JP2005504269A - 機械類の予測保守のための振動分析 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
発明の分野
一般に、本発明は機械類における振動分析に関し、特に、回転し、往復運動し周期的な機械類における予測保守のための振動分析に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
予測保守のねらいは、設備の使用可能性を維持し、かつ、設備が停止され得る前に設備の他の構成要素に激しい損傷を結果として引き起こし得る破滅的な故障を避けることである。しばしば、破滅的な故障を避けることにより、取り換えるべき構成要素の数が低減される。さらに、予測保守は、設備の非稼働時間が予測できスケジュール化できるという利点がある。よって、スケジュール化されない非稼働時間を最小にでき、予備の部品の調達によって生じる得る遅れを回避できる。
【0003】
回転し往復運動する機械類は、産業界では非常によく見かけられる種類の設備であり、そのため、振動分析、赤外線サーモグラフィ及びオイル分析を含めて、このような設備の予測保守プログラムを助ける技術について、幅広い研究が行われてきた。
【0004】
振動分析において用いられる既知の2つの技術として、時間同期平均化(Time Synchronous Averaging)(TSA)と次数追跡(Order
Tracking)が挙げられる。これら両方の技術は、実際の又は潜在的な故障状態を示す振動サインを検出するために、従来の高速フーリエ変換(FFT)と共に用いられ、分析用の振動データの周波数スペクトルを作る。
【0005】
様々な振動分析技術が十分に文書化されており、破滅的な故障の予測における立証された成績を有している。しかしながら、ほとんど注目されてこなかった領域は、特に回転及び往復運動の機械類において見受けられるような頻繁に逆転する駆動装置の分析である。設備が加速又は減速している間に設備の振動を首尾よく分析する技術や、順方向と逆方向における振動サイン間の弁別の技術は、現在知られていない。一つの理由は、システム力学が速度、方向と共に、及びより重要なものとして負荷と共に変わるからである。頻繁に逆転する駆動装置の分析が制限されることの別の理由は、設備が定速度で運転している期間が実行すべき振動分析にとっては通常は不十分なことである。
【0006】
従って、頻繁に逆転する回転、往復運動及び周期的機械類に適用できる振動分析技術に対する必要性が存在する。ドラグライン、ショベル、巻揚げ機及びクレーンは、TSAや次数追跡などの先進的な振動分析技術を組み込んだ上首尾の予測保守ストラテジーから明らかに恩恵を受けうる回転及び往復運動する機械類のほんのいくつかの例である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明の第1の態様によると、
可逆駆動装置における振動サインを検出する方法であって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するステップ;
前記データの一部を識別するステップ;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するステップを含み、
データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係する前記方法
が提供される。
【0008】
本発明の別の態様によると、
可逆駆動装置における振動サインを検出するためのシステムであって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するためのトランスデューサ手段;
前記データの一部を識別するためのプロセッサ手段;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するためのプロセッサ手段
を備え、データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係することを特徴とする、前記システム
が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によると、
コンピュータ読取り可能な媒体を備え、可逆駆動装置における振動サインを検出するためのコンピュータプログラムをその中に記録しているコンピュータプログラムプロダクトであって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記データの一部を識別するためのコンピュータプログラムコード手段;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するためのコンピュータプログラムコード手段
を含み、データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係する、前記コンピュータプログラムプロダクト
が提供される。
【0010】
本発明の一実施態様によると、データの識別された部分は、可逆駆動装置の動作の実質的に一定の速度を表す。このデジタルデータは、一定の時間間隔のサンプリングレート又は駆動装置の速度に同期した可変サンプリングレートのどちらかにてサンプリングされたデータを含み得る。一定の時間間隔のサンプリングレートにてサンプリングされたデータは、再サンプリングされたデータの連続した各サンプルが可逆駆動装置の連続した位置に対応し、かつ、連続した部分の各々の間の距離が一定量となるように、再サンプリングし得る。この距離は、角度距離とすることもできる。
【0011】
好ましくは、データの識別した部分の各グループにおける連続した各サンプルは、可逆駆動装置の連続したサンプル位置に対応する。
【0012】
好ましくは、データの識別した部分のグループの少なくとも1つは、1以上の振動サインを表すデータを生成すべく処理される。この処理ステップは、以下のステップ、すなわち
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間ドメインの平均を累算(accumulating)するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて角度ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて周波数ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均時間波形を計算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均の周波数スペクトルを計算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数の追跡された周波数スペクトルを計算するステップ;
累算された時間ドメイン平均の尖度を計算するステップ;
累算された角度ドメイン平均の尖度を計算するステップ;
時間同期した平均時間波形の尖度を計算するステップ;及び
前記グループの一つを含んだ前記データについて復調された周波数スペクトルを計算するステップ
のうちの1以上を含み得る。
【0013】
以下、本発明の特徴及び好適実施態様を添付図面を参照して説明する。
図1は、可逆駆動装置に適用する振動分析の方法を示すフローチャートである。
図2は、本発明の実施態様において関心あるシャフトの回転方向及びトリガーポイントの決定について示すタイミング図である。
図3は、大歯車の一部の斜視図であり、歯の一般的な劣化を示している。
図4は、図3に示された歯の拡大斜視図である。
図5は、図4に示された大歯車について500回平均後のTSA時間波形図である。
図6は、図3の大歯車の一部の斜視図であり、特定の歯の劣化を示している。
図7は、図3の大歯車について500回平均後のTSA周波数スペクトル図である。
図8は、大歯車について500回平均後のTSA時間波形図であり、図3の大歯車より劣化が軽いことを示している。
図9は、図8に示された大歯車の一部の斜視図である。
図10は、図9に示された特定の歯の拡大斜視図である。
図11は、図8に示された大歯車の別の歯の拡大斜視図である。
図12は、図8に示された大歯車について500回平均後のTSA周波数スペクトル図である。
図13は、摩擦巻揚げ機の入力シャフト上の大歯車について、入力シャフトの出力側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後のTSA時間波形図である。
図14は、図13に示された大歯車の一つの歯の上の大きな圧痕の斜視図である。
図15は、図14の拡大図である。
図16は、図13に示された大歯車について、入力シャフトの駆動装置側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後のTSA時間波形図である。
図17は、図13に示された大歯車について、入力シャフトの出力側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後の次数スペクトル波形図である。
図18は、重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は4回平均後、他方は4000回平均後のものである。
図19は、4000回平均後のTSAと、x軸に示された平均回数後のTSAとの間の相関係数の図である。
図20は、重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は63回平均後、他方は4000回平均後のものである。
図21は、漏れ値を決める修正アルゴリズムを適用後の、平均回数の関数としての漏れ値の図である。
図22は、平均回数の関数としての大きさの平均差の図である。
図23は、重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は100回平均後、他方は4000回平均後のものである。
図24は、重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は500回平均後、他方は4000回平均後のものである。
図25は、本発明の実施態様を実施し得るコンピュータシステムのブロック図である。
図26〜30は、図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
図31、32及び33は、中間の埋没シャフトを追跡するためのソフトウエアプログラムコードの視覚的な表現である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
詳細な説明
以下、機械類における振動分析のための方法、装置及びコンピュータプログラムプロダクトを開示する。本発明による方法、装置及びコンピュータプログラムプロダクトの原理は、一般に可逆駆動装置を組み込んでいる回転及び/又は周期的機械類に対して一般に適用できる。しかしながら、記載した方法、装置及びコンピュータプログラムプロダクトに本発明が限定されることは意図していない。例えば、本発明の特徴は、複数の定速度の設定を行う可変速度の駆動装置や、速度を変える駆動装置に適用できる。速度を変える駆動装置の場合には、該装置の加速や減速の周期が分析に含まれる。本発明の特徴はまた、いくつかの異なった方位に方向を変える設備にも適用できる。例えば、この設備は左、右、上、下、前及び後ろに運動し得る。駆動装置は、直線方式、角度方式又は回転方式にて方向を変える1以上の要素を備えた設備の一部として定義される。
【0015】
本発明のシステムの好ましい実施態様では、データの前記識別した部分は、前記可逆駆動装置の動作の実質的に一定の速度を表す。
【0016】
本発明のシステムでは、好ましくは、前記デジタルデータは、前記可逆駆動装置の速度に同期した可変サンプリングレートにてサンプリングされたデータを含む。
