JP2005500853A - ヒト3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのモジュレーターの同定方法 - Google Patents

ヒト3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのモジュレーターの同定方法 Download PDF

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Abstract

3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3a-HSD)は、ステロイドホルモンおよび神経ステロイド(中枢神経系で合成されるステロイド)の代謝および作用に中枢的役割を果たす。補因子NADPとの複合体として結晶化したヒトIII型3a-HSDの高分解構造をX線回折により決定する。さらにその活性部位も決定する。この酵素の構造座標はヒトIII型3a-HSDに対する新規なクラスのモジュレーターをデザインおよび選択するために使用できる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、その化合物と酵素の活性部位の特定残基とを相互作用させるある構造的、物理的および空間的特徴を有する化合物を用いることにより、ヒト3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3a-HSD)のモジュレーターを同定する方法に関する。本発明の化合物と活性部との間のこの相互作用は3a-HSDの活性を阻害または増強し、これらの化合物は、主要な単極性鬱病、月経前不快気分障害(PMDD、PMS)およびその他の情動障害など、内因性の神経活性基質であり、3a-HSDの産物でもあるアロプレグナノロンの欠損が示される疾病の治療に有用である。本発明はまた、ヒト3型3a-HSDの新規な結晶構造、この酵素のヒト型の詳細な触媒部位の同定、および該活性部位の阻害剤および増強剤のデザインおよび選択を可能とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト3a-HSDはステロイドホルモンおよび神経ステロイド(中枢神経系で合成されるステロイド)の代謝および作用に中枢的な役割を果たす。3a-HSDはアルド-ケトレダクターゼ(AKR)スーパーファミリーのメンバーである。一般に、哺乳類3a-HSDの機能はそれぞれ5α-および5α,3-ケトステロイドを5α,3α-および5α,3α-テトラヒドロステロイドへと変換(還元)すること、またさらにこれらの3α-還元型テトラヒドロステロイドを酸化してそれらの親3-ケトステロイド前駆体へと戻すことである。3a-HSDの標的基質であるステロイドはアンドロゲンとプロゲスチンである。例えば前立腺では、強力なアンドロゲン5α-ジヒドロテストステロンが3a-HSDにより、弱いアンドロゲン3α-アンドロスタンジオールへと変換される。これに対し、中枢神経系では、3a-HSDは5α-ジヒドロプロゲステロンをGABAAレセプターの強力なアロステリックエフェクターである3α-ヒドロキシ-5a-プレグナン-20-オン(アロプレグナノロン)(Kd=10-9M)(Majewski, M. D. et al. (1986) Science 232, 1004-1007; Majewski, M. D. (1992) Prog. Neurobiol. 38, 379-395; Lambert, J. J. et al. , Trends Pharmacol. Sci. 16, 295-303)へと変換することによってg-アミノ酪酸 (GABA)Aレセプターの占有率を調節することができる。GABAの存在下でアロプレグナノロンはGABAA媒介性の塩素のコンダクタンスを増強する。その結果として3a-HSDは抗不安ステロイドの産生を担うが、この経路の活性の低下は月経前症候群の徴候と関連づけられている(Morrow, A. L. et al. (1998) Nature (London) 395, 652-653)。このように3a-HSDイソ型は核レセプター(アンドロゲンレセプター)と膜結合型塩素イオンゲートチャネル(GABAAレセプター)の占有率を調節し、レセプター機能に対して著しい作用を持ちうる。これらの理由から、3α-HSDは前立腺におけるステロイドホルモン、またCNSにおける神経ステロイドの機能のオンオフを切り替える分子スイッチであると考えられる。
【0003】
4種のヒト3a-HSDイソ型がクローニングされ、配列決定および特性決定されている:1型3α-HSD (AKR1C4)、2型3α(17β)-HSD (AKR1C3)、3型3α-HSD (AKR1C2)、および20α(3α)-HSD (AKR1C1)で、少なくとも84%のアミノ酸および配列が同一である。これらのイソ型のうち2型と3型だけが脳で発現し、3型はCNSに存在する主要な形態である。2型および3型3α-HSDはほとんど90%のヌクレオチド配列同一性ならびに88%のアミノ酸相同一性を有する。それらの推定される基質結合ポケットおよび触媒ドメインは高度に保存されている(AKRスーパーファミリーの他のメンバー間でも同様)。3型のイソ型は脳において抗不安性GABAAレセプター活性神経ステロイドであるアロプレグナノロンの酸化(スイッチオフ)を担う主要な形態であると考えられている。
【0004】
3a-HSDは全てNAD(P)(H)依存性オキシドレダクターゼであり、このことはNAD+、NADH、NADP+およびNADPHが補因子であることを意味する。酸化作用にはNAD+またはNADP+の存在が必要であるが、NADPHは3-ケトステロイドの還元に用いられる。3a-HSDの既知の阻害剤としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)種(Penning et al., PNAS (1983) 80, 4504-4508)および3a-HSDを同時に増強も阻害もすることが報告されている選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(Griffin and Mellon, PNAS (1999) 96, 13512-13517)がある。
【0005】
発明の概要
本発明の1つの態様は、ヒトIII型3a-HSDの結晶構造およびその構造座標を決定することを含む。
【0006】
このヒトIII型3a-HSD結晶の構造座標は酵素の活性部位または補因子結合部位の原子の詳細を明らかにするため、また、種々のヒトIII型3a-HSD結晶、またはヒトIII型3a-HSDの突然変異体、ホモログもしくはコ-コンプレックスの結晶の構造を明らかにするために用いられる。
【0007】
また、ヒトIII型3a-HSDの構造座標および原子の詳細、またはその突然変異体もしくはホモログもしくはコ-コンプレックスを用いてヒトIII型3a-HSDの増強剤または阻害剤を提供することも本発明の1つの目的である。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、化合物をヒトIII型3a-HSDを調節する能力に関してスクリーニングする方法を提供する。
【0009】
詳細な説明
表1はNADP補因子と複合体を形成したヒトIII型3a-HSD 3α-HSDの結晶のX線回折により得られたヒトIII型3a-HSDの原子構造座標のリストである[分解範囲での理論的全反射数:56988(100.0%);観測されなかった反射数(入力なし、または|F|=0):1562(2.7%);排除された反射数:0(0.0%);用いられた全反射数:55426(97.3%);ワーキングセットの反射数:49806(87.4%);テストセットの反射数:5620(9.9%)]。表1では下記の略号を用いている。「原子種」とは座標を測定する元素をさす。欄の最初の文字は元素を表す。「X、Y、Z」は結晶学的に測定されたエレメントの原子の位置を表す。「B」は原子中心の周囲の原子の移動を表す熱因子である。
【0010】
略号:
Å=オングストローム
TIP=例えば活性部位の分子のリストにおいて水分子を表す
【0011】
定義:
また本明細書では以下の用語を用いる。
「コ-コンプレックス」とは、化学存在または化合物と共有結合または非共有結合状態にあるヒトIII型3a-HSDまたはヒトIII型3a-HSDのホモログを意味する。
【0012】
「会合する」とは、化学存在もしくは化合物またはその一部とヒトIII型3a-HSD分子またはその一部とが近接している状態をさす。会合は非共有結合(水素結合またはファンデルワールスまたは静電気的相互作用がその近位をエネルギー的に好む場合)であっても共有結合であってもよい。
【0013】
「活性部位」または「活性部位部分」とは、ヒトIII型3a-HSDの以下の部位:基質結合部位、および基質還元が起こる部位のいずれかまたは全てをさす。この活性部位は、配列番号1および表1(TIP(=水)分子)の配列および番号を用いれば、少なくともアミノ酸残基TYR 24、ALA 25、ALA 52、VAL 54、TYR 55、LYS 84、TRP 86、HIS 117、ILE 129、ASN 167、GLN 190、TYR 216、HIS 222、GLU 224、PRO 226、TRP 227、LEU 306、LEU 308、ILE 310、PHE 311、TIP 1、TIP 33、TIP 131、TIP 225、TIP 235によって特徴づけられる。
【0014】
「補因子」結合部位とは、ヒトIII型3a-HSDの以下の部位:補因子結合部位(補因子、例えばNADP)のいずれかまたは全てをさす。この補因子結合部位(ここではNADP)は、配列番号1および表1(TIP(=水)分子)の配列および番号を用いれば、少なくともアミノ酸残基GLY 22、THR 23、TYR 24、ASP 50、TYR 55、LYS 84、HIS 117、SER 166、ASN 167、GLN 190、TYR 216、SER 217、ALA 218、LEU 219、GLY 220、SER 221、HIS 222、LEU 236、ALA 253、LEU 268、ALA 269、LYS 270、SER 271、TYR 272、ASN 273、ARG 276、GLN 279、ASN 280、LEU 306、TIP 17、TIP 27、TIP 53、TIP 93、TIP 122、TIP 207、TIP 219、TIP 224によって特徴づけられる。
