JP2005500995A - B型肝炎ウイルスにより起きる感染症の治療または予防のためのフィランタス属構成部分の使用 - Google Patents
B型肝炎ウイルスにより起きる感染症の治療または予防のためのフィランタス属構成部分の使用 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
説明
本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療のための、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療に用いる医薬の調製のための、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖阻害のための、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。さらに本発明は、哺乳動物においてヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患を予防または治療する方法であって、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を哺乳動物に投与する方法に関する。さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖を阻害する方法であって、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を該ウイルスと接触させる方法に関する。本発明の好ましい態様において、ヌクレオシド類似体はラミブジン(Lamivudine)およびファムシクロビル(Famciclovir)よりなる群から選択される。
【背景技術】
【0002】
フィランタス属植物は、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)に属するフィラントイド亜科(Phyllanthoideae)に属する。フィランタス属は合わせて約700種を含み、オーストラリア、中国、フィリピン、タイ、インドネシア、ビルマ、インド、東および西アフリカ、ならびに北米、メキシコ、キューバ、カリブおよびベネズエラの熱帯および亜熱帯地方に生育する。代表的なフィランタス属は、ごく稀ではあるが北半球の温帯にみられる。
【0003】
フィランタス属の多様性のため、属特異的特色はわずかしか知られていない。代表的なフィランタス属の大部分は、多様な生長(習性)を伴う雌雄同体または雌雄異株の草本、潅木または樹木であり、2〜3の異なるタイプに分化した茎または枝を示す。従ってフィランタス属は、無制限に生長する直立した長い茎と、生長の限られた短い若枝および葉や花の多い水平な短い若枝の両方をもつ。直立した短い若枝には低出葉、水平な若枝には多出葉がみられるといった、2種類の異なるタイプの葉がみられることがしばしばある。一般に花は小さく、腋生であり、雌花の方がその花柄および萼を含めて雄花より大きい。各属間に明瞭な属境界がなく、フィランタス属のある種は見方によって多様な属に分類できるので、十分に属特異的な成分および成分グループを明確にするのが難しい。唯一の共通点は乳濁液を含まないことであり、これはフィラントイド亜科の科の特色であるとみなされている。しかしながら、フィランタス属に多少広く分布する若干の特徴的な物質群がある。これに関して、まずアルカロイド、特に主要なセクリニンタイプのアルカロイドが挙げられる。これは若干の種にみられるにすぎない。アルカロイドは、たとえば植物フィランタス・ニルリ(Phyllanthus niruri)のすべての部分に検出された。さらに、青酸配糖体に属する化合物が時にみられる。それらはチロシンから誘導された誘導体のクラスに属する。その代表例は、フィランタス・ガスストロエミイ(Phyllanthus gasstroemii)の葉にあるタキシフィリン(taxiphyllin)および2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリルである。タンニン、特にガロタンニンおよびエラギタンニンならびにそれらの前駆物質が、殊に熱帯の樹木種にみられる。これに関連して、その主な代表例は、果実にフィレンブリン(Phyllemblin、没食子酸エチル)を含むフィランタス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)である。さらに、フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)の葉や茎に含まれるエラギタンニン誘導体フィランタシン(Phyllanthusin)が記載されている。さらに大きな一群の成分は、リグナン(lignane)類に関するものであり、フィランタス・アマラスの葉や茎、およびフィランタス・ニルリのすべての部分に、リグナン、たとえばフィランチン(Phyllanthin)、およびシクロリグナンまたはテトラリグナン、たとえばハイポフィランチン(Hypophyllanthin)がみられる。さらに、フィランタス・アキュミナタス(Phyllanthus acuminatus)中のセスキテルペンが記載されている;これは化学的にはスピラン構造をもち、部分的にエステル様に結合した二糖類を含む、三環式セスキテルペンのエポキシドに属する。そのほか、植物のすべての部分に比較的頻繁にトリテルペンがみられる。植物ステロイド(シトステロール)であるフリーデラン(Friedelan)、オレアン(Olean)およびルパン(Lupan)タイプの誘導体(フィランタス・レティキュラタス(Phyllanthus reticulatus)中のベツリンおよびグロキドノール)のほかに、ユーファン(Euphan)タイプの化合物、たとえばフィランタス・ニルリ中のフィランテノールの発現が注目される。
【0004】
特にフィランタス・アマラスおよびフィランタス・ニルリは、たとえばナイジェリア、キューバまたはジャマイカで発熱に際して民間療法に用いられている(Unander et al.,1991,J.Ethno.Pharmacol.,34:97−133)。そのほか、フィランタス属の幾つかの種の葉や茎が、下痢の際に、尿量増加のために、緩下剤として、また痙攣や仙痛に対して用いられている。さらに、糖尿病におけるフィランタス属の有効性が記載されている(Unander、前掲)が、この用途の有効性は科学的には証明されていない。
【0005】