【0017】
本発明のシステムの別の実施態様では、前記デジタルデータは、一定の時間間隔のサンプリングレートにてサンプリングされたデータを含む。
【0018】
本発明のシステムの好ましい実施態様では、前記システムは、前記デジタルデータを再サンプリングするためのプロセッサ手段をさらに備え、再サンプリングされたデジタルデータの連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続した位置に対応し、前記連続した位置の各々の間の距離が一定量である。
【0019】
好ましくは、本発明のシステムでは、データの識別した部分の前記1以上のグループの各々における連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続したサンプル位置に対応する。
【0020】
本発明のシステムの別の好ましい実施態様では、前記システムは、データの識別した部分の前記グループの少なくとも1つを処理し、1以上の振動サインを表すデータを生成するためのプロセッサ手段をさらに備える。
【0021】
前記プロセッサ手段は、
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間ドメインの平均を累算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて角度ドメインの平均を累算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて周波数ドメインの平均を累算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数ドメインの平均を累算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均時間波形を計算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均の周波数スペクトルを計算するためのプロセッサ手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数の追跡された周波数スペクトルを計算するためのプロセッサ手段;
累算された時間ドメイン平均の尖度を計算するためのプロセッサ手段;
累算された角度ドメイン平均の尖度を計算するためのプロセッサ手段;
時間同期した平均時間波形の尖度を計算するためのプロセッサ手段;及び
前記グループの一つを含んだ前記データについて復調された周波数スペクトルを計算するためのプロセッサ手段
からなる群から選択された1以上のプロセッサ手段を備える。
【0022】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトの実施態様の一つでは、データの前記識別した部分が、前記可逆駆動装置の動作についての実質的に一定の速度を表す。
【0023】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトの別の実施態様では、前記デジタルデータが、前記可逆駆動装置の速度に同期した可変サンプリングレートにてサンプリングされるデータを含む。
【0024】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトの別の実施態様では、前記デジタルデータが、一定の時間間隔のサンプリングレートにてサンプリングされるデータを含む。
【0025】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトは、前記デジタルデータを再サンプリングするためのコンピュータプログラムコード手段をさらに含むことができ、再サンプリングされたデジタルデータの連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続した位置に対応し、前記連続した位置の各々の間の距離が一定量である。
【0026】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトの別の実施態様では、データの識別した部分の前記1以上のグループの各々における連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続したサンプル位置に対応する。
【0027】
本発明のコンピュータプログラムプロダクトの別の実施態様では、コンピュータプログラムプロダクトは、データの識別した部分の前記グループの少なくとも1つを処理し、1以上の振動サインを表すデータを生成するためのコンピュータプログラムコード手段をさらに含む。
【0028】
前記コンピュータプログラムコード手段が、
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間ドメインの平均を累算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて角度ドメインの平均を累算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて周波数ドメインの平均を累算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数ドメインの平均を累算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均時間波形を計算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均の周波数スペクトルを計算するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数の追跡された周波数スペクトルを計算するためのコンピュータプログラムコード手段;
累算された時間ドメイン平均の尖度を計算するためのコンピュータプログラムコード手段;
累算された角度ドメイン平均の尖度を計算するためのコンピュータプログラムコード手段;
時間同期した平均時間波形の尖度を計算するためのコンピュータプログラムコード手段;及び
前記グループの一つを含んだ前記データについて復調された周波数スペクトルを計算するためのコンピュータプログラムコード手段
からなる群から選択された1以上のコンピュータプログラムコード手段を含む。
【0029】
方向正規化
可逆駆動装置における振動の上首尾な分析のためには、順方向と逆方向のサンプルが分離され個別に処理されるのが有利である。というのは、順方向と逆方向では異なる速度及び負荷条件が存在するからである。特定の歯車の場合、異なる方向に運動又は回転する際には異なる歯面が接触する。
【0030】
逆転する駆動装置の振動分析における基本的な限界は、駆動装置が逆転する前に特定方向のデータを収集するのに利用できる時間である。設備が商業運転中にデータ取得を可能にする解決策は、収集されるサンプルを順方向と逆方向に分離し、運動の各方向に対して収集されたサンプルすべてを分類することである。このプロセスは、「方向正規化(directional normalisation) 」という。いくつかの異なる方位に方向を変える設備の場合には、該データは、各々の方向又は方位に別々に正規化された方向である。
【0031】
速度振動及び変動
関心のあるシャフトの回転速度を検出し、速度変動を正規化する必要もある。データが角度ドメインにてサンプリングされるか又は角度ドメインに変換されるならば、小さい速度変動は最小の効果となる。TSA及び次数追跡は、角度ドメインにおいて1回転当たり一定数のサンプルを必要とし、その結果、各サンプルがシャフト上の特定の位置に対応する。もしシャフトの回転速度が変化し、データが時間ドメインにおいて収集されたならば、周波数スペクトルは、特により高いシャフトの次数に対して不鮮明なスペクトル成分を示す。一方、角度ドメインにて収集されたデータの周波数スペクトルは、速度の変動に関係なく鋭いピークを維持する。時間ドメインにて収集されたデータサンプルは、振動を発生しているシャフト上の特定の位置には対応しておらず、むしろシャフトの回転の開始からの時間に対応しているので、スペクトル成分の不鮮明が生じる。
【0032】
上述の説明は、データが角度ドメインにてサンプリングされるか又は角度ドメインに変換されることを保証することによって、回転する機械類において実行されるTSAに関する。この概念は、他の任意の仕方で運動する設備に対しても同等に適用し得る。本質的に、位置がサイクルの開始からの時間よりもむしろサイクル中の物理的なポイントに関係している場合には、データは位置ドメインにてサンプリングされるか又は位置ドメインに変換されなければならない。例えば、もし設備の一部が直線的に運動するならば、各サンプルが各サイクルの開始からの特定の距離に関係するように、直線ドメインにてサンプリングされるか又は直線ドメインに変換されることが重要となる。
【0033】
単なる速度変動とは対照的に、運転速度を変える効果は、データの定速度部分を識別及び使用することによって実質的に除去される。システム力学は特定の速度では同じままであるので、一定の速度データを用いるのが大抵の場合特に有利である。しかしながら、ある場合には、加速及び/又は減速の期間中に収集されたデータを分析するのが有利となり得る。このデータはまた、種々の技術によって正規化され処理された速度及び/又は方向であり得る。
【0034】
データのサンプリング及び補間による再サンプリング
角度ドメインにおいて振動信号を得る2つの方法として、位相ロック周波数乗算器によって角度ドメインにて直接データをサンプリングすること、及び初めに時間ドメインにてサンプリングされた振動データを再サンプリングすることが挙げられる。
【0035】
位相ロック周波数乗算器は、シャフトの回転周波数の変化に共鳴してサンプリング周波数を調節し、シャフトの回転毎に同じ数のサンプルポイントを収集しようとする。サンプリング周波数は、機械速度の増減を補償すべく歯車の回転周波数に効果的に同期する。よって、角度ドメインにおいて十分な数の等間隔のパルスが、歯車の回転毎に発生され得る。要求されるサンプリング周波数は、パルス間の時間によって決められる。シャフトが速度を上げると各パルス間の時間は短くなるので、サンプリング周波数は、1回転当たり同じ数のデータサンプルを維持するのに適切なレートに増加する。位相ロック技術はまた、関心のあるシャフトにアクセスできないけれども歯車列の別のシャフトにはアクセスできる状況にも適用し得る。このような場合には、関心のあるシャフトに対応するパルス列を生成すべく適当な周波数乗算器が選択される。位相ロック技術での1つの潜在的な問題は、商業運転中の設備の1回転当たり二三パルスより多くのパルスを発生することの困難さである。というのは、関心のあるシャフトは容易にアクセスすることができず、適当にアクセス可能なシャフトの回転数は不十分であるからである。よって、設計段階にて装置を組み込むのが最良である。さらに、もし速度の変化が速すぎると、位相検出器は、シャフトの速度変化を十分速く追跡できないかもしれない。周波数又は位相の変化が生じるときに発生するタイムラグが、平均化された時間信号の精度を限定する誤差を生じさせる。他の潜在的な欠点として、誤ったトリガーに反応してしまうこと、及びしばしば長すぎ得る入力信号を自動追尾(lock on) するのに必要な時間が有限であることが挙げられる。その結果、多数のサンプルのうちほんの一部のみが、時間同期平均のために使用し得る。このことは、特に短いサイクル時間で反転する機械類の場合にさらに悪影響を及ぼす。
【0036】
