JP2005502344A - 新規gタンパク質共役受容体およびそのdna配列 - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
この発明は、新たに同定されたポリペプチドおよび上記ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド、診断、および治療において潜在的に有用なアゴニストまたはアンタゴニストであり得る化合物の同定におけるそれらの使用、およびGタンパク質共役受容体(GPCR)との類似性を共有する上記ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの生産に関するものである。
【0002】
発明の背景
創薬過程は、近年、それが「ファンクショナル・ゲノミクス(機能ゲノム解析)」、すなわち高スループットのゲノムまたは遺伝子に基いた生物学を取り入れていることから、根本的な変革を被っている。治療標的として遺伝子および遺伝子産物を同定する手段としてのこの方法は、急速に「ポジショナル・クローニング」に基いた初期の方法に取って代わっている。表現型、すなわち生物学的機能または遺伝病を同定し、次いで、その遺伝地図の位置に基いて、関与する遺伝子を突きとめる。ファンクショナル・ゲノミクスは、高スループットDNA配列決定技術および現時点で利用可能な多くの分子生物学データベースから潜在的興味の対象である遺伝子配列を同定するためのバイオインフォマティクスの様々なツールに大いなる信頼をおくものである。創薬標的としてのさらなる遺伝子およびそれらの関連ポリペプチド/タンパク質の同定および特性確認が依然として要望されている。
【0003】
発明の要旨
本発明は、本明細書でヒトmGRR1a、mGRR1bおよびmGRR2(本明細書では3つともmGRRとして称す)として称しているヒト起源の精製代謝型グルタミン酸受容体関連膜受容体タンパク質に関するものである。代謝型グルタミン酸受容体とmGRRの類似性は、これらの受容体が同じくGPCRのファミリー3に属することを示唆している。この受容体ファミリーは、代謝型グルタミン酸受容体、GABA−B受容体、Ca−知覚受容体、推定味覚受容体および嗅覚鋤骨鼻受容体のファミリーを包含する。公開ドメインデータベースにおいて本発明ポリペプチドと最も近いことが見出された哺乳類GPCR相同体は、配列番号2に記載されたmGRR1aのポリペプチドと23%同一で43%類似したアミノ酸残基を有する代謝型グルタミン酸受容体3型(受託番号Q11923)である。上記ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、限定されるわけではないが、中枢および末梢神経系に伴う疾患の処置を含むある種の疾患の処置方法に関して興味の対象となっている。特に、mGRR受容体アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、限定されるわけではないが、痴呆症、精神分裂病、うつ病、情動障害、癲癇および運動障害を含む神経学的および/または精神医学的疾患の処置に有用であり得、これらを以後「本発明の疾患」と称する。さらに別の態様において、本発明は、本発明で提供される材料を用いてmGRRに対するアゴニストおよびアンタゴニスト(例、阻害剤)を同定し、上記化合物の不均衡に伴う状態を処置する方法に関するものである。さらに別の態様において、本発明は、不適切なmGRR活性またはレベルに伴う疾患を検出するための診断的検定法に関するものである。
【0004】
発明の記載
(用語解説)
本明細書で使用されているある種の用語を理解し易くするため以下の定義を与える。
【0005】
「単離(された)」は、その天然の状態から改変されていること、すなわちそれが天然で存する場合、そのもとの環境からそれを変化させたかまたは取り除いたこと、またはその両方を意味する。例えば、この語が本明細書で使用されているところによると、生きている生物体に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離されて」おらず、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドでも、その天然状態の共存物質から分離されると、「単離された」ことになる。さらに、形質転換、遺伝子操作または他のあらゆる組換え方法により生物体へ導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それが依然として上記生物体に存在している場合でも「単離され」ており、その生物体は生きている場合も死んでいる場合もあり得る。
【0006】
「ポリヌクレオチド」は、一般的にポリリボヌクレオチド(RNA)またはポリデオキシリボヌクレオチド(DNA)を包含し、それらは非修飾または修飾RNAまたはDNAであり得る。「ポリヌクレオチド」は、1本および2本鎖DNA、1本および2本鎖領域の混合物であるDNA、1本および2本鎖RNA、および1本および2本鎖領域の混合物であるDNA、1本鎖またはより典型的には2本鎖または1本および2本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を包含するが、限定はされない。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域をいう。「ポリヌクレオチド」の語はまた、1個またはそれ以上の修飾塩基を含むDNAまたはRNA並びに安定性または他の理由により修飾されたバックボーンをもつDNAまたはRNAを包含する。
【0007】
「修飾(された)」塩基は、例えばトリチル化塩基および特異塩基、例えばイノシンを包含する。様々な修飾がDNAおよびRNAに加えられ得る、すなわち、「ポリヌクレオチド」は、典型的には天然で見出されるポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的修飾形態、並びにウイルスおよび細胞に特有なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオチドと称されることが多い、比較的短いポリヌクレオチドも包含する。
【0008】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわちペプチドアイソスターにより互いに連結された2個またはそれ以上のアミノ酸を含むポリペプチドをいう。「ポリペプチド」は、通常ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと称される短い鎖、および一般的にタンパク質と称される長い鎖の両方をいう。ポリペプチドは、20遺伝子コード化アミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ポリペプチド」は、天然プロセス、例えば翻訳後プロセッシングにより、または当業界で公知の化学的修飾技術により修飾されたアミノ酸配列を含む。上記修飾は基本的テキストおよびより詳細なモノグラフ並びに当業者に馴染みのある多量の研究文献に詳述されている。修飾は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシ末端を含むポリペプチドのいずれの場所でも加えられ得る。同じタイプの修飾が所定のポリペプチドにおける幾つかの部位で同程度または様々な程度で存在し得るものとする。また、所定のポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含み得る。ポリペプチドはユビキチン化の結果として分枝状であり得、それらは環状であり、分枝状形態を伴う場合も伴わない場合もあり得る。環状、分枝状および分枝状環状ポリペプチドは、翻訳後天然プロセスから生じ得るかまたは合成方法により生成され得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、ビオチニル化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、閉環、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有交差結合の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移RNA伝達付加、例えばアルギニル化およびユビキチン化がある(例えば、Proteins‐Structure and Molecular Properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman アンド・カンパニー、ニューヨーク、1993、Wold,F.、Post-translational Protein Modifications: Perspectives and Prospects、1−12、Post-translatinaol Covalent Modification of Proteins、B.C.Johnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1983、Seifter et al、“Analysis for protein modiifications and nonprotein cofactors”、Meth Enzymol、182、626−646、1990およびRattan et al、“Protein Synthesis: Post-translational Modifications and Aging”、Ann NY Acad Sci、663、48−62、1992参照)。
【0009】
ポリペプチド配列の「フラグメント」は、対照基準配列よりも短いが、対照基準ポリペプチドと本質的に同じ生物学的機能または活性を保持しているポリペプチド配列をいう。ポリヌクレオチド配列の「フラグメント」は、配列番号1、配列番号3または配列番号4の対照基準配列よりも短いポリヌクレオチド配列をいう。
【0010】
「mGRR」は、2種のスプライス変異型ヒトmGRR1aおよびmGRR1bおよびヒトmGRR2をいう。mGRR1bのN−末端配列(アミノ酸1〜53)は、mGRR1aのN−末端配列(アミノ酸1〜82)と著しい配列類似性は共有していない。ヒトmGRR2アミノ酸配列は、ヒトmGRR1aと59%同一性を有する(mGRR1aの81〜765とのmGRR2の最適アラインメント残基61−733)。
【0011】
「変異型」は、対照基準ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、その本質的特性を保持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。ポリヌクレオチドの典型的変異型は、対照基準ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変異型のヌクレオチド配列における変化は、対照基準ポリヌクレオチドによりコード化されるポリペプチドのアミノ酸配列を改変する場合もしない場合もあり得る。ヌクレオチド変化の結果、下記で検討しているように、対照基準配列によりコード化されるポリペプチドにおいてアミノ酸置換、付加、欠失、融合および先端切除が誘導され得る。ポリペプチドの典型的変異型は、対照基準ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的に、改変は、対照基準ポリペプチドおよび変異型の配列が全体的には密接に類似しており、多くの領域が一致しているように制限される。変異型および対照基準ポリペプチドは、1個またはそれ以上の置換、挿入、欠失を組合わせたことによりアミノ酸配列が異なり得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝コードによりコード化されるものである場合もそうではない場合もあり得る。典型的同類置換には、Gly、Ala;Val、Iie、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln−I Ser、Thr;Lys、Arg、およびPheおよびTyrがある。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異型は、天然に存する例えば対立遺伝子であり得るか、または天然に存することが知られていない変異型であり得る。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非天然変異型は、突然変異導入技術または直接合成により生成され得る。また、1個またはそれ以上の翻訳後修飾、例えばグリコシル化、リン酸化、メチル化、ADIPリボシル化などを有するポリペプチドも変異型として包含される。例としては、N−末端アミノ酸のメチル化、セリンおよびトレオニンのリン酸化およびC−末端グリシンの修飾がある。
【0012】
「多型」は、集団内のゲノムでの所定の位置におけるヌクレオチド配列(および関連性がある場合、コード化されたポリペプチド配列)の変形をいう。
【0013】
「一塩基多型」(SNP)は、集団内での、ゲノムにおける単一ヌクレオチド位置でのヌクレオチド変異性の出現をいう。SNPは、遺伝子内またはゲノムの遺伝子間領域内で出現し得る。SNPは、対立遺伝子特異的増幅法(ASA)を用いて検定され得る。このプロセスについては、少なくとも3プライマーが要求される。共通プライマーは、検定されている多型に対し逆相補型で使用される。この共通プライマーは、多型塩基からの50と1500bpsの間であり得る。最終3'塩基の揺らぎにより多型を構成する2(またはそれ以上)の対立遺伝子の1つと対合すること以外、他の2つ(またはそれ以上)のプライマーは互いに同一である。次いで、2つ(またはそれ以上)のPCR反応を、試料DNAにおいて、各々共通プライマーおよび対立遺伝子特異的プライマーの1つを用いて実施する。
