JP2005501573A - 血管内薬物送達デバイスおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、予め選択された少なくとも1つの薬物の、動物の体循環への直接的持続性送達のための移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供する。薬物送達デバイスは、非侵襲性の、または侵襲性が最小の外科手順を用いて血管系に移植され得る。一旦移植されたら、薬物送達デバイスは、予め選択された薬物を、長期にわたって、レシピエントの血流中に直接的に安全に送達する。本発明のデバイスおよび方法の使用によって、治療有効量の予め選択された薬物を、動物の血流中に直接的に送達するための、容易かつ再現可能なシステムが提供される。このデバイスは、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、そして最も好ましくはヒトにおける薬物送達のために用いられる。
Description
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国特許出願第60/250,746号に対する優先権およびその利益を主張する。米国特許出願第60/250,746号の開示全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、移植可能な血管内薬物送達デバイスに関する。より詳細には、本発明は、動物の体循環への直接的な薬物の持続性送達のための移植可能な血管内薬物送達デバイスに関し、そしてこのデバイスを血管系に移植し、そして血管系から回収するための手順に関する。
【0003】
(発明の背景)
持続性薬物送達デバイスの開発は未だ進行中である。例えば、Langer(1998)NATURE 392,補遺、5−10を参照のこと。例えば、移植された場合に、例えば、タンパク質分解酵素または加水分解によって分解されて薬物を動物中に徐々に放出するポリマーと、この薬物は、結合体化され得る。同様に、薬物は、不溶性マトリクス全体に捕捉され、次いでこの不溶性マトリクスが動物に投与され得る。薬物は、マトリクスの拡散および/または侵食を介して放出される。あるいは、薬物は、半透性膜またはリポソーム内にカプセル化され得、次いでこのカプセルは、動物に投与される。投与後、この薬物は、この膜を通した拡散またはこの膜もしくはリポソームの分解を介してのいずれかによって放出されて、その内容物を放出する。しかし、これらのアプローチは一般に、デバイスが、レシピエント内の血管内位置ではなく、血管外に移植される場合に用いられている。
【0004】
最も伝統的な移植可能な持続性薬物送達デバイスは、1以上の不溶性構成要素を含む。このことにより、この薬物が体循環に導入されるべき場合、いくつかの問題が生じる。例えば、血管系内に配置された不溶性構成要素が、1以上の潜在的に破局的な塞栓症を生じ得るという顕著な危険性が存在する。例えば、Gibaldi(1991)BIOPHARMACEUTICS AND CLINICAL PHARMACOKINETICS,Lea & Febiger,London,第4版を参照のこと。
【0005】
その結果、上記の持続性薬物送達デバイスは一般に、例えば、筋内経路、皮下経路、経口経路および非経口経路を利用して、血管外の位置に導入される。しかし、このような移植可能な持続性薬物送達デバイスの顕著な欠点は、血流に薬物を確実に送達するための質量の移動に関する顕著な問題による、それらの能力の制限である。この制限を緩和するための1つのアプローチは、移植された薬物送達デバイスの周辺に血管新生を誘導することである(例えば、米国特許第4,820,626号および同第5,433,508号を参照のこと)。
【0006】
さらに、例えば、標的化された組織送達を達成するための、または、薬物の不安定性および/もしくは毒性を考慮した、特定の環境下では、薬物を血流中に直接送達することが必要であり得る。今日まで、直接的薬物送達は一般に、血管系の外側(例えば、体内だが血管外の位置、または最も頻繁には体外の位置)に配置されたレザーバから薬物を送達する静脈内留置カテーテルを介して達成された。前者のシステムの例は、皮下に移植された薬物含有浸透ポンプに連結されたカテーテルが、薬物を血流中に送達する場合である。後者のシステムの例は、薬物(例えば、プロスタグランジンプロスタサイクリン)が、注入ポンプ(装着型または臨床型)およびカテーテルを介して外部レザーバから連続して、例えば、原発性肺高血圧を罹患している患者の大静脈へと直接投与される場合である。不幸にも、これらのシステムは代表的に、侵襲性医療手順を介して移植され、そして感染、手術過誤、患者のコンプライアンスに関して深刻な制限を受け、そして患者の生活の質を損なう。
【0007】
本発明の目的は、体循環への非常に多様な薬物の長期の直接的静脈内送達に適切な、移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供することである。本発明の別の目的は、薬物送達デバイスの1以上の構成要素を、血管の管腔に導入するためおよび/または血管の管腔から回収するための、侵襲性が最小の手順を提供することである。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、予め選択された少なくとも1つの薬物の、動物の体循環への直接的持続性送達のための移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供する。薬物送達デバイスは、非侵襲性の、または侵襲性が最小の外科手順を用いて血管系に移植され得る。一旦移植されたら、薬物送達デバイスは、予め選択された薬物を、長期にわたって、レシピエントの血流中に直接的に安全に送達する。本発明のデバイスおよび方法の使用によって、治療有効量の予め選択された薬物を、動物の血流中に直接的に送達するための、容易かつ再現可能なシステムが提供される。このデバイスは、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、そして最も好ましくはヒトにおける薬物送達のために用いられる。
【0009】
1つの局面では、血管内薬物送達デバイスは、血管の内壁(特に、インタクトな血管の内壁)への固定化のために適合されたアンカーを備える。アンカーは、インサイチュで固定された場合に、血管中の血液がアンカーを通って通過するのを許容するように設計される。デバイスは、固定されたアンカーによって血管の適所に保持される無細胞薬物含有レザーバをさらに備え、そして移植部位でこのレザーバを通過する血液中に、予め選択された薬物を放出する。薬物送達デバイスは、非侵襲性の、または侵襲性が最小の方法を介して(例えば、末梢の血管位置から貫かれたカテーテルを介して)移植され得、そして一旦移植されると、長期にわたって目的の薬物を体循環へと送達させ得る。さらに、一旦、薬物が枯渇したら、または所望によりいつでも(例えば、処理レジメを終結または改変するために)、レザーバは、取り出され得、そして適切な場合、治療を再開するために別の薬物含有レザーバで置換され得る。
【0010】
用語「体循環」は、本明細書中で使用される場合、組織または他の位置への血液供給を提供する、動物内の任意の血管(例えば、動脈、静脈、細動脈または細静脈)を意味することが理解される。
【0011】
用語「予め選択された薬物」は、本明細書中で使用される場合、動物に投与された場合、局在した治療効果または全身治療効果を生じ得る、任意の生理学的または薬理学的に活性物質を意味すると理解され、そして(i)任意の活性薬物および(ii)その動物内で代謝されて活性な薬物を産生し得る、任意の薬物前駆体が挙げられる。この定義がまた、薬物の組み合わせ、薬物前駆体の組み合わせおよび薬物と薬物前駆体との組み合わせを包含することが理解される。薬物としては、例えば、動物に投与した場合に治療的価値を有する(すなわち、所望の効果を惹起する)、ペプチド、タンパク質、核酸(例えば、デオキシリボ核酸および/もしくはリボ核酸)、ペプチジル核酸、脂肪酸(例えば、プロスタグランジン)、有機分子および無機分子が挙げられ得る。予め選択された薬物としては、例えば以下が挙げられ得る:ホルモンもしくは合成ホルモン(例えば、インスリンもしくはヒト成長ホルモン)、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤および抗マラリア剤);化学療法剤(例えば、5−フルオロウラシルおよびシスプラチン);自律神経薬物(例えば、抗コリン剤、アドレナリン剤、アドレナリン遮断剤および骨格筋弛緩剤);血液形成調節剤もしくは血液凝固調節剤(例えば、抗貧血薬物、凝固剤および抗凝固剤、出血剤および血栓崩壊剤);心臓血管薬物(例えば、心臓薬物、低血圧剤、血管拡張剤、強心剤、β−ブロッカーおよび硬化剤);中枢神経系剤(例えば、鎮痛剤、解熱剤および鎮痙剤);または免疫調節剤(例えば、エタナーセプト(etanercept)もしくは免疫抑制剤;抗炎症剤(例えば、インターフェロンγもしくはサイトカイン(例えば、IL−10およびIL−13));抗肥満剤(例えば、レプチン);抗脂肪血症剤(例えば、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼのインヒビター(例えば、アトルバスタチン(atorvastatin)));制吐剤(例えば、シサプリド(cisapride)およびメトクロプラミド));抗片頭痛薬物(例えば、イミトレックス(imitrex));キレート剤(例えば、鉄キレーターであるデスフェロキサミン(desferoxamine));ならびに避妊剤もしくは受精剤。
【0012】
用語「アンカー」は、本明細書中で使用される場合、血管に固定された場合に、血管を通した血流を閉塞も防止もしない、血管の内壁に固定され得る任意の構造体を意味すると理解される。アンカーは、血管の内腔に固定された場合、半径方向に外側の方向に偏寄した少なくとも1つの要素を備える。言い換えると、アンカーは、血管の内壁との半径方向の締まりばめを生じる要素を備える。
【0013】
1つの実施形態では、アンカーは、血管の内壁に対して半径方向に偏寄するまで拡張され得る、ステントまたはステント様要素を備え得る。さらに、アンカーは、血管の内壁に結合し得る、棘または鉤のある要素を備え得る。例えば、このようなアンカーは、頭部、および頭部に結合して頭部から半径方向に広がる複数の棘または鉤のあるフィラメントを備え得、その結果、このフィラメントは、各フィラメントの末端に存在する棘または鉤が、血管の内壁に係合するまで、傘状に開口し得る。
【0014】
別の実施形態において、アンカーは、塞栓移動防止フィルター(例えば、血餅移動防止フィルター)である。本発明の実施において有用な種々の血餅移動防止フィルターが、当該分野で公知である。現在の好ましいアンカーは、「Greenfield(登録商標)大動脈フィルター」として公知の移動防止フィルターである。有用なGreenfield大動脈フィルターは、米国特許第4,817,600号および同第5,059,205号に記載されている。代表的に、Greenfieldフィルターは、血管の管腔に挿入される場合に、(傘のように)開き、血管の内部壁に接触しそしてその内部壁を掴む、複数のバネにより付勢されたフィラメントに取り付けられたヘッドを備える。
【0015】
別の実施形態において、アンカーは、リザーバを受け取るためのレセプタクルをさらに備える。さらに、このレセプタクルは、リザーバをアンカーに係合および固定するための固定機構をさらに備え得る。アンカーおよびリザーバの両方が、リザーバをアンカーに固定するように互いに対をなすインターロック要素を備え得ることが企図される。
【0016】
用語「無細胞リザーバ」は、本明細書中で使用する場合、血管の管腔内に適合するような寸法であり、血管に導入された場合にこの血管を通る血流を閉塞も妨害もしない、細胞を含まないかまたは実質的に細胞を含まない(任意の残存細胞が生存しているか死滅しているかに関わらず)任意の要素を意味することが理解される。さらに、リザーバは、血管において、このリザーバを通過する血液に1つ以上の薬物を放出し得る。リザーバは、薬物を保持するための内部容積および血液系への薬物の放出を可能にする少なくとも1つの孔を少なくとも部分的に規定する壁をさらに備える。
【0017】
好ましい実施形態において、薬物は、所望の速度でかつ障害の症状を緩和するのに適した時間にわたって、リザーバから段階的に放出される。薬物放出は、一定の週、より好ましくは一定の月にわたって生じ得る。いくつかの場合、薬物は、一定の年にわたって放出され得る。
【0018】
1つの実施形態において、リザーバは、活発な薬物送達システム(例えば、ポンプシステム)である。市販のポンプシステムとして、例えば、所定の期間にわたり所定の速度で持続性薬物放出を提供する浸透圧ポンプ、および1つ以上の薬物放出プロフィールを提供するよう設計されており、医師が必要とする場合、移植前に予めプログラムされるかまたは体外コントローラーの助けによって移植後にプログラムされ得るマイクロモーターポンプが挙げられる。
【0019】
別の実施形態において、リザーバは受動薬物送達システムである。この受動薬物送達システムとして、例えば、薬物を放出するよう適合された、薬物含有粒子(例えば、マイクロカプセル化された薬物含有粒子)またはゲル固定化薬物がその中に配置された薬物透過カプセルを含むリザーバが挙げられる。薬物透過カプセルは、好ましくは、例えば、半透過膜によって規定される。半透過膜は、1つ以上の孔を備え得、この孔は、薬物の通過を可能にしつつ、同時に孔を通じた粒子の通過を防ぐような寸法である。本発明の生物適合性の半透過膜を生成するのに有用なポリマーとして、塩化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、イソシアン酸ポリウレタン、アルギニン酸塩、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース)、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、またはそれらのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0020】
薬物含有粒子は、例えば、種々の速度で薬物を腐食および放出するポリマーコーティングの組み合わせを通して、所望の薬物送達プロフィールを提供するよう操作され得る。さらに、移植前に薬物を予めリザーバに充填する薬物送達デバイスの使用に加えて、本発明は、リザーバを空のまま移植し、次いでインサイチュで薬物を充填し得る方法および組成物を提供する。後者は、カテーテルを介して移植および回収され得るがなおより大きな体積および/または量の薬物を送達し得る大型のリザーバの使用を可能にする。さらに、リザーバはまた、薬物が枯渇した後に、一端がリザーバに接続され、他方の端がさらなる新たな薬物供給源に接続されたカテーテルを介して新たな薬物をリザーバに充填することにより、再装填(recharge)または再充填(refilled)され得る。さらなる新たな薬物供給源は、リザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート(例えば、レシピエントの皮下に配置された血管アクセスポート)であり得る。
【0021】
種々のデバイス設計が、本発明の実施に有用であることが企図される。例えば、リザーバは、例えば、リザーバが、アンカーを通過し得ない大きさである場合、アンカーの上流に保持され得る。あるいは、リザーバは、アンカーの下流に配置され得るが、例えば、アンカーからリザーバに伸びるフックまたはテザーを介するか、あるいはインターロック機構を介する取り付け手段によりその場に保持され得る。さらに、リザーバおよびアンカーは、リザーバの一部がアンカーの上流に位置し、別の部分がアンカーの下流に位置し得るように設計され得ることが企図される。この型の設計は、例えば、アンカーとリザーバとの間のインターロック機構またはロック機構を介して容易にされ得るか、あるいはリザーバがくさび型形状であり、その結果、くさびの細い端がアンカーを通過するが大きい方の端はアンカーと接触し、それによってリザーバ全体がアンカーを通過するのを防止する。
【0022】
好ましい実施形態において、リザーバは、相互のロック機構と対をなすロック機構を備え、アンカー上またはアンカーにて、アンカーおよびリザーバを互いに係合および固定する。種々のロック機構が本発明の実施に有用であり得ることが企図される。
【0023】
さらに、リザーバは、リザーバからの放出のために、1より多くの薬物(例えば、2つ、3つ、または4つの別個の薬物)を含み得る。例えば、リザーバは、うっ血性心不全の症状を緩和するために組合され得るイノトロープ(例えば、ドーパミンおよびドブタミン)、または抗生物質(例えば、バンコマイシンおよびセフタジジン)の組み合わせを含み得る。これらは、感染(例えば、中枢神経系の感染)を処置するために、組み合わせて使用され得る。
【0024】
別の局面において、本発明は、予め決定された薬物を体循環中に直接的に送達するためのデバイスを、動物の血管に導入する方法を提供する。この方法は、(a)インタクトな血管の内部壁にアンカーを固定する工程(このアンカーは、固定された場合に、血管中の血液が通過するのを許容する)、および(b)予め選択された薬物を含む無細胞リザーバを血管に導入する工程を包含し、それによって、血管中に導入された場合に、このリザーバはアンカーによりその位置に保持され、そしてこのリザーバを通過する血液中へ予め選択された薬物を放出する。さらに、さらなる工程において、このリザーバは、アンカーが血管中に固定された後に、アンカーに固定される。
【0025】
この方法において、アンカー、リザーバ、またはアンカーおよびリザーバの両方は、カテーテルを介して血管に導入され得る。1つのこのような手順において、アンカーおよび/またはリザーバは、カテーテルを介し、大腿静脈または頸静脈を介して動物中に導入され得、次いで、天然の静脈(例えば、下大静脈、上大静脈、門脈、または腎静脈)に固定されるか、あるいは合成の静脈(例えば、外科的に構築された動静脈瘻から生じた静脈)に固定される。このデバイスの導入および固定のための適切な部位の選択は、当業者のレベルの範囲内であることが企図される。
【0026】
別の局面において、本発明は、動物のインタクトな血管への移植のためのアンカーを提供する。このアンカーは、第2の要素に取り付けられた第1の要素を備える。第1の要素は、血管の内部壁への固定のために適合されており、そして血管に固定された場合に半径方向外側の方向に偏った少なくとも1つの部材を備える。第2の要素は、予め決定された幾何学的構造および/または設計の薬物送達リザーバ部材を受け取るためのレセプタクルを形成する。1つの実施形態において、第1の要素は、第2の要素の近位に位置し、そしてより好ましくは、第1の要素は、アンカーの近位端に位置し、第2の要素は、アンカーの遠位端に位置する。
【0027】
1つの実施形態において、第1要素は、半径方向外側に伸びて、インタクトな血管の内部壁に接触し得るステントである。あるいは、第1の要素は、インタクトな血管の内部壁と接触および係合し得るバーブである。
【0028】
別の実施形態において、第2の要素は、インターロック機構をさらに備え、このインターロック機構は、リザーバの相互インターロック機構と対をなし、これと係合してリザーバをアンカーに固定する。好ましくは、第2の要素のインターロック機構は、内部壁を有する環状部材を有し、この内部壁は、環状部材を通して走るボアを規定し、内部壁はさらに、リザーバの相互インターロック機構を係合するためのボアに対して垂直な溝を規定する。
【0029】
別の実施形態において、第1の要素は、第1の要素と第2の要素との間に介在する第3の要素を介して第2の要素に接続され得る。第3の要素は、第1の要素の一方の端に取り付けられ、かつ第2の要素の反対の端に取り付けられたロッドまたはフィラメントであり得る。
【0030】
別の局面において、本発明は、動物のインタクトな血管への移植のための薬物送達リザーバを提供する。このリザーバは、第2の要素に取り付けられた第1の要素を備える。第1の要素は、インターロック機構を形成し、インタクトな血管の内部壁に固定可能なアンカーの相互インターロック機構に係合する。第2の要素は、薬物を保持するための内部体積を少なくとも部分的に規定し、そして薬物がリザーバから血流に排出されるのを可能にする寸法の少なくとも1つの孔を規定する壁を備える。
【0031】
1つの実施形態において、第一の要素のインターロック機構は、外壁を有する環状部材を備え、ここで、この外壁の第一部分は、第一の半径方向寸法を有し、そして、この外壁の第二部分は、第一部分の半径方向寸法よりも長い半径方向寸法を有する。別の実施形態において、第二の半径方向寸法を有する外壁部分は、アンカー上の相互インターロック機構内に配置された溝と嵌合して係合する。
【0032】
別の実施形態において、第二の要素は、活性薬物送達機構(例えば、浸透圧ポンプまたはマイクロポンプ)、または受動性薬物送達デバイス(例えば、薬物を血流に放出する薬物含有粒子が配置されている薬物透過性カプセル)のいずれかを備え得る。
【0033】
さらに、本発明は、動物の体循環内に予め選択された薬物を送達するための血管内薬物送達デバイスを提供する。このデバイスは、予め選択された薬物が配置されている血管外要素(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)およびコンジットを備える。このコンジットは、第一端部および第二端部を有する。この第一端部は、血管外要素と流体連絡して、予め選択された薬物がコンジットに流入するのを可能にし得、そしてこのコンジットの第二端部は、血管の管腔内に係留可能であり、かつ予め選択された薬物がコンジットから流出し、血流に流入するのを可能にし得る。このコンジットの第二端部は、血管内に係留された場合、この血管の管腔中心に配置され得る。このコンジットの第二端部は、血管の内壁に係留可能な血液透過性要素に取り付けられ得る。このコンジットはまた、第二端部に近接した一体型アンカーを備え得る。この一体型アンカーは、血管の内壁に係留可能な、半径方向に外向きに偏った少なくとも1つの要素を備え得、そして/または、ステントを備え得、そして/または外向きに延びたとげを備え得る。
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の最も一般的な適用において、本発明は、予め選択された薬物を動物の体循環内に持続して送達するための、移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供する。本発明のデバイスは、好ましくは、カテーテルを使用して、血管内に直接移植されるように適合される。移植した後、薬物送達デバイスは、予め選択された薬物をレシピエントの血流に放出する。
【0035】
この薬物送達デバイスは、アンカー構成要素およびレザーバ構成要素を備える。アンカーは、インタクトな血管の管腔に挿入されるように寸法決定される。一旦、所望の位置に導入されると、アンカーは、血管の内壁に固定される。アンカーは、血管の壁に固定された場合に、血管内の血液がその要素を通過するのが可能であるように設計される。レザーバはまた、血管の管腔に挿入されるように寸法決定される。このレザーバは、インサイチュでアンカーを介して保持される。レザーバは、細胞を有さないかまたは実質的に細胞を有さないが、少なくとも1種の薬物を含み、この薬物は、このレザーバ部材を通過する血液中に徐々に放出される。血流内に流入したら、この薬物は、レシピエントの血管系全体にわたって急激に広がっていき、そして/または、デバイスの下流の患部組織によって優先的に取り込まれる。従って、薬物送達デバイスの適切な操作は、このデバイスが血管を閉塞しないこと、すなわち、このデバイスが血管を通る血液の通過を妨げないことを必要とする。
【0036】
本発明のデバイスは、図面を参照してより詳細に記載され、この図面は、例示のために提供されており、どのようにも制限されることを意味しない。図1は、本発明の薬物送達デバイスの例示的な配置の側面図を示している。図1において、矢印は、血流の方向を表わす。図1Aは、アンカー10およびレザーバ20を示しており、ここで、アンカー10は、インタクトな血管30の内壁32によって血管30に固定されている。レザーバ20は、固定されたアンカー10の上流に位置する。図1Bにおいて、レザーバ20は、インタクトな血管30の内壁32に固定されたアンカー10の下流に位置する。図1Cにおいて、レザーバ20は、血管の内壁32に固定されたアンカー10に関連して配置されており、この結果、このレザーバ20の一部は、アンカー10の上流に位置し、かつレザーバ20の一部は、アンカー10の下流に位置する。
【0037】
図1D(これは、図1Bと類似している)において、レザーバ20は、インタクトな血管30の内壁32に固定されたアンカー10の下流に位置する。デバイスは、カテーテル34を介して、血管外(例えば、皮下)に位置する血管外要素36(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)からレザーバ20に薬物を充填するのを可能にするように構成されており、このカテーテルは、一方の端部で血管外要素36に接続されており、そしてもう一方の端部でレザーバ20に接続されている。このような血管外要素はまた、図1Aおよび図1Cに示されるようなアンカーに対して配置される血管内レザーバと組み合わせて使用され得る。
【0038】
レザーバ20がアンカー10によって保持される機構は、デバイスの構成要素の相対的な配置に依存して、変化し得る。例えば、図1Aおよび1Cに示される配置において、レザーバ20は、アンカー10に接触することによって適所に保持され得、ここでレザーバ20は、アンカー10を完全に通過するには大き過ぎるように寸法決定される。しかしながら、図1A〜1Cに示される配置において、レザーバ20はロックされ得るか、さもなければロック機構またはテザー機構を介して、アンカー10に物理的に係留されることが意図される。
【0039】
図1Eにおいて、アンカー10は、インタクトな血管30の内壁32に固定される。カテーテル34の一方の端部は、血管外要素36(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)に連結されている。カテーテル34のもう一方の端部は、アンカー10に連結されており、このアンカー10は、血管内にカテーテル34を固定して血管30の内壁32との接触を最小化する。このデバイスにおいて、薬物は血管外要素36から血管30に直接送達される。
【0040】
図2A〜2Cは、例示的なアンカー10(図2A)、例示的なレザーバ20(図2B)、および構成要素が一緒にロックされた例示的な薬物送達デバイス(図2C)の概略図である。図2Aにおいて、アンカー10は、第二要素14に接続された第一要素12を備える。第一要素12は、インタクトな血管の内壁と半径方向に締りばめ(radial interference fit)するように適合される。第二要素14は、レザーバ20の相互ロック部材と嵌合するためのレセプタクルを形成する。図2Bにおいて、例示的なレザーバ20は、第二要素22に接続された第一要素24を備える。この第一要素24は、アンカー10の相互ロック部材と係合するロック部材を規定する。第二要素22はまた、壁を備え、この壁の少なくとも一部は、薬物を保持するための内部容量を規定する。図2Cにおいて、アンカー10は、レザーバ20にロックされている。アンカー14の第二要素は、レザーバ24の第一要素と係合して、ロックする。
【0041】
図3Aは、本発明のデバイスの三次元図である。図3Aにおいて、アンカー10がレザーバ20と係合されることが示される。図3Bにおいて、導入カテーテル40およびこのカテーテル40内に配置された把持(grabbing)デバイス42は、インターロックアンカー10およびレザーバ20に関連して示される。
