の電子密度地図を生成することができる。次いで、これを、いずれか周知のモデル構築(model building)および構造精緻化(structure refinement)手法にも付して、結晶化された未知の分子または分子複合体の最終的で正確な構造を与えることができる[E. Lattman, "Use of the Rotation and Translation Functions", in Meth. Enzymol., 115, pp55-77 (1985);M.G. Rossmann, ed., "The Molecular Replacement Method", Int. Sci. Rev. Set., No 13, Gordon & Breach, New York (1972)]。
【0084】
RORβ−LBD/RORβ−LBDリガンド複合体のいかなる部分とも充分に相同である、結晶化されたいかなる分子または分子複合体のいかなる部分の構造も、この方法によって解明することができる。
【0085】
構造座標は、様々な化学物質と共複合体化させたRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンドまたはRORβ−LBDリガンドペプチドの結晶の構造を解明するのにも、特に役立つ。このアプローチは、複合体とRORβ阻害剤候補との相互作用を包含する、化学物質間の相互作用のための最適部位の決定を可能にする。例えば、異なる種類の溶媒に接触させた結晶から採集した、高分解能X線回折データは、溶媒分子のそれぞれの種類が残留する場合の決定を可能にする。そうして、これらの部位に緊密に結合する小分子を、デザインしかつ合成し、そのRORβ阻害活性について試験することができる。
【0086】
上記に参照された複合体は、すべて、周知のX線回折手法を用いて研究されてもよく、そしてコンピューターソフトウェア、例えばX−PLOR[Yale University, 1992、Molecular Simulations, Inc.が配布;例えばBlundell & Johnson、前出;Meth. Enzymol., vol. 114 & 115, H.W. Wyckoff et al., eds., Academic Press (1985)を参照されたい]を用いて、約0.20以下のR値まで、1.5〜3Åの分解能のX線データに対して精緻化してもよい。こうして、この情報は、既知のRORβアゴニスト/アンタゴニストを最適化するために、より重要なことは、新規なRORβアゴニスト/アンタゴニストをデザインするために用いてもよい。
【0087】
上記により、本発明は、RORβ−LBDリガンドの一部が、下記の残基:RORβ−LBDのQ228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446の少なくとも一つと、ファンデルワールス接触または水素結合接触にある、RORβ−LBDのアゴニストまたはアンタゴニストリガンドの結合部位も対象とする。本発明のためには、RORβ−LBD結合部位とは、その突然変異種または相同体を包含することも意味するものとする。好適実施態様では、その突然変異種または相同体は、RORβ−LBD結合部位の残基Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446との、少なくとも25%の同一性、より好ましくは50%の同一性、より好ましくは75%の同一性、最も好ましくは95%の同一性を有する。
【0088】
本発明は、機械可読データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体も対象とするが、ここでこのデータは、表AによるRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンドまたは上記複合体の相同体(ここで、上記相同体は、複合体の骨格原子からの3.0Åを超えない二乗平均平方根偏差を有する骨格原子を含む)の構造座標によって規定される。好ましくは、本発明による機械可読データ記憶媒体は、上記分子または分子複合体が、表AによるRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンドまたは上記分子もしくは分子複合体の相同体(上記相同体は、上記アミノ酸の骨格原子からの2.0Åを超えない二乗平均平方根偏差を有する)に関する一組の構造座標によって規定される場合のそれである。好適実施態様では、上記機械可読データ記憶媒体は、表AによるRORβ−LBD/RORβ−LBDリガンド/RORβ−LBDリガンドペプチドに関する構造座標の少なくとも一部のフーリエ変換を含む、第一の組の機械可読データでコード化されたデータ記憶材料を含む、データ記憶媒体を含み;これは、未知の構造の分子または分子複合体のX線回折パターンを含む第二の組の機械可読データを、上記第一の組のデータおよび上記第二の組のデータを用いるための指示でプログラムされた機械を用いて、組み合わせたとき、第二の組の機械可読データ、上記第一の組のデータおよび上記第二の組のデータに対応する構造座標の少なくとも一部を決定することができる。
【0089】
本発明は、RORβ−LBD/RORβ−LBDリガンド複合体の結晶に基づく、RORβ受容体の三次元モデルを用いる、コンピューター計算法も提供する。一般的には、RORβ−LBDリガンドをデザインするコンピューター計算法は、RORβ−LBDのいずれのアミノ酸がリガンドの(少なくとも一つの)化学的部分と相互作用するのかを、リガンドが結合したRORβ−LBDを含む結晶化されたタンパク質の三次元モデルを用い、相互作用するアミノ酸と第二の化学的部分との相互作用を、相互作用するアミノ酸と天然のホルモンの対応する化学的部分との相互作用に比して、軽減するかまたは増強するかする構造を有する、第二の化学的部分を生成する化学的部分の(少なくとも一つの)化学的修飾を選別して、決定する。
【0090】
本発明のコンピューター計算法は、そのような結晶および三次元構造の情報を用いて、RORβ−LBDのコンホメーションの変化を調整する合成リガンドを生成するよう、RORβ合成リガンドをデザインすることを目的とする。これらのコンピューター計算法は、RORβに対するアンタゴニストまたは部分的アゴニストを設計するのに特に役立つが、ここで、そのアンタゴニストまたは部分的アゴニストは、遺伝子発現の調節に対する受容体の影響を変化させる数多くのリガンド誘導性分子的事象のいずれか一つを阻害する、例えば、天然に存在するリガンドまたは天然に存在するリガンドを模倣するその他のリガンド(例えばアゴニスト)について観察された活性化ドメインの正常な協調を阻害する拡張された部分を有する。本明細書に記載されたとおり、RORβ受容体の合成リガンドは、様々な医学的状態においてRORβ活性を調整するのに役立つと思われる。
【0091】
RORβは、下記のような様々なドメインを含むことが公知である:
(1)可変アミノ末端ドメイン:
(2)高度に保存されたDNA結合ドメイン(DBD);および
(2)より保存されていないカルボキシル末端リガンド結合ドメイン(LBD)。
【0092】
ドメインは互いに影響し合うが、このモジュール性(modularity)は、各タンパク質の異なるドメインが異なる機能を別個に達成することを可能にする。ドメインの別個の機能は、通常、特定のドメインがタンパク質の残余の部分から単離されたときも保存される。慣用のタンパク質化学の手法を用いて、ときには、モジュラードメイン(modular domain)を親タンパク質から分離することができる。慣用の分子生物学の手法を用いて、各ドメインを、通常、その本来の機能は無傷のまま別個に発現させることができるか、または異なる二つの核内受容体のキメラを構成することができるが、ここで、そのキメラはそれぞれの核内受容体(それらからキメラは生成される)の個々の機能性ドメインの特性を保持する。
【0093】
アミノ末端ドメイン
アミノ末端ドメインは、3ドメインのうちで最も保存されていない。このドメインは、転写活性化に関与し、いくつかの場合には、その独自性は、選択的受容体−DNA結合および特定の受容体アイソフォームによる標的遺伝子の活性化を指令し得る。このドメインは、LBDのドメインとの協調的および拮抗的相互作用を示すことができる。例えば、突然変異させたかつ/または欠失させた受容体による研究は、アミノおよびカルボキシル末端ドメインの正の協同性を示す。
