JP2005354649A - 圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧電材料により形成された基部51と、前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕35,36とを備えており、前記振動腕が、先端側にいくに従い、徐々に縮幅されており、先端部の手前で連続的な縮幅が終わる腕幅の変更点Pを有し、この腕幅の変更点よりさらに先端側が拡幅されている圧電振動片。
【選択図】 図3
Description
図12は、圧電デバイスに従来より用いられている圧電振動片の一例を示す概略平面図であり、図13は図12のA−A線切断端面図である。
図において、圧電振動片1は、水晶などの圧電材料をエッチングすることにより、図示する外形を形成するもので、パッケージ(図示せず)等に取付けられる矩形の基部2と、基部2から図において右方に延長された一対の振動腕3,4を備えており、これら振動腕の主面(表裏面)に長溝3a,4aを形成するとともに、必要な駆動用の電極を形成したものである(特許文献1参照)。
このような圧電振動片1においては、駆動用の電極を介して駆動電圧が印加されると、各振動腕3,4の先端部を近接・離間するようにして、屈曲振動することにより、所定の周波数の信号が取り出されるようになっている。
ここで、図示のような音叉型圧電振動片である圧電振動片1の周波数fは、振動腕3,4の長さをl、腕幅をwとした場合、w/l2に比例する。
これを防ぐために、長溝3a,4aの長さPlを長くして、電界効率を上げると、2次の高調波のCI値が小さくなる。
そして、2次の高調波のCI値/基本波のCI値が1以上となる場合、つまり基本波のCI値に比べて、2次の高調波のCI値が大きくなるようにしないと、基本波よりも2次の高調波で発振しやすくなり、圧電振動片1の振動特性が悪くなるという問題がある。
第1の発明の構成によれば、前記振動腕について、その幅が最も狭くなる箇所を、前記腕幅の変更点として、該振動腕の先端部よりもやや基部よりの箇所に設けて、この腕幅の変更点から先は腕幅が広くなるようにされている。
これにより、圧電振動片の2次の高調波の周波数が下がり、2次の高調波のCI値が大きくなる。このため、圧電振動片は2次の高調波で振動しにくくなり、振動特性を良好に維持することができる。
第2の発明の構成によれば、圧電振動片の振動腕部分の電界効率が向上し、基本波のCI値を下げることができる。この場合、単に前記長溝を設ける構成だけでは、同時に2次の高調波のCI値も下がるが、第1の発明の構成を伴うことにより、2次の高調波のCI値の低下は抑制されるので、基本波において振動しやすく、2次の高調波では振動しにくくすることができる。
第3の発明の構成によれば、CL/Lが、ほぼ0.75よりも小さい場合、あるいは0.93よりも大きい場合には、2次の高調波/基本波の値が大きくなり、高調波のCI値が十分高くできないので、2次の高調波の振動モードによる悪影響を効果的に抑制できない。
第4の発明の構成によれば、前記CL/Lが、ほぼ0.78よりも大きく、0.91よりも小さい場合には、2次の高調波のCI値/基本波のCI値を、ほぼ確実に「1」以下とすることができ、2次の高調波の振動モードによる悪影響をほぼ確実に抑制することができる。
第5の発明の構成によれば、前記PLがCLよりも小さいことにより、その分、振動腕の前記腕幅の変更点から先の重量が重くなり、2次の高調波で発振しにくくすることができる。
第7の発明の構成によれば、第2ないし第5の発明の構成に基づく作用効果に加えて、さらに、基部から互いに平行に延びる振動腕を有する音叉型の振動片における前記振動腕に設けた長溝が、表面または裏面の少なくとも一方において、先端側に延長されることで、電界効率が向上するので、その分CI値が低くなる。
また、表面または裏面の延長されない長溝を有する面には、振動腕の長溝よりも先端側に比較的大きな余地があるので、ここに周波数調整用の電極を容易に設けることができる。
第8の発明の構成によれば、前記長溝を延長する場合において、当該延長される長溝の設けられる振動腕の先端に達するまで延長することで、最も電界効率を向上させて、CI値の低減をはかることができる。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、圧電デバイス30は、図1および図2に示すように、パッケージ37内に圧電振動片32を収容している。パッケージ37は、図2に示すように、第1の基板55と第2の基板56とを積層して形成されており、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して図示の形状とした後で、焼結して形成されている。
各振動腕35,36の主面には、好ましくは、それぞれ長さ方向に延びる長溝33,34を形成し、図4に示すように、この長溝内に駆動用の電極である励振電極が設けられている(符号省略)。
これにより、長溝33,34内の励振電極に駆動電圧が印加されることによって、駆動時に、各振動腕の長溝が形成された領域の内部の電界効率を高めることができるようになっている。長溝33,34が長い程、振動腕35,36を形成する材料について電界効率が向上し、振動腕の全長Lに対して、長溝33,34の基部51からの長さPLが、少なくともPL/L=0.7程度までは、長くするほど圧電振動片32のCI値は下がることがわかっている。
圧電振動片32には、複数の振動モードがあり、通常使用される基本波は、例えば32.768kHzである。これに対して、圧電振動片32の2次の高調波は、250kHz付近にある。
図5のAは本実施形態の圧電振動子32を示し、Bは図12で説明した従来の圧電振動片1を示しており、A,Bの各直線の左端は基本波の周波数を、右端は2次の高調波の周波数を示している。本実施形態の圧電振動子32では、図3で説明した形状とすることにより、図5に示すように2次の高調波の周波数を低くすることができる。
圧電振動片32において、基本波で励振させようとする際に、駆動電圧を変化させることにより、そのドライブレベルを変化させると、基本波で正常に振動していた状態に、2次の高調波が作用してパラメトリック励振と呼ばれる異常発振が発生して、励振状態が不安定になることがある。
図6において、縦軸の値、すなわち、2次屈曲振動固有値(2次の周波数)/基本波屈曲振動固有値(基本波の周波数)が大きくなると、2次の高調波のCI値が低くなることがわかっており、上述のようなドライブレベルの悪化を避けるために、2次の高調波のCI値を十分高くするためには、図6の縦軸の値を低くする必要がある。