【0042】
さらなる設計および設計の検討が、「Intravascular Blood Conditioning Device and Use Thereof」の発明の名称の、本出願と同日に出願され、代理人整理番号NPH−005が割り当てられ、U.S.S.N.60/250,431の優先権および利益を主張する、同時係属中の米国特許出願番号___号において見出され得る。これらの出願の各々全体が、本明細書中で参考として援用される。
【0043】
(アンカー)
当該分野には、本発明の実施の際に有用な多数のアンカーが存在する。有用なアンカーは、血管を通る血流を閉塞も防止もせずに、この血管の管腔内に固定され得、同時に依然として、それ自体でかまたは改変後に、リザーバを保持するための確実かつ融通性のある様式を提供することによって、特徴付けられる。
【0044】
市販の閉塞症移動防止フィルターおよびステントは、ロック機構を欠くが本発明の実施において有用な、例示的なアンカーを代表する。ステントは、血管の内径を増加させて開存性を回復または維持するために、医療開業医によって慣習的に使用される。血餅移動防止フィルターまたは大静脈フィルターもまた、医療開業医によって慣習的に使用されるが、潜在的に生存している切迫血餅の、脈管構造内での移動を防止するために使用される。血餅移動防止フィルターは、代表的に、血管の管腔内に移植され、そして固定されるように、設計される。移植される場合、移動防止フィルターは、脈管内の血液が通過することを可能にし、一方で同時に、血餅を捕獲する。市販のアンカーは、そのままで使用され得るか、または好ましくは、相互ロック部材をリザーバに係合し得るロック機構をさらに備えるように、適合される。
【0045】
当該分野には、本発明における使用のために改変され得る、螺旋状、円筒形、および/または管状のステント設計が、多数存在する。例えば、米国特許第5,370,691号、同第5,591,230号、同第5,651,174号、同第5,899,935号、同第5,895,407号、同第6,107,362号、同第6,207,516号、同第6,030,414号および同第6,036,725号に開示されるステントは、薬物含有リザーバを受容および/または係合するように、改変され得る。さらに、種々の経皮カテーテルおよびガイドワイヤのシステムが、本発明の実施において有用な所望の配置ステントを導入および展開するために、使用され得る(例えば、米国特許第5,891,154号および同第6,027,520号を参照のこと)。
【0046】
本発明において有用な種々の血餅移動防止フィルターは、当該分野において公知であり、そして市販されている。例えば、米国特許第4,817,600号および同第5,059,205号に記載されている血餅移動防止フィルターは、Medi.Tech(登録商標)、Boston Scientific Corporation,MAから入手可能であり、そして本発明の実施のために必要なアンカー要素のための主成分を形成するために特によく適している。特に、これらのフィルターは、血餅の捕獲のための最大捕獲領域を提供し、一方で閉塞症を捕獲した後の血管の開存性を維持するように、設計される。例えば、円錐形のフィルターの幾何学的形状は、断面が64%減少する前に、その深さの80%まで充填することを可能にし、そしてこのフィルターの深さの少なくとも80%は、フィルターにわたる有意な圧力勾配が生じることなく、充填され得る。これらのフィルターの6つの脚の間の間隔は、3mmより大きな閉塞症の捕獲を確実にする(Greenfieldら(1989)「Venous Interruption」第68章、929−939頁、HAIMOVICI’S VASCULAR SURGERY PRINCIPLES AND TECHNIQUES 第3版、AppletonおよびLange,Norwalk,Connecticut/San Mateos,California)。従って、フィルターはそのままで使用されて、直径が3mmより大きな薬物含有リザーバを捕獲し得る。他の有用な血餅移動防止フィルター(そのままでかまたは噛み合い機構を備えることによる改変後のいずれかで有用なもの)は、例えば、米国特許第4,494,531号、同第4,781,177号、同第4,494,531号、同第4,793,348号、同第4,832,055号、同第5,152,777号、同第5,350,398号、同第5,383,887号、同第5,720,764号、同第6,059,825号、同第6,080,178号、および同第6,126,673号に記載されている。また、他の血餅移動防止フィルター(例えば、Greenfield(1991)VASCULAR SURGERY,A COMPREHENSIVE REVIEW,Moore編、W.B.Saunders Co.,Philadelphia,London,Toronto,Montreal,Sydney,Tokyo 669−679頁に記載されるもの(例えば、Nitinolフィルター;Guntherフィルター;Venatechフィルター;Amplatzフィルター;および鳥の巣(birds nest)フィルターが挙げられる))が、本発明の実施において同様に有用であり得ることが、企図される。
【0047】
市販の移動防止フィルターは、本発明のデバイスにおいて使用され得るが、アンカーがロック機構を組み込み、カプセルを係合すること(図4を参照のこと)が、好ましい。その結果、現在利用可能な移動防止フィルターは、代表的に、さらなる改変なしに使用され得る。他方で、市販のステントは、代表的に、カプセルを捕捉するための手段を有さない。しかし、このようなステントは、例えば、伸長部を備える脚および受容部材を組み込むことによって、改変され得る(図5を参照のこと)。あるいは、例えば、薬物を含むリザーバが、ステントの血液接触表面に係合する適切なフックまたは鉤を有する脚を備える場合には、改変されていないステントが、そのままで使用され得る。このようなステントを使用することの主要な利点は、フック/鉤によって付与される力が広い表面積に広がり、従って、カートリッジの移動の危険性を最小にすること、および脈管壁に対する損傷を回避しながら、カートリッジの繰り返しの移植/回収のための手段を提供することである。
【0048】
しかし、ロッキングヘッド(例えば、図4および5に示されるアンカー要素)を組み込む新たなアンカーが、本発明の要件により良好に適合するように設計され、そして製造することが、好ましい。アンカー要素は、合成物質または金属物質であり得る。好ましくは、アンカーは、軽量、強度および生体適合性に起因して、チタンから作製される。
【0049】
本発明の実施において有用な2つの好ましいアンカーが、図4および5に提供される。具体的には、図4は、図3に示されるアンカー要素をさらに詳細に示す。図4Aにおいて、アンカー10は、ヘッド14、およびこのヘッドから延びる複数の弾性の、代表的には金属製のレッグ16を備える。これらのレッグの、ヘッドから遠位の端部は、標的血管の内壁に係合するために外向きに配置された、フックまたは鉤12を備える。図4Bは、ロック機構18を組み込むヘッド14を断面で示し、この機構は、以下に詳細に記載されるように、相互ロック機構をリザーバに係合するために使用される。図4Cは、ヘッド14から半径方向に延びるレッグ16を、上平面図で示す。図4Aのフックまたは鉤12は、図2Aの第1の要素12に対応し、そして図4Aのヘッド14は、図2Aの第2の要素に対応する。図4Aのレッグ16は、第3の要素(フックまたは鉤)12を第2の要素(ヘッド)14に接続する、第3の要素に対応する。
【0050】
代替のアンカー設計が、図5に示される。図5Aにおいて、このアンカーは、ヘッド14、および一端におけるヘッド14から他端におけるステント12へと延びる、複数のレッグ16を備える。ステント12は、自己拡張可能ステントであり得るか、またはバルーンの補助によって展開され得るか、あるいは当該分野において公知の他の任意のステント設計であり得る。図5Bは、図5Bに示されるアンカーの断面図であり、そしてステント12、レッグ16、およびヘッド14、ならびにヘッド14に組み込まれるロック機構18の空間的関係を示す。以下に記載されるように、このロック機構は、リザーバの相互ロック機構を係合する。図5Cは、図5Aに示されるアンカーの上平面図であり、そしてヘッド14、レッグ16、およびステント12の間の空間的関係を示す。
【0051】
図4に示されるアンカーと図5に示されるアンカーとの間の主要な差異は、各アンカーが血管の内壁に接触および係合するように適合される様式である。図4に示されるアンカーにおいて、外向きに延びる鉤が、静脈の内側への移植のために好ましくあり得る。このシステムは、比較的低い静脈の血圧の利点を利用して、脈管と移植物との間の接触面積、および従って可能な負の相互作用を最小にする。他方で、図5に示されるアンカーにおいて、ステントは、動脈(すなわち、高圧の血管)内への移植のために好ましくあり得る。このシステムは、ステントと血管との間の大きな接触面積の利点を利用して、移植物に対して付与される流体力学的力が大きな表面積にわたって広がることを確実にし、これによって動脈壁の損傷またはアンカーの移動の可能性を最小にする。
【0052】
(リザーバ)
薬物送達リザーバは、血管内に固定され得、一旦移植されると、時間にわたって次第に薬物を体循環に放出する、任意の薬物含有要素であり得る。好ましい実施形態において、このリザーバは、ロック機構を介して、アンカーに適所にロックされる。選択される任意の薬物が、本発明のデバイスを使用して、脈管内送達され得ることが企図される。
【0053】
移植の際に、リザーバは、固定されたアンカーを介して適所にしっかりと保持される。適切な設計のリザーバが、アンカーの血流の上流に導入され得、このリザーバは次いで、アンカーとリザーバとの間の適切なロック機構の存在または非存在にかかわらず、予め移植されたアンカーによって受動的に捕捉されるまで、血流によって下流に移送される。しかし、好ましい実施形態において、アンカーおよびリザーバは、ロック機構に相互接続し、その結果、このリザーバは、アンカーによって適所にしっかりとロックされ得る。ロック機構を組みことは、アンカーの上流にリザーバを導入する要件を取り除き得る。従って、ロック機構を使用することにより、付与される流体力学的力と比較して重力が有意となる、より重いリザーバの移植が可能となる。ロック機構は、好ましくは、リザーバの捕捉および係合を可能にし、そしてリザーバの解放を可能にするように、設計される。
【0054】
干渉ばめ(interference fit)を有するか、または有さないかのいずれかで、メカニカルファスナー方法を介して、インサイチュで、このレザーバをアンカーに取り外し可能に装着する多数の方法が存在する。例えば、レザーバの外壁部分は、コンプライアント弾力性部材(例えば、片持ちばり、膨張可能なメッシュストランド、1個以上のバネが充填されたデバイスまたはレバーなど)によって形成されるアンカーに、穿孔またはカラーを有する半径方向干渉ばめを提供するような大きさであり得る。あるいは、またはさらに、このデバイスは、メカニカルファスナーの分野の当業者に公知であるように、雄部分および雌部分を有する、ポジティブメカニカルインターロックを備え得る。例としては、ネジ部材、差込み式保持ばめ、ラチェットトゥースロックラッチクランプ(ratchet tooth locking latch clamp)などが挙げられるが、これらに限定されない。このレザーバの装着および/または取り外しは、回転、転換、または回転と転換との組み合わせによって達成され得る。さらに、カテーテルは、構成される末端エフェクターを使用して、例えば、穿孔を一時的に膨張させること、壁を圧縮すること、ラッチを配置すること、クランプを開口または閉鎖すること、およびコンプライアント部材を把持することによって、装着および/または取り外しを容易にするために、レザーバおよび/またはアンカー上の構造を作動させ得る。
【0055】
本発明のデバイスは、種々の薬物を体循環に送達するために使用され得る。本発明のデバイスは、不安定な薬物(例えば、加水分解に対して感受性の薬物(例えば、プロスタサイクリン)、胃酸に不適合性の薬物(例えば、タンパク質)または薬物が標的部位に到達する前に組織によって代謝される薬物(例えば、初回通過代謝物))の投与において特に有用である。さらに、本発明のデバイスは、このデバイスが標的組織の上流に配置されるように、目的の組織への標的された薬物の送達(例えば、抗不整脈性薬物または抗凝固性薬物の心臓への投与、抗血栓性薬物の補綴への投与、標的された化学療法のための抗悪性腫瘍薬物の投与、および抗抑制薬物の器官移植片への投与)を提供し、これにより、低全身性レベルと同時に高い局所濃度を達成する。さらに、本発明のデバイスは、送達により高い局所濃度を生じる場合、毒性である薬物を投与するため(例えば、筋肉内注射を介して投与される場合、筋肉組織に対して有害である、バンコマイシンを送達するため)に使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、血液関連障害を処置する際に有用である薬物を送達するため(例えば、血友病の第VIIa因子、第VIII因子および第IX因子の投与のための)に使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、代表的に、内在するカテーテルを介して、投与される薬物を送達する(これにより、感染からの増加した安全性を提供する)ために使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、好ましくは、頻繁に(さらに連続的に)および/または厳密に制御された様式でおよび/または長期間で投与される薬物(例えば、インスリンまたは避妊薬)を送達するために使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、推奨される送達スケジュールに従うことが困難であり得る患者(例えば、若年の患者または老年の患者)に薬物を送達するために使用され得るか、またはこの患者にとって、薬物の投与が、生活の質を低下させ続ける。さらに、本発明のデバイスは、他の送達経路が、例えば、装置の条件、熟練の医療関係者の必要性および利用性、必要とされる入院、ならびに薬物のアベイラビリティーおよび処方のコストの観点から、魅力的でない薬物を送達するために使用され得る。
【0056】
本発明の薬物送達デバイスは、天然タンパク質または合成タンパク質の治療剤(例えば、ホルモン、ホルモンに対する活性因子、酵素、および抗体)の送達に有用であることが意図される。このデバイスは、例えば、以下を送達するために使用される:凝固障害(例えば、血友病または血栓形成性の状態)の治療のための、第VIIa因子、第VIII因子および第IX因子、プロテインC、およびプロテインS、または抗トロンビンIII;ホルモン置換治療のため(例えば、インシュリン依存性糖尿病または成長因子のため)のホルモン(例えば、インシュリンもしくはソマトトロピン)または(例えば、産児制限、受胎能、または前立腺癌もしくは子宮内膜症のような障害の処置のための)生殖性ホルモン;不充分な新規の合成または欠損酵素の合成に起因する、欠損機能を提供する酵素(例えば、肝疾患クリグラー−ナジャー欠損またはα1抗トリプシン欠損を処置するためのグルクロノシルトランスフェラーゼまたはα1抗トリプシン);代謝性障害(例えば、フェニルケトン尿症)を処置するためのフェニルアラニンヒドロキシラーゼのような酵素;ならびに免疫障害および炎症性障害を処置するための、モノクローナル抗体(例えば、インフリキシマブ(infliximab)およびトラスツズマブ(trastuzumab))またはポリクローナル抗体(例えば、抗胸腺細胞グロブリン)。
【0057】
本発明の薬物送達デバイスが、血管拡張特性および細胞保護特性を有する薬剤(例えば、プロスタグランジン)の送達、特に、一次肺性高血圧症の処置のためだけでなく、二次肺性高血圧症、末梢血管疾患、レーノー症候群、全身性硬化症、および器官損傷の処置のための、例えば、PGI2(エポプロステノール)およびそのアナログ(例えば、リポプロスト(イロメジン)およびユニプロスト(UT−15))の送達に有用であることが意図される(Badeschら(2000)ANNALS OF INTERNAL MEDICINE 132:425−434;Higenbottamら(1998)HEART 79:175−179)。
【0058】
本発明の薬物送達デバイスが、以下の送達において有用であることが意図される:強心薬を含む心血管系薬物(例えば、ドブタミン、ミルリノン、ドーパミン、アムリノンおよびエノキシモン)(例えば、Harjaiら(1997)CHEST 112:1298−1303;Oliviaら(1999)AMERICAN HEART JOURNAL 138:247−253;Sindoneら(1997)AMERICAN HEART JOURNAL 134−889−900;Cesarioら(1998)AMERICAN HEART JOURNAL 135:121−129);βブロッカー(例えば、メタプロロール、ビソプロロール、カルベジロール(Hjalmarsonら(2000)JAMA 283:1295−1302));利尿薬(例えば、トラセミドおよびフロセミド(Liguoriら(1999)EUR.J.PHARMACOL.55:117−124);抗不整脈性剤(例えば、アミオダロン(Deedwaniaら(1998)CIRCULATION 98:2574−9));血管拡張薬(例えば、ミノキシジルおよびニトロプルシド)(Masuyamaら(1990)J.AM.COLL.CARDIOL.16:1175−85);一酸化窒素発生剤(例えば、モルシドミン)(Lehmannら(1995)EUR.J.CLIN.PHARMACOL.48:109−114);血小板インヒビター(例えば、チロフィバン(tirofiban)、アブシキシマブ(abciximab)およびエピフィバチド(eptifibatide))(Heeschenら(1999)LANCET 354:1757−62);抗トロンビン剤および血栓崩壊剤(例えば、ワルファリン、プラスミノーゲン活性化因子(PA))(例えば、アルテプラーゼ(t−PA)およびリテプラーゼ(r−PA)、ならびにウロキナーゼ))(Li−Saw−Heeら(1998)CIRCULATION 98:2574−9);ならびに凝固薬剤(例えば、ヘパリンまたはヒルジン)(Meyerら(1994)CIRCULATION 90:2474−80)。
【0059】
本発明の薬物送達デバイスは、種々の細菌および/または真菌感染の処置のための、以下の送達において有用であることが意図される:抗生物質(例えば、ペニシリン(例えば、アンピシリン、メチシリン、ナフシリン)、セファロスポリン(例えば、セフェピム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフォニシドおよびセファゾリン)、アズトレオナム、イミペネム、バンコマイシン、クリンダマイシン、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、アミノグリコリド(例えば、ゲンタマイシン、カナマイシン)、キノロン類(例えば、テマフロキサシン、オフロキサシン)、メトロニダゾール、アンフォテンシンB)(例えば、PRICIPLES AND PRACTICE OF INFECTIOUS DISEASES,第4版,Mandell,G.L.,Bennett,J.E.およびDolin,R.編.Churchill Livingstone,1995;OUTPATIENT PARENTERAL ANTIBIOTIC THERAPY MANAGEMENT OF SERIOUS INFECTIONS PART II;AMENABLE INFECTIONS AND MODELS FOR DELIVERY,1993年1月26日および27日に開催されたシンポジウムの予稿集,Sonoma,California,Hospital Practice、シンポジウム補遺,第28巻、補遺2、HP Publishing Company)。
【0060】
本発明の薬物送達デバイスは、以下の送達を介して癌を処置するのに有用であることが意図される:抗腫瘍性薬物(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU))、チミジル酸シンターゼ(TS)を阻害すること、ならびにRNA合成およびRNA機能に干渉することによって広範な抗悪性腫瘍活性を達成するピリミジン代謝拮抗剤(Kimら(1999)INT.J.ONCOL.15:921−926;Okudaら(1999)ONCOL.REP.6:587−591);ならびに好ましくは特定の腫瘍に使用される薬剤(例えば、膵臓癌を処置するためのストレプトゾシン、エストロゲンレセプター陽性腫瘍(例えば、乳癌)を処置するためのタモキシフェン、肺癌を処置するためのトポテカン、および甲状腺癌を処置するためのヨウ化ナトリウム(131I))。
【0061】
本発明の薬物送達デバイスはまた、以下の送達に有用であることが意図される:中枢神経系剤(例えば、鎮痙薬(例えば、クロナゼパムもしくはホスフェニトイン);解熱薬または鎮痛薬(例えば、アセタミノフェン);抗片頭痛薬剤(例えば、イミトレックス);免疫調節化合物(例えば、抗TNF剤様エタネルセプト));あるいは免疫抑制剤(例えば、ミコフェノレート);抗免疫剤(例えば、インターフェロンγもしくはサイトカイン(例えば、インターロイキン−10(IL−10およびインターロイキン13(IL−13)));抗肥満剤(例えば、レプチン);抗高脂血症剤(例えば、HMG−CoAレダクターゼの競合インヒビター(例えば、アトロバスタチン));抗催吐薬(例えば、シサプリドおよびメトクロプラミド);ならびにキレート剤(例えば、鉄キレーターデスフェロキサミン)。
【0062】
別の実施形態において、このデバイスは、一体型のアンカーおよびレザーバを備える。このレザーバは、血管に移植する前または後に、薬物が充填され得る。このタイプの実施形態において、このレザーバは、例えば、1個以上のバーブ、ホック、またはステントを含む、レザーバをインタクトな血管の内壁に装着するための一体型の固定機構を備える。このようなデバイスのための例示的な設計は、例えば、本出願と同日に出願された、同時係属中の米国特許出願 (表題「Intravascular Blood Conditioning Device and Use Thereof」)(割り当てられた代理人整理番号NPH−005)において見出され得る。本明細書中に記載されるカートリッジが、本明細書中に記載されるレザーバと置換され得ることが、意図される。
【0063】
本発明の移植される持続性薬物送達デバイスは、長期にわたって(好ましくは、数週間の範囲(例えば、1週間、2週間、3週間または4週間)、より好ましくは数ヶ月の範囲(例えば、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月)、およびある場合において数年の範囲(例えば、1年、2年、3年、4年または5年))、予め選択された薬物を送達し得る。本発明の薬物送達デバイスは、治療有効量の薬物を、所望の期間にわたって体循環に送達する。さらに、本発明の薬物送達デバイスが1以上の薬物を体循環に同時に送達するために使用される。このレザーバは、代表的に、必要な量の薬物を適切な期間にわたって送達し得る内部体積(inner volume)を有する。この内部体積は、約10μL〜約30mL、より好ましくは、約25μL〜約10mL、そして最も好ましくは約50μL〜約2mLの範囲であり得る。
【0064】
本発明の実施に有用なレザーバは、薬物が、例えば、ポンプ作動を介して送達される活性送達系、あるいは薬物が、例えば、拡散および/または対流によって送達される受動送達系であり得る。2つのクラスのレザーバは、以下により詳細に記載される。
【0065】
(1.能動薬物送達)
能動的に薬剤を送達し得る2つの一般的クラスのレザーバとしては、ケミカルポンプおよびメカニカルポンプが挙げられる。
【0066】
((i)ケミカルポンプ)
図6は、従来のケミカルポンプを示す。従来のケミカルポンプは、市販され、そして浸透圧ポンプ(osmotic pump)を含み得る。動物の血管内に挿入するための寸法であり、そしてその環境において機能し得る任意の移植可能な浸透圧ポンプが、本発明の実施において使用され得ることが意図される。
【0067】
浸透圧送達システムは、市販され、そして本発明とともに使用するために適合され得る。例示的な市販の浸透圧ポンプは、商品名DUROS(登録商標)(Durect Corporation(Cupertino、CA)から市販される)、およびALZET(登録商標)(ALZA Scientific Products(Mountain View、CA)から市販される)として販売される。DUROS(登録商標)移植片は、例えば、一旦、インサイチュで移植されると、1年までの間、動物に予め選択された薬物を連続的に送達し得る。
【0068】
図6は、浸透圧ポンプに基づく例示的なレザーバ20を示す。浸透圧ポンプは、少なくとも部分的に、第1端部および第2端部を有する、チタン合金シリンダーのような壁61によって規定される。ポンプは、第1端部から第2端部へと、半透膜62、「浸透圧エンジン」63、ピストン64、予め選択された薬物65、および送達オリフィス66を備える。移植された場合、水が半透膜62を透過し、「浸透圧エンジン」63の膨潤を誘導する。操作の間、浸透圧エンジンは、膨潤する場合、ピストン64を第一端部から第2端部への方向に押し、これは、次いで、予め選択された薬物65を、送達オリフィス66を通し、血流へと押し出す。この型の浸透圧ポンプは、周囲の流体から薬物を遮蔽しながら、薬物を組み込みそして送達することを可能にするので、この型の浸透圧ポンプは、不安定な薬物(例えば、加水分解に感受性の薬物)を送達するために使用され得る。さらに、適切な膜および/または浸透圧エンジンを選択することによって、1週間〜1年より長い範囲の期間にわたって、薬物放出を延長させることが可能である。特に、現在入手可能なDUROS(登録商標)ポンプは、報告されるように、1日当たり0.5μLの低い速度で、200mgまでの予め選択された薬物を送達し得る。
【0069】
図6にさらに示されるように、レザーバ20は、必要に応じて、インターロック機構67を備え得る。例えば、インターロック機構は、アンカーの逆(reciprocal)インターロック機構に係合するDUROS(登録商標)ポンプに接続され得る。さらに、レザーバ20は、把握可能(seizable)要素68を備えるように適合され得、この要素は、レシピエントへのレザーバの導入および/またはレシピエントからのレザーバの除去を容易にするために、グラッバー要素によってつかまれ得る。操作の間、把握可能要素68の曝露された端面をつかむことによって、インターロック機構67の半径方向寸法が、アンカー上に配置される溝型の逆インターロック機構への係合および/または引き抜きを容易にするために圧縮され得る。
【0070】
別の実施形態において、レザーバ自体は、レザーバがインタクトな血管の内壁に結合または係合することを可能にするアンカーの構成成分を含むように適合され得る。例えば、レザーバは、それ自体、血管の内壁と係合するための、ステントまたはステント様機構またはバーブまたはフックを備え得る。従って、この型のレザーバ構成は、別のアンカーの必要性を除く。
【0071】
米国特許第4,685,918号は、低い水溶解度を有する薬剤を送達する際に有用な脂質ベースの浸透圧ポンプを開示する。このポンプは、取り囲む壁材料によって取り囲まれる活性薬剤、脂質キャリアおよび浸透圧剤の内側コアコンパートメントを含む。このコアは、体温において、脂質が流体状態になるかまたは流体状態であり、そして溶解した状態または懸濁した状態で活性薬剤を保持するという特性を有する。この壁は、浸透圧剤の水溶液よりもむしろ脂質によって湿潤される最も内側の層を有する1つ以上のポリマー層からなる。この壁は、水透過性の層から構成される。活性薬剤を含む脂質キャリアは、コアへの水の流入に基づく静水圧の蓄積(build up)の結果として、壁内の穴を介してシステムから放出される。
