JP4222288B2 - 圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents
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Description
図6は、圧電デバイスに従来より用いられている圧電振動片の一例を示す概略平面図であり、図7は図6のA−A線切断端面図である。
このような圧電振動片1においては、駆動用の電極を介して駆動電圧が印加されると、各振動腕3,4の先端部を近接・離間するようにして、屈曲振動することにより、所定の周波数の信号が取り出されるようになっている。
このことは、一方向に長い圧電振動片1を小型化しようとして、図6における全長AL1の大きさを小さくしようとする場合、振動腕の長さlを短くすると、周波数が高くなることを意味する。また、振動腕の幅wが小さくなると、周波数は下がる。このことから、従来の周波数を維持して、小型化を図るためには、振動腕の長さをある程度短くしつつ腕幅wを小さくしなければならない。
これに対して、腕幅wは、これまでのものが100μmであったものを、小型化により50μm程度とする場合を考える。腕幅100μmの際に、溝幅C1が70μm程度、側壁厚みS1,S1がそれぞれ15μm程度づつあったものが、腕幅wを50μm程度とすると、溝幅C1が40μm程度、側壁厚みS1,S1はそれぞれ5μm程度づつとしなければならない。
図8は、従来構造のまま圧電振動片を小型化した場合のドライブ特性を示すグラフであり、図の横軸に沿って、駆動パワーのレベルを徐々に増大させると、縦軸の周波数変化がマイナス方向に生じる。このことは、図7のZ方向振動の成分が多くなって、エネルギーロスの多い振動となってしまうことを示しており、CI(クリスタルインピーダンス)値の増大の原因となる。
しかも、前記振動腕の前記基部に対する付け根の箇所で、先端側に向かって急激に縮幅する第1の縮幅部を有しているので、振動腕が屈曲振動する際に、最も大きな応力が作用し、歪みが大きくなる付け根部分の剛性を向上させることができる。これにより、振動腕の屈曲振動が安定し、不要な方向への振動成分が抑制されるので、一層CI値を低減させることができる。
したがって、小型化をする上で、安定した屈曲振動を実現し、CI値を低く抑えることができる圧電振動片を提供することができる。
第2の発明の構成によれば、第1の縮幅部の幅を11μm以上とすることで、CI値の顕著な減少を図ることができる。
第3の発明の構成によれば、第1の発明と同様の原理により、小型化をする上で、安定した屈曲振動を実現し、CI値を低く抑えることができる圧電デバイスを提供することができる。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、図1および図2に示すように、パッケージ37内に圧電振動片32を収容している。パッケージ37は、図2に示すように、第1の基板55と第2の基板56とを積層して形成されており、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して図示の形状とした後で、焼結して形成されている。
各振動腕35,36の主面の表裏には、好ましくは、それぞれ長さ方向に延びる長溝33,34をそれぞれ形成し、図3および図4に示すように、この長溝内に駆動用の電極である励振電極37,38が設けられている。このような圧電振動片32の音叉状の外形と、各振動腕に設ける長溝は、それぞれ例えば水晶ウエハなどの材料をフッ酸溶液などでウエットエッチングしたり、ドライエッチングすることにより精密に形成することができる。
また、好ましくは、基部51には、図6の振動片と同様に、基部51の両側縁に、基板51の幅方向の寸法に関して部分的に縮幅して形成した凹部もしくは切り込み部を設けてもよい(図示せず)。この切り込み部は、基部51の各振動腕35,36の付け根に近接した箇所である。これにより、各振動腕35,36の屈曲振動による振動の基部51側への漏れ込みを大きく低減することができ、CI値の抑制効果を得ることができる。
ここで、図3の長溝33,34が長い程、振動腕35,36を形成する材料について電界効率が向上し、振動腕の全長Lに対して、長溝33,34の基部51からの長さPLが、少なくともPL/L=0.7程度までは、長くするほど音叉型振動片のCI値は下がることがわかっている。この実施形態では、図3において、振動腕36の全長Lは、例えば1200μm程度である。
この場合、第1の縮幅部の高さ寸法THは50μm程度として、幅TWを横軸にとり、縦軸に示すCI値の変化を記録している。
図示されているように、TWが小さいとCI値が高く、TWが大きくなると歪みが小さくなって、図7で説明したZ方向の振動成分が減少し、振動が安定することで、CI値が小さくなる。図示されているように、この場合には、TWが0つまり、全く第1の縮幅部を形成しない状態から、この第1の縮幅部を設けてTWを10μm程度、特に11μm付近まで形成する場合に顕著に、CI値の顕著な減少が見られる。さらにTWの寸法が大きくされて、基部51の幅一杯まで増加させる間もCI値は徐々に減少する。
しかも、第2の縮幅部を設けたことで、振動腕36は、その付け根付近から、先端側に向かって、くびれ位置Pまで、徐々に剛性が低下し、くびれ位置Pからさらに先端側では、長溝34が無く、腕幅が徐々に拡大していることから、剛性は先端側にいくに従って高くされている。
このため、2次の高調波における振動の際の振動の「節」を、振動腕36のより先端側に位置させることができると考えられ、このことにより、長溝34を長くして圧電材料の電界効率を上げ、CI値を上昇させても、基本波のCI値を抑制しながら、2次の高調波のCI値の低下を招くことがないようにすることができる。かくして、小型化しても、基本波のCI値を低く抑えることができ、ドライブ特性が悪化することがない圧電振動片を提供することができる。
また、この発明は、箱状のパッケージに圧電振動片を収容したものに限らず、シリンダー状の容器に圧電振動片を収容したもの、圧電振動片をジャイロセンサとして機能するようにしたもの、さらには、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、圧電振動片を利用したあらゆる圧電デバイスに適用することができる。
Claims (3)
- 圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝に形成した駆動用の電極と、
前記長溝と対を成して、前記各振動腕に駆動電圧を印加する側面電極と、
を備えており、
前記各振動腕は、
その幅寸法が、前記振動腕の前記基部に対する付け根の箇所で最も大きく、
前記付け根の箇所から先端側に向かって縮幅する第1の縮幅部と、
この第1の縮幅部の終端から、さらに先端側に向かって、連続的に縮幅する第2の縮幅部と、
前記長溝の先端よりも前記振動腕の先端側、かつ、前記第2の縮幅部の終端において、前記幅寸法が先端側に向かって等しい寸法で延びるか、もしくは増加に転じる幅変化の変更点Pと
を有し、
前記第1の縮幅部は、前記第2の縮幅部よりも縮幅が急激であることを特徴とする、圧電振動片。 - 前記第1の縮幅部の幅が11μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- パッケージまたはケース内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、
前記圧電振動片が、
圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝に形成した駆動用の電極と、
前記長溝と対を成して、前記各振動椀に駆動電圧を印加する側面電極と、
を備えており、
前記各振動腕は、
その幅寸法が、前記振動腕の前記基部に対する付け根の箇所で最も大きく、
前記付け根の箇所から先端側に向かって縮幅する第1の縮幅部と、
この第1の縮幅部の終端から、さらに先端側に向かって、連続的に縮幅する第2の縮幅部と、
前記長溝の先端よりも前記振動腕の先端側、かつ、前記第2の縮幅部の終端において、前記幅寸法が先端側に向かって等しい幅で延びるか、もしくは増加に転じる幅変化の変更点Pと
を有し、
前記第1の縮幅部は、前記第2の縮幅部よりも縮幅が急激であることを特徴とする、圧電デバイス。
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