JP2005500826A - ヘベイン結合性モノクローナル抗体 - Google Patents
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Abstract
本発明は抗体工学技術に関する。更に詳細には、本発明は、アレルゲン性ヘベインに対して高い親和性と特異性をもって結合する、ヒトIgE抗体及びその誘導体に関する。また、本発明は、上記のヘベイン結合性モノクローナル抗体を作製したり改変したりするための方法、並びにこのような抗体やその誘導体を免疫学的診断の分野で使用するための方法を提供する。本発明によって、生物学的サンプル及び原料サンプル中のアレルゲン性ヘベインの定性的及び定量的測定と共に、免疫学的治療も可能となり、その結果、アレルギー患者におけるアレルゲン性ヘベインの活性阻害が可能となる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は抗体工学技術に関する。更に詳細には、本発明は、アレルゲン性ヘベインに対して高い親和性と特異性をもって結合する、ヒトIgE抗体及びその誘導体に関する。また、本発明は、上記のヘベイン結合性モノクローナル抗体を作製したり改変したりするための方法、並びにこのような抗体やその誘導体を免疫学的診断の分野で使用するための方法を提供する。本発明によって、生物学的サンプル及び原料サンプル中のアレルゲン性ヘベインの定性的及び定量的測定と共に、免疫学的治療も可能となり、その結果、アレルギー患者におけるアレルゲン性ヘベインの活性阻害が可能となる。
【背景技術】
【0002】
世界の人口のおよそ20%がアレルギーに苦しんでいる。このため、アレルギーは深刻さの増している健康問題である。アレルギーとは、空気、食物又は水に存在する通常は害のない物質に対する過敏反応である(Corry and Kheradmand, 1999)。新規な外来の異質物が、それを体内から排除することを目的とする反応、つまりアレルギー反応を引き起こす。即時型又はI型過敏反応とも呼ばれるIgE仲介アレルギー反応においては、生体が外来物質であるアレルゲンに初めて曝された時に、IgE産生B細胞が可溶性IgE分子の産生を始める。そして可溶性IgE分子は、種々の細胞、最も重要なものとしてはマスト細胞の表面に存在する高親和性IgEレセプターに結合する。生体が同じ外来物質に再び遭遇すると、レセプター結合IgE分子とアレルゲンとの交差結合が生じ、その結果、細胞が活性化されて、アレルギー反応の徴候及び症状を誘発する毒性物質であるヒスタミンなどが放出される。
【0003】
ラテックスアレルギーは患者数が増加している深刻な医療問題である(Slater, 1994; Turjanmaa et al., 1996)。ラテックスは複合細胞内産物であり、ゴムの木であるHevea brasiliensisの乳細胞によって産生される乳液である。ラテックスは、例えば手袋、風船及びコンドームといった種々の日用品並びに医療用品の製造に用いられている。ラテックスアレルギーは特に医療関係従事者、ゴム工業就労者及び数回の外科的処置を受けた患者の間で深刻な問題となっている。ラテックスアレルギーは、花粉アレルギー及び食物アレルギーとの関連が報告されている(Nel and Gujuluva, 1998)。ラテックスアレルゲンと食物アレルゲンの交差反応性は、ラテックス−果物症候群として確立されており、これはヘベイン様タンパク質ドメイン又は類似のエピトープの反応性が原因であると考えられる(Brehler et al., 1997; Chen et al., 1998; Mikkola et al., 1998)。多くのラテックスタンパク質はアレルゲンとして同定されている(Breiteneder and Scheiner, 1998)。主要なラテックスアレルゲンの一つはヘベインであり、ヘベインは、例えば数種のキチン含有真菌の感染抑制に関与する防御タンパク質である(Lee et al., 1991; Alenius et al., 1996; Chen et al., 1997)。ヘベインは43個のアミノ酸からなり、4個のジスルフィド結合を有する小さなキチン結合性タンパク質である。その三次元構造はX線解析及びNMRによって決定されている(Rodriguez-Romero et al., 1991; Andersen et al., 1993)。
【0004】
IgE抗体はアレルゲン性エピトープを特異的に認識するので、臨床又は免疫学的診断において複合材料のアレルゲン濃度を検出及び決定するために有用である。さらに、アレルゲン性エピトープは、通常、タンパク質の免疫原性エピトープとは異なる。このことは、ハイブリドーマ技術などの従来の方法による、アレルゲン性エピトープに特異的な結合を示すモノクローナル抗体の産生の妨げとなっている。アレルゲン特異的IgE抗体の開発がファージディスプレイ法によって可能なことが最近報告示されている(Steinberger et al., 1996)。この方法は、臨床及び診断に使用するためのアレルゲン特異的組み換え抗体を一定の質を保持しながら産生するための新たな手段を提供する。
【0005】
発明の概要
本発明においては、イムノアッセイや免疫学的治療のための試薬として用いることのできる、ヒトIgE抗体フラグメントの開発及び特徴づけを開示する。本発明のヒトIgE抗体フラグメントは、生物学的試料中のヘベインを定性的及び定量的に測定するために設計したイムノアッセイ用の試薬及びアレルギー患者の免疫学的治療に用いるのに十分な高い親和性及び特異性を有する。具体的には、本発明は、ヘベインに特異的なヒトIgE抗体のファージディスプレイ法による選択、及びE. coliを用いて産生した、改変された抗体断片の結合特性の特徴づけについて開示する。
【0006】
従って、本発明は、種々のイムノアッセイ法及びヒトの免疫学的治療に使用するための新規な試薬を提供する。また、本発明によって、均一な品質を保持する上記の特異的な試薬を継続的に供給することが保証され、ポリクローナル抗血清に固有のバッチ間の品質のばらつきという問題を排除した。これらの有用な効果によって、本発明は、均一な品質の、新規であり、特異的であり且つ経済的な免疫学的診断方法の製造を可能にする。
【0007】
上記から明かなように、本発明の特定の目的の一つは、ヒトIgEモノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体(以下、屡々、「モノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体」をまとめて「ヘベイン結合性物質」と称する)であって、生物学的サンプル中のヘベインの定性的及び定量的測定に使用するのに十分な高いヘベイン親和性及び特異性を有するものを提供する。さらに本発明は、免疫学的治療に使用することを特徴とする、上記のヘベイン結合性物質も提供する。本発明のモノクローナル抗体はアレルゲン性ヘベインに特異的な結合性を示す。
【0008】
本発明の他の目的の一つは、ヘベイン特異的抗体鎖をコードするcDNAクローンのみならず、該クローンを発現させてヘベイン結合性物質を産生するための構築物や方法を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的の一つは、モノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体を単独又は組み合わせて用いることで、生物学的サンプル中のヘベインを定性的及び定量的に測定する方法を提供することである。更に、本発明は、アレルギー患者の免疫学的治療に使用するためのモノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体およびそれらを組み合わせて得られるヘベイン結合性物質を提供する。
【0010】