【0015】
「構造座標」とは、結晶状のヒトIII型3a-HSD分子の原子(散乱中心)により単色光線のX線回折で得られたパターンに関連した数式から導き出された数学座標をさす。この回折データは結晶の繰り返し単位の電子密度地図を計算するために用いられる。電子密度地図は結晶の単位格子内の個々の原子の位置を確定するために用いられる。
【0016】
当業者ならば、X線結晶学によって求められた一組の構造座標が標準誤差内にはないことがわかるであろう。本発明の目的では、タンパク質主鎖原子(N、α-C、CおよびO)の二乗平均分散が、主鎖原子を用いて表1に挙げた構造座標に重ね合わせた場合に0.75Å未満であるヒトIII型3a-HSDまたはヒトIII型3a-HSD変異体に関するいずれの構造座標セットも同一であるものとする。
【0017】
「変異体」とは、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、その必須の特性を維持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドをさす。典型的なポリヌクレオチド変異体は参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列が異なる。変異体のヌクレオチド配列における変化は参照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させる場合もあるし変化させない場合もある。ヌクレオチドの変化は下記に述べるように参照配列によりコードされるポリペプチドにアミノ酸置換、付加、欠失、融合および末端切断をもたらしうる。典型的なポリペプチド変異体は参照ポリペプチドとアミノ酸配列が異なる。一般に、変更は参照ポリペプチドおよび変異体の配列が全体として近似し、多くの領域で同一であるよう制限される。変異体および参照ポリペプチドはいずれの組合せであってもよいが1以上の置換、挿入、欠失によりアミノ酸配列が異なりうる。置換または挿入されたアミノ酸残基は遺伝コードによりコードされるものであってもなくてもよい。典型的な保存的置換としては、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln、Ser、Thr;Lys、Arg;およびPheとTyrがある。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は対立遺伝子など天然に存在するもの、または天然に存在するとは知られていない変異体でありうる。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非天然変異体は突然変異誘発技術または直接的合成によって作出しうる。また、例えばグリコシル化、リン酸化、メチル化、ADIPリボシル化など1以上の翻訳後修飾を有するポリペプチドも変異体として含まれる。具体例としてはN末端アミノ酸のメチル化、セリンおよびトレオニンのリン酸化、およびC末端グリシンの修飾が挙げられる。
【0018】
「単位格子」とは、基本形のブロックをさす。結晶の総体はこのようなブロックの規則的な組み立てにより構築される。各単位格子はパターン単位の完全な描写を含み、この繰り返しが結晶を構成する。
【0019】
「空間群」とは、結晶の対称要素の配置をさす。
【0020】
「分子置換」とは、構造座標が未知のヒトIII型3a-HSD結晶の変異体の予備モデルを、構造座標(例えば、表1のヒトIII型3a-HSD座標)が既知の分子を未知の結晶の単位格子内に、未知の結晶の観測された回折パターンを最もよく説明できるように配向および配置することによって作製することを含む方法をさす。次にこのモデルから位相を計算し、観測された振幅と組み合わせて座標が未知の構造の近似フーリエ合成を得ることができる。次にこれに対していくつかの形態の精密化のうちいずれかを施して未知の結晶の最終的な正確な構造を得ることができる(Lattman, E., "Use of the Rotation and Translation Functions", in Methods in Enzymology, 115, pp. 55-77 (1985); M. G. Rossmann, ed., "The Molecular Replacement Method", Int. Sci. Rev. Ser., No. 13, Gordon & Breach, New York, (1972))。本明細書により提供されるヒトIII型3a-HSDの構造座標を用い、分子置換を用いて、例えば特定の阻害剤と複合体形成した結晶変異体、またはヒトIII型3a-HSDのホモログ、またはヒトIII型3a-HSDの種々の結晶型の構造座標を決定しうる。
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書に記載の本発明をよりよく理解できるよう、以下、詳細な説明を示す。
【0022】
本発明は結晶性ヒトIII型3a-HSD、X線結晶学によって決定されるヒトIII型3a-HSD 3α-HSDの構造、ヒトIII型3a-HSDホモログおよびヒトIII型3a-HSDのその他の結晶型、ヒトIII型3a-HSDのコ-コンプレックスの構造を明らかにするためのこの構造の使用、ならびにヒトIII型3a-HSDのデザインおよび選択のための、ヒトIII型3a-HSD構造およびそのホモログおよびコ-コンプレックスの構造の使用に関する。
【0023】
A. NADPとの複合体におけるヒトIII型3a-HSDの構造
本発明ははじめてポリエチレングリコール溶液からNADPの存在下で成長させたヒトIII型3a-HSDの結晶を提供する。この結晶は斜方六面体空間群対称を有し、0.5 x 0.5 x 0.2mmに達した。この結晶の単位格子は以下の寸法:a=b=c=108.5+/-1Å、α=β=γ=85.1°+/-1°。結晶性ヒトIII型3a-HSDのX線結晶学によって決定されるヒトIII型3a-HSD 3α-HSDも構造座標は表1に示されている。結晶充填からはヒトIII型3a-HSDが単一のダイマーとして結晶化することが明らかである(表1のデータはダイマーに関するものである)。
【0024】
酵素核は、βシートとは逆平行に走る8本のαヘリックスに取り囲まれた8本の平行β鎖の円筒核を有するα/βバレルによって形成される。このバレルはβ/α単位が8回繰り返すことにより形成され、2つの偏りを伴う。1つはバレルのβ鎖7とヘリックス8の間にさらなるヘリックス が存在すること、そして、ヘリックス8とC末端領域の間に第二のヘリックスが存在することである。N末端では、急なヘアピンカーブによってつながったさらに2本の逆平行β鎖がバレル底部のシールを形成している。
【0025】
ヒトIII型3a-HSDの構造についての我々の理解から、酵素の活性および補因子結合部位の同定が可能となった。この活性部位部分は、配列番号1の配列および番号を用いれば、少なくともアミノ酸残基TYR 24、ALA 25、ALA 52、VAL 54、TYR 55、LYS 84、TRP 86、HIS 117、ILE 129、ASN 167、GLN 190、TYR 216、HIS 222、GLU 224、PRO 226、TRP 227、LEU 306、LEU 308、ILE 310、PHE 311、TIP 1、TIP 33、TIP 131、TIP 225、TIP 235によって特徴づけられる。補因子結合部位(ここではNADP)は、配列番号1および表1(TIP(=水)分子)の配列および番号を用いれば、少なくともアミノ酸残基GLY 22、THR 23、TYR 24、ASP 50、TYR 55、LYS 84、HIS 117、SER 166、ASN 167、GLN 190、TYR 216、SER 217、ALA 218、LEU 219、GLY 220、SER 221、HIS 222、LEU 236、ALA 253、LEU 268、ALA 269、LYS 270、SER 271、TYR 272、ASN 273、ARG 276、GLN 279、ASN 280、LEU 306、TIP 17、TIP 27、TIP 53、TIP 93、TIP 122、TIP 207、TIP 219、TIP 224によって特徴づけられる。
【0026】
B. ヒトIII型3a-HSDの構造座標の使用
本発明ははじめて、ヒトIII型3a-HSDの活性部位または補助結合部位と全体的にまたは部分的に結合しうる阻害化合物を含む化学存在および化合物をデザイン、選択および合成するための分子デザイン技術の使用を可能とする。
【0027】
本発明によって可能となる1つのアプローチは、酵素と結合し、例えば溶解度など、化合物の物理特性を種々の方法で変化させる化合物をデザインするためにヒトIII型3a-HSDの構造座標を用いることである。例えば本発明は、ヒトIII型3a-HSDの活性部位の全部または一部と結合することによってヒトIII型3a-HSD酵素の競合阻害剤として働く化合物のデザインを可能とする。第二のデザインアプローチとしては、候補ヒトIII型3a-HSD阻害剤と酵素の間の相互作用のための至適部位を決定するため、ヒトIII型3a-HSDを種々の異なる化学存在からなる分子でプロービングすることである。例えば溶媒で飽和させた結晶からとった高分解X線回折データから、各種溶媒分子がどこで固着するかを決定できる。次にこれらの部位と強く結合する小分子をデザインおよび合成し、それらのヒトIII型3a-HSD阻害剤活性を試験することができる(Travis, J., Science, 262, p. 1374 (1993)).