【0014】
本明細書で使用されている「スプライス変異型」は、同じゲノムDNA配列から最初に転写されたRNA分子から生成されてはいるが、オルターナティブ(選択的)RNAスプライシングが行なわれたcDNA分子をいう。オルターナティブRNAスプライシングが行なわれるのは、一次RNA転写物に対してスプライシングが行なわれ、その過程で一般的にイントロンが除去され、その結果、各々異なるアミノ酸配列をコード化し得る複数のmRNA分子がつくられる場合である。スプライス変異型の語はまた、上記cDNA分子によりコード化されたタンパク質をいう。
【0015】
「同一性」は、配列比較により決定された、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間における関係を反映する。一般に、同一性は、それぞれ比較されている配列の長さ全体におよぶ、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の正確なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致をいう。
【0016】
「同一性%」−正確な一致が存在しない配列については、「同一性%」が測定され得る。一般に、比較される2配列を平行整列させると配列間の最大相関関係が得られる。これは、一または両配列における「ギャップ」挿入を含むことにより、アラインメントの程度を高め得る。同一性%は、同一または非常に類似した長さの配列に特に適切である、比較されている配列の各々の全長にわたって(いわゆるグローバルアラインメント)決定され得るか、または長さが等しくない配列により適切である、短い特定された長さにわたって(いわゆるローカルアラインメント)決定され得る。
【0017】
「類似性」は、2ポリペプチド配列間における関係のさらなる精巧な尺度である。一般的に、「類似性」は、比較(同一性について)されている各配列からの一つで、間にある残基対における正確な一致だけでなく、正確な一致が存在しない場合は、進化に基いて、一残基が他の残基の代用になる見込みがあるか否かを考慮しながら、一つ一つの残基を基にした2ポリペプチド鎖のアミノ酸間の比較を意味する。この見込みは関連「スコア」を有し、それから2配列の「類似性%」が測定され得る。
【0018】
2またはそれ以上の配列の同一性および類似性の比較方法は、当業界では公知である。すなわち例えば、ウィスコンシン配列解析パッケージバージョン9.1(Devereux J et al、Nucleic Acids Res、12、387−395、1984、米国ウィスコンシン、マディソンのジェネティクス・コンピューター・グループから入手可能)で利用可能なプログラム、例えばBESTFITおよびGAPプログラムを用いることにより、2ポリヌクレオチド間の同一性%および2ポリペプチド配列間の同一性%および類似性%が測定され得る。BESTFITは、SmithおよびWaterman(J Mol Biol、147、195−197、1981、Advances in Applied Mathematics、2、482−489、1981)の「局所ホモロジー」アルゴリズムを用い、2配列間における類似性の最適単一領域を見出す。BESTFITは、長さが異なる2ポリヌクレオチドまたは2ポリペプチド配列の比較により適しており、このプログラムは短い方の配列が長い方の一部分を示すことを想定している。これに比べて、GAPは2配列を整列させ、NeddlemanおよびWunschのアルゴリズム(J Mol Biol、48、443−453、1970)にしたがって「最大類似性」を見出す。GAPは、長さがほぼ同じである配列の比較により適しており、アラインメントは全長におよぶと予測される。好ましくは、各プログラムで使用されているパラメーター「ギャップ・ウェイト」および「レングス・ウェイト」は、それぞれポリヌクレオチド配列については50および3、ポリペプチド配列については12および4である。好ましくは、比較されている2配列が最適な形で整列されているときに同一性および類似性%を測定する。
【0019】
配列間における同一性および/または類似性測定についての他のプログラムもまた当業界では公知であり、例えば、BLASTファミリーのプログラム(Altschul S F et al、J Mol Biol、215、403−410,1990、Altschul S F et al、Nucleic Acids Res.、25:389−3402、1997、米国メリーランド、ベセズダのナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(NCBI)から利用可能であり、NCBIのホームページ、www.ncbi.nlm.nih.govによりアクセスできる)およびFASTA(Pearson W R、Methods in Enzymology、183、63−99、1990、Pearson W RおよびLipman D J、Proc Nat Acad Sci USA、85、2444−2448、1988、ウィスコンシン・シーケンス・アナリシス・パッケージの一部として利用可能)がある。
【0020】
好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff SおよびHenikoff J G、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、89、10915−10919、1992)は、ヌクレオチド配列が比較前に最初にアミノ酸配列に翻訳されている場合を含むポリペプチド配列比較で使用される。
【0021】
好ましくは、プログラムBESTFITを用いて、対照基準ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関する問題のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性%を測定し、その場合上記の通り、問題配列および対照基準配列を最適な形で整列させ、プログラムのパラメーターをデフォルト値で設定する。
【0022】
「同一性指数」は、候補配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)および対照基準配列の比較に使用され得る配列関連性の尺度である。すなわち、例えば、対照基準ポリヌクレオチド配列に対し例えば0.95の同一性指数を有する候補ポリヌクレオチド配列は、候補ポリヌクレオチド配列が対照基準配列の各100ヌクレオチドにつき平均して5個以下の差異を含み得る点以外、対照基準配列と同一である。上記差異は、少なくとも1つのヌクレオチド欠失、トランジションおよびトランスバージョンを含む置換、または挿入から成る群から選択される。これらの差異は、対照基準ポリヌクレオチド配列の5'または3'末端位置またはこれらの末端位置間におけるいずれかの場所に存し得、対照基準配列におけるヌクレオチド間で個々に、または対照基準配列内で1つまたはそれ以上の連続群として点在している。言い換えれば、対照基準ポリヌクレオチド配列に対し0.95の同一性指数を有するポリヌクレオチド配列を得るためには、上記の通り、対照基準配列における100ヌクレオチドごとに平均5〜25個以下の割合で欠失、置換または挿入、またはそれらの組合わせが導入され得る。同じことが、必要な変更を加えて、同一性指数の他の値、例えば0.96、0.97、0.98および0.99についても適用される。
【0023】
同様に、ポリペプチドの場合、例えば、対照基準ポリペプチド配列に対し0.95の同一性指数を有する候補ポリペプチド配列は、ポリペプチド配列が対照基準配列の各100アミノ酸につき平均して5個以下の差異を含み得る点以外、対照基準配列と同一である。上記差異は、少なくとも1つのアミノ酸欠失、同類および非同類置換を含む置換、または挿入から成る群から選択される。これらの差異は、対照基準ポリペプチド配列のアミノ−またはカルボキシ−末端位置またはこれらの末端位置間におけるいずれかの場所に存し得、対照基準配列におけるアミノ酸間で個々に、または対照基準配列内で1つまたはそれ以上の連続群として点在している。言い換えれば、対照基準ポリペプチド配列に対し0.95の同一性指数を有するポリペプチド配列を得るためには、上記の通り、対照基準配列における100アミノ酸ごとに平均5以下の割合で欠失、置換または挿入、またはそれらの組合わせが導入され得る。同じことが、必要な変更を加えて、同一性指数の他の値、例えば0.96、0.97、0.98および0.99についても適用される。ヌクレオチドまたはアミノ酸差異の数および同一性指数間の関係は、以下の等式で表され得る:
na≦xa−(xa・I)
[式中、
naは、ヌクレオチドまたはアミノ酸差異の数であり、
xaは、それぞれmGRR1aについては配列番号1または配列番号2、mGRR1bについては配列番号4または配列番号5におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の総数であり、
Iは同一性指数であり、
・は、掛け算演算子についての記号であり、xaとIの積が整数ではないとき、xaから積を引く前に端数切り捨てにより最も近い整数にする]
【0024】
「相同体」は、当業界で使用される一般用語であり、対照基準配列との高度の配列関連性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を示す。上記関連性は、上記の2配列間における同一性および/または類似性の度合を測定することにより定量され得る。「オーソログ」は、別種におけるポリヌクレオチドまたはポリペプチドの機能的均等内容配列であるポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。「パラログ」は、同種内で機能的に類似しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。
【0025】
「融合タンパク質」は、2つの非関連融合遺伝子またはそのフラグメントによりコード化されるタンパク質をいう。例は米国特許第5541087、5726044号に開示されている。Fc−mGRRの場合、融合タンパク質の一部として免疫グロブリンFc領域を用いることが、Fc−mGRRまたはmGRRのフラグメントの機能的発現を遂行させるのに有利であり、それによって治療に使用するとき上記融合タンパク質の薬物動態特性が改善され、2量体Fc−mGRRが生成される。Fc−mGRR DNA構築物は、5'〜3'方向で、分泌カセット、すなわち哺乳類細胞からの輸送を誘発するシグナル配列、融合相手として免疫グロブリンFc領域フラグメントをコード化するDNA、およびFc−mGRRまたはそのフラグメントをコード化するDNAを含み得る。使用する際、機能的Fc側鎖に突然変異を導入し、融合タンパク質の残りの部分は無傷のままにしておくかまたは完全に発現後Fc部分を欠失させることにより、内在的機能特性(補体結合性、Fc−受容体結合性)を改変できるのが望ましい場合もある。
【0026】
第一の態様において、本発明はmGRRポリペプチドを提供する。
上記ポリペプチドは、以下のものを含む:
(a)配列番号1、配列番号3または配列番号4の配列を含むポリヌクレオチドによりコード化される単離mGRRポリペプチド、
(b)配列番号2または配列番号5のポリペプチド配列と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%同一性を有するポリペプチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRの場合と類似した特性を示す単離mGRRポリペプチド、
(c)配列番号2または配列番号5のポリペプチド配列を含む単離mGRR1aまたはmGRR1bポリペプチド、
(d)配列番号2または配列番号5のポリペプチド配列と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%同一性を有し、リガンド結合検定法においてmGRRの場合と類似した特性を示す単離mGRRポリペプチド、
(e)配列番号2または配列番号5のポリペプチド配列、
(f)配列番号2または配列番号5のポリペプチド配列に対し0.80、0.90、0.95、0.98または0.99の同一性指数を有するポリペプチド配列を有するかまたは含み、リガンド結合検定法においてmGRRの場合と類似した特性を示す単離mGRRポリペプチド、または
(g)(a)〜(f)による上記ポリペプチドのフラグメントまたは変異型。
【0027】
リガンド結合検定法における類似特性とは、緩衝液、イオン、pHおよび他の調節因子、例えばヌクレオチドについて同一条件下、検出可能シグナル対ノイズ比が、mGRRポリペプチドのシグナルの+/−30%の範囲であることを意味する。
【0028】
本発明ポリペプチドは、ポリペプチドのGタンパク質共役受容体ファミリーの構成員である。観察されたmGRR1 mRNAの脳特異領域分布(表1)は、mGRRリガンドについての指標に関する情報を提供する。mGRRリガンドは、天然リガンド並びにmGRR活性のモジュレーター、例えば抗mGRR抗体および/またはmGRR介在シグナル伝達を高めるかまたはそれに拮抗する小分子を含む。mGRR mRNAの脳特異領域分布は、正常な脳機能の調節におけるmGRRの重要性を示す。すなわち、これらのポリペプチドの発現、存在量または活性の異常は、広く多様な神経学的および/または精神医学的疾患、例えば限定はされないが痴呆症、精神分裂病、うつ病、情動障害、癲癇および運動障害をまねき得る。例えば、アルツハイマー病および他の痴呆症、例えば老年性記憶障害および多発脳梗塞性痴呆では、認知機能の喪失が脳における若干の神経伝達物質のレベル低下に伴う。ファミリー3GPCR、例えば代謝型グルタミン酸受容体およびGABA−B受容体はまたシナプス伝達を調節し、イオンチャンネルモジュレーターと比べて、それらの作用は永続性があり、調節的である。これらの指標は全て、以後mGRR1a、mGRR1bまたはmGRR2の「生物活性」と称す。好ましくは、本発明のポリペプチドは、mGRR1a、mGRR1bまたはmGRR2に特有な少なくとも1つの生物活性を呈する。