【0094】
いくつかの場合には、これらのドメインのいずれかの欠失は、受容体の転写活性化機能を失わせることになる。
【0095】
DNA結合ドメイン
DBDは、最も保存されたドメインである。DBDは、第一および第二亜鉛フィンガーの基部から延伸する、二つの垂直に配向されたαヘリックスを含む。二つの亜鉛フィンガーは、非亜鉛フィンガー残基とともに協同して、核内受容体をDNA上の特異的標的部位へと指向させ、受容体のホモ二量体をヘテロ二量体界面へと整列させる。DBD内の様々なアミノ酸は、受容体二量体の結合のための2個の半部位(half site)間の間隔に影響する。
【0096】
リガンド結合ドメイン
LBDは、第二の最も高度に保存されたドメインである。異なるいくつかのLBDサブドメインの統合が、リガンド結合に重要であるのに対して、LBDのみを含むにすぎない断端分子は、正常なリガンド結合活性を保持している。このドメインは、二量体形成、核内転移および転写活性化を包含する、その他の機能にも参加する。重要なことに、このドメインは、リガンドと結合し、本明細書に詳述されるとおり、リガンド誘導性コンホメーション変化を受ける。
【0097】
本明細書に記載されたとおり、RORβのLBDを発現させ、結晶化し、その三次元構造をリガンド結合によって(同じ受容体もしくは異なる受容体またはその組合せからの結晶データを用いて)決定し、コンピューター計算法を用いて、そのLBDに対するリガンド、特にRORβの活性化ドメインを調整する延伸部分を有するリガンドをデザインすることができる。
【0098】
コンピューター計算によってデザインされたリガンド(CDL)を合成したならば、本明細書に記載されたとおり、アゴニスト、部分的アゴニストまたはアンタゴニストとしてのその活性、および親和性を確定させるアッセイを用いて、試験することができる。そのような試験の後、CDLは、CDLがLBDに結合したLBDの結晶を生成することによって、さらに精緻化することができる。そうして、CDLの構造を、三次元モデルについて本明細書に記載された化学的修飾法を用いてさらに精緻化して、CDLの活性または親和性を改良し、改良された特性、例えばスーパーアゴニストまたはアンタゴニストのそれを有する、第二世代CDLを作成することができる。
【0099】
典型的には、RORβ−LBDを、結晶化のため均質にまで精製する。RORβ−LBDの純度は、SDS−PAGEおよび質量分析法で測定する。結晶化のために精製されたRORβは、少なくとも97.5%純度であるか、または97.5%純度であり、好ましくは少なくとも99.0%純度であるか、または99.0%純度であり、より好ましくは少なくとも99.5%純度であるか、または99.5%純度でなければならない。
【0100】
最初に、受容体の精製は、慣用の手法、例えばアフィニティークロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーによって得ることができる。
【0101】
RORβの改良された結晶のためのより高度な精製を達成するには、電荷に従って受容体を分離するカラム、例えばイオン交換または疎水性相互作用カラムを用いて、核内受容体をリガンドシフト精製し、次いで溶出した受容体を、リガンド、特にアゴニストと結合するのが望ましいだろう。リガンドが受容体の表面電荷の変化を誘導する結果、同じカラムで再クロマトグラフィーを実施すると、受容体は、リガンド結合した受容体の位置で溶出し、リガンド結合しなかった受容体と一緒に本来のカラムの実施によって除去される。通常、リガンドの飽和濃度をカラムに用い、タンパク質は、リガンドとともにプレインキュベートしてから、カラム越しに通過させることができる。
【0102】
開発されたいくつかの方法は、タンパク質の末端に、例えばアミノ末端に位置させたヒスチジンなどにより「タグ」を加工し、次いで、精製のためにコバルトキレート化カラムを用いることを伴う。Chaga, G., Biotech. Appl. Biochem., 29: 13811-13814 (1991)が、参照により組み込まれる。
【0103】
RORβ−LBDの三次元構造を決定するには、LBDを対応するLBDリガンドとともに共晶出させるのが望ましい。
【0104】
典型的には、精製されたRORβ−LBDを、タンパク質の完全性を保存する温度でリガンドの飽和濃度に平衡させる。リガンド平衡は、2〜37℃で確立することができるが、受容体は2〜20℃の範囲内でより安定的になる傾向がある。
【0105】
しかし、リガンドが未知ならば、異種発現系、すなわち大腸菌からたまたま得られたリガンドとともにRORβ−LBDを共晶出させることが、同時にコアクチベーターのペプチドを加えることによって可能である。
【0106】
好ましくは、結晶は、懸滴法で作成する。結晶の安定性および品質を改良するには、調節された温度制御が望ましい。4〜25℃の温度が一般的に用いられ、ある範囲の温度にわたって晶出を試験するのが好ましいことが多い。18〜25℃、より好ましくは20〜23℃、最も好ましくは22℃の晶出温度を用いるのが好ましい。
【0107】
RORβと相互作用するリガンドは、いかなるリガンド誘導性コンホメーション変化が生じるかに基づいて、アゴニスト、アンタゴニストおよび部分アゴニストとして作用することができる。
【0108】
アゴニストは、受容体に、正または負のいずれかで転写に影響するのを可能にする活性コンホメーションにそれを置く変化を誘導する。受容体のコンホメーションには、異なるいくつかのリガンドで誘導される変化が存在してもよい。
【0109】
アンタゴニストは、受容体に結合するが、受容体の転写活性形態へと導くコンホメーション変化、または生理学的に関連するコンホメーション変化を誘導することができない。アンタゴニストの結合は、アゴニストの結合およびそれによる作用を遮断することができる。
【0110】
部分アゴニストは、受容体に結合し、アゴニストにより誘導される受容体の変化の一部のみを誘導するにすぎない。この違いは、定性的または定量的であることができる。したがって、部分アゴニストは、アゴニストにより誘導されるコンホメーション変化のいくつかを誘導し得るが、その他はできないか、または特定の変化のみを限定された程度にまで誘導し得るにすぎない。
【0111】
本明細書に記載したとおり、結合していない受容体は、不活性であるか、何らかの活性を有するか、またはリプレッサー活性を有するかのいずれかであるコンホメーションをとる。アゴニストリガンドの結合は、受容体がより活性的になって、遺伝子の発現を刺激または抑制のいずれかを行うようなコンホメーション変化を受容体に誘導する。受容体は、非ゲノム性の作用も有することがあり、既知の種類の変化のいくつか、および/またはこれらの順序を、本明細書に列挙する。
【0112】
受容体によるリガンドの結合は動的な過程であって、これは、変化したコンホメーションを誘導することによって、受容体機能を調節する。
【0113】
リガンド結合したRORβ受容体の三次元構造は、新規なRORβ合成リガンドの開発に大きな助けとなるだろう。加えて、RORβは、全体として、三次元構造の解明、およびヨーロッパ特許第335 628号公報、米国特許第5,463,564号明細書(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたもののようなコンビナトリアルケミストリーを包含する、最新の方法に充分に適合する。本発明を実施するときに結晶学的データを用いるコンピュータープログラムは、RORβに対するリガンドの合理的なデザインを可能にするだろう。
【0114】
RASMOLのようなプログラムは、本発明を実施することによって生成される結晶からの原子座標とともに用いるか、あるいは三次元モデルを生成することおよび/またはリガンド結合に関与する構造を決定することによって本発明の実施するのに用いることができる。INSIGHTおよびGRASPのようなコンピュータープログラムは、それ以上の操作、および新規な構造を導入する能力を可能にする。加えて、本明細書に記載され、当技術に公知の精製された組換えタンパク質および最新のレポーター遺伝子転写アッセイを用いて、高処理の結合および生体活性アッセイを、CDLの活性を精緻化するために考案することができる。
【0115】
一般的には、RORβ合成リガンドをデザインするコンピューター計算法は、二つの工程を含む:
(1)RORβ−LBDのいずれのアミノ酸が、リガンドの(少なくとも一つの)第一の化学的部分と相互作用するのかを、リガンドが結合したRORβ−LBDを含む結晶化されたタンパク質の三次元モデルを用いて決定する工程;
(2)相互作用するアミノ酸と第二の化学的部分との相互作用を、上記相互作用するアミノ酸と第一の化学的部分との相互作用に比して、増強するかまたは軽減するかするための構造を有する第二の化学的部分を生成するよう、第一の化学的部分の(少なくとも一つの)化学的修飾を選別する工程。
【0116】
好ましくは、この方法は、上記三次元モデルを、同形リガンド誘導体を比較することによって生成して、改良された位相を生成する場合に、実施される。やはり好ましいのは、上記選別が、相互作用するアミノ酸Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446の少なくとも一つと相互作用する上記第一の化学的部分を用いる場合である。
【0117】
本明細書に示したとおり、相互作用するアミノ酸は、リガンドとの接点を形成し、相互作用するアミノ酸の原子の中心は、通常、リガンドの原子の中心から2〜4オングストローム離れている。一般的には、これらの距離は、本明細書およびMcRee, 1993で考察したとおりにコンピューターによって決定されるが、この距離は、三次元モデルが作成されたならば、手動で決定することもできる。三次元モデルの立体化学的数値についてRenaud et al., Nature, 378, 681-689 (1995)も参照されたい。
【0118】
より一般的には、リガンドの原子と、相互作用するアミノ酸の原子とは、3〜4オングストローム隔たっている。本発明は、工程1および2を繰り返し実施して、LBDに対するリガンドの適合を精緻化し、かつより優れたリガンド、例えばアゴニストを決定することができる。RORβの三次元モデルは、いずれのアミノ酸がリガンドに接触しているかを決定するために、そして、化学的修飾および特定のアミノ酸との相互作用を化学的修飾以前のそれと比較して変化させるためのリガンド上の位置を選ぶために、二次元で表すことができる。この化学的修飾は、コンピューターを用いてか、三次元モデルの二次元表示を手動で用いてか、またはリガンドを化学的に合成することによって行なってよい。新規リガンドを生成するために、リガンドを化学的修飾した後は、リガンドは遠位のアミノ酸と相互作用することもできる。遠位のアミノ酸は、一般的には、化学的修飾以前はリガンドと接触していない。好ましくは上記第一の化学的部分が遠位のアミノ酸から6〜12オングストローム離れてる場合に、化学的修飾は、リガンドの構造を変化させて、リガンドから通常少なくとも4.5オングストローム離れた遠位のアミノ酸と相互作用する新規なリガンドを形成することができる。しばしば、遠位のアミノ酸は、リガンドに対する結合活性の表面を裏打ちしないと思われるが、それは、リガンドからあまりにも遠いために、ポケットまたは結合空腔の一部となり得ない。LBDのアミノ酸とLBDリガンドの原子との相互作用は、自然界で記載されているいかなる力または引力によっても生じることができる。通常、アミノ酸の原子とリガンドとの相互作用は、水素結合相互作用、電荷相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用または双極子相互作用の結果であることになる。疎水性相互作用の場合、それ自体はアミノ酸とリガンドとの相互作用ではなくて、部分的には、疎水性表面からの水その他の親水性基の反発の通常の結果であることが認識されている。LBDおよびリガンドの相互作用を軽減または増強することは、コンピューター計算によってか、または当技術に公知の熱力学もしくは運動論の方法を用いて、結合エネルギーを算出または試験することによって測定することができる。
【0119】
化学的修飾は、LBDのアミノ酸の原子とLBDリガンドの原子との相互作用を増強または軽減することが多い。立体障害は、活性化ドメインとのLBD空腔の相互作用を変化させる一般的な手段である。
【0120】
本発明は、RORβ活性を調整する化合物を同定する方法も提供する。これらの化合物を同定するには、様々な方法またはその組合せを用いることができる。例えば、表Aによる構造座標によって規定されたとおりにか、あるいはRORβ−LBD、突然変異RORβ−LBDもしくはRORβ−LBD相同体またはその一部の三次元構造モデルを用いて、RORβ−LBDに空間的に適合する試験化合物をモデル形成することができる。リガンド結合部位、特にアミノ酸Q228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423およびY446の構造座標は、構造的および化学的特徴を同定するのに用いることもできる。そうして、同定された構造的および化学的特徴を利用して、化合物を潜在的なRORβモジュレーターとしてデザインまたは選別することができる。構造的および化学的特徴とは、ファンデルワールス相互作用、水素結合相互作用、電荷相互作用、疎水性結合相互作用、電荷相互作用、疎水性相互作用および双極子相互作用を包含するが、これらに限定されないことを意味するものとする。これに代えてか、またはこれと結び付けて、三次元構造モデルまたはリガンド結合部位を利用して、化合物を潜在的なRORβモジュレーターとしてデザインまたは選別することができる。そうして、潜在的なRORβモジュレーターとして同定された化合物を、合成するか、またはRORβ−LBDに試験化合物を結合させることを特徴とするアッセイでスクリーニングすることができる。潜在的RORモジュレーターのスクリーニングに役立つアッセイの例は、in silicoスクリーニング、in vitroアッセイおよび高処理アッセイを包含するが、これらに限定されない。最後に、これらの方法は、表AによるRORβ−LBDのQ228、Y229、L234、W259、Q261、C262、A263、Q265、I266、H268、A269、L299、V303、L304、R306、M307、R309、A310、V318、L319、F320、E321、M329、F330、L333、L338、I339、A342、F343、V419、C420、H423またはY446などの、RORβ−LBDからの1個以上のアミノ酸を修飾または置換することも伴う。
【0121】
本発明の好適な方法は、ROR受容体アゴニストからRORアンタゴニストをデザインするコンピューター計算法であって:
(1)上記アゴニストの分子認識ドメインの構造を、RORLBDを含む結晶化されたタンパク質の三次元モデルを用いて、決定する工程と、
(2)上記アゴニストに対する結合部位を越えて、かつRORβの生物学的機能に重要である少なくとも一つのタンパク質ドメインの方向に延伸するリガンド構造を与える、上記アゴニストの少なくとも一つの化学的修飾を選ぶ工程と
を含む方法として記載することができる。
【0122】
本発明の別の好適な方法は、ROR受容体スーパーアゴニストまたはアンタゴニストのような選択的RORβ受容体モジュレーターをデザインするコンピューター計算法であって:
(1)上記リガンドの少なくとも一つの第一化学的部分と相互作用するRORβ−LBDの少なくとも一つの相互作用するアミノ酸を、リガンドが結合したRORβ−LBDを含む結晶化されたタンパク質の三次元モデルを用いて、決定する工程と、
(2)上記相互作用するアミノ酸と上記第二の化学的部分との相互作用を、上記相互作用するアミノ酸と上記第一化学的部分との上記相互作用に比して、軽減または増強するための構造を有する第二化学的部分を生成するため、上記第一化学的部分の少なくとも一つの化学的修飾を選別する工程と
を含む方法として記載することができる。
【0123】
しかし、当業者がこの開示に際して理解すると思われるとおり、構造に基づくその他のデザイン方法を用いることができる。様々なコンピューター計算による構造に基づくデザイン方法が、当技術に開示されている。
【0124】