フィランタス属の一連の加水分解性タンニンが重要な真核生物プロテインキナーゼ、たとえばラット肝のcAMP依存性プロテインキナーゼ、コムギ胚芽のCA2+依存性プロテインキナーゼ、ラット脳のCA2+−およびリン脂質依存性プロテインキナーゼC(PKC)を阻害し、その際タンニンであるアマリイン(amariin)、ゲラニイン(geraniin)、およびゲラニインのフェナジン誘導体がそれぞれ最も有効であることを、科学実験で証明できた。さらに、フィランタス・アマラスから95%エタノールで3時間の還流により抽出した乾燥抽出物が抗微生物作用をもち、枯草菌(Bacillus subtilis)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の増殖を阻害することが、科学的に証明されている。その際、寒天平板拡散試験において50mg/ml濃度のこの水性抽出液0.1mlの投与で、中等度の阻害作用(阻止域<15mm)が示された;10mg/ml濃度のストレプトマイシン0.1mlの陽性対照は阻止域35mmの作用を示した。同じ試験系で、この抽出液は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対しては無効であった。これに対し20℃のメタノールで抽出した全植物体の乾燥抽出物は黄色ブドウ球菌に対する効果を示したが、大腸菌、アスペルギルス・ニガーおよびカンジダ・アルビカンスに対しては効果を示さなかった。
【0006】
二本鎖DNAゲノムをもつヒト病原性ウイルスのうち、特に5種類の異なるウイルス科が挙げられる:ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、パポーバウイルス科(Papovaviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)およびポックスウイルス科(Poxviridae)。ほとんどすべての科(ポックスウイルス科を除く)に、ヒトに持続性感染症を引き起こす可能性のある代表例がある。そのうちヘルペスウイルス、パポーバウイルスおよびヘパドナウイルスはヒトの腫瘍性疾患と密接に関連し、このため二本鎖DNAウイルスは細胞分裂および細胞死の調節に影響を与える可能性があると結論される。
【0007】
その始原型がB型肝炎ウイルス(HBV)であるヘパドナウイルス科は、発生の観点からみるとレトロウイルス(Retroviridae)科に近縁である。その複製サイクルについての多くの詳細な事実から、進化の過程で両科が共通の祖先から発生したと推定される。最も重要な共通点は、両ウイルス科が逆転写酵素(RT)をもち、これが両ウイルス科の複製に必須であるという事実である。同時にこれは、ウイルスのこの必須成分が重要な療法ターゲットでもあることを示唆する。
【0008】
HBVの伝達は血液または体液により行われ、その際ヒトがウイルスの保因者となる;ただし実験的にチンパンジーに伝達することはできる。急性または慢性感染症患者における感染性粒子の濃度は、血中109個/mlのレベルに達する可能性がある。感染した妊娠母親により、稀には出産前、大部分は出産中に、子供にウイルスが伝達される可能性がある。これは特に、集団の約20〜80%がHBVに感染している東アジア、中部および西アフリカの高流行地域で起きる。現在、約3億5000万人が慢性的にHBVに感染しているとされる。ドイツではこのウイルスは散発的に地域流行し、わずかに集団の約0.5%がHbsAg陽性であり、約5%が抗体をもつにすぎない。
【0009】
HBVの標的臓器は肝臓である。感染すると、約2〜6カ月の潜伏期間後に急性肝炎が起きる可能性がある。65%において感染は無症候性のままであり、一方35%において患者は肝臓の炎症を発症する。その際、急性肝炎の主症状は黄疸(jaundice,icterus)の発症であり、同時に肝臓の肥大を伴う。さらに、再生不良性貧血および発疹がみられる。多くの場合、4〜6週間後に肝炎は治癒する。しかし急性症状が改善された後でも肝臓の炎症が慢性状態に移行する場合がある。成人のHBV感染症全体の5〜10%がこの慢性経過をたどる。ただし感染が出産前期または周産期に起きた場合、最高90%が慢性経過をたどり、これは流行地域では重大な問題となっている。この慢性感染症患者の60%が無症候性のウイルス保因者となる。症候性の慢性感染症は2つの形態に分けられる。慢性活動性進行性肝炎(CAH)と慢性持続性肝炎(CPH)が区別され、CPHはCAHに移行する可能性がある。慢性疾患の結果は肝硬変および肝細胞癌(HCC)である。
【0010】
毎年約250000人がこの腫瘍のため死亡している。HCCは慢性持続性HBV感染症を伴う者に起きやすく、HCC罹患の確率は感染期間が長いほど高くなる。HCC発症原因のひとつは、ウイルスDNAが宿主ゲノムに組み込まれることである。その際、複製起点領域で環状DNAの開裂が起き、その結果ウイルスは発現しないがHBs遺伝子およびX遺伝子はなお発現する可能性があり、特にXタンパク質がトランスフォーミング特性をもつ疑いがある。さらに、ゲノムの非特異的組込み自体も細胞のトランスフォーメーションをもたらす可能性がある。HBVはHCCの発症に際してアフラトキシンと相乗作用する。アフラトキシンはジフラン−クマリン誘導体であり、腐敗した食物中に糸状菌アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)の代謝産物として蓄積することが多い。この毒素は変異原性が高く、癌抑制遺伝子p53と相互作用する可能性がある。高濃度のアフラトキシンにさらされた患者に、p53遺伝子の変異がしばしばみられた。さらに、HBVとHCVの同時感染もHCC発症のリスクを高める。
【0011】
HBV感染を予防するために、この20年間にわたってさまざまな試みがなされた。このため西洋工業国での感染数は大規模な予防接種計画により最小限にまで減少した。しかし稀に、予防接種したにもかかわらず急性B型肝炎に感染し、その後、慢性持続性B型肝炎感染症になることがある。急性HBV感染の初期症状が認められた場合、追加ワクチン投与またはα−HBV免疫グロブリンによる受動免疫化で拡散を阻止できる。
【0012】
慢性感染症患者の場合、インターフェロンαの投与により20〜30%の症例で肝臓からウイルスを排除でき、さらに30%の症例で血中のウイルス数が明らかに減少する。最近、HBVの逆転写酵素を阻害する一連のヌクレオシド類似体が見いだされた。ラミブジンは既に臨床適用されている。他のヌクレオシド類似体、たとえばファムシクロビルは臨床試験が行われている。抗ウイルス療法の欠点は、薬剤の投与を停止すると疾患が再発する場合がきわめて多いということである。さらに、ヌクレオシド類似体に対する耐性変異体が比較的速やかに形成される。このため、この処置方法は長期処置については疑問があるように思われ、耐性HBV株となるHBVの進化的選択に関して疫学的観点から憂慮される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、B型肝炎ウイルス、特にヌクレオシド類似体耐性株により起きた既存の感染症の治療と共に、高リスク群、たとえば薬物依存者または感染母親の子供における発症の予防措置が、強く求められている。したがって本発明の課題は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きる感染症およびそれに関連する疾患を処置し、それらの発症を予防措置するための、手段および方法を提供することである。この課題は、特許請求の範囲に示した態様により解決される。
【0014】
したがって本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療のための、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。
【0015】