回転速度の変化を許容する更に簡単で正確な方法は、各サンプルが関心のあるシャフト上の特定の角度位置に対応するように、一定のサンプリングレートにて取得されたデータをデジタル的に再サンプリングすることである。事実上これは、シャフトの回転速度の変化と共に変わる可変サンプリングレートとなり、シャフトの各回転に対して一定数のサンプルポイントを保証する。利点は、この方法では一定のレートにてサンプリングする標準的なデータ取得装置およびデータを後処理し再サンプリングするデジタルコンピュータとは別の追加のハードウエアが必要ないことである。データの再サンプリングは、データを取得しつつ(すなわちバッファリングを使用してオンラインで)又はオフラインで行い得る。オフラインの再サンプリングでは、信号における干渉とノイズを除去すべくフィルタリングし処理するのにより多くの時間が割り当てられる。オフラインの再サンプリングの利点は、より多くの記録データを処理できること、及び平均化処理においてより多くの回転を使用できることである。この方法の大きな利点は、この方法により容易にパルス系列を操作して隠れたシャフトについて平均を実施し得ることである。位相ロックループ周波数乗算器に必要な複雑なループフィルターとは対照的に、パルス列の新たな到着時間を決めるのに、単純な線形補間を適用できる。
【0037】
信号の動的性質を記載するスペクトル特性が、時間ドメインから角度ドメインへの変換に際して保存されることは必須である。このことは、基準パルスから所望の各サンプルまでの所望時間を決めるべく線形補間を用いることによって達成でき、これは補間される関数が厳しく帯域制限されている場合に適切な方法である。所望の再サンプル時間(特定の角度位置に対応する)と共に、補間技術が振動データを再サンプリングするのに用いられる。適用できるいくつかの異なる補間技術が存在する。補間の次数を増加させると、サイドローブの振幅が減少し、よってより良好な拒絶帯の性能、より平坦な通過帯域、及びより鋭いカットオフレートが生成される。より高い次数は計算時間を増加させるが、三次関数は良好な周波数応答を与える。
【0038】
信号処理
いくつかの異なる公知の信号処理技術が、方向の正規化後及び/又は速度の正規化後に振動信号に対して適用し得る。時間同期平均化(TSA)、次数追跡及び復調は、方向正規化データに適用される技術の一部である。本発明の範囲と思想から逸脱することなく付加又は分類された方向正規化データの処理の変更を行うことができることは、当業者にとっては明らかであろう。特に、任意の公知の信号処理技術が、ここに記載の技術と共に、又はここに記載の技術に加えて使用し得る。
【0039】
時間同期平均化(TSA)
時間同期平均化は、角度ドメインにおける信号の累加平均を得る。この技術は、時間ドメイン又は位置ドメインにおける信号の累加平均を作るのにも適用できる。各サンプルがサイクルの開始からの設定時間よりもむしろサイクル中の特定場所に関係することを保証するためには、位置ドメイン(回転するシャフトでは角度ドメイン)において信号をサンプリング又は再サンプリングするのが好ましい。もし時間ドメインにおいてデータがサンプリングされ、駆動装置の速度が変動したならば、周波数スペクトルの不鮮明が生じる。しかしながら、もしデータが位置ドメインにてサンプリングされるか又は位置ドメインに再サンプリングされるならば、周波数スペクトルの不鮮明は除去されなくとも最小化されるであろう。TSAでは、各サンプリング・ウインドウの開始を決めるために、分析されている特定のサイクルに同期した基準トリガーを必要とする。基準トリガーは、あらゆるサイクルの開始に関係する単一のトリガー、又は各々がサイクル中の特定位置に関係した複数のトリガーとし得る。振動分析において、TSAは同期した振動成分は強める一方、非同期の成分とノイズは実質的に弱められる。よって、ペーパー・マシン(paper machine) 上の個々のロールや複雑なギヤボックス中の特定シャフトのような特定の機械の構成要素の分離が可能であり、隣接した機械からの強制周波数のような外部刺激の効果が最小化される。その結果、TSAは、シャフトのクラック、整列の狂い、不平衡及び歯の損傷などのような反復するシャフトに同期した故障の検出が良好であることが分かった。しかしながら、シャフトの1回転を超えて実行される場合には、TSAは、ベアリングの故障に関連した大抵の周波数を平均する。というのは、このような故障はシャフトの回転に同期していないからである。これに対し、次数追跡は非同期周波数を除去せず、よってベアリング故障を示す。
【0040】
TSAでは、一様に分布した摩耗(すなわち歯の外形が変わらないままである場合)により、歯−かみ合い周波数及びその高調波のみが増強されるが、側波帯は生じない。一様に分布していない欠陥は、周期的に繰り返されるインパルスにより生じる弱い高調波、及び振幅と周波数の変調を起こさせる側波帯を含めて他の周波数の成分を生じさせる。さらに、TSAは「ゴースト周波数」を生成し得る。このゴースト周波数は、時間ドメインデータに高速フーリエ変換(FFT)を実行した後に周波数ドメインに現れる本質的にきれいな線であり、シャフトのどの既知の成分にも対応しない。「ゴースト周波数」は、歯車の製造中に用いられたカッターの種類によると考えられる。
【0041】
1回転の平均化ウインドウを用いてTSAを実行する際、スペクトルの線間の周波数間隔は、常にシャフトの回転周波数又は1次数である。よって、スペクトルの分解能は、サンプリングレートを増加すること(これは表し得る最大次数を改善するのみである)によっては改善し得ない。もしより高い分解能が要求されるならば、より多くの回転に対して平均を実行すべきである。例えば、もし2回転ウインドウが平均に用いられるならば、スペクトル中の周波数間隔は、半次数となる。
【0042】
次数追跡
次数追跡は、角度ドメインにおけるデータの周波数応答の分析を伴うという点においてTSAに類似する。しかしながら、次数追跡は、FFTによるデータ変換後において時間又は角度ドメインよりむしろ周波数又は次数ドメインにおいて信号平均化が行われるという点においてTSAとは異なる。次数追跡は、時間ドメインよりもむしろ角度ドメインにおいて分析が行われるという点において次数正規化とは異なる。次数追跡は、潤滑の問題、不平衡、整列の狂い及びベアリングの故障を含めて、複数の問題を首尾よく検出できる。本質的に、次数追跡は、時間ドメインにおいて収集されたデータについての標準的な周波数分析と同一の方法にて用いることができる。次数追跡の主な利点は、速度変動を許容すること、及びシャフトの回転速度に対する変化が常に報告されることである。
【0043】
次数スペクトルにおいて、次数又は高調波成分は、速度の変化又は変動にも関わらず位置が固定されたままである。このことは、1周期に超えて可変速度機械の特性を比較する際に明らかな利点となる。次数スペクトルの欠点は、固定した周波数成分が移動し得るので、速度に依存した振幅変化を認識するのが困難となることである。特に、共振はシャフト速度に直接関係するので、得られる振幅は、時間ドメインでは固定されたままであるが、角度ドメインではそうではない。これらの周波数は、次数スペクトル上にプロットされる際に移動するが、もし周波数スペクトル上にプロットされるならば、それらの位置は固定したままである。このことは、次数のウォーターフォール表示においては特に自明である。
【0044】
復調
変調は、周期振動を特徴付けるパラメータの値における変化である。よって、正弦波振動の振幅変調は、正弦波振動の振幅の変化である。正弦波振動の位相変調は、正弦波振動の位相における変化である。振幅及び位相変調は、たいていの設備からの振動信号において生じる。
【0045】
復調は、元の変調化信号を抽出するプロセスである。従って、復調は、付加されたデータの処理に必然的に組み込まれる。
【0046】
一般に、振動分析では、ベアリングや歯車における初期の故障を予測するために、復調が用いられる。最も一般的な技術では、このような故障の検出を助けるべく帯域通過フィルタリングやエンベロープ化を組み込む。
【0047】
尖度
尖度(もしくは正規化された第四統計モーメントとして知られている)の計算は、ギヤボックスの条件の決定のために有効な分析技術である。尖度Kは、次式を用いて計算できる。
【数1】
ここで、N=サンプル数
M=平均値
S=標準偏差
Xi=i番目のサンプル
である。
【0048】
3の尖度が期待し得る正規ガウス分布とは対照的に、単一の大きなピークが存在する場合には尖度がより大きい。よって、この尖度は、時間波形の上にそびえる大きなピークの程度の示すもとして使用できる。実際の値をモニターし、ギヤボックスが新しかったときか又は少なくとも良好な状態にあったときに計算された値と比較すべきである。
【0049】
ギヤボックス中の疲労クラックを検出するための尖度の使用が、良好に実証されてきた。尖度は、支配的なギヤかみ合い高調波を中心とした帯域通過フィルタリング、及びその後のかみ合い高調波の除去によるTSA時間波形の強化後に計算された。結果として得られた時間波形は、疲労クラックの場所にて識別可能なピークを有し、尖度は、3から約7に上がった。
【0050】
一般的な実施態様
図1は、可逆駆動装置に適用する振動分析の一般的な方法のフローチャートである。
【0051】
ステップ110では、加速度計などのトランスデューサからの振動データ、並びにタコメーターなどの1以上のトランスデューサからのシャフトの速度、方向及び位置のデータが取得される。
【0052】
ステップ120では、データ処理のトリガーが、取得データから抽出される。このトリガーは、関心のあるシャフト上の基準ポイントに関係し、さらなるデータ処理を容易にする。特に、このトリガーは、関心のあるシャフトの運動の各方向に関係したデータの一部の識別、及び一定の速度データの識別を容易にする。トリガー及び関心のあるシャフトの回転方向の決定については、この文書において後にさらに説明する。
【0053】
ステップ130では、データが速度正規化される。これは、時間ドメインから角度ドメインへの変換のためにデータを再サンプリングすることを含む。同時に、加速と減速の周期に関係したサンプルが識別され、データから除去される。再サンプリングと定速度データの決定については、この文書において後にさらに説明する。
【0054】
ステップ142、144及び146は、方向正規化のプロセスを構成する。ステップ142では、順方向と逆方向に関係した角度ドメインにおける速度正規化データの一部が識別される。次に、ステップ144では、順方向に関係したデータの連続した部分が、これも順方向に関係した前のデータ部分の累積(accumulation)に対して連続部分を付加することによって共に分類される。同様に、ステップ146では、逆方向に関係したデータの連続部分が、これも逆方向に関係した前のデータ部分の累積に対して連続部分を付加することによって共に分類される。このデータの一部は、付加された各連続部分の第1サンプルが、最後に付加されたデータ部分の最終サンプルに対応した可逆駆動装置の位置の直後の可逆駆動装置の位置に対応するように、分類される。
【0055】
ステップ154及び156では、順方向と逆方向にそれぞれ分類されたデータが信号調整を受ける。データの信号調整は、エイリアシングとスペクトル漏れの効果を除去するために実行される。再サンプリング中、サンプル数は、元のサンプル数に対して増加される(すなわち三次補間を用いたアップサンプリング)。よって、ナイキスト基準に従って、元のサンプリングレートにてサンプリングされたデータにより正確に表すことができるものより上のどんな周波数も除去すべく、デジタルローパスフィルターがデータに適用される。しかしながら、再サンプリングを原因とするエイリアシング誤差は、時間同期平均化プロセスによって減衰される。再サンプリングされた波形は、ローパス9次のバタワースフィルターによってフィルタリングされ、元のサンプリング周波数の半分より上の周波数を除去し、それによってエイリアシングによる誤差を避ける。
【0056】
