JP2005502399A - 治療剤でコーティングされた電極及びその使用法 - Google Patents

治療剤でコーティングされた電極及びその使用法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、患者の組織中の生物細胞内に巨大分子を送達するための方法を提供することであり、(a)電極アセンブリ(12)内に電極(16)を提供するステップ(電極は、送達すべき電極放出性分子(44)の少なくとも1つの静層でコーティングされた固定電極表面(42)を有する)、(b)電場を発生するための波形発生器(15)を提供するステップ、(c)電極(16)と波形発生器(15)の間に電気的導電性経路を確立するステップ、(d)生物細胞が電極間に位置するように電極(16)を配置するステップ、(g)波形発生器(15)からパルス波形の形態で電極(16)に電場を提供し、電極(16)上の電極放出性分子(44)の少なくとも1つの静層中の分子を生物細胞内に送達するステップが含まれる。電極放出性分子(44)は、電場分離性分子及び/又は溶媒分離性材料であってもよい。本発明の別の目的は、本発明の方法を実施するための機器を提供することである。静的コーティングされた電極アセンブリ(12)を滅菌包装(24)中に提供することができ、それから使用前に電極アセンブリ(12)を取り出す。静的コーティングされた電極アセンブリ(12)は、電極アセンブリホルダー(13)から取り出し可能かつ置き換え可能な使い捨てアセンブリ(12)の形態であってもよい。

Description

【技術分野】
【0001】
本出願は、ELECTRODES COATED WITH TREATING AGENT AND USES THEREOFに関して、出願日が2001年8月3日であるKing及びWaltersによる同時係属の米国特許出願第09/920,861号に基づく優先権を主張する。前記米国特許出願は、1999年1月28日に出願された同時係属の米国仮出願第60/117,775号に基づき2000年1月12日に出願された同時係属のPCT国際出願第PCT/US00/00014号と関連している。前記PCT国際出願第PCT/US00/00014号は、PCT国際公開第WO00/44438号として2000年8月3日に公開された。
【0002】
一般的に、本発明は、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器に関する。より具体的に、本発明は、巨大分子、例えば深部腫瘍組織治療剤、ポリヌクレオチドワクチン(DNAワクチン及び/又はRNAワクチン)及びタンパク質ベースのワクチンなどの物質を組織中の細胞内に送達するための方法及び機器を提供する。
【背景技術】
【0003】
従来技術における最初のDNAワクチン接種手順が裸のDNAワクチン接種と呼ばれたのは、形質移入を増強するための添加物なしにDNAの溶液をマウスの筋肉内に注入したためである。この方法は、少数の細胞に形質移入し、マウスにおいて発現された抗原に対する免疫反応を誘導する。しかしながら、ヒト及び霊長類ではこの方法は功を奏さない。
【0004】
従来技術では、DNAワクチン効率の改善は、DNA送達に微粒子銃法を用いることによって得られた。微粒子銃法は、金属のマイクロビーズをDNAでコーティングし、選ばれた速度まで粒子を加速してから皮膚内に粒子を打ち込むことによって行われる。この方法は、裸のDNAよりはるかに功を奏する。その理由の一部は、DNAでコーティングされた粒子が皮膚内に深く注入され、ランゲルハンス細胞に形質移入する確率を高めることである。しかしながら、この微粒子銃法はいくつかの欠点を有している。第一に、この方法は、皮膚損傷を引き起こし、人によっては瘢痕を生じる可能性がある。第二に、効率が高まるにしても、より一層の効率が求められる。第三に、治療後も弾道粒子は患者の内部にとどまる。この点において、瘢痕を生じる皮膚損傷を引き起こさずにDNAを生物細胞に送達する方法が提供されれば望ましいであろう。また、治療される細胞内に弾道粒子の残留物を残さずにDNAを生物細胞に送達する方法が提供されれば望ましいであろう。興味深いことに、以下の米国特許第5,036,006号及び第5,478,744号が微粒子銃法を開示している。
【0005】
従来技術では、巨大分子を生物細胞に送達することへの多くのさらなるアプローチが開示され、以下の米国特許又は他の出版物に以下の通り示されている。
【0006】
Weaver他の米国特許第5,019,034号は、患者の皮膚などの組織表面の上に電極が配置される組織の電気穿孔のための方法を開示している。皮膚を治療するのに用いられる分子は皮膚表面の上の貯蔵部に配置され、治療分子は皮膚組織を経皮的に貫通しなければならない。すなわち、治療分子は、皮膚の外部から皮膚の内部へと通過しなければならない。皮膚の表面層は比較的不透過性であるばかりでなく、治療すべき皮膚の層が表皮の基底層に近い場合には、治療すべき細胞に治療分子が到達するまでに治療分子はかなりの皮膚組織を横断しなければならない。基底層に近い細胞を治療するにはこのような治療法は非効率である。皮膚表面上に配置され、表皮の基底層に近い生物細胞を治療するため治療分子を経皮的に皮膚を通過させる電極を用いるよりむしろ、治療分子を経皮的に皮膚を通過させることなく基底層に近い表皮中の生物細胞に分子を送達する電気穿孔法が提供されれば望ましいであろう。
【0007】
Hofmannの米国特許第5,273,525号は、電気穿孔すべき組織の近くに薬物及び遺伝物質を配置するため、比較的長い中空の皮下注射針を用いる、組織内に薬物及び遺伝物質を電気穿孔するための機器を開示している。組織内で中空の皮下注射針が用いられる場合には必ず、中空の皮下注射針によって組織が円形に切り取られる。その結果、患者が皮下注射を受けると、患者はかなりの痛みを感じる。そのような円形の切断を避け、かなりの痛みが伴うのを避けるためには、皮下注射針を用いることなく分子を生物細胞に送達する方法が提供されれば望ましいであろう。
【0008】
Hofmannの米国特許第5,318,514号は、細胞内に薬物及び遺伝子を電気穿孔するためのアプリケータを開示している。このアプリケータには、患者の皮膚を貫通することができる複数の針電極が含まれる。皮膚内に電気穿孔すべき材料は、液体用のオープンセルフォームエラストマー担体を濡らす液体貯蔵部内に保持される。電気穿孔すべき材料が貯蔵部とオープンセルフォームエラストマーの双方の中で液体中に保持されるため、電極表面において材料の量を注意深く制御するのは困難である。貯蔵部及びオープンセルフォームエラストマーから針電極の表面にどの程度液体が流れ落ちるかを制御するのは困難であり、電気穿孔法を患者に実施する際に電極16の表面にどの程度の治療分子が実際に存在するかを制御するのは困難である。さらに、液体媒体の存在には、電気穿孔される組織に対して電気穿孔法を妨害するフラッシング効果又は洗浄効果がある可能性がある。これらの点において、電気穿孔法を患者に実施する際に電極上を流れ落ちる液体媒体を用いることなく分子を生物細胞に送達する方法が提供されれば望ましいであろう。
【0009】
表皮細胞内への遺伝子導入を仲介する電気穿孔の使用方法に関する他の開示は、Biochem.Biophys.Res.Commun.、137巻、第1号、244〜249ページ、1986年において「電気穿孔法を用いる表皮細胞内へのDNA媒介性遺伝子導入(DNA−mediated gene transfer into epidermal cells using electroporation)」という表題のつけられたReiss他による論文、Biochim.Biophys.Acta.、1088巻、第1号、131〜134ページ、1991年において「プラスミドDNAによるin vivo電気穿孔法及び新生マウスの皮膚細胞の安定な形質転換(In vivo electroporation and stable transformation of skin cells of newborn mice by plasmid DNA)」という表題のつけられたTitomirovによる論文に見いだされる。
【0010】
Weaverの米国特許第5,389,069号は、組織内の深部に治療物質を提供するために比較的長い中空の円筒状針を用い、組織をin vivoにおいて電気穿孔するための方法及び機器を開示している。上述のように、中空の円筒状針の使用を避けることは、それに伴う痛みを避けるのに望ましいであろう。
【0011】
いずれもRelgner他の米国特許第5,580,859号及び第5,589,466号は、注入法により患者の筋肉及び皮膚内に巨大分子を送達する方法を開示している。これらの方法は電気穿孔を用いていない。
【0012】
Erikssonの米国特許第5,697,901号は、中空のマイクロニードルとつないで加圧される遺伝子運搬液体媒体を使用することによる組織内への遺伝子送達を開示している。液体媒体を用いることによる制御及びフラッシングの問題は前に論じた。Erikssonの特許では電気穿孔工程は用いられていない。興味深いことに、Erikssonは、2つの点で痛みの問題に対処している。中空のマイクロニードル系は痛みを治療するのに用いることができると述べられている。創傷内の痛みは冷却することによって和らげることができると述べられている。本明細書中で本発明者が注目するのは、Erikssonが、痛みのない又は痛みが軽減された治療法として彼の治療法自体を論じていないことである。本発明者は、Erikssonによって用いられる加圧液体注入法は痛みのない又は痛みが軽減された治療法の助けにならないと理論づけている。この点において、マイクロサイズの注射針を用いるが、患者に液体を注入するために加圧液体注入工程を用いない遺伝子治療法を提供することが望ましいであろう。
【0013】
Journal of Pharmaceutical Sciences、87巻、第8号、922〜925ページ、1998年夏における「微細加工されたマイクロニードル:経皮薬物送達への新規なアプローチ(Microfabricated Microneedles:A Novel Approach to Transdermal Drug Delivery)」という表題のつけられたHenry他による論文では、微小穿孔処理された表皮内への液体運搬治療剤の経皮透過性を促進するため、表皮に貫通させマイクロサイズの穿孔を残すためにマイクロニードルのアレイを用いることが開示されている。マイクロニードルは顕微鏡でしか見えない距離で表皮に挿入されるため、マイクロニードルの使用は痛みを伴わない可能性がある。マイクロニードルを電極として用いることは開示されていない。また、電気穿孔工程はHenry他の論文に開示されていない。
【0014】