【0028】
本発明はまた、ヒトIII型3a-HSDと結合する基質またはその他の化合物とヒトIII型3a-HSDとの化学反応における短命な反応中間体へと異性化することができる化合物の開発も可能とする。このように、その他の分子との相互作用中にヒトIII型3a-HSD 3α-HSDにおける構造変化の時間に依存する分析が可能となる。また、ヒトIII型3a-HSDの反応中間体をヒトIII型3a-HSDとのコ-コンプレックスにおける反応生成物から推定することもできる。このような情報は既知のヒトIII型3a-HSD増強剤または阻害剤の改良型類似体をデザインするため、あるいはヒトIII型3a-HSD 3α-HSD酵素およびヒトIII型3a-HSD-リガンドコ-コンプレックスの反応中間体に基づく新規なクラスの増強剤または阻害剤をデザインするために有用である。これにより高い親和性と安定性の双方を有するヒトIII型3a-HSD 3α-HSD阻害剤をデザインする新規な経路が提供される。
【0029】
本発明によって可能となる、また可能となったもう1つのアプローチとしては、ヒトIII型3a-HSD酵素と全体的にまたは部分的に結合しうる化学存在または化合物に関してコンピューター的に小分子データベースをスクリーニングすることである。このスクリーニングでは、結合部位に対するこのような存在または化合物の適合の質は形状相補性または推定された相互作用エネルギーのいずれかにより判断される(Meng, E. C. et al., J. Comp. Chem., 13, pp. 505-524 (1992))。
【0030】
ヒトIII型3a-HSDは1を超える結晶形態で結晶化しうることから、本発明により提供されるヒトIII型3a-HSDまたはその一部の構造座標はヒトIII型3a-HSDのその他の結晶型の構造を明らかにするために特に有用である。それらはまた、ヒトIII型3a-HSDコ-コンプレックス、またはヒトIII型3a-HSDのいずれかの機能的ドメインと有意なアミノ酸配列相同性を有する他のいずれかのタンパク質の結晶形態の構造を明らかにするために用いうる。
【0031】
この目的で用いうる1つの方法として分子置換がある。この方法では、ヒトIII型3a-HSDの別の結晶型であれヒトIII型3a-HSDコ-コンプレックスであれ、またはヒトIII型3a-HSDのいずれかの機能的ドメインと有意なアミノ酸配列相同性を有するその他数種のタンパク質の結晶であれ、未知の結晶構造を表1に示されたような本発明のヒトIII型3a-HSD構造座標を用いて決定しうる。本方法は最初からこのような情報を求めようとするよりも迅速かつ有効に未知の結晶の正確な構造形態を提供する。
【0032】
さらに、本発明によれば、ヒトIII型3a-HSDが既知のヒトIII型3a-HSD阻害剤とのコ-コンプレックスとして、例えばNSAIDおよびSSRIとして結晶化しうる。このような一連の複合体の結晶構造は次に分子置換によって明らかにし、野生型ヒトIII型3a-HSDのものと比較すればよい。このようにして酵素の結合部位内の可能性のある修飾部位を同定しうる。この情報はヒトIII型3a-HSDと化学存在または化合物の間に最も有効な結合相互作用、例えば高い疎水性相互作用を決定するための手段を提供する。
【0033】
上記で言及した複合体は全て周知のX線回折技術を用いて研究でき、X-PLOR (Yale University,. COPYRGT.1992, Molecular Simulations, Inc.により流通)などのコンピューターソフトウエアを用い、1-3Å分解X線データに対して約0.20以下のR値まで精密化しうる。例えば、Blundel & Johnson, 上記; Methods in Enzymology, vol. 114 & 115, H. W. Wyckoff et al., eds., Academic Press (1985)参照。このようにしてこの情報を既知のクラスのヒトIII型3a-HSD増強剤および阻害剤を至適化するため、またより重要には新規なクラスのヒトIII型3a-HSD増強剤および阻害剤をデザインおよび合成するために用いうる。
【0034】
本発明のヒトIII型3a-HSDと結合する化合物のデザインは一般に2つの因子の考慮する必要がある。1つには、その化合物がヒトIII型3a-HSDと物理的かつ構造的に会合しなければならない。ヒトIII型3a-HSDとその基質との会合において重要な非共有結合分子相互作用としては水素結合、ファンデルワールスおよび疎水性相互作用がある。
【0035】
もう1つには、その化合物はそれをヒトIII型3a-HSDと会合させるコンホメーションを推定できなければならない。化合物のある部分はヒトIII型3a-HSDとのこの会合に直接会合しないが、これらの部分は分子全体のコンホメーションにやはり影響を及ぼしうる。そしてこれは効力に著しい影響を持ちうる。このようなコンホメーション要求としては、結合部位、例えばヒトIII型3a-HSDの活性部位または補助結合部位の全部または一部に対する化学存在または化合物の全体的な三次元構造および配向、またはヒトIII型3a-HSDと直接相互作用するいくつかの化学存在を含む化合物の官能基間の距離が挙げられる。
【0036】
ヒトIII型3a-HSDに対する化学化合物の可能性のある阻害または結合作用は、その実際の合成および試験の前にコンピューターモデリング技術を用いることにより分析することができる。ある化合物の理論的構造が、それとヒトIII型3a-HSDの間の十分な相互作用および会合を示唆しなければ、その化合物の合成および試験は不要になる。しかし、コンピューターモデリングが強い相互作用を示せば、次にその分子を合成し、L. Griffin and S. Mellon in Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1999, 96 (23), 13512-13517,およびT. Penning et al. In Biochem. J., 2000, 351, 67-77により記載されている分光光度アッセイおよび改良型放射測定アッセイの2種の機能的アッセイでこれを試験することにより、ヒト3型を活性化または阻害する能力に関して試験すればよい。従って、無効な化合物の合成が避けられる。
【0037】
ヒトIII型3a-HSDの阻害またはその他の結合化合物は、化学存在またはフラグメントはヒトIII型3a-HSDの個々の結合ポケットまたはその他の領域と会合する能力に関してスクリーニングおよび選択される一連のステップによりコンピューター的に評価およびデザインできる。
【0038】
当業者ならばヒトIII型3a-HSD、より詳しくはヒトIII型3a-HSD活性部位の個々の結合ポケットと会合する能力に関して化学存在またはフラグメントをスクリーニングするためのいくつかの方法のうちの1つを使用することができる。この方法は例えば表1のヒトIII型3a-HSD座標に基づきコンピュータースクリーン上で活性部位を目で確認することによるものでありうる。選択されたフラグメントまたは化学存在は次にヒトIII型3a-HSDの個々の結合ポケット内に様々な配向で配置またはドッキングさせればよい。QuantaおよびSybylなどのソフトウエアを用いてドッキングを行った後、CHARMMおよびAMBERなどの標準的な分子機構フォースフィールドを用いてエネルギーの最小化と分子力学を行う。
【0039】
また、特殊なコンピュータープログラムもフラグメントまたは化学存在を選択する方法を支援しうる。これらには以下のようなものがある。
1. GRID (Goodford, P. J., "A Computational Procedure for Determining Energetically Favorabl Binding Sites on Biologically Important Macromolecules", J. Med. Chem., 28, 849-857 (1985)). GRIDはOxford University, Oxford, UKから入手できる。
2. MCSS (Miranker, A. and M. Karplus, "Functionality Maps of Binding Sites: A Multiple Copy Simultaneous Search Method." Proteins: Structure. Function and Genetics, 11, 29-34 (1991)). MCSSはMolecular Simulations, Burlington, Massから入手できる。
3. AUTODOCK (Goodsell, D. S. and A. J. Olsen, "Automated Docking of Substrates to Proteins by Simulated Annealing", Proteins: Structure. Function, and Genetics, 8, 195-202 (1990)). AUTODOCKはScripps Research Institute, La Jolla, Califから入手できる。