漏れは、高速フーリエ変換(FFT)を実行する際に生じ、有限の期間に亘ってデータがサンプリングされ且つ周波数成分がサイクル半ばにてカットされることに起因している。漏れは、信号のウインドイング(windowing)として公知の技術によって低減される。使用されるウインドウとして、ハニング(Hanning) 、ハミング(Hamming) 、セブン・ターム・Bーハリス(seven Term B-Harris) 、フォー・ターム・Bーハリス(four Term B-Harris)、フラット・トップ(Flat Top)、ブラックマン(Blackman)、エグザクト・ブラックマン(Exact Blackman)、及びブラックマンーハリス(Blackman-Harris) が挙げられる。
【0057】
ステップ164及び166では、それぞれの方向にて累積されたデータが信号処理を受ける。一般に、この信号処理は、標準的な振動分析技術を含む。分析技術の一つは、時間同期平均を生成すべく時間ドメインにおいてフィルタリングされた時間波形を平均することを伴う。次に、次数FFTが、デジタルTSA時間波形について計算され、それによってシャフトの回転周波数の整数倍である周波数のスペクトルを識別する。尖度もまた、デジタルTSA時間波形のデータを用いて計算し得る。
【0058】
別の分析技術は、再サンプリングされたデータを使用して、周波数ドメインにおいて平均化された次数追跡スペクトルを生成することを伴う。これは、信号の平均化の前にFFTによってデータを周波数ドメインに変換することを要する。
【0059】
ステップ174及び176では、順方向及び逆方向にてそれぞれ処理されたデータが、人間の視覚による分析のために表示モニター又はプリンタに出力される。振動信号の解釈は、機械類の広範囲な知識と機械的振動の詳細な理解とを必要とする高度に熟練した技術である。初期の故障を予測するために、一定の既知の相関が適用できる。例えば、故障状態の特定のタイプは、特定の振動サインによって識別可能である。さらに、存在する損傷の程度は、1以上の特定の周波数成分の大きさに関係し得る。
【0060】
しかしながら、本発明の範囲と思想を逸脱することなく、処理データの出力方法を変え得ることは、当業者には自明であろう。例えば、記憶されたサインの特徴が特定の故障状態を表す場合には、取得された振動サインと記憶された振動サインとの機械ベースの相関によって所定の故障状態の分類を容易にすべく、処理データをさらなる処理に付し得る。
【0061】
このさらに処理されたデータは、視覚及び/又は聴覚的な指示器によってアラームレベルを提供するのに用いることができる。アラームレベルは、警告、危険及び停止のカテゴリーに分類できる。停止カテゴリーは、破滅的な故障を避けるべく機械が自動的に停止させられるレベルとし得る。
【0062】
方向及びトリガーの決定
図2は、基準シャフトの回転方向及びトリガーポイントについての決定を示す。基準シャフト上のキー溝、マーキング又は反射テープの一部を検出することにより1回転毎に1回方形波を発生するために、2つのレーザータコメーターが用いられる。この2つのレーザータコメーターは、約60度の角度だけ互いにオフセットしている。この特定の角度は重要ではないが、オフセットは、もう一方のレーザーからの反射による誤ったトリガーリングを除去するのに十分でなければならないが、180度よりは小さい。レーザータコメーターの各々は、パーソナルコンピュータ(PC)内のデータ取得カード上の別々のチャンネルに接続され、振動情報と同時にサンプリングされる。シャフトが逆方向に回転しているとき、第1レーザー(レーザーA)は、反射テープを検出し、方形パルスを発生する。シャフトが回転し続けているとき、第2レーザー(レーザーB)が、反射テープを検出し、方形パルスを発生する。
【0063】
各パルスの前縁(正の傾斜)の場所を見つけることによって各パルスの到着時間を計算するために、ソフトウエアプログラムが使用される。より正確に到着時間を決めるために、線形補間が用いられる。レーザーAからのパルスとレーザーBからの次パルスとの間の時間(dt)は、それらのパルスの到着時間の差によって決められる。しかしならが、方向の変化が生じると、レーザーAからのパルスの後には、レーザーBからのパルスが発生する前にレーザーAからの別のパルスが続く。よって、dy又はdxとは対照的に、2つの連続したパルス間の有効時間は常にdtに対応しなければならない。換言すれば、比較されている時間は、基準シャフトの回転速度の半分よりも小さくなければならず、よって、dt<dT/2である。正しいdtが用いられていることを確認した後に、dtの符号によって方向が決められる。もしdtが負ならば、シャフトの回転は一方の方向にあり、もしdtが正ならば、シャフトの回転はその反対方向にある。
【0064】
dx又はdyよりもむしろdtを決めるのに用いられるソフトウエアプログラム機構は、dt<dT/2である各場合を見つける「if」文の組である。正しいパルス到着時間ができるだけ短い時間内に見つけられることを保証するために、論理シーケンスにて到着時間が評価される。シャフトが2つのパルスの間で停止する場合にもし方向の変化があれば、レーザーBからのパルスの相対位置が変化するのみである。定速度のセグメント毎に基準位置をサーチするのを避けるために、ソフトウエアプログラムは、次の比較のために該位置を記憶する。
【0065】
各回転の開始と終わりを決めるために第1レーザー(レーザーA)が用いられることに留意するのは重要である。ソフトウエアプログラムは、この情報を用いて振動データを時間ドメインから角度ドメインに変換する。各回転から再サンプリングされた角度ドメインデータは、シャフト上の正確に同じ位置に対応しなければならないので、このパルスが正確かつ反復可能なことが重要である。第2レーザー(レーザーB)は、方向を決めるのに用いられるのみであり、データの再サンプリングとは関係ない。
【0066】
もし関心のあるシャフトがギヤボックス中に埋没しているならば、シャフトの到着時間の決定がさらに難しい。埋没したシャフトの到着時間は、回転の開始を示す第1基準パルスを用いて計算される。次に、基準シャフトの何回転が関心のあるシャフトの1回転に関係するかを正確に決めるために、ギヤ比が用いられる。この比は、関心のあるシャフトの到着時間を線形補間するために、基準シャフトの到着時間と共に用いられる。基準シャフトが1回より多く方向を変える場合には、埋没シャフトの相対位置を追跡すること、及び第1サンプルが常に埋没シャフト上の同じ位置に対応していることを保証することが重要である。
【0067】
埋没シャフトの到着時間を決める前述の方法は、回転速度を有する任意のコンポーネントにTSAを実行するために適用でき、これは回転速度の数分の一、回転速度の整数倍又は回転速度の非整数倍である。これが適用できる良い例は、ベアリング・ケージの回転である。ケージの回転速度は、基準シャフトの回転速度に直接関係し得るので、限界スリップがボールと案内溝の間で生じる場合にはTSAがベアリング・ケージについて実施できる。
【0068】
定速度の決定
ソフトウエアプログラムが、定速度のデータ部分を識別するために、各回転時間(dT)を比較する。もし特定の回転nに対して回転時間dTnが、前の回転n−1の回転時間
dTn-1
の一定割合内にあるならば、速度は一定であると決定される。この割合の変化が一定のしきい値よりも大きくなるまで、連続した各回転の時間が前の回転のものと比較される。このしきい値はソフトウエアプログラムにて設定でき、一般には1%のデフォルトを有する。3つの連続した定速度の回転のうちの最小値が、再サンプリングのために必要とされる。よって、3つの連続した定速度の回転を欠くときには、関連のサンプルが捨てられ、プログラムは次の到着時間に進む。このプロセスは、定速度の回転のすべての到着時間が決定されるまで繰り返される。
【0069】
各定速度部分につき、一定のサンプリングレートにて各回転に亘って収集された振動データのサンプルが、再サンプリングされて1回転当たり一定数のサンプルを与える。エイリアシングを避ける1回転当たりのサンプルの最小数は、元のサンプリングレート(Hz)と最小シャフト速度(Hz )の商である。各定速度部分の再サンプリング後、三次補間を用いて、駆動装置の運動の各特定方向に関係した部分すべてが共に付加される。これは、1回転当たり一定数のサンプルを有する、運動の各方向に関して連続したサンプルセットとなる。運動の各方向におけるサンプルの総数は、1回転当たりのサンプル数に、それぞれの各方向にて識別された定速度の回転数を掛けたものである。これらのサンプルは、種々の振動分析技術を用いて処理し得る連続データとして取り扱われる。
【0070】
ソフトウエアの具体化
ソフトウエアプログラムは、Matlab及びLabviewの環境下にて開発された。Labviewは、Matlabスクリプトファイルとパーソナルコンピュータ(PC)において用いられるデータ取得カードとをインターフェースするために主に使用された。
【0071】
詳細な説明の終わりにある第1〜7表は、本発明の実施態様を実行するのに用いられるMatlabスクリプトファイルを含む。
第1表:到着時間のスクリプト1(主プログラム)
第2表:到着時間のスクリプト2(到着時間スクリプト1において使用される関数)
第3表:関心のあるシャフトの到着時間のスクリプト
第4表:振動データの順方向及び逆方向への再サンプリングのスクリプト
第5表:パルス基準のチェックのスクリプト(方向の決定)
第6表:再サンプリングのスクリプト(補間を含む)
第7表:尖度計算のスクリプト
【0072】
一般的な実施態様に関するさらなる詳細
図26〜30は、図1のステップのいくつかに関するさらなる詳細を示す。
データは、数ブロックにて取得され、その規模は、少なくとも2回の完全な回転に関係するデータが各ブロックにおいて獲得されるのを保証すべく選択される。SD−セクションは、時間ドメインにおいて連続したデータのセクションであり、これは特定の速度と加速度の範囲及び方向に関係する。以下の変数が定義される。
N=チャンネル数
K=データ取得ブロック数
L=SD−セクション数
RK =K番目のブロックにおける回転数
Revs=収集する各方向の回転数
Z=再サンプリングする1回転当たりのポイント数(この値は、サンプリングレート、シャフトの回転速度及び所望のアップサンプリング率に基づいて決められる)
Sx =シャフト数x
【0073】
図26は、図1のステップ110及び120に関係したさらなる詳細を示し、これは、振動データの取得とデータ処理トリガーの抽出に関係する。特に、図26のステップ101〜104、105及び119は、図1のステップ110に関係し、図26のステップ201〜204は、図1のステップ120に関係する。
【0074】
ステップ100では、以下の変数が各々ゼロに初期化される。
・データ取得ブロック数(K)、
・SD−セクション数(L)、
・各所要方向(RFWD ,RREV )における総回転数、及び
・各シャフトの各方向につき有効な回転数(Act_RevsSxDFWD,Act_RevsSxDREW)
【0075】
もし方向が初期化されないならば、その方向のSD−セクションは収集されない。
【0076】
ステップ101では、基準トリガーデータが収集され、ステップ102では、方向トリガーデータが収集される。チャンネル1、2及びNに対する実際の振動データは、それぞれステップ103、104及び119にて取得される。一般に、実際の振動データを取得するためのチャンネル数は、データ取得ハードウエア又はデータ処理要求によって限定される。一般に、各チャンネルに対してサンプリングハードウエアを並列実装しているので、ステップ101−104及び119は同時に行われる。
【0077】
ステップ105では、ステップ101−104及びステップ119にて後続のサンプルセットを収集するために、データ取得ブロック数がインクリメントされる。
【0078】
ステップ201及び203では、データのK番目のブロックが、それぞれ基準トリガーと方向トリガーのために読み出される。
【0079】