本発明において用いる用語”フィランタス属構成部分”は、全植物体のすべての構成部分、たとえば葉、樹皮、花、種子、果実、茎、枝、幹、根および木質部、ならびにそれらの一部、たとえば葉または根の先端が含まれる。これらのフィランタス属構成部分は、同一、類似または無関係な成分を示すことができる。したがって、異なるフィランタス属構成部分を個別または一緒に、あるいはフィランタス属の異なる種の異なるフィランタス属構成部分を個別または一緒に使用できる。”複数の”フィランタス属構成部分とは、たとえば全植物体またはその抽出物の形の、すべてのフィランタス属構成部分をも意味する。フィランタス属構成部分は、前処理後に、または前処理なしに使用できる。前処理には、たとえば葉の乾燥などの操作が含まれる。
【0016】
フィランタス属構成部分から得られる”物質もしくは物質混合物”とは、特に有効成分を意味する。これらは純粋な形でも不純な形でも使用できる。これらの有効成分を個別に、または組み合わせて、有効成分または有効成分混合物として使用できる。その際、異なる有効成分が異なるフィランタス属構成部分中に存在してもよく、同じフィランタス属構成部分中に存在してもよい。有効成分混合物は、同じフィランタス属構成部分または異なるフィランタス属構成部分から得ることができる。その際、異なるフィランタス属構成部分からの有効成分の採取は、まず個別に行うことができ、この場合は次いで有効成分を合わせて有効成分混合物を調製する。あるいは、予め混和したフィランタス属構成部分から同時に有効成分混合物を採取できる。本発明による物質もしくは物質混合物は、同一または異なる化合物クラスの代表例からなる。これらの化合物を天然の形で、すなわち採取プロセスにより修飾されない形で使用できるが、採取プロセスにより修飾された形で使用でも使用できる。これらの化合物は、たとえば環式または分枝鎖もしくは非分枝鎖、極性または非極性の炭化水素、脂質、脂質誘導体、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオシド誘導体、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸または修飾アミノ酸であってよい。その際、誘導体とは、前記化合物から誘導でき、化学的修飾により得られるすべての化合物を意味する。たとえば、そのような誘導体は置換、付加、エステル化、けん化または縮合などの反応により形成できる。
【0017】
本発明の意味において”予防”とは、フィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルス感染の回避またはウイルス負荷の軽減のために予防措置として使用することを意味する。さらに本発明の意味においてこれは、疾患発症を避けること、または疾患発症をより軽度にすることを意味する。予防に用いるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は、治療に用いるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物と異なってもよく、同一であってもよい。予防のための使用は、治療に用いる場合と異なるかまたは同一の用量で、異なるかまたは同一の適用法により行うことができる。予防は、1回または多数回の適用により実施できる。ただし、予防に用いるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の用量は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるかまたはこれらのウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患に対して、本質的に十分な防御を与えなければならない。その際、予防に用いる用量が生体に有害な作用をもつべきではない。
【0018】
1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を本発明により感染性疾患の治療に使用する際、これらのフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は予防に関して記載したものと同様に使用できる。治療に用いる用量は、感染性疾患の原因、すなわちウイルスおよび生体内でのそれらの増殖と、感染性疾患の症状の両方に対して対処できるものである。一般に、フィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物のような天然療法剤の使用は、ヌクレオシド類似体耐性HBVにより起きる感染性疾患およびこれにより二次的に起きる疾患の予防と治療の両方に有利であると言える。天然療法剤は薬剤許容性がより良好であるため、生体にさらに負荷を与える副作用の減少がしばしば期待されるからである。
【0019】
処置のためには、構成部分または物質もしくは物質混合物を医薬、医療用具または佐剤として配合する。医薬の定義については、後記の説明を参照。
感染性疾患は特に、生体において病原体により引き起こされる免疫応答が誘発されることを特色とする。この免疫応答の目的は、病原体を駆除することである。しかしその際、罹患生体の細胞および組織に対する重篤な障害も生じる可能性があり、この場合これが自身の免疫系により起きうるのである。感染性疾患の場合、さらに病原体自体が障害を引き起こす場合もある;たとえば感染細胞において代謝プロセスまたは分化プログラムが欠失する可能性があり、これが生体に有害な作用をもつからである。感染性疾患の原因と症状は、同一の細胞もしくは組織に関連する場合もあるが、異なる細胞もしくは組織に関連する場合もある。たとえば肝代謝の変化が血中に含まれるタンパク質、特に酵素の組成を変化させ、これがまた他の臓器、たとえば腎臓の障害をもたらす可能性がある。したがって、本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用は、感染性疾患、たとえばウイルス感染症の原因の予防または治療だけでなく、生体内に病原体が存在することにより二次的に起きる症状の予防または治療にも関連する。
【0020】
本発明の意味において”病原体”とは、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスを意味する。本発明の意味においてB型肝炎ウイルスは、特にそれらがすべて重篤な疾患を引き起こすことを特色とする合計8つの異なるサブタイプを含む。そのうち特に重要なのは肝炎である;これは、肝臓の形態と同時に機能に、生体にとって致命的な変化をもたらす。さらに、これらのウイルスの伝染手段(特に唾液および血液)に基づけば、本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用のような予防措置が、予防のために提示される。本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きる感染性疾患を、特に罹患した細胞および組織におけるウイルス増殖の阻害により克服できる。これはたとえば、感染性疾患に関連する細胞変化の原因となる1種類または数種類の酵素の阻害により行われる。ただし、本発明により用いられるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は、さらにたとえば免疫調節剤として、フラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルスにより起きる感染性疾患の予防または治療に有益な影響を与えることができる。