【0072】
米国特許第4,777,049号は、外部流体の通過に対して透過性であり、治療剤の通過に対して実質的に非浸透性である半透膜から形成される壁を含む浸透圧送達システムを開示する。この膜は、治療剤および調節剤を含むコンパートメントを規定する。外部流体の流入は、壁を通る通路を通し、そしてデバイスから出るように治療剤を押しやる静水圧を作り出す。
【0073】
米国特許第5,035,891は、徐放移植片を開示する。この移植片は、治療剤、固体親水性ポリマーの浸透圧剤、および治療剤を可溶化させる薬剤を取り囲む半透膜を含む。この膜は、治療剤に対して透過性であるが、可溶化剤に対しては透過性ではなく、従って、宿主に放出された場合、潜在的に有害であり得る可溶化剤を隔離するという利点を提供する。流体の流入により引き起こされる浸透圧の増加によって、治療剤が、デバイスから放出される。
【0074】
((ii)非ケミカルポンプ)
メカニカルポンプは、エキソビボおよびインビボにおいて首尾よく使用されている。例えば、移植可能な人工心臓の場合、メカニカルポンプは、不全なネイティブな器官の機能の代わりとなるために必要とされる高い血流速度を提供する。より最近では、血管の内側に一致する微小軸(microaxial)血液ポンプは、疾患のある組織を通る血液の流れを増強し得る。例えば、微小軸血液ポンプが、肝硬変を患う患者の肝臓血液灌流を増強するために、門脈に移植され得ることを研究は示唆する(Marseilleら(1998)ARTIF.ORGANS 22:458)。
【0075】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術における最近の進歩は、移植(例えば、米国特許第5,788,468号を参照のこと)を含む、種々の適用における使用のためのマイクロポンプの開発を導いた。2mm未満の直径のサイズのマイクロポンプは、すでに市販されている。このような寸法は、上記浸透圧ポンプシステムの代わりに、移植可能な脈管内薬物送達デバイスにおけるマイクロポンプの使用を可能にする。これらのマイクロポンプは、内径が約3.5mmである12Frenchのカテーテルのような標準的なカテーテルを用いて移植され得る薬物送達カートリッジにパッケージされるほど十分に小さい。同時に、これらのマイクロポンプは、脈管内薬物送達システムの最も大きなサイズについてさえ、薬物送達を駆動するのに十分な出力を有する。マイクロポンプは、例えば、血管を通るアンカーへの有線接続を介して、または好ましくは、電磁結合または無線周波リンクを通してのように無線で、外部エネルギー源から電力を得ることができる(例えば、米国特許第4,102,344号;同第4,408,608号;同第4,673,391号;および同第6,099,495号を参照のこと)。
【0076】
あるいは、このポンプは、自立型(self−sustained)であり得、例えば、マイクロモーター、起動弁およびこれらの操作に必要とされる電源を備える。このポンプは、例えば、酸化銀電池のような小さなエネルギー電池によって、またはカートリッジを取り囲む水力学的な環境から電気を生成する変換器要素(磁気または圧電気)によって、電力供給され得る(例えば、米国特許第3,943,936号を参照のこと)。マイクロモーターは、一定速度で回転され得、それによって、薬物を一定速度で送達し、浸透圧ポンプのゼロ次応答特性を模倣する。さらに、マイクロチップを使用してマイクロモーターを制御し得、これによって、高い融通性の薬物送達ポンプを得ることができる。マイクロチップは、薬物が、例えば、経時に投薬量を次第に増加させる/次第に減少させることによって、または異なる時間に異なる量で送達することによって、所望の時間送達プロフィールに従って送達されるように、予めプログラムされ得る。あるいは、マイクロチップは、例えば、グルコースレベルに応答してインスリンを送達するために、移植可能なマイクロセンサによって提供される入力に応答するようにプログラムされ得るか、または例えば、処置レジメンに対する患者の特定の応答に従って、無線周波数またはIRシグナルによって外部的に制御され得る(例えば、WO99/55360を参照のこと)。
【0077】
さらに、このデバイスが、アンカー、ならびに体循環における特定の分子(例えば、インスリン)の存在および/または濃度を検出するためのマイクロセンサ(レザーバの代わりまたはレザーバに加えて)を備え得ることが意図される。従って、このようなデバイスは、アンカーを介して血管内に固定されるマイクロセンサを備える。次いで、マイクロセンサから誘導される情報は、必要とされる医療用機器および/または人員による分析のために体外部位に中継され得るか、あるいは、脈管外または脈管内でアンカーと関連する薬物送達デバイスを制御するために使用され得る。
【0078】
図6を参照すると、メカニカルマイクロポンプ駆動の薬物送達レザーバは、膜62の代わりにバッテリー、ならびにプリント回路およびマイクロモータ/ギアヘッドを備え、浸透圧エンジン63を置換し得る。直径が2mm未満の小型モーターは、既に開発され、そして当該分野で急速に発達している。適切なマイクロモータは、例えば、RMB Miniature Bearings,Inc.,Ringwood,NJまたはMicroMo Electronics,Inc.、Clearwater、FLから市販されている。
【0079】
モータは、市販のバッテリーシステム(例えば、小型電子デバイス中に見出される、高密度、高安定性の酸化銀ボタンセル)を電源とし得る。電源は、レザーバの統合された構成要素として組み込まれ得る。レザーバは、バッテリーを消費した場合に全体として置き換えられる必要があるが、酸化銀セルの能力は、代表的な薬物送達適用のエネルギー要求性をかなり超える。あるいは、このモーターの駆動するための電源は、ホック(これを介して、アンカーが血管の管腔に取り付けられる)に接続するマイクロワイヤを通して、血管に対して外側の大容量バッテリーによって提供され得る。
【0080】
さらに、他のメカニカルマイクロポンプもまた、本発明の実施において有用であり得る。例えば、マイクロモーター/ピストンアセンブリが、圧電性マイクロポンプによって置換され得、それによって流体は、電気的刺激に応答した固体膜の移動によってポンプされる(例えば、米国特許第4,938,742を参照のこと)。あるいは、レザーバから血流に薬物をポンプするために必要とされる駆動力は、圧電性流体によって提供され得る。所望の薬物放出プロフィールは、発動されるマイクロバルブへの電圧供給を制御するマイクロチップ中にプログラムされ得る(例えば、米国特許第4,938,742号に記載されるような、圧電性バルプ)。さらに、米国特許第5,368,588号は、流体医薬で充填されたレザーバを含む非経口流体医薬ポンプを開示する。薬物の連続的な放出が、薬物レザーバを取り囲む収縮ポリマー壁内での、力の軽減によって達成される。
【0081】
従って、浸透圧、化学的な力、電気、磁石、圧力、流体力学的な力、または他の物理的な力によって駆動されるか否かにかかわらず、動物の脈管系における使用に適した任意の移植可能ポンプが使用され得ることが、意図される。
【0082】
(2.受動的薬物送達)
このレザーバはまた、薬物を受動的に体循環に放出し得る。1つの実施形態において、このレザーバは、予め選択された薬物を含むカプセルである。次いでこの薬物は、カプセルの外に出てカプセルの周りを循環する血液中に拡散し得る。カプセルを出る薬物の輸送はさらに、カプセルの内部の対流電流(例えば、限外濾過電流)によって促進され得る。対流輸送は、所望される薬物送達動力学をカプセルに与え得る。このカプセルは、薬物処方剤の包含を容易にし、従って、カプセルの処理特徴および/または充填特徴を改善し、そして薬物粒子の損失および塞栓の形成を回避する。このカプセルは、単一の中空ファイバーまたは複数の中空ファイバーのいずれかを含み得る。
【0083】
(i)薬物処方
受動的薬物送達を達成するために、予め選択した薬物を、長期間にわたる継続した薬物送達を促進するように、処方し得る。異なる処方としては、例えば、(i)薬物が長期間にわたって拡散するポリマー膜内に薬物をカプセル化する工程、(ii)薬物放出時間にわたって破壊するリポソーム内に薬物をカプセル化する工程、(iii)マトリックスポリマーを介して均等に薬物を分配し、それによって薬物が、拡散および/またはポリマーの侵食の結果として、マトリックスから放出される工程;ならびに(iv)ポリマーが薬物を放出する時間にわたって分解する、ポリマー−薬物結合体を形成する工程が挙げられる(例えば、Langer(1998)NATURE 392、補遺5〜10を参照のこと)。
【0084】
いくつかの実施形態において、薬物は、固体または半固体内(ゲル様支持体)に固定される。例えば、薬物は、ポリマー製ケース内に入れられ得、ここから、薬物は、長期間かけてゆっくりと浸出する。別の実施形態において、薬物は、化学的な力または物理的な力を介して、生分解性固体支持体と強く会合する。このような場合、放出速度は、例えば、ポリマーの分解速度に依存する。
【0085】
図7Aは、溶液または懸濁液のいずれかの中に薬物を含む内部容量72を規定する、半透過膜71を含む、例示的なカプセルを示す。この実施形態において、薬物の放出は、膜71の孔を介した薬物の拡散速度によって制御され、次に、膜と薬物と溶媒との間の相互作用によって制御され、そして膜の厚み、有孔性、孔の大きさ、およびねじれなどの膜輸送特徴によって制御される。膜はさらに、生体侵食性であり得、その結果、時間が経つにつれ膜の厚みが少なくなり、そして/または膜の有孔性が増大し、それによって薬物の拡散を増大する。従って、カプセル内部の薬物濃度を低減することは、薬物送達速度を維持するための有孔性の増大によって補われ得る。
【0086】
複合体固定化マトリクスはまた、固定を制御する速度をシフトするために使用され得、従って、薬物放出速度における所望の変化を達成する。図7Bは、別の例示的なカプセルを示し、これによって、半透過膜71は、内部容量72を規定する。しかし、半浸透膜71は、不浸透性であるが分解可能な層73によって取り囲まれる。このシステムの配置は、遅延した期間(lag phase)(この間に、不浸透性層73が分解される)の後の、薬物の徐放をもたらす。カプセルの不浸透性層73が侵食されるまで(その段階で、そのシステムは、図7Aに示されるシステムによって達成される薬物放出動力学を生じる)、薬物の放出はない。不浸透性層の材料および厚みを変えることによって、薬物放出の遅延時間を制御することが可能である。
【0087】
他の実施形態において、薬物は、半浸透性マイクロカプセル内に入れられ得、この半浸透性マイクロカプセルもまた浸透性流体を含む。この場合、薬物は、カプセルから出ることを妨げられる。対照的に、水は、そのカプセルに入ることができ、それによって、カプセルの内部圧を、そのカプセルが破裂してカプセルの内容物を放出する点まで上げ、それによって薬物のボーラス送達を刺激する。この場合の薬物送達の動力学は、浸透圧、カプセルの破裂強度、カートリッジを介した水の拡散速度、およびカプセルの中に含まれる薬物の量に依存する。ボーラス薬物送達がカプセルの大きさ、厚みおよび材料、浸透性流体および薬物濃度を変化させることによって、異なる時間で生じる薬物送達プロフィールを、当業者が達成し得ることが、意図される。
【0088】
他の実施形態において、薬物は、外部刺激に応答して薬物を放出するポリマーと関連し得る。例えば、ポリマーは磁性マイクロビーズを含み得、その結果、ポリマーが体外供給源の振動磁場に曝露される場合、ビーズの移動は、ポリマーの輸送特徴を変更し、それによって、必要とされる薬物を送達する。超音波、電流、pH、温度、または生体分子(例えば、当該分野で公知のグルコース)の局所濃度に応答した他のポリマーシステムが、本発明の実施において有用であり得る(例えば、米国特許第6,099,864号を参照のこと)。
【0089】
他の実施形態において、薬物は、薬物放出動力学のより正確な制御を提供するマイクロ電気機械システム(MEMS)と関連し得る。例えば、図7Bに示される薬物処方剤の微視的バージョンは、マイクロチップ上に配置され得、それによって不浸透性であるが分解可能であるポリマー層73の機能は、マイクロチップで制御された電流の適用によって必要に応じて分解する、金属製カバー層によって置換され得る(例えば、米国特許第5,797,898号に記載される)。その結果、薬物は拡散または伝達によって受動的輸送が利用可能になる。
【0090】
上記手段の組み合わせが、所望の薬物放出動力学を達成するために使用され得る。
【0091】
(ii)膜
好ましいカプセルを作製する際に有用な膜は、レザーバから出て体循環に入る予め選択された薬物分子の、拡散および/または伝達による選択的な輸送を可能にするような大きさにされた孔を有する半浸透材料から作製される。膜は、薬物処方粒子または薬物処方マイクロカプセルではない薬物が体循環中に放出されることを可能にするように選択される。必要に応じて、膜は、例えば、マクロファージまたはリンパ球のような宿主免疫細胞(これらは、レザーバの内部に侵入した場合、予め選択した薬物の寿命に有害であり得る)の流入を防ぐように設計される。
【0092】
膜は、生体適合性ポリマーから作製され得、生体適合性ポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタンイソシアネート、アルギネート、酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリアリールエート(polyarylate)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、またはこれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。市販の中空繊維膜の要約(製造方法および市販の供給源の名前を含む)は、Radovich(1995)「Dialysis Membranes:Structure and Predictions」Contrib Nephrol.,Basel,Karger,113:11−24に示される。血流に予め選択した薬物の所望のレベルを生成するのに十分な薬物が単一の中空繊維に埋め込まれえる場合、本発明のカプセルは、好ましくは、単一中空繊維を含む。あるいは、必要量の薬物が単一中空繊維に取り込まれ得ない場合、薬物は複数の中空繊維に配置され得る。
【0093】
さらに、カプセルの性能は、半透過性膜に対するフィブリンおよび/または血小板の沈着、あるいは半透過性膜周辺の血栓形成を減少させることによって増強され得ることが企図される。カプセルおよび/または中空繊維の表面に接触している血液に対する、過剰のフィブリンおよび血小板の沈着、あるいはそれらの血液周辺の血栓形成は、さらなる境界層状態を生じ得、これが、周辺の血流への薬物の拡散に影響を及ぼす。この問題は、血液と接触する材料の生体適合性を改善するための方法(先に記載した)に従って、膜の血液適合性を改善することによって解決され得る。
【0094】
多くの適用について、レザーバサイズは、例えば、原発性肺高血圧症の処置のためのプロスタサイクリンの投与または前立腺癌を処置するためのロイプロリドの送達を制限しないが、他の可能性のある適用は、多量の薬物の投与を必要とする。このような適用は、頻繁なレザーバの交換または少ない頻度でのより大きい薬物送達カートリッジを移植する代替的手段を必要とする。あるいは、空のレザーバが移植され得、次いで、インサイチュで薬物が充填され得る。空のカートリッジのサイズは、移植され得るように十分に小さいが、薬物の充填時に、そのカートリッジは、より大きいサイズに拡大する。
【0095】
図8は、本発明の実施において有用な、2つの例示的な空のレザーバを示す。図8Aは、固体支持フレーム82(例えば、穿孔処理された管状フレーム)の周辺に取り付けられた可撓性の透過性膜81を備える、レザーバ20を例示する。レザーバの長さは、空または充填に拘わらず固定されるが、その直径は、空の場合には、実質的に支持フレームの直径であるが、バルーンのように、その直径は、充填された場合に、可撓性の膜の表面積および弾性によって規定される直径に増加する。レザーバはさらに、中隔83を備え、これは、レザーバの内容量をシールするが、一旦インサイチュに配置されると、レザーバへの薬物の充填を可能にする。図8Bは、第2の例示的な、固体支持フレームを欠いている空のレザーバを示す。この型のレザーバにおいて、空のカートリッジ20の膜81は、レザーバの少なくとも固体部分によって規定される空洞内に折り畳まれ、そしてレザーバの内側の容量のインサイチュ充填中に生じる陽圧に起因して、空洞から外側に放出される。この場合、膜の材料および寸法は、充填時に、膜が、バルーンのように、球状よりもむしろ所望の細長い形状想定し、そして必要とされる長さを維持するように、選択されなければならない。
【0096】
(アンカーおよびレザーバの生体適合性)
本発明のデバイスは、その周辺の血液の通過が損なわれないのを可能にするように、そしてそのデバイスに対する、宿主によって誘発される血栓形成応答または補体応答の可能性を減少するように、設計される。従って、デバイスのサイズは、それが移植される血管のサイズに依存する。例えば、薬物送達デバイスのレザーバのサイズは、4cmの直径を有する大静脈に移植される場合、好ましくは、直径2cm未満であり、血管の断面積の約75%を血液が流れるのを可能にしたままにする。レザーバは、例えば、レザーバの周辺の血流を最適化することによって、長期間の性能を増強するように適合され得る。従って、このような設計は、レザーバの表面に接触する血液上への血小板の付着および/または血栓および血餅の形成、あるいは狭窄を予防するのに適切な、カプセル周辺の剪断レベルを提供する。
【0097】
異なる形状を有する種々のレザーバが、本発明の実施において有用であり得る。好ましいレザーバを、実施例2に詳細に説明する。好ましい形状は、移植された血管内レザーバを通過する血液における乱れを最小化するように設計される。レザーバの上流端の形状は、レザーバの下流端の形状よりも重要ではないようである。詳細には、レザーバの下流端は、ウェーク効果を最小化するようにその頂端に対してテーパ状である。しかし、レザーバの上流端についての種々の形状は、カートリッジ周辺への血液の流れを向けるために流れ指向部材を使用することが有利であり得る、特定の状況下で、使用され得る。流れ指向部材は、円錐形状であり得、この部材の頂部が、レザーバに対して上流に配置され、そしてこの部材の基部が、レザーバに対して下流に配置される。
【0098】
さらに、デバイスの性能が、血液と接触するデバイス材料の全て(これらが、薬物送達レザーバの部分であるかまたはアンカーであるかに拘わらず)の生体適合性を改善することによって増強され得ることが企図される。この点において、多くのアプローチが、体循環中に配置される生体材料の血液適合性を改善するために開発されてきた(例えば、Ishihara(1993)「Blood compatible polymers」、Biomedical Applications of Polymeric Materials、Tsuruta T.、Hayashi T.、Kataoka K.、Ishihara K.、Kimura Y.(編)、CRC Press、Boca Raton、FLを参照のこと)。これらの努力には、以下が挙げられる:材料の親水性を増加することによるタンパク質吸着の排除、疎水性を増加することによる血液−材料界面の減少、レザーバの表面上への微小相分離を組み込むことによる血小板の接着および活性化の阻害、血管の表面特性を真似る高度に可動性の親水性部分および負電荷の組み込み、または、生物学的系(例えば、凝固系)の反応カスケードを阻害するための表面上への生物学的に活性な分子の組み込み。後者は、最も広く開発されたアプローチであり、これによって、ヘパリンが、生体材料中に組み込まれ、生体材料の表面上の局所的抗凝固活性を達成し得る。例えば、Duraflo IIヘパリン膜(Bentley Labs、Baxter Healthcare Corporation、Irvine、California)は、膜のコートされた表面上にヘパリンの層を含み、これは、少なくとも数日間効果的である。例えば、Hsu(1991)Perfusion 6:209−219;Tongら(1992)ASAIO Journal 38:M702−M706を参照のこと。さらに、亜硝酸中でのヘパリンの分解によって調製されるヘパリンのフラグメントは、ヘパリンの末端付着によって、ポリエチレンイミンポリマーコートに共有結合され得る(Larmら、(1983)Biomat.Med.Dev.Art Organs 11(2&3):161−173、Larssonら(1987)Ann N.Y.Acad.Sci.516:102−115)。このプロセスは、数ヶ月間生体材料の表面上で有効な抗凝固剤活性を提供することが示されている(Larssonら(前出))。レザーバの血液接触表面のヘパリン化は、フィブリンおよび血小板の沈着ならびに/または血栓形成を最小化し得ることが企図される。
【0099】
得られたレザーバは、その後、単独でか、または血液透過性要素と組み合わせて中空繊維の束として、レシピエントの血管系へ移植され得る。移植のための方法を、以下に議論する。
【0100】
(デバイスの移植)
本発明のデバイスは、非侵襲性または最小侵襲性の外科手順によって、宿主の血管系へ挿入され得る。より詳細には、本発明のデバイスは、種々のカテーテルベースのデバイス(例えば、血管系内へステントおよび血餅移動防止フィルターを移植するために開発されたデバイス)によって導入され得ることが企図される。
【0101】
例えば、米国特許第3,952,747号、同第5,147,379号および同第5,415,630号、ならびに国際特許出願PCT/US92/08366は、レシピエントの血管系内への血餅移動防止フィルターの移植のためのカテーテルベースのデバイスおよび方法を記載する。代表的には、カテーテルベースのフィルター挿入装置は、以下を備える:収縮されたコンパクトな状態で血餅移動防止フィルターを支持するためのキャリア;予め選択された部位でフィルターを射出するために、通常、キャリア中に配置される、射出器機構;およびその予め選択された位置へ血管に沿ってキャリアを進ませるための、キャリアに連結された、細長い可撓性の管。一旦、血管中の好ましい位置に導入されると、フィルターは、キャリアから射出される。自己開口および自己移植フィルターを使用する場合、フィルターは、キャリアから簡単に射出され、その際、フィルターは、それ自体を血管の壁に係留させる。しかし、手動で開口されそして係留されるフィルターを使用する場合、挿入装置は、このような開口および係留工程をもたらすためのさらなる手段を含み得る。
【0102】
フィルターは、代表的に、経皮穿孔によって内頸静脈または大腿静脈を介して挿入される。経皮挿入の間、および従来の大静脈造影後、内頸静脈または大腿静脈を針で穿孔し、そしてその針を介してガイドワイヤを血管内に挿入する。次いで、組み合わせのシース/拡張器ユニットを、シースの端が移植部位を越えて位置されるまで、ガイドワイヤにわたって静脈内に押し込める。シースを定置に維持しながら、拡張器およびガイドワイヤを除去し、その後、シースが残される。シースは、導入カテーテルの挿入を可能にするアクセスとして作用し、この導入カテーテルは、フィルターを保持するキャリアを備える。シースを、滅菌ヘパリン化生理食塩水でフラッシュして、導入カテーテルの挿入中に生じ得るシース内の潜在的な血栓形成を防止する。導入カテーテルを、フィルターキャリアカプセルの先端が移植部位に隣接して配置されるまで、シース内に進める(ただし、シースの端を越えない)。次いで、シースを、キャリアカプセルが完全に露出されるまで、導入カテーテル上へ引っ込める。次いで、フィルターを、押し出し機構によってキャリアカプセル外に押し出し、その際に、フィルターの脚が、外側に飛び出し、そして血管の内壁と係合し、それによって、フィルターを定置に係留する。アンカーは、同様の手順に従って、当業者によって移植され得ることが、企図される。一旦、アンカーが、血管内に射出されそして係留されると、予め選択された薬物を含む薬物送達カートリッジも同様に、アンカーの上流の位置にて血管内に同じカテーテルを介して導入され得る。相補的なロック機構の機能を有するアンカーおよび薬物送達カートリッジ要素の使用は、アンカーのいずれかの部位からの薬物送達カートリッジの送達をさらに可能にする。次いで、導入カテーテルが、シースを介して血管から除去され得る。一旦、導入カテーテルが除去されると、シースもまた除去され、そしてその穿孔部位は、恒常性が達成されるまで圧縮される。
【0103】
ステントを移植するための手順は、特に、自己拡張ステントの場合に、上記と同様の工程に従う。自己拡張型でないステントの場合、その手順は、さらなる工程を必要とし、例えば、代表的には、バルーン型のカテーテルを使用して、収縮されたステントを拡張させる。バルーンを、最初に拡張して、カテーテルを拡張し、次いで、収縮させて、そのバルーン型のカテーテルの引き抜きを可能にする。種々のステント設計および配置手順が、開発されており、当業者に公知である。例示的なステント設計および対応する移植手順は、例えば、米国特許第4,655,771号;同第5,071,407号;同第5,078,720号;同第6,113,608号;同第5,792,172号;同第5,836,965号;同第6,113,62号;同第6,123,723号および同第6,136,011号に開示される。
【0104】
一旦、インサイチュで固定されると、このレザーバは、血管中に導入され得、そして図9に例示されるように、固定されたアンカーに固定される。血流の方向は、矢印により示される。図9Aは、血管の内壁32に固定されたアンカー10を示す。この断面図は、インターロック機構18を備えるレセプタクル14を示す。図9Bは、固定されたアンカー10に対する挿入カテーテル40を示す。図9Cは、グラビング要素42によりカテーテル40に沿って送達されているレザーバ20を示す。一旦、適所に配置されると、このグラビング要素42はこのレザーバ20を解放し、そして拡大したレザーバ固定部材は、レザーバ20上のインターロック機構がアンカーのインターロック機構18と対になり、そしてこのインターロック機構18と係合するまで、延びる。一旦、レザーバ20が係合されると、このグラビング要素42は、引っ込められる。その後、固定されたアンカー10および薬物送達デバイスのレザーバ20の要素を適所に残したまま、挿入カテーテル40が引き抜かれる(図9D)。合併症の場合または治療の終了時にレザーバを取り出すため、または最終的には、このレザーバを、連続的および/または改変された治療のための同じかまたは異なる薬物処方物を含む新しいレザーバと交換するために、この手順は逆にされ得る。さらに、上記の移植および/または回収手順は、融通がきき、そして広範なアンカーおよび/またはレザーバ(例えば、薬物分散もしくは対流に基づくレザーバ)、または能動薬物送達(例えば、浸透圧および/または電気機械的ポンプによって)と共に使用され得る。
【0105】
レザーバが空であり、インサイチュで固定されると、このレザーバが薬物で満たされる、類似の手順もまた使用され得る。図10は、インサイチュでレザーバに薬物を充填するための例示的なプロトコルを例示する。図10Aは、血管の内壁32に固定されたアンカー10、およびこのアンカーに係合された空のレザーバ20を例示する。挿入カテーテルは、アンカー10およびレザーバ20に対して空間的な関係で示される。図10Bは、挿入カテーテル40内に配置された導管50を例示する。この導管は、一端において、レザーバ中に薬物を導入するための充填デバイスを有し、他方の端において、この導管は血管外または体外のレザーバ52に連結される。導管50の端部における充填デバイスは、例えば、レザーバ中に配置されたゴム隔壁を穿孔し得るシリンジ針(これを通して薬物がレザーバ中に導入され得る)を備え得る。重力または外部ポンプは、薬物懸濁液を、血管外または体外レザーバ52からレザーバ20へ送達するために使用され得る。図10Cは、一旦、レザーバ20が薬物で満たされると、導管50がカテーテル40を通して引っ込められ得ることを示す。導管50が引き出された後に、カテーテル40が、薬物送達デバイスを薬物送達のためにインサイチュに残したまま、引っ込められ得る。