本発明の諸目的、諸特徴及び諸利益は、添付の図面及び詳細な説明の記載から明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明及び実施例は本発明の好ましい態様を示すものの、あくまでもそれを例示しているに過ぎず、本発明の精神及び発明の範囲内で行われる種々の変更及び改良は、以下の詳細な説明より当業者には明らかであることを理解されたい。
【0011】
【0012】
発明の詳細の説明
本願明細書で使用した用語の一部について、その定義を提供する。「免疫グロブリン」、「H鎖」、「L鎖」及び「Fab」は欧州特許願第0125023号と同様に使用した。
【0013】
本願明細書において使用した種々の活用形の「抗体」という用語は集合名詞であり、免疫グロブリン分子及び/又は免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部位、即ち抗原結合部位又はパラトープ、の総称である。
【0014】
「抗原結合性部位」又は「パラトープ」とは、抗体分子において、抗原に特異的に結合する構造上の部位である。
【0015】
抗体の例としては、免疫グロブリン分子の一部分であってパラトープを含む部分、例えばFabやFvが挙げられる。
【0016】
「Fab」(特異的抗原結合性を有するフラグメント)とは、公知の方法によって実質的に完全な抗体をパパインによるタンパク質分解に付すことで得られる抗体の一部分である。例えば、米国特許第4,342,566号を参照されたい。Fabフラグメントは遺伝子組換え法によって産生することもでき、このような方法は当業者にはよく知られている。例えば、米国特許第4,949,778号を参照されたい。
【0017】
「ドメイン」は、タンパク質の独立した折りたたみ部分を意味する。天然のタンパク質におけるドメイン間の境界に関する一般的な構造上の定義については、Argos, 1988を参照されたい。
【0018】
「可変ドメイン」又は「Fv」とは、免疫グロブリン分子中に存在し、抗原又はハプテンの結合を担う領域をである。通常この領域は、免疫グロブリン分子のL鎖及びH鎖のそれぞれのN末端から数えて約100個のアミノ酸からなる領域である。
【0019】
「一本鎖抗体」(scFv)とは、抗体のH鎖及びL鎖のそれぞれの可変ドメインがリンカーペプチドを介して結合した連続したアミノ酸鎖であって、一本のmRNA分子(転写物)から合成されたものである。
【0020】
「リンカー」又は「リンカーペプチド」とは、天然又は工学的に作られたタンパク質中の隣接する2つのドメインの間に存在するアミノ酸配列である。
【0021】
「ヘベイン結合性抗体」とは、抗体の可変領域が仲介する相互作用によってヘベインを特異的に認識して結合する抗体である。
【0022】
上記抗体の機能的フラグメントであって、本発明の範囲に属するものの例として、scFvフラグメントである1A4及び1C2を図4及び図5に開示した。本発明の一つの好ましい態様においては、ヘベイン結合性抗体の誘導体、例えばFabフラグメントやscFvフラグメント、を提供する。更に他の誘導体としては、CDR配列又は完全なVL及びVH配列の変異型であって、結合力に実質的に影響を与えない1つ以上の同類置換(conservative substitutions)を有するものを用いることもできる。
【0023】
イムノアッセイ、例えば生物学的サンプル中のヘベインを定性的又は定量的な検出、に使用する本発明のヘベイン結合性物質を標識してもよい。この目的のためには、従来から抗体の標識に用いられているいかなる種類の標識も用いることができる。
【0024】
免疫学的治療、例えばアレルギー患者のアレルゲン性ヘベインの結合阻害、に使用するためにも、本発明のヘベイン結合性物質を標識してもよい。この目的のためには、薬学的に許容され、従来から抗体の標識に用いられている標識が適当である。
【0025】
本発明の他の一つの態様においては、ヘベイン結合性物質をコードするDNAであるか、該DNAの断片であって、VL及び/又はVH領域の相補性決定部(CDR)をコードするDNA断片である、DNA分子を提供する。本発明のDNA分子はベクター、具体的には、例えば、本発明の抗体の誘導体、少なくとも1つの抗体鎖又は抗体鎖の一部を発現可能なベクター、にクローニングされていてもよい。
【0026】
本発明の更なる一つの態様においては、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞及び哺乳類細胞からなる群より選ばれる細胞であって、本発明のDNA分子を含み、本発明のヘベイン結合性物質を発現することが可能な宿主細胞を提供する。したがって、本発明の抗体誘導体は、少なくとも1種の抗体鎖を発現しうる本発明の宿主細胞を培養し、そして宿主細胞の産生した目的タンパク質を回収することで製造するか、必要であれば、タンパク質を回収した後に、更に該タンパク質の抗体鎖を構成する複数のドメインを包含するドメイン複合体を調製することによって製造することもできる。
【0027】
上記のscFvフラグメントは、アレルゲン性組換えヘベインを用いてヒトIgE scFvファージライブラリーのバイオパニング(biopanning)によって得たものである。ヒトIgE scFvファージライブラリーは、ラテックスアレルギー患者のリンパ球から単離したmRNAから構築したものである。L鎖及びH鎖の可変領域のcDNAは、Fd cDNA用のヒトIgEに特異的なプライマーを用いて合成し、ヒトL鎖のカッパ(κ)鎖及びラムダ(λ)鎖はヒトκ鎖及びλ鎖に特異的なプライマーを用いて合成した。L鎖及びH鎖の可変領域は、VκとVλ cDNA用のヒトκ鎖特異的プライマーとλ鎖特異的プライマー及びVH cDNA用のヒトIgE特異的プライマーを用いてそれぞれPCRによって増幅した。これらのPCRプライマーに導入しておいた制限部位を利用して、scFvファージディスプレイベクターに可変領域のcDNAをクローニングし、ヒトIgE scFvライブラリーを構築した。
【0028】
パニング法を利用したファージディスプレイによってヒトIgE scFvライブラリーを選択した。ヒトIgE scFvファージライブラリーのスクリーニングを溶液中のビオチン化したアレルゲン性組換えヘベインで行い、結合物をストレプトアビジン上に捕捉した。ファージの溶出を100mM HCl(pH2.2)で行い、次いで2Mトリス溶液で直ちに中和した。ファージ溶出液をE. coli細胞で増幅した。バイオパニングを5ラウンド繰り返した後、単離したファージから可溶性のscFvフラグメントを調製した。選択したscFvフラグメントの結合特異性をELISAで検出した。数種のヘベイン特異的scFvフラグメントクローンを得た。
【0029】
本願明細書に記載したように、ファージディスプレイ法は、診断及び治療に適用するためのヒトIgE組換え抗ヘベイン抗体を開発するための有効かつ簡便な方法である。
【0030】
本発明の抗体フラグメントを得るために有効な選択方法の一つを記載したが、本発明の抗体フラグメントを得ることが可能な多数の応用方法も当業者には明らかとなる。scFvフラグメント又はその誘導体のファージディスプレイライブラリー又は微生物ディスプレイライブラリーから本発明のscFvフラグメントを直接選択することが可能であることは明らかなはずである。本発明のscFvフラグメント又は他の抗体フラグメントを表面タンパク質との融合タンパク質として提示するファージ又は微生物細胞は、本発明の更なる態様の一つである。
【0031】
微生物細胞による本発明のヘベイン結合性物質の発現は、免疫診断アッセイ及び免疫学的治療に適した均一な品質の高特異性試薬を効率よく且つ経済的に製造するための手段を提供する一方で、このような試薬又はその少なくとも一部が合成可能であることを示している。従来の遺伝子工学的手法を適用することにより、初めに得られた本発明の抗体フラグメントをその結合特性を実質的に変えることなく改変する(例えば、新たな配列を連結する)ことができる。このような手法は、上記で定義したヘベインに対する親和性及び特異性の両方を保持する新規なヘベイン結合性ハイブリッドタンパク質の製造にも用いることができる。