4. DOCK (Kuntz, I. D. et al., "A Geometric Approach to Macromolecule-Ligand Interactions", J. Mol. Biol., 161, 269-288 (1982)). DOCKはUniversity of California, San Francisco, Califから入手できる。
5. GOLD (Jones G et al., "Development and Validation of a Gentic Algorithm for Flexible Docking", J. Mol. Biol. 267, 727-748 (1997))
【0040】
ひとたび好適な化学存在またはフラグメントが選択されると、それらを一つの化合物または阻害剤へと組み立てることができる。組み立てはヒトIII型3a-HSDの構造座標に関してコンピュータースクリーンに表示される三次元画像においてフラグメントとその他各々の関係を目で確認することにより処理することができる。この後、QuantaまたはSybylなどのソフトウエアを用いて手動モデル構築を行える。
【0041】
個々の化学存在またはフラグメントを結びつける上で当業者に役立つ有用なプログラムとしては以下のようなものがある。
1. CAVEAT (Bartlett, P. A. et al, "CAVEAT: A Program to Facilitate the Structure-Derived Design of Biologically Active Moleculars". In "Molecular Recognition in Chemical and Biological Problems", Special Pub., Royal Chem. Soc., 78, pp. 182-196 (1989)). CAVEATはUniversity of California, Berkeley, Califから入手できる。
2. 3D Database systems such as MACCS-3D (MDL Information Systems, San Leandro, Calif.). This area is reviewed in Martin, Y. C., "3D Database Searching in Drug Design", J. Med. Chem., 35, pp. 2145-2154 (1992)).
3. HOOK (Molecular Simulations, Burlington, Mass.から入手できる).
【0042】
上記のように一度に1つのフラグメントまたは化学存在というような段階的様式でヒトIII型3a-HSD増強剤または阻害剤の構築を進める代わりに、エンプティー活性部位か、または所望により既知の阻害剤のある部分を含むものを用いて全体として、または「新規に」ヒトIII型3a-HSD結合化合物をデザインしてもよい。これらの方法としては以下のようなものがある。
1. LUDI (Bohm, H.-J., "The Computer Program LUDI: A New Method for the De Novo Design ofEnzyme Inhibitors", J. Comp. Aid. Molec. Design, 6, pp. 61-78 (1992)). LUDIはBiosym Technologies, San Diego, Calif.から入手できる。
2. LEGEND (Nishibata, Y. and A. Itai, Tetrahedron, 47, p. 8985 (1991)). LEGENDはMolecular Simulations, Burlington, Mass.から入手できる。
3. LeapFrog (Tripos Associates, St. Louis, Mo.から入手できる)
【0043】
また、その他の分子モデリング技術を本発明に従って用いてもよい。例えば、Cohen, N. C. et al., "Molecular Modeling Software and Methods for Medicinal Chemistry", J. Med. Chem., 33, pp. 883-894 (1990)参照。また、Navia, M. A. and M. A. Murcko, "The Use of Structural Information in Drug Design", Current Opinions in Structural Biology, 2, pp. 202-210 (1992)も参照。
【0044】
ひとたび上記の方法により化合物がデザインまたは選択されれば、その化合物がヒトIII型3a-HSDと結合しうる効率をコンピューター評価により試験および至適化することができる。例えば、ヒトIII型3a-HSD阻害剤として機能するようにデザインまたは選択された化合物はまた好ましくは、それが天然基質と結合している場合に活性部位によって占有されるところと重ならない空間を横切らなければならない。有効なヒトIII型3a-HSD阻害剤は好ましくはその結合状態と遊離状態間のエネルギーに比較的小さな差(すなわち、小さな結合変形エネルギー)を示さなければならない。このように、最も有効なヒトIII型3a-HSD阻害剤は好ましくは約10kcal/モル以下、好ましくは7kcal/モル以下の結合変形エネルギーを有するようにデザインしなければならない。ヒトIII型3a-HSD阻害剤は全体としての結合エネルギーが小さい1を超えるコンホメーションにおいて酵素と相互作用しうる。このような場合、結合変形エネルギーは、遊離化合物のエネルギーと阻害剤が酵素と結合する際に観測されるコンホメーションの平均エネルギー間の差であると考えられる。
【0045】
ヒトIII型3a-HSDとの結合に応じてデザインまたは選択された化合物はさらに、好ましくはその結合状態において標的酵素との反発性の静電気的相互作用がないようにコンピューター的に至適化することができる。このような非相補的(例えば静電気的)相互作用としては、反発的電荷-電荷、双極分子-双極分子および電荷-双極分子相互作用が挙げられる。具体的には、阻害剤がヒトIII型3a-HSDと結合した際に阻害と酵素の間の全静電気的相互作用の合計が好ましくは結合のエンタルピーに対して中立的または好適に寄与するようにする。
【0046】
当技術分野では化合物の変形エネルギーおよび静電気的相互作用を評価するために特定のコンピューターソフトウエアが利用できる。このような使用のために設計されたプログラムの例としては、Gaussian 92バージョンC [M. J. Frisch, Gaussian, Inc., Pittsburgh, Pa. .COPYRGT.1992]; AMBERバージョン4.0 [P. A. Kollman, University of California at San Francisco, .COPYRGT. 1994]; QUANTA/CHARMM [Molecular Simulations, Inc., Burlington, Mass. . COPYRGT.1994];およびInsight II/Discover (Biosysm Technologies Inc., San Diego, Calif. .COPYRGT.1994)が挙げられる。これらのプログラムは例えばSilicon GraphicsワークステーションIRIS 4D/35またはIBM RISC/6000ワークステーションモデル550を用いて実行することができる。その他のハードウエアシステムおよびソフトウエアパッケージも当業者には公知である。
【0047】
ひとたび上記のようにヒトIII型3a-HSD結合化合物が最適に選択またはデザインされれば、次にその結合特性を改良または修飾するためにその原子または側基のいくつかで置換を行えばよい。一般に、最初の置換は保存的なものであり、すなわち置換基は元の基とほぼ同じ大きさ、形状、疎水性および電荷を有する。当然、当技術分野でコンホメーションを変化させることが知られている成分を避けなければならないと理解すべきである。このような置換化学化合物は次に、上記で詳細に記載した同じコンピューター法によって、ヒトIII型3a-HSDとの適合効率に関して分析すればよい。
【0048】
以下、実施例により本明細書を説明するが、これらは何らその範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0049】
NADPと複合体形成したヒトIII型3a-HSDのX線による構造決定
クローニング:全長III型3a-HSD cDNAをヒト胎児脳の全RNA(Clontech)からRT-PCRにより増幅させる。RT/白金Taqポリメラーゼミックスを用いるSuperScript One-Step RT-PCR (GibcoBRL, Life Technologies)キットとともに遺伝子特異的プライマーを用い、一本の試験管で第一鎖cDNA合成とPCRの両方を行う。販売者の説明書に従い、一本のPCR試験管で以下の反応成分:2X Reaction Mix 25μl、1μgの鋳型RNA、最終濃度0.4μMの各遺伝子特異的プライマー(センスおよびアンチセンス)、1μlのRT/白金Taqポリメラーゼミックスおよび最終量50μlまでのヌクレアーゼフリー水を混合する。
