JP2003514579A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 ビタミンD核内受容体から誘導されるポリペプチドおよび特にビタミンD類似体のスクリーニングのためのその使用
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビタミンD核内受容体を有するヒトまたは異なる動物種におけるビタミンD核内受容体から誘導されたポリペプチドであって、核内受容体は、リガンド結合ドメインすなわちLBDを含み、このLBDは、可撓性挿入ドメインを含み、
該誘導されたポリペプチドが、下記:
−該核内受容体のペプチド配列:
*LBDの可撓性挿入ドメインが、少なくとも約30アミノ酸のか、更に好ましくは少なくとも約40アミノ酸のか、またはこの挿入ドメインを含むすべてのアミノ酸の置換または欠失によって修飾され、
*および、適切な場合には、該VDRのペプチド配列の位置1〜約125に、特に位置1〜117または123に位置する1以上またはすべてのアミノ酸が、置換または欠失によって修飾され、
該誘導されたポリペプチドが、下記:
*ビタミンD受容体のリガンド結合およびLBDトランス活性化特性が、保存され、
*それらは、安定であり、すなわち、特にpH7の100mM NaCl中で少なくとも約1週間で不安定な非修飾LBDとは対照的に、LBDの上述した特性に影響を及ぼさずに保存することができ、
*懸濁液滴蒸気拡散法によって、特に4℃で、それらを水性溶媒中で結晶化でき、
*それらが、水性溶媒中で可溶性である、
という特徴を有する、ペプチド配列、
−または、1以上のアミノ酸の特に欠失、付加または置換によって、上で定義されるペプチド配列から誘導されるペプチド配列であって、該誘導された配列が、該誘導されたポリペプチドの上述の特性を有する、ペプチド配列、
を含むことを特徴とする、誘導されたポリペプチド。
【請求項2】 区切られたペプチド断片が、欠失される、ビタミンD核内受容体のペプチド配列を含有することを特徴とする、請求項1記載の誘導されたポリペプチドであって、
−一方では、ヒトまたは動物起源のビタミンD核内受容体のペプチド配列の位置155〜175の1つにほぼ位置するアミノ酸により、更に詳細には、これらの配列の位置159〜168の1つに位置するアミノ酸により、
−および、他方では、ヒトまたは動物起源のビタミンD核内受容体のペプチド配列の位置204〜225の1つにほぼ位置するアミノ酸による、
誘導されたポリペプチド。
【請求項3】 −ヒトまたは動物起源のVDRのペプチド配列の位置118および427、または位置124および427の位置に位置するアミノ酸によって区切られ、VDRの該ペプチド配列の位置165〜215に位置する残基が欠失している、アミノ酸配列、
−または、特に1以上のアミノ酸の欠失、付加または置換によって上述のアミノ酸配列から誘導されたペプチド配列であって、誘導された配列が、請求項1記載の該誘導されたペプチドの上述の特徴を有するペプチド配列
を含むポリペプチドから選択される、請求項1または2記載の誘導されたポリペプチド。
【請求項4】 配列番号4、配列番号6および配列番号8のポリペプチドから選択される、請求項1〜3いずれか一項記載の誘導されたポリペプチド。
【請求項5】 場合により、ビタミンD、または作用性もしくは拮抗性ビタミンD類似体と結合し、請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチドを含む結晶。
【請求項6】 請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
【請求項7】 下記ヌクレオチド配列:
−配列番号3、配列番号5および配列番号7の配列、
−または、上述のヌクレオチド配列の遺伝的コードの縮重によって誘導され、請求項4記載のhVDRから誘導されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
−または、特に1以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加によって上述のヌクレオチド配列から誘導され、上で定義したhVDRから誘導されるポリペプチドから誘導されるペプチド配列をコードし、請求項1記載の上述した該誘導されたペプチドの特徴を有するヌクレオチド配列、
から選択される、請求項6記載のヌクレオチド配列。
【請求項8】 本配列の転写に必要な要素、特に転写プロモーターまたはターミネーターと結合した、請求項6または7記載のヌクレオチド配列を含む組換えヌクレオチド配列。
【請求項9】 請求項6〜8のいずれか一項記載のヌクレオチド配列を含むベクター、特にプラスミド。
【請求項10】 特にバクテリア例えば大腸菌、またはバキュロウィルスによって感染可能な昆虫細胞から選択される、請求項9記載のベクターによって形質転換された宿主細胞。
【請求項11】 下記工程:
−請求項9記載の組換えベクターによる細胞の形質転換、
−このようにして形質転換された細胞の培養および該細胞によって産生された該ポリペプチドの、場合により精製後の回収、
を含むことを特徴とする、請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチドの調製方法。
【請求項12】 ビタミンD類似体のスクリーニング方法を実施するための、請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチドまたは請求項5記載の結晶の使用。
【請求項13】 特に癌性症状、乾癬、自己免疫疾患、骨形成異常症、または骨粗鬆症の処置における医薬組成物に使用可能な作用性または拮抗性ビタミンD類似体のスクリーニング方法を実施するための、請求項12記載の使用。
【請求項14】 下記工程:
−試験済みの類似体による、有利には固体担体に結合された、請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチド、または請求項5記載の結晶の導入であって、有利には該誘導されたポリペプチドまたはビタミンD類似体の1つが、特に蛍光、放射性または酵素マーカーによってマーキングされている導入、
−特に前工程で使用した担体をすすいだ後に、使用したマーカーを測定することによる、該ポリペプチドまたは該結晶と試験済みの類似体との間のいずれかの結合の検出、
を含むことを特徴とする、ビタミンD類似体のスクリーニング方法。
【請求項15】 該ポリペプチドまたは該結晶と特定分子との間で形成された複合体の三次元構造を解析する方法を実施するための、請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチド、または請求項5記載の結晶の使用。
【請求項16】 請求項1〜4いずれか一項記載のポリペプチドまたは請求項5記載の結晶と特定分子との間で形成された複合体の三次元構造を解析する方法であって、下記工程:
−特定分子を含む、該誘導されたポリペプチドまたは該結晶の導入、
−該誘導されたポリペプチドまたは該結晶と特定分子との間で形成された複合体の、特に蒸気拡散による結晶化、および該複合体の、特に分子置換による三次元解析、
−または特にNMRによる、可溶相における該複合体の三次元解析、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はビタミンD核内受容体から誘導されるポリペプチド、これらのポリペプチドのヌクレオチド配列コード化、および特に合成ビタミンD類似体のスクリーニングでの、または、例えばGa14によって融合されるポリペプチドを含む構築物を使用した、ビタミンD受容体と相互作用する他のタンパク質(活性体、抑制体など)を識別する試験(例えば2倍または3倍ハイブリッドなど)の実施での、または結晶学またはNMR技術によって該ポリペプチドおよび特定の分子の間で形成される複合体の三次元構造の解析での、これらのポリペプチドの使用に関する。
【0002】
ビタミンD受容体(VDR)は、核内受容体(NR)の、スーパーファミリーに属するリガンド依存性の転写レギュレーターである(Mangelsdorf et al., 1995)。
【0003】
本科のメンバは、高度に保存されたDNA結合ドメイン(DBD)およびより可変的なリガンド結合ドメイン(LBD)を備えた同じモジュラー構造を有する(Mangelsdorf et al., 1995; Wurtz et al., 1996)。
【0004】
VDRは、レチノイン酸X受容体(RXR)を備えたヘテロダイマー形の標的遺伝子のプロモーター領域において、タイプDR3の対応する応答要素に結合し、転写コファクターおよび基底転写機構との相互作用によって、転写の活性化または抑制に至る(Deluca&Zierold, 1998)。
【0005】
ビタミンD代謝産物は、骨形成異常症、骨粗鬆症、乾癬、癌および自己免疫疾患に対する各種の治療で使用されるか、使用されることができる(Bouillon et al., 1995)。
【0006】
ビタミンD(または1α,25−ジヒドロキシビタミンD3または1,25(OH)23)によって生じる過カルシウム血症は、これらの臨床応用への天然リガンドの使用を制限し、二次効果を低減させることができる類似体の開発に至っている。
【0007】
hVDRのLBD配列は、ヒトγレチノイン酸受容体(hRARγ)およびヒトαレチノイン酸X受容体(hRXRα)の配列と比較すると、不完全に保存されている(それぞれ25%および17%がhVDRと同一)。
【0008】
ヘリックスH1およびH3を結合しているVDRのLBDでの挿入ドメインの存在は、VDRの代表的な特性を示す。本結合領域のサイズは、VDRのファミリーにおいて72〜81の間の残基で変動するが、他の核内受容体においては、15〜25の間の残基で変動する。
【0009】
以下において、各種VDRのペプチド配列に使用するアミノ酸ナンバリングシステムが、ヒトVDRのアミノ酸ナンバリングと一致することを強調する必要がある。本ナンバリングシステムは、以下の図1aで示すアライメントに基づいて、ヒトVDR以外の配列に明確に拡張することができる。
【0010】
本挿入ドメインの配列保存率は、非常に低い(hVDRのアミノ酸157−215の間で9%の同一性)。本領域は、プロテアーゼに接近可能であり、そして位置208のセリンのレベルでのリン酸化部位を含み、それについての機能的役割を明確にすることができていない。
【0011】
本ドメインの存在は、VDRのLBDの結晶化においてこれまでに発生した問題を説明することができた。実際には本ドメインは、かなり低い統計量を用いてごくわずかな短鎖を予測する二次構造解析で示すように、乏しく構造化されており、負に荷電した残基を非常に高いパーセンテージで含む。これらの2つの係数は、本ループへのコンフォーマーの数を増加させることができ、そのためにタンパク質の安定性に影響を及ぼし、結晶化プロセスを妨げる非特異的接触を促す。
【0012】
本発明は、可溶形のビタミンD核内受容体から誘導され、結晶化可能であるポリペプチドを提供することを目的としている。
【0013】
本発明は、提供することを意図するこれらの誘導されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および該ヌクレオチド配列を用いた適切な細胞の形質転換によって誘導される該ポリペプチドの調製の方法を提供することも目的としている。
【0014】
本発明は、ビタミンD類似体化合物をスクリーニングする新規方法および/またはこれらのポリペプチドおよび特定の分子との間で形成される複合体の三次元構造の分析を提供することも目的としており、該方法は、上述の誘導されたポリペプチドによって実施される。
【0015】
本発明は、上述の方法を実現するためのキットを提供することも目的としている。
【0016】
本発明は、ビタミンD核内受容体を有するヒトまたは異なる動物種におけるビタミンD核内受容体から誘導されたポリペプチドであって、核内受容体は、リガンド結合ドメインすなわちLBDを含み、このLBDは、可撓性挿入ドメインを含み、