【0032】
ヒトヘベイン結合性組換え抗体の開発及び特徴づけ、並びにイムノアッセイにおけるその有用性について、以下の実施例において詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
実施例1
ファージディスプレイ選択法による組換えヘベイン特異的scFvフラグメントの調製
本実施例においては、ヘベインに対する親和性及び特異性を有するscFvフラグメントを単離するために、ヒトIgE scFvライブラリーを構築し、アレルゲン性ヘベインによる選択を行った。IgE Fab−κライブラリー及びIgE Fab−λライブラリーを初めに構築することによってヒトIgEファージライブラリーを間接的に構築し、その後、特定のライブラリーのDNAを用いてH鎖及びL鎖の可変ドメインをコードするDNAをPCRで増幅した。
【0034】
I.ヒトIgE scFvファージライブラリーの構築
ヘパリンを加えた血液100mlをラテックスアレルギー患者から得た。リンパ球をIg-Prime Kit Protocol(Novagen社製)に従って次の手順で単離した。血液10mlあたり30mlの溶解緩衝液(155mMのNH4Cl、10mMのNH4HCO3、0.1mMのEDTA、pH=7.4)を加え、時々振とうさせながら氷上で15分間インキュベートした。450gで10分間遠心分離した後、リンパ球、即ち白血球ペレット、を回収した。回収したペレットを溶解緩衝液で2回洗浄し、最後の遠心分離の後に得られたリンパ球ペレットをD−溶液(D-solution)に再懸濁した。リンパ球RNAをPromega社のRNAgents Total RNA Isolation kitを用いて製造者のマニュアルに従って単離した。初めのcDNA合成はPromega社のReverse Transcription system kitを用いて行った。FdフラグメントcDNA及びL鎖cDNAの合成には、イプシロン(ε)鎖の定常領域のプライマー(Cε1及びCε2)、並びにカッパ鎖のプライマー(Cκ1)とラムダ鎖のプライマー(Cλ1)をそれぞれ用いた。ヒトIgE Fd領域及びL鎖のcDNA合成及びPCR増幅に用いたプライマーを表1及び表2に示す。
【0035】
PCR増幅は2段階、具体的にはcDNAテンプレートからFd鎖及びL鎖を増幅するための一次PCRと、一次PCRで得たDNAフラグメントの5'末端に制限部位を加えるための二次PCRで行った。まず、H鎖の可変領域に特異的なプライマー(VH1a−VH7a)及びCε1NotIプライマーを用いてFd領域をPCRで増幅した。次に、L鎖であるκ鎖及びλ鎖をL鎖の可変領域に特異的なプライマー(それぞれVκ1a−Vκ6bとVλ1a−Vλ10)及びCε1NotIプライマーを用いて増幅した。二次PCRでは、Fd領域のPCR増幅にはCκ1、Vκ/λ1及びCε2プライマーを用い、κ鎖のPCR増幅にはVκ/λ1及びCλ1プライマーを用い、λ鎖のPCR増幅にはVλ1A及びCκ/λ1プライマーを用いた。一次PCRは以下の条件で行った:93℃で3分間の変性を1サイクル;93℃で1分間、63℃で30秒及び58℃で50秒のアニーリング、次いで72℃で1分間の伸長を7サイクル;93℃で1分間、63℃で30秒及び72℃で1分間を23サイクル;最後に72℃で10分間を1サイクル。二次PCRは以下の条件で行った:95℃で3分間の変性を1サイクル;94℃で1.5分間、65℃で1分間のアニーリング、次いで72℃で1.5分間の伸長を25サイクル;及び72℃で10分間を1サイクル。一次PCRと二次PCRの間、及び二次PCRの後には、増幅したDNAフラグメントを精製した。
【0036】
種々の抗体フラグメントのDNAからなる最終PCR産物を集め、適切な制限酵素で消化した。消化したDNAフラグメントであり、IgE Fd領域やκ鎖やλ鎖をコードするDNAフラグメントをファージミドベクターに連結し、そのファージミドベクターでE. coliXL−1 Blueを形質転換して106個の独立したクローンからなるFab−κライブラリー及びFab−λライブラリーを得た。ファージ粒子上のFabフラグメントの発現に関わる問題を防止するために、scFv形式の抗体ライブラリーを構築した。ヒトIgE scFv−κ及びscFv−λライブラリーを構築するために種々のライブラリーからファージミドDNAを単離して、ヒトIgE H鎖及びヒトIgE L鎖の可変領域を増幅するための鋳型DNAとして用いた。
【0037】
H鎖の可変領域のPCR増幅をヒトVH特異的プライマー(VH1−VH4及びVH1A)を用いて行った。L鎖の可変領域の増幅を以下のプライマーペアを用いて行った:ヒトκ鎖の増幅にはVκ1−Vκ7,Vκ2−Vκ8,Vκ3−Vκ9,Vκ4−Vκ10,Vκ5−Vκ11及びVκ6−Vκ11を用い、ヒトλ鎖の増幅にはVλ1−Vλ8,Vλ2−Vλ9,Vλ3−Vλ9,Vλ4−Vλ9,Vλ5−Vλ10,Vλ6−Vλ10及びVλ7−Vλ10を用いた(表3及び表4参照)。scFvファージディスプレイベクター(図3)に連結するために、増幅したDNAフラグメントを精製し消化した。連結用混合物でE. coliXL−1 Blueを形質転換し、約105個の独立したクローンからなるヒトIgE scFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーを得た。
【0038】
II.ヒトscFvライブラリーの選択
ヒトscFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーをファージディスプレイ法(McCafferty et al., 1990; Barbas et al., 1991)により選択した。ヘベイン結合性抗体フラグメントを単離するために、バクテリオファージの表面に提示されたヒトIgE scFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーを集め、親和性パニング法(affinity panning procedure)(図2)を用いてパニングを行った。はじめにファージプールをビオチン化した免疫反応性のヘベイン又はビオチン化したコントロールタンパク質(バックグラウンド)と1.5時間反応させた。その後、ファージプールをビオチン結合性ストレプトアビジンでコートしたマイクロタイタープレートのウェルに移した。30分間インキュベートした後、ウェルを3回PBSで洗浄し、結合物を酸性緩衝液(100mM HCl、pH2.2)で溶出し、2Mトリス溶液で直ちに中和した。続くパニングラウンドのために、溶出したファージプールをE. coliXL−1 Blueに感染させて増幅した。パニングは5ラウンド行った。
【0039】
III.ヘベイン結合性物質の特徴づけ
最後のパニングサイクル終了後、可溶性scFvフラグメントを発現させるために、scFvファージディスプレイDNAを単離し、単離したDNAでE. coliHB2151(supE - )の形質転換を行った。scFvファージディスプレイベクターは、そのscFv配列とファージ遺伝子III配列との間に、supE + 遺伝子型のE. coli株ではグルタミン酸に翻訳され、supE - 遺伝子型のE. coli株では終止コドンに翻訳されるTAGアンバー終止コドンを含む。62個の独立したクローンの小規模培養を実施し、予備的な特徴づけに用いる可溶性scFvフラグメントを製造した。クローンは、ヘベイン特異的結合性物質物を捕捉するためのヘベインでコートしたウェルと非特異的な結合を検出するためのコントロールタンパク質でコートしたウェルを用いたELISAで分析した(データは示さない)。ほとんどのクローンは高い親和性でヘベインに結合した。最も見込みのあるクローンのうち19個の配列を決定し(Sanger et al., 1977)、そのうちの2個のクローンを更なる特徴づけのために選択した(図4及び5)。