生物細胞を治療する際に比較的長い電極を用いることが開示されているため以下の米国特許は興味深い。Hofmannの第5,439,440号、Mirの第5,468,223号、Mir他の第5,674,267号、Hofmann他の第5,702,359号、Hofmannの第5,810,762号、及びBernardの第5,873,849号。注目すべきことに、この段落に列挙した特許はいずれも、電極放出性分子の静層でコーティングされた固定電極表面を有し、電極に電場が印加される場合、あるいは生物細胞に近い溶媒中の電極から静層が溶け出す場合に生物細胞を治療するための比較的長い電極の使用方法を開示していない。
【0015】
さらに、疼痛治療の軽減という問題に関しては、電気穿孔における2つの重要な電気的パラメータがin vivoにおいて知覚される痛みと密接に関連していることが知られている。1つのパラメータは、in vivoにおいて組織が受ける絶対電圧である。もう1つのパラメータは、in vivoにおいて組織が受けるパルス幅である。これらの点において、電気穿孔を受ける細胞に比較的低い絶対電圧を印加し、望ましい場合には電気穿孔を受ける細胞に比較的短いパルス幅を有するパルスを印加するために用いることができる、生物細胞に分子を送達するための電気穿孔法を提供することが望ましいであろう。
【0016】
表皮細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器にはさらに他の特徴が望ましいであろう。例えば、電極が表皮を貫通する場合、導電性の電極基部及び電極の導電性先端部は、一般的に電気穿孔過程及び特に治療される生物細胞に関して望ましくない電気的特徴を示すことがある。この点において、電極の基部及び先端部を非導電性にし、表皮細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器が提供されれば望ましいであろう。
【0017】
複数の針電極を有する電極アセンブリが患者に用いられた場合、その後の使用のために電極アセンブリを掃除及び滅菌することが困難な課題になることがある。この点において、電極アセンブリが使い捨てである、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器が提供されれば望ましいであろう。
【0018】
使い捨て電極アセンブリを用いられる場合には、使い捨て電極アセンブリが滅菌包装で包装されていれば望ましいであろう。
【0019】
したがって、従来技術の前述の主部は、生物細胞に分子を送達するために電気穿孔を使用することがよく知られていることを示しているが、前述の従来技術は、以下の望ましい特徴の組合せの大部分を有する、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器を教示又は示唆していない。(1)瘢痕を生じる皮膚損傷を引き起こさない;(2)治療される細胞内に弾道粒子の残留物を残さない;(3)治療分子を経皮的に皮膚を通過させることなく基底層に近い表皮中の生物細胞に分子を送達する電気穿孔法を提供する;(4)皮下注射針を用いない;(5)電気穿孔法を患者に実施する際に電極上を流れ落ちる液体媒体を用いない;(6)患者に液体を注入するために加圧液体注入工程を用いない;(7)電気穿孔を受ける細胞に比較的低い絶対電圧を印加する;(8)望ましい場合には、電気穿孔を受ける細胞に比較的短いパルス幅を有するパルスを印加するために使用することができる;(9)電極の基部及び先端部を非導電性にする;(10)使い捨て電極アセンブリを提供する;(11)滅菌包装で包装されている電極アセンブリを提供する;及び(12)組織治療剤が含まれる電極放出性材料を有するコーティングされた長い電極を用いる組織の治療を可能にする。前述の望ましい特徴は、以下の説明から明らかにされるように、治療剤でコーティングされた独自の電極及びその使用法によって提供される。従来技術を越える本発明の他の利点も明らかになるはずである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の諸態様は、1999年1月28日に出願された同時係属の米国仮出願第60/117,775号に基づき2000年1月12日に出願された同時係属のPCT国際出願第PCT/US00/00014号に開示されたことが知られている。PCT国際出願第PCT/US00/00014号は、PCT国際公開第WO00/44438号として2000年8月3日に公開された。前述のPCT及び米国仮出願で以前に開示された本発明のこれらの態様の一部をここで開示することに加え、本出願は、付加的な発明の態様を開示する。
【0021】
本発明の一態様によれば、生物細胞内に分子を送達するための方法であって、
(a)電極アセンブリ内に電極を提供するステップであって、電極は固定電極表面積を有するステップと、
(b)電極の固定電極表面を、送達すべき電極放出性分子の少なくとも1つの静層でコーティングするステップ、
(c)静的にコーティングされた電極を有する電極アセンブリを電極アセンブリホルダーに取り付けるステップ、
(d)電場を発生させるための波形発生器を提供するステップ、
(e)電極と波形発生器の間に電気的に導電性経路を確立するステップ、
(f)生物細胞が電極の間に位置するように電極を配置するステップ、
(g)波形発生器からパルス波形の形態で電極に電場を提供し、電極上の電極放出性分子の少なくとも1つの静層中の分子を生物細胞内に送達するステップが含まれる方法を提供する。
【0022】
一方、電極放出性分子の静層に溶媒分離性材料が含まれない場合には、電極放出性分子の静層のほぼすべてが電場分離性分子である。このような場合、電場分離性分子は電極から運び去られると共に、印加された電場によって生物細胞内に送達される。
【0023】
一方、電極放出性分子の静層に溶媒分離性固体材料などの溶媒分離性材料が含まれる場合には、電極放出性分子の静層には、溶媒分離性固体材料と電場分離性分子が共に含まれる。このような場合、溶媒は、溶媒分離性材料を溶かし、それによって電極から電場分離性分子を放出し、電場分離性分子は、印加された電場によって生物細胞内に送達される。溶媒には、体組織中に存在する体液が含まれる。
【0024】
電極放出性分子は、固定電極表面上の静的コーティングの形をとることが多い。この点において、用語「静的な」は、組織中にない、あるいは電場の影響下にない場合に、固定電極表面上でコーティングが固定されたままであることを意味する。しかしながら、このような静的コーティングは、それぞれ溶媒又は適当な電場の影響の下で、固定電極表面から溶かし出される場合、あるいは固定電極表面から運び去られる場合に固定電極表面から移動する。
【0025】
本発明の静的コーティングされた電極を用いることによって多くの利点を実現することができる。例えば、予め測定した量の電極放出性分子の静層を固定電極表面上に保持することができる。このような予め測定した量の電極放出性分子の静層は、生物細胞に送達すべき材料の予め測定した投与量としての役割を果たすことができる。さらに、静的コーティングされた電極を大量の電極放出性分子でコーティングすることができる。さらに、包装から取り出した場合に希釈及び皮下注射などの慣用的な調製工程を必要とせず速やかに使える状態であるように静的コーティングされた電極を予め包装することができる。
【0026】
また、本発明の諸態様によれば、電極には、電極アンダーボディ及び電極アンダーボディの上に位置する固定電極表面が含まれる。固定電極表面は、多種多様の実施形態で実施することができる。例えば、最も簡単には、電極自体の単純表面が電極アンダーボディの上に位置する固定電極表面の役割を果たすことができる。固定電極表面は、滑らかな電極表面であってもよく、酸化金属表面(例えば、銀、ニッケル、及び銅の酸化物)であってもよく、固定金属粒子を含むことができ、粗面であってもよい。
【0027】
また、本発明の諸態様によれば、固定電極表面上の電極放出性材料は、ゲルコーティング、非ポリマー材料の固体層、及びポリマー層の形態であってもよい。
【0028】
様々な固定電極表面及び静的電極放出性材料を混ぜて調和させることができる。
【0029】
固定電極表面及び電極放出性材料の組合せについてのいくつかの具体的な例には、金属酸化物を有する固定電極表面及びDNAを含む電極放出性材料;滑らかな表面である固定電極表面及び固体コーティングの形態である電極放出性材料;エッチングされた粗い表面を有する固定電極表面及び固体非ポリマー層、ゲル層、あるいはポリマー層としての電極放出性材料が含まれる。
【0030】
パルス波形は、一連の少なくとも3回の単一でオペレータ制御され、独立にプログラムされたDC電気パルスを生物細胞に印加することにより提供される。この一連の少なくとも3回のDC電気パルスは、以下の(a)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス振幅が互いに異なる、(b)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス幅が互いに異なる、及び(c)少なくとも3回のパルスのうち2回の第一の組の第一のパルス間隔は、少なくとも3回のパルスのうち2回の第二の組の第二のパルス間隔とは異なるという特徴のうち1つ、2つ又は3つを有する。
【0031】
さらに、この方法には、電極アセンブリと波形発生器の間に電気的導電性経路を有する電極アセンブリホルダーを提供するステップが含まれていてもよい。
【0032】
さらに、この方法には、滅菌包装で電極アセンブリを提供するステップが含まれていてもよい。このような場合には、滅菌包装から使用の前に電極アセンブリを取り出す。
【0033】
さらに、この方法には、電気的に絶縁された外面電極先端部と電気的に絶縁された外面電極基部を有する電極を提供するステップが含まれていてもよい。
【0034】
電極コーティング中の分子の少なくとも1つの静層中の分子には巨大分子が含まれることが好ましい。電極コーティング中の巨大分子には、とりわけ組織治療剤、ポリヌクレオチドワクチン(DNAワクチン及び/又はRNAワクチン)、又はタンパク質ベースのワクチンが含まれていてもよい。
【0035】
本発明の方法の変形例によれば、患者に対する感覚を軽減しながら(痛みの軽減又は無痛性に近く又は無痛で)患者の表皮組織中のランゲルハンス細胞に分子を送達することができる。感覚を軽減した分子の患者への送達を提供するため、以下の条件を維持する。(a)パルス波形は0.1から300ボルトの範囲の絶対印加電圧を有する;(b)逆極性の電極は、50から500ミクロンの範囲の分離距離によって分離する;(c)電極は、表皮組織の基底層まで、及びわずかに越える距離まで表皮組織を貫通させる。
【0036】
本発明の方法の別の変形例によれば、健康組織の深部に位置する組織に分子を送達することができる。本発明の方法のこのような変形例によれば、電極は健康組織を貫通して腫瘍内に達するほど十分に長い。腫瘍を貫通する電極の固定電極表面部分は、深部腫瘍組織治療剤が含まれる電極放出性材料でコーティングされる。