【0029】
本発明ポリペプチドはまた、対立遺伝子形態およびスプライス変異型を含め、前述のポリペプチドの変異型を含む。上記ポリペプチドは、挿入、欠失および同類的または非同類的であり得る置換またはそれらの組合わせにより対照基準ポリペプチドから変化している。
【0030】
本発明ポリペプチドの好ましいフラグメントには、配列番号2、配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列からの少なくとも30、50または100連続アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、または配列番号2、配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列から先頭化または欠失された少なくとも30、50または100連続アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドがある。好ましいフラグメントは、mGRRの生物活性を伝達する生物活性フラグメント、例えば類似活性または改善された活性を伴うかまたは望ましくない活性が低減化されたものである。また好ましいのは、動物、特にヒトにおいて抗原性または免疫原性であるフラグメントである。
【0031】
本発明の配列番号4または配列番号6のヒトポリペプチドのフラグメントまたは変異型は、完全長ラットcDNAを単離するため低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションにおいてラットまたはヒトDNA配列(配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号16)を用いることにより対応する完全長ポリペプチドを製造するのに使用され得る。このcDNAにより、哺乳類発現系を用いてmGRRポリペプチドが生成され得る(実施例2参照)。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ポリ核酸ハイブリッドが安定している条件をいう。上記条件は、当業者には明らかなものである。当業者に公知の通り、ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドの融解温度(Tm)に反映され、配列相同性が1%減少するごとに約1〜1.5℃ずつ低下する。一般に、ハイブリッドの安定性は、ナトリウムイオン濃度および温度の関数である。典型的には、ハイブリダイゼーション反応を高ストリンジェンシー条件下で行ない、次いでストリンジェンシーを変えながら洗浄する。本明細書で使用されている高(い)ストリンジェンシーとは、65〜68℃、1MのNa+中で安定したハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件をいう。高ストリンジェンシー条件は、例えば6×SSC、5×デンハート、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.1ピロリン酸ナトリウムおよび0.1mg/ml変性サケ精液DNAを非特異的競合物質として含む水溶液中でのハイブリダイゼーションにより与えられ得る。ハイブリダイゼーション後、高ストリンジェンシー洗浄が幾つかの工程で行われ得、最終洗浄(約30分)は0.2〜0.1×SSC、0.1%SDS中ハイブリダイゼーション温度で行なわれる。中程度のストリンジェンシーとは、上記溶液中ではあるが、約60〜62℃でのハイブリダイゼーションと均等内容の条件をいう。その場合、最終洗浄は、1×SSC、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度で行なわれる。低ストリンジェンシーとは、約50〜52℃で上記溶液中におけるハイブリダイゼーションと均等内容である条件をいう。その場合、最終洗浄は、2×SSC、0.1%SDS中においてハイブリダイゼーション温度で行なわれる。これらの条件は、様々な緩衝液、例えばホルムアミドベースの緩衝液および温度を用いて適合化およびデュプリケイトされ得るものとする。デンハート溶液およびSSCは、他の適切なハイブリダイゼーション緩衝液の場合と同様当業界ではよく知られている(例えば、Sambrook et al編(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨークまたはAusubel et al編(1990)Current Protocols in Molecular Biology、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、インコーポレイテッド参照)。特に、若干のパラメーター、主として塩濃度および温度を改変することにより、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーが変えられ得ること、および得られた条件は上記パラメーターを全て合わせた作用の結果であることは、当業者であれば容易に理解できるはずである。プローブの長さおよびGC含有率もまたある一定の役割を演じるため、最適なハイブリダイゼーション条件は経験的に決定されなければならない。
【0032】
本発明のポリペプチドは、「成熟」タンパク質の形態であり得るかまたは大型タンパク質、例えば前駆体または融合タンパク質の一部であり得る。分泌または先導配列、プロ配列、精製を助ける配列、例えば多ヒスチジン残基を含む追加アミノ酸配列、または組換え手順中安定させるための追加配列を含ませるのが多くの場合有利である。
【0033】
本発明のポリペプチドは、適切な方法で、例えば天然供給源から、発現系を含む遺伝子操作が加えられた宿主細胞(下記参照)からの単離により、または例えば自動ペプチド合成装置を用いた、化学的合成により、または上記方法の組み合わせにより製造され得る。上記ポリペプチド製造手段は、当業界では十分に理解されている。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は、mGRRポリヌクレオチドに関するものである。上記ポリヌクレオチドは、以下のものを含む:
(a)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離mGRRポリヌクレオチド、
(b)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチド、
(c)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドと少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有し、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(d)配列番号1、配列番号3または配列番号5の単離ポリヌクレオチド、
(e)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリペプチド配列と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(f)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリペプチド配列と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(h)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(i)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチド配列に対し0.80、0.90、0.95、0.98または0.99の同一性指数を有するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、または
(k)配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリペプチド配列に対し0.80、0.90、0.95、0.98または0.99の同一性指数を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、または
(l)上述のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変異型であるかまたはその全長にわたって上述のポリヌクレオチドと相補的であるポリヌクレオチド。
【0035】
本発明ポリヌクレオチドの好ましいフラグメントには、配列番号1、配列番号3または配列番号5の配列からの少なくとも15、30、50または100連続ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、または配列番号1、配列番号3または配列番号5の配列から切頭化または欠失された少なくとも30、50または100連続ヌクレオチドを有する配列を含む単離ポリヌクレオチドがある。
【0036】
本発明ポリヌクレオチドの好ましい変異型には、スプライス変異型、対立遺伝子変異型、および1個またはそれ以上の一塩基多型(SNP)を有するポリヌクレオチドを含む多型がある。
【0037】
本発明ポリヌクレオチドはまた、配列番号2、配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチド変異型をコード化するポリヌクレオチドを含む。
【0038】
さらに別の態様において、本発明は、本発明DNA配列のRNA転写物であるポリヌクレオチドを提供する。したがって、
(a)配列番号2、配列番号4または配列番号6のポリペプチドをコード化するDNA配列のRNA転写物を含むか、
(b)配列番号2、配列番号4または配列番号6のポリペプチドをコード化するDNA配列のRNA転写物であるか、
(c)配列番号1、配列番号3または配列番号5のDNA配列のRNA転写物を含むか、または
(d)配列番号1、配列番号3または配列番号5のDNA配列のRNA転写物であるか、または
(e)それらと相補的であるRNAポリヌクレオチド
を含むRNAポリヌクレオチドが提供される。
【0039】
配列番号2、配列番号4または配列番号6のポリペプチドは、GPCR−LYMSTとの相同性および/または構造類似性を有する、Gタンパク質共役受容体ファミリーの他のタンパク質と関係がある(Jensen,C.P.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:4816−4820、1994)。
【0040】
本発明の好ましいポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、特に、それらの相同性ポリペプチドおよびポリヌクレオチドと類似した生物学的機能/特性を有すると予測される。さらに、本発明の好ましいポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、mGRRの少なくとも一活性を有する。
【0041】
本発明のポリヌクレオチドは、哺乳類脳の細胞におけるmRNAから誘導されたcDNAライブラリーからの標準クローニングおよびスクリーニング技術を用いて得られる(例えば、Sambrook et al、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)参照)。本発明ポリヌクレオチドはまた、天然供給源、例えばゲノムDNAライブラリーから得られるか、または公知市販技術を用いて合成され得る。
【0042】
本発明ポリヌクレオチドを本発明ポリペプチドの組換え的製造に使用するとき、ポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドについてのコーディング配列を単独で、または他のコーディング配列、例えば先導または分泌配列、プレ−またはプロ−またはプレプロ−タンパク質配列、または他の融合ペプチド部分をコード化する配列との読み枠における成熟ポリペプチドについてのコーディング配列を含み得る。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列がコード化され得る。本発明のこの態様のある種の好ましい例において、マーカー配列は、pQEベクター(キアゲン、キアゲンAG、バーゼル、スイス国)で提供され、Gentz et al、Proc Natl Acad Sci USA(1989)86:821−824に記載されているヘキサ−ヒスチジンペプチド、またはHA標識である。ポリヌクレオチドはまた、非コーディング5'および3'配列、例えば転写された、非翻訳配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位およびmRNAを安定させる配列を含み得る。
【0043】