【0040】
実施例2
ヘベイン結合特異性を有するヒトFabフラグメントのクローニング及び特徴づけ
本実施例においては、ヘベイン結合特異性を有するヒトIgE scFvをIgG1サブタイプに属するヒトFabフラグメントに変換した。多量体の形成が難しいことが知られていることから、scFv抗体ライブラリーから得られたscFvフラグメントの1A4 scFv及び1C2 scFvをクローニングし、細菌にFabフラグメントとして発現させた(Holliger et al., 1993; Desplancq et al., 1994)。得られた抗体フラグメントの更なる特徴づけを競合的ELISA法で行った。
【0041】
I.ヘベイン結合特異性を有するヒトFabフラグメントのクローニング
Fd領域をオーバーラッピングPCR(overlapping PCR)で増幅した。PCRに用いたプライマーを表5に示す。
【0042】
上記で得られたFd領域cDNA及びL鎖cDNAをバクテリアの発現ベクターであるpKKtacにクローニングし、E. coliRV308を形質転換した。1A4G及び1C2Gと命名した可溶性Fabフラグメントが産生され、これらのFabフラグメントはそのC末端に導入したヘキサヒスチジニルタグを用いてニッケルを固定したセファロースカラムで実質的に純粋になるまで精製した(データは示さない)。
【0043】
II.ヒトFabフラグメントの特徴づけ
精製した1A4G及び1C2Gの特徴づけを競合的ELISA法によって行った。始めに、ラテックスポリペプチド濃度の増加する系列を用いてサンプル(1A4G及び1C2G)とラテックスポリペプチドをインキュベートした。ラテックスポリペプチドはラテックス製の実験用手袋からAleniusと共同研究者ら(1996)に従って単離したものを使用した。インキュベートした反応混合物をアレルゲン性GFP−ヘベイン融合タンパク質でコートしたマイクロタイタプレートのウェルに添加した。使用したラテックスポリペプチドの調製物は高いラテックスアレルギー活性を有していた(データは示さない)。図6は競合的ELISAの結果を示す。ヘベインに対する1A4Gの結合(図6a)及び1C2Gの結合(図6b)は、天然ヘベインの添加量が増加することで阻害することができた。
【0044】
IgE抗体はアレルゲン性エピトープに特異的に結合する。1A4G抗体の結合特性を更に詳細に検討するために、アレルゲン性エピトープを包含するペプチドとの競合的ELISAを行った(図7)。Banerjeeと共同研究者ら(1997)はヘベインのアレルゲン性エピトープについて研究し、重要なアレルゲン性エピトープであると考えられる2つのペプチド、6量体と13量体、を見出した。競合的ELISAにおいて、固定したヘベインに対する1A4Gの結合はアレルゲン性エピトープであるペプチドによって阻害された。異なる競合的ELISAで得られたこれらの結果は、抗体ライブラリーから単離された抗体が天然ヘベインと同様に組換えヘベインに特異的に結合しうることを示す。更に、予備実験の結果は、1A4G抗体がヘベインのアレルゲン性エピトープに特異的に結合することを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、完全なヒトIgEサブクラス抗体、Fabフラグメント及び1本鎖抗体(scFv)の該略図であり、抗原結合部位は三角形で示す。以下、構造を示す図面はいずれも実寸ではない。
【図2】図2は、パニング法の概略図である。
【図3】図3は、scFvファージライブラリーの構築に使用したscFvファージディスプレイベクターの概略図である。
【図4】図4は、1A4抗体及び1C2抗体のH鎖の可変領域の推定されるアミノ酸配列である。相補的決定部(CDR)を下線で示した。アミノ酸番号はKabat (Kabat et al., 1991)のものに準じた。
【図5】図5は、1A4抗体及び1C2抗体のL鎖の可変領域の推定されるアミノ酸配列である。相補的決定部(CDR)を下線で示した。アミノ酸番号はKabat (Kabat et al., 1991)のものに準じた。
【図6a】図6aは、ヒトIgG1サブタイプに属する1A4Fabフラグメントの競合的ELISAで得られた曲線であり、ラテックスポリペプチドによるヘベイン結合阻害を示す。
【図6b】図6bは、ヒトIgG1サブタイプに属する1C2Fabフラグメントの競合的ELISAで得られた曲線であり、ラテックスポリペプチドによるヘベイン結合阻害を示す。
【図7】図7は、競合的ELISAの結果であって、ヒトIgG1サブタイプに属する1A4Fabフラグメントの有するヘベイン結合性は、ヘベインのアレルゲン性エピトープ(6量体と13量体)により阻害されることを示す。
【配列表フリーテキスト】
【0052】
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配列番号85 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号87 配列中の31〜37番アミノ酸、52〜67番アミノ酸及び101〜117番アミノ酸はCDRである。
配列番号88 配列中の31〜37番アミノ酸、52〜67番アミノ酸及び101〜119番アミノ酸はCDRである。
配列番号89 配列中の24〜35番アミノ酸、51〜57番アミノ酸及び90〜98番アミノ酸はCDRである。
配列番号90 配列中の24〜34番アミノ酸、50〜56番アミノ酸及び89〜97番アミノ酸はCDRである。
配列番号91 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
【0001】
本発明は抗体工学技術に関する。更に詳細には、本発明は、アレルゲン性ヘベインに対して高い親和性と特異性をもって結合する、ヒトIgE抗体及びその誘導体に関する。また、本発明は、上記のヘベイン結合性モノクローナル抗体を作製したり改変したりするための方法、並びにこのような抗体やその誘導体を免疫学的診断の分野で使用するための方法を提供する。本発明によって、生物学的サンプル及び原料サンプル中のアレルゲン性ヘベインの定性的及び定量的測定と共に、免疫学的治療も可能となり、その結果、アレルギー患者におけるアレルゲン性ヘベインの活性阻害が可能となる。
【背景技術】
【0002】
世界の人口のおよそ20%がアレルギーに苦しんでいる。このため、アレルギーは深刻さの増している健康問題である。アレルギーとは、空気、食物又は水に存在する通常は害のない物質に対する過敏反応である(Corry and Kheradmand, 1999)。新規な外来の異質物が、それを体内から排除することを目的とする反応、つまりアレルギー反応を引き起こす。即時型又はI型過敏反応とも呼ばれるIgE仲介アレルギー反応においては、生体が外来物質であるアレルゲンに初めて曝された時に、IgE産生B細胞が可溶性IgE分子の産生を始める。そして可溶性IgE分子は、種々の細胞、最も重要なものとしてはマスト細胞の表面に存在する高親和性IgEレセプターに結合する。生体が同じ外来物質に再び遭遇すると、レセプター結合IgE分子とアレルゲンとの交差結合が生じ、その結果、細胞が活性化されて、アレルギー反応の徴候及び症状を誘発する毒性物質であるヒスタミンなどが放出される。
【0003】