【0050】
センス遺伝子特異的プライマーは以下の配列のものである。
Hisタグ構築物用: 5' - ATACATATGCACCACCACCACCACCACCTCGAGGTTCTGTTCCAGGGTCCGGATTCGAAATACCAGTGTGTG (配列番号3)
非タグ構築物用: 5' - TTTCATATGGATTCGAAATACCAGTGTGTG (配列番号4)
以下の配列を有する同じアンチセンス遺伝子特異的プライマーを両cDNAの全長増幅のために用いる。
5'- AGAGCGGCCGCTGTTAATATTCATCAGAAA (配列番号5)
【0051】
RT-PCRはGeneAmp PCR System 9700 (PE Appliad Biosystems)にて行う。第一鎖cDNA合成を45℃30分間の1サイクルで行った後、94℃2分間RT変性を行う。PCRは94℃15秒間の変性、55℃30秒間のプライマーアニーリング、および68℃2分間のプライマー伸張の40サイクルの後、72℃10分間の最終伸張1回で行う。
【0052】
このPCR産物をNdeIおよびNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動により精製し、T4 DNAリガーゼ(Promega)とともに標準的な連結条件を用いてpET26b(+) (Novagen)のNdeI/NotI部位へ連結する。両構築物を配列決定する(補遺参照)。
【0053】
発現
これらのプラスミドをBL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS大腸菌(E. coli)細胞(Novagen)へ形質転換する。発現レベルおよび溶解度を確認するために小スケール(10ml)培養物を増殖させる。両3a-HSD構築物とも25℃であっても高レベルの封入体をもたらすことがわかる。BL21(DE3)はBL21(DE3)pLysSよりも発現レベルが高い。生産スケールとしては4リットル振盪フラスコ培養物を増殖させる:TBII培地、37℃、1mM IPTGで4時間誘導。通常のペレット量は30〜40gである。可溶性タンパク質を産生するために選択される方法は再折りたたみであることから、この非タグ構築物を次のステップに用いる。
【0054】
再折りたたみおよび精製
大腸菌湿潤細胞ペレットを、Heidolph DIAX 600ホモジナイザーを用い、溶解バッファー(50mM Tris、5mM DTT、5mM EDTA、5mM塩酸ベンズアミジン; pH8.0)に15% w/vまで懸濁させる。Manton-Gaulinホモジナイザー(1200バールに設定)を2回通すことで細胞を溶解する。細胞溶解液を16,000gで30分間回転させ、上清を除去する。得られた封入体ペレットを、Heidolphホモジナイザーを用いて溶解バッファーに再懸濁させ(約5% w/vまで)、再び遠心分離する。得られる上清が透明になるまでこの過程を繰り返す。溶媒としてMilli-Qウォーター(5mM DTT含有)を用いて最終洗浄を行い、水懸濁物サンプルをグアニジンバッファー(6M塩酸グアニジン、50mM Trisおよび50mM DTT; pH8.0)で10倍希釈し、Orpegen C8分析用カラム(HD-gel-RP-7s-300, 150mm x 4mm)を取り付けた分析用RP-HPLCシステム(Thermo Separation Products)を用いて分析する。得られた封入体ペレットを次にグアニジンバッファーを用いて可溶化して14mg/mlとし、遠心分離する。
【0055】
グアニジン上清をグアニジンバッファーで希釈してタンパク質濃度200μg/mlとした後、5mM DTTおよび1mM EDTAを含有する3 x 10用量の50mM Tris pH8.5に対して4℃で透析する。保持物を遠心分離し(16,000gで30分)、5mM DTTを含有する50mM Tris pH8.5で平衡化したQ-Sepharose HP陰イオン交換カラムに流速8ml/分でロードする。カラムを5カラム容量(250ml)のバッファーで洗浄した後、同バッファー中0〜1M NaClの直線的塩勾配を用いて、結合したタンパク質をカラムから溶離させる。溶離したものを回収し、10,000Daカットオフの限外濾過膜を用いて約10mg/mlまで濃縮し、ゲル濾過カラムにロードする。このカラム(Superdex 75, XK26/60)は150mM NaClおよび5mM DTTを含有する50mM Tris pH8.0で予め平衡化しておく。濃縮タンパク質溶液12mlをロードし、流速3ml/分で溶離させる。3a-HSDピークは〜190mlに溶離し、少量の凝集物質から良好に分離する。MS: 36736.4Da(M+H)+ (ESI-MS)。
【0056】
天然リガンドの結合は機能性のための必要条件である。NMRによりリガンド結合を検出するための1つの方法では、リガンドが結合した際のリガンドプロトンの高い横緩和率(transverse relaxation rate)を利用する。タンパク質の存在下で線の幅が広くなるということは結合していることを示す。NADPの3a-HSDに対する結合実験を行い、NMRで確認する。3a-HSDの存在下では、NADPピークはスペクトルの視認が困難なほど幅広となる。これによりNADPと3a-HSDの結合が明らかとなる。
【0057】
同様に、推定される天然基質アロプレグナノロンの結合は、アロプレグナノロン共鳴の線が幅広となるのが認められることで明らかとなる。アロプレグナノロンは水に対する溶解度が十分でないので、補助溶媒として2% DMSO-d6および5%エタノールを加える。それでもアロプレグナノロンの最大到達濃度は約20μMでしかない。しかし、3a-HSDの存在下で幅広となるアロプレグナノロンの高磁場へシフトする2つのメチル共鳴を見つけるにはこれで十分である。NMR分析に基づけば、3a-HSDは十分折りたたまれ、補因子結合およびリガンド結合の点で機能的であることが明らかである。
【0058】
結晶化:50mM Tris pH8.0、150mM NaClおよび5mM DTT中の3a-HSDを20mg/mlまで濃縮する。NADPと複合体形成した3a-HSDでは、固形のNADPナトリウム塩を加える。20℃で懸滴法(hanging drop method)を用いる標準的な結晶化スクリーニングを用いる。Hampton ResearchおよびEmerald BioStructure Inc.製の市販のスクリーンを用いる。以下の結晶化条件は有望な結果が得られることがわかっている。
200mM酢酸アンモニウム、100mMクエン酸ナトリウム pH5.6、30% PEG 4000
200mM硫酸アンモニウム、100mM MES pH6.0、30% PEGモノメチルエーテル5000
結晶が得られることがわかっているその他の条件:
200mM硫酸アンモニウム、100mM MES pH6.0、30% PEGモノメチルエーテル5000、5% 1,2-プロパンジオール;
200mM硫酸アンモニウム、100mM MES pH6.0、30% PEGモノメチルエーテル5000、5%エタノール;
200mM硫酸アンモニウム、100mM MES pH6.0、30% PEGモノメチルエーテル5000、5% 1-プロパノール
従って、一般には以下の条件で結晶が得られる。
50〜200mM硫酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウム、25〜200mM MES pH6.0または25〜200mMクエン酸ナトリウム、20〜30% PEGモノメチルエーテル2000もしくは5000、または20〜30% PEG2000、4000、6000、8000;例えばグリセリン、1,2-プロパンジオール、エチレングリコールなどの添加物0〜10%、および0〜20mM DTT
【0059】
NADPと複合体形成したタンパク質ではアポタンパク質よりもはるかに良好な結晶が得られ、結晶化条件が補因子-3α-HSD複合体に関して至適化されている。最終的には0.5x0.5x0.2mmに達する大きな柱体が成長しうる。至適成長条件は5mM DTTの存在下で、 25% PEGモノメチルエーテル5000、5%グリセロール、100mM MES pH6.0、200mM硫酸アンモニウムである。1〜2週間後に至適結晶サイズに達する。大きな結晶(NADPとの複合体としての3α-HSD)をキャピラリーにマウントし、30cm MARイメージングプレートデテクターを用いて回折データを収集する。当業者ならば、上述の結晶化条件が変更可能であることがわかるであろう。このようなバリエーションは単独で用いても組み合わせて用いてもよく、最終タンパク質/阻害剤複合体濃度5mg/ml〜35mg/mlの間;沈殿剤の割合に対してあらゆる組合せの3α-HSD/阻害剤;クエン酸濃度1mM〜200mMの間;DTT濃度0mM〜20mMの間;および任意の濃度のβ-メルカプトエタノール;pH範囲5.5〜9.5の間;PEG濃度10%〜25%(g/100ml)の間;PEG分子量2000〜20000の間;HEPES濃度5〜395mMの間;および任意の濃度または任意のタイプの界面活性剤;温度-5℃〜100℃の間;およびこれらの条件またはそのバリエーションを用いたバッチ、液相架橋または透析法による3α-HSDコ-コンプレックスの結晶化が挙げられる。
