JP2005354106A - 磁気シールドシートおよび通信装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 磁界のエネルギを損失させることなく、磁界を集中させて通過させることができる磁気シールドシートおよびこれを用いた通信装置を提供する。
【解決手段】 磁気シールドシート10は、シールド層11より構成される。シールド層11は、複素比透磁率μの実部μ’が大きい材料から成るので、このシールド層11を磁界中に設けると、磁力線がシールド層を集中して通るようになる。したがって磁気シールドシート10を用いることによって、磁界を集中させて通過させて、磁気シールドシート10によって仕切られる一方の領域の磁界が他方の領域に漏れることを防ぐことができる。さらにシールド層10は、複素比透磁率μの虚部μ”が小さい材料から成るので、このシールド層11を磁界中に設けても、シールド層11を設けたことによる磁界のエネルギの損失を小さく抑えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁界を集中させて通過させる磁気シールドシートおよびこれを用いる通信装置に関する。
RFID(Radio Frequency Identification:無線タグ)として、RFIDタグと非接触ICカードがあり、これに加えてRFID機能を備えたモバイル端末の実用化が検討されている。RFIDタグの通信手段としては次の2種類がある。一つはコイルとコイルの結合で電源を与え通信する電磁誘導方式であり、周波数は15kHzや13.56MHzが用いられる。他の一つは電波方式であり、周波数は433MHz、900MHz、2.GHz、5.8GHzが用いられる。また非接触ICカードに主に用いられる周波数は、密着型で4.91MHz、近接型で13.56MHzである。13.56MHz帯を用いることで、数cmから1m以内の無線通信が可能とされていて、この帯域を利用することを中心に実用化が図られている。
図11は、従来の技術であるタグ1を簡略化して示す断面図である。タグ1は、電磁波の信号を送受信するアンテナ2と、アンテナ2によって送受信される信号を処理するための集積回路(IC)3とを有している。タグ1は、読取り装置からの要求信号を受信すると、IC3内に記憶されている情報を送信するように、換言すれば、読取装置によってタグ1に保持されている情報を読取ることができるように、構成される。このタグ1は、たとえば商品に貼着して設けられ、商品の盗難防止および在庫状況の把握など、商品管理に利用されている。
このタグ1は、金属製の商品に貼着して用いるなど、アンテナ2の近傍に金属製の部材4が存在すると、アンテナ2によって送受信される電磁波信号が形成する磁界の磁力線が金属製の部材4内を通過することになり、これによって金属製の部材4内に渦電流が発生してしまう。このように渦電流が発生すると、電磁波のエネルギが熱エネルギに変換されて吸収されてしまう。このようにエネルギが吸収されてしまうと、電磁波の信号が大きく減衰することになり、送受信できない。したがってこのようなタグ1は、金属製の部材4の近傍では用いることができない。
図12は、他の従来の技術であるタグ1Aを簡略化して示す断面図である。図12に示すタグ1Aは、図11のタグ1と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。図12のタグ1Aは、図11のタグ1の課題を解決するために、貼着される物品となる部材4と、アンテナ2との間に配置されるように設けられる磁気吸収板7を備えるように構成される。この磁気吸収板7は、センダスト、フェライトおよびカーボニル鉄などの高透磁率材料、したがって複素比透磁率が高い材料から成る。
複素比透磁率は、実部と虚部とを有しており、実部が高くなると複素比透磁率が高くなる。換言すれば複素比透磁率が高い材料は、複素比透磁率における実部が高い。磁界中に複素比透磁率における実部の高い材料が存在すると、磁力線がその部材内を集中して通るようになる。したがって磁気吸収板7を設けることによって、磁界が漏れることが防がれ、金属製の部材4が近傍に存在しても、情報を読取ることができる。このようなタグ1Aは、たとえば特許文献1に示されている。
特開2000−113142号公報
図12に示すタグ1Aでは、複素比透磁率が高い材料から成る磁気吸収板7を設けることによって、磁界が漏れることを防止している。複素比透磁率が高い材料として、センダスト、フェライトおよびカーボニル鉄などが用いられている。これらの材料をポリマー等の結合材に充填した場合、絶縁性シートとしてそのシートの複素比透磁率における実部を高くすることができ、磁界を遮蔽し、磁界の漏れを防ぐことができるが、複素比透磁率の虚部も高くなっている。これは特定周波数における複素比透磁率における実部を高くすることを設計されているが、同時に複素比透磁率の虚部を低くする設計がなされていないためである。複素比透磁率の虚部が高い材料は、磁界のエネルギを損失、具体的には、磁界のエネルギを熱エネルギに変換して吸収してしまう。このように単に複素比透磁率が高い材料から成る磁気吸収板を用いると、金属製の部材4での損失を防ぐことができても、磁気吸収板での電磁波エネルギの損失を生じてしまうという問題がある。実際の使用の場合、磁気シールド材の使用だけでなく、金属面からアンテナ間の間隔を少しでも広く(1〜2mm)することで金属面の影響を回避しているのが現状である。つまりこれらの材料を用いるとRFIDタグ用磁気シールド材(磁気ヨークとも呼ばれる)として用いても、空間部を含めてかなりの厚さが必要となる。
したがって本発明の目的は、磁界のエネルギを損失させることなく、磁界を集中させて通過させることができ、さらに従来よりも薄層化した磁気シールドシートおよびこれを用いたタグを提供することである。RFID機能を備えたモバイル端末(たとえば携帯電話)はその筐体内面にシールド処理されている。また薄型化のため、アンテナのためのスペースも非常に狭く、金属面の影響も受け易い環境になっているために、これに対応した高性能磁気シールドシートを提供するものである。さらに、このシートを用いることで従来にない薄型のRFIDタグアンテナをモバイル端末に内装することができ、磁気シールドシートも含めたこれらの薄型システム(タグ)を提供するものである。
さらに本発明では上述の特定周波数に対する磁気シールド性を有することで、金属対応RFIDタグとして有用に働くために寄与すると共に、他の周波数(たとえば、100MHz〜6GHz)では複素比透磁率の実部および虚部とも高くなり、たとえば不要放射ノイズ等の抑制効果を兼ねることを特徴とする磁気シールドシートおよびこれを用いた通信装置を提供することになる。つまり、二つ以上の周波数で透磁率および誘電率が好適に変換、機能するインテリジェント性を有するシートを提供するものである。
本発明は、アンテナ素子を備え、このアンテナ素子を用いて周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信する通信装置を、金属製の部材の近傍で用いるにあたって、アンテナ素子と金属製の部材との間に設けられる磁気シールドシートであって、