ラテックスアレルギーは患者数が増加している深刻な医療問題である(Slater, 1994; Turjanmaa et al., 1996)。ラテックスは複合細胞内産物であり、ゴムの木であるHevea brasiliensisの乳細胞によって産生される乳液である。ラテックスは、例えば手袋、風船及びコンドームといった種々の日用品並びに医療用品の製造に用いられている。ラテックスアレルギーは特に医療関係従事者、ゴム工業就労者及び数回の外科的処置を受けた患者の間で深刻な問題となっている。ラテックスアレルギーは、花粉アレルギー及び食物アレルギーとの関連が報告されている(Nel and Gujuluva, 1998)。ラテックスアレルゲンと食物アレルゲンの交差反応性は、ラテックス−果物症候群として確立されており、これはヘベイン様タンパク質ドメイン又は類似のエピトープの反応性が原因であると考えられる(Brehler et al., 1997; Chen et al., 1998; Mikkola et al., 1998)。多くのラテックスタンパク質はアレルゲンとして同定されている(Breiteneder and Scheiner, 1998)。主要なラテックスアレルゲンの一つはヘベインであり、ヘベインは、例えば数種のキチン含有真菌の感染抑制に関与する防御タンパク質である(Lee et al., 1991; Alenius et al., 1996; Chen et al., 1997)。ヘベインは43個のアミノ酸からなり、4個のジスルフィド結合を有する小さなキチン結合性タンパク質である。その三次元構造はX線解析及びNMRによって決定されている(Rodriguez-Romero et al., 1991; Andersen et al., 1993)。
【0004】
IgE抗体はアレルゲン性エピトープを特異的に認識するので、臨床又は免疫学的診断において複合材料のアレルゲン濃度を検出及び決定するために有用である。さらに、アレルゲン性エピトープは、通常、タンパク質の免疫原性エピトープとは異なる。このことは、ハイブリドーマ技術などの従来の方法による、アレルゲン性エピトープに特異的な結合を示すモノクローナル抗体の産生の妨げとなっている。アレルゲン特異的IgE抗体の開発がファージディスプレイ法によって可能なことが最近報告示されている(Steinberger et al., 1996)。この方法は、臨床及び診断に使用するためのアレルゲン特異的組み換え抗体を一定の質を保持しながら産生するための新たな手段を提供する。
【0005】
発明の概要
本発明においては、イムノアッセイや免疫学的治療のための試薬として用いることのできる、ヒトIgE抗体フラグメントの開発及び特徴づけを開示する。本発明のヒトIgE抗体フラグメントは、生物学的試料中のヘベインを定性的及び定量的に測定するために設計したイムノアッセイ用の試薬及びアレルギー患者の免疫学的治療に用いるのに十分な高い親和性及び特異性を有する。具体的には、本発明は、ヘベインに特異的なヒトIgE抗体のファージディスプレイ法による選択、及びE. coliを用いて産生した、改変された抗体断片の結合特性の特徴づけについて開示する。
【0006】
従って、本発明は、種々のイムノアッセイ法及びヒトの免疫学的治療に使用するための新規な試薬を提供する。また、本発明によって、均一な品質を保持する上記の特異的な試薬を継続的に供給することが保証され、ポリクローナル抗血清に固有のバッチ間の品質のばらつきという問題を排除した。これらの有用な効果によって、本発明は、均一な品質の、新規であり、特異的であり且つ経済的な免疫学的診断方法の製造を可能にする。
【0007】
上記から明かなように、本発明の特定の目的の一つは、ヒトIgEモノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体(以下、屡々、「モノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体」をまとめて「ヘベイン結合性物質」と称する)であって、生物学的サンプル中のヘベインの定性的及び定量的測定に使用するのに十分な高いヘベイン親和性及び特異性を有するものを提供する。さらに本発明は、免疫学的治療に使用することを特徴とする、上記のヘベイン結合性物質も提供する。本発明のモノクローナル抗体はアレルゲン性ヘベインに特異的な結合性を示す。
【0008】
本発明の他の目的の一つは、ヘベイン特異的抗体鎖をコードするcDNAクローンのみならず、該クローンを発現させてヘベイン結合性物質を産生するための構築物や方法を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的の一つは、モノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体を単独又は組み合わせて用いることで、生物学的サンプル中のヘベインを定性的及び定量的に測定する方法を提供することである。更に、本発明は、アレルギー患者の免疫学的治療に使用するためのモノクローナル抗体、その機能的フラグメント又はそれらの誘導体およびそれらを組み合わせて得られるヘベイン結合性物質を提供する。
【0010】
本発明の諸目的、諸特徴及び諸利益は、添付の図面及び詳細な説明の記載から明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明及び実施例は本発明の好ましい態様を示すものの、あくまでもそれを例示しているに過ぎず、本発明の精神及び発明の範囲内で行われる種々の変更及び改良は、以下の詳細な説明より当業者には明らかであることを理解されたい。
【0011】
【0012】
発明の詳細の説明
本願明細書で使用した用語の一部について、その定義を提供する。「免疫グロブリン」、「H鎖」、「L鎖」及び「Fab」は欧州特許願第0125023号と同様に使用した。
【0013】
本願明細書において使用した種々の活用形の「抗体」という用語は集合名詞であり、免疫グロブリン分子及び/又は免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部位、即ち抗原結合部位又はパラトープ、の総称である。
【0014】
「抗原結合性部位」又は「パラトープ」とは、抗体分子において、抗原に特異的に結合する構造上の部位である。
【0015】
抗体の例としては、免疫グロブリン分子の一部分であってパラトープを含む部分、例えばFabやFvが挙げられる。
【0016】
「Fab」(特異的抗原結合性を有するフラグメント)とは、公知の方法によって実質的に完全な抗体をパパインによるタンパク質分解に付すことで得られる抗体の一部分である。例えば、米国特許第4,342,566号を参照されたい。Fabフラグメントは遺伝子組換え法によって産生することもでき、このような方法は当業者にはよく知られている。例えば、米国特許第4,949,778号を参照されたい。
【0017】
「ドメイン」は、タンパク質の独立した折りたたみ部分を意味する。天然のタンパク質におけるドメイン間の境界に関する一般的な構造上の定義については、Argos, 1988を参照されたい。
【0018】
「可変ドメイン」又は「Fv」とは、免疫グロブリン分子中に存在し、抗原又はハプテンの結合を担う領域をである。通常この領域は、免疫グロブリン分子のL鎖及びH鎖のそれぞれのN末端から数えて約100個のアミノ酸からなる領域である。
【0019】
「一本鎖抗体」(scFv)とは、抗体のH鎖及びL鎖のそれぞれの可変ドメインがリンカーペプチドを介して結合した連続したアミノ酸鎖であって、一本のmRNA分子(転写物)から合成されたものである。
【0020】
「リンカー」又は「リンカーペプチド」とは、天然又は工学的に作られたタンパク質中の隣接する2つのドメインの間に存在するアミノ酸配列である。
【0021】
「ヘベイン結合性抗体」とは、抗体の可変領域が仲介する相互作用によってヘベインを特異的に認識して結合する抗体である。
【0022】
上記抗体の機能的フラグメントであって、本発明の範囲に属するものの例として、scFvフラグメントである1A4及び1C2を図4及び図5に開示した。本発明の一つの好ましい態様においては、ヘベイン結合性抗体の誘導体、例えばFabフラグメントやscFvフラグメント、を提供する。更に他の誘導体としては、CDR配列又は完全なVL及びVH配列の変異型であって、結合力に実質的に影響を与えない1つ以上の同類置換(conservative substitutions)を有するものを用いることもできる。
【0023】