配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチド配列と同一であるか、または十分な同一性を有するポリヌクレオチドは、cDNAおよびゲノムDNA用ハイブリダイゼーションプローブとしてまたは核酸増幅反応(例えばPCR)用プライマーとして使用され得る。上記プローブおよびプライマーは、本発明ポリペプチドをコード化する完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離し、配列番号1、配列番号3または配列番号5との高い配列類似性、典型的には少なくとも95%の同一性を有する他の遺伝子(ヒト供給源からのパラログおよびヒト以外の種からのオーソログおよびパラログをコード化する遺伝子を含む)のcDNAおよびゲノムクローンを単離するのに使用され得る。好ましいプローブおよびプライマーは、一般的に少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは30ヌクレオチドを含み、少なくとも50、さもなくば少なくとも100ヌクレオチドを有し得る。特に好ましいプローブは、30〜50のヌクレオチドを有する。特に好ましいプライマーは、20〜25のヌクレオチドを有する。
【0044】
ヒト以外の種からの相同体を含む、本発明ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3または配列番号5の配列または好ましくは少なくとも15ヌクレオチドのそのフラグメントを有する標識プローブによりストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でライブラリーをスクリーニングし、上記ポリヌクレオチド配列を含む完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離する工程を含む方法により得られる。上記ハイブリダイゼーション技術は当業者には公知である。好ましいストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%デキストランスルフェート、および20マイクログラム/mlの変性剪断サケ精液DNAを含む溶液中42℃での一晩インキュベーション、次いで約65℃での0.1×SSC中におけるフィルター洗浄を含む。すなわち本発明はまた、配列番号1、配列番号3または配列番号5の配列または好ましくは少なくとも15ヌクレオチドのそのフラグメントを有する標識プローブでのストリンジェントハイブリダイゼーション条件下におけるライブラリーのスクリーニングにより得られる、好ましくは少なくとも100のヌクレオチド配列を伴う、単離ポリヌクレオチドを含む。ヒトおよび(部分的)ラット配列は、ヌクレオチドレベルで89%の同一性およびアミノ酸レベルで89%の同一性および90%の類似性を示す。
【0045】
当業者であれば、多くの場合、ポリペプチドをコードする領域は5'末端まで完全に伸びているわけではないという点で、単離cDNA配列は不完全であることが容易に理解できるはずである。これは、逆転写酵素、すなわち本質的に「プロセシビティー」(酵素が重合反応中鋳型に結合したままでいる能力の尺度)が低く、第1鎖cDNA合成中にmRNA鋳型のDNAコピーを完了し得ない酵素の結果である。
【0046】
完全長cDNAを得るかまたは短いcDNAを伸長させる、当業者に利用可能であって熟知されている幾つかの方法があり、例えばcDNA末端の急速増幅(RACE)法に基づく方法がある(例えば、Frohman et al.、Proc Nat Acad Sci USA 85、8998−9002、1988参照)。例えばMARATHON技術(クロンテック・ラボラトリーズ、インコーポレイテッド、BDクロンテック、バーゼル、スイス国)が典型的に示すように、最近の技術改良により、長いcDNAについての検索は著しく簡易化された。MARATHON技術では、選ばれた組織から抽出されたmRNAからcDNAを調製し、「アダプター」配列を各端部にライゲーションした。次いで、核酸増幅(PCR)を実施することにより、遺伝子特異的およびアダプター特異的オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてcDNAの「失われた」5'末端を増幅する。次いで、「内側の」プライマー、すなわち増幅産物内でアニーリングするよう設計されたプライマー(典型的にはアダプター配列においてさらなる3'をアニーリングするアダプター特異的プライマーおよび既知遺伝子配列においてさらなる5'をアニーリングする遺伝子特異的プライマー)を用いて、PCR反応を反復する。次いで、この反応の生成物をDNA配列決定により解析し、生成物を既存のcDNAに直接結合させて完全配列を得るか、または5'プライマーの設計に関する新たな配列情報を用いて別々の完全長PCRを実施することにより、完全長cDNAが構築され得る。
【0047】
本発明の組換えポリペプチドは、発現系を含む遺伝子操作が加えられた宿主細胞から当業界でよく知られている方法により調製され得る。したがって、さらに別の態様において、本発明は、本発明の一ポリヌクレオチドまたは複数ポリヌクレオチドを含む発現系、上記発現系により遺伝子操作が加えられた宿主細胞および組換え技術による本発明ポリペプチドの製法に関するものである。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いて上記タンパク質を製造するのに使用され得る。
【0048】
組換え体を製造するため、宿主細胞には、本発明ポリヌクレオチドについての発現系またはその一部を組込むように遺伝子操作が加えられ得る。ポリヌクレオチドは、多くの標準的実験マニュアル、例えばDavis et al.、Basic Methods in Molecular Biology(1986)およびSambrook et al.(同書)に記載された方法により宿主細胞に導入され得る。
【0049】
宿主細胞へのポリヌクレオチドの好ましい導入方法には、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、トランスフェクション、顕微注入、カチオン性脂質介在トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、切屑(スクレープ)ローディング、弾道導入または感染がある。
【0050】
適切な宿主細胞の代表例には、細菌細胞、例えばストレプトコッカス(Streptococci)、スタフィロコッカス(Staphlococci)、エシェリキア・コリ(E.coli)、ストレプトマイシス(Streptomyces)およびバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)細胞、真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス(Aspergillus)細胞、昆虫細胞、例えばショウジョウバエ(ドロソフィラ、Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞、動物細胞、例えばCHO、COS、ヒーラ、C1 27、3T3、BHK、HEK293およびボーズ黒色腫細胞および植物細胞がある。
【0051】
非常に多様な発現系、例えば染色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば細菌性プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入エレメント、酵母染色体エレメント、ウイルス、例えばバクロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスから誘導されたベクター、およびそれらの組み合わせから誘導されたベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝子エレメント、例えばコスミドおよびファージミドから誘導されたものが使用され得る。発現系は、発現を調節し、生じさせる制御領域を含み得る。一般的に、宿主においてポリヌクレオチドを維持、増殖または発現することにより、ポリペプチドを生産し得る系またはベクターであれば全て使用され得る。適切なポリヌクレオチド配列は、様々な公知常用技術のいずれか、例えばSambrook et al(上記参照)に示されたものにより発現系へ挿入され得る。適切な分泌シグナルを所望のポリペプチドへ組込むことにより、小胞体のルーメン、周辺腔または細胞外環境への翻訳されたタンパク質の分泌が行われ得る。これらのシグナルは、ポリペプチドにとって内在的であり得るかまたはそれらは異種シグナルであり得る。
【0052】
本発明ポリペプチドをスクリーニング検定で使用するために発現させる場合、一般的にポリペプチドは細胞表面で生産されるのが好ましい。この事象において、細胞は、スクリーニング検定で使用する前に採取され得る。ポリペプチドが培地へ分泌される場合、培地を採取することにより、ポリペプチドが採取および精製され得る。細胞内で製造する場合、ポリペプチドを採取する前にまず細胞を溶解しなければならない。
【0053】
本発明ポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈澱、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティー・クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレシチンクロマトグラフィーを含む公知方法により組換え細胞培養物から採取および精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィーを精製に使用する。ポリペプチドが細胞内合成、単離および/または精製中に変性したとき、公知タンパク質再生技術を用いることにより活性立体配座が復元され得る。
【0054】
本発明ポリヌクレオチドは、関連遺伝子における突然変異の検出を通して診断試薬として使用され得る。cDNAまたはゲノム配列において配列番号1、配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドを特徴とし、機能不全に伴う遺伝子の突然変異形態の検出は、遺伝子の発現不足、過剰発現または空間的または時間的発現の改変から生じる病気または病気に対する感受性の診断に加えられるかまたはそれを特定し得る診断道具を提供する。遺伝子に突然変異をもつ個体は、当業界で公知の様々な技術によりDNAレベルで検出され得る。
【0055】
診断用核酸は、対象の細胞、例えば血液、尿、唾液、組織生検または剖検材料から入手され得る。ゲノムDNAは検出に直接使用され得るか、またはそれは、PCR、好ましくはRT−PCRの使用により酵素的に、または他の増幅技術により分析前に増幅され得る。RNAまたはcDNAもまた同様に使用され得る。検出および挿入は、正常表現型と比べた増幅産物の大きさの変化により検出され得る。点突然変異は、増幅DNAを標識mGRRヌクレオチド配列とハイブリダイズさせることにより同定され得る。完全対合配列は、リボヌクレアーゼ消化または融解温度差により誤対合二重らせんとは区別され得る。
【0056】
DNA配列差異はまた、変性剤の存在または非存在下でのゲルにおけるDNAフラグメントの電気泳動移動性の改変により、または直接DNA配列決定により検出され得る(例えば、Myers et al、Science(1985)230:1242)。特異位置での配列変化はまた、ヌクレアーゼ保護検定法、例えばリボヌクレアーゼおよびS1保護または化学的開裂方法により示され得る(Cotton et al.、Proc Natl Acad Sci USA(1985)85:4397−4401参照)。
【0057】
mGRRポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを構築することにより、例えば遺伝子突然変異の有効なスクリーニングが実施され得る。上記アレイは、好ましくは高密度アレイまたはグリッドである。アレイ技法は、公知で一般的適用性を有しており、遺伝子発現、遺伝的連鎖および遺伝的変異性を含む分子遺伝学における様々な問題と取組むのに使用され得る。例えばM.Chee et al.、Science、274、610−613(1996)およびそこに引用された他の参考文献参照。
【0058】
ポリペプチドまたはmRNA発現レベルの異常な減少または増加の検出もまた、対象の本発明疾患易罹患性の診断または測定に使用され得る。発現の減少または増加は、ポリヌクレオチドの定量に関する当業界で公知の方法、例えば核酸増幅、例えばPCR、RT−PCR、リボヌクレアーゼ保護、ノーザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法のいずれかを用いてRNAレベルで測定され得る。宿主から誘導された試料中における、タンパク質、例えば本発明ポリペプチドのレベル測定に使用され得る検定技術は、当業者には公知である。上記検定方法には、ラジオイムノアッセイ、競争的結合検定法、ウエスタン・ブロット分析およびELISA検定法がある。
【0059】
すなわち別の態様において、本発明は、以下のものを含む診断キットに関するものである:
(a)本発明ポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1、配列番号3または配列番号5のヌクレオチド配列、またはそのフラグメントまたはRNA転写物、
(b)(a)の配列と相補的なヌクレオチド配列、
(c)本発明ポリペプチド、好ましくは配列番号2、配列番号4または配列番号6のポリペプチドまたはそのフラグメント、または
(d)本発明ポリペプチド、好ましくは配列番号2、配列番号4または配列番号6のポリペプチドに対する抗体。
【0060】
上記キットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、本質的な成分を含み得るものとする。かかるキットは、疾患または易罹患性、中でも特に本発明の疾患の診断において有用である。