【0060】
X線による構造決定:補因子NADPと複合体形成したヒトIII型3a-HSDの単一の結晶をガラスキャピラリーにマウントし、Cuターゲット、0.3mm x 3.0mm微小焦点およびオスミックミラーを装備したEnraf-Nonius FR591ローテーションアノードジェネレーターに取り付けたMARイメージングプレートシステム(画素サイズ150μm)を用いて室温でX線回折データを収集する。露光時間600秒/フレームおよび結晶-デテクター距離120mmを用い、各1.0°振動で画像を収集する。HKLプログラムスーツバージョン1.96.6 (Otwinowski, Z and Minor, W. Processing of X-ray Diffraction Data Collected in Oscillation Mode. Methods in Enzymology 1996; 276. C.W. Carter, Jr. and R.M. Sweet, Eds., Academic Press)を用いて生の回折データを処理し、スケーリングする。
【0061】
構造は、検索モデルとしてラットIII型3a-HSD(受託番号1AFSとしてPDBから入手できる)の結晶構造を用い、分子置換によって決定する。分子置換はCNX 2000 (Brunger, AT et al. Crystallography & NMR System: A new software suite for macromolecular structure determination. Acta Cryst.1998; D54: 905-921)にて、15〜4Åの間のデータを用いて行い、「Fastdirect」オプションを用いる。この段階でプログラムOバージョン7.0 (Jones, TA et al. Improved Methods for Building Protein Models in Electron Density Maps and the Location of Errors in these Models. Acta Crystallogr. 1991; A47: 110-19)を用いてσAウエイトのFo-Fc電子密度地図を検査すると、ほとんどの主鎖および全ての側鎖の高い密度が明らかになる。必要であれば、この3αHSDモデルをその密度と適合するよう構築および調整する。モデル再構築ステップを間に挟んで何回かのねじれ角力学とエネルギー最小化により構造を精密化する。精密化には"refine.inp" script pf CNX 2000を、下記の(非デフォルト)オプション: バルクソルベントコレクション(マスク法に基づく)とともに用いる。5%の反射を含むテストセットを用いての精密化には終始クロスバリデーションを用いる。水分子はCNX script water_pick.inpで同定し、ピークの高さ(3.0σを超える)、水素結合および基準距離の違いをもとに選択する。最終的な精密化モデルの質はプログラムCNX 2000で評価する。結晶構造の平均の性能指数(figure of merit)は分解能2Åまでである。
【実施例2】
【0062】
未知のIII型3a-HSD結晶構造を明らかにするための分子置換の使用
この分子置換の方法は、リガンドとの(下記実施例4参照:例えば2-アセチルベンゾフラン)、またNADP(補因子など)との複合体としてのヒトIII型3a-HSDの結晶の構造座標を、NADPとの複合体としてのヒトIII型3a-HSD(実施例1で調製されたものなど)の結晶と比較して決定するために用いる。例えば2-アセチルベンゾフランとの複合体としてのヒトIII型3a-HSDの結晶を、補因子NADPとの複合体としてのヒトIII型3a-HSDの結晶と同じ条件下で成長させる。
【0063】
3a-HSD/NADP-2-アセチルベンゾフランコ-コンプレックスに対して分解能2.0ÅまでのX線回折データを採集する。この2つの結果の回折データを合成した別の電子密度地図を用いて、起こった構造変化を限局化する。リガンド複合体のどこに限局化された原子でも除去されるか、または新しいリガンドへの切り替えによりシフトされていれば、地図では負の特徴(電子密度)が見られる。限局化された原子が構造に導入された場合には正の特徴が見られ、シフトした原子の新しい位置が示される。
【0064】
これらのシフトを、上記で述べた新しい原子とともにモデリングし、得られた構造をX線データに対して精密化して3a-HSDとのNSAIDコ-コンプレックスの最終像を求める。本発明によってはじめて知られたヒトIII型3a-HSD構造座標は、上記の方法を用いて3a-HSDのいずれかのホモログまたはコ-コンプレックスの未知の構造を明らかにするために用いてもよい。この方法はまた、3a-HSDの活性結合部位におけるリガンドまたは化学存在の結合または配向を決定するためにも用いうる。このアプローチを用いて本発明者らは、例えば表1に示すように、可能性のあるモジュレーター、例えば阻害剤と複合体形成したヒトIII型3a-HSDの、例えば活性部位における結晶の構造が、NADP単独と複合体形成したヒトIII型3a-HSDの構造とは異なりうることを見出す。
【実施例3】
【0065】
In Silico Goldドッキング:ヒトIII型3a-HSDに対するアロプレグナノロンまたはその他化合物の結合のシミュレーション
本発明者らはHSDのX線構造を用い、HSDの活性部位に対するリガンドの結合様式をシミュレートする。発明者らはリガンド分子としてアロプレグナノロンを選び、その分子モデルを構築し、これにSybyl(バージョ6.7.2)分子モデリングプログラムを用いて分子機構の最小化を行う。このHSDのモデルは、Sybyl原子のタイプをHSDのA鎖および同時に結晶化したNAPの原子に当てはめを行うことにより得られる。発明者らは全2263個の原子に、極性アミノ酸Glu(全部で23)、Asp(全部で18)、Arg(全部で15)、Lys(全部で26)ならびにNADP(1)がそれらのイオン化状態にあるものと考えられる水素原子を除き、全部で2626個を加える。GOLDドッキングプログラムを用いて、HSDへのリガンドモデルのドッキングを独立に20回実施する。結合部位を定義する球の半径は15Aの設定し、球の中心の座標は次の90の残基:NAP 1、GLY 22、THR 23、TYR 24、ALA 25、PRO 26、ALA 27、GLU 28、VAL 29、PRO 30、LYS 31、ALA 34、ASP 50、SER 51、ALA 52、HIS 53、VAL 54、TYR 55、ASN 56、ASN 57、GLU 58、GLU 59、GLN 60、VAL 61、TYR 81、THR 82、SER 83、LYS 84、LEU 85、TRP 86、SER 87、ASN 88、SER 89、HIS 90、ALA 98、ARG 101、SER 102、ASN 105、TYR 114、LEU 115、ILE 116、HIS 117、PHE 118、PRO 119、VAL 120、SER 121、VAL 122、LYS 123、PRO 124、GLY 125、GLU 126、GLU 127、VAL 128、ILE 129、PRO 130、LYS 131、ILE 137、LEU 138、PHE 139、SER 166、ASN 167、GLN 190、VAL 191、GLU 192、TYR 216、SER 217、SER 221、HIS 222、ARG 223、GLU 224、GLU 225、PRO 226、TRP 227、VAL 228、ASP 229、LEU 268、LYS 270、TYR 272、ARG 304、TYR 305、LEU 306、THR 307、LEU 308、ASP 309、ILE 310、PHE 311、ALA 312、TYR 317、PRO 318、およびPHE 319の1029原子(水素原子を含む)がGOLDプログラムにおいて結合キャビティーを定義するようにする。発明者らのHSDおよびアロプレグナノロンのモデルで各々20回のGOLDを実施すると、HSDとドッキングしたアロプレグナノロン分子のスコアモデルが得られる。モデルのGOLDスコアまたはFitnessは26.94〜42.54の範囲である。ドッキングしたアロプレグナノロンの4A内に原子を有する全ての残基、すなわち、NAP 1、TYR 24、ALA 27、VAL 54、TYR 55、TRP 86、HIS 117、PHE 118、VAL 128、ILE 129、ASN 167、HIS 222、TRP 227、LEU 306、LEU 308およびPHE 311が描写される。アロプレグナノロン(A)とHSDの以下の12原子の間の原子対距離は0.9Å(原子対のファンデルワールス半径の合計)より小さいことがわかる。
/A/TYR_24/HH = 1.967Å