イムノアッセイ、例えば生物学的サンプル中のヘベインを定性的又は定量的な検出、に使用する本発明のヘベイン結合性物質を標識してもよい。この目的のためには、従来から抗体の標識に用いられているいかなる種類の標識も用いることができる。
【0024】
免疫学的治療、例えばアレルギー患者のアレルゲン性ヘベインの結合阻害、に使用するためにも、本発明のヘベイン結合性物質を標識してもよい。この目的のためには、薬学的に許容され、従来から抗体の標識に用いられている標識が適当である。
【0025】
本発明の他の一つの態様においては、ヘベイン結合性物質をコードするDNAであるか、該DNAの断片であって、VL及び/又はVH領域の相補性決定部(CDR)をコードするDNA断片である、DNA分子を提供する。本発明のDNA分子はベクター、具体的には、例えば、本発明の抗体の誘導体、少なくとも1つの抗体鎖又は抗体鎖の一部を発現可能なベクター、にクローニングされていてもよい。
【0026】
本発明の更なる一つの態様においては、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞及び哺乳類細胞からなる群より選ばれる細胞であって、本発明のDNA分子を含み、本発明のヘベイン結合性物質を発現することが可能な宿主細胞を提供する。したがって、本発明の抗体誘導体は、少なくとも1種の抗体鎖を発現しうる本発明の宿主細胞を培養し、そして宿主細胞の産生した目的タンパク質を回収することで製造するか、必要であれば、タンパク質を回収した後に、更に該タンパク質の抗体鎖を構成する複数のドメインを包含するドメイン複合体を調製することによって製造することもできる。
【0027】
上記のscFvフラグメントは、アレルゲン性組換えヘベインを用いてヒトIgE scFvファージライブラリーのバイオパニング(biopanning)によって得たものである。ヒトIgE scFvファージライブラリーは、ラテックスアレルギー患者のリンパ球から単離したmRNAから構築したものである。L鎖及びH鎖の可変領域のcDNAは、Fd cDNA用のヒトIgEに特異的なプライマーを用いて合成し、ヒトL鎖のカッパ(κ)鎖及びラムダ(λ)鎖はヒトκ鎖及びλ鎖に特異的なプライマーを用いて合成した。L鎖及びH鎖の可変領域は、VκとVλ cDNA用のヒトκ鎖特異的プライマーとλ鎖特異的プライマー及びVH cDNA用のヒトIgE特異的プライマーを用いてそれぞれPCRによって増幅した。これらのPCRプライマーに導入しておいた制限部位を利用して、scFvファージディスプレイベクターに可変領域のcDNAをクローニングし、ヒトIgE scFvライブラリーを構築した。
【0028】
パニング法を利用したファージディスプレイによってヒトIgE scFvライブラリーを選択した。ヒトIgE scFvファージライブラリーのスクリーニングを溶液中のビオチン化したアレルゲン性組換えヘベインで行い、結合物をストレプトアビジン上に捕捉した。ファージの溶出を100mM HCl(pH2.2)で行い、次いで2Mトリス溶液で直ちに中和した。ファージ溶出液をE. coli細胞で増幅した。バイオパニングを5ラウンド繰り返した後、単離したファージから可溶性のscFvフラグメントを調製した。選択したscFvフラグメントの結合特異性をELISAで検出した。数種のヘベイン特異的scFvフラグメントクローンを得た。
【0029】
本願明細書に記載したように、ファージディスプレイ法は、診断及び治療に適用するためのヒトIgE組換え抗ヘベイン抗体を開発するための有効かつ簡便な方法である。
【0030】
本発明の抗体フラグメントを得るために有効な選択方法の一つを記載したが、本発明の抗体フラグメントを得ることが可能な多数の応用方法も当業者には明らかとなる。scFvフラグメント又はその誘導体のファージディスプレイライブラリー又は微生物ディスプレイライブラリーから本発明のscFvフラグメントを直接選択することが可能であることは明らかなはずである。本発明のscFvフラグメント又は他の抗体フラグメントを表面タンパク質との融合タンパク質として提示するファージ又は微生物細胞は、本発明の更なる態様の一つである。
【0031】
微生物細胞による本発明のヘベイン結合性物質の発現は、免疫診断アッセイ及び免疫学的治療に適した均一な品質の高特異性試薬を効率よく且つ経済的に製造するための手段を提供する一方で、このような試薬又はその少なくとも一部が合成可能であることを示している。従来の遺伝子工学的手法を適用することにより、初めに得られた本発明の抗体フラグメントをその結合特性を実質的に変えることなく改変する(例えば、新たな配列を連結する)ことができる。このような手法は、上記で定義したヘベインに対する親和性及び特異性の両方を保持する新規なヘベイン結合性ハイブリッドタンパク質の製造にも用いることができる。
【0032】
ヒトヘベイン結合性組換え抗体の開発及び特徴づけ、並びにイムノアッセイにおけるその有用性について、以下の実施例において詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
実施例1
ファージディスプレイ選択法による組換えヘベイン特異的scFvフラグメントの調製
本実施例においては、ヘベインに対する親和性及び特異性を有するscFvフラグメントを単離するために、ヒトIgE scFvライブラリーを構築し、アレルゲン性ヘベインによる選択を行った。IgE Fab−κライブラリー及びIgE Fab−λライブラリーを初めに構築することによってヒトIgEファージライブラリーを間接的に構築し、その後、特定のライブラリーのDNAを用いてH鎖及びL鎖の可変ドメインをコードするDNAをPCRで増幅した。
【0034】
I.ヒトIgE scFvファージライブラリーの構築
ヘパリンを加えた血液100mlをラテックスアレルギー患者から得た。リンパ球をIg-Prime Kit Protocol(Novagen社製)に従って次の手順で単離した。血液10mlあたり30mlの溶解緩衝液(155mMのNH4Cl、10mMのNH4HCO3、0.1mMのEDTA、pH=7.4)を加え、時々振とうさせながら氷上で15分間インキュベートした。450gで10分間遠心分離した後、リンパ球、即ち白血球ペレット、を回収した。回収したペレットを溶解緩衝液で2回洗浄し、最後の遠心分離の後に得られたリンパ球ペレットをD−溶液(D-solution)に再懸濁した。リンパ球RNAをPromega社のRNAgents Total RNA Isolation kitを用いて製造者のマニュアルに従って単離した。初めのcDNA合成はPromega社のReverse Transcription system kitを用いて行った。FdフラグメントcDNA及びL鎖cDNAの合成には、イプシロン(ε)鎖の定常領域のプライマー(Cε1及びCε2)、並びにカッパ鎖のプライマー(Cκ1)とラムダ鎖のプライマー(Cλ1)をそれぞれ用いた。ヒトIgE Fd領域及びL鎖のcDNA合成及びPCR増幅に用いたプライマーを表1及び表2に示す。
【0035】
PCR増幅は2段階、具体的にはcDNAテンプレートからFd鎖及びL鎖を増幅するための一次PCRと、一次PCRで得たDNAフラグメントの5'末端に制限部位を加えるための二次PCRで行った。まず、H鎖の可変領域に特異的なプライマー(VH1a−VH7a)及びCε1NotIプライマーを用いてFd領域をPCRで増幅した。次に、L鎖であるκ鎖及びλ鎖をL鎖の可変領域に特異的なプライマー(それぞれVκ1a−Vκ6bとVλ1a−Vλ10)及びCε1NotIプライマーを用いて増幅した。二次PCRでは、Fd領域のPCR増幅にはCκ1、Vκ/λ1及びCε2プライマーを用い、κ鎖のPCR増幅にはVκ/λ1及びCλ1プライマーを用い、λ鎖のPCR増幅にはVλ1A及びCκ/λ1プライマーを用いた。一次PCRは以下の条件で行った:93℃で3分間の変性を1サイクル;93℃で1分間、63℃で30秒及び58℃で50秒のアニーリング、次いで72℃で1分間の伸長を7サイクル;93℃で1分間、63℃で30秒及び72℃で1分間を23サイクル;最後に72℃で10分間を1サイクル。二次PCRは以下の条件で行った:95℃で3分間の変性を1サイクル;94℃で1.5分間、65℃で1分間のアニーリング、次いで72℃で1.5分間の伸長を25サイクル;及び72℃で10分間を1サイクル。一次PCRと二次PCRの間、及び二次PCRの後には、増幅したDNAフラグメントを精製した。