【0106】
あるいは、レザーバは、インサイチュで、血管外要素(例えば、レザーバ、ポンプおよび/または血管アクセスポート)により薬物を再充填され得る。この血管外要素は、導管を介して血管内レザーバに連結され、そしてこの血管内レザーバと流体連絡する。この導管は、一端でアンカーが付随したレザーバに連結され、そして他方の端で血管外要素と連結される。この血管外要素は、体内に位置しても体外に位置していてもよいが、好ましい実施形態において、この血管外要素は、体内に位置し、より好ましくは、皮下に位置する。この血管外要素は、例えば、薬物の注射によって、定期的に再充填され得る。次いで、この薬物は、アンカーが付随した血管内レザーバ中に流れ、そしてこの血管内レザーバを再び満たす。この血管外要素がポンプである場合、血管外の体内ポンプは、アンカーが付随した血管内レザーバに薬物を移し、そして/またはこの薬物を貯蔵するために使用され得る(例えば、ポンプが固有のレザーバを有する場合)。これらの実施形態により、アンカーと付随した血管内レザーバは、例えば、薬物を血管外要素に皮下注射することによって、容易に再充填され得る。この再充填は、例えば、約1ヶ月〜約3ヶ月の期間の間、ほぼ毎日〜ほぼ4週毎に行われ得る。
【0107】
また、別の実施形態において、別個の血管内レザーバは、アンカーと密接に関係しない。しかし、血管外要素(例えば、レザーバ、その固有のレザーバを有するかまたは有さないポンプ、および/または血管アクセスポート)は、アンカーが位置する血管中に侵入する導管と連結され、そしてこの導管と流体連絡する。この導管の一部は、アンカーによって適所に保持され、そして薬物は、この導管中の開口部から血流に直接排出される。この血管外要素は、例えば、薬物の皮下注射によって、再充填される。このシステムは、血管内レザーバを使用せず、薬物を血管に供給するための血管外要素に頼る。さらに、例えば、導管を適所に縫合するために、この導管の端部への外科的アクセスが必要ではない。あるいは、別個のアンカーを使用する代わりに、導管は、この導管を血管に取り付けるための一体的係合手段(例えば、フック、バーブまたはステント)を備え得る。これらの例の各々において、アンカーまたは係合手段は、導管を血管内に固定し、そして血管壁との接触を最小限にする。好ましい実施形態において、導管の出口は、この出口が血管の管腔の中央付近に位置するように固定される。
【0108】
しかし、デバイスの体循環内の移植のために好ましい位置は、このデバイスの意図される用途に依存し得ることが理解される。例えば、いくつかの状況に置いて、デバイスを大腿静脈または頸静脈を介して導入し、次いで天然の静脈(例えば、下大静脈、上大静脈、門脈または腎静脈)内の位置にアンカーを固定することが望まれ得ることが企図される。しかし、臨床的状況に基づいて、医師は、ケースバイケースで、デバイスを導入するための最適な様式、ならびにデバイスを固定するための最適な位置を決定し得ることが理解される。このような判断は、当業者の技能内であることが意図される。
【0109】
本発明の実施は、以下の実施例からなおさらに十分に理解され、以下の実施例は、例示のみのために本明細書中に示され、いずれの様式でも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0110】
(実施例1.移植研究)
本発明の血管内薬物送達デバイスの機能性を試験するために、研究を行った。これらの研究を、カテーテル送達系を使用して、静脈切開を介してイヌの大静脈へデバイスを移植することによって行った。このデバイスに起因する負の効果は、観察されなかった。この動物の健康状態は、研究期間(21日)中に損なわれなかった。さらに、移植は、研究期間中に、大静脈の開存性も他の血管の開存性も損なわなかった。さらに、デバイス自体は、インタクトなまま維持され、そして移植部位に(ずれも移動もなく)存在したままであった。デバイスからの薬物放出もまた、蛍光標識した化合物を使用してインビボで確認した。
【0111】
デバイスを、薬物送達カートリッジ(すなわち、レザーバ)をアンカーと組み合わせることによって構築した。これらのデバイスは、図3Aおよび3Bに記載のデバイスに類似した。さらに、これらのデバイスは、カートリッジレザーバとアンカーとの間に流れディレクタをさらに備えた。この実験は、血管内移植片と宿主動物との間の相補作用に焦点を当てたので、カートリッジレザーバを、連結系を介してよりむしろ、アンカーに永久的に固定した。同じ理由で、デバイスを、経皮送達系を使用するよりもむしろ、静脈切開を介して動物に移植した。
【0112】
これらのデバイスを、モデル薬物送達カートリッジレザーバとして、ALZA Scientific Products(Mountain View、CA)から市販される、ALZET(登録商標)浸透圧ミニポンプを使用して構築した。ALZET(登録商標)モデル番号1002(0.25μL/hで2週間送達し得る微小浸透圧ポンプ)を、本研究に使用した。このカートリッジレザーバを、迅速に硬化するエチルシアノアクリレート接着剤(Insta−Cure 3SI−1(BSI、Atascadero、CAから入手可能))で、アンカーアセンブリに固定した。アンカーへのカートリッジレザーバの連結部は、0.25インチ直径のPTFEロッドから機械加工した流れディレクタを用いて流線型化した。この流れディレクタは、アンカーの頭部上をスライドし、そして摩擦ばめを介してその位置に維持された。さらに、流れディレクタは、ほぼ円錐状の形状を有し、これは、このデバイスがインサイチュで移植された場合に上流に位置されるよう構築された細い部分と、このデバイスがインサイチュで移植された場合に下流に位置されるよう構築された幅広の部分とを有する。この円錐形状は、この流れディレクタが、カートリッジレザーバ周辺での血液の流れを指向するのを可能にする。この流れディレクタをまた、カートリッジレザーバの凸型表面に相補的な凹型表面を提供して、カートリッジレザーバにためのレセプタクルを提供し、良好なフィットおよび構成要素間のシールを可能にするように、幅広すなわち底部の端を機械加工した。アンカーは、市販の血餅抗凝固フィルター(Greenfield(登録商標)フィルター)、または医療グレードの0.015インチのステンレス鋼(316L)ワイヤで構築された、同様の直線縁(straight−limb)フィルターの、いずれかであった。例えば、1つのデバイスを、アンカーとして12−F Greenfield(登録商標)フィルターを用い、カートリッジレザーバとして微小浸透圧ポンプを用いて構築した。これらの2つの構成要素を、テフロン(登録商標)製の流れディレクタと接続した。
【0113】
構築の間、アンカーおよび流れディレクタを、エチレンオキシドで滅菌し、その後、カートリッジレザーバを固定した。このカートリッジレザーバは、滅菌状態で購入した。このカートリッジに、送達される薬剤の滅菌溶液または懸濁液を充填し、そして層状のフローフード下で、無菌状態で構築した。次いで、充填されたカートリッジレザーバを、滅菌した瞬間接着剤を用いてアンカーに固定し、そして完全なデバイスアセンブリを、送達カテーテル内(5/16インチの内径および1/32インチの壁厚を有する滅菌PTFEチューブ)に配置した。カテーテルのサイズを、それが、試験動物(イヌ)の大静脈内に容易にフィットしつつ、なお、このデバイスを適応させ、プランジャーによって押された場合にそのカテーテルを通ってデバイスが滑り出すのを可能にするよう、選択した。
【0114】
大きいイヌ(体重約30kg)を、移植手順に使用した。手術の前に、これらの動物を、水を自由に提供して、一晩絶食させた。手術前に、これらのイヌに、0.2mg/kgのブタフェノール、0.05mg/kgのアセプロマジン、および0.01mg/kgのグリコピロレートを、前麻酔剤として注射した。次いで、これらの動物を、200mgのペントタールの静脈内投与で麻酔し、挿管し、そして2%イソフルラン(バランス酸素)で麻酔下に維持した。
【0115】
大静脈を露出させた後、腎臓の動脈および動脈を、単離しそして閉塞させた。即座に、大静脈に交差クランプを留めて流れを妨げ、そして部分的な静脈切開を行った。このデバイスを含む送達カテーテルを、その開口部を介して大静脈に挿入した。このデバイスを、カートリッジレザーバが下流に面するように、配置した。その後、このデバイスを、プランジャーの補助によって、カテーテルの内側に押し出した。カテーテルからデバイスが出た後、アンカーが傘状に拡張し、血管壁を係留した。次いで、プランジャーとカテーテルを引き抜き、移植されたデバイスをインサイチュに残した。次いで、この大静脈部分を、5.0プロリン縫合糸で閉じた。このクランプおよびタイを取り出し、そして出血について注意深く検査した後、2−0Vicryl縫合糸を有する三層閉鎖物を使用して、腹腔を閉じた。手術後に、動物に、0.02mgのBupernex(鎮痛のため)、ならびに800mgのBacterim、抗生物質を、一日二回を投与して、感染を予防した。回復後、これらの動物をそれらのケージに戻した。この研究に使用したALZET(登録商標)ポンプの寿命(21日)は、移植期間の上限を提供した。
【0116】
移植後、大静脈開存性を、一定の時間間隔で、螢光透視法によって確認した。この実験の終わりに、この動物を安楽死させ、その腹腔を開き、そしてその露出した内部構造を注意深く検査した。大静脈を移植したデバイスと共に取り出し、リンスし、そして長手軸方向に切って、移植後の相互作用の評価のために移植片を露出させた。血管内空間におけるデバイスの存在の結果として血栓形成の程度を評価するために、心臓および肺を取り出し、そして切断して、血栓が血管中に留まり血管を閉塞しているか否かを決定した。移植した薬物送達カートリッジレザーバを介して注入された薬剤の存在についての続く分析のために、心臓サンプルおよび肺サンプルを、大静脈組織、肝臓組織および腎臓組織のサンプルと共に収集した。
【0117】
大静脈を通る血流は、血管内移植片によって損なわれなかった。移植18日後に撮影した蛍光透視鏡画像(21日目での研究終了前の最後の蛍光透視法)によって、血流が損なわれていないことが示された。流れている血液は、薬物送達カートリッジレザーバの周囲に示され、このレザーバは、血管の中心に対称的に出現した。この閉塞していない流れは、大静脈の直径(約10mm)が移植片の直径(約6mm)よりもわずかにしか太くないという事実にもかかわらず見られた。ヒトの大静脈はより太く、代表的には直径約20mmよりも太く、それゆえ、ヒトにおける開存性は、懸念が少ないはずである。さらに、この蛍光透視鏡分析により、このデバイスの周辺の血流が、アンカーの内部でさえも深刻には損なわれていないこと、およびこのデバイスがその完全性を保持することが示された。
【0118】
この動物を21日目に屠殺した後、以下のことが観察された。大静脈壁は損なわれておらず、炎症は存在せず、そしてのデバイスは移動していなかった。また、アンカーの脚部の一部は、血管内皮に取り込まれたが、大静脈内腔は清浄であり、そして何の付着物もなかった。デバイス自体(主に、流れが停滞した領域の周辺(例えば、アンカー脚部の間))にはいくらかの凝固が存在したが、剖検によれば、凝固はこの領域に限られていた。最終的に、大静脈、心臓および肺を含め、分析した組織のどこにおいても、凝固の徴候も血栓の徴候も存在しなかった。
【0119】
さらに、アンカーと大静脈壁との間の係合の強度を分析した。デバイスおよび大静脈を観察するための大静脈の収集および長手方向での切片化の間に、アンカーの6つ全ての脚部は、大静脈壁に係合したままであった。従って、バネに基づく圧力計を用いて、アンカーを大静脈壁から離すように引き出した。分離前に測定された力は、2lbf、すなわち10Nを超えた。測定された係合力は、大静脈が断片化されない場合よりも大きいことが意図される。
【0120】
移植の間のカートリッジレザーバからの薬剤の注入もまた確認した。ALZET(登録商標)微量浸透ポンプに、20nmポリスチレンミクロスフェア(Molecular Probes F−87−87)の懸濁物をローディングした。これらの粒子を、以下の理由から指標として選択した:(i)これらは強く蛍光を発し、従って検出が容易である、(ii)これらは安定であり(すなわち、これらは分解されず、代謝もされない)、そして不活性である、そして(iii)これらは腎臓のクリアランスからサイズ排除される。この研究の最後に、蛍光のマイクロスフェアが、収集した全ての組織切片に留まっているのが観察された。
【0121】
これらの実験は、薬物送達デバイスを宿主の血管(vaosculative)に導入することが可能であり、そして導入した場合、このようなデバイスは宿主によって耐えられることを示す。さらに、一旦導入されたら、このデバイスは、宿主の血流中に目的の化合物を送達する。
【0122】
(実施例2.流れの研究)
移植可能なデバイスの各構成要素の形状を好ましくは、このデバイスと血液との間の相互作用の程度を最小にするために最適化する。流れの停滞および渦は、このデバイスの近傍の血管内腔において低減または排除され得、次いで、血液の個々の成分(例えば、循環している血小板)がこのデバイス周辺に集まることが防止され得る。さらに、このデバイスと接触したこのような血液成分の滞留時間は短縮化され得、それによって、凝固の可能性を実質的に低下させる。例示のために、直径2.5cmの下大静脈における2L/分の代表的な流速で、血液の平均線速度は21.3cm/秒であると見積もられる。従って、血液が10cmの長さの移植片上を流れるのに0.5秒間かかると評価される。しかし、血管腔へのかなりの大きさの移植片の導入は、血流をかなり乱し得、そして渦および流れの停滞を伴った領域(このような領域は、凝固しやすいと認識されている)を生じ得る。移植片の形状を流線形にして、通常、「空気力学的」と考えられる形状を得ることによって、流れの乱れを最小にすることが可能である。
【0123】
種々の移植片形状の影響は、血管の内腔に係留された移植片を含む大静脈の流体力学をシミュレートする、モデル流れシステムを用いて可視化され得る。このようなモデルでは、透明なTygonチュービングを用いて、ヒト大静脈をシミュレートし得る。試験移植片をTygonチュービングの内側に配置した後、室温の水を、蠕動ポンプを介してこのチュービングを通してポンピングする。流速は、このモデルシステムとヒト大静脈との間の流体力学類似性を達成する(すなわち、このモデルシステムにおけるReynolds数は、ヒト大静脈の内側を流れる血液について計算されたReynolds数と類似する)ように制御され得る。流体の流れは、着色染料を、移植片モデルの上流でこのチュービング内に導入することによって可視化され得る。染料の流線は、特定の移植片モデルに関する流体の流れの性質を示す。この流れを、三脚に取り付けた運動カメラ(motion camera)に記録し得る。
【0124】
目的の形状に機械加工され、モデルアンカー(例えば、12F Greenfield(登録商標)フィルター)に固定されたポリプロピレン製の1/4インチのロッドのモデルカートリッジを備える試験デバイスをこのようなモデルシステムに移植することによって、モデルカートリッジの縁部を丸めることが、渦および流れの停滞の領域を最小にするに有用であることが見出された。この型の研究によれば、モデルカートリッジの前端で必要とされる丸める程度は、モデルカートリッジの尾部端で必要とされる丸める程度ほど重要ではなかった。放射状のプロファイルおよびポリプロピレン製ロッドの半径と同様の半径を有する円錐形の流れディレクタは、前端に好ましい形状を提供するに充分であった。より鋭い形状の尾部は、モデルカートリッジの背後で乱流ウェークの形成を維持する際に有用であった。ウェークの発達は、モデルカートリッジおよびモデル大静脈の相対直径に依存することが見出された。移植片カートリッジがチュービングの直径の3分の1未満であった場合、モデルカートリッジの主要本体の直径の2倍にほぼ等しい距離にわたって延びる尾部を有する、傾斜した尾部のデザインが、ウェークの形成を排除するに充分であり得ることが見出された。対照的に、モデルカートリッジの尾部端が形成されていない場合(例えば、モデルカートリッジが純円柱形状を有した場合)、2つの対称な渦を有するウェークが形成され得る。この型の研究によれば、カートリッジ形状は好ましくは、頂端に向かって延びる、丸めた尾部または傾斜した尾部のデザインを含み、ここで、カートリッジ本体から尾部の頂端までの距離は、カートリッジ本体の直径長さの約1倍〜約3倍に等しい。
【0125】
(実施例3.原発性肺高血圧を処置するためのプロスタサイクリンアナログの送達)
原発性肺高血圧は、高い罹病率および死亡率に関連した、極めて深刻な、現在不治の疾患である。この疾患は、プロスタサイクリン(エポプロステノールおよびプロスタグランジンI2またはPGI2としても公知)の不適切な産生の結果である。プロスタサイクリンは、血管系全体の内皮細胞によって分泌され、そして血管の維持において主な役割を果たす、分子である。他の効果の中でも、プロスタサイクリンは、強力な血管拡張剤であり、かつ血小板活性化および血栓形成の強力なインヒビターである。肺の血管における不充分な量のプロスタサイクリンは、この血管が狭くなることを導き得、肺の動脈における高血圧、ならびに肺における血液の不適切な流れおよび酸素付加をもたらす。従って、他の点では健康な心臓および肺を有するとはいえ、原発性肺高血圧に罹患した患者は、正常に機能することができない。未処置のままの場合、この疾患は、二次的な心不全をもたらし得る。特定の場合、処置は、肺および心臓の移植を必要とし得る。しかし、ここ数年、プロスタサイクリンおよびそのアナログの投与に基づく成功裏の処置が開発されている。プロスタサイクリン処置は最初に、心臓−肺移植を可能にするに充分に長く患者を維持するために開発された。しかし、近年の報告は、携帯型体外注入ポンプ(Shapiroら(1997)J.AM.COLL.CARDIOL.,30:343−9)または安定な合成アナログであるイロプロスト(iloprost)(Higenbottam(1998)HEART 79:175−179)の助けを借りて、長期の連続血管内投与で処置された患者についての有望な結果を提示する。
【0126】
本発明のデバイスを用いて、携帯型注入ポンプ/カテーテルシステムおよびプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリンアナログレザーバを、この薬物を長期(例えば、少なくとも3ヶ月間)にわたって標的組織に近接して注入し得る完全内蔵型デバイスで置き換えることによって、原発性肺高血圧の治療をさらに改善し得る。従って、図4に示すアンカーのようなアンカーは、カテーテルの助けを借りて患者の大静脈に移植され得る。プロスタサイクリンの安定なアナログであるイロプロストは、レザーバ(例えば、市販のDUROS(登録商標)型ポンプ)中にローディングされ得る。商標名Endoprost、IlomedinおよびIlomedineでも公知であるイロプロストは、Schering AG(Berlin,Germany)から入手可能であり、そして半分の用量しか必要でない、その血管拡張作用の増大、その安定性およびその化学的安定性の増大から、エポプロステノール(商標名Flolanでも公知であり、そしてGlaxo−Wellcomeから入手可能である)と比較して好適であり得る(例えば、Skuballaら,「Chemistry of stable prostacyclin analogs:synthesis of iloprost」,PROSTACYCLIN AND ITS STABLE ANALOG ILOPROST,GryglewskiおよびStock(編),Springer Verlag,Berlin 1987、ならびにRaczら,PHARMAZIE (1986)41:769−771を参照のこと)。
【0127】
この障害のイロプロスト処置を用いた臨床経験(Higenbottam(1998)前出)は、有意な治療利益を提供するために0.7ng/kg/分〜3.9ng/kg/分の範囲の用量が必要とされ、平均レベルが2.1ng/kg/分であることを示すが、イロプロスト処置が患者によって耐えられる場合、より多い投薬量が必要とされ得るかまたは好適であり得る。上記の研究において報告された平均投薬量レベルで、体重60kgの患者がほんの5.4mg/月を必要とすることが見積もられる。従って、DUROS(登録商標)型ポンプが、数ヶ月にわたって患者を処置するに充分な薬物溶液を収容し得ることが意図される。一旦、イロプロストが枯渇したら、カテーテルを上記のように挿入して、空のポンプを回収し、そして必要な場合、この空のポンプを新たなポンプと交換し得る。あるいは、このレザーバには、一方の末端をポンプに接続し、そして他方で、薬物を含み得る体外要素(例えば、レザーバ、ポンプおよび/または血管アクセスポート)に接続したカテーテルを用いてインサイチュで薬物が再充填され得る。
【0128】
このようなデバイスが、原発性肺高血圧に罹患している患者に対してイロプロストを、この障害の症状を改善するに充分な量でかつ充分な時間にわたって送達し得ることが意図される。
【0129】
(参照としての援用)
本明細書中で同定された各々の特許文献および科学論文の開示は、本明細書中に参考として明らかに援用される。
【0130】
(他の実施形態)
本発明は、本発明の趣旨または必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。それゆえ、本実施形態は、全ての点で、例示であって限定ではないと考えられ、本発明の範囲は、上記の説明によってというよりも、添付の特許請求の範囲によって示され、それゆえ、特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に入る全ての変更は、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0131】
本発明の他の実施形態は、上記の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
ここで、本発明は、添付の図面を参照しかつこの図面に例証されるように(しかし、決して限定されない)、より詳細に記載される。図面においては、それぞれの図面における同様の記号は、対応する部材を示す。
【図1】
図1A〜Eは、血管の管腔内に配置された例示的な薬物送達デバイスの概略図であり、ここで、血管を通る血流の方向が、矢印によって示される。
【図2】
図2A〜Cは、例示的なアンカー(図2A)、例示的なレザーバ(図2B)、および例示的なレザーバでインターロックされた例示的なアンカー(図2C)を示した概略図である。
【図3】
図3A〜Bは、本発明の例示的な薬物送達デバイス(図3A)、ならびにレザーバ部材を導入および/または取り外すためのデバイスに関連した例示的な薬物送達デバイス(図3B)の概略図である。
【図4】
図4A〜Cは、本発明の実施において有用な例示的なアンカーの三次元の概略図(図4A)、このアンカーの側面図(図4B)、およびこのアンカーの頂面図(図4C)を示す。
【図5】
図5A〜Cは、本発明の実施において有用な例示的なアンカーの三次元の概略図(図5A)、このようなアンカーの側面図(図5B)、およびこのようなアンカーの頂面図(図5C)を示す。
【図6】
図6は、本発明の実施において有用な例示的なレザーバを示す側面図である。
【図7】
図7A〜Bは、本発明の実施において有用な、2つの例示的な受動的薬物放出レザーバの断面図である
【図8】
図8A〜Bは、受動的薬物送達用の2つの例示的なレザーバの側面図である。
【図9】
図9A〜Dは、例示的なレザーバが血管内に導入されて、血管内で固定された例示的なアンカーを介して係合される間の工程を示した側面図である。
【図10】
図10A〜Cは、血管内への空のレザーバの導入およびインサイチュでのこのレザーバの薬物での充填を示した側面図である。
(関連出願の引用)
本出願は、米国特許出願第60/250,746号に対する優先権およびその利益を主張する。米国特許出願第60/250,746号の開示全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、移植可能な血管内薬物送達デバイスに関する。より詳細には、本発明は、動物の体循環への直接的な薬物の持続性送達のための移植可能な血管内薬物送達デバイスに関し、そしてこのデバイスを血管系に移植し、そして血管系から回収するための手順に関する。
【0003】
(発明の背景)
持続性薬物送達デバイスの開発は未だ進行中である。例えば、Langer(1998)NATURE 392,補遺、5−10を参照のこと。例えば、移植された場合に、例えば、タンパク質分解酵素または加水分解によって分解されて薬物を動物中に徐々に放出するポリマーと、この薬物は、結合体化され得る。同様に、薬物は、不溶性マトリクス全体に捕捉され、次いでこの不溶性マトリクスが動物に投与され得る。薬物は、マトリクスの拡散および/または侵食を介して放出される。あるいは、薬物は、半透性膜またはリポソーム内にカプセル化され得、次いでこのカプセルは、動物に投与される。投与後、この薬物は、この膜を通した拡散またはこの膜もしくはリポソームの分解を介してのいずれかによって放出されて、その内容物を放出する。しかし、これらのアプローチは一般に、デバイスが、レシピエント内の血管内位置ではなく、血管外に移植される場合に用いられている。
【0004】
最も伝統的な移植可能な持続性薬物送達デバイスは、1以上の不溶性構成要素を含む。このことにより、この薬物が体循環に導入されるべき場合、いくつかの問題が生じる。例えば、血管系内に配置された不溶性構成要素が、1以上の潜在的に破局的な塞栓症を生じ得るという顕著な危険性が存在する。例えば、Gibaldi(1991)BIOPHARMACEUTICS AND CLINICAL PHARMACOKINETICS,Lea & Febiger,London,第4版を参照のこと。
【0005】
その結果、上記の持続性薬物送達デバイスは一般に、例えば、筋内経路、皮下経路、経口経路および非経口経路を利用して、血管外の位置に導入される。しかし、このような移植可能な持続性薬物送達デバイスの顕著な欠点は、血流に薬物を確実に送達するための質量の移動に関する顕著な問題による、それらの能力の制限である。この制限を緩和するための1つのアプローチは、移植された薬物送達デバイスの周辺に血管新生を誘導することである(例えば、米国特許第4,820,626号および同第5,433,508号を参照のこと)。
【0006】
さらに、例えば、標的化された組織送達を達成するための、または、薬物の不安定性および/もしくは毒性を考慮した、特定の環境下では、薬物を血流中に直接送達することが必要であり得る。今日まで、直接的薬物送達は一般に、血管系の外側(例えば、体内だが血管外の位置、または最も頻繁には体外の位置)に配置されたレザーバから薬物を送達する静脈内留置カテーテルを介して達成された。前者のシステムの例は、皮下に移植された薬物含有浸透ポンプに連結されたカテーテルが、薬物を血流中に送達する場合である。後者のシステムの例は、薬物(例えば、プロスタグランジンプロスタサイクリン)が、注入ポンプ(装着型または臨床型)およびカテーテルを介して外部レザーバから連続して、例えば、原発性肺高血圧を罹患している患者の大静脈へと直接投与される場合である。不幸にも、これらのシステムは代表的に、侵襲性医療手順を介して移植され、そして感染、手術過誤、患者のコンプライアンスに関して深刻な制限を受け、そして患者の生活の質を損なう。
【0007】