【0061】
本発明ポリヌクレオチド配列は染色体局在性試験にとって貴重である。本発明配列は、個々のヒト染色体における特定位置を特異的にターゲッティングし、それとハイブリダイズし得る。本発明による染色体への関連配列のマッピングは、遺伝子関連疾患とそれらの配列の相互関係を明らかにする上での重要な第一段階である。一旦配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体における配列の物理的位置と遺伝地図データとの相互関係が明らかにされ得る。上記データは、例えばV.McKusick、Mendelian Inheritance in Man(ジョン・ホプキンス・ユニバーシティー・ウェルチ・メディカル・ライブラリーを通じてオンライン入手可能)から見出される。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子および疾患間の関係は、連鎖分析(物理的隣接遺伝子の共遺伝)を用いて同定される。ゲノム配列(遺伝子フラグメントなど)についての正確なヒト染色体局在性は、放射能ハイブリッド(RH)マッピング(Walter,M.et al.、(1994)A method for constructing radiation hybrid maps of whole genomes、Nature Genetics 7、22−28)を用いて測定され得る。若干のRHパネル、例えばGeneBridge4 RHパネル(Gyapay G et al.、Hum Mol.Genet.1996年3月、5(3):339−46)がリサーチ・ジェネティクス(ハンツビル、アラバマ、米国)から入手できる。このパネルを用いて遺伝子の染色体位置を測定するため、RH IDNAにおいて興味の対象である遺伝子から設計されたプライマーを用いて93のPCRを遂行する。これらのDNAは各々、ハムスターバックグラウンド(ヒト/ハムスターハイブリッドセルライン)で維持されたランダムなヒトゲノムフラグメントを含む。これらのPCRの結果、興味の対象である遺伝子のPCR産物の存在または非存在を示す93のスコアが得られる。これらのスコアを、既知位置のゲノム配列からのPCR産物を用いて得られたスコアと比較する。この比較は、http://www.genome.wi.mit.edu/で行なわれる。
【0062】
本発明ポリヌクレオチド配列はまた、組織発現試験用の貴重な道具である。上記試験により、組織でコード化されたポリペプチドの発現パターンに関する指標を与え得る本発明ポリヌクレオチドの発現パターンが、それらをコード化するmRNAを検出することにより測定され得る。使用される技術は当業界では公知であり、グリッド上に整列させたクローンへのin situハイブリダイゼーション技術、例えばcDNAマイクロアレイ・ハイブリダイゼーション(Schena et al、Science、270、467−470、1995およびShalon et al.、Genomes Res、6、639−645、1996)およびヌクレオチド増幅技術、例えばPCRが含まれる。好ましい方法は、パーキン・エルマーから入手できるTAQMAN(登録商標)技術を使用する。これらの試験により得られた結果は、生物体におけるポリペプチドの正常機能の指標を提供し得る。さらに、mRNAの正常発現パターンと同じ遺伝子の代替形態(例えば、ポリペプチドコーディング可能性の改変または調節的突然変異を有するもの)によりコード化されたmRNAのそれとの比較試験は、本発明ポリペプチドの役割、または疾患におけるその不適切な発現の場合についての貴重な洞察を提供し得る。上記の不適切な発現は、時間的、空間的または単に定量的性質を有し得る。
【0063】
染色体局在性はまた、公開ドメインデータベース、例えばENSEMBL(http://www.ensembl.org/)を用いて推論され得る。ヒト染色体10p11.2−p12でのヒトmGRR1遺伝子地図、ヒト染色体Chr17q11.1でのヒトmGRR2遺伝子地図。
【0064】
本発明の別の態様は抗体に関するものである。本発明ポリペプチドまたはそれらのフラグメント、またはそれらを発現する細胞は、本発明ポリペプチドに免疫特異的である抗体を製造するための免疫原として使用され得る。「免疫特異的」の語は、抗体が、先行技術における他の関連ポリペプチドに対する親和力よりも本発明ポリペプチドに対して実質的に大きい親和力を有することを意味する。本発明ポリペプチドに対して産生した抗体は、常用プロトコルを用いて、ポリペプチドまたはエピトープ担持フラグメント、または細胞を動物、好ましくはヒト以外の動物に投与することにより得られる。モノクローナル抗体の製造については、連続セルライン培養物により製造される抗体を提供する技術であれば全て使用され得る。例としては、ハイブリドーマ技術(Kohler,G.およびMilstein,C.、Nature(1975)256:495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.Immunology Today(1983)4:72)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、77−96、Alan R.Liss,Inc.1985)がある。
【0065】
1本鎖抗体の製造技術、例えば米国特許第4946778号記載のものはまた、この発明のポリペプチドに対する1本鎖抗体の製造に適合化され得る。また、トランスジェニックマウスまたは他の生物体、例えば他の哺乳類もヒト化抗体の発現に使用され得る。
【0066】
上記抗体は、ポリペプチドを発現するクローンの単離または同定、またはアフィニティー・クロマトグラフィーによるポリペプチドの精製に使用され得る。本発明ポリペプチドに対する抗体はまた、特に本発明疾患の処置に使用され得る。
【0067】
本発明ポリペプチドおよびポリヌクレオチドはまた、ワクチンとしても使用され得る。したがって、別の態様において、本発明は、哺乳類における免疫学的応答の誘導方法であって、例えばサイトカイン生産性T細胞または細胞傷害性T細胞を含め、抗体産生および/またはT細胞免疫応答の誘導に十分なだけの本発明ポリペプチドを哺乳類に接種することにより、病気が個体内で既に確立されているにせよ、されていないにせよ、動物を病気から保護することを含む方法に関するものである。哺乳類における免疫学的応答はまた、インビボでポリヌクレオチドの発現を指令し、ポリペプチドをコードするベクターを介して本発明ポリペプチドを送達することを含む方法により誘導され得、かかる免疫学的応答の誘導により抗体が産生し、本発明の病気から動物を保護し得る。ベクターの一投与方法は、粒子上のコーティングとしてまたは他の形で所望の細胞へそれを加速することによるものである。上記核酸ベクターは、DNA、RNA、修飾核酸、またはDNA/RNAハイブリッドを含み得る。使用する場合、ワクチン、ポリペプチドまたは核酸ベクターは、通常、ワクチン処方物(組成物)として提供される。処方物は、さらに適切な担体を含み得る。ポリペプチドは胃で分解され得るため、それは好ましくは非経口的(例えば皮下、筋肉内、静脈内または皮内注射)に投与される。非経口投与に適切な処方物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および処方物を受容体の血液と等張性にする溶質を含み得る水性および非水性滅菌注射溶液、並びに懸濁剤または増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含む。
【0068】
処方物は、単位用量または多用量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアルの形を呈し得、使用直前に滅菌液体担体を加えるだけでよい凍結乾燥状態で貯蔵され得る。ワクチン製剤はまた、処方物の免疫原性を高めるアジュバント系、例えば水中油滴系および当業界で公知の他の系を含み得る。用量は、ワクチンの比活性により異なり、常用実験により容易に測定され得る。
【0069】
本発明ポリペプチドは、1種またはそれ以上の病的状態、特に上述の本発明疾患において関連性がある1つまたはそれ以上の生物学的機能を有する。したがって、ポリペプチドの機能またはレベルを刺激または阻害する化合物を同定することは有用である。したがって、さらに別の態様において、本発明は、ポリペプチドの機能またはレベルを刺激または阻害するものを同定するための化合物のスクリーニング方法を提供する。上述した通り、上記方法は、本発明の上記疾患に関する治療および予防目的に使用され得るアゴニストまたはアンタゴニストを同定する。化合物は、様々な供給源、例えば細胞、無細胞調製物、化学的ライブラリー、化学的化合物のコレクション、および天然産物混合物から同定され得る。かくして同定された上記アゴニストまたはアンタゴニストは、場合によってはポリペプチドの天然または修飾基質、リガンド、受容体、酵素など、その構造的または機能的ミメティック(模倣物質)(Coligan et al.、Current Protocols in Immunology 1(2):第5章(1991)参照)または小分子であり得る。
【0070】
スクリーニング方法では、候補化合物に直接的または間接的に随伴させた標識手段により、ポリペプチド、またはポリペプチドを担持する細胞または膜、またはその融合タンパク質への候補化合物の結合を単に測定すればよい。別法として、スクリーニング方法は、標識した競争相手(例、アゴニストまたはアンタゴニスト)に対するポリペプチドへの候補化合物の競争的結合の測定または検出(定性的または定量的)を含み得る。さらに、これらのスクリーニング方法によると、ポリペプチドを担持する細胞に適切な検出系を用いることにより、候補化合物が、ポリペプチドの活性化または阻害により発せられるシグナルを誘導するか否かが試験され得る。活性化の阻害剤は、一般的に既知アゴニストの存在下で検定され、候補化合物の存在によるアゴニストによる活性化に対する影響が観察される。さらに、スクリーニング方法は、単に、本発明ポリペプチドを含む溶液と候補化合物を混合して混合物を形成させ、混合物中におけるHGRL101活性を測定し、そして混合物のHGRL101活性を、候補化合物を含まない対照混合物と比較する工程を含むだけである。
【0071】
本発明のポリペプチドは、慣用的低受容力スクリーニング方法および高スループットスクリーニング(HTS)フォーマットでも使用され得る。上記HTSフォーマットは、96ウェル、さらに細菌では384ウェルのマイクロタイタープレートの十分に確立された使用だけでなく、新たに開発された方法、例えばSchllek et al、Anal Biochem.、246、20−29(1997)により報告されたナノウェル方法を含む。
【0072】
同じく前記の通り、融合タンパク質、例えばFc部分およびmGRRポリペプチドからつくられたものを、高スループットスクリーニング検定法に使用することにより、本発明ポリペプチドについてのアンタゴニストが同定され得る(D.Bennett et al、J Mol Recognition、8:52−58(1995)およびK.Johanson et al.、J Biol Chem、270(16):9459−9471(1995))。
【0073】
また、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよびポリペプチドに対する抗体を用いることにより、細胞におけるmRNAおよびポリペプチドの生産に対する添加化合物の効果を検出するためのスクリーニング方法が形成され得る。例えば、ELISA検定法は、当業界で公知の標準的方法によりモノクローナルおよびポリクローナル抗体を用いてポリペプチドの分泌または細胞会合レベルを測定するために構築され得る。これを用いることにより、適切に遺伝子操作された細胞または組織からのポリペプチド製造を阻害または促進し得る薬剤(それぞれアンタゴニストまたはアゴニストとも呼ばれる)が発見され得る。
【0074】
本発明ポリペプチドは、当業界で公知の標準的受容体結合技術を通じて膜結合または可溶性受容体がある場合それらを同定するのに使用され得る。これらには、限定されるわけではないがリガンド結合および架橋検定法があり、それらの検定法ではポリペプチドを放射性同位元素(例えば125I)により標識するか、化学的修飾(例えばビオチニル化)を加えるか、または検出または精製に適切なペプチド配列に融合させ、推定的受容体の供給源(細胞、細胞膜、細胞上清、組織抽出物、体液)とインキュベーションする。他の方法には、生物物理学的技術、例えば表面プラスモン共鳴および分光器の使用がある。また、これらのスクリーニング方法を用いることにより、ポリペプチドのその受容体への結合で競合するポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストがある場合それらが同定され得る。上記検定法の標準的実施方法は、当業界では十分に理解されている。
【0075】
本発明ポリペプチドのアンタゴニストの例には、抗体または場合によってはオリゴヌクレオチドまたはタンパク質があり、それらは場合によってはポリペプチドのリガンド、基質、受容体、酵素等と密接に関連したもので、例えばリガンド、基質、受容体、酵素等のフラグメント、またはポリペプチドの活性が阻止されるように本発明ポリペプチドに結合はするが、応答を発しない小分子がある。
【0076】