該誘導されたポリペプチドが、下記:
−該核内受容体のペプチド配列:
*LBDの可撓性挿入ドメインが、少なくとも約30アミノ酸のか、更に好ましくは少なくとも約40アミノ酸のか、またはこの挿入ドメインを含むすべてのアミノ酸の置換または欠失によって修飾され、
*および、適切な場合には、該VDRのペプチド配列の位置1〜約125に、特に位置1〜117または123に位置する1以上またはすべてのアミノ酸が、置換または欠失によって修飾され、
該誘導されたポリペプチドは、下記:
*ビタミンD受容体のリガンド結合およびLBDトランス活性化特性が、保存され、
*それらは、安定であり、すなわち、特にpH7の100mM NaCl中で少なくとも約1週間で不安定な非修飾LBDとは対照的に、LBDの上述した特性に影響を及ぼさずに保存することができ、
*懸濁液滴蒸気拡散法によって、特に4℃で、それらを水性溶媒中で結晶化でき、
*それらが、水性溶媒中で可溶性である、
という特徴を有する、ペプチド配列、
−または、1以上のアミノ酸の特に欠失、付加または置換によって、上で定義されるペプチド配列から誘導されるペプチド配列であって、該誘導された配列が、該誘導されたポリペプチドの上述の特性を有する、ペプチド配列、
を含むことを特徴とする、誘導されたポリペプチドに関する。
【0017】
本発明は更に詳細には、上で定義したヒトまたは動物起源のVDRから誘導されるポリペプチドに関し、該誘導されたポリペプチドは、区切られたペプチド断片が欠失される該核内受容体のペプチド配列を含むという点を特徴とする:
−一方では、ヒトまたは動物起源のビタミンD核内受容体のペプチド配列の位置155〜175の1つにほぼ位置するアミノ酸によって、詳細には図1aに示すVDRのペプチド配列によって、更に詳細には、これらの配列の位置159〜168の位置の1つに位置するアミノ酸による。
−および他方では、ヒトまたは動物起源のビタミンD核内受容体のペプチド配列の位置204〜225のほぼ1つに位置するアミノ酸によって、詳細には図1aに示すVDRのペプチド配列による。
【0018】
本発明は更に詳細には、上で定義したような誘導されたポリペプチドに関し、該誘導されたポリペプチドは、
−ヒトまたは動物起源のVDRのペプチド配列の、特に図1aに示すVDRのペプチド配列の、位置118および427に位置するか、または位置124および427に位置するアミノ酸によって区切られ、VDRの該ペプチド配列の位置165〜215に位置する残基が欠失された、アミノ酸配列、
−または、特に1以上のアミノ酸の欠失、付加または置換によって、上述のアミノ酸配列によって誘導されるペプチド配列であって、該誘導ポリペプチドの上述の特性を有する該誘導された配列、
を含むポリペプチドから選択される。
【0019】
本発明は、更に詳細には、
−ヒト起源のVDRから誘導され、位置165および215に位置するアミノ酸によって区切られているペプチド断片が欠失されている、配列番号:4ポリペプチド、
−ヒト起源のVDRから誘導され、位置1および117に位置するアミノ酸によって区切られるペプチド断片、および位置165および215に位置するアミノ酸によって区切られるペプチド断片が欠失されている、配列番号:6のポリペプチド〔hVDR(118−427Δ165−215)とも称される〕、
−ヒト起源のVDRから誘導され、位置1および123に位置するアミノ酸によって区切られるペプチド断片、および位置165および215に位置するアミノ酸によって区切られるペプチド断片が欠失されている、配列番号:8ポリペプチド〔hVDR(124−427Δ165−215)とも称される〕、
から選択される、上で定義したような誘導ポリペプチドに関する。
【0020】
本発明は、上で定義したように誘導されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にも関する。
【0021】
本基本に基づく本発明は、更に詳細には、下記:
−図6、7および8によってそれぞれ表される、配列番号:3、配列番号:5および配列番号:7の配列、
−または、上述のヌクレオチド配列の遺伝的コードの縮によって誘導され、上で定義したhVDRから誘導されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
−または、特に1以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加によって、上述のヌクレオチド配列から誘導され、上で定義したhVDRから誘導されるポリペプチドから誘導されるペプチド配列をコードし、該誘導されたポリペプチドの上述の特性を有するヌクレオチド配列、
から選択されるヌクレオチド配列に関する。
【0022】
本発明は、後者の配列の転写に必要な要素、特に転写プロモーターおよびターミネーターに結合して、上で定義したヌクレオチド配列を含む組換えヌクレオチド配列にも関する。
【0023】
本発明は、上で定義したヌクレオチド配列を含むベクター、特にプラスミドまたはバキュロウィルスなどのウィルスにも関する。
【0024】
本発明は、上述したベクターによって形質転換される宿主細胞にも関し、該細胞は、特に、大腸菌などのバクテリアまたはバキュロウイルスによる感染が可能な昆虫細胞から選択される。
【0025】
本発明は、上で定義した誘導ポリペプチドの調製方法にも関し、該方法は、下記工程:
−上で定義した組換えベクターによる細胞の形質転換、
−そのように形質転換された細胞の培養および該細胞によって産生される該ポリペプチドの、場合により精製後の回収、
を含む。
【0026】
本発明は、ビタミンDに、またはビタミンD類似体、特に、高親和性、すなわち約10-6Mを超える親和性を有する該ポリペプチドに結合可能な任意のリガンドに結合した、上で定義したビタミンD核内受容体から誘導されるポリペプチドにも関する。
【0027】
