JP4207873B2 - 圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents
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Description
図8は、圧電デバイスに従来より用いられている圧電振動片の一例を示す概略平面図であり、図9は図8のA−A線切断端面図である。
図において、圧電振動片1は、水晶などの圧電材料をエッチングすることにより、図示する外形を形成するもので、パッケージ(図示せず)等に取付けられる矩形の基部2と、基部2から図において右方に延長された一対の振動腕3,4を備えており、これら振動腕の主面(表裏面)に長溝3a,4aを形成するとともに、必要な駆動用の電極を形成したものである(特許文献1参照)。
このような圧電振動片1においては、駆動用の電極を介して駆動電圧が印加されると、各振動腕3,4の先端部を近接・離間するようにして、屈曲振動することにより、所定の周波数の信号が取り出されるようになっている。
ここで、図示のような音叉型圧電振動片である圧電振動片1の周波数fは、振動腕3,4の長さをl、腕幅をwとした場合、w/l2に比例する。
このことは、一方向に長い圧電振動片1を小型化しようとして、図8における全長AL1の大きさを小さくしようとする場合、振動腕の長さlを短くすると、周波数が高くなることを意味する。また、振動腕の幅wが小さくなると、周波数は下がる。このことから、従来の周波数を維持して、小型化を図るためには、振動腕の長さをある程度短くしつつ腕幅wを小さくしなければならない。
これに対して、腕幅wは、これまでのものが100μmであったものを、小型化により50μm程度とする場合を考える。腕幅100μmの際に、溝幅C1が70μm程度、側壁厚みS1,S1がそれぞれ15μm程度づつあったものが、腕幅wを50μm程度とすると、溝幅C1が40μm程度、側壁厚みS1,S1はそれぞれ5μm程度づつとしなければならない。
図10は、従来構造のまま圧電振動片を小型化した場合のドライブ特性を示すグラフであり、図の横軸に沿って、駆動電圧のレベルを徐々に増大させると、縦軸の周波数変化がマイナス方向に生じる。このことは、図9のZ方向振動の成分が多くなって、エネルギーロスの多い振動となってしまうことを示しており、CI(クリスタルインピーダンス)値の増大の原因となる。
この場合、振動腕の長さや、腕幅、などは一様ではないことを前提とすると、圧電振動片によっては、さらに、前記変更点Pを、前記長溝の先端部よりもさらに腕先端側に位置させるようにし、かつ、前記振動腕の幅縮幅率としての最大幅/最小幅=Mの値が、前記振動腕の腕長さに対する前記長溝の長さの割合=Nとの関係で決定された構造を持つことにより、全体を小型化をする上で、CI値を抑え、かつ振動特性を悪化させることがない圧電振動片を提供することができる。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、図1および図2に示すように、パッケージ37内に圧電振動片32を収容している。パッケージ37は、図2に示すように、第1の基板55と第2の基板56とを積層して形成されており、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して図示の形状とした後で、焼結して形成されている。
各振動腕35,36の主面の表裏には、好ましくは、それぞれ長さ方向に延びる長溝33,34をそれぞれ形成し、図3および図4に示すように、この長溝内に駆動用の電極である励振電極37,38が設けられている。このような圧電振動片32の音叉状の外形と、各振動腕に設ける長溝は、それぞれ例えば水晶ウエハなどの材料をフッ酸溶液などでウエットエッチングしたり、ドライエッチングすることにより精密に形成することができる。
また、好ましくは、基部51には、図8の振動片と同様に、基部51の両側縁に、基板51の幅方向の寸法に関して部分的に縮幅して形成した凹部もしくは切り込み部を設けてもよい(図示せず)。この切り込み部は、基部51の各振動腕35,36の付け根に近接した箇所である。これにより、各振動腕35,36の屈曲振動による振動の基部51側への漏れ込みを大きく低減することができ、CI値の抑制効果を得ることができる。