スクリーニング方法はまた、トランスジェニック技術およびmGRR遺伝子の使用を含み得る。トランスジェニック動物の構築技術は十分に確立されている。例えば、mGRR遺伝子は、受精した卵母細胞の雄前核への顕微注入、着床前または着床後胚へのレトロウイルス移入、または例えば電気穿孔による遺伝的に修飾された胚性幹細胞の宿主胚盤胞への注入を通じて導入され得る。特に有用なトランスジェニック動物は、動物遺伝子がその動物のゲノム内でヒト均等内容遺伝子により置きかえられた、いわゆる「ノックイン」動物である。ノックイントランスジェニック動物は、化合物がヒト標的に特異的である場合、薬剤送達プロセスにおける標的確認について有用である。他の有用なトランスジェニック動物は、細胞において内在性DNA配列によりコード化された本発明ポリペプチドの動物オーソログの発現が部分的または完全に無効にされた、いわゆる「ノックアウト」動物である。遺伝子ノックアウトは、特異的細胞または組織にターゲッティングされ得るか、技術の限界の結果としてある種の細胞または組織でのみ行われ得るか、または動物における全てまたは実質的に全ての細胞で行われ得る。トランスジェニック動物技術はまた、導入遺伝子を発現させることにより、大量の本発明ポリペプチドが得られる動物総体発現クローニング系を提供する。
【0077】
上記方法で使用されるスクリーニングキットは、本発明のさらに別の態様を構成する。上記スクリーニングキットは、
(a)本発明ポリペプチド、
(b)本発明ポリペプチドを発現する組換え細胞、
(c)本発明ポリペプチドを発現する細胞膜、または
(d)本発明ポリペプチドに対する抗体
を含むもので、上記ポリペプチドは、好ましくは配列番号2、配列番号4または配列番号6の配列を有するものとする。
上記キットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、本質的な成分を含み得るものとする。
【0078】
本明細書で引用されている、限定はされないが特許および特許出願を含む出版物および参考文献は全て、個々の各出版物または参考文献が完全に示された形で具体的および個々に引用されているのと同じ効果をもつものとして出典明示で援用する。この出願が優先権を主張している特許出願についてもまた、出版物および参考文献について上述したのと同様に出典明示で援用する。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1:ヒトmGRR1aおよびヒトmGRR1bのクローニング
Celeraヒトゲノムデータベースのtblastn検索における問い合わせとしてGABA−B受容体(受入番号Y10370、AJ011318)のアミノ酸配列を用いることにより、同定された配列(GA_15234422)は、GABA−Bおよび代謝型グルタミン酸受容体の推定貫膜ドメインとの類似性は限られていた。
【0080】
クローニングするため、本質的に製造業者による記載内容にしたがって、クロンテックのMarathonRACEcDNA(ヒト脳、カタログ番号7400−1、BDクロンテック、バーゼル、スイス国)を用いて対応するcDNA5'−および3'−RACE反応を遂行する。クロンテックから購入(カタログ番号6543−1)したポリA(+)RNA(全ヒト脳)からcDNAを転写する。製造業者の使用説明書にしたがって、GIBCO−BRL cDNA合成モジュール(ライフ・テクノロジーズ、バーゼル、スイス国)を使用する。オリゴ(dT)およびランダムプライマーの両方を別々の反応(2.5μgの各RNA、20μl)で用いて1本鎖cDNAを合成する。PCRで使用する前、10mMのトリス、1mMのEDTA pH8.5(TE)を、cDNA合成反応物に加えて最終量を100μlとする。MWGプリマスサイクラーでPCRを実施する。オリゴ(dT)およびランダムプライマーcDNA合成反応物からの均等量を合わせる。1μlのcDNA混合物を、50μl PCR反応で使用する(Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989))。
【0081】
配列GA_15234422から設計されたRACEプライマーは、5-RACE: 5-gcg ggg ctc atg gaa tgc cga tgg gac-3 (配列番号9) および 3-RACE: 5-gtc cca tcg gca ttc cat gag ccc cgc-3(配列番号10)である。MWGバイオテックサイクラーで35サイクル(初回変性95℃で3秒間、95℃で30秒間(変性)、72℃で4分間(アニーリングおよび伸長))実行する。クロンテックMarathonRACEキット説明書で概説されている有利なポリメラーゼを使用する。Marathon cDNAキットにより供給されたAP2プライマーと一緒に使用される内側遺伝子特異的プライマーセット(5-RACE: 5-ccg cac tgc ata gca gag ata aac acc-3 (配列番号7)および 3-RACE: 5-caa tga gct cat cat ctc tgc tat att cc-3 (配列番号8))を用いて、2回目のPCR増幅工程を実行する。上記条件を用いて30PCRサイクルを実行する。RACEクローンを、pCRII−topo(インビトロゲン、グロニンゲン、オランダ国)へサブクローニングし、配列決定する。公開ドメインデータベース(genbank)のblastn検索により、3'−RACE配列の一部は、先に公開された配列、KIAA1136(受入番号AB032962)と同一であることが観察される。この配列は、脳からクローン化された未知機能の部分的cDNA配列としてgenbankに提出された。
【0082】
RACEクローンから得られた配列情報を用いて、全読み枠をクローン化するためのプライマー配列を設計する。mGRR1aに使用されるPCRプライマーは、5-CAC Cat ggc tta ccc ctt act cct ctg c-3 (配列番号11) および 5-cgt tgt tgc tct tgc ccc cct ggt cct c-3' (配列番号12)である。5'−プライマーは、最小Kozak共通配列CACC(Kozak、Nucl Acid Res.、1987、15、8125−8132)を推定開始コドン上流に含む。mGRR1b用のプライマーは、5'-gtg gga cca gct gtg ctg cca ttg atc-3' (配列番号13)および 5'-cgt tgt tgc tct tgc ccc cct ggt cct c-3' (配列番号14)である。鋳型として1μlの全ヒト脳cDNA混合物(上記)を用いて、35PCRサイクルを実行する:初回変性95℃で3秒間、95℃で30秒間(変性)、65℃で30秒間、72℃で8分間。プロメガ(ヴァリセレン、スイス国)からの校正Pfuポリメラーゼを使用する。cDNAを配列決定し(配列番号1、配列番号3)、哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1−topo、インビトロゲン)へ挿入する。
【0083】
本発明の一ポリペプチド(mGRR1a、対応するDNA配列、配列番号1)は、1212アミノ酸(配列番号2)のタンパク質についての読み枠を含む。推定シグナルペプチド配列(MAYPLLLCLLLAQLGLG (配列番号15))が、配列番号2のN末端そのものに位置するということから、N末端タンパク質配列は細胞外に位置することが示唆される。mGRR1bと呼ばれるmGRR1のN−末端スプライス変異型に対応する配列(配列番号4)は、1183アミノ酸(配列番号5)の読み枠を含む。演繹されたタンパク質配列は、ファミリー3 Gタンパク質共役受容体に特有な構造的特徴を有する。すなわち、1)疎水性プロットは、7つの推定貫膜ドメインをもつタンパク質を予測させる。2)ファミリー3 GPCRとの類似性は、blastp検索(推定貫膜領域の局所アラインメント)により実証されている:ドロソフィラ・メラノガスター(drosophila melanogaster)代謝型グルタミン酸受容体(受入番号P91685)と比較すると、mGRR1aについては21%の同一性および45%の類似性を示す残基が見出される。推定ドロソフィラ・メラノガスター(drosophila melanogaster)(推定)代謝型GABA−B受容体サブタイプ3(受入番号AF318274、推定貫膜領域の局所アラインメント)と比較すると、mGRR1aについては22%の同一性および43%の類似性を示す残基が見出される。ショウジョウバエ(ドロソフィラ、drosophila)ゲノムにおいてmGRR1aに最も近い相同体は、推定遺伝子産物CG11923(フライベース受入番号FBgn0031642)であり、27%の同一性および43%の類似性を示す残基を有する(CG11923の残基109−588を伴う配列番号2のblastp局所アラインメント残基241−745)。CG11923の機能は、Gタンパク質共役受容体として分類された。公開ドメインデータベースにおいて最も近い哺乳類GPCR相同体は、代謝型グルタミン酸受容体3型(受入番号Q14832)であり、23%の同一性および41%の類似性を示す残基をもつ(mGluR3の残基540−801を伴う配列番号2の局所アラインメント残基385−640)。ファミリー3 GPCRとのmGRRの類似性は、推定貫膜スパンニング領域に限定される。mGRRのN−末端推定的細胞外ドメインについても、C−末端推定的細胞内ドメインについても、既知タンパク質との顕著な類似性は見出されない。
【0084】
【表1】
表2:mGRR1aの推定貫膜領域
【0085】
実施例2:ヒトmGRR2のクローニング
Celeraヒトゲノムデータベースのtblastn検索における問い合わせとしてGABA−B受容体(受入番号Y10370、AJ011318)のアミノ酸配列を用いることにより、同定された配列(GA_15091955)は、GABA−Bおよび代謝型グルタミン酸受容体の推定貫膜ドメインとの類似性が限られていた。
【0086】
クローニングするため、本質的に製造業者による説明にしたがって、クロンテックのMarathonRACEcDNA(ヒト脳、カタログ番号7400−1、BDクロンテック、バーゼル、スイス国)を用いて対応するcDNA5'−および3'−RACE反応を遂行する。クロンテックから購入(カタログ番号6543−1)したポリA(+)RNA(全ヒト脳)からcDNAを転写する。製造業者の使用説明書にしたがって、GIBCO−BRL cDNA合成モジュール(ライフ・テクノロジーズ、バーゼル、スイス国)を使用する。オリゴ(dT)およびランダムプライマーの両方を別々の反応(2.5μgの各RNA、20μl)で用いて1本鎖cDNAを合成する。PCRで使用する前、10mMのトリス、1mMのEDTA pH8.5(TE)を、cDNA合成反応物に加えて最終量を100μlとする。MWGプリマスサイクラーでPCRを実施する。オリゴ(dT)およびランダムプライマーcDNA合成反応物からの均等量を合わせる。1μlのcDNA混合物を、50μl PCR反応で使用する(Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989))。
【0087】
配列GA_15091955から設計されたRACEプライマーは、5-RACE: 5-ccc gct gct cag aag ggc act ccg ctg g-3 (配列番号24)および 3-RACE: 5-tgg acc gtg ggc gcc ctg gag cga ggc-3(配列番号25)である。MWGバイオテックサイクラーで35サイクル(初回変性95℃で3秒間、95℃で30秒間(変性)、72℃で4分間(アニーリングおよび伸長))実行する。クロンテックMarathonRACEキット説明書に記載されている実験手順を使用する。Marathon cDNAキットにより供給されたAP2プライマーと一緒に使用される内側遺伝子特異的プライマーセット(5-RACE: 5'-ggg ccg ttc gag aca gaa aca gct gca g -3 (配列番号27)および 3-RACE: 5-gct ggg act aca tca tgg ttg tgg ctg -3(配列番号26)を用いて、2回目のPCR増幅工程を実行する。上記条件を用いて30PCRサイクルを実行する。RACEクローンを、pCRII−topo(インビトロゲン、グロニンゲン、オランダ国)へサブクローニングし、配列決定する。
【0088】
RACEクローンから得られた配列情報を用いて、対応するゲノム配列およびヒトChr17q11.1におけるmGRR2遺伝子座を同定する(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/guide/human)。転写配列をgenscanプログラム(http://genes.mit.edu/GENSCAN.html)により予測し、推定読み枠を包含するPCRプライマーを設計する。プライマー対は、5'-CAC CGC CTC TGC CTG GGC TCT CCT G-3'(F1) (配列番号28) および 5'-CGC TGC TCA GAA GGG CAC TCC GCT GG-3' (配列番号 29); 5'- GGA TTC CTG CTG CTT TAC TTT CCT GTC-3' (配列番号 30)および 5'-CCA CAG ACA CAC TTC AGC AAT GCC-3' (配列番号31); 5'-CCA GGA AGG TGG AGA AGC CTG GGT GGG-3' (配列番号 32)および 5'- cta act tgc cct gta gca ctc ctc-3' (r1) (配列番号 33)である。鋳型として1μlの全ヒト脳cDNA混合物(上記)を用いて、35PCRサイクルを実行する:初回変性95℃で3秒間、95℃で30秒間(変性)、62〜68℃で30秒間、72℃で8分間。プロメガ(ヴァリセレン、スイス国)からの校正Pfuポリメラーゼを使用する。上記と同様(25のPCRサイクルを実行する:初回変性95℃で3秒間、95℃で30秒間(変性)、68℃で30秒間、72℃で14分間)PfuポリメラーゼおよびプライマーF1およびR1を用いるPCR反応においてオーバーラップ伸長を通してスプライシングすることにより(Methods Enzymol.1993、217:270−279)、完全長配列を構築し、cDNA配列を哺乳類発現ベクター(pcDNA3.1−zeo、インビトロゲン)へ挿入する。