例えば、RORβ−LBDの配列、およびRORβ−LBDの構造(すなわち、RORβ−LBDの原子座標および/またはリガンド結合部位の原子座標、結合および二面角、ならびに表Aに与えられたような活性部位における原子間の距離)を入力することができる、数多くのコンピューターモデル形成システムを入手することができる。そうして、このコンピューターシステムは、潜在的なRORβモジュレーターが結合する部位の構造的詳細を生成し、その潜在的なモジュレーターの相補的な構造の詳細を決定できるようにする。これらのモデル形成システムにおけるデザインは、一般に、RORβ−LBDと物理的かつ構造的に会合できる化合物に基づく。加えて、この化合物は、それがRORβ−LBDと会合するのを可能にするコンホメーションをなすことができなければならない。いくつかのモデル形成システムは、潜在的なRORモジュレーターの潜在的な阻害または結合効果を、実際の合成および試験以前に推計する。
【0125】
RORβ−LBDと会合できる能力について化学物質または断片をスクリーニングする方法も周知である。これらの方法は、活性部位のコンピューター画面上での視覚的検査によって開始することが多い。そうして、選ばれた断片または化学物質を、RORβ−LBDとともに位置決定する。結合は、QUANTAおよびSYBYLのようなソフトウェアを用い、次いで、CHARMMおよびAMBERのような標準的な分子力学的力の場によるエネルギー最小化および分子動力学によって達成される。本発明に役立つ、化学的断片または化学物質の選択を支援するコンピュータープログラムの例は、GRID[Goodford, P.J., J. Med. Chem., 1985, 28:849-857]、AUTODOCK[Goodsel, D.S. & Olsen, A.J., Proteins, Structure, Functions, and Genetics, 1990, 8:195-202]、およびDOCK[Kunts et al., J. Mol. Biol., 1982, 161:269-288]を包含するが、これらに限定されない。
【0126】
好適な化学物質または断片を選んだならば、それらの相互およびRORβ−LBDとの関連性を、視覚化し、次いで、単一の潜在的モジュレーターに組み立てることができる。個々の化学物質を組み立てるのに役立つプログラムは、CAVEAT[Bartlett et al., Molecular Recognition in Chemical and Biological Problems Special Publication, Royal Chem. Soc., 78, 00. 182-196 (1989)]および3D Database systems[Martin, Y.C., J. Med. Chem., 1992, 35:2145-2154]を包含するが、これらに限定されない。
【0127】
これに代えて、化合物を、空の活性部位か、場合により既知の阻害剤の何らかの部分を含む活性部位を用いて新規にデザインしてもよい。この種のデザインの方法は、LUDI[Bohm, H-J., J. Comp. Aid. Molec. Design, 1992, 6:61-78]およびLeapFrog[Tripos Associates, St. Louis, MO]を包含するが、これらに限定されない。
【0128】
本発明は、また、本発明のコンピューター計算法によって同定される、RORβ−LBD選択的RORβモジュレーター(SPORM)、特にアゴニストまたはアンタゴニストを対象とする。
【0129】
本発明は、さらに、ROR関連疾患を処置する方法であって、本発明のコンピューター計算法によって同定される、有効量のアンタゴニストを投与することを含む方法を対象とする。
【0130】
本発明は、ROR関連疾患を処置する方法であって、本発明のコンピューター計算法によって特定される、有効量のアゴニストを投与することを含む方法も対象とする。
【0131】
本明細書に開示された方法によってアゴニスト、アンタゴニストまたはSPORMとして同定された、経口的に投与されたときに活性である化合物は、液剤、例えば、シロップ剤、懸濁剤または乳濁剤、錠剤、カプセル剤およびトローチ剤として処方することができる。液体組成物は、一般に、懸濁化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香味料または着色料とともに、適切な液体担体、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、油または水における上記化合物の懸濁液または溶液からなることになる。
【0132】
あるいは、液体処方物を、再構成できる粉末から調製することができる。例えば、活性化合物、懸濁化剤、ショ糖および甘味料を含有する粉末を、水で再構成して、懸濁液を形成することができ;シロップ剤は、活性成分、ショ糖および甘味料を含有する粉末から調製することができる。錠剤の形態の組成物は、活性成分、ショ糖および甘味料を含有する粉末から調製することができる。錠剤の形態の組成物は、固体組成物を調製するのにいつも決まって用いられる、いずれかの適切な製剤担体を用いても調製することができる。そのような担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、乳糖、ショ糖、微結晶質セルロース、結合剤、例えばポリビニルピロリドンを包含する。錠剤は、着色薄膜コーティングとともにか、または担体の一部として含まれた色彩を有して、与えることもできる。加えて、活性化合物は、親水性または疎水性基質を含む錠剤として、制御放出剤形で処方することができる。カプセル剤の形態での組成物は、通常のカプセル封入手順を用いて、例えば、活性化合物および賦形剤をハードゼラチンカプセルに組み込むことによって調製することができる。あるいは、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形基質を調製しハードゼラチンカプセルに充填するか、または活性化合物のポリエチレングリコール中の溶液もしくは食用油、例えば液体パラフィンもしくは分別ココヤシ油中の懸濁液を調製しソフトゼラチンカプセルに充填することもできる。本明細書に記載された方法によって同定される、非経口的に投与されたときに活性である化合物は、筋内または静脈内投与向けに処方することができる。筋内投与向けの典型的な組成物は、油、例えば落花生油またはゴマ油中の活性成分の懸濁液または溶液からなる。静脈内投与向けの典型的な組成物は、例えば、活性成分、デキストロース、塩化ナトリウム、助溶媒、例えばポリエチレングリコール、および場合によりキレート化剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムを含有する、無菌の等張溶液からなる。
【0133】
あるいは、液剤を、凍結乾燥し、次いで、投与直前に適切な溶媒で再構成することもできる。直腸投与において活性である、同定された化合物は、坐薬として処方することができる。典型的な坐薬処方物は、一般に、ゼラチンまたはカカオバターその他の低融点植物または合成蝋もしくは脂肪などの、結合剤および/または潤滑剤と一緒に活性成分からなる。局所投与において活性である、同定された化合物は、経皮組成物として処方することができる。そのような組成物は、例えば、支持体、活性化合物貯留器、制御膜、裏打ち材および接触接着剤を含む。その典型的な日次用量は、一人一人の必要性、処置しようとする状態、および投与の経路に応じて変動する。適切な用量は、1日あたり受容者の体重1kgあたり0.001〜10mgの一般的範囲内にある。
【0134】
下記の実施例は、本発明を例示するためにあるが、それに対する限定として解してはならない。
【0135】
実施例
RORβリガンド結合ドメインのクローニング、発現および精製
ラットRORβ−LBDのリガンド結合ドメイン(RORβ−LBD)の発現のためのcDNAを、pet15bベクター(Novagen)を用いて、N末端ポリヒスチジンタグおよびトロンビン切断部位を含むよう構成した。LBM中37℃で、大腸菌BL21株(DE3)の細胞を、OD0.6まで増殖させ、0.8mMのIPTGで誘導した。インキュベーションを、16℃に終夜維持した。細胞を収穫し、−20℃で貯蔵した。超音波処理、およびコバルトキレート樹脂越しのクロマトグラフィーの後、細胞ペレット6gから、全部で6〜9mgの組換えRORβ−LBDを単離した。0〜1Mのイミダゾールの勾配にて、約90%の純度のポリヒスチジンタグ付きRORβ−LBDを溶離した。PharmaciaからのSuperdex S-200 Hiload、16:60により、ゲル濾過を実施した。SDS−PAGEによって確認した限りで95%を超える純度および均質度のポリヒスチジンタグ付きrRORβ−LBDを、20mMトリスHCl、pH=8.5、5mM DTT、2mM Chapsおよび100mM NaCl中5.8mg/mlまで濃縮した。