【0021】
用語”発症または進行”は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが病原体として、従って単独でまたは他の病原体と一緒に役割を果たして原因となりうるか、あるいは単独でまたは他の病原体と一緒に既存の感染性疾患の進行を促進しうることを意味する。
【0022】
本発明の使用は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの感染により起きる感染性疾患の予防または治療において、驚くべき予想外の有効な作用を示す。
既知の療法薬、特にヌクレオシド類似体の効果についてこれまでに知られているデータから、これらの驚くべき有効な作用は予想できなかった。ヌクレオシド類似体、たとえばラミブジンおよびファムシクロビルを含めて、治療に既に用いられている医薬に対し種々の耐性B型肝炎ウイルス株が出現していることからみて、フィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物による処置が成功するとは予想できなかった。フィランタス属構成部分の適用がB型肝炎ウイルスに有効であるという当技術分野で既知の薬効から出発したとしても、他の有効薬剤に対する耐性が既に示されている変異B型肝炎ウイルス株に対して療法効果がない点に関してフィランタス属構成部分の薬効を他の有効薬剤と区別するのは決して容易になしうることではない。これらの事実を考慮すると、ラミブジン耐性B型肝炎ウイルス、特にいわゆる”YMDD B型肝炎ウイルス”の遺伝子発現およびウイルス複製の阻害に関して最初にインビトロで得たデータはきわめて意外であった。
【0023】
さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療に用いる医薬の調製のための、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。
【0024】
本発明によれば医薬は、人体に適用することにより疾患、苦痛、身体の障害または病訴を治癒、軽減、予防または検出するための物質および物質調製物と定義される。
本発明によれば医療用具は、製造者がそれらの機能により疾患を検出、予防、モニタリング、治療または軽減する目的でヒトに適用するために用いることを意図して単独で、または相互に組み合わせて用いるすべての物質および物質調製物または他の物体であって、人体におけるその予定した主効果が薬理学的もしくは免疫学的作用をもつ薬剤または代謝により達成されるのではないが、その有効性はそれらにより支持されうるものである。
【0025】
本発明によれば佐剤は、医薬の製造のために(有効成分として)用いられるものである。
この態様の本質的な概念については前記に説明および定義した。フィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を含有する医薬配合物の調製は、場合により、医薬的に許容できるキャリヤーおよび/または希釈剤と組み合わせて行われる。
【0026】
医薬的に許容できる適切なキャリヤーは当業者に既知であり、リン酸緩衝化食塩水、水、エマルション、たとえば油/水型エマルション、種々の界面活性剤、無菌溶液などを含む。そのようなキャリヤーを含む医薬は常法により調製できる。これらの医薬を適切な用量で、たとえば1日および患者1人当たり1μg〜100mgで個体に投与できる。投与は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所または皮内など多様な様式で行うことができる。投与様式は担当医が臨床要因に応じて決定する。投与様式が患者の体格、体表面積、年齢、性別または全般的な健康状態など種々の要因のほか、投与する具体的な薬剤、投与の期間および種類、ならびに場合により併用する他の医薬に依存することは、当業者に既知である。
【0027】
本発明の好ましい態様において、感染性疾患は黄熱病、硬変症および肝細胞癌である。
これらの疾患の特徴的な症状に関しては、医学の標準書籍、たとえばPschyrembel,”Klinische Woerterbuch”,Walter de Gruyter,ベルリン(1994,2000)参照。
【0028】
さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖阻害のための、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用に関する。
【0029】
”ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖阻害”とは、感染宿主細胞におけるウイルスの複製もしくは感染宿主細胞からのウイルスの出芽または両者が阻害されることを意味する。さらに、ターゲット細胞(宿主細胞)のブロッキングにより新たな宿主細胞のウイルス感染を阻害でき、ウイルスの増幅の阻害を達成できる。感染宿主細胞において新たなウイルスの形成を阻害する際、特に新たなウイルス形成に関与する酵素を阻害することができる。これらの酵素は特に、たとえばウイルス核酸の複製に関与する酵素(逆転写酵素、ポリメラーゼおよびヘリカーゼ)またはウイルスタンパク質のプロセシングに関与する酵素(プロテアーゼ)である。感染宿主細胞からのウイルスの出芽の阻害による増幅阻害は、特に出芽プロセスに必須であるウイルスタンパク質および/または細胞タンパク質の阻害により誘発できる。増幅の阻害または新たな宿主細胞のブロッキングは、宿主細胞およびウイルスの認識に関与する機序または宿主細胞へのウイルスの取込みに関与する機序の阻害により、あるいは阻害により行うことができる。
【0030】
好ましい態様において、この阻害はエクスビボまたはインビトロで行われる。
この態様は、特に本発明による有効薬剤をさらに発展させるために、新規有効薬剤の分析に、またはその品質管理に重要である。特に、阻害を生体外で、単離した細胞または組織、たとえば細胞培養においても実施できる。特にインビトロ系、たとえば細胞培養において、フィランタス属のどの構成部分が最も有利な特性を示すかを分析できる。こうして、インビトロ試験系に基づいて物質または物質混合物を最適化できる。好ましくは、このために通常の化学的/物理的方法でフィランタス属構成部分を有効物質群または各成分に分け、各成分をこのような試験系でウイルス増殖の阻害に関して試験する。
【0031】
本発明の他の好ましい態様において、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は、フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)、フィランタス・ニルリ(Phyllanthus niruri)、フィランタス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)、フィランタス・ウリナリア(Phyllanthus urinaria)、フィランタス・アシダス(Phyllanthus acidus)、フィランタス・アキュミナタス(Phyllanthus acuminatus)およびフィランタス・レティキュラタス(Phyllanthus reticulatus)、または数種類のこれらのフィランタス属種に由来する。