本発明は、場合によりビタミンDまたはビタミンD類似体に結合し、上で定義したビタミンD核内受容体によって誘導されるポリペプチドまたはそれ自体結晶形で表されるポリペプチドにも関する。
【0028】
有利なことに、本発明の上述の結晶は、特に沈殿剤としての硫酸アンモニウムの存在下で、または他の沈殿剤の存在下で、蒸気拡散によって得られる。
【0029】
なお有利なことに、本発明の結晶は、X線結晶技術に使用できる。
【0030】
上述の結晶は、25Å未満のX線結晶学によって測定される分解能を達成することが可能であり、これにより、標的分子と受容体との間の相互作用の情報が原子レベルで提供される。
【0031】
本発明は更に詳細には、a=45.193Å、b=52.443Å、c=133.286Å、α=β=γ=90°による斜方晶系の空間群(P2111)に属することを特徴とする、1,25(OH)23との複合されたhVDR(118−427Δ165−215)の結晶に関する。
【0032】
本発明は、合成ビタミンD類似体をスクリーニングする方法を実施するための、場合により上述した結晶の形の、上で定義したポリペプチドの使用にも関する。
【0033】
本発明は、特に癌性症状、骨形成異常症、骨粗鬆症、乾癬および自己免疫疾患の治療の薬学組成物で使用可能な作用性または拮抗性ビタミンD類似体をスクリーニングする方法を実施するための、選択的に上述した結晶の形の、上で定義したポリペプチドの使用にも関する。
【0034】
本発明は、下記工程:
−試験を行う類似体またはコファクターによって有利に担体に結合した、場合により上述した結晶の形の、上で定義した誘導されるポリペプチドの導入であって、該の誘導されたポリペプチドまたはビタミンD誘導体の1つが、特に蛍光、放射性または酵素マーカーによって有利にマーキングされており、
−特に前の工程で使用した担体をすすいだ後の、使用するマーカーを測定することによる該誘導されたペプチドと試験された類似体間での任意の結合の検出、
を含む、ビタミンD類似体または補助因子をスクリーニングする方法に関する。
【0035】
本発明は、該ポリペプチドと特異性分子の間で形成された複合体の三次元構造の解析方法を実施するために、選択的に上述した結晶の形の、上で定義したポリペプチドの使用にも関する。
【0036】
これに基づいて、本発明は更に詳細には、選択的に上述した結晶の形の、上で定義したように誘導されたポリペプチドと、特定分子との間で形成された複合体の三次元構造の解析方法に関し、該方法は、下記工程:
−特定分子による、場合により上述した結晶の形の、上で定義したように誘導されたポリペプチドの導入、
−特に蒸気拡散による、該誘導されたポリペプチドと特定分子との間で形成された複合体の結晶化、および特に分子置換による、該複合体の三次元解析、
−または、特にNMRによる、溶液中での該複合体の三次元解析、
を含む。
【0037】
本発明は、上で定義したように、作用性または拮抗性となりうるビタミンD化合物の設計に上述の解析方法を応用することにも関する。
【0038】
本発明は更に詳細には、上述のスクリーニングプロセスの実施によって得られる作用性または拮抗性ビタミンD類似体はもちろんのこと、許容可能な医薬品ビヒクルとともに、これらの類似体を含む医薬組成物にも関する。
【0039】
本発明は、上述のスクリーニング方法または解析方法を実施するためのキット(またはパッケージ)にも関し、該キットは、上述のプロセスまたは方法を実施するための1つ以上の試薬とともに、場合により上述の結晶形の、上述のように誘導されたポリペプチドを含む。
【0040】
本発明は、hVDR誘導ポリペプチド(118−427Δ165−215)の以下に示す詳細な説明、そして結晶構造の解析およびそのように得られた誘導ポリペプチドの特性によって更に明らかにされる。
【0041】
図7に示す誘導ペプチド(VDR LBD突然変異体とも呼ばれる(残基118−427Δ165−215)とも称される)は、hVDR残基165〜215を欠失し(図1a)、ヘリックスH1およびH3を結合するために約30の残基を残すことによって、その可撓性挿入ドメイン内に調製された。
【0042】
VDR LBD突然変異体(残基118−427Δ165−215)は、大腸菌において過剰発現され、後述する方法に従って、親和性およびイオン交換クロマトグラフィにより、およびゲル濾過によって精製された。
【0043】
A) VDR LBD突然変異体118−427Δ165−215の発現および精製
突然変異VDR受容体(残基118−427Δ165−215)は、ヘキサヒスチジンタグを有するペプチドの形で過剰産生された。PCRによって増幅されたcDNAは、ベクターpET 15b(Novagen)のNdeI−BamHI部位にサブクローニングされた。次にプラスミドは、XL−1ブルー大腸菌バクテリア内で増幅され配列を検査し、過剰発現のためにBL21DE3大腸菌バクテリアに導入された。200μg アンピシリン/mlを含む200mlのLBの予備培養物を、200μg アンピシリン/mlを含む6x1LのLBに接種した。細胞は、0.6の吸光度まで37℃にて培養し、次いで、培養物に1mMのIPTGを添加して、20℃にて6時間、タンパク質の発現を誘動させた。細胞を、超遠心分離によって分離し、−80℃にて保管した。
【0044】