【0037】
電極放出性コーティング分子の分子を電極から運び去るパルス波形は、電気泳動波形である。運び去られた分子を生物細胞内に送達するパルス波形は、電気穿孔波形である。電場分離性分子の静層の場合、共通のパルス波形は電極からコーティング分子を運び去ると共に、運び去られた分子を生物細胞内に送達する。
【0038】
生物細胞は、in vivo、ex vivo、又はin vitroであってもよい。より具体的には、生物細胞は、表皮組織中にあってもよく、表皮組織中のランゲルハンス細胞であってもよい。また、生物細胞は、深部組織中にあってもよく、深部組織中の腫瘍中にあってもよい。
【0039】
本発明の別の態様によれば、生物細胞内に分子を送達するための機器を提供し、この機器にはパルス波形を提供する波形発生器が含まれる。電極アセンブリホルダーを提供し、電極アセンブリを電極アセンブリホルダーによって機械的に支持する。また、電極アセンブリホルダーを、電気的導電性経路を介して波形発生器と電気的に連結する。電極アセンブリには、生物細胞内に送達すべき分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた電極が含まれる。
【0040】
電極アセンブリは、電極アセンブリホルダーから取り外し可能かつ入れ替え可能であってもよい。この点において、電極アセンブリには電極−アセンブリ導電性ストリップが含まれる。電極アセンブリホルダーには、電極アセンブリが電極アセンブリホルダーと機械的に連結された場合に電極−アセンブリ導電性ストリップに登録可能なホルダー導体が含まれる。また、電極アセンブリホルダーには、ホルダー導体と波形発生器の間の電気的導電性経路が含まれる。
【0041】
この機器によれば、電極アセンブリのために滅菌包装を提供することができる。電極アセンブリホルダーによって電極アセンブリを機械的に支持し、波形発生器と電気的に連結した後に、電極アセンブリから滅菌包装を取り除く。
【0042】
この機器によれば、望ましい場合、波形発生器は、一連の少なくとも3回の単一でオペレータ制御され、独立にプログラムされたDC電気パルスが含まれるパルス波形を生物細胞に提供する。この一連の少なくとも3回のDC電気的パルスは、以下の(a)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス振幅が互いに異なる、(b)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス幅が互いに異なる、及び(c)少なくとも3回のパルスのうち2回の第一の組の第一のパルス間隔は、少なくとも3回のパルスのうち2回の第二の組の第二のパルス間隔とは異なるという特徴のうち1つ、2つ又は3つを有する。
【0043】
電極には、電気的に絶縁された外面電極先端部及び電気的に絶縁された外面電極基部が含まれていてもよい。電極は、分子の少なくとも1つの静層でコーティングされ、分子には巨大分子が含まれ、巨大分子には組織治療剤、ポリヌクレオチドワクチン(DNAワクチン及び/又はRNAワクチン)及び/又はタンパク質ベースのワクチンが含まれる。
【0044】
電極上の電極放出性巨大分子(例えば、組織治療剤、ポリヌクレオチドワクチン、又はタンパク質ベースのワクチン)の静層は、電極を患者に使用する前には様々な形であってもよい。より具体的には、巨大分子の静層は、固形であってもよく、固体電極をコーティングする。また、巨大分子の静層は、ゲルの形態であってもよく、あるいは電極の固定表面マトリックス上に固定された液体の形態であってもよい。固定表面マトリックスは、固体表面粒子(例えば、金属粒子)、リポソームマトリックス、又は固形ポリマーマトリックスであってもよい。
【0045】
本発明のさらに別の態様によれば、生物細胞内に送達すべき分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた電極が含まれる滅菌電極アセンブリが含まれる包装された滅菌電極アセンブリを提供する。電極アセンブリには、波形発生器につながる補足的な電気的導電性経路と連結するための電極アセンブリ導電性ストリップが含まれる。さらに、内部滅菌包装は、その中に入れられた滅菌電極アセンブリを同封している。
【0046】
包装された滅菌電極アセンブリによれば、電極には、電気的に絶縁された外面電極先端部及び電気的に絶縁された外面電極基部を含まれていてもよい。
【0047】
包装された滅菌電極アセンブリによれば、電極は、固相ポリヌクレオチド(DNAワクチン及び/又はRNAワクチン)及び/又はタンパク質ベースのワクチンが含まれていてもよい巨大分子でコーティングされる。また、ポリヌクレオチドワクチン又はタンパク質ベースのワクチンは、電極を患者に使用する前には、ゲルの形態であってもよく、あるいは電極の固定表面マトリックス上に固定された液体の形態であってもよい。固定表面マトリックスは、固体表面粒子(例えば、金属粒子)、リポソームマトリックス、又は固形ポリマーマトリックスであってもよい。
【0048】
本発明によれば、電場仲介性形質移入を用いる、in vivoにおけるDNAによる細胞の形質移入は効率的な方法である。さらに、RNA及びタンパク質などの他の巨大分子を細胞内へ送達するために電場を使用することができる。従来技術では、電場送達は、形質移入に必要な高電圧の電気パルスによって痛みが誘発されるという1つの欠点を有している。対照的に、本明細書に記載のように、無痛(又はほぼ無痛)かつ効率的な電場仲介性送達を用い、巨大分子(DNA、RNA、及びタンパク質)をin vivoの組織中の細胞に送達する方法を提供する。
【0049】
本発明の、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器には多くの応用例が企図されている。手短に言えば、このような応用例には、器官組織を治療すること、ポリヌクレオチドワクチン接種、タンパク質ワクチン接種、及び遺伝子治療が含まれる。
【0050】
深部の腫瘍組織を治療するためには、深部腫瘍組織治療剤の腫瘍組織への送達を最大限にし、試剤の健康組織への送達を最小限に抑えることが重要である。
【0051】
DNAワクチン接種については、2つの最重要な要件が存在する。1つはin vivoにおける遺伝子発現であり、もう1つは、抗原提示細胞が近くの形質移入細胞から抗原を獲得するか抗原自体を発現しなければならないことである。接近可能な抗原提示細胞の最高濃度はランゲルハンス細胞と呼ばれる細胞として皮膚に存在する。これらの細胞は樹状細胞と呼ばれる抗原提示細胞のきわめて有効なグループの一部である。電気穿孔は、in vivoにおいて選ばれた細胞を形質移入するために実行可能な代替法である。
【0052】
また、タンパク質も電場仲介性送達を用いて細胞内に導入することができる。従来のワクチン接種では、タンパク質は、皮下注射針を用いて細胞の外側に送達される。このタイプの送達は細胞媒介性細胞傷害リンパ球免疫反応を誘発する際には非効率である。いくつかの感染性疾患には、感染の効率的クリアランスのために免疫反応の構成要素として細胞傷害性リンパ球反応が必要である。タンパク質の細胞内への送達は、その反応の誘導を促進する。
【0053】
欠けているタンパク質をそれらの細胞に発現させる目的で治療用遺伝子医薬を細胞内へ送達することは遺伝子治療の基礎である。本発明の比較的短い電極を用い、本発明の方法及び機器を用いて皮膚の他に接近可能などのような器官であってもその表面上の細胞内に治療用DNAを送達することができる。本発明の比較的長い電極を用い、本発明の方法及び機器を用いて組織及び器官の深部にある細胞内に治療用DNAを送達することができる。
【0054】
本発明の方法は、ワクチン接種(又は治療)、DNAワクチン接種、遺伝子治療の目的、又はその他の理由で、in vivoにおいて表皮組織に巨大分子を痛みなく効率的に送達する方法で使用することができる。
【0055】
2つの特徴のうち少なくとも1つを有する電極が表皮組織中の細胞内に巨大分子を送達するために使用される。2つの特徴のうち1つは、神経終末のある組織の深部まで貫通しないような長さが十分に短い電極である。もう1つの特徴は、使用すべきパルスパラメータ(電圧及びパルス幅)が痛みを伴わないようにするために電極間の距離を十分に小さくすることである。表皮へのある応用例には、これらの特徴のうち一方又は他方のみが必要であるが、それらを一緒に使用することもできる。
【0056】
以上の簡単な説明は、続く本発明の詳細な説明をよりよく理解できるように、また本発明の技術への寄与をよりよく評価できるように、本発明のさらに重要な特徴をかなり大まかに述べている。以下に記述され、付随する特許請求の範囲の主題である本発明の付加的な特徴が存在することは言うまでもない。
【0057】
この点において、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その出願において、その構成の詳細及び以下の説明で示されるか図面で示される構成要素の配列に限定されるものではないことは理解されるであろう。本発明は、他の実施形態並びに様々な方法での実行及び実施が可能である。また、本明細書に用いた語法及び用語法は説明のためのものであり、限定とみなすべきではないことは理解されるであろう。
【0058】
したがって、当業者は、開示が基礎とする概念は、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法及びシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを理解するはずである。したがって、特許請求の範囲は、それらが本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、このような等価な構成を含むものとみなすことが重要である。
【0059】
上記のことに鑑みて、本発明の目的は、瘢痕を生じる皮膚傷害を引き起こさない、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0060】
本発明の別の目的は、治療される細胞内に弾道粒子の残留物を残さない、細胞内に巨大分子を送達する新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0061】
本発明のさらに別の目的は、皮膚を通して経皮的に治療分子を通過させずに、基底層に近い表皮中の生物細胞内に分子を送達させるための電気穿孔法を提供する、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0062】
本発明のさらに他の目的は、皮下注射針を用いない、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0063】