【0032】
本発明の他の好ましい態様において、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスは逆転写酵素に1以上の変異を示す。
用語”1以上の変異”は、本発明の意味においてウイルス核酸配列またはそれから得られるポリペプチドのアミノ酸配列における1以上の変異を意味する。その際、核酸には特にDNAまたはRNAが含まれる。核酸配列中に存在する変異はウイルスポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸置換をもたらす可能性があり、この置換がウイルスポリペプチドの機能の変化に関与する可能性がある。その際、ウイルスの酵素の機能が特に影響を受ける可能性がある。その際生成する酵素が、周知の有効薬剤、たとえばラミブジンまたはファムシクロビルに対して形成されたB型肝炎ウイルス株の耐性に関与する可能性がある。さらに、核酸レベルの変異は、もちろんウイルスゲノムの種々の部分の転写効率および/または翻訳効率を妨げ、これにより感染宿主細胞におけるウイルス酵素の細胞内濃度に正または負の影響を与える可能性がある。
【0033】
”逆転写酵素”とは、DNAまたはRNA依存性DNAポリメラーゼの特性をもつ酵素を意味する。レトロウイルスおよび肝炎ウイルスは共にそのような逆転写酵素をもつ。B型肝炎ウイルスの場合、ウイルスゲノムによりコードされる逆転写酵素は多機能性酵素である。逆転写酵素は4つのドメインに分けられる:一方はポリメラーゼおよびRNase H活性をもつ機能ドメイン、他方は構造ドメインである。逆転写酵素により触媒される反応は、普通のDNAポリメラーゼ反応と同様に行われ、この場合も他のDNAポリメラーゼの場合のようにプライマーが必要である。まずRNA鋳型は通常一本鎖であり、1本の相補的DNA鎖が合成されて、RNA−DNAハイブリッドが形成される。短いポリデオキシリボチミジル酸−poly(dT)−が適切なプライマーである場合が多く、次いでこれは真核細胞mRNAが通常もっているポリリボアデニル酸テイルに結合する。こうしてRNAのDNAコピー(cDNA)が合成される。
【0034】
最初のRNA鋳型をRNase Hまたはアルカリ加水分解により除くと、mRNAのcDNAコピーは二本鎖DNAとなることができる。一本鎖DNA生成物がそれ自身のプライマーとして(かつ鋳型として)、第2の相補的DNA鎖の合成に用いられる。この反応はDNAポリメラーゼIまたは逆転写酵素自身により触媒される。第1鎖の3’−ヒドロキシル末端付近に短いヘアピンループが形成され、これによりプライマーが利用できると思われる。完成した二本鎖はまだ一方の末端にヘアピンループをもち、これが最終的に一本鎖特異的ヌクレアーゼにより離脱して、2本の完全に相補的なDNA一本鎖(cDNA二本鎖)が生成する。
【0035】
本発明の特に好ましい態様において、1以上の変異には、552位またはそれに相当する位置におけるメチオニンのイソロイシン置換が含まれる。
ウイルス逆転写酵素の552位におけるメチオニンのイソロイシン置換は、既に報告されたラミブジン耐性YMDD B型肝炎ウイルス変異体に特徴的である。この置換は、細胞培養においてラミブジンその他のヌクレオシド類似体に対するYMDD B型肝炎ウイルス株の耐性をもたらすと思われる。
【0036】
552位に”相当する位置”とは、本発明の意味においてアミノ酸モチーフYMDDにおけるメチオニンのイソロイシン置換であって、その際YMDDアミノ酸モチーフが必ずしも551〜554になくてもよく、たとえば核酸レベルで起きる可能性のあるヌクレオチドの欠失または付加により移動していてもよいことを意味する。
【0037】
本発明の特に好ましい態様において、予防または治療には1種類以上のウイルス酵素の阻害が含まれる。
1種類以上のウイルス酵素の阻害とは、これらの酵素の機能が直接または間接的に負の影響を受けることを意味する。たとえば(本発明者らはこの態様または他の態様において特定の科学的理論により拘束されるつもりはない)直接阻害は本発明による1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物中に含有される1種類以上の阻害物質と1種類以上の酵素との相互作用による場合であり、間接阻害はこれらの阻害物質とこれらの酵素の発現、翻訳またはプロセシングに必要な因子との相互作用による場合であろう。この場合、特にこれはウイルス酵素、たとえばヘリカーゼ、ポリメラーゼ、逆転写酵素またはプロテアーゼの阻害を意味する。これらの酵素の直接阻害は、たとえば本発明による1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物中に含有される阻害物質とこれらの酵素の触媒作用中心との、または活性を調節するドメインとの相互作用に基づくものであろう。さらに、たとえばウイルス酵素の発現、翻訳または翻訳後修飾に関与し、したがってそれらの機能を支配する細胞酵素が、これらの阻害剤により損傷を受け、あるいは追加損傷を受ける可能性もある。ただしいずれの場合も、本発明により1種類以上のウイルス酵素が阻害されることにより増殖が低下し、またはウイルスの攻撃により起きる感染性疾患またはその発症もしくは進行が軽減する。
【0038】
本発明の特に好ましい態様において、阻害には1種類以上のウイルス酵素のプロセシングの阻害が含まれる。
本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物による前記のウイルス酵素の翻訳後修飾においては、1種類以上のウイルス酵素のプロセシングが特に重要である。プロセシングとは、最初は不活性な酵素が翻訳後修飾、たとえばタンパク質分解性開裂、リン酸化またはグリコシル化により活性化されることを意味する。したがって、本発明に従って1種類以上のウイルス酵素のプロセシングを阻害することにより、これらの酵素の機能が損なわれ、または完全に阻害される。この場合、プロセシングの阻害に用いる本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物は、1種類または同時に多種類のウイルス酵素を阻害できる。これは、酵素の活性化に必要な同一のプロセシング工程の阻害または異なるプロセシング工程の阻害のいずれにより起きるものであってもよい。
【0039】
さらに特に好ましい態様において、酵素は逆転写酵素である。
用語”逆転写酵素”は、前記の定義により理解される。
他の特に好ましい態様において、逆転写酵素は552位またはそれに相当する位置におけるメチオニンのイソロイシン置換をもつ。
【0040】
552位におけるメチオニンのイソロイシン置換の意味は既に前記に述べた。
本発明のさらに好ましい態様において、ヌクレオシド類似体はラミブジンおよびファムシクロビルよりなる群から選択される。
【0041】