ここで、図3の長溝33,34が長い程、振動腕35,36を形成する材料について電界効率が向上し、振動腕の全長Lに対して、長溝33,34の基部51からの長さPLが、少なくともPL/L=0.7程度までは、長くするほど音叉型振動片のCI値は下がることがわかっている。
図5は横軸にくびれ位置Pをとった場合において、振動腕の長さ方向のどの位置にくびれ位置Pがあるかにより、縦軸に示す圧電振動片32のCI値の変化を示している。図5のグラフの横軸のパーセンテージは、振動腕の全長Lを「1」とした場合に、基部からくびれ位置Pまでの長さCLが、どのような比率であるかを示している。そして、横軸の0の位置が、図3の長さPLで示された長溝34の先端位置であり、0の位置は、長溝34の先端位置にくびれ位置(変更点P)Pがあることを示している。
図5を参照すると、長溝の長さPLを上述のように適切な長さとして、十分にCI値の抑制をはかると同時に、この長溝の先端位置と、くびれ位置Pの位置によってCI値が大きく変化することがわかる。
図6を参照すると、長溝の長さPLを上述のように適切な長さとして、十分にCI値の抑制をはかれば、くびれ位置Pがある程度変位しても、圧電振動片32のCI値比(高調波のCI値/基本波のCI値)は1よりも大きいが、くびれ位置Pが先端にいくほどCI値比は大きくなり、高調波で発振しにくい。
このように、図3の振動腕35に関して、長溝34を長くするほどCI値は低くなり、
くびれ位置(変更点P)Pも振動腕の先端よりに設けることで、CI値を低減しつつ、さらにCI値比を大きくすることができる。このことから、好ましくはくびれ位置Pを長溝の先端部よりも、振動腕の先端側に設けることで、ほぼ確実にCI値比を大きくして、高調波による発振を防止できる。
図示するように、腕幅縮幅率Mを大きくする程、CI値比が大きくなり、好ましい。この実施形態では、振動腕35の腕幅縮幅率Mを1.06よりも大きくすることにより、CI値比を1より大きくすることができ、高調波による発振を防止することができる。
また、この発明は、箱状のパッケージに圧電振動片を収容したものに限らず、シリンダー状の容器に圧電振動片を収容したもの、圧電振動片をジャイロセンサとして機能するようにしたもの、さらには、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、圧電振動片を利用したあらゆる圧電デバイスに適用することができる。
Claims (3)
- 圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝内に形成された励振電極と、
前記長溝内の励振電極と対になるように前記振動腕の側面に形成された励振電極とを備えた圧電振動片において、
前記各振動腕は、その腕幅を前記振動腕の前記基部との接続箇所である基端部で最も広くなるようにして前記基端部から前記各振動腕の先端側に向かって連続的に縮幅させるとともに、前記振動腕の先端側の腕幅を拡大させるよう前記腕幅が増加に転じるくびれを設け、前記くびれの位置を前記長溝の先端部よりもさらに前記各振動腕の先端側に位置させたことを特徴とする圧電振動片。 - 前記振動腕は、前記各振動腕の長さに対する前記長溝の長さの割合を61パーセントとした場合に、前記各振動腕の最大幅/最小幅の割合が1.06以上となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝内に形成された励振電極と、
前記長溝内の励振電極と対になるように前記振動腕の側面に形成された励振電極とを備えた圧電振動片を、パッケージまたはケース内に収容した圧電デバイスにおいて、
前記圧電振動片の前記各振動腕は、その腕幅を前記振動腕の前記基部との接続箇所である基端部で最も広くなるようにして前記基端部から前記各振動腕の先端側に向かって連続的に縮幅させるとともに、前記振動腕の先端側の腕幅を拡大させるよう前記腕幅が増加に転じるくびれを設け、前記くびれの位置を前記長溝の先端部よりもさらに前記各振動腕の先端側に位置させたことを特徴とする圧電デバイス。
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