ステップ202及び204では、タコメーター1及び2それぞれのタコメーターの到着時間A1k(t)及びA2k(t)が、データのK番目のブロックに対して計算される。これらの値は、各回転の速度、加速度及び方向を決めるのに用いられる。処理は、図26のステップ204の後には図28のステップ501に、図27のステップ307の後には図29のステップ350に、図26のステップ202の後には図27のステップ301に続く。
【0080】
図27及び28並びに図29のステップ361、371、381、362、372及び382は、それぞれ図1のステップ142及び130に関するさらなる詳細を示し、これらは振動データの速度正規化に関係する。ある程度、図27及び28のステップのいくつかは同時に行われる。
【0081】
まず図28を参照すると、ステップ501では、K番目のブロック中に生じる回転方向を決めるために、トリガー情報が解釈される。ステップ501は、図26のステップ204から続く。
【0082】
次に、ステップ502では、K番目のブロックにおける総回転数(Rk )が計算される。この値は、各方向の総回転数を追跡するのに用いられ、隠れた任意のシャフトの相対位置を決めるのに必要な情報を与える。
【0083】
もし決定ステップ510にてK番目のブロックの回転が順方向であるならば、ステップ511にて順方向の回転数が、現在のブロックにおける回転数だけ増される。そうではなく、もし決定ステップ510にてK番目のブロックの回転が逆方向であるならば、ステップ513にて逆方向の回転数が、現在のブロックにおける回転数だけ増される。これら両方の場合とも、処理は図27のステップ302に続く。関心のあるシャフトの回転のトリガー及び方向の決定については、この文書の他のところでさらに説明する。
【0084】
次に図27を参照すると、ステップ301では、K番目のブロック中に生じる回転の速度及び加速度を決めるために、トリガー情報が解釈される。ステップ301は図26のステップ202から続く。
【0085】
ステップ302では、速度、加速度及び方向の情報が分析される。もし決定ステップ302にて現在の方向が必要とされず、かつ/又は速度と加速度の値が所望の範囲内にない(NO)ならば、ステップ309にて各チャンネルのK番目のブロックがメモリから削除される。次に、ステップ310にてデータ取得ブロック数(K)がインクリメントされる。続いて、処理は、次のブロック(K+1)の処理のために、図26のステップ201及び203に続く。
【0086】
決定ステップ302にて、収集したデータが特定の速度及び加速度の範囲内に入りかつ要求される方向にある(YES)ならば、データがメモリに記憶される。ステップ304では、所望の速度、加速度及び方向パラメータ内のデータの前のブロックに対して時間ドメインにおいて隣接したブロックの後続のすべてのブロックが、前のブロックの終わりに付加される。
【0087】
このプロセスは、加速度、速度及び方向の要件内にある(時間ドメインにおける)データの連続セグメントを生じる。このセグメントは、SD−セクション(速度&方向セクション)と称される。連続したブロックがもはや同じ方向を有さず、かつ/又はもはや同じ速度と加速度の条件内にない場合には、新しいSD−セクションが開始される。このプロセスは、ステップ303、307及び308によって制御される。
【0088】
ステップ303は、前の有効なブロックが(時間ドメインにおいて)現在のブロックに隣接していたか否かをチェックする。もしそうでないならば、前のSD−セクションが、さらなる処理のためにステップ307にて図29のステップ350にエクスポートされる。その後、SD−セクション数(L)が、ステップ308にてインクリメントされ、ステップ304に続く。
【0089】
ステップ304にて各ブロックが現在のSD−セクションに付加された後、ステップ305にて各シャフトの有効な回転数が計算される。隠れたシャフトの有効な回転数は、シャフトの相対位置を追跡し且つ隠れたシャフトの完全で連続した回転数を決めるアルゴリズムを用いて計算される。
【0090】
ステップ306では、各シャフトの各方向の実際の回転数が調べられる。もし現在の方向の回転数がその方向に必要な総数を超える(YES)ならば、ステップ312にて方向パラメータが「もはや必要なし(no longer required)」に変えられる。これは、十分な回転が収集されたので、特定方向のデータをこれ以上処理しないように制御プログラムに示す。
【0091】
次に、ステップ311では、各方向及び各シャフトに対して十分な回転が収集されたか否かが決められる。もしYESならば、ステップ313にて本処理はデータの収集を停止し、図30のステップ650に移動し、そこでプログラムは、すべてのSD−セクションが再サンプリングされ、適当なSDNU(速度方向正規化ユニット)に付加されるのを待つ。もしNOならば、ステップ310にて、さらなる回転がなお収集され、ブロック数(K)がインクリメントされる。そして処理は、次のブロックに関する図26のステップ201及び203に続く。
【0092】
図29は、図27のステップ307に関するさらなる詳細を示し、これは現在のSDセクションのデータを収集する間における前のSDセクションのデータ処理に関するものである。
【0093】
ステップ350では、到着時間(すなわちシャフトがシャフトの元のトリガーポイントを通る時間)が、各シャフトに対して計算される。
【0094】
ステップ361、371及び381では、それぞれ各チャンネルに対する現在のSDセクションデータが、メモリがら呼び出される。次に、ステップ362、372及び382にて、それぞれ各チャンネルに対するSDセクションデータが、角度ドメインに再サンプリングされる。再サンプリング処理については、この文書の他のところでさらに説明する。
【0095】
ステップ363、373及び383では、それぞれ各チャンネルに対する時間ドメインのSDセクションデータが、メモリから削除され、再サンプリングされた角度ドメインのSDセクションデータのみがメモリに残される。
【0096】
図1のステップ142、144及び146、図28のステップ501? 513、並びに図29のステップ600、610及び620は、方向正規化の処理を続ける。現在のSDセクションにおけるデータの方向は、図28のステップ501〜513にて識別された。
【0097】
図29に戻ると、ステップ600、610及び620にて、同じ方向に関係するデータの連続部分は、これもその方向に関係した前のデータ部分の累積に連続部分を付加することによって一緒に分類される。この形式のデータは、速度方向正規化ユニット(SDNU)と称される。
【0098】
同様に、図1のステップ144及び146に示されるように、SDセクションが異なる方向を有する(すなわち第1のケースが順方向で第2のケースが逆方向)とき、その方向に関係するデータの連続部分は、これもその方向に関係した前のデータ部分の累積に連続部分を付加することによって一緒に分類される。
【0099】
SDNUは、すべてのチャンネルとそのチャンネルに利用可能なすべての方向とに対して存在するであろう。付加された各連続部分の第1サンプルが、最後に付加されたデータ部分の最終サンプルに対応する可逆駆動装置の位置の直後の位置に対応するように、当該データ部分が分類される。
【0100】
各SDセクションは角度ドメインと時間ドメインの両方にて連続的であり、各SDセクションが付加されてSDNUを形成する際に角度ドメインの連続性(すなわち同期成分)が維持されるので、各SDNUの同期成分は連続的である。この文書の他のところで説明したように、このような連続性は、時間同期平均化の処理にとっては必須である。
【0101】
しかしながら、SDセクションを付加してSDNUを作ることによって、どんな非同期成分においても不連続性を生じる。これらの不連続性は、2つのSDセクションが付加されるポイントにて生じ、また、各回転を超えて繰り返さない非同期成分の結果として生じる。よって、これらの非同期成分の位相は、時間ドメインのデータ収集プロセスにおける中断が生じるとき(すなわちSDセクションが付加されるとき)、これらの非同期成分の位相が変わる。
【0102】
もし信号の成分すべてが連続的でないならば、次数追跡又は復調処理は、FFTスペクトル中にスプリアス成分を生じ得る。これは、FFT処理においては分析される信号の周期を超えて信号が連続的であることが仮定されているためである。
【0103】
ステップ601、611及び621では、現在のSDセクションの長さが、そのSDセクションのヘッダーに書き込まれる。この情報は、任意の不連続位置を追跡するのに用いられ、また、SDNUを処理する際に不連続性を避けるため、不連続性を滑らかにするため、不連続性を取り除くため、又はFFTにおける不連続性の効果を理解するために使用し得る。次の処理は、図27のステップ308に続く。
【0104】
次に、図30を参照すると、ステップ650では、プログラムは、すべてのシャフトにつき要求されるすべての方向のすべての回転が、収集され角度ドメインに再サンプリングされるのを待つ。このプログラムステップは、図27のステップ314の後に行われる。すべてのデータが利用可能なとき、ステップ800及び850においてそれぞれの方向に対してすべてのSDNUにつき信号調整が行われる。データの信号調整は、エイリアシングの効果とスペクトル漏れを排除すべく実行される。再サンプリング中、サンプル数は、元のサンプル数に対して増やされる(すなわち三次補間を用いたアップサンプリング)。よって、ナイキスト基準に従って、元のサンプリングレートにてサンプリングされたデータにより正確に表し得る周波数より上のどんな周波数も除去するために、デジタルローパスフィルターがデータに適用される。しかしながら、再サンプリングゆえのエイリアシング誤差は、時間同期平均化処理によって減衰される。再サンプリングされた波形は、ローパス9次の次数バターワース(Butterworth)
フィルターによりフィルタリングされ、元のサンプリング周波数の半分より上の周波数を除去し、それによりエリアシングによる誤差を回避する。
【0105】
高速フーリエ変換(FFT)を実行する際に漏れが生じ、この漏れは、データが有限の周期を超えてサンプリングされること、及び周波数成分がサイクル半ばにてカットされることを原因とする。漏れは、信号のウインドイングとして公知の技術により低減される。使用されるウインドウとしては、ハニング、ハミング、セブン・ターム・Bーハリス、フォー・ターム・Bーハリス、フラット・トップ、ブラックマン、イグザクト・ブラックマン、及びブラックマンーハリスが挙げられる。
【0106】
図30のステップ900及び950、並びに図1のステップ164及び166では、それぞれの方向にて累算されたデータが信号処理を受ける。一般に、この信号処理は、標準的な振動分析技術からなる。分析技術の一つは、フィルタリングされた時間波形を時間ドメインにおいて平均して時間同期平均を生成することを含む。次に、次数FFTが、デジタルTSA時間波形について計算され、それによりシャフトの回転周波数の整数倍である周波数のスペクトルを識別する。尖度もまた、デジタルTSA時間波形のデータを用いて計算し得る。
【0107】
別の分析技術は、再サンプリングされたデータを用いて、周波数ドメインにて平均化された次数追跡スペクトルを生成することを伴う。これは、信号の平均化の前に、FFTによってデータを周波数ドメインに変換することを要する。
【0108】
図30のステップ1000及び1050、並びに図1のステップ174及び176では、それぞれ順方向と逆方向にて処理されたデータが、人間の視覚による分析のために表示モニタ又はプリンターに出力される。振動信号の解釈は、機械類の幅広い知識と機械振動の詳細な理解とを必要とする高度に熟練した技術である。特定の公知の相関が、初期の故障を予測するのに適用できる。例えば、故障状態の特定タイプは、特定の振動サインによって識別可能である。さらに、存在する損傷の程度は、1以上の特定の周波数成分の大きさに関係付けることができる。