本発明のさらに好ましい態様において、フィランタス属構成部分には生薬(Herba−Droge)、葉、樹皮、花、種子、果実、茎、枝、幹、根および木質部が含まれる。
他の好ましい態様において、物質もしくは物質混合物はアルカロイド、タンニン、リグナン、セスキテルペン、トリテルペンおよび青酸配糖体よりなる群から選択される。
【0042】
アルカロイドは、1個以上の窒素原子を含み、大部分が複素環式化合物として存在し、一般に植物酸に塩の様式で結合していることを特色とする、一群の物質である。化学的にみて、プロトアルカロイド(これにはアルカロイド前駆物質としての生物アミンも含まれる)およびシュードアルカロイドが区別される。特定の酸ファミリー、たとえば前駆物質の誘導体は狭義のアルカロイドとして理解される。フィランタス属構成部分から得られる物質または物質混合物に含まれる他の重要な物質クラスは、青酸配糖体である。配糖体には、糖のC1位のアセタール性ヒドロキシ基とアルコール類およびフェノール類または他の糖類のOH基、アミンのNH基、あるいはイソチオシアナートのSH基との反応により水が除かれて形成される化合物が含まれる。青酸配糖体の代表例はタキシフィリンおよび2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリルである。タンニンは、特にフェノール性ヒドロキシル基を特色とする。セスキテルペンおよびトリテルペンを含めたテルペン群は、イソプレン基本単位から構築される不飽和炭化水素からなり、ポリマーとして存在する。本発明の物質または物質混合物は純粋な物質として存在してもよく、不純物を含有してもよい。さらに、物質混合物はこの群の異なるメンバーからなっていてもよく、そのほか他の物質または物質混合物を含有してもよい。
【0043】
本発明の使用の特に好ましい態様においては、物質または物質混合物の抽出に際して水性、非極性、分枝鎖または直鎖の炭化水素をn−ヘキサンと共に用いる。フィランタス属構成部分からの物質または物質混合物の抽出に際しては、特に非極性、分枝鎖または直鎖の炭化水素が溶剤として用いられる。ここで非極性溶剤は、特に極性基を含まないことを特色とする。これにはたとえばベンゼンまたは飽和炭化水素が含まれる。本発明による炭化水素は、特に炭素原子5〜10個の骨格(C5〜C10の骨格)をもつことを特色とする。抽出とは、物質または物質混合物の採取のためにそれらを選択的に溶解させることを意味する。その際、溶解挙動は用いる溶剤により影響される。
【0044】
特に好ましい態様においては、物質または物質混合物の抽出に際して水性、非極性、分枝鎖または直鎖の炭化水素をn−ヘキサンと共に用いる。
さらに特に好ましい態様において、炭化水素はC5〜C10の骨格をもつ。
【0045】
他の特に好ましい態様においては、物質または物質混合物の抽出に際してアルコール類および/またはその混合物を用いる。
アルコール類とは、特に炭素原子に1個以上のOH−基をもつ炭化水素を意味する。本発明の物質または物質混合物の抽出に際しては、特に炭素原子1〜4個の骨格をもつアルコールおよび/またはその混合物を用いる。その際、メタノールまたはそれのエタノール混合物が特に重要である。
【0046】
他の特に好ましい態様において、用いるアルコール類は短鎖第一級C1〜C4アルコールおよび/またはその混合物である。
本発明の他の特に好ましい態様において、使用するアルコール類はメタノールおよび/またはエタノールである。
【0047】
好ましい態様においては、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を他の有効薬剤と組み合わせて使用する。
本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を、他の有効薬剤と組み合わせて、すなわち混合物として直接に、同時に、または逐次使用できる。他の有効薬剤は特に、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きる感染性疾患の療法において既知の医薬を意味する。
【0048】
他の特に好ましい態様において、他の有効薬剤はインターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγおよびリバビリン(rivavirin)よりなる群から選択される。
【0049】
フラビウイルス科のメンバーにより起きる感染性疾患の予防または治療に有効な薬剤としては、特にインターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγおよびリバビリンが有効であることが証明された。その際、インターフェロンの作用は特に免疫系の細胞に対するそれらの調節作用に基づく。2種類以上のこれらの有効薬剤との併用療法が疾患の予防およびその経過の治療に好ましい効果をもつ。
【0050】
本発明の特に好ましい態様においては、注入用液剤、注射用液剤、錠剤、軟膏剤、医療用パック剤、顆粒剤、栄養補助剤(Nahrungsergaenzungsmittel)または浣腸剤の形で適用を行う。
【0051】
本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を、多様な形態で、個別に、または組み合わせて使用できる。特にフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を注入用液剤または注射用液剤の形で適用できる。その際、フィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物から純粋または不純な形で単離した有効薬剤に、医薬的に許容できる溶剤を添加し、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きる感染性疾患に罹患した患者の血流に導入する。したがって、注入用液剤および注射用液剤は治療に特に適した投与形態である。錠剤とは、均一な投与のために常に同じ規則的な形状(たとえば円盤、円筒、卵形、球形、棒状またはダイス状の形状)をもつ、粉末状または顆粒状の有効物質と佐剤の混合物を意味する。その際、有効薬剤は本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物から純粋または不純な形で単離できる。その際、佐剤は特に医薬的許容性を得るために、また有効薬剤を保存性および貯蔵性にするために用いられる。本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物から調製される純粋または不純な形の有効薬剤を含む軟膏剤は、塑性変形性の医薬製剤であって、有効薬剤のほかに基剤または賦形剤として軟膏基剤を含有する。医療用パック剤は特に、本発明のフィランタス属構成部分をそのまま、またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を純粋なまたは不純な形で、あるいはフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物から純粋なまたは不純な形で単離した有効薬剤を、キャリヤー材料および他の有効薬剤と組み合わせて含有することができる。顆粒剤とは、本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物から得た有効薬剤を含む粗粒状の顆粒含有粉末混合物を意味する。顆粒剤は錠剤の形であってもよい。本発明によるフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を栄養補助剤としても使用できる。これは食品の形でのフィランタス属構成部分の使用および、とりわけ錠剤、顆粒剤または薬用茶の形の栄養補助剤をも意味する。