/A/VAL_54/HG22 = 2.131Å
/A/VAL_54/HB = 1.986Å
/A/TRP_86/CZ3 = 2.504Å
/A/TRP_86/CH2 = 2.460Å
/A/HIS_117/NE2 = 2.427Å
/A/HIS_117/NE2 = 1.799Å (水素結合)
/A/VAL_128/CG2 = 2.779Å
/A/VAL_128/HG22 = 2.281Å
/A/TRP_227/CZ2 = 2.576Å
/A/TRP_227/HZ2 = 2.088Å
/A/LEU_308/HD22 = 2.152Å
【0066】
特に、アロプレグナノロンの3-水酸基がNADPのHIS 113、TYR 55およびカルボキサミド基と向性のある強い静電気的接触となることがわかる。ドッキングしたリガンドアロプレグナノロンが占有しない結合部位の領域の例は、アロプレグナノロンの4.5A内およbHSDの3Aより大きい範囲で見られる。アロプレグナノロンまたはアロプレグナノロンのモデリングされた結合様式を共有する分子の適当な置換がこれらの領域を占め、HSDとの付加的親和性を付与しうる。同様のドッキング法を他の化合物、例えば仮想ライブラリー(例えばMoSELECT (Gillet et al. J. of Molecular Graphics & Modelling (2002) 20(6), 491-498)を用いて入手可能)の化合物、または本明細書に記載の方法により得られた化合物で行うこともできる。
【実施例4】
【0067】
NMRスクリーニング
NMR分光光度法を用いるとIII型3a-HSDの阻害剤を発見およびデザインすることができる。これはリガンドおよび標的タンパク質間の相互作用を、たとえその相互作用が弱いものでしかなくとも、ミリモル範囲の親和性しか持たない場合でも検出できるというNMRの周知の能力によるものである(Diercks, T.; Coles, M.; Kessler, H. Applications of NMR in drug discovery. Curr. Opin. Chem. Biol. 2001, 5, 285-291; Hajduk, P. J.; Meadows, R. P.; Fesik, S. W. NMR-based screening in drug discovery. Q. Rev. Biophys. 1999, 32, 211-240; Pellecchia, M.; Sem, D. S.; Wuthrich, K. NMR in drug discovery. Nature Reviews Drug Discovery 2002, 1, 211-219)。この目的で、化合物の混合物に3a-HSDF溶液を加え、化合物のNMR特性(緩和率など)を測定し、3a-HSDの存在下と不在下で比較する。緩和率の上昇は3a-HSDとその化合物の間の結合親和性を示す。この作用は、3a-HSDの側鎖がTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペラジン-N-オキシル)またはPROXYL(2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-N-オキシル)などの常磁性中心でスピンラベルされていれば約15倍増強させることができる(Jahnke, W.; Ruedisser, S.; Zurini, M. Spin Label Enhanced NMRスクリーニングing. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 3149-3150; Jahnke, W. Spin labels as a tool to identify and characterize protein - ligand interactions by NMR spectroscopy. ChemBioChem 2002, 3, 167-173)。
【0068】
可能性のある薬物の多様な小断片セットを含む自家NMR化合物ライブラリー(またはACD Database, MDL Information Systems, Incから入手できるライブラリー)からの約200の化合物を3a-HSDとの相互作用に関してスクリーニングする。いくつかのフラグメントが3a-HSDに対して解離定数2mM未満、より好ましくは1mM、いっそう好ましくは0.5mMで親和性を示すものと同定される。
【0069】
2-アセチルベンゾフランは3a-HSDと弱くしか結合しないが、進歩的な化合物であり、すなわち、これは化学修飾を受けやすい、非常に小さく可溶性であって「薬物様」の化合物であるのでその抗力を向上させることができる。これをNMRにより達成するにはいくつかの方法がある。1つの可能性としては、部分構造または類似性検索により化合物を選択し、それらをNMRで試験することである。もう1つの可能性としては、NMRスクリーニングによって2-アセチルベンゾフランの近傍で結合する別の化合物を同定し、両化合物を化学的に結合させて高親和性リガンドを得ることである(Shuker, S. B.; Hajduk, P. J.; Meadows, R. P.; Fesik, S. W. Discovering high-affinity ligands for proteins: SAR by NMR. Science 1996, 274, 1531-1534; Jahnke, W.; Florsheimer, A.; Blommers, M.; Paris, C.G.; Heim, J.; Nalin, C.M.; Perez, L.B. Second-site NMR screening and linker design. Current Topics in Medicinal Chemistry 2002, 2, 1337-1348 (in press))。しかし、3a-HSDの結晶構造から座標を得ることができれば、一番良い方法は、NMRスクリーニングから得られた結果を実施例3に記載のようなin silico GOLDドッキングと合成することである。2-アセチルベンゾフランのようなNMRスクリーニングヒットはGOLDドッキング実験のインプットとなり、in silicoでドッキングされた化合物を選択の指標となる。ドッキング自体、またその結果のスコアリングは完全に信頼できるものではないので、ドッキングの結果はNMRにより実験的にバリデートする必要がある。従って、NMRおよびドッキングは化合物の効力の劇的な向上をもたらす反復サイクルとなる。
【0070】
親和性が低いにもかかわらず、2-アセチルベンゾフランの解離速度は非常に遅くて、NMRでは著しい線の幅広化が見られ、結合のより強固な化合物は通常のリガンド観測NMRスクリーニングでは検出できない(Diercks, T.; Coles, M.; Kessler, H. Applications of NMR in drug discovery. Curr. Opin. Chem. Biol. 2001, 5, 285-291)。従って、発明者らはNMRリポータースクリーニングと呼ばれる改良型のNMRスクリーニング法を開発しなければならなかった。この方法では「リポーターリガンド」として2-アセチルベンゾフランを用い、試験化合物の、リポーターリガンド置換能を測定する。この技術により、従来検出できなかった親和性の高い化合物をNMRにより検出することができる(W. Jahnke, P. Floersheim, C. Ostermeier, X. Zhang, R. Hemmig, K. Hurth, D. Uzunov "NMR Reporter Screening for the Detection of High-Affinity Ligands" Angew. Chemie, in press)。NMRリポータースクリーニングとGOLDドッキングを組み合わせることで、発明者らは短時間で、多大な化学的努力もなく、マイクロモル未満の阻害剤を同定するに至った。
【実施例5】
【0071】
in vitro機能アッセイ
材料:ステロイド標品(純度>98%)はSigma Chemical Co.から購入した。3H-アロプレグナノロン(64Ci/mmol, [9,11,12-3H(N)]-アロプレグナノロン、以下、3H-ALLOと呼ぶ)はNew England Nuclearから購入した。3H-5α-ジヒドロプロゲステロン(3H-5α-DHP)は当研究室で、3a-HSDによる3H-ALLOから3H-5α-DHPへの酵素的変換(「酵素反応」を参照)を用いて合成した。酸化産物3H-5α-DHPを単離し、半分取HPLCにより精製し、GC/MSにより確認した。溶媒は全て分析級(Merck)のものであり、それ以上精製を行わずに用いた。
【0072】