【0109】
しかしながら、本発明の範囲と思想を逸脱することなく処理データの出力の方法を変えることは当業者には自明であろう。例えば、処理データは、さらなる処理、すなわちSDNU内の不連続性を滑らかにする処理、SDNU内の不連続性を除去する処理、又は記憶された振動サインの特性が特定の故障状態を表す場合に、取得された振動サインと記憶された振動サインとの機械ベースの相関によって予測故障状態の分類を容易にする処理を受け得る。
【0110】
このさらに処理されたデータは、視覚及び/又は聴覚的な表示器によりアラームレベルを提示するために用いることができる。アラームレベルは、警告、危険及び停止のカテゴリーに分類し得る。停止カテゴリーは、破滅的な故障を避けるべく機械が自動的に停止するレベルとし得る。
【0111】
シャフト追跡
図31、32及び33は、基準シャフトの順方向及び逆方向の回転数を追跡することにより、ギヤボックス中に埋没し得る任意の中間シャフトの位置を追跡するためのソフトウエアプログラムコードを示す。このプログラムコードは、ナショナル・インスツルメント(National Instruments)により開発されたグラフィカル・プログラミング言語であるLabview(商標)にて書かれている。「埋没シャフト」なる用語は、トリガーを発生させるために外部からアクセスできないシャフトをいう。よって、このプログラムコードは、関心のあるシャフトが埋没したシャフトである場合にのみ必要となる。トリガーが関心のあるシャフトから直接導き出され得る場合には、トリガーパルスが関心のあるシャフトのゼロ度位置を示す際の相対シャフト位置を追跡する必要はない。
【0112】
埋没シャフトのゼロ度位置とは、基準シャフトがデータ取得ウインドウ内において初めてそのゼロ度位置にあるポイントである。埋没したシャフトは基準シャフトとは異なる速度で回転しているので、埋没シャフトのゼロ度位置は、基準シャフトがそのゼロ度位置にあるときに常に生じるわけではない。そのため、基準シャフトの順及び逆の回転数を追跡して埋没シャフトの正味の位置を決めることが必要となる。埋没シャフトの正味の位置は、埋没シャフトのゼロ度位置が基準シャフトに対して発生する位置に基づく。埋没シャフトのゼロ度位置の追跡により、シャフトが1回より多く方向を変える場合に、角度ドメインへの再サンプリング後の第1サンプルが、埋没シャフトの同じ位置に常に対応することを保証する。
【0113】
プログラムコードのこの部分への入力は、arrtime アレイ、第1有効サイクルの終わりでの正味回転、速度比及び方向性である。arrtime アレイは、基準シャフト(トリガーシャフト)の到着時間のアレイであり、これはSD_セクションにおける基準セクションのゼロ度位置に関係する。この文書の他のところで述べたように、SD_セクションは、特定の所望の速度、加速度及び方向の条件下にて収集された振動データのセクションである。第1有効サイクルの終わりでの可変正味回転は、基準シャフト(トリガーシャフト)がデータ収集プロセス全体の開始から経験した正味の回転を表す。これは、現在のSD_セクション中の第1サイクル(すなわち第1到着時間から第2到着時間までのサイクル)を含む。速度比は、基準シャフトの速度に対する埋没シャフトの速度の比(埋没シャフトの速度/基準シャフトの速度)である。方向性の入力は、SD_セクションの回転方向を提示するブール制御変数である。すなわち、順方向に対して真及び逆方向に対して偽である。
【0114】
図31を参照すると、ステップ110では、現在のSD_セクションの方向性が読み出され、解釈される。もし現在の方向が順方向(真)ならば、ケース110は値1を出力し、もし逆方向ならば、ケース110は−1の値を出力する。ステップ120では、この出力値が用いられ、到着時間(arrtime)を埋没シャフトの位置に関係付けるインデックスのアレイを設定する。これは、基準シャフトの相対回転位置に速度比を掛けることによって達せられる。次に、到着時間を埋没シャフトの相対位置に関係付けるインデックスが、ステップ150と130に送られる。
【0115】
ステップ120と130の間(ステップ121〜123を含む)のコードは、本質的にアレイ中の最大値と最小値を抽出する。次に、SD_セクションの開始と終わりを決めるために、これらの最大値と最小値が用いられる。最大値がSD_セクションの始まりか終わりのどちらであるかは、現在のSD_セクションの方向性に依存する。もし方向が順方向であるならば、ケース130は真であり、ケース131が処理されて、第1回転に対するレファレンスが1だけインクリメントされるべきか否かが決められる。もしステップ123での除算の余りがゼロであるならば、第1値はステップ131にてインクリメントされる必要はないけれども、もしステップ123の除算の余りがゼロでないならば、第1値はステップ131にて1だけインクリメントされる必要がある。これは、ステップ123での整数の商の結果が、この場合には埋没シャフトの第1の完全な回転より少ない1であることに起因する。もし現在のSD_セクションの方向性が逆方向であるならば、ステップ130にて同様のプロセスが続く。
【0116】
ステップ130からの出力は、開始及び終了の整数であり、これは、埋没シャフトのゼロ度位置に関係する整数アレイを生成するためにステップ140で用いられる。これらの値は、ステップ160の結果を補間して埋没シャフトのゼロ度位置の到着時間を見つけるために用いられる。
【0117】
ケース160では、もし現在のSD_セクションの方向が逆方向ならば、埋没シャフトの相対位置の到着時間とインデックスとを含んだクラスターが反転される。もし現在のSD_セクションの方向が順方向であるならば、埋没シャフトの相対位置は既に昇順になっているので、クラスターを反転する必要はない。
【0118】
プログラムの最終ステップは、埋没シャフトの到着時間と相対位置を補間し、埋没シャフトがゼロ度位置にある時間を決めることである。埋没シャフトの到着時間は、このプログラムコードにおいては関心のあるシャフトの到着時間(shoiarrtime)と称され、後に振動データのサンプリング時間と共に用いられ、これらの場合の角度ドメインが埋没シャフトに関係している(すなわち埋没シャフトの0〜360度)角度ドメインに振動データを再サンプリングする。
【実施例1】
【0119】
ハリソン旋盤の例
時間波形及び周波数スペクトルにおける小さな欠陥の効果を示すため、本発明の実施態様を用いて30年使用のハリソン旋盤についてTSAを実施した。
【0120】
旋盤のギヤボックスは、駆動シャフト、中間シャフト、及び出力シャフトとそれらの上の3つのギヤを備える。第1の分析は、ギヤ2の逆方向側であり、このギヤ2は、出力シャフト上に配置され、49の歯を有する。ギヤ2は、ギヤボックスにおける最も一般的な加工速度用の出力ギヤであり、よってギヤボックス中で最もよく使用されるギヤを表す。
【0121】
図3及び4は、ギヤ2の一般的な歯の外形を示す。図4は、図3に示されたギヤ歯310の拡大図である。ギヤ全体は、局所的な付着、摩損及びポリシングの領域を示す。図4には、局所的な付着領域410及び420が示される。最も起こりうるのは、まず付着が起こり、微細粒子が歯の表面から取り除かれ、それにより摩損とポリシングが生じる。図4では、歯は、中程度のプラスチック金属の流れの兆候も示す。
【0122】
完全な歯の外形からの逸脱は、2つのかみ合っている歯の接触がもはや滑らかでないことにより、TSA時間波形において不鮮明で一様でないピークを生じさせる。一様でない表面がスライドして互いに通り過ぎるとき、さらなる振動が引き起こされる。500回平均後の図5のTSA波形は、180〜200度にてエネルギーのスパイクを示し、図6は、これらのスパイクに対応する歯を示す。
【0123】
180°〜200°のエネルギーのスパイクに対応する歯は、図5に示された増大した振動の大きさに対しておそらく寄与する特徴を示す。図6に示されるように、第1のものは非常に深い溝650である。ギヤはクラッチを備えず、ギヤが変更中に単に互いにスライドするので、最もあり得るのは、ギヤが依然として回転している間に行われたギヤ変更によって溝650が生じたことである。かみ合うギヤの角が、かみ合いをロックしようとしつつこのギヤと衝突した様である。回転が続けられ、ギヤが十分なかみ合いに向かってさらに運動した際に、図6に示される歯のすみ(angle)
が引っ掛かれた。このことは、非局所的な付着性摩耗を表す。図6にはまた、局所的な付着性摩耗の損傷620及び630と回転接触疲労の損傷640とが示される。摩耗は、図5に示されたエネルギーのスパイクにおそらく寄与する。
【0124】
図7は、時間同期平均についての次数追跡スペクトルを示し、歯かみ合い次数に関連したいくつかの側波帯を有する。これらの側波帯は、ギヤ歯上の一様でない摩耗、歯の損傷、及びギヤ間の誤った間隔のいずれかに起因し得る。この場合、歯かみ合いの周りの次数が相対的に大きな大きさを有するようにさせるのは、歯の損傷である。もしギヤがより良い状態にあれば、歯かみ合い次数の周りの側波帯は、より小さな相対的大きさを有する。
【0125】
完全な歯の外形についてのスペクトルは、歯かみ合い周波数に対応した周波数、又はその高調波の一つを有するほぼ正弦波である。しかしながら、完全なギヤはないので、完全な外形からの逸脱が常に存在する。図8には、500回平均後の逆方向におけるギヤ3の時間同期平均が示される。ギヤ3は81の歯を有し、ギヤ3も出力シャフト上に配置される。図8は、図5に比べて十分に滑らかな外形を有し、また、相対的に良好な状態のギヤについての時間波形のよい例を与える。
【0126】
図8のTSA時間波形は、100°の両側に非常に明確なピークを有する。100°のすぐ前の歯は22番目の歯であるから、両側のピーク810及び820はそれぞれ21番目と23番目の歯に対応する。図9には、21番目の歯940と23番目の歯910上における明確な回転接触疲労の損傷又は場合によっては硬い粒子の進入損傷が示されている。図10は、図9の23番目の歯910上に受けた回転接触疲労の損傷又は場合によっては硬い粒子の進入損傷1010及び1020を示す。21番目の歯940と23番目の歯910の間に位置する22番目の歯は、良好な状態にあるようである。
【0127】
図8のTSA時間波形もまた、9番目の歯に対応する明確なピーク830を示す。このピークは、図11に示される硬い小粒子の圧痕1110にたぶん起因している。この圧痕は、ギヤの運動を変えようと試みた際に削り取られたかみ合いギヤの一部によって生じたと考えられる。
【0128】
図12は、基本的な歯かみ合い次数である81次数での非常に鋭いピークを含めて、ギヤ3のTSAのスペクトル(500回平均後)を示す。加えて、歯かみ合い次数の周りの次数は非常に小さい大きさを有するので、側波帯は見られない。これはギヤ3が良好な状態にあることを示す。
【実施例2】
【0129】
摩擦巻揚げ機のギヤボックスの例
地下の金鉱から10トンの鉱石を引き上げることができる摩擦巻揚げ機の6ヶ月使用後のギヤボックスにつき、さらなる分析を行った。スキップは10トンの重量とカウンタバランスするので、スキップが空で下方に移動しているとき、ギヤボックスは最も大きな負荷の下にある。
【0130】
分析は、入力シャフトの駆動装置についてであった。初め、加速度計は、駆動装置側のベアリング(出力側)より上にて垂直方向に取り付けられた。500回平均後得られる逆方向についてのTSA時間波形が、図13に示され、これは90°の周りの明確なピーク1310を示す。17の歯を有するギヤの検査により、この位置に対応する歯上の小さな欠陥が明らかにされた。図14及び15に示されるように、90°の周りのピーク1310に対応した歯は、うね上に大きな圧痕1410を有する。図15は、図14に示される圧痕1410の拡大図であり、これはたぶんギヤの据え付け中に生じたものである。
【0131】