【0052】
本発明の他の好ましい態様において、適用は経口、局所または非経口的に行われる。
本発明はさらに、哺乳動物においてヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患を予防または治療する方法であって、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を哺乳動物に投与する方法に関する。
【0053】
本発明の方法には、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を投与する工程のほか、他の工程、たとえば他の療法薬または追加の療法処置を施すことも含まれる。本発明の方法または本明細書中で同じ事柄に用いる概念については、本発明の使用に従う定義が同様に適用される。さらに、本発明の方法には本発明の使用のすべての態様が含まれる。
【0054】
好ましい態様において、哺乳動物はヒトである。
さらに本発明は、ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増幅を阻害する方法であって、1種類以上のフィランタス属構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を該ウイルスと接触させる方法に関する。
【0055】
好ましい態様において、この阻害はエクスビボまたはインビトロで行われる。
本発明の特に好ましい態様において、ヌクレオシド類似体はラミブジンおよびファムシクロビルよりなる群から選択される。
【0056】
本発明の使用について記載した他の好ましい態様または特に好ましい態様は、必要に応じて変更を加えて、本発明方法にも適用される。
図1(a)は、HuH7細胞における”野生型”HBV−DNAの用量依存性阻害を示す。フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)抽出物を濃度0(負の対照)〜1000μg/mlで試験した。レーン1は陰性対照(ウイルスをトランスフェクションしなかった)を示す。レーン2はフィランタス・アマラス抽出物の不存在下での新たなDNA(ウイルス子孫)合成を示す。レーン3は陽性対照(レーン2と比較して半分のHBV−DNAがトランスフェクションされた)を示す。レーン4は分子量標準品(1kbラダー)を示す。レーン5〜8は、フィランタス・アマラス100(レーン5)、250(レーン6)、500(レーン7)および1000(レーン8)μg/mlの存在下での新たなHBV−DNA(ウイルス子孫)形成を示す。
【0057】
図1(b)は、HuH7細胞における”YMDD(イソロイシン)変異”HBV−DNAの用量依存性阻害を示す。フィランタス・アマラス抽出物を濃度0(負の対照)〜1000μg/mlで試験した。レーン1は陰性対照(ウイルスをトランスフェクションしなかった)を示す。レーン2はフィランタス・アマラス抽出物の不存在下での新たなDNA(ウイルス子孫)合成を示す。レーン3は陽性対照(レーン2と比較して半分のHBV−DNAがトランスフェクションされた)を示す。レーン4は分子量標準品(1kbラダー)を示す。レーン5〜8は、フィランタス・アマラス100(レーン5)、250(レーン6)、500(レーン7)および1000(レーン8)μg/mlの存在下での新たなHBV−DNA(ウイルス子孫)形成を示す。
【0058】
実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0059】
実施例1:ラミブジン耐性(YMDD)B型肝炎ウイルスの遺伝子発現および複製のインビトロ阻害
フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)構成部分またはそれから得た物質が”野生型”およびラミブジン耐性(YMDD)B型肝炎ウイルスの遺伝子発現および複製に及ぼす阻害効果を、細胞培養モデルにおいて試験した;図1も参照。これらの実験では、ミュンヘンのWagner教授により提供されたLAT No.01620514に水基準で標準化した抽出物を用いた。HuH7細胞をまず5%CO2中、37℃で、10%ウシ胎仔血清、グルタミンおよびペニシリン−ストレプトマイシンを添加したダルベッコ改変イーグル培地において培養した。細胞培養のマイコプラズマ汚染を、対応する試験で除外した。まずフィランタス・アマラス抽出物の細胞毒性をWAT1アッセイ(ベーリンガー・マンハイム)により試験した。これにより抽出物の細胞毒性を除外できた。次いで約106個のHuH7細胞を接種し、一夜培養した。翌日、これらの細胞に、15μgのプラスミドDNA PHBV1.5またはラミブジン耐性YMDD B型肝炎ウイルス変異体のゲノムを含むプラスミドを、リン酸カルシウム法によりトランスフェクションした。1μgのβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドを同時トランスフェクションしてβ−ガラクトシダーゼ活性を検出することにより、トランスフェクション効率を調べた。トランスフェクションしたHuH7細胞を、100、250、500または1000μg/mlのフィランタス・アマラス抽出物を含有する培地中で5日間培養した。次いで細胞をPBS中で洗浄し、採集してホモジナイズした。ホモジナイズした細胞懸濁液を微量遠心機により最大速度で遠心した。上清を採集し、抗HBC抗体を負荷したプロテインAアガロースビーズと共にインキュベートした。インキュベーション後、ビーズをTNE緩衝液で3回洗浄し、同緩衝液中、4℃で12時間インキュベートした。最終洗浄工程後、ペレット化したビーズをTNE緩衝液中、塩化マグネシウムの存在下で、DNase(1U/ml)およびRNase(1U/μl)と共に37℃で30分間インキュベートした。ペレットをTNE緩衝液で3回洗浄した後、ビーズにより精製されたB型肝炎ウイルス中に含有されるウイルスDNAを放出させるために、ドデシル硫酸ナトリウム(1%)およびサクロシル(Sacrosyl)の存在下で37℃で12時間、プロテイナーゼK(0.5mg/ml)処理した。次いで、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1)によりDNAを抽出し、10μgのtRNAの存在下で沈殿させた。次いでDNAペレットをTE緩衝液20μlに再懸濁し、1%アルカリ性アガロースゲル中、変性条件下で分離した。次いで、DNAをナイロン膜(Qiabrane Nylon、キアゲン社、ドイツ)上に移してサザン分析を行った。ウイルスDNAを検出するために、一本鎖DNAをプラスミドpHBV1.5から単離し、”ランダムプライミング法”により放射性核種32Pで標識した。後続のハイブリダイゼーションに際して、この標識プローブ106cpm/mlを用いた。得られたデータは、フィランタス・アマラス抽出物が抽出物の使用量に依存してウイルスDNAの”de novo”合成を有意に阻害することを示す。ウイルスDNAのde novo合成阻害は、”野生型”B型肝炎ウイルスでは濃度250μg/mlのフィランタス・アマラス抽出物で既に認められ、ラミブジン耐性YMDD B型肝炎ウイルス変異体では500〜1000μg/mlの濃度で認められた。いずれの場合も、認められた効果はフィランタス・アマラス抽出物の細胞毒性によるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)抽出物がHuH7細胞においてウイルスDNAの”de novo”合成を用量依存性で阻害することを示す図である。