酵素反応(3H-ALLOから3H-5α-DHPへの酸化、および3H-5α-DHPから3H-ALLOへの還元):酵素反応は全て、大腸菌で発現させ、再折りたたみし、細菌封入体から精製した純粋な組換えヒト3型3a-HSDを用いて行った。3H-5α-DHPの還元は、4%アセトニトリル中、100mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、4μgの組換え酵素、2mMのNADPHおよび2.5μMの3H-5α-DHP(40000cpm)を含有する100μl反応系で行った。同様に3H-ALLOの酸化も、4%アセトニトリル中、100mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、4μgの組換え酵素、2mMのNADP+および2.5μMの3H-ALLO(40000cpm)を含有する100μlの反応系で行った。個々の基質を加えることで反応を開始させ、37℃で25分間インキュベートした。選択した反応条件では、酵素的変換の直線範囲内で生成物の蓄積率が得られた。インキュベーション後、400μlの氷冷酢酸エチルで反応をクエンチした。得られた有機抽出液を穏やかな窒素気流下で蒸発乾固させ、ヘキサンに再溶解させ、分析のためHPLCに注入した。非酵素的変換を排除するため、補因子(NADPHまたはNADP+)または酵素を除いた陰性対照反応を行った。全ての場合で、対照反応は検出可能な生成物の形成は見られなかった。
【0073】
HPLC分離:3H-ALLOおよび3H-5α-DHPのクロマトグラフィー分離は、バキュームデガスサー、オートサンプラー、クォータナリーポンプ、および5μm順相LiChrosorb Diolカラム125 x 4.6mm (Merck)を含むコンパートメントを装備したAgilent 1100シリーズHPLCシステム(Agilent Technologies)で行った。クロマトグラフィー分離はヘキサン/2-プロパノール(95:5v/v)によるイソクラティック溶離により行った。流速は1ml/分で一定に維持した。サンプル注入量は1mlである。カラム流出液は直接Radioflowシンチレーションデテクター(Packard, 500 TR Series)へ導入した。
【0074】
上記の方法、例えば実施例1〜5により得られたIII型ヒト3a-HSD候補阻害剤を機能アッセイで試験し、そのKi OXを求める。なお、Ki OX3H-ALLOから3H-5α-DHPへの酸化に対する阻害剤の解離定数であり、Ki=IC50/(1+[S]/Km、ここでIC50は最大の半分の阻害に達するのに必要とされる阻害剤の濃度である。IC50値は基質から生成物への変換の速度に対して阻害濃度をプロットすることでグラフから求められる。[S]はサンプル中の基質(すなわち、3H-ALLOおよび非放射性標識ALLO)の濃度であり、KmはMichaelis-Menten定数であり、3型ヒト3a-HSDによるALLOの酸化では4.9μMである。例えば、2-アセチルベンゾフランのKi OXは約132μMである。
【実施例6】
【0075】
上記のような合理的薬物設計、NMRスクリーニング法、in silico Goldドッキング、分子置換およびin vitro機能アッセイを用いてヒトIII型3a-HSD の阻害剤を見出す方法
上記のin silico/X線法のいずれかによって得られた候補をバリデートするため、例えばこれまでに記載したいずれかの方法を組み合わせて、例えば上記の説明で述べたような合理的薬物設計技術、例えば実施例4に記載したようなNMRスクリーニング法またはNMRリポータースクリーニング、例えば実施例3に記載したようなin silico Goldドッキング、例えば実施例2に記載したような分子置換、および例えば実施例5に記載したようなin vitro機能アッセイを用いることにより、ヒトIII型3a-HSDの改良型阻害剤を見出すことができる。ヒトIII型3a-HSDに対する阻害剤を見出すための好ましい組合せの1つには以下の方法が含まれる。
1.) NMRスクリーニングおよび/またはNMRリポータースクリーニングを用いることにより、第一の阻害剤候補を得;
2.) 可能性のある分子(可能性のある阻害剤)をNADP/ヒトIII型3aHSD複合体とともに同時結晶化させ、阻害剤-NADP-3a_HSD複合体の活性部とNADP-3a_HSD複合体の三次元構造の違いを決定する(表1に記載)。
【表1】
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【表2】
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【表3】
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【表4】
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【表5】
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【表6】
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【表7】
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【表8】
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【表9】
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【表121】
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【表122】
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Claims (10)

  1. ヒトIII型3a-HSD酵素に対する阻害剤を同定する方法であって、
    a)例えば表1に記載のようなヒトIII型3a-HSD酵素またはコ-コンプレックスの原子座標を用いることにより可能性のある阻害剤をコンピューター的にデザインまたは選択し;かつ/または
    b)例えば化合物のライブラリーから、ヒトIII型3a-HSDおよび候補化合物を用いてNMRスクリーニングを行うことにより可能性のある阻害剤を得;かつ/または
    c)例えば化合物のライブラリーから、ヒトIII型3a-HSDを用いてNMRリポータースクリーニングを行うことにより可能性のある阻害剤、すなわち、既知であるかステップa)またはb)の方法によりわかる2mMよりも低い解離定数を有するヒトIII型3a-HSDに対する第一の阻害剤候補、さらに第二の候補化合物を得;かつ/または
    d)ステップa)、b)またはc)からの可能性のある阻害剤の、ヒトIII型3a-HSD酵素における活性を測定する
    ステップを含む方法。
  2. さらなるステップd)を含み、そのステップが、可能性のある阻害剤を例えば表1に記載のようなヒトIII型3a-HSD酵素またはコ-コンプレックスの三次元構造とドッキングさせ、得られた三次元構造の関係をさらなる阻害剤のデザインまたは選択に用いるステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. さらなるステップe)を含み、そのステップが、ステップa)、b)またはc)で得られた、可能性のある阻害剤を例えば表1に記載のようなヒトIII型3a-HSD酵素またはコ-コンプレックスを用いて結晶化させ、X線構造を決定し、このようにして得られた新たなコ-コンプレックスの三次元構造を既知のヒトIII型3a-HSD酵素の構造と比較し、得られた三次元構造の違いをさらなる可能性のある阻害剤のデザインまたは選択に用いるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 可能性のある阻害剤が新規にデザインされる、請求項1〜3に記載の方法。
  5. 可能性のある阻害剤が既知の阻害剤からデザインされる、請求項1〜3に記載の方法。
  6. 可能性のある阻害剤がヒトIII型3a-HSDの競合的阻害剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 三次元構造を該化合物のデザインまたは選択に用いるステップが、
    a)該酵素と会合しうる化学存在またはフラグメントを同定し、
    b)同定した化学存在またはフラグメントを一分子に組み立てて、可能性のある阻害剤の構造を提供する
    ステップを含む、請求項1〜6に記載の方法。
  8. ステップc)の第一の阻害剤候補が2-アセチルベンゾフランである、請求項1に記載の方法。
  9. 本質的に表1に挙げられた原子座標を示すヒトIII型3a-HSDおよびNADPの結晶性複合体。
  10. 50〜200mMの硫酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウム、25〜200mMのMES pH6.0または25〜200mMのクエン酸ナトリウム、20〜30%のPEGモノメチルエーテル2000もしくは5000、または20〜30%のPEG 2000、4000、6000もしくは8000、0〜10%の添加物および0〜20mMのDTT中で結晶性複合体を成長させるステップを含む、請求項9に記載の結晶性複合体の製造方法。
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