本発明のさらに別の目的は、患者に電気穿孔法を実施する際に電極上に流れ落ちてくる液体媒体を使用しない、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0064】
本発明のさらに別の目的は、患者に液体を注射するための加圧液体注入工程を用いない、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0065】
本発明のさらに別の目的は、電気穿孔法を受ける細胞に比較的低い絶対電圧を印加する、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0066】
本発明のさらに他の目的は、電気穿孔法を受ける細胞に、望ましい場合には、比較的短いパルス幅を有するパルスを印加する、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0067】
本発明のさらに別の目的は、電極の基部及び先端部を非導電性にする、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0068】
本発明のさらに他の目的は、使い捨て電極アセンブリを提供する、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0069】
本発明のさらに別の目的は、電極アセンブリを滅菌包装中に包装する、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0070】
本発明のさらに別の目的は、組織治療剤が含まれる電場分離性材料を有するコーティングされた長い電極を用いる組織の治療を可能にする、細胞内に巨大分子を送達するための新たな改良された方法及び機器を提供することである。
【0071】
これらは、本発明のさらに他の目的と共に本発明を特徴づける新規性の様々な特徴に沿って、本開示に添付され本開示の一部を形成する特許請求の範囲における特殊性によって指摘される。本発明、その使用によって得られるその操作利点及び具体的な目的をよりよく理解するため、本発明の好ましい実施形態が例示される添付の図面及び記述事項を参照するべきである。
【0072】
以下の本発明の詳細な説明を検討した後に、本発明がよりよく理解され、上記の目的並びに上述の目的以外の目的がより明白になるはずである。このような説明は添付の図面を参考にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
細胞内へ巨大分子を送達するために方法及び機器を提供し、図面を参照して前記方法及び機器について以下に記載する。生物細胞内へ分子を送達する方法は、前述の機器を用い、
(a)電極アセンブリ12内に電極16を提供するステップ(ここで、前記電極は固定電極表面42を有する)、
(b)送達すべき電極放出性分子44の少なくとも1つの静層で電極16の固定電極表面42をコーティングするステップ、
(c)静的にコーティングされた電極16を有する電極アセンブリ12を電極アセンブリホルダー13に取り付けるステップ、
(d)電場を発生するために波形発生器15を提供するステップ、
(e)電極16と波形発生器15の間に電気的導電性経路を確立するステップ、
(f)電極16を、生物細胞が電極の間に位置するように配置するステップ、及び
(g)電極16に波形発生器15からパルス波形の形態で電場を提供し、電極16上の電極放出性分子44の少なくとも1つの静層中の分子を生物細胞内に送達するステップが含まれる。
【0074】
図5を参照すると、電極16には、電極アンダーボディ40及び電極アンダーボディ40の上に位置する固定電極表面42が含まれる。電極放出性分子の静層44は、固定電極表面42の上に位置している。しかしながら、異なる実施形態では、固定電極表面42及び電極放出性分子の静層44を混ぜることができることが知られている。
【0075】
本発明の一部の実施形態では、電極放出性分子の静層44は均一であり、実質的に電場分離性分子のみが含まれる。他の実施形態では、電極放出性分子44には溶媒分離性材料のみが含まれる。さらに他の実施形態では、電極放出性分子44に電場分離性分子と溶媒分離性材料が共に含まれる。一般に、溶媒分離性材料は固体である。あるいは、溶媒分離性材料は、ゲル状態であってもよい。
【0076】
図4を参照すると、本方法の1変形例では、電極放出性分子の静層44、例えば深部腫瘍組織治療剤が含まれる巨大分子18でコーティングされた長い針電極34を用い、印加される電場によって長い針電極34から運び去られる巨大分子18で深部腫瘍組織38を治療する。
【0077】
図4を参照すると、上記手順の具体的な例は、癌免疫療法のためにリンホカインを発現するプラスミドを使用することである。1例では、インターロイキン−2を発現するプラスミドを記載の方法を用いて長い針34上にコーティングする。より具体的には、図4中の巨大分子18には、インターロイキン−2を発現するプラスミドが含まれる。次いで、健康組織33を通して長い針34を選択された腫瘍組織38に挿入する。次いで、電気泳動及び電気穿孔パルスを施す。この方法を用い、全身免疫反応を生み出すために腫瘍組織38に対する局所免疫反応を誘導する。他のリンホカインを発現するプラスミドをこの手順で使用することができる。例としては、インターロイキン−12、インターロイキン−4、インターフェロン−ガンマ及び様々な他のものである。他の共刺激分子又は接着分子などの他の免疫系分子を発現するプラスミドも使用することができる。
【0078】
本方法の別の変形例では、図2を参照すると、静的にコーティングされた分子は、患者における感覚を軽減しつつ、患者の表皮20中のランゲルハンス細胞22に送達される。パルス波形は、0.1から300ボルトまでの範囲の絶対印加電圧を有する。逆極性の電極16は、50から500ミクロンまでの範囲の分離距離によって分離されている。静的にコーティングされた電極16は、表皮組織の基底層まで及びそれをわずかに越えて表皮組織に貫通させる。
【0079】
電極16からコーティング分子を運び去るパルス波形は、電気泳動波形である。電気泳動波形は、0.1から100ボルト/cmまでの範囲であってよい。運び去られた分子を生物細胞内に送達するパルス波形は、電気穿孔波形である。電気穿孔波形は、100から10,000ボルト/cmまでの範囲であってよい。共通のパルス波形は、電極16からコーティング分子を運び去ると共に、運び去られた分子を生物細胞内に送達する。
【0080】
分子が送達される生物細胞は、in vivo、ex vivo、又はin vitroのいずれであってもよい。より具体的には、図2に示すように、生物細胞は、表皮20(表皮組織)中にあってもよく、表皮組織中のランゲルハンス細胞22であってもよい。
【0081】
電気泳動電気パルスによって電極16から運び去られた静的にコーティングされた分子は、電気穿孔パルスにより細胞に送達される。例示的プロトコルによれば、パルス波形は、波形発生器15により、一連の少なくとも3回の単一でオペレータ制御され、独立にプログラムされたDC電気パルスを生物細胞に印加することにより提供される。この一連の少なくとも3回のDC電気的パルスは、以下の(1)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス振幅が互いに異なる、(2)少なくとも3回のパルスのうち少なくとも2回は、パルス幅が互いに異なる、及び(3)少なくとも3回のパルスのうち2回の第一の組の第一のパルス間隔は、少なくとも3回のパルスのうち2回の第二の組の第二のパルス間隔とは異なるという特徴のうち1つ、2つ又は3つを有する。
【0082】
電極アセンブリホルダー13は、電極アセンブリ12と波形発生器15の間に、導体21が含まれる電気的導電性経路と一緒に提供される。
【0083】
電極アセンブリ12は、使用前に電極アセンブリ12から取り除かれる滅菌包装24内に提供することができる。
【0084】
表皮組織に使用される電極16については、電極16が円錐状の先端部を有することが好ましく、それによってそれらの電極は針電極と呼ばれる。電極16は、電気的に絶縁された外面電極先端部17及び電気的に絶縁された外面電極基部19と共に提供することができる。電気的に絶縁された外面電極基部19は、パルス電圧が印加された場合に上部皮膚表面を横切って流れる電流を最小限に抑える。さらに、DNAは、電気的に絶縁された外面電極基部19とあまり結合しない。電気的に絶縁された外面電極先端部17と電気的に絶縁された外面電極基部19との間の電極16の外面領域は、外部絶縁層を有しておらず、DNA結合にとって良好な表面である。電気的に絶縁された外面電極先端部17と電気的に絶縁された外面電極基部19との間の外面領域は導電性であり、活性電極領域と呼ぶことができる。電気的に絶縁された外面電極先端部17は、組織内にやけどを引き起こす可能性がある大きな局所的電場強度を防止する。
【0085】
前腕の表皮20中のランゲルハンス細胞22にDNAワクチンを送達するのに適している電極アセンブリ12は、以下の特徴を有する:
(a)電極長−−130ミクロン
(b)電極材料抵抗率−−0.1オーム−cm未満
(c)先端部の絶縁−−先端部末端から10ミクロン上方まで及ぶ
(d)基部の絶縁−−電極担体から55ミクロン下方まで及ぶ
(e)電極先端部平面度−−1平方ミクロン未満
(f)基部の電極直径−−43ミクロン
(g)導電性列における電極間隔−−130ミクロン
(h)導電性列における電極数−−35
(i)導電性列間の空間−−260ミクロン(225×130)
(j)導電性列の数−−25。
【0086】
表皮へ応用する場合には、電極16の長さは表皮20の厚さにより決定される。表皮20の厚さは、人体の様々な部位で異なっている。例えば、内側前腕又は三角筋上方の側方上腕部の表皮20の厚さは、足の踵又は足底の表皮20の厚さよりもかなり薄い。
【0087】
図5を参照すると、電場分離性分子の静層44中の分子には、巨大分子18が含まれることが好ましい。電極コーティング中の巨大分子18には、深部腫瘍組織治療剤、ポリヌクレオチドワクチン(例えば、DNAワクチン又はRNAワクチン)、及び/又はタンパク質ベースのワクチンが含まれていてもよい。ポリヌクレオチドワクチン及びタンパク質ベースのワクチンは、電極16に塗布された固相DNAワクチン又はタンパク質ベースのワクチンの形態であってもよい。また、ポリヌクレオチドワクチン及びタンパク質ベースのワクチンは、ゲルの形態であってもよく、あるいは電極の固定表面マトリックス上に固定された液体の形態であってもよい。固定表面マトリックスは、固体表面粒子(例えば、金属粒子)、リポソームマトリックス、又は固形ポリマーマトリックスであってもよい。
【0088】