【0089】
本発明の一ポリペプチド(mGRR2、対応するDNA配列、配列番号5)は、2367アミノ酸(配列番号6)のタンパク質についての読み枠を含む。推定シグナルペプチド配列(MGTRGAVMPPPMWGLLGCCFVCAWALG (配列番号34))が、mGRR2ポリペプチド(配列番号6)のN末端そのものに位置するということから、N末端タンパク質配列は細胞外に位置することが示唆される。hmGRR2のアミノ酸配列は、mGRRaと51%の同一性を示し、58%の類似残基を伴う(mGRR2の残基61〜737を伴うmGRRaのアミノ酸残基81〜770のbestfitアラインメント)。
【0090】
異なる脳領域に由来するcDNA(クロンテック)および上記RACEプライマーを用いたPCRによる発現プロファイリングは、mGRR1a/bに対するオーバーラップ発現プロファイルと共に脳におけるmGRR2 mRNAの広範な分布を示す。
【0091】
実施例3:部分的ラットmGRR1のクローニング
ラットmGRR1 cDNAクローンは、blastn検索における問い合わせとしてヒトmGRR1a配列(配列番号1)を用いることにより、整列させた後根ガングリオンcDNAライブラリー(ノヴァリティス起源)で同定される。このクローンからのプラスミドDNAを単離し、cDNA挿入体を部分的に配列決定する(配列番号16)。ヌクレオチド配列は、対応するヒトmGRR1およびb配列(配列番号1、配列番号3)と80%同一である。
【0092】
実施例4:哺乳類細胞発現(In situハイブリダイゼーション)
32P−UTPセンスおよびアンチセンスリボプローブの合成用鋳型として、ラットmGRR cDNA(配列番号16)のフラグメントを、T7プロモーター配列が結合されたプライマーを用いるPCRにより増幅する。プライマー配列は、5-AAT GGA AGT CAG TTG TAC AC-3 (配列番号 17)および5-TTA tac act cac tat agg gaA ATG TCC CTT TAA CAG GCT G-3(配列番号 18) (アンチセンス鋳型)および 5-taa tac gac tca cta tag gga AAT GGA AGT CAG TTG TAC AC-3(配列番号 19)および 5-AAT GTC CCT TTA ACA GGC TG-3(配列番号20)(センス鋳型)である。50ngの鋳型プラスミド(ラットmGRR、配列番号16)を用いて、MWGプリマスサイクラーにおいて25のPCRサイクルを実行する。PCR条件は、95℃で30秒間(変性)、68℃で1分間(アニーリング)および72℃で1分間(伸長)である。予測サイズ(590bp)のPCR産物が得られ、これをスピンカラム(ロシェ・ディアグノスティクス、インディアナポリス、米国、カタログ番号1732668)により精製し、35S−標識RNAプローブの合成に使用する。
【0093】
プローブ合成を、RNA転写キット(ストラタジーン、ラジョラ、カリフォルニア、米国)により以下の要領で実施する。6μlの[α−35S]UTPおよび6μlの[α−35S]ATP(比活性1200Ci/mmol、NEN、ボストン、マサチューセッツ、米国)を、1.5ml管中で濃縮する。その後、2μlの5×転写緩衝液、1μlの100mMのDTT、3μlのDEPC−H2O、1μlの溶液(10μlの100mMのCTP、10μlの100mMのGTP、30μlのDEPC−H2O含有)、1μlのRNアシン、1μlのT7またはT3ポリメラーゼおよび200ngのPCR産物を加える。37℃で1〜1.5時間のインキュベーション後、50μlのSDS20%、100μlの0.1MのDDTおよび850μlの10mMトリス−1mMのEDTA(pH7.4)を含む溶液90μlを加えることにより、反応を停止させる。セファデックスG−50スピン−カラム(ベーリンガー、マンハイム、ドイツ国)で精製後、シンチレーション計数法により放射能を測定する。ハイブリダイゼーション混合物を、2種の別々の溶液から調製する。すなわち、溶液Aは、10mlのホルムアミド、4mlの50%デキストランスルフェート、400μlの50×デンハート溶液(500mlのH2O中、5gのフィコル、5gのポリビニルピロリドンおよび5gのウシ血清アルブミン)、40μlの0.5MのEDTA(pH8.0)、200μlの1Mのトリス(pH8.0)および1.2mlの5MのNaClを含む。溶液Bは、1〜5μlの35S標識プローブ(正確な量は、最終培地中で107cpm/mlの濃度に達するように特定される)、100μlのtRNA、100μlの0.1MのDTTおよび最終的に2mlにするための適量のDEPC−H2Oを含み、これを65℃で5分間加熱する。最終ハイブリダイゼーション混合物を、十分に混合した8mlの溶液Aおよび2mlの溶液Bにより調製し、注射器濾過し、5分間65℃で再加熱し、5分間10000gで遠心分離することにより、気泡を除去する。
【0094】
ラット脳を、−20〜−25℃の低温保持装置で8〜16μm厚さの冠状片に切断し、ゼラチン−ポリ−L−リシン−コーティングしたスライドに載せる。断片を室温で一晩真空乾燥し、4%(w/v)氷冷パラホルムアルデヒド中で5分間固定し、1×PBS中で1分3回洗浄する。それらを同日ハイブリダイゼーションに使用するか、または−70℃の密閉スライド箱中で貯蔵する。
【0095】
ハイブリダイゼーション当日、冷凍したスライド箱を室温に達するまで密閉したままにしておく。次いで、スライドを、250mlの0.3Mのトリエタノールアミンを含む染色皿に連続的に浸し、625μlの無水酢酸が加えられた同じエタノールアミンでアセチル化し、等級付けしたエタノール(50、70、95、100、100%)中で脱水し、1〜3時間真空乾燥する。75μlのハイブリダイゼーション混合物をピペットでカバーグラスに移す。ガラススライドとの接触時、溶液は毛管現象により断片全体に均一に拡散する。一旦DPXで密閉し、スライドを置き、16〜20時間56℃に保つ。次いで、スライドを室温で冷却し、硬化DPXを除去し、カバーグラスがはずれるまでスライドを20分間またはそれ以上4×SSC緩衝液に浸す。0.1×SSC中における高ストリンジェンシー洗浄を68℃で行う。エマルジョン−浸漬のため、断片を95%エタノール中で5分、100%エタノール中で5分を3回、キシレン中で5分を1回、100%エタノール中で30秒を1回および再び3回(前と同じ溶液)脱脂し、少なくとも1時間真空乾燥する。次いで、暗室中で、液体核エマルジョン(コダック、NTB2、インテグラ・バイオサイエンシーズAG、ヴァリセレン、スイス、州/国)を、52℃に予熱しておいた蒸留水中で1:1に希釈する。混合物を52℃の水浴中で15分間溶解させる。次いで、溶液を180°回転により非常に静かに攪拌し、十分ではあるが、発泡を回避しながら混合し、さらに15分間静置する。均一混合物を特製浸漬フラスコ中に注ぎ、再び15分間置いて泡を除く。次いで、スライドをエマルジョン中に1回浸漬し、3時間暗いチャンバーに入れたホルダーで乾燥する。スライドを、暗室中4℃の密閉スライド箱で貯蔵する。16〜60d暴露後、スライドを現像処理する。標準濃度で使用される現像液D−19および定着液(コダック)を、氷中で15℃に冷却する。次いでスライドを現像液に3.5分間浸し、15℃の水で15秒間洗浄し、6分間定着させる。最後に、それらを脱塩水で1時間洗浄する。断片を対比染色するかまたは、カバーグラスを置く前にスライドを3滴の組織封入剤(パーマウント、フィッシャー・サイエンティフィック、ピッツバーグ、ペンシルベニア、米国)と共に顕微鏡検査用に固定し、カバーグラスが強く接着するまで数日間スライド箱で乾燥する。
【0096】
mGRR mRNAの観察された脳特異領域分布は、mGRRリガンドについての可能な指標に関する情報を提供する。mGRRリガンドは、天然リガンドおよびmGRR活性のモジュレーター、例えば抗mGRR抗体および/またはmGRR介在シグナル伝達を促進または打ち消す小分子である。ファミリー3 GPCR、例えば代謝型グルタミン酸受容体およびGABA−B受容体は、シナプス伝達を調節し、イオンチャンネルと比べてそれらの効果は永続性があり、調節的である。mGRRの脳におけるmRNA発現パターンは、mGRR相互作用分子が、神経学的および/または精神医学的疾患、例えば限定されるわけではないが、痴呆、精神分裂病、うつ病、情動障害、癲癇および運動障害の処置に有用であることの指標を提供する。
【0097】
本発明ポリペプチドは、全主要脳構造で発現される(表1)。
【表2】
【表3】
【表4】
【0098】
表1:ラット脳全体にわたるmGRR1をコードするmRNAの分布。使用されるハイブリダイゼーションプローブは、mGRR1aおよびmGRR1bに共通したC−末端配列に対応する(パンプローブ)。10日間核エマルジョンに暴露した後、暗視野顕微鏡下で発現レベルを冠状および矢状方向脳断片について評価した。0=検出可能な発現は無し、+=弱い、++=中ぐらい、+++=高い、++++=非常に高い。
【0099】
mGRR mRNAの観察された脳特異領域分布は、mGRRリガンドについての可能な指標に関する情報を提供する。mGRRリガンドは、天然リガンドおよびmGRR活性のモジュレーター、例えば抗mGRR抗体および/またはmGRR介在シグナル伝達を促進または打ち消す小分子である。ファミリー3 GPCR、例えば代謝型グルタミン酸受容体およびGABA−B受容体は、シナプス伝達を調節し、イオンチャンネルと比べてそれらの効果は永続性があり、調節的である。
【0100】
実施例5:免疫ブロット
HA標識mGRR1aの生成。C−末端血球凝集素(HA)エピトープ(ヌクレオチド配列5'-TATCCATATGATGTTCCAGATTATGCT(配列番号21))を、mGRR1aのC−末端配列に付加した。この末端に対し、鋳型として(50ng)pcDNA3.1topoにおけるヒトmGRR1aを用いてプライマー5'-CAAGACTCCAGTTCTCCCAGAG (配列番号22)および5'- TCTAGATCTAGACTAAGCATAATCTGGAACATCATATGGATACACTTTAAAACTATCCCAGATC (配列番号23)によりPCR反応を実行した。95℃(30秒)、68℃(30秒)、72℃(30秒)で25のPCRサイクルを実行した。予想サイズ(417bp)のPCR産物が得られ、これをBsgIおよびXbaIで二重消化し、ゲル精製(Qiaex、キアゲン)し、pcDNA3topoにおける野生型hmGRR1aのBsgI/XbaIフラグメントの置換に用いた。両鎖の配列決定により構築物を確認した。
【0101】
免疫ブロット。トランスフェクションされたCOS1細胞からの膜を解凍し、遠心分離にかけ、HEPES緩衝液pH(125mMのNaCl、5mMのKCl、0.6mMのMgCl2、1.8mMのCaCl2、20mMのHEPES、6mMのデキストロース;(ライフ・テクノロジーズ#043−90174M))、50μg/mlのデオキシリボヌクレアーゼIに再懸濁し、試料緩衝液(125mMのトリスpH6.8、1%SDS、25mMのDTT、5%のグリセリン/ブロムフェノールブルー)中で希釈した。タンパク質(1レーン当たり20μg)を、4〜15%勾配ゲルを用いるSDS−PAGEにより分離し、電気泳動によりイモビロン−P PVDFメンブラン(ミリポアAG、フォルケツビル、スイス国)へ移動させた。NET−G緩衝液(150mMのNaCl、50mMのトリス−Cl pH7.4、5mMのEDTA、0.05%(v/v)のトリトンX100、0.25%w/vのゼラチン)中で一晩インキュベーションすることにより非特異的結合を減少させた。それに続いて、膜を、室温で45分間NET−G中(1:500)においてモノクローナルラット抗HA−ペルオキシダーゼ高アフィニティー抗体(3F10、ロシェカタログ番号2013819)とインキュベーションした。NET−Gにより3回洗浄(各10分)後、強化化学発光ウエスタンブロット試薬(アマーシャム・ライフ・サイエンシーズ#2106)を用いて結合抗体を検出し、膜をバイオマックスMR(コダック)フィルムに露出した。pcDNA3.1−topo(ギブコ・ライフ・サイエンシーズ)におけるヒトGRR−HAでトランスフェクション後のCOS−1細胞からの膜のウェスタンブロットは、134kDa(そのタンパク質配列から予測された通り)のところにタンパク質バンドを示す。免疫ブロットは、細胞膜により為されているためmGRRが細胞膜で見出されることを示す。
【0102】
実施例6:機能分析
mGRR1a、mGRR1bおよびmGRR2は、推定相互作用受容体タンパク質と一緒に組換え発現系、例えばHEK293細胞またはCOS細胞において共発現され得る。cDNA発現構築物のコトランスフェクションは、例えばエフェクテントランスフェクション剤(キアゲン)により行われ得る。機能的リードアウトは、アゴニスト誘導GTPyS結合、例えばGalvez et al.、Mol.Pharmacol.、57、419−426(2000)またはカリウムチャンネルの活性化(Lingenhoehl et al.、Neuropharmacology、38、1667−1673(1999))の分析を含み得る。Gタンパク質またはキメラGタンパク質のコトランスフェクションを用いることにより、報告された要領(Galvez et al.、EMBO J、20、2152−2159(2001))で測定され得るカルシウムシグナル(イノシトールリン酸蓄積)を発生させ得る。別法として、放射性標識候補リガンドの結合は、トランスフェクション細胞から誘導された膜調製物を用いて測定され得る。さらに、以下の実験により、mGRR1およびmGRR2の機能が解明され得る。