さらに、圧電振動片32の腕幅の変更点Pの位置が、図6においてE(0.78)からF(0.91)の範囲では、2次の高調波のCI値/基本波のCI値を、ほぼ確実に「1」以下とすることができ、2次の高調波の振動モードによる悪影響をほぼ確実に抑制することができる。
さらに、図3において、長溝の長さPLが、基部51から腕幅の変更点Pまでの長さCLよりも小さくするようにすると好ましい。これにより、その分、振動腕について腕幅の変更点Pから先の重量が重くなり、2次の高調波において、より発振しにくくすることができる。
これらの図において、図1ないし図4で説明した圧電振動片と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は極力省略し、以下、相違点を中心に説明する。
具体的には、各振動腕35,36の表面側には、図7(a)に示すように、従来と同じ長さの長溝33,34が形成されている。また、各振動腕35,36の裏面側には、図7(b)に示すように、従来よりもl1の長さだけ先端側に延長された長溝33−1,34−1が形成されている。これらの長溝は、圧電振動片32の外形を形成するエッチング作業と同時にあるいは、別の工程で、ハーフエッチングすることにより形成することができる。
これにより、長溝33,34内の励振電極に駆動電圧が印加されることによって、駆動時に、各振動腕の長溝が形成された領域の内部の電界効率を高めることができるようになっている。
この金属被覆部63,63は、図2で説明したレーザ光LB等により蓋体40ごしにトリミングされることで、質量削減方式により周波数調整に利用される部分である。したがって、金属被覆部63,63は、励振電極61,62と一体に形成してもよく、これとは別の金属を付着させて形成してもよい。なお、励振電極61,62は、水晶の上に下地層としてのクロム(Cr)を例えば、900オングストローム程度成膜し、その上に金(Au)を500ないし600オングストローム成膜してスパッタリングなどにより形成されるのに対して、金属被覆部63,63は、例えば、同様の金属により10000オングストローム程度の膜厚に成膜することで形成することができる。
すなわち、第2の実施形態の圧電振動片32−1によれば、第1の実施形態の圧電振動片32と共通する構成に基づいて、振動腕について腕幅の変更点Pから先の重量が重くなり、2次の高調波において、より発振しにくくすることができる。しかも、基本波におけるCI値をきわめて低くすることができるものである。
かくして、本実施形態によれば、CI値の上昇を抑制しつつ小型化が可能な圧電振動片と、このような圧電振動片を利用した圧電デバイスを提供することができる。
図11は一方の振動腕35の先端部を示す概略斜視図である。
これらの図において、第3の実施形態の圧電振動片32−2は、図示の構成以外は第2の実施形態と同じであるから相異点だけを説明する。
この場合、各振動腕の側面の電極を接続する電極は、図11に示されているように、例えば振動腕の先端端面35aに回り込むようにして接続されている。
かくして、第3の実施形態においては、長溝がさらに延長された分だけ、電界効率は一層向上し、CI値を一層低減することができる。それ以外の作用効果は第2の実施形態と同じである。
また、この発明は、箱状のパッケージに圧電振動片を収容したものに限らず、シリンダー状の容器に圧電振動片を収容したもの、圧電振動片をジャイロセンサとして機能するようにしたもの、さらには、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、圧電振動片を利用したあらゆる圧電デバイスに適用することができる。
Claims (8)
- 圧電材料により形成された基部と
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と
を備えており、
前記振動腕が、先端側にいくに従い、徐々に縮幅されており、先端部の手前で連続的な縮幅が終わる腕幅の変更点を有し、この腕幅の変更点よりさらに先端側が拡幅されている
ことを特徴とする、圧電振動片。 - 前記各振動腕には、長さ方向に延びる有底の長溝が形成されており、この長溝内に電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 前記基部を基準とした前記振動腕の長さをLとし、前記基部から前記腕幅の変更点までの長さをCLとした場合に、CL/Lが、ほぼ0.75よりも大きく、0.93よりも小さいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の圧電振動片。
- 前記基部を基準とした前記振動腕の長さをLとし、前記基部から前記腕幅の変更点までの長さをCLとした場合に、CL/Lが、ほぼ0.78よりも大きく0.91よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の圧電振動片。
- 前記基部を基準とした前記振動腕の長さをLとし、前記基部から前記腕幅の変更点までの長さをCLとし、さらに前記長溝の前記基部を基準とした長さをPLとした場合に、PLがCLよりも小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電振動片。
- パッケージまたはケース内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、
前記圧電振動片が、
圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と
を備えており、
前記振動腕が、先端側にいくに従い、徐々に縮幅されており、先端部の手前で連続的な縮幅が終わる腕幅の変更点を有し、この腕幅の変更点よりさらに先端側が拡幅されている
ことを特徴とする、圧電デバイス。 - 前記各振動腕の表裏面の少なくとも一方の長溝を先端側に延長するとともに、他方の延長されない長溝を有する面には、この長溝よりも先端側に周波数調整用の金属被覆部が設けられていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の圧電振動片。
- 前記延長された長溝は、振動腕の先端部に達するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動片。
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