【0136】
結晶化
RORβ−LBDステアリン酸複合体を、懸滴方式での蒸気拡散によって、22℃で結晶化した。結晶化の試行では、タンパク質は、それ以上精製せずに用い、3モル過剰のSRC−1686-700(RHKILHRLLQEGSPS)NR相互作用性ペプチドというコアクチベーターの配列とともに共晶出させた。ペプチドの添加は、結晶を得るのに決定的に重要であった。晶出条件を得るための最初の試行では、希薄な基質の晶出スクリーン(crystallization screen)をホームスクリーン(home screen)を用いて実施した。結晶化の試行のそれぞれについて、精製タンパク質(5.8mg/ml)2μlを等量の貯留槽液と混合することによって、4μlの液滴を調製した。貯留槽は、沈降用溶液500μlを含んでいた。110x60x30mmの寸法の結晶が、15%のPEG6000およびpH=8.0の100mMトリスHCl中、22℃で、約2週間以内に成長した。この結晶を、最初のデータ収集の試行に用いた(下記のとおり)。
【0137】
データ収集および換算
結晶を、15%のグリセリンを含有するpH8.0の15%PEG6000中での平衡化し、次いで液体窒素温度の液体エタン中での瞬間凍結することによって凍結保護した。X線回折データを、ESRF(Grenobel、フランス国)でのID14−3というビームライン(beam line)にて、凍結単結晶から液体窒素温度で収集した。結晶は、X線を1.9Åの分解能限界まで回折させた。すべてのデータを集積し、DENZOおよびSCALEPACK[Otwinowski & Minor, 1997]を用いて測定した。30〜3.4Åのデータセットは、2.5のRsym(I)で88.9%の分解能の完全性(completeness)を示した。高分解能(3.4〜1.9)における完全性は、3.3のRsym(I)で99.8%であった。単位胞パラメーターは、a=52.302Å、b=58.490Åおよびc=106.036Å、a=b=c=90°であった。結晶は、非対称単位あたり一つの単量体で構成され、52%の溶媒含有量、および非対称単位あたり1分子を有した(マシューズ容積=2.57Å3Da-1)。ウィルソンプロットによって推計されたB因子は29であった。各軸沿いの系統的不在の検査は、空間群が斜方晶系P212121であることを示した。
【0138】
【表1】
Figure 2005505259
【0139】
データ収集では、最後のシェル値(shell value)を括弧の間に示す。
【0140】
構造の決定(分子置換)
複合体の構造を、AmoReというプログラム[Navaza, 1994]、および検索モデルとしてのRORγholo−LBD(Protein Data Bank、登録コード、2lbd)を用いた分子置換によって解明した。AmoRe剛体精緻化の後、最高の解は、27.8という相関係数(次の最高の解は26.2)および52.7というR因子を有した。下記の値による検索モデルとしてのRARantaでも、解を見出すことができた:21.4の相関係数(次の最高の解は19.8)および55.9のR因子。
【0141】
【表2】
Figure 2005505259
【0142】
構造の精緻化
反復的構造精緻化と組み合わせた自動化モデル構築Arp/wARP[Perrakis, A. et al., 1999]を用い、本発明者らは、243個の残基および0.98の連結度係数(connectivity index)に対応する、構築された3鎖を得ることができた。算出された電子密度地図3Fo−2Fcは、Rcryst=0.2703およびRfree=0.2644を与えた。
【0143】
画像プログラムO[Jones et al., 1991]を用いて、単量体の部分モデルを構築し、X−PLOR[Bruenger, 1996]および手動構築による交互ラウンドの剛体精緻化に付した。位置の精緻化、手動の再構築、プログラムX−PLORからの捻れ緩冷(torsion slow-cool)手順、および個別等方B因子精緻化の周期を用いた最終段階は、Rcryst=0.2238およびRfree=0.2494を与えた。1.9Åで精緻化された最終モデルは、244個の残基、1個のリガンド、10個のアミノ酸残基のペプチド、および146個の水分子を含む。Procheck[Laskowski et al., 1993]によれば、モデル中のすべての残基の93.2%が最も有利な主鎖捻れ角(main chain torsion angle)のラマチャンドラン領域に、5.9%が追加的許容領域(additional allowed region)に、0.4%が寛容的許容領域(generously allowed region)に、0.4%が非許容領域に存在する。これらの最後の百分率は、充分明確にされた密度を示さない、第9〜10ループ内に位置する、2個の残基(D403およびE404)に対応する。
【0144】
【表3】
Figure 2005505259
【0145】
分子の記載
RORβ−LBDの構造は、第208残基から第451残基まで完全である。プログラムProcheckによる構造の解析は、許容幾何学(allowed geometry)に対して僅かな例外を示すにすぎない。構造中、鎖の最初の7残基(201〜207)は、電子密度地図では認められず、おそらくは乱されている。これは、野生型構造の最初のαヘリックス(H1)の最初の残基以前の唯一の残基を残す。C末端の末尾では、最後の残基(452)のみが電子密度地図に認められないにすぎない。らせんH9とH10との間のループ(残基N399およびE405)は、充分明確にされていない。
【0146】
折り畳みおよび充填
予測されたとおり、RORβ−LBDは、他の核内ホルモン受容体のLBDのと同じ全体的な三次元構造を有する。分子は、10本のαヘリックスからなる「らせんサンドウィッチ」に折り畳まれている。β鎖の二つの小片が存在し、リガンド結合部位近くのらせん5とらせん6との間の分子のコアに位置する短いβシートを形成している。らせん12は、リガンド結合ドメインのコアに向かって折り畳まれている。その最後の回転は、H4、H11およびコアクチベーターペプチドに密着している。H3〜H4領域およびH12からの残基を含む相互作用表面は、コアクチベーターペプチドが結合するのを可能にする。
【0147】
下記のペプチド配列:HKILHRLLQEが、結晶構造中に認められる。NRボックスとも呼ばれるLXXLLモチーフは、LBD表面の疎水性の裂け目と相互作用する両親媒性αヘリックスに含まれる。特に、Leu693およびLeu694の側鎖は、Val274(H3)、Ile292(H4)およびLeu295(H4)でも構成される疎水性クラスターの一部である。
【0148】
E448(H12)のγカルボキシラートは、ペプチドらせんのN末端の回転の残基である、Leu697およびLeu698の骨格アミドと水素結合を形成する。このNキャッピング相互作用は、既に記載されている[Nolte et al., 1998;Shiau et al., 1998]。この高度に保存されたグルタミン酸残基は、トランス活性化に重要であることが公知である。別の水素結合は、His695のNE2とともにGln288(H4)OE2を必要とする。Glu700の側鎖は、残基Arg696のカルボニルとの水媒介性水素結合を形成する。
【0149】
ステアラートの結合
リガンド結合ポケットの容積は、758Å3であって、これはVDRのそれ(660Å3)[Rochel et al., 2000]に近い。偶然のリガンドである、ステアリン酸は、リガンド結合ポケット内に見出されて、以前に質量分析によって特性記述された。したがって、大腸菌の内在性ステアリン酸は、異種発現されたRORβ−LBDと同時精製かつ同時晶出されたように思われる。脂肪酸(FA)は、H3(Gln265、Ile266、Ala269)、H5(Leu300、Val303、Leu97)、ループH5〜H6(Phe113)、H6(Phe320)およびH7(Leu131、Val338)に位置する残基によって形成された主として疎水性であるポケットに埋没している。これらの残基のほとんどは、FAの脂肪鎖(図3a)とファンデルワールス接触を形成する。この空腔は、11個の規則的な水分子も含んでいる。カルボン酸基の一方の酸素原子は、Gln265のNE2と水素結合を形成する。この残基は、RORαとβとの間で変動する。カルボン酸基の他方の酸素原子は、2個の規則正しい水分子と水素結合を形成する。これら2分子は、水素結合ネットワークの一部であって、それはカルボン酸をLBPのRORαおよびβ間で保存されているその他の残基、すなわちGln228およびArg306に結合させる。ステアラートは、結合すると、U字形のコンホメーションをとる。