1Lの培養物を意味する細胞残留物は、20mM Tris pH8.0、250mM NaCl、5mMイミダゾール、5%グリセリン、0.5μg/mlプロテアーゼ阻害剤混液、1mMβ−メルカプトエタノールおよび1mM PMSFを含む25mlの緩衝液に入れられた。細胞の溶解は、超音波処理によって実施され、粗抽出物は、1時間30分、45Kでの超遠心分離によって得られた。精製は、3つの工程で実施された。最初に粗抽出物を、金属親和性カラム(Talon,Clonetech)に詰めた。洗浄後、20mM Tris pH8.0、250mM NaCl、150mMイミダゾールおよび5%グリセリンを含む緩衝液によってタンパク質を溶出させた。次にタンパク質を、Centiprep 30によって濃縮し、20mM Tris pH7.5、50mM NaClおよび5mM DTTを含む4倍の体積の緩衝液で希釈した。サンプルを、次にアニオン性交換カラムQ15(Sartorius)に詰め、NaCl勾配(0→1M)によって溶出させた。ヘキサヒスチジンタグを切断するために、タンパク質を、5mM CaCl2の存在下で、4℃で12時間、トロンビンによって消化させた(タンパク質1mgにつき1単位)。最後にタンパク質を、10mM Tris pH7.0、100mM NaCl、10mM DTTによって平衡させたSuperdex 75 16/60 濾過ゲル(Pharmacia)に加え、同じ緩衝液で溶出させた。次にリガンドを過剰に添加し、4℃にて12時間、タンパク質ともにインキュベートした。次いで複合体を、結晶化のためにCentricon 30によって濃縮した。
【0045】
精製されたタンパク質の量は、2mg/l の培養物であった。タンパク質の品質および均一性を、変性および未変性条件での電気泳動によって分析した。タンパク質は、95%を越えて純粋であり、単一バンドが未変性ゲルで観察された。タンパク質は、ゲル濾過の溶出および光拡散測定によって単一であった。タンパク質濃度を、ブラッドフォード方法におよび分光測定法によって測定した。サンプルは、光拡散測定によって単分散であった。
【0046】
B) VDR 118−427Δ165−215の解析および特性。
1,25(OH)23に結合する突然変異タンパク質の量を、組換タンパク質の粗抽出物を使用して、スキャッチャード法によって測定した。(図2a:スキャッチャード解析を、デキストラン/炭素に対して実施した;野生型または突然変異体hVDR/pET 15bを発現するBL21大腸菌(DE3)の粗抽出物を、1000倍に希釈し、20mM Tris、250mM NaCl、5mMジチオスレイトール(DTT)、10%グリセリン中で(3H−26、27、Amersham)1,25(OH)23の量を増加させながら、4℃にて16時間インキュベートした;インキュベーションの後、25μlのデキストラン/炭素(1.5%)を、25μlのタンパク質混合物に添加した;5分後に、管を13,000rpmにて5分間遠心分離した;結合リガンド(B)の濃度を、上清に対する液体シンチレーション計数法によって測定した;リガンド総濃度を、デキストラン/炭素の添加前に、15μlタンパク質混合物に対する液体シンチレーション計数法によって測定した;Uは、未結合リガンドを示す;各点は、3つの値の平均を示す:結果を、Claire et al., 1978が述べた方法による、最小2乗非線形法によって解析した;実線による曲線および点線の曲線はそれぞれ、誘導突然変異ポリペプチドと野生型タンパク質で得られた実験結果に相当し、誘導突然変異ポリペプチドのパラメータとしてN=0.073±0.006nM,Kd=0.37±0.05nM,β=0.058±0.002を、野生型タンパク質のパラメータとしてN=0.10±0.01nM,Kd=0.55±0.08nM,β=0.051±0.003、更にN=部位数、Kd=解離定数およびβ=非特異性結合を用いた。実験は、2回繰り返した。
【0047】
有意な変化は、野生型および突然変異体のVDR解離定数の間では見られず、値は受容体全体について以前に述べられた値と類似していた(Bouillon et al., 1995)。2つのタンパク質のトランス活性化特性を比較するために、野生型および突然変異体LBDを、GAL4酵母活性体DNA結合ドメインで融合した。キメラタンパク質を、Cos細胞への形質移入によって発現させ、そして、トランス活性化をGAL4に対応する適切なリポータによって測定した。2つのタンパク質は、本系において匹敵するトランス活性化特性を有する(図2b:野生型または突然変異体VDRのLBDは、ベクターPXJ440のXhoI−BamHI部位への、cDNAのクローン化によって、GAL4(1−147)酵母活性体DNA結合ドメインにて融合された(Xiao et al., 1991);Cos細胞は、2μgの17m5−TATA−CATリポータ遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼを発現する2μg内部制御組換体pCH1 10lacZ(Pharmacia)およびhVDRの野生型または突然変異体LBDを含むベクター(250ng)を用いて、Xiao et al., 1991、が述べた方法によって形質移入して、DNA支持体と合わせて合計20μgになった。細胞を、EtOHまたは1,25(OH)23 10-7Mによって処理した。β−ガラクトシダーゼの同じ単位で標準化したCAT活性は、1,25(OH)23の存在下で、野生型VDRによって誘起されるCAT活性(100%)について発現された。
【0048】
結果的に、挿入ドメインの欠損は、リガンド結合、RXRαのLBDによるトランス活性化または二量体化に対して大きな影響を及ぼさなかった。
【0049】
VDR LBDにおける可撓性挿入ドメインの欠失によって、より可溶性のタンパク質が生成し、それは1,25(OH)23との複合体の形で結晶化できる。沈殿剤として硫酸アンモニウムを使用する蒸気拡散技術によって、結晶を得ることが可能である。結晶構造は、部分的なRARγ模型を用いた、分子置換の組合せ(Renaud et al. 1995; Klaholz et al., 1998)および水銀誘導体による同一構造置換によって解明された。得られた結果を、以下の表1に要約した。
【0050】
【表1】
Figure 2003514579

【0051】