電極アセンブリ12は、電極アセンブリホルダー13から取り外し可能かつ入れ替え可能であることが好ましい。電極アセンブリ12には、電極−アセンブリ導電性ストリップが含まれる。電極アセンブリホルダー13には、電極アセンブリ12が電極アセンブリホルダー13と機械的に連結された場合に電極−アセンブリ導電性ストリップで登録可能なホルダー導体が含まれる。電極アセンブリホルダー13には、ホルダー導体と波形発生器15の間の電気的導電性経路が含まれる。
【0089】
上述のように、巨大分子を組織中の細胞内に送達するのに必要な3つの主要な構成要素が存在する。それらは波形発生器15、電極アセンブリホルダー13及び静的コーティングされた電極アセンブリ12である。波形発生器は、組織中で電場を発生させるために必要な電気パルスを供給する。電極アセンブリ12は電極16を含み、ポリヌクレオチド又はタンパク質巨大分子は静的コーティングとして電極16に塗布される。電極アセンブリホルダー13は、電極アセンブリ12を波形発生器15に連結する。
【0090】
静的コーティングされた電極アセンブリ12は、電極アレイの形態であってもよく、電極上に予め担持された巨大分子を有する使い捨てで1回使用の電極アレイの形態であってもよい。この点において、予め担持された電極アレイは、滅菌包装として提供することができる。このような電極アレイを使用するためには、滅菌包装を開け、電極アレイを電極アレイホルダーに連結する。電極アセンブリホルダーを一人が握り、電極アセンブリの一部を患者の選択された組織中に押し入れる。表皮組織の場合には、静的コーティングされた電極アセンブリの電極の先端部を、表皮の樹状細胞であるランゲルハンス細胞の領域に位置させることが好ましい。
【0091】
次いで、電極アセンブリホルダーを介し、波形発生器からパルス波形を静的コーティングされた電極アセンブリに送る。パルス波形は、予め担持された巨大分子を静的コーティングされた電極アセンブリから運び去り表皮内に運び込む。表皮内では、パルス波形が標的表皮細胞を電気的に透過化処理し、巨大分子が標的細胞に入る。
【0092】
図2に示すように、電極アセンブリ12には、非導電性電極担体14及び電極担体14によって支持される複数の個別針電極16が含まれる。電極16の活性領域29は、電極16の表面上に小さな「x」として示される巨大分子18で静的にコーティングされている。パルス波形の影響下では、巨大分子18の一部は電気泳動電圧によって電極16から運び去られて表皮20に入り、電気穿孔電圧によって樹状ランゲルハンス細胞22及び表皮20内の基底層25上方の生きている表皮中の生きている表皮細胞23に送達される。
【0093】
波形発生器15は、プロトコルにあったパルスを生成する。波形発生器の出力は、電圧、パルス幅、パルス間隔、パルス数、及びパルスの方向量などのパルスパラメータの単一選択に関して従来通りであってよい。あるいは、波形発生器の出力は、パルス毎に任意のパラメータ(電圧、パルス幅、パルス間隔、パルス数)を変化させる能力に関してプログラム可能であってもよい。最適な動作のために可変的出力が必要とされるのは、巨大分子の細胞内への電場媒介性送達に必要な電場よりむしろ、電極16から巨大分子を移動するために異なる電場が必要とされるためである。適切なプログラム可能なパルス発生器は、Cyto Pulse Sciences、Inc.、私書箱609、コロンビア、MD21045が製造するパルスエイジル(PulseAgile)(米国特許商標局に登録)、PA−4000型電気穿孔システムである。PA−4000型は、様々な振幅(電圧)、幅及び間隔の矩形波を送り出すことが知られている。
【0094】
パルス毎に電圧、パルス幅、パルス間隔及びパルス数についてのプログラム可能な制御に加え、他の2つのパラメータのプログラム可能な制御が望まれる。1つは、印加される電場の方向又は方向量の制御である。もう1つは、電極選択の制御である。1つの応用例では、電場の方向は、巨大分子のよりよい分布を保証するため逆転させることがある。別の応用例では、電極アレイの個々の対を順次選択することがある。
【0095】
電極選択及び電場方向の選択に適している装置は、上述のPA−4000電気穿孔システムの選択的構成要素であるプラグラム可能なパルススイッチである。
【0096】
静的コーティングされた電極アセンブリ12は2つの機能を果たす。それは巨大分子を望ましい部位に送達し、電場を組織に送達する。静的コーティングされた電極アセンブリ12には、
1.非導電性電極担体14。
2.電極担体14上に組み立てられた針電極16のアレイ。ただし、針電極16は、静的コーティングされている。
3.波形発生器15と電気的に連結するために電極アセンブリホルダー13上のホルダー導体に電気的に連結するための電極アセンブリ導電性ストリップ26が含まれる。
【0097】
表皮に使用するための本発明の方法を実施する際には、静的コーティングされた針電極16の先端部を患者の表皮20に押し付け、図2に示すように針を角質層27に刺し表皮20及び上部真皮31内へ伸ばす。
【0098】
電極針は、多くの形状を有することができる。針電極の形状の例は:円筒型針、平型針、円錐型針、刀身型針である。針は、尖った、丸い又は鈍いものであってもよい。これらの形のそれぞれは、電極列あたり単一又は複数であってもよい。
【0099】
電極アセンブリホルダーの目的は、波形発生器と電極アセンブリとの間に電気的連結を設けること及び電極アセンブリを患者に適用する場合に電極アセンブリ用の支持具を提供することである。それは、患者へ適用するための機械的連結を提供する。また、それは、電極アセンブリの無菌性を維持しながら患者の組織へ電極アセンブリを送達する手段も提供する。
【0100】
静的コーティングされた電極アセンブリは、以下の選択的特徴を有することができる。それは、電極アセンブリ上の適切な圧力を組織に提供する手段を有することができる。それは、正しい適用圧力、進行中の電気的送達、及び電気的送達の完了を示す表示器を有することができる。それは、パルスプロトコルを開始するためのスイッチを有することができる。それは、適切な圧力が電極アセンブリホルダーに加えられた場合に、自動的にパルスプロトコルを開始するための手段を有することができる。
【0101】
上述のように、DNA及びタンパク質巨大分子を含む巨大分子は、電気泳動電圧により静的コーティングされた電極から運び去られる必要があり、それによって巨大分子は、組織中の標的生物細胞内に巨大分子を送達するための電気穿孔パルスを印加する前に、組織の細胞外空間を進むことができる。
【0102】
上述のように、電場分離性分子の静層44中の巨大分子18は、最初に電極16の固定電極表面42に結合される。巨大分子18の静的コーティングで電極16をコーティングすることへの機械的手法では、比較的高濃度の巨大分子18を溶媒又は液体担体に溶解又は懸濁する。次いで、電極16を溶液又は懸濁液に浸漬する。次いで、溶媒又は液体担体を蒸発させ、巨大分子18の固体コーティングの場合には、電極16上に巨大分子18の固体コーティングを残す。あるいは、電極16を噴霧法によってコーティングする。電極16をコーティングするその他の機械的手段も可能である。
【0103】
DNAなどの巨大分子は、多くの表面と効率良く結合する。材料の物理的及び化学的特性を用いて電極表面との結合を強め、静的コーティングされた電極16を提供することができる。
【0104】
分子は、様々な分子間相互作用を介してお互いと結合し、それぞれが異なる結合強度を有する傾向がある。これらと同じ力は、固体基質と可溶性分子の間ばかりでなく溶液中の分子間にも作用する。分子間相互作用は:
1.溶媒和:溶媒の結合。分子の構成成分と溶媒分子との間の相互作用。
2.疎水性相互作用:溶媒との相互作用が不可能であることの結果としての溶質−溶質相互作用;回避相互作用。
3.ファンデルワールス力は、全ての分子間に存在する弱い引力である。それは短距離においてのみ有効で、相互作用が相補的の形に基づく場合にはより強くなる。
4.水素結合は、水素と窒素及び酸素などの他の分子との間に形成される結合である。
5.イオン結合は、分子の逆に荷電した部分の引力に基づく引力である。
6.共有結合は、分子結合の最も強いものである。
【0105】
DNAに関してより具体的には、DNAは、水にやや溶けにくく、荷電している。ヌクレオチド内の有機環は、DNAに疎水性を付与する。DNAポリマー中のリン酸分子は、正味の負電荷を付与する。
【0106】
電極表面とDNAとの間の最も強い結合は、疎水性結合である。電極が正電荷を有する場合に、DNAは電極に向けて移動し、それによってDNAと導電性疎水性表面との相互作用が増強する。生物組織へDNAを送達するためには、電荷を逆転させる。電極表面からの巨大分子18の移動は、同符号の電荷の斥力が、疎水性及び他の分子間相互作用の力を越えると直ちに起きる。
【0107】
DNAは、正電荷を使用することよりDNAを金属(電極表面等)又は別の導電性材料と結合させることによって、特定の部位上にコーティングすることができる。続いて、DNAを電極表面から運び去り、続いてDNAを生物細胞に送達するために、負電荷を同一表面に印加する。負に荷電するDNAは、正極に向けて電場中を移動するはずである。この現象は、電気泳動と呼ばれる。大部分の金属がそうであるように正極が疎水性表面である場合には、正電荷及び疎水性相互作用が一緒に働き、DNAを表面に保持するはずである。
【0108】
大部分の巨大分子は、その等電点以外のpHにおいて、溶液中で正味の電荷を有する。例えば、DNAは、生理学的pHにおいては負に荷電している。このことは、DNA分子が正極に向けて移動するはずであることを意味する。この性質を用い、巨大分子を、列挙した他の分子間相互作用を介して電極表面へのDNAの結合が起こる電極に接触させる。例えば、DNAが結合できるのは、DNAが疎水性であるためである。
【0109】
電気コーティングは、巨大分子の電荷を利用している。上述のように、DNAは負に荷電しているため正に荷電する電極に移動する。静的コーティングにより電極16をコーティングするために使用される機器を例示している図6を参照しよう。1つのコーティング過程では、DNAを緩衝液に添加し、次いで陰極としての機能を果たす電極と共にチェンバー内に置く。この電極は、陰極の金属がDNAと接触することを防ぐため、ゲル接触面によって緩衝液から分離されていることが好ましい。電極装置を液体に挿入し、電極装置に正電荷を印加し、DNAを電極装置の表面に引き寄せる。DNAは、疎水性又は他の相互作用により電極装置の表面に付着し、DNAが逆電荷によって反発するまで静的コーティングされた電極が得られる。糖などの保護剤と共に、又はなしに、他の担体分子と共に、又はなしに装置上でDNAを乾燥する。また、標的細胞内への治療材料の取込を促進する物質を、電極上の静的コーティングに添加することもできる。
【0110】
電極アセンブリ上に静的コーティングされる巨大分子の量は、応用例によって異なる。例えば、DNA免疫化の場合には、プラスミドDNA0.01から100マイクログラムを電極アセンブリに担持する。