【0150】
【表4】
Figure 2005505259
【0151】
RORβ−LBD/ATRA(全トランスレチノイン酸)複合体の結晶化および構造決定
上記のとおり、C末端の2個の溶媒露出システインが、7残基のC末端セグメントの断端によって除去されている、RORβ−LBD構成体は、他のリガンドと複合させたRORβ−LBDのその他の結晶構造を得るための有用な手段であることが判明している。これは、RORβ−LBD/ATRA(全トランスレチノイン酸)の結晶化および構造決定の説明とともに下記に示されている。この新規な構造は、リガンドに対する結合の別の様式を示し、天然および合成のレチノイドがRORβのリガンド候補であることを示唆する。したがって、この化合物のファミリーは、RORβ−LBDとの結合について、例えば質量分析によって試験してもよく、肯定的な場合には、結晶化を試みてもよい。得られた構造から、高親和性リガンドを、デザインし、合成し、in vivo、in vitroならびに結晶化についても試験することができる。その他の複合体の結晶構造を用いずとも、リガンドスクリーニングのためのフィルタリングおよび/またはより優れたリガンドのデザインを、in computoでの結合研究を通じて達成することができる。
【0152】
RORβ−LBD/ATRA複合体の結晶化
RORβ−LBD/ATRA複合体を、懸滴方式での蒸気拡散によって晶出させた。タンパク質(ステアリン酸を含むRORβ−LBD、以前のとおり精製)を、過剰なATRAおよび過剰なSRC−1(残基686〜700)とともに、RORβ−LBD/STE(ステアリン酸)複合体についてと同様な条件下で共晶出させた。精製タンパク質(5.8mg/ml)2μlを等量の貯留槽液と混合することによって、4μlの液滴を調製した。貯留槽(500μl)は、18%PEG6000および100mMトリスHCl、pH=8.0を含んでいた。300x160x100μmの寸法の結晶が、22℃で2週間以内に成長した。
【0153】
データ収集
結晶を、粘稠なパラフィン油の薄膜で凍結保護し、次いで、液体窒素温度の液体エタン中で瞬間凍結した。X線回折データを、ESRF(Grenobel、フランス国)でのBM14−CRGというビームラインにて、凍結単結晶から液体窒素温度で収集した。結晶は、X線を2.1Åの分解能限界まで回折した。すべてのデータを集積し、DENZOおよびSCALEPACK(表5)を用いて測定した。20.0〜2.1Åのデータセットは、4.5%のRsym(I)で100%の完全性を示した。最高分解能シェル(highest resolution shell)(2.17〜2.10Å)における完全性は、17.5%のRsym(I)で100%であった。単位胞パラメーターは、a=52.199Å、b=58.125Åおよびc=106.039Å、a=b=c=90°であった。結晶は、非対称単位あたり一つの単量体を含み、52%の溶媒含有量を有した。ウィルソンプロットにより推計されたB因子は32であった。各軸沿いの系統的不在の検査は、空間群がP212121であることを示した。
【0154】
構造の決定および精緻化
複合体の構造を、RORβ−LBD/STE複合体を出発モデルとして用いて、分子置換によって解明した。Quanta(MSI)を用いて、全トランスレチノイン酸を構築した。2.1Åで精緻化された最終モデル(Rcryst=0.2180およびRfree=0.2549)(表5)は、RORβ−LBDからの244個の残基、ペプチドからの10個の残基、1個のリガンドおよび139個の水分子を含む。Procheckによれば、モデル中のすべての残基の91.2%が最も有利な主鎖捻れ角のラマチャンドラン領域に、5.9%が追加的許容領域に、2.1%が寛容的許容領域に、0.0%が非許容領域に存在する。
【0155】
ATRA(全トランスレチノイン酸)の結合
3.5Å以内のタンパク質−リガンド接触を、表6に列挙する。本構造は、それぞれの場合に水分子を通じてArg306およびArg309に水素結合された、ATRAのカルボン酸基に対する結合部位を示す(表6)。結合の態様は、直接Gln265にまた水分子を通じてGln228に水素結合されたステアラートのそれとは異なる(図7)。一方、ステアラートは、そのような接触の数を最大化するために、おそらくU字形をとるその柔軟な鎖のために、ポケット残基とのより多くのファンデルワールス接触を形成する。ATRAは、より剛性に富んでいて、より少ないファンデルワールス接触を可能にする。したがって、RORβ−LBDに対するリガンド結合において、ファンデルワールス接触と水素結合との間には、微妙な均衡があるように思われる。
【0156】
【表5】
Figure 2005505259
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【0157】
細胞培養および一過性トランスフェクション実験
HT22を、ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)中で培養した。培地は、5%脱脂ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびグルタミンで強化した。一過性トランスフェクションアッセイは、24穴プレート(1ウェルあたり0.5x105細胞)中、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルファート(DOTAP)のリポフェクション(Roche Molecular Biochemicals)により、製造者のプロトコルに従って実施した。ルシフェラーゼ活性を、Microplate Luminometer(EG & G Berthold)にて製造者(Promega)が推奨するとおりにアッセイした。相対的光単位を、[Muller et al., 2002]に従って正規化し、ブラッドフォード染料アッセイ[Bio-Rad]を用いて、タンパク質の濃度を決定した。実験は、すべて、少なくとも5回繰り返した。
【0158】
リガンド。購入したリガンドは、下記:全トランス[20−メチル−3H]レチノイン酸(65Ci/mmol)(NEN);全トランスレチノイン酸(Sigma)を包含した。
組換えプラスミド。レポータープラスミド:G5E1BTataLuc。発現ベクター:CMX−Gal、CMX−Gal−RORβ201−459、pGEX−RORβ201−459[Greiner et al., 1996に記載]。
【0159】
リガンド結合アッセイ。精製された細菌発現RORβ−LBD[Stehlin et al., 2001](250ng/ウェル)および全トランス[20−メチル−3H]レチノイン酸(60Ci/mmol、NEN)を、96穴NiNTAフラッシュプレート(NEN)中で100μlの総量にて、シンチレーション近接アッセイを実施した。結合緩衝液:40mMHEPES、pH7.6、40mMKCl、0.2%CHAPS、0.1mg/mlBSA。結合は、結合緩衝液100μl中4℃で1時間実施した。放射性リガンドは、結合緩衝液中で5nMの最終濃度まで希釈した。非標識化競合リガンドは、結合緩衝液中で系統希釈し、1nM〜10μMにわたる最終濃度で加えた。プレートを、25℃で2時間振盪した。次いで、Packard Topcountにより、2分/ウェルで放射能を測定した。すべての濃度を三回アッセイし、結果を平均した。競合物質を欠くウェルからの値は100%の結合を表す。飽和−結合実験は、図に示されたリガンド濃度を用いた。10-4Mの非標識化レチノイン酸を含ませることによって、非特異的結合を決定し、結合全体から減算した。Kdを決定するために、競合曲線についての非線形回帰分析、飽和結合およびScratchard分析を、GRAPHPAD PRISMを用いて実施した。
【0160】