本発明の目的は、体循環への非常に多様な薬物の長期の直接的静脈内送達に適切な、移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供することである。本発明の別の目的は、薬物送達デバイスの1以上の構成要素を、血管の管腔に導入するためおよび/または血管の管腔から回収するための、侵襲性が最小の手順を提供することである。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、予め選択された少なくとも1つの薬物の、動物の体循環への直接的持続性送達のための移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供する。薬物送達デバイスは、非侵襲性の、または侵襲性が最小の外科手順を用いて血管系に移植され得る。一旦移植されたら、薬物送達デバイスは、予め選択された薬物を、長期にわたって、レシピエントの血流中に直接的に安全に送達する。本発明のデバイスおよび方法の使用によって、治療有効量の予め選択された薬物を、動物の血流中に直接的に送達するための、容易かつ再現可能なシステムが提供される。このデバイスは、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、そして最も好ましくはヒトにおける薬物送達のために用いられる。
【0009】
1つの局面では、血管内薬物送達デバイスは、血管の内壁(特に、インタクトな血管の内壁)への固定化のために適合されたアンカーを備える。アンカーは、インサイチュで固定された場合に、血管中の血液がアンカーを通って通過するのを許容するように設計される。デバイスは、固定されたアンカーによって血管の適所に保持される無細胞薬物含有レザーバをさらに備え、そして移植部位でこのレザーバを通過する血液中に、予め選択された薬物を放出する。薬物送達デバイスは、非侵襲性の、または侵襲性が最小の方法を介して(例えば、末梢の血管位置から貫かれたカテーテルを介して)移植され得、そして一旦移植されると、長期にわたって目的の薬物を体循環へと送達させ得る。さらに、一旦、薬物が枯渇したら、または所望によりいつでも(例えば、処理レジメを終結または改変するために)、レザーバは、取り出され得、そして適切な場合、治療を再開するために別の薬物含有レザーバで置換され得る。
【0010】
用語「体循環」は、本明細書中で使用される場合、組織または他の位置への血液供給を提供する、動物内の任意の血管(例えば、動脈、静脈、細動脈または細静脈)を意味することが理解される。
【0011】
用語「予め選択された薬物」は、本明細書中で使用される場合、動物に投与された場合、局在した治療効果または全身治療効果を生じ得る、任意の生理学的または薬理学的に活性物質を意味すると理解され、そして(i)任意の活性薬物および(ii)その動物内で代謝されて活性な薬物を産生し得る、任意の薬物前駆体が挙げられる。この定義がまた、薬物の組み合わせ、薬物前駆体の組み合わせおよび薬物と薬物前駆体との組み合わせを包含することが理解される。薬物としては、例えば、動物に投与した場合に治療的価値を有する(すなわち、所望の効果を惹起する)、ペプチド、タンパク質、核酸(例えば、デオキシリボ核酸および/もしくはリボ核酸)、ペプチジル核酸、脂肪酸(例えば、プロスタグランジン)、有機分子および無機分子が挙げられ得る。予め選択された薬物としては、例えば以下が挙げられ得る:ホルモンもしくは合成ホルモン(例えば、インスリンもしくはヒト成長ホルモン)、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤および抗マラリア剤);化学療法剤(例えば、5−フルオロウラシルおよびシスプラチン);自律神経薬物(例えば、抗コリン剤、アドレナリン剤、アドレナリン遮断剤および骨格筋弛緩剤);血液形成調節剤もしくは血液凝固調節剤(例えば、抗貧血薬物、凝固剤および抗凝固剤、出血剤および血栓崩壊剤);心臓血管薬物(例えば、心臓薬物、低血圧剤、血管拡張剤、強心剤、β−ブロッカーおよび硬化剤);中枢神経系剤(例えば、鎮痛剤、解熱剤および鎮痙剤);または免疫調節剤(例えば、エタナーセプト(etanercept)もしくは免疫抑制剤;抗炎症剤(例えば、インターフェロンγもしくはサイトカイン(例えば、IL−10およびIL−13));抗肥満剤(例えば、レプチン);抗脂肪血症剤(例えば、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼのインヒビター(例えば、アトルバスタチン(atorvastatin)));制吐剤(例えば、シサプリド(cisapride)およびメトクロプラミド));抗片頭痛薬物(例えば、イミトレックス(imitrex));キレート剤(例えば、鉄キレーターであるデスフェロキサミン(desferoxamine));ならびに避妊剤もしくは受精剤。
【0012】
用語「アンカー」は、本明細書中で使用される場合、血管に固定された場合に、血管を通した血流を閉塞も防止もしない、血管の内壁に固定され得る任意の構造体を意味すると理解される。アンカーは、血管の内腔に固定された場合、半径方向に外側の方向に偏寄した少なくとも1つの要素を備える。言い換えると、アンカーは、血管の内壁との半径方向の締まりばめを生じる要素を備える。
【0013】
1つの実施形態では、アンカーは、血管の内壁に対して半径方向に偏寄するまで拡張され得る、ステントまたはステント様要素を備え得る。さらに、アンカーは、血管の内壁に結合し得る、棘または鉤のある要素を備え得る。例えば、このようなアンカーは、頭部、および頭部に結合して頭部から半径方向に広がる複数の棘または鉤のあるフィラメントを備え得、その結果、このフィラメントは、各フィラメントの末端に存在する棘または鉤が、血管の内壁に係合するまで、傘状に開口し得る。
【0014】
別の実施形態において、アンカーは、塞栓移動防止フィルター(例えば、血餅移動防止フィルター)である。本発明の実施において有用な種々の血餅移動防止フィルターが、当該分野で公知である。現在の好ましいアンカーは、「Greenfield(登録商標)大動脈フィルター」として公知の移動防止フィルターである。有用なGreenfield大動脈フィルターは、米国特許第4,817,600号および同第5,059,205号に記載されている。代表的に、Greenfieldフィルターは、血管の管腔に挿入される場合に、(傘のように)開き、血管の内部壁に接触しそしてその内部壁を掴む、複数のバネにより付勢されたフィラメントに取り付けられたヘッドを備える。
【0015】
別の実施形態において、アンカーは、リザーバを受け取るためのレセプタクルをさらに備える。さらに、このレセプタクルは、リザーバをアンカーに係合および固定するための固定機構をさらに備え得る。アンカーおよびリザーバの両方が、リザーバをアンカーに固定するように互いに対をなすインターロック要素を備え得ることが企図される。
【0016】
用語「無細胞リザーバ」は、本明細書中で使用する場合、血管の管腔内に適合するような寸法であり、血管に導入された場合にこの血管を通る血流を閉塞も妨害もしない、細胞を含まないかまたは実質的に細胞を含まない(任意の残存細胞が生存しているか死滅しているかに関わらず)任意の要素を意味することが理解される。さらに、リザーバは、血管において、このリザーバを通過する血液に1つ以上の薬物を放出し得る。リザーバは、薬物を保持するための内部容積および血液系への薬物の放出を可能にする少なくとも1つの孔を少なくとも部分的に規定する壁をさらに備える。
【0017】
好ましい実施形態において、薬物は、所望の速度でかつ障害の症状を緩和するのに適した時間にわたって、リザーバから段階的に放出される。薬物放出は、一定の週、より好ましくは一定の月にわたって生じ得る。いくつかの場合、薬物は、一定の年にわたって放出され得る。
【0018】
1つの実施形態において、リザーバは、活発な薬物送達システム(例えば、ポンプシステム)である。市販のポンプシステムとして、例えば、所定の期間にわたり所定の速度で持続性薬物放出を提供する浸透圧ポンプ、および1つ以上の薬物放出プロフィールを提供するよう設計されており、医師が必要とする場合、移植前に予めプログラムされるかまたは体外コントローラーの助けによって移植後にプログラムされ得るマイクロモーターポンプが挙げられる。
【0019】
別の実施形態において、リザーバは受動薬物送達システムである。この受動薬物送達システムとして、例えば、薬物を放出するよう適合された、薬物含有粒子(例えば、マイクロカプセル化された薬物含有粒子)またはゲル固定化薬物がその中に配置された薬物透過カプセルを含むリザーバが挙げられる。薬物透過カプセルは、好ましくは、例えば、半透過膜によって規定される。半透過膜は、1つ以上の孔を備え得、この孔は、薬物の通過を可能にしつつ、同時に孔を通じた粒子の通過を防ぐような寸法である。本発明の生物適合性の半透過膜を生成するのに有用なポリマーとして、塩化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、イソシアン酸ポリウレタン、アルギニン酸塩、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース)、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、またはそれらのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0020】
薬物含有粒子は、例えば、種々の速度で薬物を腐食および放出するポリマーコーティングの組み合わせを通して、所望の薬物送達プロフィールを提供するよう操作され得る。さらに、移植前に薬物を予めリザーバに充填する薬物送達デバイスの使用に加えて、本発明は、リザーバを空のまま移植し、次いでインサイチュで薬物を充填し得る方法および組成物を提供する。後者は、カテーテルを介して移植および回収され得るがなおより大きな体積および/または量の薬物を送達し得る大型のリザーバの使用を可能にする。さらに、リザーバはまた、薬物が枯渇した後に、一端がリザーバに接続され、他方の端がさらなる新たな薬物供給源に接続されたカテーテルを介して新たな薬物をリザーバに充填することにより、再装填(recharge)または再充填(refilled)され得る。さらなる新たな薬物供給源は、リザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート(例えば、レシピエントの皮下に配置された血管アクセスポート)であり得る。
【0021】
種々のデバイス設計が、本発明の実施に有用であることが企図される。例えば、リザーバは、例えば、リザーバが、アンカーを通過し得ない大きさである場合、アンカーの上流に保持され得る。あるいは、リザーバは、アンカーの下流に配置され得るが、例えば、アンカーからリザーバに伸びるフックまたはテザーを介するか、あるいはインターロック機構を介する取り付け手段によりその場に保持され得る。さらに、リザーバおよびアンカーは、リザーバの一部がアンカーの上流に位置し、別の部分がアンカーの下流に位置し得るように設計され得ることが企図される。この型の設計は、例えば、アンカーとリザーバとの間のインターロック機構またはロック機構を介して容易にされ得るか、あるいはリザーバがくさび型形状であり、その結果、くさびの細い端がアンカーを通過するが大きい方の端はアンカーと接触し、それによってリザーバ全体がアンカーを通過するのを防止する。
【0022】
好ましい実施形態において、リザーバは、相互のロック機構と対をなすロック機構を備え、アンカー上またはアンカーにて、アンカーおよびリザーバを互いに係合および固定する。種々のロック機構が本発明の実施に有用であり得ることが企図される。
【0023】
さらに、リザーバは、リザーバからの放出のために、1より多くの薬物(例えば、2つ、3つ、または4つの別個の薬物)を含み得る。例えば、リザーバは、うっ血性心不全の症状を緩和するために組合され得るイノトロープ(例えば、ドーパミンおよびドブタミン)、または抗生物質(例えば、バンコマイシンおよびセフタジジン)の組み合わせを含み得る。これらは、感染(例えば、中枢神経系の感染)を処置するために、組み合わせて使用され得る。
【0024】
別の局面において、本発明は、予め決定された薬物を体循環中に直接的に送達するためのデバイスを、動物の血管に導入する方法を提供する。この方法は、(a)インタクトな血管の内部壁にアンカーを固定する工程(このアンカーは、固定された場合に、血管中の血液が通過するのを許容する)、および(b)予め選択された薬物を含む無細胞リザーバを血管に導入する工程を包含し、それによって、血管中に導入された場合に、このリザーバはアンカーによりその位置に保持され、そしてこのリザーバを通過する血液中へ予め選択された薬物を放出する。さらに、さらなる工程において、このリザーバは、アンカーが血管中に固定された後に、アンカーに固定される。
【0025】
この方法において、アンカー、リザーバ、またはアンカーおよびリザーバの両方は、カテーテルを介して血管に導入され得る。1つのこのような手順において、アンカーおよび/またはリザーバは、カテーテルを介し、大腿静脈または頸静脈を介して動物中に導入され得、次いで、天然の静脈(例えば、下大静脈、上大静脈、門脈、または腎静脈)に固定されるか、あるいは合成の静脈(例えば、外科的に構築された動静脈瘻から生じた静脈)に固定される。このデバイスの導入および固定のための適切な部位の選択は、当業者のレベルの範囲内であることが企図される。
【0026】
別の局面において、本発明は、動物のインタクトな血管への移植のためのアンカーを提供する。このアンカーは、第2の要素に取り付けられた第1の要素を備える。第1の要素は、血管の内部壁への固定のために適合されており、そして血管に固定された場合に半径方向外側の方向に偏った少なくとも1つの部材を備える。第2の要素は、予め決定された幾何学的構造および/または設計の薬物送達リザーバ部材を受け取るためのレセプタクルを形成する。1つの実施形態において、第1の要素は、第2の要素の近位に位置し、そしてより好ましくは、第1の要素は、アンカーの近位端に位置し、第2の要素は、アンカーの遠位端に位置する。
【0027】
1つの実施形態において、第1要素は、半径方向外側に伸びて、インタクトな血管の内部壁に接触し得るステントである。あるいは、第1の要素は、インタクトな血管の内部壁と接触および係合し得るバーブである。
【0028】
別の実施形態において、第2の要素は、インターロック機構をさらに備え、このインターロック機構は、リザーバの相互インターロック機構と対をなし、これと係合してリザーバをアンカーに固定する。好ましくは、第2の要素のインターロック機構は、内部壁を有する環状部材を有し、この内部壁は、環状部材を通して走るボアを規定し、内部壁はさらに、リザーバの相互インターロック機構を係合するためのボアに対して垂直な溝を規定する。
【0029】
別の実施形態において、第1の要素は、第1の要素と第2の要素との間に介在する第3の要素を介して第2の要素に接続され得る。第3の要素は、第1の要素の一方の端に取り付けられ、かつ第2の要素の反対の端に取り付けられたロッドまたはフィラメントであり得る。
【0030】
別の局面において、本発明は、動物のインタクトな血管への移植のための薬物送達リザーバを提供する。このリザーバは、第2の要素に取り付けられた第1の要素を備える。第1の要素は、インターロック機構を形成し、インタクトな血管の内部壁に固定可能なアンカーの相互インターロック機構に係合する。第2の要素は、薬物を保持するための内部体積を少なくとも部分的に規定し、そして薬物がリザーバから血流に排出されるのを可能にする寸法の少なくとも1つの孔を規定する壁を備える。
【0031】
1つの実施形態において、第一の要素のインターロック機構は、外壁を有する環状部材を備え、ここで、この外壁の第一部分は、第一の半径方向寸法を有し、そして、この外壁の第二部分は、第一部分の半径方向寸法よりも長い半径方向寸法を有する。別の実施形態において、第二の半径方向寸法を有する外壁部分は、アンカー上の相互インターロック機構内に配置された溝と嵌合して係合する。
【0032】
別の実施形態において、第二の要素は、活性薬物送達機構(例えば、浸透圧ポンプまたはマイクロポンプ)、または受動性薬物送達デバイス(例えば、薬物を血流に放出する薬物含有粒子が配置されている薬物透過性カプセル)のいずれかを備え得る。
【0033】
さらに、本発明は、動物の体循環内に予め選択された薬物を送達するための血管内薬物送達デバイスを提供する。このデバイスは、予め選択された薬物が配置されている血管外要素(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)およびコンジットを備える。このコンジットは、第一端部および第二端部を有する。この第一端部は、血管外要素と流体連絡して、予め選択された薬物がコンジットに流入するのを可能にし得、そしてこのコンジットの第二端部は、血管の管腔内に係留可能であり、かつ予め選択された薬物がコンジットから流出し、血流に流入するのを可能にし得る。このコンジットの第二端部は、血管内に係留された場合、この血管の管腔中心に配置され得る。このコンジットの第二端部は、血管の内壁に係留可能な血液透過性要素に取り付けられ得る。このコンジットはまた、第二端部に近接した一体型アンカーを備え得る。この一体型アンカーは、血管の内壁に係留可能な、半径方向に外向きに偏った少なくとも1つの要素を備え得、そして/または、ステントを備え得、そして/または外向きに延びたとげを備え得る。
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の最も一般的な適用において、本発明は、予め選択された薬物を動物の体循環内に持続して送達するための、移植可能な血管内薬物送達デバイスを提供する。本発明のデバイスは、好ましくは、カテーテルを使用して、血管内に直接移植されるように適合される。移植した後、薬物送達デバイスは、予め選択された薬物をレシピエントの血流に放出する。
【0035】
この薬物送達デバイスは、アンカー構成要素およびレザーバ構成要素を備える。アンカーは、インタクトな血管の管腔に挿入されるように寸法決定される。一旦、所望の位置に導入されると、アンカーは、血管の内壁に固定される。アンカーは、血管の壁に固定された場合に、血管内の血液がその要素を通過するのが可能であるように設計される。レザーバはまた、血管の管腔に挿入されるように寸法決定される。このレザーバは、インサイチュでアンカーを介して保持される。レザーバは、細胞を有さないかまたは実質的に細胞を有さないが、少なくとも1種の薬物を含み、この薬物は、このレザーバ部材を通過する血液中に徐々に放出される。血流内に流入したら、この薬物は、レシピエントの血管系全体にわたって急激に広がっていき、そして/または、デバイスの下流の患部組織によって優先的に取り込まれる。従って、薬物送達デバイスの適切な操作は、このデバイスが血管を閉塞しないこと、すなわち、このデバイスが血管を通る血液の通過を妨げないことを必要とする。
【0036】
本発明のデバイスは、図面を参照してより詳細に記載され、この図面は、例示のために提供されており、どのようにも制限されることを意味しない。図1は、本発明の薬物送達デバイスの例示的な配置の側面図を示している。図1において、矢印は、血流の方向を表わす。図1Aは、アンカー10およびレザーバ20を示しており、ここで、アンカー10は、インタクトな血管30の内壁32によって血管30に固定されている。レザーバ20は、固定されたアンカー10の上流に位置する。図1Bにおいて、レザーバ20は、インタクトな血管30の内壁32に固定されたアンカー10の下流に位置する。図1Cにおいて、レザーバ20は、血管の内壁32に固定されたアンカー10に関連して配置されており、この結果、このレザーバ20の一部は、アンカー10の上流に位置し、かつレザーバ20の一部は、アンカー10の下流に位置する。
【0037】
図1D(これは、図1Bと類似している)において、レザーバ20は、インタクトな血管30の内壁32に固定されたアンカー10の下流に位置する。デバイスは、カテーテル34を介して、血管外(例えば、皮下)に位置する血管外要素36(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)からレザーバ20に薬物を充填するのを可能にするように構成されており、このカテーテルは、一方の端部で血管外要素36に接続されており、そしてもう一方の端部でレザーバ20に接続されている。このような血管外要素はまた、図1Aおよび図1Cに示されるようなアンカーに対して配置される血管内レザーバと組み合わせて使用され得る。
【0038】
レザーバ20がアンカー10によって保持される機構は、デバイスの構成要素の相対的な配置に依存して、変化し得る。例えば、図1Aおよび1Cに示される配置において、レザーバ20は、アンカー10に接触することによって適所に保持され得、ここでレザーバ20は、アンカー10を完全に通過するには大き過ぎるように寸法決定される。しかしながら、図1A〜1Cに示される配置において、レザーバ20はロックされ得るか、さもなければロック機構またはテザー機構を介して、アンカー10に物理的に係留されることが意図される。
【0039】
図1Eにおいて、アンカー10は、インタクトな血管30の内壁32に固定される。カテーテル34の一方の端部は、血管外要素36(例えば、レザーバ、ポンプ、および/または血管アクセスポート)に連結されている。カテーテル34のもう一方の端部は、アンカー10に連結されており、このアンカー10は、血管内にカテーテル34を固定して血管30の内壁32との接触を最小化する。このデバイスにおいて、薬物は血管外要素36から血管30に直接送達される。
【0040】
図2A〜2Cは、例示的なアンカー10(図2A)、例示的なレザーバ20(図2B)、および構成要素が一緒にロックされた例示的な薬物送達デバイス(図2C)の概略図である。図2Aにおいて、アンカー10は、第二要素14に接続された第一要素12を備える。第一要素12は、インタクトな血管の内壁と半径方向に締りばめ(radial interference fit)するように適合される。第二要素14は、レザーバ20の相互ロック部材と嵌合するためのレセプタクルを形成する。図2Bにおいて、例示的なレザーバ20は、第二要素22に接続された第一要素24を備える。この第一要素24は、アンカー10の相互ロック部材と係合するロック部材を規定する。第二要素22はまた、壁を備え、この壁の少なくとも一部は、薬物を保持するための内部容量を規定する。図2Cにおいて、アンカー10は、レザーバ20にロックされている。アンカー14の第二要素は、レザーバ24の第一要素と係合して、ロックする。
【0041】
図3Aは、本発明のデバイスの三次元図である。図3Aにおいて、アンカー10がレザーバ20と係合されることが示される。図3Bにおいて、導入カテーテル40およびこのカテーテル40内に配置された把持(grabbing)デバイス42は、インターロックアンカー10およびレザーバ20に関連して示される。
【0042】
さらなる設計および設計の検討が、「Intravascular Blood Conditioning Device and Use Thereof」の発明の名称の、本出願と同日に出願され、代理人整理番号NPH−005が割り当てられ、U.S.S.N.60/250,431の優先権および利益を主張する、同時係属中の米国特許出願番号___号において見出され得る。これらの出願の各々全体が、本明細書中で参考として援用される。
【0043】
(アンカー)
当該分野には、本発明の実施の際に有用な多数のアンカーが存在する。有用なアンカーは、血管を通る血流を閉塞も防止もせずに、この血管の管腔内に固定され得、同時に依然として、それ自体でかまたは改変後に、リザーバを保持するための確実かつ融通性のある様式を提供することによって、特徴付けられる。
【0044】
市販の閉塞症移動防止フィルターおよびステントは、ロック機構を欠くが本発明の実施において有用な、例示的なアンカーを代表する。ステントは、血管の内径を増加させて開存性を回復または維持するために、医療開業医によって慣習的に使用される。血餅移動防止フィルターまたは大静脈フィルターもまた、医療開業医によって慣習的に使用されるが、潜在的に生存している切迫血餅の、脈管構造内での移動を防止するために使用される。血餅移動防止フィルターは、代表的に、血管の管腔内に移植され、そして固定されるように、設計される。移植される場合、移動防止フィルターは、脈管内の血液が通過することを可能にし、一方で同時に、血餅を捕獲する。市販のアンカーは、そのままで使用され得るか、または好ましくは、相互ロック部材をリザーバに係合し得るロック機構をさらに備えるように、適合される。
【0045】
当該分野には、本発明における使用のために改変され得る、螺旋状、円筒形、および/または管状のステント設計が、多数存在する。例えば、米国特許第5,370,691号、同第5,591,230号、同第5,651,174号、同第5,899,935号、同第5,895,407号、同第6,107,362号、同第6,207,516号、同第6,030,414号および同第6,036,725号に開示されるステントは、薬物含有リザーバを受容および/または係合するように、改変され得る。さらに、種々の経皮カテーテルおよびガイドワイヤのシステムが、本発明の実施において有用な所望の配置ステントを導入および展開するために、使用され得る(例えば、米国特許第5,891,154号および同第6,027,520号を参照のこと)。
【0046】
本発明において有用な種々の血餅移動防止フィルターは、当該分野において公知であり、そして市販されている。例えば、米国特許第4,817,600号および同第5,059,205号に記載されている血餅移動防止フィルターは、Medi.Tech(登録商標)、Boston Scientific Corporation,MAから入手可能であり、そして本発明の実施のために必要なアンカー要素のための主成分を形成するために特によく適している。特に、これらのフィルターは、血餅の捕獲のための最大捕獲領域を提供し、一方で閉塞症を捕獲した後の血管の開存性を維持するように、設計される。例えば、円錐形のフィルターの幾何学的形状は、断面が64%減少する前に、その深さの80%まで充填することを可能にし、そしてこのフィルターの深さの少なくとも80%は、フィルターにわたる有意な圧力勾配が生じることなく、充填され得る。これらのフィルターの6つの脚の間の間隔は、3mmより大きな閉塞症の捕獲を確実にする(Greenfieldら(1989)「Venous Interruption」第68章、929−939頁、HAIMOVICI’S VASCULAR SURGERY PRINCIPLES AND TECHNIQUES 第3版、AppletonおよびLange,Norwalk,Connecticut/San Mateos,California)。従って、フィルターはそのままで使用されて、直径が3mmより大きな薬物含有リザーバを捕獲し得る。他の有用な血餅移動防止フィルター(そのままでかまたは噛み合い機構を備えることによる改変後のいずれかで有用なもの)は、例えば、米国特許第4,494,531号、同第4,781,177号、同第4,494,531号、同第4,793,348号、同第4,832,055号、同第5,152,777号、同第5,350,398号、同第5,383,887号、同第5,720,764号、同第6,059,825号、同第6,080,178号、および同第6,126,673号に記載されている。また、他の血餅移動防止フィルター(例えば、Greenfield(1991)VASCULAR SURGERY,A COMPREHENSIVE REVIEW,Moore編、W.B.Saunders Co.,Philadelphia,London,Toronto,Montreal,Sydney,Tokyo 669−679頁に記載されるもの(例えば、Nitinolフィルター;Guntherフィルター;Venatechフィルター;Amplatzフィルター;および鳥の巣(birds nest)フィルターが挙げられる))が、本発明の実施において同様に有用であり得ることが、企図される。