【0111】
巨大分子による電極アセンブリの製造では、滅菌材料及び滅菌局所環境を使用することができる。あるいは、製造後にアセンブリを滅菌することができる。
【0112】
本発明の方法及び機器を用いて巨大分子18を患者に投与する際の典型的な工程の順序を以下に記載する。診療室において、波形発生器15を電極アセンブリホルダー13に連結する。個々の応用例について、電極16に望ましい巨大分子の静的コーティングが担持された電極アセンブリ12を選択する。次いで、電極アセンブリ12を電極アセンブリホルダー13と機械的に連結する。オペレータは電極アセンブリホルダー13を握り、静的コーティングされた電極16を患者の組織(例えば皮膚)に押し付ける。皮膚の場合、静的コーティングされた電極16を表皮20に貫通させ、実質的に基底層だけまで延ばす。このようにして静的コーティングされた電極16を表皮20内に位置させた後、巨大分子送達過程を開始し、選択された電場のパターンを開始する。送達プロトコルの完了後、電極16を表皮20から取り除き、電極アセンブリ12を廃棄する。
【0113】
上述のように、電極放出性分子44に溶媒分離性固体材料を用いない場合には、電気的プロトコルは、静的コーティングされた巨大分子を電極16から組織内に運び去り、続いて巨大分子を組織中の細胞内へ送達するように設計する。DNAの場合、電気パルスの典型的順序は以下の通りである。最初に、一連の低電圧(電気泳動)パルスを電極16に印加し、負に荷電したすべての電極からDNAを移動させる。典型的には、電極の交互の列を負に荷電する。次に、より高電圧の電気穿孔パルスを電極16に印加し、DNAを細胞内に運び込む。次に、電極の極性を逆転させ、逆極性で低電圧パルスを送達し、残りの電極からDNAを移動させる。次いで、高電圧電気穿孔パルスを印加し、DNAを細胞内に押し入れる。
【0114】
この巨大分子送達システムの重要な使用法は、巨大分子を皮膚に送達することである。この使用法の場合、電極針の長さは、基底層及び基底膜(基底層)へ電極を貫通させるように選択される。真皮へのわずかな貫通が起こってもよい。患者の腕に対するこの使用法では、130ミクロンの電極長を選択する。この深さは、表皮細胞の治療を可能にする。DNAワクチン又は遺伝子治療の場合、この送達法により形質移入される細胞は樹状細胞(皮膚ランゲルハンス細胞22)及び表皮細胞である。
【0115】
巨大分子を表皮中の生物細胞へ投与することに加え、本発明の方法及び機器は、手術中の組織及び植物などの他の生物学的環境においても使用することができる。
【0116】
静的コーティングの塗布に先立ち、本発明の電極アセンブリ12を製造するために多種多様な方法を用いることができる。多くの実施例を以下に示す。
【0117】
本発明に従うと同様、非導電性の支持具上に導電性マイクロニードルを作製するために標準的マイクロチップ製造過程を適合させることができる。一例では、シリコン又は他の非導電性層、及び金属層からなる素材が使用される。マスクは、列内よりも列間においてよりエッチングを促すように設計され、列間に非導電性空間を有する導電性の電極列が得られる。
【0118】
電極アセンブリを構築する別の方法は、押出微細加工の知られている技法の適用によるものであり、例は以下の通りである。電極材料及び隣接する絶縁材料は、セラミック、金属又は他の粉末を、熱可塑性結合剤と混合することにより調製する。個々の構成成分をまとめ、熱加圧して互いを付ける。得られたロッドを押し出してサイズを縮める。押出後、新たなロッドを、複数の押し出しロッドからなるロッドにまとめる。この最も新しいロッドを再度押し出し、複数のロッドのサイズを最初に押し出したロッドのサイズまで縮める。望ましいサイズまでサイズを縮めた後、この部品を加熱して結合剤を除去することができる。第2に、さらに高熱を用い、金属又はセラミック粉末を一緒に焼結する。ロッドは、焼結の前後にディスク状に切断する。差動的な砂の吹き付け又は他の機械的もしくは化学的技法を用い、絶縁体の表面に針を立てることができる。
【0119】
製造のための別の方法は、レーザーミリング技法を用い、導電性及び非導電性の層からなるサンドイッチから材料を取り外すものであろう。
【0120】
電極のいくつかのアレイに関しては、電極間の距離は、機械的な組立のために十分に大きい。そのようなアセンブリの例は以下の通りである。アセンブリ用のスプール上に、望ましい金属組成及び直径のワイヤーを配置する。ワイヤーを正しい距離だけ離して位置あわせをする機器にワイヤーを入れる。セラミック又はプラスチック材料をフロースルーシステムに注入すると、電極間の間隙を完全に充填し、電極の外部枠の形を形成する。プラスチック又はセラミックを固化させ、それをディスク状に切る。より軟質のマトリックスを利用して、得られたディスクを差動的に腐食させる。腐食は、機械的方法、化学的方法又はそれらの方法の組合せを用いて行うことができる。表面腐食は、望ましい長さの針を残し、支持マトリックスの上方に突出する。
【0121】
電極アセンブリのための別の製造技法を以下に記載する。長さ30mm及び直径120ミクロンのステンレス鋼の針を入手する。1つの供給元は、鍼供給会社である。Seirin No.02針が一例である。ハンドルが存在する場合には、針をハンドルから切り取る。装置の各列に対して多数の針を選択する。この例では、列当たりに35本の針を使用する。針の先端部が一線に並ぶように針を注意深く配置する。この工程には注意が必要であり、別の顕微鏡用スライドの上にのりで90℃に接着された顕微鏡用スライドから作製される治具が位置合わせを助けるための道具である。また、このスライドを用い、顕微鏡で位置合わせをチェックする。針の列(針の束)を厚さ50ミクロンのテープで一緒にくくる。2個又はそれ以上の針の束を積み重ね、各束の先端部が次の束と一直線になった電極アレイを形成する。針をワイヤーに銀ロウ付けし、交互の針の束を電気的に連結する。針の束の電極アレイを支持するために全体的な支持具構造を提供する。
【0122】
長い針が含まれる電極アセンブリを作製する例は以下の通りである。長い針電極の一実施形態は以下のように実施することができる。厚さ1/8インチのいくつかのLexanシートを1cmから1.5cmの寸法に切断する。2つの平行な列を5mm離してマークする。5mm離れた各平行線に沿って2mm離れたドリルポイントをマークする。マークした各ポイントにドリルで直径0.35mmの穴を開ける。
【0123】
SeirinNo.8針などのステンレス鋼の鍼治療の針を選択する。3つのLexan片のうち1つに針を挿入する。長いニッケルキャピラリチューブを長さ2mmに切断する。このキャピラリチューブは0.020インチの内径を有する。切断したキャピラリチューブを各針の上に滑らせる。Lexan片の残り2つに針を挿入する。ポイントに最も近いLexan片を、Lexan片を超えて伸びる0.5cmの針を残すスペーサ上に配置する。エポキシ接着剤を用い、ポイントに最も近いLexan片の場所に針を固定する。第二の片を第一の片から0.5cm移動させる。2つのLexan片間の3辺によって形成される空間を密封し、高熱プラスチック又はエポキシを注いで空間を充填する。ニッケルチュービングと針との間の空間を充填することにより、ニッケル片をステンレス鋼にはんだづけする。高電圧ワイヤーをはんだづけし、ニッケルキャピラリチュービングの部位で針の列のうち1つの列に連結する。高電圧ワイヤーを、ニッケルキャピラリチュービングの部位で針の他の列にはんだづけする。最後の2つのLexan片間の空間を3辺で密封し、高熱エポキシで空間を充填する。鍼治療の針のハンドルを取り除き、針を洗浄して最後のLexan片の先端部へポイントフラッシュする。先端部を電気抵抗性のエポキシで密封する。高圧ワイヤーの他方の端にバナナプラグを配置する。針の端に少量のエポキシ又はTeflon塗料を添加することにより、針を絶縁することができる。さらに、針の他の選択された領域を絶縁してもよい。
【0124】
長針電極を多くの方法でコーティングすることができる。以下は1つの方法である。TE緩衝液中に1マイクロリットルあたり0.3マイクログラムのDNAを有するDNAの溶液中に針を浸す。容器の底に触れないようにして溶液中に針を吊す。液体を保持する容器は、負極としての役割を果たすステンレス鋼の底を有する。次いで、すべての針を、電源装置の共通する正極に連結する。1.5Vの電圧を数分間針に印加する。次いで、針を溶液から取り出すと、DNAは電極上に静的コーティングを形成するため、直ちに使用することができる。あるいは、DNAを針上で乾燥することができる。DNAを乾燥する前にショ糖溶液に浸すことにより、ショ糖などの静的コーティングされた保護剤を針に添加してもよい。
【0125】
静的コーティングされた表面DNAを保持する針の能力をいくつかの方法で拡大することができる。1つの方法は、単に、静的コーティングされたDNAの複数の層を針の表面に塗布することである。別の方法は、多孔性の焼結金属表面を加えることにより、針の表面積をより大きくすることである。別の方法は、電極表面にポリマー又はゲルを添加することにより、それに接着する静的コーティングされたDNAのために金属電極表面に三次元表面を提供することである。
【0126】
リポソーム内にDNAを包埋すること、DNAse阻害薬を加えること又は保護剤中で針をコーティングすることにより、静的コーティングされたDNAを周囲のDNAseの影響から保護することができる。また、滅菌され乾燥された包装も静的コーティングされた針を保護するはずである。
【0127】
静的コーティングされた長針電極を使用する例を以下に記載する。静的コーティングされたDNAを含有する針電極を組織に挿入して使用する。小さな電圧の電気泳動電位を数秒から数分印加し、針から組織内へDNAを移動することができる。次いで、電気穿孔パルスを加え、DNAを組織の細胞内に運ぶ。DNAが細胞内に移動するのを助けるには、より大きな電気泳動パルスが必要である。数秒の休止時間の後、針上で極性を逆転させ、同一プロトコルを繰り返すことができる。
【0128】
本発明の別の態様によれば、ポリマーを用いて金属電極に対するDNAの接着を改良することができる。上述のように、電荷を用いて金属電極表面上にDNAをコーティングし、DNAの電極表面との結合を容易にすることができる。しかしながら、このようなDNA結合は高親和性結合であり、電場を用いて電極からDNAを運び去ることを困難にする可能性がある。したがって、本発明によれば、固定電極表面42へのDNAの接着を制御し、電場を用いる固定電極表面42からのDNAの放出を容易にするための方法を提供する。
【0129】
本発明のある態様によれば、不水溶性の接着制御ポリマー52を電極アンダーボディ40上にコーティングし、固定電極表面42を生成することができる。次いで、固定表面接着制御ポリマー52上に電極放出性分子44をコーティングする。このような場合、電極が生物細胞の付近に位置する場合には、不水溶性の接着制御ポリマー52が電極アンダーボディ40上に固定されたままで、電場分離性分子である電極放出性分子44は不水溶性の接着制御ポリマー52から運び去られる。