Greiner, E.F., Kirfel, J., Greschik, H., Dorflinger, U., Becker, P., Mercep, A., and Schule, R. (1996)。レチノイドZ受容体β、すなわち脳特異性核内オーファン受容体の機能的分析。Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 10105-10110。Muller, J.M., Metzger, E., Greschik, H., Bosserhoff, A.K., Mercep, L., Buettner, R., and Schule, R. (2002)。転写コアクチベーターFHL2は、細胞膜からのRhoシグナルを核内に伝達する。EMBO J., 21, 736-748。
【0161】
表A:RORβ−LBD/ステアリン酸/SRC1ペプチド複合体の結晶学的座標
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【0162】
表B:RORβ−LBD/レチノイン酸/SRC1ペプチド複合体の結晶学的座標
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【0163】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】ステアラート。
【図2】ラットRORβ−LBDのヌクレオチドおよびポリペプチド配列。
【図3】囲まれた(αヘリックス)かまたは矢印で描かれた(β鎖)二次構造要素を伴う、クローニングされたとおりのラットRORβ−LBDの配列。ヒトRORβ−LBD、マウスRORα−LBD、ヒトRORα−LBD、マウスRORγ−LBDおよびヒトRORγ−LBDの配列も示す。 比較のため、結晶学的構造を解明するのに用いられた、ヒトRARγ−LBDの整列させた配列を示す。RORβの場合にステアリン酸結合に、またはヒトRARγ結合の場合にトランス型レチノイン酸に関与する残基が、太字で示されている。4オングストロームの区分以内の残基を円で囲んである。
【図4】RORβ−LBDおよびコアクチベーターペプチドのリボンスタイル図。リガンドのステアラートを棒球(ball-and-stick)の形として示す。
【図5】差分(2Fo−Fc)電子密度(1σ)。
【図6】ATRAカルボキシレート基と形成された水素結合ネットワークの詳細。
【図7】RORβ−LBDポケット内のステアラートとATRAとの重ね合わせ。
【図8】全トランス型レチノイン酸についての結合およびトランス活性化アッセイである。

Claims (21)

  1. 哺乳動物におけるレチノイン酸関連オーファン受容体(ROR)に由来するポリペプチドであって、そのN末端の先端において、図3に示したとおり、ラット、ヒトもしくはマウスのRORβ、αもしくはγの第1〜209位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られており、かつ、そのC末端の先端において、図3に示したとおり、ラット、ヒトもしくはマウスのRORβ、αもしくはγの第450〜452位に位置するアミノ酸によってか、またはα、βおよびγ以外のサブタイプおよび/もしくは他の哺乳動物の核内受容体RORの対応する位置にあるアミノ酸によって区切られていることを特徴とするポリペプチド。
  2. 上記受容体の配列のN末端部分の、初めの少なくとも約100〜200アミノ酸が欠失していることを特徴とする、請求項1記載のポリペプチド。
  3. 上記受容体のリガンド結合ドメイン、すなわちLBDの結合特性が維持されている、核内受容体RORに由来する、請求項1または2記載のポリペプチド。
  4. 哺乳動物、例えばヒトまたはラットの核内受容体RORβに由来するポリペプチドであって、この由来するポリペプチドが、請求項1〜3のいずれか一項に定義されたとおりのポリペプチド、例えば図3に示されるラットまたはヒトのRORβの配列の第201〜459位に位置するアミノ酸によって区切られているポリペプチドを含み、上記ポリペプチドが、図3に示したとおり、上記核内受容体RORβのアミノ酸配列の第454もしくは458位のシステインの少なくとも一方が、欠失しているか、または天然のものであるなしを問わず、別のアミノ酸、例えばアラニンもしくはセリンで置換されていることを特徴とする、ポリペプチド。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドであって、そのN末端の先端において、図3に示されたROR配列の第201〜209位の一つに位置するアミノ酸によって区切られており、かつそのC末端の先端において、図3に示されたROR配列の第451または452位の一方に位置するアミノ酸によって区切られている、哺乳動物のROR、より詳しくはラット、ヒトまたはマウスのRORβ、αまたはγのフラグメントに対応することを特徴とする、ポリペプチド。
  6. ・図3に示され、配列番号2に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号3に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号4に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号5に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号6に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号7に対応するマウスRORαの配列
    の第209〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    ・図3に示され、配列番号8に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号9に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号10に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号11に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号12に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号13に対応するマウスRORαの配列
    の第208〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    ・図3に示され、配列番号14に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号15に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号16に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号17に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号18に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号19に対応するマウスRORαの配列
    の第208〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    ・図3に示され、配列番号20に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号21に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号22に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号23に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号24に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号25に対応するマウスRORαの配列