表1:結晶化実験は、懸濁した液滴蒸気拡散法を用いて4℃にて実施した;タンパク質を、4〜10mg/mlに濃縮した;1,25(OH)23と複合したhVDR結晶(118−427Δ165−215)を、0.7M硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム1.4M Mes 0.1M pH=6.0を含むリザーバーに対して平衡にされた緩衝液Mes 50mM pH6.0,Tris 5mM,DTT 5mMを含む溶液から、4日後に得られた;結晶は、a=45.193Å、b=52.433Å、c=133.286Å、α=β=γ=90°、斜方晶系空間群(P2111)に属した;非対称単位は、モノマーを1個含んだ;結晶の溶媒含有率は、48%であった;ウィルソン方法を使用して推定されたB−因子は、29であった。重原子誘導体を、チメロサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)に結晶を4日間浸漬することによって得た;天然結晶のX線拡散の結果を、ハンブルグシンクロトロンビームラインBW7Bで、4℃にて測定した;結果を、DENZOおよびSCALEPACKソフトウェアを使用して処理した(Otwinoswski et al., 1997);初期位相は、初期モデルとしてRARγを使用して、AMOREによる分子置換によって得た(Navaza et al., 1994);本モデルは、保存されたヘリックスH1、H3−H5、H7−H10を含んだ(図1a);AMORE剛体置換の後、溶液は、31%の相関および53.6%のR因子を有した;回折データが4℃にて研究所のMar Research二次元画像検出器に登録されている水銀誘導体を使用して得られた位相によって完了された;誘導された部位が発見され、SOLVEソフトウェアを使用して純化された(Tervilliger et al., 1987)。
【0052】
合わせた相によって得られたマップを、溶媒補正を使用した3Åの分解能で計算した。純化を、CNSソフトウェアを用いて実施した(Brunnger et al., 1998)。Oソフトウェア(Jones et al., 1991)および最小2乗最小化を用いたモデル構築サイクルの後には、最終モデルに至る個別のB因子異方性純化が続いた。20および1.8Åの間の結果はすべて、カットオフ域値なしの純化に含まれた。第1水和層における溶媒分子を、CNSソフトウェアを用いて、3σでF−Fマップに配置された。最大のB-因子の値(40−50)は、H1前のループ内の残基、接合およびループH9−H10およびH11−H12内の残基に一致する。最終モデルの品質を、PROCHECKソフトウェアを使用して解析した(Laskowski et al., 1993)。Ramachadranの角度分布は、92.4%の最も好都合のコンホメーションと7.6%の認可されたコンホメーションを示す。
【0053】
最終モデルは、250個の残基、166個の水分子および1個のリガンド分子を含む。最初の2個のN末端残基および最後の4個のC末端の残基には、明確な密度は観察されなかった。3個の追加の残基、H9−H10ループ内の375〜377は、本領域の電子密度マップが中位の品質であるため、純化に含まれなかった。
【0054】
VDR LBD(図1b)の全体的なトポロジーは、核内受容体の他のLBDと同様であり、13個のヘリックスが3つの層と3個の鎖を持つβシートに挟まれている。命名は、hRXRαの構造に基づく(Bourguet et al., 1995)。ヘリックスH1およびH3を結合しているドメインは、2個の小さなヘリックスH2およびH3n含む。新規のヘリックスH3nは、構造の基部を形成し、RARγの構造内のΩループにとって代わる。接合点に位置する3個のグリシン残基(162−164)の固有の可撓性は、穏やかな適合を示す。
【0055】
3個の残基のこの断片は、リガンドからむしろ遠く、結果的にリガンド結合での役割を果たすとは思えない。VDR構造は、作用物質と複合したRARγの構造により近い。タンパク質は、179個の残基(Cαに対する2.5Åのカットオフ域値)上に、1.2Åのrmsdが重ね合わされ、除外された領域は、H3にH1を結合しているペプチド、β2鎖、H6ヘリックスおよび一部の結合ループである。
【0056】
最も顕著な相違は、ヘリックスH1とH3との間の結合のレベルで発見され、RARγにおいてはβシートを包囲し、VDRにおいては、ERαのそれと同一である、H3とβシート末端との間の経路に続く(Brzozowski et al., 1997)。結果的に、βシートの末端は、外側に代わり、ビタミンD結合空洞(図3aおよび3b)を拡大する。すべてのβ鎖は、リガンドと接触する残基を有する。β1鎖において、VDR受容体に特異的なTrp 286は、リガンドの位置決めで重要な役割を奏する。それ自体は水素結合によって、Gln 317およびMet 272のカルボニルに結合されるSer 275を含む、水素結合ネットワークの一部を形成する。このようにβシートの末端は、ヘリックスH2およびH3nとの間の結合ループの、Glu 292およびLys 294、ならびにArg 158の間のカルボニル基の間の水素結合によって安定する。
【0057】
位置決めが同時活性化およびトランス活性化結合にとって重要であるヘリックスH12は、作用物質位置にある(図3c)。ヘリックスは、疎水性接点(H5のIle 268およびH12のPhe 422)および極性相互作用によってこの方向で安定化される。これらの最後の相互作用は、保存されたLys 264−Glu 420のブリッジならびにH3のSer 235とThr 415との間の水素結合を含む。更に、H11−H12ループのMet 412およびLeu 414のカルボニル基はH結合によって、それ自体でAsp 232(H3)とのH結合を形成するArg 154(H12の末端)に結合される。これらの残基はすべて、VDR受容体に保存される。塩類ブリッジを確立する残基Lys 264およびGlu 420の誘導された突然変異誘発は、これらの突然変異がリガンドに依存したトランス活性化を抑制するが、リガンド結合、RXRまたはDNA結合によるヘテロ二量体化に対する影響を及ぼさないことが示されている(Nakajima et al., 1998)。
【0058】