【0036】
種々の抗体フラグメントのDNAからなる最終PCR産物を集め、適切な制限酵素で消化した。消化したDNAフラグメントであり、IgE Fd領域やκ鎖やλ鎖をコードするDNAフラグメントをファージミドベクターに連結し、そのファージミドベクターでE. coliXL−1 Blueを形質転換して106個の独立したクローンからなるFab−κライブラリー及びFab−λライブラリーを得た。ファージ粒子上のFabフラグメントの発現に関わる問題を防止するために、scFv形式の抗体ライブラリーを構築した。ヒトIgE scFv−κ及びscFv−λライブラリーを構築するために種々のライブラリーからファージミドDNAを単離して、ヒトIgE H鎖及びヒトIgE L鎖の可変領域を増幅するための鋳型DNAとして用いた。
【0037】
H鎖の可変領域のPCR増幅をヒトVH特異的プライマー(VH1−VH4及びVH1A)を用いて行った。L鎖の可変領域の増幅を以下のプライマーペアを用いて行った:ヒトκ鎖の増幅にはVκ1−Vκ7,Vκ2−Vκ8,Vκ3−Vκ9,Vκ4−Vκ10,Vκ5−Vκ11及びVκ6−Vκ11を用い、ヒトλ鎖の増幅にはVλ1−Vλ8,Vλ2−Vλ9,Vλ3−Vλ9,Vλ4−Vλ9,Vλ5−Vλ10,Vλ6−Vλ10及びVλ7−Vλ10を用いた(表3及び表4参照)。scFvファージディスプレイベクター(図3)に連結するために、増幅したDNAフラグメントを精製し消化した。連結用混合物でE. coliXL−1 Blueを形質転換し、約105個の独立したクローンからなるヒトIgE scFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーを得た。
【0038】
II.ヒトscFvライブラリーの選択
ヒトscFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーをファージディスプレイ法(McCafferty et al., 1990; Barbas et al., 1991)により選択した。ヘベイン結合性抗体フラグメントを単離するために、バクテリオファージの表面に提示されたヒトIgE scFv−κライブラリー及びscFv−λライブラリーを集め、親和性パニング法(affinity panning procedure)(図2)を用いてパニングを行った。はじめにファージプールをビオチン化した免疫反応性のヘベイン又はビオチン化したコントロールタンパク質(バックグラウンド)と1.5時間反応させた。その後、ファージプールをビオチン結合性ストレプトアビジンでコートしたマイクロタイタープレートのウェルに移した。30分間インキュベートした後、ウェルを3回PBSで洗浄し、結合物を酸性緩衝液(100mM HCl、pH2.2)で溶出し、2Mトリス溶液で直ちに中和した。続くパニングラウンドのために、溶出したファージプールをE. coliXL−1 Blueに感染させて増幅した。パニングは5ラウンド行った。
【0039】
III.ヘベイン結合性物質の特徴づけ
最後のパニングサイクル終了後、可溶性scFvフラグメントを発現させるために、scFvファージディスプレイDNAを単離し、単離したDNAでE. coliHB2151(supE - )の形質転換を行った。scFvファージディスプレイベクターは、そのscFv配列とファージ遺伝子III配列との間に、supE + 遺伝子型のE. coli株ではグルタミン酸に翻訳され、supE - 遺伝子型のE. coli株では終止コドンに翻訳されるTAGアンバー終止コドンを含む。62個の独立したクローンの小規模培養を実施し、予備的な特徴づけに用いる可溶性scFvフラグメントを製造した。クローンは、ヘベイン特異的結合性物質物を捕捉するためのヘベインでコートしたウェルと非特異的な結合を検出するためのコントロールタンパク質でコートしたウェルを用いたELISAで分析した(データは示さない)。ほとんどのクローンは高い親和性でヘベインに結合した。最も見込みのあるクローンのうち19個の配列を決定し(Sanger et al., 1977)、そのうちの2個のクローンを更なる特徴づけのために選択した(図4及び5)。
【0040】
実施例2
ヘベイン結合特異性を有するヒトFabフラグメントのクローニング及び特徴づけ
本実施例においては、ヘベイン結合特異性を有するヒトIgE scFvをIgG1サブタイプに属するヒトFabフラグメントに変換した。多量体の形成が難しいことが知られていることから、scFv抗体ライブラリーから得られたscFvフラグメントの1A4 scFv及び1C2 scFvをクローニングし、細菌にFabフラグメントとして発現させた(Holliger et al., 1993; Desplancq et al., 1994)。得られた抗体フラグメントの更なる特徴づけを競合的ELISA法で行った。
【0041】
I.ヘベイン結合特異性を有するヒトFabフラグメントのクローニング
Fd領域をオーバーラッピングPCR(overlapping PCR)で増幅した。PCRに用いたプライマーを表5に示す。
【0042】
上記で得られたFd領域cDNA及びL鎖cDNAをバクテリアの発現ベクターであるpKKtacにクローニングし、E. coliRV308を形質転換した。1A4G及び1C2Gと命名した可溶性Fabフラグメントが産生され、これらのFabフラグメントはそのC末端に導入したヘキサヒスチジニルタグを用いてニッケルを固定したセファロースカラムで実質的に純粋になるまで精製した(データは示さない)。
【0043】
II.ヒトFabフラグメントの特徴づけ
精製した1A4G及び1C2Gの特徴づけを競合的ELISA法によって行った。始めに、ラテックスポリペプチド濃度の増加する系列を用いてサンプル(1A4G及び1C2G)とラテックスポリペプチドをインキュベートした。ラテックスポリペプチドはラテックス製の実験用手袋からAleniusと共同研究者ら(1996)に従って単離したものを使用した。インキュベートした反応混合物をアレルゲン性GFP−ヘベイン融合タンパク質でコートしたマイクロタイタプレートのウェルに添加した。使用したラテックスポリペプチドの調製物は高いラテックスアレルギー活性を有していた(データは示さない)。図6は競合的ELISAの結果を示す。ヘベインに対する1A4Gの結合(図6a)及び1C2Gの結合(図6b)は、天然ヘベインの添加量が増加することで阻害することができた。
【0044】
IgE抗体はアレルゲン性エピトープに特異的に結合する。1A4G抗体の結合特性を更に詳細に検討するために、アレルゲン性エピトープを包含するペプチドとの競合的ELISAを行った(図7)。Banerjeeと共同研究者ら(1997)はヘベインのアレルゲン性エピトープについて研究し、重要なアレルゲン性エピトープであると考えられる2つのペプチド、6量体と13量体、を見出した。競合的ELISAにおいて、固定したヘベインに対する1A4Gの結合はアレルゲン性エピトープであるペプチドによって阻害された。異なる競合的ELISAで得られたこれらの結果は、抗体ライブラリーから単離された抗体が天然ヘベインと同様に組換えヘベインに特異的に結合しうることを示す。更に、予備実験の結果は、1A4G抗体がヘベインのアレルゲン性エピトープに特異的に結合することを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、完全なヒトIgEサブクラス抗体、Fabフラグメント及び1本鎖抗体(scFv)の該略図であり、抗原結合部位は三角形で示す。以下、構造を示す図面はいずれも実寸ではない。