【0047】
市販の移動防止フィルターは、本発明のデバイスにおいて使用され得るが、アンカーがロック機構を組み込み、カプセルを係合すること(図4を参照のこと)が、好ましい。その結果、現在利用可能な移動防止フィルターは、代表的に、さらなる改変なしに使用され得る。他方で、市販のステントは、代表的に、カプセルを捕捉するための手段を有さない。しかし、このようなステントは、例えば、伸長部を備える脚および受容部材を組み込むことによって、改変され得る(図5を参照のこと)。あるいは、例えば、薬物を含むリザーバが、ステントの血液接触表面に係合する適切なフックまたは鉤を有する脚を備える場合には、改変されていないステントが、そのままで使用され得る。このようなステントを使用することの主要な利点は、フック/鉤によって付与される力が広い表面積に広がり、従って、カートリッジの移動の危険性を最小にすること、および脈管壁に対する損傷を回避しながら、カートリッジの繰り返しの移植/回収のための手段を提供することである。
【0048】
しかし、ロッキングヘッド(例えば、図4および5に示されるアンカー要素)を組み込む新たなアンカーが、本発明の要件により良好に適合するように設計され、そして製造することが、好ましい。アンカー要素は、合成物質または金属物質であり得る。好ましくは、アンカーは、軽量、強度および生体適合性に起因して、チタンから作製される。
【0049】
本発明の実施において有用な2つの好ましいアンカーが、図4および5に提供される。具体的には、図4は、図3に示されるアンカー要素をさらに詳細に示す。図4Aにおいて、アンカー10は、ヘッド14、およびこのヘッドから延びる複数の弾性の、代表的には金属製のレッグ16を備える。これらのレッグの、ヘッドから遠位の端部は、標的血管の内壁に係合するために外向きに配置された、フックまたは鉤12を備える。図4Bは、ロック機構18を組み込むヘッド14を断面で示し、この機構は、以下に詳細に記載されるように、相互ロック機構をリザーバに係合するために使用される。図4Cは、ヘッド14から半径方向に延びるレッグ16を、上平面図で示す。図4Aのフックまたは鉤12は、図2Aの第1の要素12に対応し、そして図4Aのヘッド14は、図2Aの第2の要素に対応する。図4Aのレッグ16は、第3の要素(フックまたは鉤)12を第2の要素(ヘッド)14に接続する、第3の要素に対応する。
【0050】
代替のアンカー設計が、図5に示される。図5Aにおいて、このアンカーは、ヘッド14、および一端におけるヘッド14から他端におけるステント12へと延びる、複数のレッグ16を備える。ステント12は、自己拡張可能ステントであり得るか、またはバルーンの補助によって展開され得るか、あるいは当該分野において公知の他の任意のステント設計であり得る。図5Bは、図5Bに示されるアンカーの断面図であり、そしてステント12、レッグ16、およびヘッド14、ならびにヘッド14に組み込まれるロック機構18の空間的関係を示す。以下に記載されるように、このロック機構は、リザーバの相互ロック機構を係合する。図5Cは、図5Aに示されるアンカーの上平面図であり、そしてヘッド14、レッグ16、およびステント12の間の空間的関係を示す。
【0051】
図4に示されるアンカーと図5に示されるアンカーとの間の主要な差異は、各アンカーが血管の内壁に接触および係合するように適合される様式である。図4に示されるアンカーにおいて、外向きに延びる鉤が、静脈の内側への移植のために好ましくあり得る。このシステムは、比較的低い静脈の血圧の利点を利用して、脈管と移植物との間の接触面積、および従って可能な負の相互作用を最小にする。他方で、図5に示されるアンカーにおいて、ステントは、動脈(すなわち、高圧の血管)内への移植のために好ましくあり得る。このシステムは、ステントと血管との間の大きな接触面積の利点を利用して、移植物に対して付与される流体力学的力が大きな表面積にわたって広がることを確実にし、これによって動脈壁の損傷またはアンカーの移動の可能性を最小にする。
【0052】
(リザーバ)
薬物送達リザーバは、血管内に固定され得、一旦移植されると、時間にわたって次第に薬物を体循環に放出する、任意の薬物含有要素であり得る。好ましい実施形態において、このリザーバは、ロック機構を介して、アンカーに適所にロックされる。選択される任意の薬物が、本発明のデバイスを使用して、脈管内送達され得ることが企図される。
【0053】
移植の際に、リザーバは、固定されたアンカーを介して適所にしっかりと保持される。適切な設計のリザーバが、アンカーの血流の上流に導入され得、このリザーバは次いで、アンカーとリザーバとの間の適切なロック機構の存在または非存在にかかわらず、予め移植されたアンカーによって受動的に捕捉されるまで、血流によって下流に移送される。しかし、好ましい実施形態において、アンカーおよびリザーバは、ロック機構に相互接続し、その結果、このリザーバは、アンカーによって適所にしっかりとロックされ得る。ロック機構を組みことは、アンカーの上流にリザーバを導入する要件を取り除き得る。従って、ロック機構を使用することにより、付与される流体力学的力と比較して重力が有意となる、より重いリザーバの移植が可能となる。ロック機構は、好ましくは、リザーバの捕捉および係合を可能にし、そしてリザーバの解放を可能にするように、設計される。
【0054】
干渉ばめ(interference fit)を有するか、または有さないかのいずれかで、メカニカルファスナー方法を介して、インサイチュで、このレザーバをアンカーに取り外し可能に装着する多数の方法が存在する。例えば、レザーバの外壁部分は、コンプライアント弾力性部材(例えば、片持ちばり、膨張可能なメッシュストランド、1個以上のバネが充填されたデバイスまたはレバーなど)によって形成されるアンカーに、穿孔またはカラーを有する半径方向干渉ばめを提供するような大きさであり得る。あるいは、またはさらに、このデバイスは、メカニカルファスナーの分野の当業者に公知であるように、雄部分および雌部分を有する、ポジティブメカニカルインターロックを備え得る。例としては、ネジ部材、差込み式保持ばめ、ラチェットトゥースロックラッチクランプ(ratchet tooth locking latch clamp)などが挙げられるが、これらに限定されない。このレザーバの装着および/または取り外しは、回転、転換、または回転と転換との組み合わせによって達成され得る。さらに、カテーテルは、構成される末端エフェクターを使用して、例えば、穿孔を一時的に膨張させること、壁を圧縮すること、ラッチを配置すること、クランプを開口または閉鎖すること、およびコンプライアント部材を把持することによって、装着および/または取り外しを容易にするために、レザーバおよび/またはアンカー上の構造を作動させ得る。
【0055】
本発明のデバイスは、種々の薬物を体循環に送達するために使用され得る。本発明のデバイスは、不安定な薬物(例えば、加水分解に対して感受性の薬物(例えば、プロスタサイクリン)、胃酸に不適合性の薬物(例えば、タンパク質)または薬物が標的部位に到達する前に組織によって代謝される薬物(例えば、初回通過代謝物))の投与において特に有用である。さらに、本発明のデバイスは、このデバイスが標的組織の上流に配置されるように、目的の組織への標的された薬物の送達(例えば、抗不整脈性薬物または抗凝固性薬物の心臓への投与、抗血栓性薬物の補綴への投与、標的された化学療法のための抗悪性腫瘍薬物の投与、および抗抑制薬物の器官移植片への投与)を提供し、これにより、低全身性レベルと同時に高い局所濃度を達成する。さらに、本発明のデバイスは、送達により高い局所濃度を生じる場合、毒性である薬物を投与するため(例えば、筋肉内注射を介して投与される場合、筋肉組織に対して有害である、バンコマイシンを送達するため)に使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、血液関連障害を処置する際に有用である薬物を送達するため(例えば、血友病の第VIIa因子、第VIII因子および第IX因子の投与のための)に使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、代表的に、内在するカテーテルを介して、投与される薬物を送達する(これにより、感染からの増加した安全性を提供する)ために使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、好ましくは、頻繁に(さらに連続的に)および/または厳密に制御された様式でおよび/または長期間で投与される薬物(例えば、インスリンまたは避妊薬)を送達するために使用され得る。さらに、本発明のデバイスは、推奨される送達スケジュールに従うことが困難であり得る患者(例えば、若年の患者または老年の患者)に薬物を送達するために使用され得るか、またはこの患者にとって、薬物の投与が、生活の質を低下させ続ける。さらに、本発明のデバイスは、他の送達経路が、例えば、装置の条件、熟練の医療関係者の必要性および利用性、必要とされる入院、ならびに薬物のアベイラビリティーおよび処方のコストの観点から、魅力的でない薬物を送達するために使用され得る。
【0056】
本発明の薬物送達デバイスは、天然タンパク質または合成タンパク質の治療剤(例えば、ホルモン、ホルモンに対する活性因子、酵素、および抗体)の送達に有用であることが意図される。このデバイスは、例えば、以下を送達するために使用される:凝固障害(例えば、血友病または血栓形成性の状態)の治療のための、第VIIa因子、第VIII因子および第IX因子、プロテインC、およびプロテインS、または抗トロンビンIII;ホルモン置換治療のため(例えば、インシュリン依存性糖尿病または成長因子のため)のホルモン(例えば、インシュリンもしくはソマトトロピン)または(例えば、産児制限、受胎能、または前立腺癌もしくは子宮内膜症のような障害の処置のための)生殖性ホルモン;不充分な新規の合成または欠損酵素の合成に起因する、欠損機能を提供する酵素(例えば、肝疾患クリグラー−ナジャー欠損またはα1抗トリプシン欠損を処置するためのグルクロノシルトランスフェラーゼまたはα1抗トリプシン);代謝性障害(例えば、フェニルケトン尿症)を処置するためのフェニルアラニンヒドロキシラーゼのような酵素;ならびに免疫障害および炎症性障害を処置するための、モノクローナル抗体(例えば、インフリキシマブ(infliximab)およびトラスツズマブ(trastuzumab))またはポリクローナル抗体(例えば、抗胸腺細胞グロブリン)。
【0057】
本発明の薬物送達デバイスが、血管拡張特性および細胞保護特性を有する薬剤(例えば、プロスタグランジン)の送達、特に、一次肺性高血圧症の処置のためだけでなく、二次肺性高血圧症、末梢血管疾患、レーノー症候群、全身性硬化症、および器官損傷の処置のための、例えば、PGI2(エポプロステノール)およびそのアナログ(例えば、リポプロスト(イロメジン)およびユニプロスト(UT−15))の送達に有用であることが意図される(Badeschら(2000)ANNALS OF INTERNAL MEDICINE 132:425−434;Higenbottamら(1998)HEART 79:175−179)。
【0058】
本発明の薬物送達デバイスが、以下の送達において有用であることが意図される:強心薬を含む心血管系薬物(例えば、ドブタミン、ミルリノン、ドーパミン、アムリノンおよびエノキシモン)(例えば、Harjaiら(1997)CHEST 112:1298−1303;Oliviaら(1999)AMERICAN HEART JOURNAL 138:247−253;Sindoneら(1997)AMERICAN HEART JOURNAL 134−889−900;Cesarioら(1998)AMERICAN HEART JOURNAL 135:121−129);βブロッカー(例えば、メタプロロール、ビソプロロール、カルベジロール(Hjalmarsonら(2000)JAMA 283:1295−1302));利尿薬(例えば、トラセミドおよびフロセミド(Liguoriら(1999)EUR.J.PHARMACOL.55:117−124);抗不整脈性剤(例えば、アミオダロン(Deedwaniaら(1998)CIRCULATION 98:2574−9));血管拡張薬(例えば、ミノキシジルおよびニトロプルシド)(Masuyamaら(1990)J.AM.COLL.CARDIOL.16:1175−85);一酸化窒素発生剤(例えば、モルシドミン)(Lehmannら(1995)EUR.J.CLIN.PHARMACOL.48:109−114);血小板インヒビター(例えば、チロフィバン(tirofiban)、アブシキシマブ(abciximab)およびエピフィバチド(eptifibatide))(Heeschenら(1999)LANCET 354:1757−62);抗トロンビン剤および血栓崩壊剤(例えば、ワルファリン、プラスミノーゲン活性化因子(PA))(例えば、アルテプラーゼ(t−PA)およびリテプラーゼ(r−PA)、ならびにウロキナーゼ))(Li−Saw−Heeら(1998)CIRCULATION 98:2574−9);ならびに凝固薬剤(例えば、ヘパリンまたはヒルジン)(Meyerら(1994)CIRCULATION 90:2474−80)。
【0059】
本発明の薬物送達デバイスは、種々の細菌および/または真菌感染の処置のための、以下の送達において有用であることが意図される:抗生物質(例えば、ペニシリン(例えば、アンピシリン、メチシリン、ナフシリン)、セファロスポリン(例えば、セフェピム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフォニシドおよびセファゾリン)、アズトレオナム、イミペネム、バンコマイシン、クリンダマイシン、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、アミノグリコリド(例えば、ゲンタマイシン、カナマイシン)、キノロン類(例えば、テマフロキサシン、オフロキサシン)、メトロニダゾール、アンフォテンシンB)(例えば、PRICIPLES AND PRACTICE OF INFECTIOUS DISEASES,第4版,Mandell,G.L.,Bennett,J.E.およびDolin,R.編.Churchill Livingstone,1995;OUTPATIENT PARENTERAL ANTIBIOTIC THERAPY MANAGEMENT OF SERIOUS INFECTIONS PART II;AMENABLE INFECTIONS AND MODELS FOR DELIVERY,1993年1月26日および27日に開催されたシンポジウムの予稿集,Sonoma,California,Hospital Practice、シンポジウム補遺,第28巻、補遺2、HP Publishing Company)。
【0060】
本発明の薬物送達デバイスは、以下の送達を介して癌を処置するのに有用であることが意図される:抗腫瘍性薬物(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU))、チミジル酸シンターゼ(TS)を阻害すること、ならびにRNA合成およびRNA機能に干渉することによって広範な抗悪性腫瘍活性を達成するピリミジン代謝拮抗剤(Kimら(1999)INT.J.ONCOL.15:921−926;Okudaら(1999)ONCOL.REP.6:587−591);ならびに好ましくは特定の腫瘍に使用される薬剤(例えば、膵臓癌を処置するためのストレプトゾシン、エストロゲンレセプター陽性腫瘍(例えば、乳癌)を処置するためのタモキシフェン、肺癌を処置するためのトポテカン、および甲状腺癌を処置するためのヨウ化ナトリウム(131I))。
【0061】
本発明の薬物送達デバイスはまた、以下の送達に有用であることが意図される:中枢神経系剤(例えば、鎮痙薬(例えば、クロナゼパムもしくはホスフェニトイン);解熱薬または鎮痛薬(例えば、アセタミノフェン);抗片頭痛薬剤(例えば、イミトレックス);免疫調節化合物(例えば、抗TNF剤様エタネルセプト));あるいは免疫抑制剤(例えば、ミコフェノレート);抗免疫剤(例えば、インターフェロンγもしくはサイトカイン(例えば、インターロイキン−10(IL−10およびインターロイキン13(IL−13)));抗肥満剤(例えば、レプチン);抗高脂血症剤(例えば、HMG−CoAレダクターゼの競合インヒビター(例えば、アトロバスタチン));抗催吐薬(例えば、シサプリドおよびメトクロプラミド);ならびにキレート剤(例えば、鉄キレーターデスフェロキサミン)。
【0062】
別の実施形態において、このデバイスは、一体型のアンカーおよびレザーバを備える。このレザーバは、血管に移植する前または後に、薬物が充填され得る。このタイプの実施形態において、このレザーバは、例えば、1個以上のバーブ、ホック、またはステントを含む、レザーバをインタクトな血管の内壁に装着するための一体型の固定機構を備える。このようなデバイスのための例示的な設計は、例えば、本出願と同日に出願された、同時係属中の米国特許出願 (表題「Intravascular Blood Conditioning Device and Use Thereof」)(割り当てられた代理人整理番号NPH−005)において見出され得る。本明細書中に記載されるカートリッジが、本明細書中に記載されるレザーバと置換され得ることが、意図される。
【0063】
本発明の移植される持続性薬物送達デバイスは、長期にわたって(好ましくは、数週間の範囲(例えば、1週間、2週間、3週間または4週間)、より好ましくは数ヶ月の範囲(例えば、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月)、およびある場合において数年の範囲(例えば、1年、2年、3年、4年または5年))、予め選択された薬物を送達し得る。本発明の薬物送達デバイスは、治療有効量の薬物を、所望の期間にわたって体循環に送達する。さらに、本発明の薬物送達デバイスが1以上の薬物を体循環に同時に送達するために使用される。このレザーバは、代表的に、必要な量の薬物を適切な期間にわたって送達し得る内部体積(inner volume)を有する。この内部体積は、約10μL〜約30mL、より好ましくは、約25μL〜約10mL、そして最も好ましくは約50μL〜約2mLの範囲であり得る。
【0064】
本発明の実施に有用なレザーバは、薬物が、例えば、ポンプ作動を介して送達される活性送達系、あるいは薬物が、例えば、拡散および/または対流によって送達される受動送達系であり得る。2つのクラスのレザーバは、以下により詳細に記載される。
【0065】
(1.能動薬物送達)
能動的に薬剤を送達し得る2つの一般的クラスのレザーバとしては、ケミカルポンプおよびメカニカルポンプが挙げられる。
【0066】
((i)ケミカルポンプ)
図6は、従来のケミカルポンプを示す。従来のケミカルポンプは、市販され、そして浸透圧ポンプ(osmotic pump)を含み得る。動物の血管内に挿入するための寸法であり、そしてその環境において機能し得る任意の移植可能な浸透圧ポンプが、本発明の実施において使用され得ることが意図される。
【0067】
浸透圧送達システムは、市販され、そして本発明とともに使用するために適合され得る。例示的な市販の浸透圧ポンプは、商品名DUROS(登録商標)(Durect Corporation(Cupertino、CA)から市販される)、およびALZET(登録商標)(ALZA Scientific Products(Mountain View、CA)から市販される)として販売される。DUROS(登録商標)移植片は、例えば、一旦、インサイチュで移植されると、1年までの間、動物に予め選択された薬物を連続的に送達し得る。
【0068】
図6は、浸透圧ポンプに基づく例示的なレザーバ20を示す。浸透圧ポンプは、少なくとも部分的に、第1端部および第2端部を有する、チタン合金シリンダーのような壁61によって規定される。ポンプは、第1端部から第2端部へと、半透膜62、「浸透圧エンジン」63、ピストン64、予め選択された薬物65、および送達オリフィス66を備える。移植された場合、水が半透膜62を透過し、「浸透圧エンジン」63の膨潤を誘導する。操作の間、浸透圧エンジンは、膨潤する場合、ピストン64を第一端部から第2端部への方向に押し、これは、次いで、予め選択された薬物65を、送達オリフィス66を通し、血流へと押し出す。この型の浸透圧ポンプは、周囲の流体から薬物を遮蔽しながら、薬物を組み込みそして送達することを可能にするので、この型の浸透圧ポンプは、不安定な薬物(例えば、加水分解に感受性の薬物)を送達するために使用され得る。さらに、適切な膜および/または浸透圧エンジンを選択することによって、1週間〜1年より長い範囲の期間にわたって、薬物放出を延長させることが可能である。特に、現在入手可能なDUROS(登録商標)ポンプは、報告されるように、1日当たり0.5μLの低い速度で、200mgまでの予め選択された薬物を送達し得る。
【0069】
図6にさらに示されるように、レザーバ20は、必要に応じて、インターロック機構67を備え得る。例えば、インターロック機構は、アンカーの逆(reciprocal)インターロック機構に係合するDUROS(登録商標)ポンプに接続され得る。さらに、レザーバ20は、把握可能(seizable)要素68を備えるように適合され得、この要素は、レシピエントへのレザーバの導入および/またはレシピエントからのレザーバの除去を容易にするために、グラッバー要素によってつかまれ得る。操作の間、把握可能要素68の曝露された端面をつかむことによって、インターロック機構67の半径方向寸法が、アンカー上に配置される溝型の逆インターロック機構への係合および/または引き抜きを容易にするために圧縮され得る。
【0070】
別の実施形態において、レザーバ自体は、レザーバがインタクトな血管の内壁に結合または係合することを可能にするアンカーの構成成分を含むように適合され得る。例えば、レザーバは、それ自体、血管の内壁と係合するための、ステントまたはステント様機構またはバーブまたはフックを備え得る。従って、この型のレザーバ構成は、別のアンカーの必要性を除く。
【0071】
米国特許第4,685,918号は、低い水溶解度を有する薬剤を送達する際に有用な脂質ベースの浸透圧ポンプを開示する。このポンプは、取り囲む壁材料によって取り囲まれる活性薬剤、脂質キャリアおよび浸透圧剤の内側コアコンパートメントを含む。このコアは、体温において、脂質が流体状態になるかまたは流体状態であり、そして溶解した状態または懸濁した状態で活性薬剤を保持するという特性を有する。この壁は、浸透圧剤の水溶液よりもむしろ脂質によって湿潤される最も内側の層を有する1つ以上のポリマー層からなる。この壁は、水透過性の層から構成される。活性薬剤を含む脂質キャリアは、コアへの水の流入に基づく静水圧の蓄積(build up)の結果として、壁内の穴を介してシステムから放出される。
【0072】
米国特許第4,777,049号は、外部流体の通過に対して透過性であり、治療剤の通過に対して実質的に非浸透性である半透膜から形成される壁を含む浸透圧送達システムを開示する。この膜は、治療剤および調節剤を含むコンパートメントを規定する。外部流体の流入は、壁を通る通路を通し、そしてデバイスから出るように治療剤を押しやる静水圧を作り出す。
【0073】
米国特許第5,035,891は、徐放移植片を開示する。この移植片は、治療剤、固体親水性ポリマーの浸透圧剤、および治療剤を可溶化させる薬剤を取り囲む半透膜を含む。この膜は、治療剤に対して透過性であるが、可溶化剤に対しては透過性ではなく、従って、宿主に放出された場合、潜在的に有害であり得る可溶化剤を隔離するという利点を提供する。流体の流入により引き起こされる浸透圧の増加によって、治療剤が、デバイスから放出される。
【0074】
((ii)非ケミカルポンプ)
メカニカルポンプは、エキソビボおよびインビボにおいて首尾よく使用されている。例えば、移植可能な人工心臓の場合、メカニカルポンプは、不全なネイティブな器官の機能の代わりとなるために必要とされる高い血流速度を提供する。より最近では、血管の内側に一致する微小軸(microaxial)血液ポンプは、疾患のある組織を通る血液の流れを増強し得る。例えば、微小軸血液ポンプが、肝硬変を患う患者の肝臓血液灌流を増強するために、門脈に移植され得ることを研究は示唆する(Marseilleら(1998)ARTIF.ORGANS 22:458)。
【0075】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術における最近の進歩は、移植(例えば、米国特許第5,788,468号を参照のこと)を含む、種々の適用における使用のためのマイクロポンプの開発を導いた。2mm未満の直径のサイズのマイクロポンプは、すでに市販されている。このような寸法は、上記浸透圧ポンプシステムの代わりに、移植可能な脈管内薬物送達デバイスにおけるマイクロポンプの使用を可能にする。これらのマイクロポンプは、内径が約3.5mmである12Frenchのカテーテルのような標準的なカテーテルを用いて移植され得る薬物送達カートリッジにパッケージされるほど十分に小さい。同時に、これらのマイクロポンプは、脈管内薬物送達システムの最も大きなサイズについてさえ、薬物送達を駆動するのに十分な出力を有する。マイクロポンプは、例えば、血管を通るアンカーへの有線接続を介して、または好ましくは、電磁結合または無線周波リンクを通してのように無線で、外部エネルギー源から電力を得ることができる(例えば、米国特許第4,102,344号;同第4,408,608号;同第4,673,391号;および同第6,099,495号を参照のこと)。
【0076】
あるいは、このポンプは、自立型(self−sustained)であり得、例えば、マイクロモーター、起動弁およびこれらの操作に必要とされる電源を備える。このポンプは、例えば、酸化銀電池のような小さなエネルギー電池によって、またはカートリッジを取り囲む水力学的な環境から電気を生成する変換器要素(磁気または圧電気)によって、電力供給され得る(例えば、米国特許第3,943,936号を参照のこと)。マイクロモーターは、一定速度で回転され得、それによって、薬物を一定速度で送達し、浸透圧ポンプのゼロ次応答特性を模倣する。さらに、マイクロチップを使用してマイクロモーターを制御し得、これによって、高い融通性の薬物送達ポンプを得ることができる。マイクロチップは、薬物が、例えば、経時に投薬量を次第に増加させる/次第に減少させることによって、または異なる時間に異なる量で送達することによって、所望の時間送達プロフィールに従って送達されるように、予めプログラムされ得る。あるいは、マイクロチップは、例えば、グルコースレベルに応答してインスリンを送達するために、移植可能なマイクロセンサによって提供される入力に応答するようにプログラムされ得るか、または例えば、処置レジメンに対する患者の特定の応答に従って、無線周波数またはIRシグナルによって外部的に制御され得る(例えば、WO99/55360を参照のこと)。
【0077】
さらに、このデバイスが、アンカー、ならびに体循環における特定の分子(例えば、インスリン)の存在および/または濃度を検出するためのマイクロセンサ(レザーバの代わりまたはレザーバに加えて)を備え得ることが意図される。従って、このようなデバイスは、アンカーを介して血管内に固定されるマイクロセンサを備える。次いで、マイクロセンサから誘導される情報は、必要とされる医療用機器および/または人員による分析のために体外部位に中継され得るか、あるいは、脈管外または脈管内でアンカーと関連する薬物送達デバイスを制御するために使用され得る。
【0078】