強い結晶性接点は、ヘリックスH3nならびに対称結合分子のヘリックスH3、H4およびH12との間で見られる(図3d)。H3nは、PPARの三元複合体で見られたペプチドSRC1の接点を模倣しているが(Nolte et al., 1998)、大半の活性化補助因子で見られるモチーフLXXLLを含まない。このヘリックスは、H3n(Ser 216,Val 217およびThr 218)のN末端領域とGlu 420(H12)との間のH結合にわたる極性接点によって固定される。ヘリックスH3nのC末端の領域で、Ser 222はLys 246(ヘリックスH3の末端)に、水素結合によって結合される。この溶解素の機能的重要性は、トランス活性化に強い影響を及ぼすグリシン内への突然変異によって証明された(Whitfield et al., 1995)。残基Lys 246およびGlu 420との間に、ヘリックスH3、H4およびH12によって、疎水性空洞が形成される。ヘリックスH3n(Val 217、Thr 218、Leu 219、Leu 221およびSer 222)の残基は、ファンデルワールス結合によって、Ile 242(H3)、Ile 260(H4)、Leu 417およびVal 421(H12)に接触している。この観察結果は、核内受容体の認識プロセスにおいて、LXXLL以外の配列を考慮する必要があることを示している。
【0059】
天然リガンドへのVDRの結合の構造により、活性ビタミンDのコンホメーションに関する多くの曖昧点や疑問の解明が可能となってきた。ビタミンDの自由分子の結晶学的構造との比較(Suwinska et al., 1996)によって、2個のリガンドが核A、CおよびDについて同一のコンホメーションを有することが示されている(図4a)。最も評価できる相違は、複合体における共役トリエンの非平面形状であり、その形状は受容体に固定するために必要なリガンドの、湾曲した形によるものである。リガンド結合ポケットには、支配的な疎水性残基が接している(図4bおよび4c)。伸張されたリガンドは、ヘリックスH5のC末端に向けられた核A(図3bおよび3c)とヘリックスH7およびH11の近くにヒドロキシル25基を備えたヘリックスH3を含む。メチル27基は、ヘリックスH12(Val 418)との、弱い相互作用を生じる。核Aのヒドロキシル基、1−OHおよび3−OHのヒドロキシル−25部分を隔てている距離はそれぞれ、13Åおよび15.4Åである。
【0060】
複合体において、核Aは、それぞれ赤道方向および軸方向の基1−OHおよび3−OHによってひとまとめにされたコンホメーションBをとる。位置1のヒドロキシル部は、Ser 237(H3)およびArg 274によって2個のH結合を形成するが、基3−OHはSer 278(H5)および哺乳類のみで保存されるTyr 143によって2個のH結合を形成する。Arg 274は、H1末端に水分子およびThr 142のカルボニルを有する、H結合の堅固なネットワークに含まれている(図4c)。
【0061】
核AおよびCを結合している共役トリエン(図4a)は、片側はSer 275(H5−βループ)およびTrp 286(β1)、反対側はLeu 233(H3)で挟まれた疎水性管内に位置している。単結合C6−C7は、平面形状から30%編位しているトランスコンホメーションを有する。この編位は、結合C6−C7のトランスまたはシス立体コンホメーションを有する類似体に生物活性が欠けていることを説明する(Norman et al., 1997)。疎水性残基は、排他的な方法でこの鎖を囲む。ヒドロキシル25基は、H結合によって、His 305(H6−H7ループ)およびHis 397(H11)に結合する(図4)。ヒスチジン残基周囲のH結合ネットワークは、His 305およびHis 397がそれぞれH結合受容体および供与体であることを示している。Ser 306を除く、H結合ネットワークに含まれるすべての残基は、VDR内で保存される。ビタミンD耐性くる病素因に見られる天然突然変異体、Arg 273LeuおよびHis 305Gln(Kristjansson et al., 1993)は、それぞれ1−OHおよび25−OHの固着に関与する、Arg 274およびHis 305のリガンドへの結合に関する役割が不可欠であることを確認する。
【0062】
リガンド1,25(OH)23がエストラジオール、プロゲステロンおよびすべてのトランスレチノイン酸より大きいという事実により、VDRリガンド結合ポケットは、ER(369Å3)、PR(427Å3)およびRARγ(421Å3)のものよりも大きい(697Å3)(図4d)。しかし、それぞれ、63%、67%および66%であるエストラジオール、プロゲステロンおよびすべてのトランスレチノイン酸と比較すると、1,25(OH)23はVDRリガンド結合のわずか56%しか占めていないため、サイズの増大は比例していない。
【0063】
VDR空洞の接近できる体積は、核Aの位置2の近くでポケットの膨張を示しており、2個の水分子に占有され、40Å3を示す。この付加的空間は、実際に天然リガンドより4倍大きな結合親和性を有する合成リガンド2αメチル1,25(OH)23の、巨大なメチル基を受容することができる(Fujishima et al., 1998)。更に、脂肪族鎖の周囲に更に隙間があるため、異なる鎖長に適応することが可能である。
【0064】