【図2】図2は、パニング法の概略図である。
【図3】図3は、scFvファージライブラリーの構築に使用したscFvファージディスプレイベクターの概略図である。
【図4】図4は、1A4抗体及び1C2抗体のH鎖の可変領域の推定されるアミノ酸配列である。相補的決定部(CDR)を下線で示した。アミノ酸番号はKabat (Kabat et al., 1991)のものに準じた。
【図5】図5は、1A4抗体及び1C2抗体のL鎖の可変領域の推定されるアミノ酸配列である。相補的決定部(CDR)を下線で示した。アミノ酸番号はKabat (Kabat et al., 1991)のものに準じた。
【図6a】図6aは、ヒトIgG1サブタイプに属する1A4Fabフラグメントの競合的ELISAで得られた曲線であり、ラテックスポリペプチドによるヘベイン結合阻害を示す。
【図6b】図6bは、ヒトIgG1サブタイプに属する1C2Fabフラグメントの競合的ELISAで得られた曲線であり、ラテックスポリペプチドによるヘベイン結合阻害を示す。
【図7】図7は、競合的ELISAの結果であって、ヒトIgG1サブタイプに属する1A4Fabフラグメントの有するヘベイン結合性は、ヘベインのアレルゲン性エピトープ(6量体と13量体)により阻害されることを示す。
【配列表フリーテキスト】
【0052】
配列番号1 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
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配列番号74 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号75 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号76 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号77 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号78 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号79 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号80 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号81 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号82 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号83 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号84 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号85 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号87 配列中の31〜37番アミノ酸、52〜67番アミノ酸及び101〜117番アミノ酸はCDRである。
配列番号88 配列中の31〜37番アミノ酸、52〜67番アミノ酸及び101〜119番アミノ酸はCDRである。
配列番号89 配列中の24〜35番アミノ酸、51〜57番アミノ酸及び90〜98番アミノ酸はCDRである。
配列番号90 配列中の24〜34番アミノ酸、50〜56番アミノ酸及び89〜97番アミノ酸はCDRである。
配列番号91 人工的な塩基配列の記載: オリゴヌクレオチドプライマー
Claims (21)
- 抗体又はその誘導体からなる物質であって、該抗体はアレルゲン性ヘベインに結合特異性を有するモノクローナル抗体又はその機能的フラグメントと定義される、ヘベイン結合性物質。
- 該機能的フラグメントがscFvフラグメント又はFabフラグメントであることを特徴とする、請求項1に記載のヘベイン結合性物質。
- 該scFvフラグメント又はFabフラグメントが、IgEサブクラスに属する抗体から誘導されたものであることを特徴とする、請求項2に記載のモノクローナル抗体。
- 該scFvフラグメントが1A4又は1C2であることを特徴とする、請求項2に記載のヘベイン結合性物質。
- 請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質をコードするDNAであるか、該DNAの断片であって、該ヘベイン結合性物質に含まれる抗体鎖の少なくとも1種をコードするDNA断片である、単離されたDNA分子。
- 該抗体鎖が、VL及び/又はVH領域の相補性決定部(CDR)であることを特徴とする、請求項5に記載の単離されたDNA分子。
- ベクターにクローニングしてなることを特徴とする、請求項5に記載の単離されたDNA分子。
- 該ベクターが、請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質を発現可能なベクターであることを特徴とする、請求項7に記載の単離されたDNA分子。
- 請求項5〜8のいずれかのDNA分子を含む宿主細胞。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のヘベイン結合性物質、又は該物質に含まれる抗体鎖の少なくとも1種を発現することが可能な、請求項9に記載の宿主細胞。
- 該抗体鎖が、請求項2〜4のいずれかで定義されたscFvフラグメントであることを特徴とする、請求項10に記載の宿主細胞。
- 請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質の製造方法であって、
少なくとも1種の抗体鎖を発現しうる請求項9の宿主細胞を培養し、そして
該細胞の産生したヘベイン結合性物質を回収する
ことを包含する方法。 - 以下の工程を更に包含することを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
該ヘベイン結合性物質を回収した後、該ヘベイン結合性物質の抗体鎖を構成する複数のドメインを包含するドメイン複合体を調製する工程、
調製したドメイン複合体を二次宿主細胞に導入する工程、及び
ドメイン複合体を回収する工程。 - 更に、回収したヘベイン結合性物質を標識する工程を包含する、請求項12に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質の製造方法であって、該ヘベイン結合性物質の少なくとも一部を合成することを特徴とする製造方法。
- 請求項2〜4のいずれかのヘベイン結合性物質を、表面タンパク質との融合タンパク質として提示するファージ又は微生物細胞。
- ヘベイン結合性物質を提示する請求項16のファージ又は細胞からなるディスプレイライブラリーから、請求項2〜4のいずれかのヘベイン結合性物質を選択する方法。
- サンプル中のヘベインを検出する方法であって、
サンプルを提供し、そして
請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質を用いてヘベインを検出する
ことを包含する方法。 - 運搬及び保管に適した容器に入れられた、請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質を包含する試験キット。
- 免疫学的診断に使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質。
- 免疫学的治療に使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかのヘベイン結合性物質。
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