図6を参照すると、メカニカルマイクロポンプ駆動の薬物送達レザーバは、膜62の代わりにバッテリー、ならびにプリント回路およびマイクロモータ/ギアヘッドを備え、浸透圧エンジン63を置換し得る。直径が2mm未満の小型モーターは、既に開発され、そして当該分野で急速に発達している。適切なマイクロモータは、例えば、RMB Miniature Bearings,Inc.,Ringwood,NJまたはMicroMo Electronics,Inc.、Clearwater、FLから市販されている。
【0079】
モータは、市販のバッテリーシステム(例えば、小型電子デバイス中に見出される、高密度、高安定性の酸化銀ボタンセル)を電源とし得る。電源は、レザーバの統合された構成要素として組み込まれ得る。レザーバは、バッテリーを消費した場合に全体として置き換えられる必要があるが、酸化銀セルの能力は、代表的な薬物送達適用のエネルギー要求性をかなり超える。あるいは、このモーターの駆動するための電源は、ホック(これを介して、アンカーが血管の管腔に取り付けられる)に接続するマイクロワイヤを通して、血管に対して外側の大容量バッテリーによって提供され得る。
【0080】
さらに、他のメカニカルマイクロポンプもまた、本発明の実施において有用であり得る。例えば、マイクロモーター/ピストンアセンブリが、圧電性マイクロポンプによって置換され得、それによって流体は、電気的刺激に応答した固体膜の移動によってポンプされる(例えば、米国特許第4,938,742を参照のこと)。あるいは、レザーバから血流に薬物をポンプするために必要とされる駆動力は、圧電性流体によって提供され得る。所望の薬物放出プロフィールは、発動されるマイクロバルブへの電圧供給を制御するマイクロチップ中にプログラムされ得る(例えば、米国特許第4,938,742号に記載されるような、圧電性バルプ)。さらに、米国特許第5,368,588号は、流体医薬で充填されたレザーバを含む非経口流体医薬ポンプを開示する。薬物の連続的な放出が、薬物レザーバを取り囲む収縮ポリマー壁内での、力の軽減によって達成される。
【0081】
従って、浸透圧、化学的な力、電気、磁石、圧力、流体力学的な力、または他の物理的な力によって駆動されるか否かにかかわらず、動物の脈管系における使用に適した任意の移植可能ポンプが使用され得ることが、意図される。
【0082】
(2.受動的薬物送達)
このレザーバはまた、薬物を受動的に体循環に放出し得る。1つの実施形態において、このレザーバは、予め選択された薬物を含むカプセルである。次いでこの薬物は、カプセルの外に出てカプセルの周りを循環する血液中に拡散し得る。カプセルを出る薬物の輸送はさらに、カプセルの内部の対流電流(例えば、限外濾過電流)によって促進され得る。対流輸送は、所望される薬物送達動力学をカプセルに与え得る。このカプセルは、薬物処方剤の包含を容易にし、従って、カプセルの処理特徴および/または充填特徴を改善し、そして薬物粒子の損失および塞栓の形成を回避する。このカプセルは、単一の中空ファイバーまたは複数の中空ファイバーのいずれかを含み得る。
【0083】
(i)薬物処方
受動的薬物送達を達成するために、予め選択した薬物を、長期間にわたる継続した薬物送達を促進するように、処方し得る。異なる処方としては、例えば、(i)薬物が長期間にわたって拡散するポリマー膜内に薬物をカプセル化する工程、(ii)薬物放出時間にわたって破壊するリポソーム内に薬物をカプセル化する工程、(iii)マトリックスポリマーを介して均等に薬物を分配し、それによって薬物が、拡散および/またはポリマーの侵食の結果として、マトリックスから放出される工程;ならびに(iv)ポリマーが薬物を放出する時間にわたって分解する、ポリマー−薬物結合体を形成する工程が挙げられる(例えば、Langer(1998)NATURE 392、補遺5〜10を参照のこと)。
【0084】
いくつかの実施形態において、薬物は、固体または半固体内(ゲル様支持体)に固定される。例えば、薬物は、ポリマー製ケース内に入れられ得、ここから、薬物は、長期間かけてゆっくりと浸出する。別の実施形態において、薬物は、化学的な力または物理的な力を介して、生分解性固体支持体と強く会合する。このような場合、放出速度は、例えば、ポリマーの分解速度に依存する。
【0085】
図7Aは、溶液または懸濁液のいずれかの中に薬物を含む内部容量72を規定する、半透過膜71を含む、例示的なカプセルを示す。この実施形態において、薬物の放出は、膜71の孔を介した薬物の拡散速度によって制御され、次に、膜と薬物と溶媒との間の相互作用によって制御され、そして膜の厚み、有孔性、孔の大きさ、およびねじれなどの膜輸送特徴によって制御される。膜はさらに、生体侵食性であり得、その結果、時間が経つにつれ膜の厚みが少なくなり、そして/または膜の有孔性が増大し、それによって薬物の拡散を増大する。従って、カプセル内部の薬物濃度を低減することは、薬物送達速度を維持するための有孔性の増大によって補われ得る。
【0086】
複合体固定化マトリクスはまた、固定を制御する速度をシフトするために使用され得、従って、薬物放出速度における所望の変化を達成する。図7Bは、別の例示的なカプセルを示し、これによって、半透過膜71は、内部容量72を規定する。しかし、半浸透膜71は、不浸透性であるが分解可能な層73によって取り囲まれる。このシステムの配置は、遅延した期間(lag phase)(この間に、不浸透性層73が分解される)の後の、薬物の徐放をもたらす。カプセルの不浸透性層73が侵食されるまで(その段階で、そのシステムは、図7Aに示されるシステムによって達成される薬物放出動力学を生じる)、薬物の放出はない。不浸透性層の材料および厚みを変えることによって、薬物放出の遅延時間を制御することが可能である。
【0087】
他の実施形態において、薬物は、半浸透性マイクロカプセル内に入れられ得、この半浸透性マイクロカプセルもまた浸透性流体を含む。この場合、薬物は、カプセルから出ることを妨げられる。対照的に、水は、そのカプセルに入ることができ、それによって、カプセルの内部圧を、そのカプセルが破裂してカプセルの内容物を放出する点まで上げ、それによって薬物のボーラス送達を刺激する。この場合の薬物送達の動力学は、浸透圧、カプセルの破裂強度、カートリッジを介した水の拡散速度、およびカプセルの中に含まれる薬物の量に依存する。ボーラス薬物送達がカプセルの大きさ、厚みおよび材料、浸透性流体および薬物濃度を変化させることによって、異なる時間で生じる薬物送達プロフィールを、当業者が達成し得ることが、意図される。
【0088】
他の実施形態において、薬物は、外部刺激に応答して薬物を放出するポリマーと関連し得る。例えば、ポリマーは磁性マイクロビーズを含み得、その結果、ポリマーが体外供給源の振動磁場に曝露される場合、ビーズの移動は、ポリマーの輸送特徴を変更し、それによって、必要とされる薬物を送達する。超音波、電流、pH、温度、または生体分子(例えば、当該分野で公知のグルコース)の局所濃度に応答した他のポリマーシステムが、本発明の実施において有用であり得る(例えば、米国特許第6,099,864号を参照のこと)。
【0089】
他の実施形態において、薬物は、薬物放出動力学のより正確な制御を提供するマイクロ電気機械システム(MEMS)と関連し得る。例えば、図7Bに示される薬物処方剤の微視的バージョンは、マイクロチップ上に配置され得、それによって不浸透性であるが分解可能であるポリマー層73の機能は、マイクロチップで制御された電流の適用によって必要に応じて分解する、金属製カバー層によって置換され得る(例えば、米国特許第5,797,898号に記載される)。その結果、薬物は拡散または伝達によって受動的輸送が利用可能になる。
【0090】
上記手段の組み合わせが、所望の薬物放出動力学を達成するために使用され得る。
【0091】
(ii)膜
好ましいカプセルを作製する際に有用な膜は、レザーバから出て体循環に入る予め選択された薬物分子の、拡散および/または伝達による選択的な輸送を可能にするような大きさにされた孔を有する半浸透材料から作製される。膜は、薬物処方粒子または薬物処方マイクロカプセルではない薬物が体循環中に放出されることを可能にするように選択される。必要に応じて、膜は、例えば、マクロファージまたはリンパ球のような宿主免疫細胞(これらは、レザーバの内部に侵入した場合、予め選択した薬物の寿命に有害であり得る)の流入を防ぐように設計される。
【0092】
膜は、生体適合性ポリマーから作製され得、生体適合性ポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタンイソシアネート、アルギネート、酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリアリールエート(polyarylate)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、またはこれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。市販の中空繊維膜の要約(製造方法および市販の供給源の名前を含む)は、Radovich(1995)「Dialysis Membranes:Structure and Predictions」Contrib Nephrol.,Basel,Karger,113:11−24に示される。血流に予め選択した薬物の所望のレベルを生成するのに十分な薬物が単一の中空繊維に埋め込まれえる場合、本発明のカプセルは、好ましくは、単一中空繊維を含む。あるいは、必要量の薬物が単一中空繊維に取り込まれ得ない場合、薬物は複数の中空繊維に配置され得る。
【0093】
さらに、カプセルの性能は、半透過性膜に対するフィブリンおよび/または血小板の沈着、あるいは半透過性膜周辺の血栓形成を減少させることによって増強され得ることが企図される。カプセルおよび/または中空繊維の表面に接触している血液に対する、過剰のフィブリンおよび血小板の沈着、あるいはそれらの血液周辺の血栓形成は、さらなる境界層状態を生じ得、これが、周辺の血流への薬物の拡散に影響を及ぼす。この問題は、血液と接触する材料の生体適合性を改善するための方法(先に記載した)に従って、膜の血液適合性を改善することによって解決され得る。
【0094】
多くの適用について、レザーバサイズは、例えば、原発性肺高血圧症の処置のためのプロスタサイクリンの投与または前立腺癌を処置するためのロイプロリドの送達を制限しないが、他の可能性のある適用は、多量の薬物の投与を必要とする。このような適用は、頻繁なレザーバの交換または少ない頻度でのより大きい薬物送達カートリッジを移植する代替的手段を必要とする。あるいは、空のレザーバが移植され得、次いで、インサイチュで薬物が充填され得る。空のカートリッジのサイズは、移植され得るように十分に小さいが、薬物の充填時に、そのカートリッジは、より大きいサイズに拡大する。
【0095】
図8は、本発明の実施において有用な、2つの例示的な空のレザーバを示す。図8Aは、固体支持フレーム82(例えば、穿孔処理された管状フレーム)の周辺に取り付けられた可撓性の透過性膜81を備える、レザーバ20を例示する。レザーバの長さは、空または充填に拘わらず固定されるが、その直径は、空の場合には、実質的に支持フレームの直径であるが、バルーンのように、その直径は、充填された場合に、可撓性の膜の表面積および弾性によって規定される直径に増加する。レザーバはさらに、中隔83を備え、これは、レザーバの内容量をシールするが、一旦インサイチュに配置されると、レザーバへの薬物の充填を可能にする。図8Bは、第2の例示的な、固体支持フレームを欠いている空のレザーバを示す。この型のレザーバにおいて、空のカートリッジ20の膜81は、レザーバの少なくとも固体部分によって規定される空洞内に折り畳まれ、そしてレザーバの内側の容量のインサイチュ充填中に生じる陽圧に起因して、空洞から外側に放出される。この場合、膜の材料および寸法は、充填時に、膜が、バルーンのように、球状よりもむしろ所望の細長い形状想定し、そして必要とされる長さを維持するように、選択されなければならない。
【0096】
(アンカーおよびレザーバの生体適合性)
本発明のデバイスは、その周辺の血液の通過が損なわれないのを可能にするように、そしてそのデバイスに対する、宿主によって誘発される血栓形成応答または補体応答の可能性を減少するように、設計される。従って、デバイスのサイズは、それが移植される血管のサイズに依存する。例えば、薬物送達デバイスのレザーバのサイズは、4cmの直径を有する大静脈に移植される場合、好ましくは、直径2cm未満であり、血管の断面積の約75%を血液が流れるのを可能にしたままにする。レザーバは、例えば、レザーバの周辺の血流を最適化することによって、長期間の性能を増強するように適合され得る。従って、このような設計は、レザーバの表面に接触する血液上への血小板の付着および/または血栓および血餅の形成、あるいは狭窄を予防するのに適切な、カプセル周辺の剪断レベルを提供する。
【0097】
異なる形状を有する種々のレザーバが、本発明の実施において有用であり得る。好ましいレザーバを、実施例2に詳細に説明する。好ましい形状は、移植された血管内レザーバを通過する血液における乱れを最小化するように設計される。レザーバの上流端の形状は、レザーバの下流端の形状よりも重要ではないようである。詳細には、レザーバの下流端は、ウェーク効果を最小化するようにその頂端に対してテーパ状である。しかし、レザーバの上流端についての種々の形状は、カートリッジ周辺への血液の流れを向けるために流れ指向部材を使用することが有利であり得る、特定の状況下で、使用され得る。流れ指向部材は、円錐形状であり得、この部材の頂部が、レザーバに対して上流に配置され、そしてこの部材の基部が、レザーバに対して下流に配置される。
【0098】
さらに、デバイスの性能が、血液と接触するデバイス材料の全て(これらが、薬物送達レザーバの部分であるかまたはアンカーであるかに拘わらず)の生体適合性を改善することによって増強され得ることが企図される。この点において、多くのアプローチが、体循環中に配置される生体材料の血液適合性を改善するために開発されてきた(例えば、Ishihara(1993)「Blood compatible polymers」、Biomedical Applications of Polymeric Materials、Tsuruta T.、Hayashi T.、Kataoka K.、Ishihara K.、Kimura Y.(編)、CRC Press、Boca Raton、FLを参照のこと)。これらの努力には、以下が挙げられる:材料の親水性を増加することによるタンパク質吸着の排除、疎水性を増加することによる血液−材料界面の減少、レザーバの表面上への微小相分離を組み込むことによる血小板の接着および活性化の阻害、血管の表面特性を真似る高度に可動性の親水性部分および負電荷の組み込み、または、生物学的系(例えば、凝固系)の反応カスケードを阻害するための表面上への生物学的に活性な分子の組み込み。後者は、最も広く開発されたアプローチであり、これによって、ヘパリンが、生体材料中に組み込まれ、生体材料の表面上の局所的抗凝固活性を達成し得る。例えば、Duraflo IIヘパリン膜(Bentley Labs、Baxter Healthcare Corporation、Irvine、California)は、膜のコートされた表面上にヘパリンの層を含み、これは、少なくとも数日間効果的である。例えば、Hsu(1991)Perfusion 6:209−219;Tongら(1992)ASAIO Journal 38:M702−M706を参照のこと。さらに、亜硝酸中でのヘパリンの分解によって調製されるヘパリンのフラグメントは、ヘパリンの末端付着によって、ポリエチレンイミンポリマーコートに共有結合され得る(Larmら、(1983)Biomat.Med.Dev.Art Organs 11(2&3):161−173、Larssonら(1987)Ann N.Y.Acad.Sci.516:102−115)。このプロセスは、数ヶ月間生体材料の表面上で有効な抗凝固剤活性を提供することが示されている(Larssonら(前出))。レザーバの血液接触表面のヘパリン化は、フィブリンおよび血小板の沈着ならびに/または血栓形成を最小化し得ることが企図される。
【0099】
得られたレザーバは、その後、単独でか、または血液透過性要素と組み合わせて中空繊維の束として、レシピエントの血管系へ移植され得る。移植のための方法を、以下に議論する。
【0100】
(デバイスの移植)
本発明のデバイスは、非侵襲性または最小侵襲性の外科手順によって、宿主の血管系へ挿入され得る。より詳細には、本発明のデバイスは、種々のカテーテルベースのデバイス(例えば、血管系内へステントおよび血餅移動防止フィルターを移植するために開発されたデバイス)によって導入され得ることが企図される。
【0101】
例えば、米国特許第3,952,747号、同第5,147,379号および同第5,415,630号、ならびに国際特許出願PCT/US92/08366は、レシピエントの血管系内への血餅移動防止フィルターの移植のためのカテーテルベースのデバイスおよび方法を記載する。代表的には、カテーテルベースのフィルター挿入装置は、以下を備える:収縮されたコンパクトな状態で血餅移動防止フィルターを支持するためのキャリア;予め選択された部位でフィルターを射出するために、通常、キャリア中に配置される、射出器機構;およびその予め選択された位置へ血管に沿ってキャリアを進ませるための、キャリアに連結された、細長い可撓性の管。一旦、血管中の好ましい位置に導入されると、フィルターは、キャリアから射出される。自己開口および自己移植フィルターを使用する場合、フィルターは、キャリアから簡単に射出され、その際、フィルターは、それ自体を血管の壁に係留させる。しかし、手動で開口されそして係留されるフィルターを使用する場合、挿入装置は、このような開口および係留工程をもたらすためのさらなる手段を含み得る。
【0102】
フィルターは、代表的に、経皮穿孔によって内頸静脈または大腿静脈を介して挿入される。経皮挿入の間、および従来の大静脈造影後、内頸静脈または大腿静脈を針で穿孔し、そしてその針を介してガイドワイヤを血管内に挿入する。次いで、組み合わせのシース/拡張器ユニットを、シースの端が移植部位を越えて位置されるまで、ガイドワイヤにわたって静脈内に押し込める。シースを定置に維持しながら、拡張器およびガイドワイヤを除去し、その後、シースが残される。シースは、導入カテーテルの挿入を可能にするアクセスとして作用し、この導入カテーテルは、フィルターを保持するキャリアを備える。シースを、滅菌ヘパリン化生理食塩水でフラッシュして、導入カテーテルの挿入中に生じ得るシース内の潜在的な血栓形成を防止する。導入カテーテルを、フィルターキャリアカプセルの先端が移植部位に隣接して配置されるまで、シース内に進める(ただし、シースの端を越えない)。次いで、シースを、キャリアカプセルが完全に露出されるまで、導入カテーテル上へ引っ込める。次いで、フィルターを、押し出し機構によってキャリアカプセル外に押し出し、その際に、フィルターの脚が、外側に飛び出し、そして血管の内壁と係合し、それによって、フィルターを定置に係留する。アンカーは、同様の手順に従って、当業者によって移植され得ることが、企図される。一旦、アンカーが、血管内に射出されそして係留されると、予め選択された薬物を含む薬物送達カートリッジも同様に、アンカーの上流の位置にて血管内に同じカテーテルを介して導入され得る。相補的なロック機構の機能を有するアンカーおよび薬物送達カートリッジ要素の使用は、アンカーのいずれかの部位からの薬物送達カートリッジの送達をさらに可能にする。次いで、導入カテーテルが、シースを介して血管から除去され得る。一旦、導入カテーテルが除去されると、シースもまた除去され、そしてその穿孔部位は、恒常性が達成されるまで圧縮される。
【0103】
ステントを移植するための手順は、特に、自己拡張ステントの場合に、上記と同様の工程に従う。自己拡張型でないステントの場合、その手順は、さらなる工程を必要とし、例えば、代表的には、バルーン型のカテーテルを使用して、収縮されたステントを拡張させる。バルーンを、最初に拡張して、カテーテルを拡張し、次いで、収縮させて、そのバルーン型のカテーテルの引き抜きを可能にする。種々のステント設計および配置手順が、開発されており、当業者に公知である。例示的なステント設計および対応する移植手順は、例えば、米国特許第4,655,771号;同第5,071,407号;同第5,078,720号;同第6,113,608号;同第5,792,172号;同第5,836,965号;同第6,113,62号;同第6,123,723号および同第6,136,011号に開示される。
【0104】
一旦、インサイチュで固定されると、このレザーバは、血管中に導入され得、そして図9に例示されるように、固定されたアンカーに固定される。血流の方向は、矢印により示される。図9Aは、血管の内壁32に固定されたアンカー10を示す。この断面図は、インターロック機構18を備えるレセプタクル14を示す。図9Bは、固定されたアンカー10に対する挿入カテーテル40を示す。図9Cは、グラビング要素42によりカテーテル40に沿って送達されているレザーバ20を示す。一旦、適所に配置されると、このグラビング要素42はこのレザーバ20を解放し、そして拡大したレザーバ固定部材は、レザーバ20上のインターロック機構がアンカーのインターロック機構18と対になり、そしてこのインターロック機構18と係合するまで、延びる。一旦、レザーバ20が係合されると、このグラビング要素42は、引っ込められる。その後、固定されたアンカー10および薬物送達デバイスのレザーバ20の要素を適所に残したまま、挿入カテーテル40が引き抜かれる(図9D)。合併症の場合または治療の終了時にレザーバを取り出すため、または最終的には、このレザーバを、連続的および/または改変された治療のための同じかまたは異なる薬物処方物を含む新しいレザーバと交換するために、この手順は逆にされ得る。さらに、上記の移植および/または回収手順は、融通がきき、そして広範なアンカーおよび/またはレザーバ(例えば、薬物分散もしくは対流に基づくレザーバ)、または能動薬物送達(例えば、浸透圧および/または電気機械的ポンプによって)と共に使用され得る。
【0105】
レザーバが空であり、インサイチュで固定されると、このレザーバが薬物で満たされる、類似の手順もまた使用され得る。図10は、インサイチュでレザーバに薬物を充填するための例示的なプロトコルを例示する。図10Aは、血管の内壁32に固定されたアンカー10、およびこのアンカーに係合された空のレザーバ20を例示する。挿入カテーテルは、アンカー10およびレザーバ20に対して空間的な関係で示される。図10Bは、挿入カテーテル40内に配置された導管50を例示する。この導管は、一端において、レザーバ中に薬物を導入するための充填デバイスを有し、他方の端において、この導管は血管外または体外のレザーバ52に連結される。導管50の端部における充填デバイスは、例えば、レザーバ中に配置されたゴム隔壁を穿孔し得るシリンジ針(これを通して薬物がレザーバ中に導入され得る)を備え得る。重力または外部ポンプは、薬物懸濁液を、血管外または体外レザーバ52からレザーバ20へ送達するために使用され得る。図10Cは、一旦、レザーバ20が薬物で満たされると、導管50がカテーテル40を通して引っ込められ得ることを示す。導管50が引き出された後に、カテーテル40が、薬物送達デバイスを薬物送達のためにインサイチュに残したまま、引っ込められ得る。
【0106】
あるいは、レザーバは、インサイチュで、血管外要素(例えば、レザーバ、ポンプおよび/または血管アクセスポート)により薬物を再充填され得る。この血管外要素は、導管を介して血管内レザーバに連結され、そしてこの血管内レザーバと流体連絡する。この導管は、一端でアンカーが付随したレザーバに連結され、そして他方の端で血管外要素と連結される。この血管外要素は、体内に位置しても体外に位置していてもよいが、好ましい実施形態において、この血管外要素は、体内に位置し、より好ましくは、皮下に位置する。この血管外要素は、例えば、薬物の注射によって、定期的に再充填され得る。次いで、この薬物は、アンカーが付随した血管内レザーバ中に流れ、そしてこの血管内レザーバを再び満たす。この血管外要素がポンプである場合、血管外の体内ポンプは、アンカーが付随した血管内レザーバに薬物を移し、そして/またはこの薬物を貯蔵するために使用され得る(例えば、ポンプが固有のレザーバを有する場合)。これらの実施形態により、アンカーと付随した血管内レザーバは、例えば、薬物を血管外要素に皮下注射することによって、容易に再充填され得る。この再充填は、例えば、約1ヶ月〜約3ヶ月の期間の間、ほぼ毎日〜ほぼ4週毎に行われ得る。
【0107】
また、別の実施形態において、別個の血管内レザーバは、アンカーと密接に関係しない。しかし、血管外要素(例えば、レザーバ、その固有のレザーバを有するかまたは有さないポンプ、および/または血管アクセスポート)は、アンカーが位置する血管中に侵入する導管と連結され、そしてこの導管と流体連絡する。この導管の一部は、アンカーによって適所に保持され、そして薬物は、この導管中の開口部から血流に直接排出される。この血管外要素は、例えば、薬物の皮下注射によって、再充填される。このシステムは、血管内レザーバを使用せず、薬物を血管に供給するための血管外要素に頼る。さらに、例えば、導管を適所に縫合するために、この導管の端部への外科的アクセスが必要ではない。あるいは、別個のアンカーを使用する代わりに、導管は、この導管を血管に取り付けるための一体的係合手段(例えば、フック、バーブまたはステント)を備え得る。これらの例の各々において、アンカーまたは係合手段は、導管を血管内に固定し、そして血管壁との接触を最小限にする。好ましい実施形態において、導管の出口は、この出口が血管の管腔の中央付近に位置するように固定される。
【0108】
しかし、デバイスの体循環内の移植のために好ましい位置は、このデバイスの意図される用途に依存し得ることが理解される。例えば、いくつかの状況に置いて、デバイスを大腿静脈または頸静脈を介して導入し、次いで天然の静脈(例えば、下大静脈、上大静脈、門脈または腎静脈)内の位置にアンカーを固定することが望まれ得ることが企図される。しかし、臨床的状況に基づいて、医師は、ケースバイケースで、デバイスを導入するための最適な様式、ならびにデバイスを固定するための最適な位置を決定し得ることが理解される。このような判断は、当業者の技能内であることが意図される。
【0109】
本発明の実施は、以下の実施例からなおさらに十分に理解され、以下の実施例は、例示のみのために本明細書中に示され、いずれの様式でも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0110】
(実施例1.移植研究)
本発明の血管内薬物送達デバイスの機能性を試験するために、研究を行った。これらの研究を、カテーテル送達系を使用して、静脈切開を介してイヌの大静脈へデバイスを移植することによって行った。このデバイスに起因する負の効果は、観察されなかった。この動物の健康状態は、研究期間(21日)中に損なわれなかった。さらに、移植は、研究期間中に、大静脈の開存性も他の血管の開存性も損なわなかった。さらに、デバイス自体は、インタクトなまま維持され、そして移植部位に(ずれも移動もなく)存在したままであった。デバイスからの薬物放出もまた、蛍光標識した化合物を使用してインビボで確認した。
【0111】
デバイスを、薬物送達カートリッジ(すなわち、レザーバ)をアンカーと組み合わせることによって構築した。これらのデバイスは、図3Aおよび3Bに記載のデバイスに類似した。さらに、これらのデバイスは、カートリッジレザーバとアンカーとの間に流れディレクタをさらに備えた。この実験は、血管内移植片と宿主動物との間の相補作用に焦点を当てたので、カートリッジレザーバを、連結系を介してよりむしろ、アンカーに永久的に固定した。同じ理由で、デバイスを、経皮送達系を使用するよりもむしろ、静脈切開を介して動物に移植した。
【0112】