Claims (29)
- ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療のための、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用。
- ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患の予防または治療に用いる医薬の調製のための、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用。
- 感染性疾患が黄熱病、硬変症および肝細胞癌である、請求項1または2に記載の使用。
- ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖阻害のための、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物の使用。
- 阻害をエクスビボまたはインビトロで行う、請求項4に記載の使用。
- 1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物が、フィランタス・アマラス(Phyllanthus amarus)、フィランタス・ニルリ(Phyllanthus niruri)、フィランタス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)、フィランタス・ウリナリア(Phyllanthus urinaria)、フィランタス・アシダス(Phyllanthus acidus)、フィランタス・アキュミナタス(Phyllanthus acuminatus)およびフィランタス・レティキュラタス(Phyllanthus reticulatus)、または複数のこれらのフィランタス属種に由来する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
- ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが逆転写酵素に1以上の変異を示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
- 1以上の変異が、552位またはそれに相当する位置におけるメチオニンのイソロイシン置換を含む、請求項7に記載の使用。
- 予防または治療が1種類以上のウイルス酵素の阻害を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
- 阻害が1種類以上のウイルス酵素のプロセシングの阻害を含む、請求項9に記載の使用。
- 酵素が逆転写酵素である、請求項9または10に記載の使用。
- 逆転写酵素が、552位またはそれに相当する位置におけるメチオニンのイソロイシン置換を示す、請求項11に記載の使用。
- ヌクレオシド類似体が、ラミブジンおよびファムシクロビルよりなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
- フィランタス属(Phyllanthus)の構成部分が、生薬、葉、樹皮、花、種子、果実、茎、枝、幹、根および木質部を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 物質または物質混合物が、アルカロイド、タンニン、リグナン、セスキテルペン、トリテルペンおよび青酸配糖体よりなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
- 物質または物質混合物の抽出に際して水性、非極性、分枝鎖または直鎖の炭化水素をn−ヘキサンと共に用いる、請求項15に記載の使用。
- 炭化水素がC5〜C10の骨格を有する、請求項16に記載の使用。
- 物質または物質混合物の抽出に際してアルコール類および/またはその混合物を用いる、請求項15に記載の使用。
- 用いるアルコール類が短鎖第一級C1〜C4アルコールおよび/またはその混合物である、請求項18に記載の使用。
- 用いるアルコール類がメタノールおよび/またはエタノールである、請求項19に記載の使用。
- 1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を他の有効薬剤と組み合わせて使用する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
- 他の有効薬剤が、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγおよびリバビリンよりなる群から選択される、請求項21に記載の使用。
- 注入用液剤、注射用液剤、錠剤、軟膏剤、医療用パック剤、顆粒剤、栄養補助剤または浣腸剤の形で適用する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。
- 経口、局所または非経口投与により適用する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の使用。
- 哺乳動物においてヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスにより起きるか、またはヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスが発症もしくは進行に関与する感染性疾患を予防または治療する方法であって、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を哺乳動物に投与する方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項25に記載の方法。
- ヌクレオシド類似体に耐性であるB型肝炎ウイルスの増殖を阻害する方法であって、1種類以上のフィランタス属(Phyllanthus)構成部分またはそれから得られる物質もしくは物質混合物を該ウイルスと接触させる方法。
- 阻害をエクスビボまたはインビトロで行う、請求項27に記載の方法。
- ヌクレオシド類似体が、ラミブジンおよびファムシクロビルよりなる群から選択される、請求項24〜28のいずれか1項に記載の使用。
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