図16は、シャフトの駆動装置側に垂直方向に加速度計を取付け、500回平均後に得られる逆方向のTSA時間波形を示す。ギヤはギヤボックスの出力側に向かって配置されるので、図13により出力側ベアリングより上にて収集されたデータに実行したTSA時間波形は、この欠陥をより鮮明に示す。図16は、全くより小さくより不明確な大きさを示す。
【0132】
図17は、ギヤ3の次数スペクトルを示す。ギヤ3の主要なかみ合い高調波は、歯かみ合い周波数の4次高調波1710及び5次高調波1720であることが分かる。このことは、なぜそんなに多くのピークが存在しているのかを説明し、実際、各歯に対して4〜5のピークが存在する。小さい摩損が発生した場合には、180°に対応する歯はまた、非常に小さいスポットが存在する小さな欠陥を有する。さらに、場合によっては、他の明確なスパイクが5°と290°に存在するときには、ギヤボックス中の他の歯に欠陥が存在する。
【0133】
収束
時間同期平均の最適回数は、十分なノイズと非同期振動を除去しかつTSA時間波形の本質的な特徴を表示するのに必要な平均の最小回数に対応する。平均の回数とデータ収集のコストの間にはトレードオフが存在する。本質的に、収集される平均が多くなれば、データを収集する時間が長くなり、分析を実行するコストが高くなる。これは、駆動装置が減速し、方向を変え、そして加速している間に収集されたデータは処理できないような、可逆駆動装置を有する特定のケースである。
【0134】
実際、平均の許容可能な最小回数は、特定の機械の特性に従って変わる。しかしながら、平均の回数を2倍にすると、信号対ノイズ比が√2のファクターだけ減少した。よって、信号対ノイズ比はすべてのギヤボックスに対して異なるので、平均の許容可能な最小回数もまたギヤボックス自体に依存する。
【0135】
TSA時間波形が安定し始める前に必要な平均の回数を決めるために、公知のアルゴリズムが使用できる。このアルゴリズムは、累加平均(N回平均後)とN/2回平均後の累加平均との間の単純化された相関係数を分析する。ここで、一般にNは、2の冪である平均のすべての数である。アルゴリズムを以下に示す。
もし
【数2】
ならば、平均化を停止する。
ここで、L=漏れ率(定義により)
xn,j =n回転での現在の平均中のj番目のポイント
xn/2,j =n/2回転での平均中のj番目のポイント
N=平均中のポイント数
【0136】
高い信号対ノイズ比の場合にはより多くの平均が必要とされるので、騒々しいギヤボックスにTSAを実行することによって本アルゴリズムをテストした。このアルゴリズムは、特定のギヤの収束は4回平均後に生じるこをと予測した。これは、4回平均後の漏れファクターは0.037であり、本アルゴリズムにより計算された漏れファクター0.05よりも小さいからである。
【0137】
図18は、4回平均と4000回平均のTSA時間波形を示す。波形を比較すると、主な特徴が実質的に同じであることが分かる。しかしながら、差異も存在し、計算された漏れファクター0.05が大きすぎるので修正されるべきであることを示唆している。
【0138】
より適切な漏れ値を決めるために、すべての平均と4000回平均後のTSAとの間のTSA時間波形の相関係数を計算した。TSA時間波形が4000回平均TSAの時間波形に近づくにつれ、相関係数は1の値に近づく。どれくらい速くこれが起こるかが、追加の各平均が有するTSA時間波形の特性への効果を示している。
【0139】
図19は、平均の回数に対する相関係数のグラフである。3有効数字に達した最も大きな相関係数は、0.989であった。これは63回平均後に得られ、よって63回平均後の時間波形は非常によいギヤ特性を与えることを示唆している。
【0140】
図20は、63回平均後のTSA時間波形の図であり、4000回平均後のTSA時間波形の図上に重ねられている。図20は、2つの時間波形の特徴が本質的に同じであることを示す。63回平均後の漏れファクターは0.0001である。よって、この水準の精度を達成するために、漏れが0.0001に設定されるべきである。
【0141】
前述のアルゴリズムは、データポイントの各セットの平均がゼロであることを仮定していた。相関係数の計算を単純化し計算時間を短くするために、おそらくこの仮定が為された。前述のアルゴリズムは少なくとも50のサンプルのみを分析して「ドループ」を許容する一方、後に記載の修正バージョンは、計算におけるサンプルポイントすべてを用いて、逸脱がどこで起こるかに関わらず時間波形における任意の逸脱によって相関係数が影響されることを保証する。さらに、後に記載のアルゴリズムの修正バージョンは、各データセットの平均値がゼロであるという仮定を除外する。
【0142】
アルゴリズムの修正バージョンは次の通りである。
もし
【数3】
ならば、平均化を停止する。
ここで、L=漏れ率(定義により)、一般には0.05に設定される
xn,j =現在の平均におけるj番目のポイント(n回転)
xn/2,j =n/2回転での平均におけるj番目のポイント
N=平均におけるポイント数
【0143】
図21は、本アルゴリズムの修正バージョンを用いた、平均回数に対する漏れ値の図である。この図から、63回平均後、修正された漏れファクターは依然として改善しているが、100回平均後には修正された漏れファクターの変化は非常に小さいことが明らかに分かる。よって、最適な収束が発生することを保証すべくアルゴリズムの修正バージョンと共に用いるべき漏れファクターは、0.0007であり、この値は、100回平均後の漏れファクターを表す。
【0144】
修正アルゴリズムの有効性を確かめるために、大きさの平均差の分析を行った。これは、4000回平均後の各データポイントと対応するデータポイントとの間の平均差を計算することを伴った。この方法は、時間波形の大きさにおける差を示すが、本質的な特徴がどのくらい正確に表示されているかの特に良好な指標を与えるものではない。たいていの場合、特性が大きさよりも正確に示されていることがより重要であるので、相関係数がおそらくよりよい指標である。
【0145】
図22は、変化する平均回数のTSA時間波形と4000回平均のTSA時間波形との間の大きさの平均差のグラフである。100回平均後は、大きさの平均差は安定化しほんの−0.6gである一方、63回平均後には、大きさの平均差は依然として−1.2gの周りを変動している。平均差の分析は、この場合にはノイズの大部分及び非同期成分を除去するには、ほぼ100回平均で十分であることを示唆している。
【0146】
図23は、100回平均からのTSA時間波形がギヤサインを正確に表していることを示す一方、4000回平均からの対応するTSA波形と比較すると大きさの妥当な表現を示している。図24は、500回平均からのTSA時間波形が4000回平均からの対応するTSA波形と比べてさらに高い精度を示していることを示す。500回平均と4000回平均の間の相関係数は0.988であり、大きさの平均差は−0.156gであった。
【0147】
上述のように、要求される平均の最適回数は、信号対ノイズ比及び非同期成分の大きさに依存する。これら2つのファクターは、評価中の実際のギヤボックスの関数である。したがって、平均の最適回数は、特定のギヤボックスに依存し、各個別のギヤボックスについての平均の最適回数を決めるために、後に提示するものと同様の分析を実施すべきである。
【0148】
コンピュータ実装
可逆駆動装置の振動を分析する方法は、図25に示されたようなコンピュータシステム2500と共にコンピュータプログラムを用いて実施し得る。特に、可逆駆動装置の振動を分析する方法は、コンピュータシステム2500上で実行するソフトウエア、又はコンピュータ読取り可能なプログラムコードとして実現し得る。
【0149】
コンピュータシステム2500は、コンピュータ2550、ビデオ表示器2510、及びコンピュータ・キーボード2530やコンピュータ・マウス2532の形式の入力装置を備える。加えて、コンピュータシステム2500は、ライン・プリンター、レーザープリンター、プロッター、及びコンピュータ2550に接続された他の複製装置を含めて、いくつかの他の出力装置のうちのいずれかを有し得る。コンピュータシステム2500は、モデム通信経路、電子ネットワークなどのような適当な通信チャンネル2540を用いて通信インターフェース2564を介して1以上の他のコンピュータに接続し得る。このネットワークとして、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、イントラネット及び/又はインターネット2520が挙げられる。
【0150】
コンピュータ2550は、制御モジュール2566、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)と読み出し専用メモリ(ROM)とを含み得るメモリ2570、通信インターフェース2564、入力/出力(I/O)インターフェース2572、ビデオインターフェース2560、及び記憶装置2562により一般的に表された1以上の記憶装置を備える。制御モジュール2566は、中央処理装置(CPU)を用いて実現され、この中央処理装置(CPU)は、特定の機能又は関連の機能セットを実行するコンピュータ読取可能なプログラムコードを実行又は走らせる。
【0151】
ビデオインターフェース2560は、ビデオ表示器2510に接続され、コンピュータ2550からのビデオ信号を与えてビデオ表示器2510上に表示させる。コンピュータ2550を操作するためのユーザー入力は、I/Oインターフェース2572を介した1以上の入力装置2530、2532によって与えられ得る。例えば、コンピュータ2550のユーザーは、I/Oインターフェース2530としてキーボード、及び/又はI/Oインターフェース2532としてマウスなどのポインティング装置を使用できる。キーボードとマウスは、コンピュータ2550への入力を与える。記憶装置2562は、以下のもののうち1以上から構成し得る。すなわち、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク・ドライブ、光磁気ディスクドライブ、CDーROM、磁気テープ又は当業者には周知のいくつかの不揮発性記憶装置のどれか。一般に、コンピュータシステム2550内の各要素は、データバス、アドレスバス及び制御バスから構成し得るバス2580を介して他の装置に接続される。
【0152】
データ取得モジュール(図示せず)もまた、直接か又はI/Oインターフェース2572を介してバス2580に接続され得る。一般に、データ取得モジュールは、同時に入力信号をサンプリングし出力信号を送出するために、複数の入力及び出力チャンネルを備える。
【0153】
可逆駆動装置の振動を分析する本方法のステップは、コンピュータシステム2500により実行されるソフトウエア中の命令によって実施される。さらに、このソフトウエアは、本方法のステップを実行するための1以上のモジュールとして実現し得る。
【0154】
特に、ソフトウエアは、記憶装置2562を含めてコンピュータ読取可能な媒体中に記憶するか、又はインターネット2520や別のネットワーク場所若しくはサイトからインターフェース2564と通信チャンネル2540を介してリモート場所からダウンロードし得る。コンピュータシステム2500は、記憶されたこのようなソフトウエア又はプログラムコードを有するコンピュータ読取可能媒体を備え、ソフトウエア又はプログラムコードの命令を実行し得る。
【0155】
このコンピュータシステム2500は説明のために提示されており、本発明の範囲と思想を逸脱することなく他の構成を用いることも可能である。上記説明は、本発明の実施態様を実施するのに用いることができるコンピュータ又はコンピュータシステムのタイプの単なる例である。一般に、実施態様のプロセスは、コンピュータ読取可能媒体としてのハードディスクドライブ上に記憶されたソフトウエア又はコンピュータ読取可能なプログラムコードとして常駐し、制御モジュール2566を用いて読み出され制御される。プログラムコード及びエンティティ(entities)、チケット(tickets)