これらのデバイスを、モデル薬物送達カートリッジレザーバとして、ALZA Scientific Products(Mountain View、CA)から市販される、ALZET(登録商標)浸透圧ミニポンプを使用して構築した。ALZET(登録商標)モデル番号1002(0.25μL/hで2週間送達し得る微小浸透圧ポンプ)を、本研究に使用した。このカートリッジレザーバを、迅速に硬化するエチルシアノアクリレート接着剤(Insta−Cure 3SI−1(BSI、Atascadero、CAから入手可能))で、アンカーアセンブリに固定した。アンカーへのカートリッジレザーバの連結部は、0.25インチ直径のPTFEロッドから機械加工した流れディレクタを用いて流線型化した。この流れディレクタは、アンカーの頭部上をスライドし、そして摩擦ばめを介してその位置に維持された。さらに、流れディレクタは、ほぼ円錐状の形状を有し、これは、このデバイスがインサイチュで移植された場合に上流に位置されるよう構築された細い部分と、このデバイスがインサイチュで移植された場合に下流に位置されるよう構築された幅広の部分とを有する。この円錐形状は、この流れディレクタが、カートリッジレザーバ周辺での血液の流れを指向するのを可能にする。この流れディレクタをまた、カートリッジレザーバの凸型表面に相補的な凹型表面を提供して、カートリッジレザーバにためのレセプタクルを提供し、良好なフィットおよび構成要素間のシールを可能にするように、幅広すなわち底部の端を機械加工した。アンカーは、市販の血餅抗凝固フィルター(Greenfield(登録商標)フィルター)、または医療グレードの0.015インチのステンレス鋼(316L)ワイヤで構築された、同様の直線縁(straight−limb)フィルターの、いずれかであった。例えば、1つのデバイスを、アンカーとして12−F Greenfield(登録商標)フィルターを用い、カートリッジレザーバとして微小浸透圧ポンプを用いて構築した。これらの2つの構成要素を、テフロン(登録商標)製の流れディレクタと接続した。
【0113】
構築の間、アンカーおよび流れディレクタを、エチレンオキシドで滅菌し、その後、カートリッジレザーバを固定した。このカートリッジレザーバは、滅菌状態で購入した。このカートリッジに、送達される薬剤の滅菌溶液または懸濁液を充填し、そして層状のフローフード下で、無菌状態で構築した。次いで、充填されたカートリッジレザーバを、滅菌した瞬間接着剤を用いてアンカーに固定し、そして完全なデバイスアセンブリを、送達カテーテル内(5/16インチの内径および1/32インチの壁厚を有する滅菌PTFEチューブ)に配置した。カテーテルのサイズを、それが、試験動物(イヌ)の大静脈内に容易にフィットしつつ、なお、このデバイスを適応させ、プランジャーによって押された場合にそのカテーテルを通ってデバイスが滑り出すのを可能にするよう、選択した。
【0114】
大きいイヌ(体重約30kg)を、移植手順に使用した。手術の前に、これらの動物を、水を自由に提供して、一晩絶食させた。手術前に、これらのイヌに、0.2mg/kgのブタフェノール、0.05mg/kgのアセプロマジン、および0.01mg/kgのグリコピロレートを、前麻酔剤として注射した。次いで、これらの動物を、200mgのペントタールの静脈内投与で麻酔し、挿管し、そして2%イソフルラン(バランス酸素)で麻酔下に維持した。
【0115】
大静脈を露出させた後、腎臓の動脈および動脈を、単離しそして閉塞させた。即座に、大静脈に交差クランプを留めて流れを妨げ、そして部分的な静脈切開を行った。このデバイスを含む送達カテーテルを、その開口部を介して大静脈に挿入した。このデバイスを、カートリッジレザーバが下流に面するように、配置した。その後、このデバイスを、プランジャーの補助によって、カテーテルの内側に押し出した。カテーテルからデバイスが出た後、アンカーが傘状に拡張し、血管壁を係留した。次いで、プランジャーとカテーテルを引き抜き、移植されたデバイスをインサイチュに残した。次いで、この大静脈部分を、5.0プロリン縫合糸で閉じた。このクランプおよびタイを取り出し、そして出血について注意深く検査した後、2−0Vicryl縫合糸を有する三層閉鎖物を使用して、腹腔を閉じた。手術後に、動物に、0.02mgのBupernex(鎮痛のため)、ならびに800mgのBacterim、抗生物質を、一日二回を投与して、感染を予防した。回復後、これらの動物をそれらのケージに戻した。この研究に使用したALZET(登録商標)ポンプの寿命(21日)は、移植期間の上限を提供した。
【0116】
移植後、大静脈開存性を、一定の時間間隔で、螢光透視法によって確認した。この実験の終わりに、この動物を安楽死させ、その腹腔を開き、そしてその露出した内部構造を注意深く検査した。大静脈を移植したデバイスと共に取り出し、リンスし、そして長手軸方向に切って、移植後の相互作用の評価のために移植片を露出させた。血管内空間におけるデバイスの存在の結果として血栓形成の程度を評価するために、心臓および肺を取り出し、そして切断して、血栓が血管中に留まり血管を閉塞しているか否かを決定した。移植した薬物送達カートリッジレザーバを介して注入された薬剤の存在についての続く分析のために、心臓サンプルおよび肺サンプルを、大静脈組織、肝臓組織および腎臓組織のサンプルと共に収集した。
【0117】
大静脈を通る血流は、血管内移植片によって損なわれなかった。移植18日後に撮影した蛍光透視鏡画像(21日目での研究終了前の最後の蛍光透視法)によって、血流が損なわれていないことが示された。流れている血液は、薬物送達カートリッジレザーバの周囲に示され、このレザーバは、血管の中心に対称的に出現した。この閉塞していない流れは、大静脈の直径(約10mm)が移植片の直径(約6mm)よりもわずかにしか太くないという事実にもかかわらず見られた。ヒトの大静脈はより太く、代表的には直径約20mmよりも太く、それゆえ、ヒトにおける開存性は、懸念が少ないはずである。さらに、この蛍光透視鏡分析により、このデバイスの周辺の血流が、アンカーの内部でさえも深刻には損なわれていないこと、およびこのデバイスがその完全性を保持することが示された。
【0118】
この動物を21日目に屠殺した後、以下のことが観察された。大静脈壁は損なわれておらず、炎症は存在せず、そしてのデバイスは移動していなかった。また、アンカーの脚部の一部は、血管内皮に取り込まれたが、大静脈内腔は清浄であり、そして何の付着物もなかった。デバイス自体(主に、流れが停滞した領域の周辺(例えば、アンカー脚部の間))にはいくらかの凝固が存在したが、剖検によれば、凝固はこの領域に限られていた。最終的に、大静脈、心臓および肺を含め、分析した組織のどこにおいても、凝固の徴候も血栓の徴候も存在しなかった。
【0119】
さらに、アンカーと大静脈壁との間の係合の強度を分析した。デバイスおよび大静脈を観察するための大静脈の収集および長手方向での切片化の間に、アンカーの6つ全ての脚部は、大静脈壁に係合したままであった。従って、バネに基づく圧力計を用いて、アンカーを大静脈壁から離すように引き出した。分離前に測定された力は、2lbf、すなわち10Nを超えた。測定された係合力は、大静脈が断片化されない場合よりも大きいことが意図される。
【0120】
移植の間のカートリッジレザーバからの薬剤の注入もまた確認した。ALZET(登録商標)微量浸透ポンプに、20nmポリスチレンミクロスフェア(Molecular Probes F−87−87)の懸濁物をローディングした。これらの粒子を、以下の理由から指標として選択した:(i)これらは強く蛍光を発し、従って検出が容易である、(ii)これらは安定であり(すなわち、これらは分解されず、代謝もされない)、そして不活性である、そして(iii)これらは腎臓のクリアランスからサイズ排除される。この研究の最後に、蛍光のマイクロスフェアが、収集した全ての組織切片に留まっているのが観察された。
【0121】
これらの実験は、薬物送達デバイスを宿主の血管(vaosculative)に導入することが可能であり、そして導入した場合、このようなデバイスは宿主によって耐えられることを示す。さらに、一旦導入されたら、このデバイスは、宿主の血流中に目的の化合物を送達する。
【0122】
(実施例2.流れの研究)
移植可能なデバイスの各構成要素の形状を好ましくは、このデバイスと血液との間の相互作用の程度を最小にするために最適化する。流れの停滞および渦は、このデバイスの近傍の血管内腔において低減または排除され得、次いで、血液の個々の成分(例えば、循環している血小板)がこのデバイス周辺に集まることが防止され得る。さらに、このデバイスと接触したこのような血液成分の滞留時間は短縮化され得、それによって、凝固の可能性を実質的に低下させる。例示のために、直径2.5cmの下大静脈における2L/分の代表的な流速で、血液の平均線速度は21.3cm/秒であると見積もられる。従って、血液が10cmの長さの移植片上を流れるのに0.5秒間かかると評価される。しかし、血管腔へのかなりの大きさの移植片の導入は、血流をかなり乱し得、そして渦および流れの停滞を伴った領域(このような領域は、凝固しやすいと認識されている)を生じ得る。移植片の形状を流線形にして、通常、「空気力学的」と考えられる形状を得ることによって、流れの乱れを最小にすることが可能である。
【0123】
種々の移植片形状の影響は、血管の内腔に係留された移植片を含む大静脈の流体力学をシミュレートする、モデル流れシステムを用いて可視化され得る。このようなモデルでは、透明なTygonチュービングを用いて、ヒト大静脈をシミュレートし得る。試験移植片をTygonチュービングの内側に配置した後、室温の水を、蠕動ポンプを介してこのチュービングを通してポンピングする。流速は、このモデルシステムとヒト大静脈との間の流体力学類似性を達成する(すなわち、このモデルシステムにおけるReynolds数は、ヒト大静脈の内側を流れる血液について計算されたReynolds数と類似する)ように制御され得る。流体の流れは、着色染料を、移植片モデルの上流でこのチュービング内に導入することによって可視化され得る。染料の流線は、特定の移植片モデルに関する流体の流れの性質を示す。この流れを、三脚に取り付けた運動カメラ(motion camera)に記録し得る。
【0124】
目的の形状に機械加工され、モデルアンカー(例えば、12F Greenfield(登録商標)フィルター)に固定されたポリプロピレン製の1/4インチのロッドのモデルカートリッジを備える試験デバイスをこのようなモデルシステムに移植することによって、モデルカートリッジの縁部を丸めることが、渦および流れの停滞の領域を最小にするに有用であることが見出された。この型の研究によれば、モデルカートリッジの前端で必要とされる丸める程度は、モデルカートリッジの尾部端で必要とされる丸める程度ほど重要ではなかった。放射状のプロファイルおよびポリプロピレン製ロッドの半径と同様の半径を有する円錐形の流れディレクタは、前端に好ましい形状を提供するに充分であった。より鋭い形状の尾部は、モデルカートリッジの背後で乱流ウェークの形成を維持する際に有用であった。ウェークの発達は、モデルカートリッジおよびモデル大静脈の相対直径に依存することが見出された。移植片カートリッジがチュービングの直径の3分の1未満であった場合、モデルカートリッジの主要本体の直径の2倍にほぼ等しい距離にわたって延びる尾部を有する、傾斜した尾部のデザインが、ウェークの形成を排除するに充分であり得ることが見出された。対照的に、モデルカートリッジの尾部端が形成されていない場合(例えば、モデルカートリッジが純円柱形状を有した場合)、2つの対称な渦を有するウェークが形成され得る。この型の研究によれば、カートリッジ形状は好ましくは、頂端に向かって延びる、丸めた尾部または傾斜した尾部のデザインを含み、ここで、カートリッジ本体から尾部の頂端までの距離は、カートリッジ本体の直径長さの約1倍〜約3倍に等しい。
【0125】
(実施例3.原発性肺高血圧を処置するためのプロスタサイクリンアナログの送達)
原発性肺高血圧は、高い罹病率および死亡率に関連した、極めて深刻な、現在不治の疾患である。この疾患は、プロスタサイクリン(エポプロステノールおよびプロスタグランジンI2またはPGI2としても公知)の不適切な産生の結果である。プロスタサイクリンは、血管系全体の内皮細胞によって分泌され、そして血管の維持において主な役割を果たす、分子である。他の効果の中でも、プロスタサイクリンは、強力な血管拡張剤であり、かつ血小板活性化および血栓形成の強力なインヒビターである。肺の血管における不充分な量のプロスタサイクリンは、この血管が狭くなることを導き得、肺の動脈における高血圧、ならびに肺における血液の不適切な流れおよび酸素付加をもたらす。従って、他の点では健康な心臓および肺を有するとはいえ、原発性肺高血圧に罹患した患者は、正常に機能することができない。未処置のままの場合、この疾患は、二次的な心不全をもたらし得る。特定の場合、処置は、肺および心臓の移植を必要とし得る。しかし、ここ数年、プロスタサイクリンおよびそのアナログの投与に基づく成功裏の処置が開発されている。プロスタサイクリン処置は最初に、心臓−肺移植を可能にするに充分に長く患者を維持するために開発された。しかし、近年の報告は、携帯型体外注入ポンプ(Shapiroら(1997)J.AM.COLL.CARDIOL.,30:343−9)または安定な合成アナログであるイロプロスト(iloprost)(Higenbottam(1998)HEART 79:175−179)の助けを借りて、長期の連続血管内投与で処置された患者についての有望な結果を提示する。
【0126】
本発明のデバイスを用いて、携帯型注入ポンプ/カテーテルシステムおよびプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリンアナログレザーバを、この薬物を長期(例えば、少なくとも3ヶ月間)にわたって標的組織に近接して注入し得る完全内蔵型デバイスで置き換えることによって、原発性肺高血圧の治療をさらに改善し得る。従って、図4に示すアンカーのようなアンカーは、カテーテルの助けを借りて患者の大静脈に移植され得る。プロスタサイクリンの安定なアナログであるイロプロストは、レザーバ(例えば、市販のDUROS(登録商標)型ポンプ)中にローディングされ得る。商標名Endoprost、IlomedinおよびIlomedineでも公知であるイロプロストは、Schering AG(Berlin,Germany)から入手可能であり、そして半分の用量しか必要でない、その血管拡張作用の増大、その安定性およびその化学的安定性の増大から、エポプロステノール(商標名Flolanでも公知であり、そしてGlaxo−Wellcomeから入手可能である)と比較して好適であり得る(例えば、Skuballaら,「Chemistry of stable prostacyclin analogs:synthesis of iloprost」,PROSTACYCLIN AND ITS STABLE ANALOG ILOPROST,GryglewskiおよびStock(編),Springer Verlag,Berlin 1987、ならびにRaczら,PHARMAZIE (1986)41:769−771を参照のこと)。
【0127】
この障害のイロプロスト処置を用いた臨床経験(Higenbottam(1998)前出)は、有意な治療利益を提供するために0.7ng/kg/分〜3.9ng/kg/分の範囲の用量が必要とされ、平均レベルが2.1ng/kg/分であることを示すが、イロプロスト処置が患者によって耐えられる場合、より多い投薬量が必要とされ得るかまたは好適であり得る。上記の研究において報告された平均投薬量レベルで、体重60kgの患者がほんの5.4mg/月を必要とすることが見積もられる。従って、DUROS(登録商標)型ポンプが、数ヶ月にわたって患者を処置するに充分な薬物溶液を収容し得ることが意図される。一旦、イロプロストが枯渇したら、カテーテルを上記のように挿入して、空のポンプを回収し、そして必要な場合、この空のポンプを新たなポンプと交換し得る。あるいは、このレザーバには、一方の末端をポンプに接続し、そして他方で、薬物を含み得る体外要素(例えば、レザーバ、ポンプおよび/または血管アクセスポート)に接続したカテーテルを用いてインサイチュで薬物が再充填され得る。
【0128】
このようなデバイスが、原発性肺高血圧に罹患している患者に対してイロプロストを、この障害の症状を改善するに充分な量でかつ充分な時間にわたって送達し得ることが意図される。
【0129】
(参照としての援用)
本明細書中で同定された各々の特許文献および科学論文の開示は、本明細書中に参考として明らかに援用される。
【0130】
(他の実施形態)
本発明は、本発明の趣旨または必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。それゆえ、本実施形態は、全ての点で、例示であって限定ではないと考えられ、本発明の範囲は、上記の説明によってというよりも、添付の特許請求の範囲によって示され、それゆえ、特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に入る全ての変更は、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0131】
本発明の他の実施形態は、上記の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
ここで、本発明は、添付の図面を参照しかつこの図面に例証されるように(しかし、決して限定されない)、より詳細に記載される。図面においては、それぞれの図面における同様の記号は、対応する部材を示す。
【図1】
図1A〜Eは、血管の管腔内に配置された例示的な薬物送達デバイスの概略図であり、ここで、血管を通る血流の方向が、矢印によって示される。
【図2】
図2A〜Cは、例示的なアンカー(図2A)、例示的なレザーバ(図2B)、および例示的なレザーバでインターロックされた例示的なアンカー(図2C)を示した概略図である。
【図3】
図3A〜Bは、本発明の例示的な薬物送達デバイス(図3A)、ならびにレザーバ部材を導入および/または取り外すためのデバイスに関連した例示的な薬物送達デバイス(図3B)の概略図である。
【図4】
図4A〜Cは、本発明の実施において有用な例示的なアンカーの三次元の概略図(図4A)、このアンカーの側面図(図4B)、およびこのアンカーの頂面図(図4C)を示す。
【図5】
図5A〜Cは、本発明の実施において有用な例示的なアンカーの三次元の概略図(図5A)、このようなアンカーの側面図(図5B)、およびこのようなアンカーの頂面図(図5C)を示す。
【図6】
図6は、本発明の実施において有用な例示的なレザーバを示す側面図である。
【図7】
図7A〜Bは、本発明の実施において有用な、2つの例示的な受動的薬物放出レザーバの断面図である
【図8】
図8A〜Bは、受動的薬物送達用の2つの例示的なレザーバの側面図である。
【図9】
図9A〜Dは、例示的なレザーバが血管内に導入されて、血管内で固定された例示的なアンカーを介して係合される間の工程を示した側面図である。
【図10】
図10A〜Cは、血管内への空のレザーバの導入およびインサイチュでのこのレザーバの薬物での充填を示した側面図である。
Claims (44)
- 予め選択した薬物を動物の体循環に送達するための血管内薬物送達デバイスであって、該デバイスは、以下:
(a)インタクトな血管の内壁に固定可能なアンカーであって、該アンカーは、該血管中に固定された場合に、該血管中の血液が該血管を通過するのを許容する、アンカー;および
(b)予め選択された薬物を含む無細胞レザーバであって、該レザーバは、該血管に導入された場合、該アンカーによって保持され、該レザーバを通過する血液中に該予め選択された薬物を放出する、レザーバ、
を備える、デバイス。 - 前記アンカーが、前記血管中に固定された場合に半径方向外向きの方向に付勢される少なくとも1つの要素を備える、請求項1に記載のデバイス。
- 前記アンカーが、ステントである、請求項1に記載のデバイス。
- 前記アンカーが、外向きに伸長する棘部を備える、請求項1に記載のデバイス。
- 前記アンカーが、ヘッド、および該ヘッドの一端が取り付いた複数の棘付フィラメントを備える、請求項1に記載のデバイス。
- 前記アンカーが、塞栓移動防止フィルターである、請求項5に記載のデバイス。
- 前記アンカーが、前記レザーバを収容するためのレセプタクルを備える、請求項1に記載のデバイス。
- 前記レセプタクルが、前記レザーバを前記アンカーに固定するためのインターロック機構をさらに備える、請求項7に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、該レザーバを前記アンカーに固定するために、前記アンカーのインターロック機構と係合するインターロック機構をさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、前記予め選択された薬物を保持するための内部容量を少なくとも部分的に規定する壁部を備える、請求項1に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、ポンプである、請求項1に記載のデバイス。
- 前記ポンプが、浸透圧ポンプである、請求項11に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、薬物透過性カプセルである、請求項1に記載のデバイス。
- 前記カプセルが、該カプセル内に配置された粒子を有し、該粒子が、該カプセルから放出するための前記予め選択された薬物を含む、請求項13に記載のデバイス。
- 前記壁部が、半透膜である、請求項10に記載のデバイス。
- 前記半透膜が、該膜を通っての前記予め選択された薬物拡散を許容するのに十分なサイズの細孔を規定する、請求項15に記載のデバイス。
- 請求項16に記載のデバイスであって、前記半透膜が、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタンイソシアネート、アルギネート、セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリアクリレート、ポリカルボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含む、デバイス。
- 前記予め選択された薬物が、脂肪酸、心臓血管薬または凝固因子である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、複数の予め選択された薬物を含み、該薬物が、該レザーバを通過する血液中に放出される、請求項1に記載のデバイス。
- 前記レザーバが、予め選択された期間にわたって、前記予め選択された薬物を放出する、請求項1に記載のデバイス。
- 予め選択された薬物を動物の体循環に直接送達するために、薬物送達デバイスを血管に導入する方法であって、該方法は、以下:
(a)インタクトな血管の内壁にアンカーを固定する工程であって、該アンカーは、固定された場合に、該血管中の血液が該血管を通過することを許容する、工程;
(b)該血管に、予め選択された薬物を含む無細胞レザーバを導入する工程であって、その結果、該血管に導入された場合に、該レザーバが、該予め選択された薬物を、該レザーバを通過する血液中に放出する、工程;および
(c)該レザーバが、該アンカーによって該血管内に保持されることを許容する工程、
を包含する、方法。 - 工程(a)の前に、前記アンカーをカテーテルを介して前記血管中に導入するさらなる工程を包含する、請求項21に記載の方法。
- 前記レザーバが、カテーテルによって前記血管中に導入される、請求項21または22に記載の方法。
- 前記レザーバを前記アンカーに固定するさらなる工程を包含する、請求項21に記載の方法。
- 前記アンカーが前記血管中に固定された後に、前記レザーバが該アンカーに固定される、請求項24に記載の方法。
- 動物のインタクトな血管に移植するためのアンカーであって、該アンカーは、以下:
該血管の内壁への固定に適合した第1の要素であって、該第1の要素は、該血管に固定され、該血管に取り付けられた場合に半径方向外向きの方向に付勢される少なくとも1つの部材を備える、第1の要素;および
所定の構成の薬物送達レザーバ部材を収容するためのレセプタクルを形成する第2の要素、
を備える、アンカー。 - 前記第1の要素が、前記第2の要素の近位に位置する、請求項26に記載のアンカー。
- 前記第1の要素が、ステントである、請求項26に記載のアンカー。
- 請求項26に記載のアンカーであって、前記第1の要素が、少なくとも1つの外向きに延びるバーブを備える、アンカー。
- 前記第1の要素と前記第2の要素との間に配置された、該第1の要素と該第2の要素とを連結するための第3の要素をさらに備える、請求項26に記載のアンカー。
- 前記第3の要素が、フィラメントである、請求項30に記載のアンカー。
- 前記第2の要素が、前記レザーバ上のインターロック機構と係合して、該レザーバを前記アンカーに固定するためのインターロック機構をさらに備える、請求項26に記載のアンカー。
- 請求項32に記載のアンカーであって、前記インターロック機構は、規定する内壁を有する環状部材を備え、該環状部材を通る腔を規定し、該内壁は、前記レザーバ上の前記インターロック機構と係合するために、該腔に対して垂直な溝部をさらに規定する、アンカー。
- 動物のインタクトな血管中に移植するための薬物送達レザーバであって、該レザーバは、以下:
第1の要素であって、該第1の要素は、インタクトな血管の内壁に固定可能であり、該血管に取り付けられるレセプタクルと係合するためのインターロック機構を形成する、第1の要素;および
壁部を有する第2の要素であって、該壁部は、該薬物を保持するための内部容量を少なくとも部分的に規定し、かつ少なくとも1つの細孔を規定し、該細孔は、該薬物が該細孔内に保持され該細孔を通過するように寸法決めされている、第1の要素、
を備える、レザーバ。 - 請求項34に記載のレザーバであって、前記第1の要素が、外壁を有する環状部材を備え、該外壁の第1の部分が、第1の半径方向寸法を有し、該外壁の第2の部分が、第2の異なる半径方向寸法を有し、該第2の半径方向寸法が、該第1の半径方向寸法よりも大きい、レザーバ。
- 前記第2の要素が、ポンプである、請求項34に記載のレザーバ。
- 前記ポンプが、浸透圧ポンプである、請求項34に記載のレザーバ。
- 前記第2の要素が、薬物透過性カプセルである、請求項34に記載のレザーバ。
- 前記カプセルが、該カプセル中に配置された粒子を有し、該粒子が、該カプセルから放出するための前記予め選択された薬物を含む、請求項38に記載のレザーバ。
- 前記壁部が、半透膜である、請求項34に記載のレザーバ。
- 前記半透膜が、該膜を通っての前記予め選択された薬物の拡散を許容するのに十分なサイズの細孔を規定する、請求項40に記載のレザーバ。
- 前記薬物が、脂肪酸、心臓血管薬または凝固因子である、請求項34に記載のレザーバ。
- 前記レザーバから放出するための複数の予め選択された薬物をさらに含む、請求項34に記載のレザーバ。
- 移植可能な血管内薬物送達デバイスであって、該デバイスは、以下:
(a)第1の要素を第2の要素と共に備えるアンカーであって、該第1の要素は、血管の内壁に固定可能なように適合され、該第1の要素は、該血管中に固定された場合に半径方向外向きの方向に付勢される少なくとも1つの部材を備え、該第2の要素は、第1のインターロック機構を備える、アンカー;および
(b)第1の要素を第2の要素と共に備えるレザーバであって、該第1の要素は、第2のインターロック機構を備え、該第1の要素は、壁部を有し、該壁部は、該薬物を保持するための内部容量を少なくとも部分的に規定し、該薬物を細孔内に保持してそこを通過させるように寸法決めされた少なくとも1つの細孔を規定する、レザーバ、
を備え、
ここで、該第1のインターロック機構が、該第2のインターロック機構と係合して、該レザーバを該アンカーに固定し得る、
デバイス。
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