    の第209〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    ・図3に示され、配列番号26に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号27に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号28に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号29に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号30に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号31に対応するマウスRORαの配列
    の第201〜451位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    ・図3に示され、配列番号32に対応するラットRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号33に対応するヒトRORβの配列、
    ・図3に示され、配列番号34に対応するヒトRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号35に対応するマウスRORγの配列、
    ・図3に示され、配列番号36に対応するヒトRORαの配列、
    ・図3に示され、配列番号37に対応するマウスRORαの配列
    の第201〜452位に位置するアミノ酸によって区切られたフラグメント;
    のうちから選ばれる、上記に定義されたとおりの請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. 下記の特性:
    リガンドに結合し、受容体RORのLBDをトランス活性化する特性を有すること、
    水性溶媒に可溶性であること、
    特に懸滴蒸気拡散法によって、より詳細には約4℃で、水性溶媒中で晶出できることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド、あるいは
    上記のものから、例えば1個または数個のアミノ酸の抑制、付加または置換によって誘導される、上記の特性を有するポリペプチドまたはペプチド配列。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む分子複合体であって、上記ポリペプチドが、アゴニストであるROR−LBDリガンド、例えばステアリン酸、またはROR−LBDのアンタゴニスト、例えばレチノイン酸と会合しているか、ならびに/あるいは
    約15〜20個のアミノ酸の配列を有し、コアクチベーターモチーフLXXLLまたはコリプレッサーモチーフ(I/L)XX(V/I)IもしくはLXX(H/I)IXXX(I/L)(ここで、Xは、天然のものであるなしを問わない、あらゆるアミノ酸を表す)を含むコペプチド、例えば転写のコアクチベーターのフラグメントの中から、特にp160ファミリーのフラグメント、より詳細にはコアクチベーターSRC1のフラグメント、例えばSRC1のフラグメント686〜700の中から、または転写のコリプレッサーのフラグメントの中から選ばれるコペプチドと会合している、分子複合体。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列。
  10. 請求項9記載のヌクレオチド配列であって、この配列の転写に必要な要素、特に転写のプロモーターおよびターミネーターに結合する配列。
  11. 請求項9または11記載のヌクレオチド配列を含む、ベクター、特にプラスミド。
  12. 請求項11記載のベクターで形質転換された、宿主細胞、例えば大腸菌。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項10記載の分子複合体を得る方法であって、
    請求項11記載のベクターを用いて、請求項9または10記載のヌクレオチド配列で宿主細胞を形質転換する工程と、
    こうして得られた請求項12記載の形質転換された宿主細胞を、適切な培地中で培養する工程と、
    得られた組換えポリペプチドまたは分子複合体を回収し、必要ならば精製する工程と
    を含むことを特徴とする方法。
  14. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項10記載の分子複合体を含む、結晶。
  15. 上記結晶が、少なくとも3オングストロームの分解能まで回折させ、その単位胞寸法の5%以内の結晶安定度を有することを特徴とする、請求項14記載の結晶。
  16. ROR−LBDが、オングストロームで下記の単位胞寸法:a=52.302Å、b=58.490Åおよびc=106.036Å、α=β=χ=90°、ならびに斜方晶系空間群P212121を有する、請求項14または15記載の結晶。
  17. 例えば、請求項13に記載された方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項8記載の分子複合体を、水性溶媒中で、特に4℃で懸滴蒸気拡散法によって晶出させる工程を含む方法を実施することによって得られる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の結晶。
  18. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10記載の分子複合体または請求項14〜17のいずれか一項に記載の結晶の使用であって、
    アゴニストであるROR−LBDリガンドもしくは上記受容体のアンタゴニストのスクリーニングのためか、または受容体の構造を摂動させ、コファクター(コアクチベーターおよびコリプレッサー)の動員およびその結果の遺伝子調節に効果を有するリガンドのスクリーニングのための方法、あるいは
    上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、特定の化合物とで形成される複合体の三次元構造の分析のための方法
    を実施するための使用。
  19. 中枢神経系、網膜組織、感覚信号の統合、運動能力および不妊に関連する病理の処置の体制に有用である、RORのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物のスクリーニングのための、請求項18記載の使用。
  20. アゴニストであるROR−LBDリガンド、または上記受容体のアンタゴニストをスクリーニングするための方法であって、下記の工程:
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項8記載の分子複合体または請求項14〜17のいずれか一項に記載の結晶を、有利には固体支持体に結合させて、ROR−LBDリガンドになりやすい特定の化合物に接触させる工程(好ましくは、上記ポリペプチド、分子複合体、結晶または試験されたリガンドは、例えば蛍光性、放射性または酵素性の標識で標識されている)と、
    上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、試験されたリガンドとの可能な会合を、使用済み標識を特に先行工程で用いた支持体を洗浄した後に測定することにより、または変性させない条件下での質量分析法により検出する工程と
    を含む方法。
  21. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項8記載の分子複合体または請求項14〜17のいずれか一項に記載の結晶と、ROR−LBDリガンドになりやすい特定の化合物とで形成された複合体の三次元構造を分析する方法であって、下記の工程:
    上記ポリペプチド、分子複合体または結晶を、上記特定の化合物に接触させる工程と、
    上記ポリペプチド、分子複合体または結晶と、試験されたリガンドとの間に形成された複合体を、特に蒸気拡散法を用いて晶出させ、そして特に分子置換法を用いて、上記複合体を三次元的に分析する工程、あるいは
    可溶性状態の上記複合体を、NMRなどの適切な方法を用いることによって、三次元的に分析する工程と
    を含む方法。
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