【0130】
また、本発明のある態様によれば、不水溶性の接着制御ポリマー52を電極放出性分子44と一緒に混ぜ、その混合物を電極アンダーボディ40上にコーティングし、電極放出性分子44と混ざりあった固定電極表面42を生成することができる。このような場合、電極が生物細胞の付近に位置する場合には、不水溶性の接着制御ポリマー52が電極アンダーボディ40上に固定されたままで、電場分離性分子である混ぜ合わされた電極放出性分子44は不水溶性の接着制御ポリマー52から運び去られ、生物細胞内に運び込まれる。
【0131】
あるいは、本発明によれば、接着制御ポリマー52は水溶性で、それを固定電極表面42としての役割を果たす電極アンダーボディ40の表面に塗布することができる。次いで、接着制御ポリマー52上に電極放出性分子44をコーティングする。このような場合、電極が生物細胞の付近に位置する場合には、体液によって水溶性の接着制御ポリマー52が溶かされ、水溶性の接着制御ポリマー52と電極放出性分子44は共に、固定電極表面42から放出される。印加された電場の影響の下で電極放出性分子44は生物細胞内に運び込まれる。
【0132】
あるいは、本発明によれば、接着制御ポリマー52は水溶性で、電極放出性分子44と混ぜることができる。この混合物を固定電極表面42としての役割を果たす電極アンダーボディ40の表面に塗布する。このような場合、電極が生物細胞の付近に位置する場合には、体液によって水溶性の接着制御ポリマー52が溶かされ、水溶性の接着制御ポリマー52と電極放出性分子44は共に、固定電極表面42から放出される。印加された電場の影響の下で電極放出性分子44は生物細胞内に運び込まれる。
【0133】
あるいは、以下の、不水溶性の接着制御ポリマー52、水溶性の接着制御ポリマー52、及び電極放出性分子44のすべてを用い、電極アンダーボディ40をコーティングすることができる。このような場合、電極が生物細胞の付近に位置する場合には、不水溶性の接着制御ポリマー52は固定電極表面42上に固定されたままであり、水溶性の接着制御ポリマー52及び電極放出性分子44が固定電極表面42から放出される。次いで、電場は、電極放出性分子44を生物細胞内に運び込む。
【0134】
一般的に、1つの種類の方法では、電極放出性分子44、例えばDNAを塗布する前にポリマーを電極アンダーボディ40に添加する。別の種類の方法では、電極放出性分子44、例えばDNAとポリマーを混ぜ、その混合物で電極アンダーボディ40をコーティングする。
【0135】
DNAのin vivoにおける送達の場合には、ポリマーが生体適合性である必要がある。生体適合性ポリマーの部分的リストは以下の通りである。ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(エトキサゾリン(ethoxazoline))、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(2−ヒドロキシメタクリレート)、及びポリ(アクリル酸)。また、これらのポリマーの構成成分を含むコポリマーも生体適合性である。多くの他のポリマーが生体適合性であり、使用に適している。
【0136】
改良された特性が望ましい場合には、コポリマーが特に有用なこともある。例えば、非イオン性ポリマー内に陽イオン性ポリマーの部分を加えると、DNAのポリマーとの結合を促進することがある。他のイオン性コポリマーを用い、ポリマーに環境性感受性を付与することができる。その例は、pH感受性、温度感受性、化学的感受性、溶媒感受性又は電場感受性である。これらのすべての改良を用い、電極の表面上で追加のポリマーと混合した、又は追加のポリマーと結びついた生体高分子(DNA、RNA、タンパク質)の放出を制御することができる。
【0137】
針表面上にDNAを担持する助けとなるポリマーの使用法の1つの例は以下の通りである。加熱によりポリビニルアルコールを水に溶かす。この例で使用するポリマーの量は、水に溶かした2%のポリマー(w/v)である。ポリマーに電極を浸し、70℃で電極を乾燥する。次に、1マイクロリットルあたり2.5マイクログラムでDNA10マイクロリットルをピペットで取って針表面に添加する。70℃において表面上のDNAを乾燥する。塗布する前にDNAとポリマーを混ぜることにより、この過程を1工程で行うことができる。次いで、使用するまで針電極を乾燥して保存する。電極金属表面にDNAと一緒にポリマーを添加する別の利点は、細胞とDNAが接する電極表面における電気分解を軽減することである。水和ポリマーとして金属表面上に残るポリマーは、生細胞及びDNAから金属を引き離したままで保つことができる。このようなポリマーは、活性な表面電気分解を含む部位を有する電極表面を生細胞及びDNAから引き離し、それによって細胞あるいはDNAに対する損傷の機会を軽減する。
【0138】
たとえ、ポリマーを用い、電極の表面からの生体高分子、例えばDNAの初期放出を助けても、生物細胞内へ生体高分子を送達する次の段階にはパルス状の電場が依然として必要である。主目的が電気泳動であるパルスを用い、針電極付近から周囲組織へ生体高分子を移動することができる。周囲細胞を生体高分子に対して透過性にするためには電気穿孔パルスが必要である。生体高分子を細胞内に移動するには、電気泳動用に使用されるパルスの組を追加する必要がある。
【0139】
以上、発明の諸態様をより詳細に記載してきたが、本発明の態様について比較的簡潔な概説を以下に示す。
【0140】
生物細胞内に分子を送達するための方法を提供する。本方法には、電極アセンブリ内に電極を提供することが含まれ、電極は、送達すべき電場分離性分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた固定電極表面を有する。電場を発生するための波形発生器を提供し、電極と波形発生器の間に電気的導電性経路を確立する。電極と波形発生器の間に電気的導電性経路を確立するため、静的にコーティングされた電極を有する電極アセンブリを電極アセンブリホルダーに取り付けることができる。生物細胞が電極間に位置するように電極を配置し、波形発生器からパルス波形の形態で電場を電極に提供し、電極上の電場分離性分子の少なくとも1つの静層中の分子を電極から運び去り、生物細胞内に送達する。
【0141】
電極表面自体は、固定電極表面としての役割を果たすことができる。固定電極表面には、酸化金属表面が含まれていてもよい。酸化金属表面には、銀の酸化物、ニッケルの酸化物、又は銅の酸化物が含まれていてもよい。固定電極表面には、固定金属粒子、又は粗面が含まれていてもよい。
【0142】
固定電極表面上の電場分離性材料には、ゲルコーティング、非ポリマー材料の固体層、又はポリマー層が含まれていてもよい。
【0143】
本発明の別の態様によれば、免疫療法のための方法を提供し、(a)免疫刺激材料で静的コーティングされた静的コーティングされた電極を得るステップ、(b)静的コーティングされた電極を治療すべき組織に挿入するステップ、(c)免疫刺激材料が静的コーティングされた電極から運び去られ、組織中の細胞内に運び込まれる、静的コーティングされた電極に電気泳動及び電気穿孔パルスを印加するステップが含まれる。
【0144】
本発明の別の態様によれば、生物細胞内に送達すべき電場分離性分子の少なくとも1つの静層を有するコーティングが含まれる電極を提供する。電極には、電場分離性分子の静層でコーティングされた固定電極表面が含まれていてもよい。静的コーティング中の分子は、固相中、ゲル中にあってもよい。
【0145】
固定電極表面42には、固定表面マトリックスが含まれていてもよく、静的コーティング中の分子は、固定表面マトリックス上に固定された液体中にある。固定表面マトリックスには、固体表面粒子が含まれていてもよい。固定表面粒子は、金属粒子であってもよい。固定表面マトリックスには、リポソームマトリックス又は固体ポリマーマトリックスが含まれていてもよい。
【0146】
静的コーティング中の分子は巨大分子であってもよく、巨大分子には、固相ポリヌクレオチドワクチンなどのポリヌクレオチドワクチン、固相DNAワクチンなどのDNAワクチン、又は固相RNAワクチンなどのRNAワクチンが含まれていてもよい。静的コーティング中の巨大分子には、固相のタンパク質ベースのワクチンなどのタンパク質ベースのワクチンが含まれていてもよい。静的コーティング中の巨大分子には、器官治療剤が含まれていてもよい。器官治療剤には、深部腫瘍組織治療剤が含まれていてもよい。
【0147】
電極は、針電極の形態であってもよい。
【0148】
本発明の別の態様によれば、静的コーティング分子による電極のコーティングは、以下の、分子の量が行われる液体媒体を調製するステップ、調製した媒体に電極を接触させるステップ、媒体から電極を取り出すステップ、媒体を乾燥させて分子の静的コーティングを電極上に残すステップによって行う。
【0149】
本発明の別の態様によれば、静的コーティング分子による電極のコーティングは、以下の、分子の量が行われる液体媒体を調製するステップ、調製した媒体に電極を接触させるステップ、電極にパルス波形を印加し、分子の一部を電極と結合させるステップ、媒体から電極を取り出すステップ、媒体を乾燥させて分子のコーティングを電極上に残すステップによって行う。
【0150】
本発明の別の態様によれば、分子を生物細胞内に送達するための機器を提供する。機器には、パルス波形を提供する波形発生器が含まれる。電極アセンブリホルダーを提供し、複数の電極を有する電極アセンブリを電極アセンブリホルダーによって機械的に支持する。電気的導電性経路を介して電極アセンブリを波形発生器と電気的に連結する。電極アセンブリには、生物細胞内に送達すべき分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた電極が含まれる。
【0151】
瘢痕を生じる皮膚の損傷を引き起こさない、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器を提供することにより、本発明が、示された目的の全てを遂行することは上記から明らかである。本発明によれば、治療される細胞内に弾道粒子の残留物を残さない、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。本発明によれば、基底層に近い表皮内の生物細胞に分子を送達するための電気穿孔法は、治療分子を経皮的に皮膚を通過させない。本発明によれば、皮下注射針を用いない細胞内へ巨大分子を送達する方法及び機器を提供する。本発明によれば、電気穿孔過程が患者に行われる際に電極上を流れ落ちる液体媒体を用いない、細胞内に巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。