【0103】
a)遺伝子ノックアウト
ネズミmGRR1およびmGRR2遺伝子は、それぞれ近位Chr2および遠位Chr11に局在している。ネズミmGRR遺伝子およびそれらの構造についての知識を用いて、mGRRaおよび/またはmGRR2遺伝子の機能が除去されたマウスを製造する目的で遺伝子ターゲッティング構築物を設計する。ノックアウト動物は、構成的または誘導性ノックアウトを含めて報告された(Neuron.2001:31、47−58)標準的方法により製造される。同型接合ノックアウトマウスの表現型を生化学、薬理学および電気生理学的範例で研究することにより、既知生化学的および受容体経路が被り得る損傷を試験する。また上記動物は、様々な行動的範例でも研究されている(Neuron.2001;31、47−58)。
【0104】
CG11923により、哺乳類mGRRの推定ショウジョウバエ(ドロソフィラ、drosophila)相同体が同定された。CG11923の機能がPエレメント突然変異導入手段により破壊されたショウジョウバエの表現型が研究されている。結果は、インビボでのmGRR1およびmGRR2の機能の解明に役立つものであると予測される。
【0105】
b)相互作用タンパク質
ベイト(おとり)としてCまたはN末端配列を用いることにより、mGRR1およびmGRR2の相互作用タンパク質が同定される。これは、脳cDNAライブラリーの酵母2ハイブリッドスクリーンおよびGST融合タンパク質の生成を伴うもので、後続の脳抽出物を用いたプルダウン解析法およびタンパク質の質量分光法に使用される。また上述の方法を使用することにより、mGRR1およびmGRR2についての可能なヘテロ二量体相互作用を調べる。潜在的相互作用タンパク質を、トランスフェクション細胞およびニューロン培養物における共局在性実験で調べる。ヒトmGRR1a/bのC末端そのものにおいて、推定II型PDZタンパク質結合モチーフ(J Biol Chem.2002、277、15221−4)が同定されることから、mGRR1a/bと既知PDZモチーフ結合タンパク質、例えばPICK1との相互作用は、mGRRを既知GPCRシグナル伝達経路に指向させ得ることが示唆される(EMBO J.2002、21、2990−9)。PICK1とヒトmGRR1の推定相互作用を、上記共局在性および共免疫沈降試験を用いて調べる。
【0106】
c)リガンド・フィッシングスクリーン
推定GPCRリガンドのコレクションは、研究室において確立されている。推定受容体リガンドのバンクがスクリーニング用に構築された。バンクは、伝達物質、ホルモンおよびケモカイン、ヒト受容体についての推定アゴニストであり得る天然化合物、哺乳類対応物質がまだ同定されていない非哺乳類生物活性ペプチド、および天然では見出されないが、未知天然リガンドを伴う受容体を活性化する化合物を含む。このバンクは、機能性(すなわち、カルシウム、cAMP、マイクロフィジオメーター、卵母細胞電気生理現象など、下記参照)および結合検定法の両方を用いて既知リガンドについての受容体を最初にスクリーニングするのに使用される。mGRR1およびmGRR2を、組換え発現系、例えばHEK293細胞またはCOS細胞で推定相互作用受容体タンパク質(上記)と共発現させる。これはまた、mGRR1およびmGRR2の発現を含み得る。cDNA発現構築物のコトランスフェクションは、例えばエフェクテントランスフェクション剤(キアゲン)により行なわれる。機能的リードアウトは、アゴニスト誘導GTPyS結合、例えばGalvez et al.、Mol.Pharmacol.、57、419−426(2000)またはカリウムチャンネルの活性化(Lingenhoehl et al.、Neuropharmacology、38、1667−1673(1999))の分析を含み得る。Gタンパク質またはキメラGタンパク質のコトランスフェクションを用いることにより、報告された要領(Galvez et al.、EMBO J、20、2152−2159(2001))で測定されるカルシウムシグナル(イノシトールリン酸蓄積)を発生させ得る。別法として、放射性標識候補リガンドの結合を、トランスフェクション細胞から誘導された膜調製物を用いて測定する。
【0107】
d)抽出物/細胞上清スクリーニング
現在までのところ、同族活性化リガンド(アゴニスト)が存しないままの多数の哺乳類受容体が存在する。すなわち、これらの受容体についての活性リガンドは、現在までに同定されたリガンドバンク内には含まれ得ない。
【0108】
したがって、また本発明受容体を、組織抽出物に対する機能性スクリーニング(カルシウム、cAMP、マイクロフィジオメーター、卵母細胞電気生理現象など、機能性スクリーン)にかけることにより、天然リガンドが同定される。正の機能性応答を生じる抽出物は、活性化リガンドが単離同定されるまで連続的にサブフラクション化され得る。
【0109】
e)抗体およびペプチド
抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)は、mGRRのNおよびC末端エピトープに対して産生される。同定された推定相互作用タンパク質(例えば上記PICK1)とmGRRタンパク質の会合を破壊することが予測されるペプチドを設計する。内在的に発現されたmGRRタンパク質の機能を破壊する目的で抗体および/ペプチドを培養ニューロン細胞に適用する。抗体および/またはペプチド処理細胞の電気生理学的特性を未処理細胞と比較研究する。
【0110】
実施例7:リガンド結合検定法
リガンド結合検定法は、受容体薬理学についての直接確認方法を提供するもので、高スループットフォーマットに適用可能である。結合試験用に、受容体についての精製リガンドを、高比活性(50〜2000Ci/mmol)に放射性標識する。次いで、放射性標識方法がその受容体に向かうリガンドの活性を減じることはないという測定がなされる。緩衝液、イオン、pHおよび他のモジュレーター、例えばヌクレオチドについての検定条件を最適化することにより、膜および全細胞受容体供給源の両方にとって実行可能なシグナル対ノイズ比を確立する。これらの検定法については、放射能合計−過剰の非標識競合リガンドの存在下で測定された放射能として、特異的受容体結合を定義する。可能な場合、複数の競合リガンドを用いて、残留非特異的結合を特定する。
【0111】
mGRR1a、mGRR1bおよびmGRR2は、本質的に同じリガンドを有し得る。
【0112】
実施例8:染色体局在性
慣用技術を用い、公開ドメインデータベース、例えばENSEMBL(http://www.ensembl.org/)を用いて染色体局在性を推測する。ヒトChr10p11.2−p12におけるヒトmGRR地図、ヒトChr17q11.1におけるmGRR2遺伝子座地図。
Claims (10)
- (a)配列番号3または配列番号5の配列を含むポリヌクレオチドによりコード化される単離mGRRポリペプチド、
(b)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列と少なくとも96%の同一性を有するポリペプチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRの場合と類似した特性を示す単離mGRRポリペプチド、
(c)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列を含む単離mGRR1bまたはmGRR2ポリペプチド、
(d)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列と少なくとも96%の同一性を有し、リガンド結合検定法においてmGRRの場合と類似した特性を示す単離mGRRポリペプチド、
(e)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列、
(f)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列と比べて0.96の同一性指数を有するポリペプチド配列を有するかまたは含む単離mGRRポリペプチド、
(g)(a)〜(f)記載の上記ポリペプチドのフラグメントまたは変異型
から成る群の一つから選択される単離mGRRポリペプチド。 - 配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列である、請求項1記載の単離ポリペプチド。
- (a)配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離mGRRポリヌクレオチド、
(b)配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチド、
(c)配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドと少なくとも96%の同一性を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(d)配列番号3または配列番号5の単離ポリヌクレオチド、
(e)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列と少なくとも96%の同一性を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(f)配列番号3または配列番号5のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、
(g)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列と少なくとも96%の同一性を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(h)配列番号4または配列番号6のポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、
(i)配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチド配列に対し0.96の同一性指数を有するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、または
(k)配列番号4または配列番号6のポリペプチド配列に対し0.96の同一性指数を有するポリペプチド配列をコード化するポリヌクレオチド配列を含み、リガンド結合検定法においてmGRRと類似した特性を示すポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド、または上述のポリヌクレオチドのフラグメントまたは変異型であるかまたはその全長にわたって上述のポリヌクレオチドと相補的であるポリヌクレオチド
から成る群の一つから選択される単離mGRRポリヌクレオチド。 - (a)配列番号3または配列番号5のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチド、
(b)配列番号3または配列番号5の単離ポリヌクレオチド
(c)配列番号4または配列番号6のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号4または配列番号6のポリペプチドをコード化する単離ポリヌクレオチド
から成る群から選択される、請求項3記載の単離ポリヌクレオチド。 - 発現ベクターが適合し得る宿主細胞に存在するとき、請求項1記載のポリペプチドを生産し得るポリヌクレオチドを含む発現系。
- 請求項5記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞または請求項1記載のポリペプチドを発現するその膜。
- ポリペプチドの生産に十分な条件下で請求項6記載の宿主細胞を培養し、培養培地からポリペプチドを採取する工程を含む、請求項1記載のポリペプチドの製造方法。
- 免疫グロブリンFc領域および請求項1のいずれか一つのポリペプチドから成る融合タンパク質。
- 請求項1〜2のいずれか1項記載のポリペプチドについて免疫特異性を示す抗体。
- 請求項1記載のポリペプチドの機能またはレベルを刺激または阻害する化合物を同定するためのスクリーニング方法であって、
(a)候補化合物に直接的または間接的に随伴した標識手段によりポリペプチドへの(またはポリペプチドを発現する細胞または膜への)またはその融合タンパク質への候補化合物の結合を定量的または定性的に測定または検出する、
(b)標識競合体の存在下において、ポリペプチドへの(またはポリペプチドを発現する細胞または膜への)またはその融合タンパク質への候補化合物の結合の競合を測定する、
(c)ポリペプチドを発現する細胞または細胞膜に適切な検出系を用いて、候補化合物がポリペプチドの活性化または阻害によりシグナルを発生させるか否かを試験する、
(d)請求項1記載のポリペプチドを含む溶液と候補化合物を混合して混合物を形成させ、混合物におけるポリペプチドの活性を測定し、そして候補化合物を含まない対照混合物と上記混合物の活性を比較するか、または
(e)例えばELISA検定法を用いて、細胞における上記ポリペプチドをコード化するmRNAまたは上記ポリペプチドの生産に対する候補化合物の影響を検出し、そして
(f)バイオテクノロジー的または化学的標準技術にしたがって上記化合物を生産させる
工程から成る群から選択される方法を含む方法。
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