いくつかのビタミンD類似体は、共活性体のトランス活性化および動員に関して、天然リガンドとは異なる挙動を示している(Takeyama et al., 1999; Rachez et al., 1998)。この特異性を理解するために、予備的なリガンドモデル化研究を実施した。位置17に、MC 903などの(22エン−26,27−シクロプロピル−1α、24S(OH)23またはEB 1089(22,24ジエン−24,26,27,トリホモ1α,25(OH)23)(それぞれ1個または2個の二重結合)かなり堅固な脂肪族鎖を有する合成リガンドは、1,25(OH)23の形状をごくわずかに調整することによって、結合ポケットに適応することができる。核CおよびDは、EB 1089の位置26および27のメチル基またはMC 903のシクロプロピル核を収容するために、置換のみが必要である。類似体20−エピ−1,25(OH)23およびRH 1060の場合、C20周囲の左の逆コンホメーションを有する、低エネルギーコンホーマーのみが適用できる。このような形状によって、C21のメチル基は、天然リガンドと同じ空洞内に向いているが、残りの鎖は、C20−C22の逆コンホメーションおよびC20のエピマー化の組合せによって、結合空洞の反対側に接している。このようなパス変化は、2個のエピマーの異なる接点を生じさせる。1−ヒドロキシル部から25−ヒドロキシル部への距離は、20−エピ類似体においてよりも短いため、その長鎖はKH 1060の場合と同様に適用できる。より長い脂肪族鎖を備えたリガンドは、より小型のコンホメーションをとり、結合空洞ともに更なるファンデルワールス接点を形成し、この接点が次に、位置H12のヘリックスを安定させ、および/またはH6−H7ループのように、結合ポケットのあまり堅固でない領域に影響を及ぼすことができる。
【0065】
かなり堅固な結合空洞とのこれらの各種接点は、半減期および転写活性の相違を説明することができる。
【0066】
ビタミンDの構造は、ここ10年間、多数の研究の主題であった。本発明は、活性コンホメーションにおける1,25(OH)23像を初めて提供する。1,25(OH)23の天然側鎖は今まで、新しい特異的な作用性リガンドを発見する目的とした化学修飾の主要な標的であった。
【0067】
リガンド結合能を失わずに、核A、Dで構成された骨格を修飾することは、不可能であった。Cおよび/またはD核全体を欠いているが、ヒドロキシル基の正常間隔を有する類似体は、結合ポケット内部で正常接点を形成でき、それらの正常な生物学的能力を説明している(Verstuyf et al., 1998)。
【0068】
本発明による複合体は、1,25(OH)23の周囲の結合ポケットの三次元配列を開示し、原骨格の設計に関する新しい展望を提供する。
【0069】
【表2】
Figure 2003514579

Figure 2003514579

Figure 2003514579

【図面の簡単な説明】
【図1a】
異なる種のVDRのペプチド配列のアライメント(hVDR:homosapiens〔ヒト〕のVDR;bVDR:bos taurus〔ウシ〕のVDR;gVDR:gallus gallus〔ニワトリ〕のVDR;rVDR:ratus norvegicus〔ラット〕のVDR;mVDR:mus musculus〔マウス〕のVDR;cVDR:cotumic japonica〔ウズラ〕のVDR;xVDR;xenopus laevi〔アフリカツメガエル〕のVDRと、ヒトRXRα〔hRXRα〕およびヒトRARγ(hRARγ)配列。欠失されたVDRの挿入ドメインは、ボックス内である。
【図1b】
hVDRのリガンド結合ドメインのドメインの一般的コンホメーション;ヘリックスを円筒によって表し、βシートを矢印によって表す。
【図2a】
1,25(OH)23の、野性型hVDRのLBDに対する結合(118−427;三角形で示される点線の曲線)およびhVDRから誘導される突然変異体のLBDに対する結合(118−427Δ165−215;菱形によって示される完全な曲線)の、スキャッチャード分析;1,25(OH)23のマークがついた結合の量は、横軸にnMで表され、結合(B)または未結合(U)野生型LBDの間のB/U比は縦軸に示される。
【図2b】
野性種hVDRのおよび突然変異体hVDRのCAT活性;これらの活性は、パーセンテージとして縦軸に示される;カラム1は、野性型(野生類)hVDRのおよび突然変異体(断端)hVDRの、ビタミンD(VD)の不在下で測定されるCAT活性と一致する;カラム2は、VDの存在下、ならびに野生型hVDRおよび突然変異体hVDRの不在下で測定されたCAT活性に一致する;カラム3は、野生型hVDRの存在下、ならびにVDおよび突然変異体hVDRの不在下で測定されたCAT活性に一致する;カラム4は、VDおよび野生型hVDRの存在下、ならびに突然変異体hVDRの不在下で測定されるCAT活性に一致する;カラム5は、突然変異体hVDRの存在下、ならびにVDおよび野生型hVDRの不在下で測定されるCAT活性に一致する;カラム6は、突然変異体hVDRならびにVDの存在下、ならびに野生型hVDRの不在下で測定されるCAT活性に一致する。
【図3a】
RARγのβシート領域の表示、
【図3b】
上記のRARγのβシート領域との同じ方向のVDRのβシート領域の表示、
【図3c】
VDRのヘリックスH12の分子内相互作用の表示、
【図3d】
VDRのLBDおよび対称的に、結合された分子のヘリックスH3nとの間の界面。
【図4a】
1,25(OH)23の図、
【図4b】
hVDRリガンド結合ポケットの線図、
【図4c】
1σで電子密度の輪郭を描いたビタミンD、
【図4d】
リガンドの空洞。
【図5】
野生型hVDRをコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)、および野生型hVDR(配列番号:2)のペプチド配列
【図6】
hVDR(1−427Δ165−215)より誘導された突然変異体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号:3)、および該ポリペプチドのペプチド配列(配列番号:4)、
【図7】
hVDR(118−427Δ165−215)より誘導された突然変異体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号:5)、および該ポリペプチドのペプチド配列(配列番号:6)、
【図8】
hVDR(124−427Δ165−215)より誘導された突然変異体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号:7)、および該ポリペプチドのペプチド配列(配列番号:8)。
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