【0152】
本発明によれば、液体を患者に注入するための加圧液体注入工程を用いない、細胞内へ巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。本発明によれば、比較的に低い電圧が電気穿孔法を受ける細胞に印加される。本発明によれば、細胞に印加されるパルスは、望ましい場合に、電気穿孔を受ける細胞に対して比較的短いパルス幅を有することができる。本発明によれば、望ましい場合に、電極の基部及び先端部が非導電性である電極を用いることができる、細胞内へ巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。本発明によれば、細胞内へ巨大分子を送達するための方法及び機器は、使い捨て電極アセンブリを提供する。本発明によれば、電極アセンブリが滅菌包装中に包装される、細胞内へ巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。本発明によれば、組織治療剤が含まれる電場分離性材料を有するコーティングされた長い電極を用いる組織の治療を可能にする、細胞内へ巨大分子を送達するための方法及び機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、本発明の全体的な機器の略図である。
【図2】図2は、巨大分子の静層でコーティングされた比較的短い電極の略図であり、電極は表皮皮膚層を貫通し、巨大分子はパルス波形によって電極から運び去られて表皮細胞内に送達される。
【図3】図3は、電極の先端部の略図である。
【図4】図4は、巨大分子の静層でコーティングされた比較的長い電極の略図であり、電極は健康組織を通って腫瘍の組織に貫通している。
【図5】図5は、電極放出性分子の静層でコーティングされた固定電極表面を有する電極を概略的に示す。
【図6】図6は、巨大分子で電極をコーティングするために使用される機器を概略的に示す。

Claims (51)

  1. 生物細胞内に分子を送達するための方法であって、
    電極アセンブリ中に電極を得るステップであって、電極が、送達すべき電極放出性分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた固定電極表面を有するステップ、
    電場を発生するための波形発生器を得るステップ、
    電極と波形発生器の間に電気的導電性経路を確立するステップ、
    生物細胞が電極間に位置するように電極を配置するステップ、
    波形発生器からパルス波形の形態で電極に電場を提供し、電極上の電極放出性分子の少なくとも1つの静層中の分子を生物細胞内に送達するステップが含まれる方法。
  2. 電極と波形発生器の間に電気的導電性経路を確立するため、静的コーティングされた電極を有する電極アセンブリを電極アセンブリホルダーに取り付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 電極放出性分子44に電場分離性分子が含まれる、請求項1に記載の方法。
  4. 電極放出性分子44に溶媒分離性材料が含まれる、請求項1に記載の方法。
  5. 電極放出性分子44に電場分離性分子及び溶媒分離性材料が含まれる、請求項1に記載の方法。
  6. 固定電極表面42に不水溶性ポリマーが含まれる、請求項1に記載の方法。
  7. 固定電極表面42に不水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーが含まれる、請求項1に記載の方法。
  8. 電極表面自体が固定電極表面としての役割を果たす、請求項1に記載の方法。
  9. 固定電極表面に酸化金属表面が含まれる、請求項1に記載の方法。
  10. 固定電極表面に固定金属粒子が含まれる、請求項1に記載の方法。
  11. 固定電極表面に粗面が含まれる、請求項1に記載の方法。
  12. 固定電極表面上の電極放出性材料にゲルコーティングが含まれる、請求項1に記載の方法。
  13. 固定電極表面上の電極放出性材料に非ポリマー材料の固体層が含まれる、請求項1に記載の方法。
  14. 固定電極表面上の電極放出性材料にポリマー層が含まれる、請求項1に記載の方法。
  15. 組織細胞を治療するための方法であって、
    (a)電極放出性組織治療剤の分子で静的コーティングされた静的コーティングされた電極を得るステップ、
    (b)静的コーティングされた電極を治療すべき組織に挿入するステップ、
    (c)電極から電極放出性組織治療剤の分子を放出するステップ、及び
    (d)放出された電極放出性組織治療剤の分子が組織中の細胞内に運び込まれるように、電気穿孔パルスを電極に印加するステップが含まれる方法。
  16. 治療すべき組織が皮膚組織である、請求項15に記載の方法。
  17. 治療すべき組織が深部器官組織である、請求項15に記載の方法。
  18. 治療すべき組織が筋肉組織である、請求項15に記載の方法。
  19. 電極に電気泳動パルスを印加することにより、電極放出性組織治療剤の分子を電極から放出する、請求項15に記載の方法。
  20. 電極を溶媒と接触させることにより、電極放出性組織治療剤の分子を電極から放出する、請求項15に記載の方法。
  21. 免疫療法のための方法であって、
    (a)免疫刺激材料で静的コーティングされた静的コーティングされた電極を得るステップ、
    (b)静的コーティングされた電極を治療すべき組織に挿入するステップ、
    (c)免疫刺激材料を電極から放出するステップ、及び
    (d)免疫刺激材料が組織中の細胞内に運び込まれるように、電気穿孔パルスを電極に印加するステップが含まれる方法。
  22. 電極に電気泳動パルスを印加することにより、免疫刺激材料を電極から放出する、請求項21に記載の方法。
  23. 電極を溶媒と接触させることにより、免疫刺激材料を電極から放出する、請求項21に記載の方法。
  24. 体液が含まれる溶媒と電極を接触させることにより、免疫刺激材料を電極から放出する、請求項21に記載の方法。
  25. 生物細胞内に送達すべき電極放出性分子の少なくとも1つの静層を有するコーティングが含まれる電極。
  26. 電極アセンブリを形成する請求項25に記載の複数の電極。
  27. 前記の複数電極が少なくとも2つの平行な電極列として配置されている、請求項26に記載の電極アセンブリ。
  28. 前記の平行な電極列に針電極が含まれる、請求項27に記載の電極アセンブリ。
  29. 前記静的コーティング中の前記分子が固相中にある、請求項25に記載の電極。
  30. 前記静的コーティング中の前記分子がゲル中にある、請求項25に記載の電極。
  31. 前記電極に電極放出性分子の前記静層でコーティングされた固定電極表面が含まれる、請求項25に記載の電極。
  32. 前記固定電極表面42に固定表面マトリックスが含まれ、
    前記静的コーティング中の前記分子が、前記固定表面マトリックス上に固定された液体中にある、請求項31に記載の電極。
  33. 前記固定電極表面に固体表面粒子が含まれる、請求項31に記載の電極。
  34. 前記固体表面粒子が金属粒子である、請求項33に記載の電極。
  35. 前記固定電極表面にリポソームマトリックスが含まれる、請求項31に記載の電極。
  36. 前記固定電極表面に固体ポリマーマトリックスが含まれる、請求項31に記載の電極。
  37. 前記静的コーティング中の前記分子が巨大分子である、請求項25に記載の電極。
  38. 前記静的コーティング中の前記巨大分子にポリヌクレオチドワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  39. 前記静的コーティング中の前記巨大分子に固相ポリヌクレオチドワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  40. 前記静的コーティング中の前記巨大分子にDNAワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  41. 前記静的コーティング中の前記巨大分子に固相DNAワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  42. 前記静的コーティング中の前記巨大分子にRNAワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  43. 前記静的コーティング中の前記巨大分子に固相RNAワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  44. 前記静的コーティング中の前記巨大分子にタンパク質ベースのワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  45. 前記静的コーティング中の前記巨大分子に固相のタンパク質ベースのワクチンが含まれる、請求項25に記載の電極。
  46. 前記静的コーティング中の前記巨大分子に器官治療剤が含まれる、請求項25に記載の電極。
  47. 前記器官治療剤に深部組織腫瘍治療剤が含まれる、請求項46に記載の電極。
  48. 針電極の形をしている請求項25に記載の電極。
  49. 生物細胞に送達すべき分子の前記静層による前記電極のコーティングを、以下の
    前記分子の量が行われる液体媒体を調製するステップ、
    調製した媒体に前記電極を接触させるステップ、
    媒体から前記電極を取り出して媒体を乾燥させ、前記分子の静的コーティングを前記電極上に残すステップによって行う、請求項25に記載の電極。
  50. 生物細胞に送達すべき分子の前記静層による前記電極のコーティングを、以下の
    前記分子の量が行われる液体媒体を調製するステップ、
    調製した媒体に前記電極を接触させるステップ、
    前記電極にパルス波形を印加し、前記分子の一部を前記電極と結合させるステップ、及び
    媒体から前記電極を取り出して媒体を乾燥させ、前記分子の静的コーティングを前記電極上に残すステップによって行う、請求項25に記載の電極。
  51. 生物細胞内に分子を送達するための機器であって、
    パルス波形を提供する波形発生器、
    電極アセンブリホルダー、及び
    前記電極アセンブリホルダーによって機械的に支持され、電気的導電性経路を介して前記波形発生器と電気的に連結される電極アセンブリを備え、前記電極アセンブリには、生物細胞内に送達すべき電極放出性分子の少なくとも1つの静層でコーティングされた電極が含まれる機器。
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