などを含んだ任意のデータの中間記憶は、メモリ2570を用いて、場合によっては記憶装置2562と協力して実現し得る。
【0156】
ある場合には、プログラムは、CD−ROM又はフロッピーディスク(両方とも全体として記憶装置2562により示されている)上にコード化されてユーザーに供給され得るか、別法として、コンピュータ2550に接続されたモデム装置を介してユーザーがネットワークから読み出すことができる。さらにまた、コンピュータシステム2500は、他のコンピュータ読取可能媒体からソフトウエアをロードすることもできる。このコンピュータ読取可能媒体として、磁気テープ、ROM又は集積回路、光磁気ディスク、コンピュータと別の装置の間の無線若しくは赤外線伝送チャンネル、PCMCIAカードなどのコンピュータ読取可能カード、並びに電子メール通信やインターネットサイトなどの上に記憶された情報を含んだインターネット2520及びイントラネットが挙げられる。前述のものは、関連のコンピュータ読取可能媒体の単なる例である。本発明の範囲と思想を逸脱することなく、他のコンピュータ読取可能媒体も使用できる。
【0157】
可逆駆動装置の振動を分析する方法は、1つのコンピュータシステム2500において集中式に実現することもできるし、異なる要素がいくつかの相互接続されたコンピュータシステム全体に広がっているような分散式にて実現することもできる。
【0158】
本書におけるコンピュータプログラム手段又はコンピュータプログラムは、任意の言語、コード又は表記法における命令セットの任意の表現を意味する。この命令セットとは、情報処理能力を有したシステムに対して、直接又は以下の事項、すなわちa)別の言語、コード若しくは表記法への変換、又はb)異なる物質の形態での複製の一方若しくは両方の後で、特定の機能を実行させるべく意図されたものである。
【0159】
上述の説明は、本発明のほんの二三の構成及び/又は実施態様を記載したものであり、それに対する変更は本発明の範囲と思想を逸脱することなく可能であり、これらの構成及び/又は実施態様は説明のためであり、限定するものではない。
【0160】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0161】
【表7】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0164】
【表17】
【表18】
【0165】
【表19】
【表20】
【0166】
【表21】
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】可逆駆動装置に適用する振動分析の方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施態様において関心あるシャフトの回転方向及びトリガーポイントの決定について示すタイミング図である。
【図3】大歯車の一部の斜視図であり、歯の一般的な劣化を示している。
【図4】図3に示された歯の拡大斜視図である。
【図5】図4に示された大歯車について500回平均後のTSA時間波形図である。
【図6】図3の大歯車の一部の斜視図であり、特定の歯の劣化を示している。
【図7】図3の大歯車について500回平均後のTSA周波数スペクトル図である。
【図8】大歯車について500回平均後のTSA時間波形図であり、図3の大歯車より劣化が軽いことを示している。
【図9】図8に示された大歯車の一部の斜視図である。
【図10】図9に示された特定の歯の拡大斜視図である。
【図11】図8に示された大歯車の別の歯の拡大斜視図である。
【図12】図8に示された大歯車について500回平均後のTSA周波数スペクトル図である。
【図13】摩擦巻揚げ機の入力シャフト上の大歯車について、入力シャフトの出力側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後のTSA時間波形図である。
【図14】図13に示された大歯車の一つの歯の上の大きな圧痕の斜視図である。
【図15】図14の拡大図である。
【図16】図13に示された大歯車について、入力シャフトの駆動装置側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後のTSA時間波形図である。
【図17】図13に示された大歯車について、入力シャフトの出力側からサンプリングされたデータを用いた500回平均後の次数スペクトル波形図である。
【図18】重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は4回平均後、他方は4000回平均後のものである。
【図19】4000回平均後のTSAと、x軸に示された平均回数後のTSAとの間の相関係数の図である。
【図20】重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は63回平均後、他方は4000回平均後のものである。
【図21】漏れ値を決める修正アルゴリズムを適用後の、平均回数の関数としての漏れ値の図である。
【図22】平均回数の関数としての大きさの平均差の図である。
【図23】重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は100回平均後、他方は4000回平均後のものである。
【図24】重ね合わされた2つのTSA時間波形図であり、一方は500回平均後、他方は4000回平均後のものである。
【図25】本発明の実施態様を実施し得るコンピュータシステムのブロック図である。
【図26】図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
【図27】図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
【図28】図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
【図29】図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
【図30】図1の種々のステップのさらなる詳細を示したフローチャートである。
【図31】中間の埋没シャフトを追跡するためのソフトウエアプログラムコードの視覚的な表現である。
【図32】中間の埋没シャフトを追跡するためのソフトウエアプログラムコードの視覚的な表現である。
【図33】中間の埋没シャフトを追跡するためのソフトウエアプログラムコードの視覚的な表現である。
【符号の説明】
【0168】
310 ギヤ歯
410、420 付着領域
2500 コンピュータシステム
2510 ビデオ表示器
2530 コンピュータ・キーボード
2532 コンピュータ・マウス
2520 インターネット
2550 コンピュータ
Claims (10)
- 可逆駆動装置における振動サインを検出する方法であって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するステップ;
前記データの一部を識別するステップ;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するステップ
を含み、データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係する前記方法。 - データの前記識別した部分が、前記可逆駆動装置の動作についての実質的に一定の速度を表すことをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記デジタルデータが、前記可逆駆動装置の速度に同期した可変サンプリングレートにてサンプリングされるデータを含むことをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記デジタルデータが、一定の時間間隔のサンプリングレートにてサンプリングされるデータを含むことをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記デジタルデータを再サンプリングするさらなるステップを含み、再サンプリングされたデジタルデータの連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続した位置に対応し、前記連続した位置の各々の間の距離が一定量であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- データの前記識別した部分の前記1以上のグループの各々における連続した各サンプルが、前記可逆駆動装置の連続したサンプル位置に対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- データの識別した部分の前記グループの少なくとも1つを処理し、1以上の振動サインを表すデータを生成するさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記処理ステップが、
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて角度ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて周波数ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数ドメインの平均を累算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均時間波形を計算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて時間同期した平均の周波数スペクトルを計算するステップ;
前記グループの一つを含んだ前記データについて次数の追跡された周波数スペクトルを計算するステップ;
累算された時間ドメイン平均の尖度を計算するステップ;
累算された角度ドメイン平均の尖度を計算するステップ;
時間同期した平均時間波形の尖度を計算するステップ;及び
前記グループの一つを含んだ前記データについて復調された周波数スペクトルを計算するステップ
からなる群から選択された1以上のステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。 - 可逆駆動装置における振動サインを検出するためのシステムであって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するためのトランスデューサ手段;
前記データの一部を識別するためのプロセッサ手段;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するためのプロセッサ手段
を備え、データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係することを特徴とする、前記システム。 - コンピュータ読取り可能な媒体を備え、可逆駆動装置における振動サインを検出するためのコンピュータプログラムをその中に記録しているコンピュータプログラムプロダクトであって、
前記可逆駆動装置における振動を表すデジタルデータを取得するためのコンピュータプログラムコード手段;
前記データの一部を識別するためのコンピュータプログラムコード手段;及び
データの前記識別した部分を複数のグループに分類するためのコンピュータプログラムコード手段
を含み、データの前記識別した部分の各々が、前記可逆駆動装置の運動の特定方向に関係し、前記複数のグループが、前記可逆駆動装置の運動の異なる方向に関係する、前記コンピュータプログラムプロダクト。
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