周波数が13.56MHzの電磁波に対して、複素比透磁率μの実部μ’が30以上でありかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下であるとともに、複素比誘電率εの虚部ε”が500以下であるシールド層を含むことを特徴とする磁気シールドシートである。
本発明に従えば、磁気シールドシートには、シールド層が設けられる。シールド層は、複素比透磁率μの実部μ’が大きいほど、磁力線(磁束)が集中して通るようになり、複素比透磁率μの実部μ’が小さいほど、磁力線(磁束)が通りにくい構成となる。またシールド層は、複素比透磁率μの虚部μ”が大きいほど磁界のエネルギを損失させ、複素比透磁率μの虚部μ”が小さいほど磁界のエネルギを損失させにくい構成となる。
シールド層は、13.56MHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が30以上と大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下と小さい。これによって13.56MHzの電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシールド層を集中して通り易くなるようにし、その上で磁界のエネルギを損失させないようにすることができる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、13.56MHzの電磁波を、エネルギの損失を小さく抑えたうえで漏れないように集中させて通過させることができる。
このような磁気シールドシートは、たとえば13.56MHzの電磁波を利用して無線通信する場合において、アンテナの近傍に金属製の部材が存在する場合、アンテナと金属製の部材との間に設けられて用いられる。これによって13.56MHzの電磁波の金属製の部材側への漏れが防がれ、金属製の物体によって、13.56MHzの電磁波のエネルギが吸収されてしまうことが防がれる。しかも磁気シールドシート自体は、磁性損失が小さく抑えられている。したがってアンテナの近傍に金属製の部材が存在する状態であっても、13.56MHzの電磁波を利用して好適に無線通信することができる。13.56MHzの電磁波は、たとえばRFID(Radio Frequency IDentification)タグの通信に主に用いられる。したがってRFIDタグを用いて、好適に通信することができる。
また本発明は、前記シールド層は、周波数が100MHz〜1GHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が7以上でありかつ複素比透磁率の虚部μ”が7以上であることを特徴とする。
本発明に従えば、シールド層は、100MHz〜1GHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が7以上と決して小さすぎることはなくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が7以上と大きい。これによって100MHz〜1GHzの電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシールド層を通るようにし、その磁界のエネルギを損失させることができる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、100MHz〜1GHzの電磁波を吸収することができる。したがって100MHz〜1GHzの電磁波に対して、不要放射ノイズ等を抑制することができる。したがって通信に利用する13.56MHzの電磁波に対しては、損失を小さく抑え、不要な100MHz〜1GHzの電磁波は、吸収することができ、さらに好適に通信することができる。
また本発明は、前記シールド層は、ポリマーに平な軟磁性金属紛が混合される材料から成り、
軟磁性金属紛は、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で密に分散されていることを特徴とする。
本発明に従えば、平な軟磁性金属紛が、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で、ポリマー中に密に分散されて、シールド層が構成されている。このような構成によって、13.56MHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が30以上と大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下と小さい特性を有し、100MHz〜1GHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が7以上と決して小さすぎることはなくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が7以上と大きい特性を有するシールド層を形成することができる。したがって前述の優れた効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
また本発明は、体積固有抵抗が10Ωcm以上であることを特徴とする。
本発明に従えば、体積固有抵抗が10Ωcm以上として絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射するような電磁波シールド性を付与しないことになる。
また本発明は、可撓性を有することを特徴とする。
本発明に従えば、磁気シールドシートは、可撓性を有しているので、自在に変形させることができる。これによって設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能になる。金属製の部材に貼着して用いる場合に、その形状に倣わせて設けることが可能になる。
また本発明は、熱伝導性が付与されていることを特徴とする。
本発明に従えば、発熱源となるIC基板や電源部が近接することがあり、熱伝導性が優れることが、昇温を抑え、高温に晒される事による性能低下を防ぐことにつながる。
また本発明は、難燃性が付与されていることを特徴とする。
本発明に従えば、磁気シールドシートは、難燃性が得られる。携帯電話等のエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。磁気シールドシートは、このような物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
また本発明は、粘着剤から成る粘着剤層を備えることを特徴とする。
また磁気シールドシートは、少なくとも一表面部に粘着性が付与されているので、金属製の部材に粘着させて装着することができる。これによって磁気シールドシートを金属製の部材に装着して容易に用いることができる。
また本発明は、周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信するためのアンテナ素子と、
前記磁気シールドシートとを含むことを特徴とする通信装置である。
本発明に従えば、磁気シールドシートが、アンテナ素子と金属製の部材との間に設けられる。これによって通信装置は、金属製の部材の近傍に設けても、電磁波のエネルギが金属製の部材によって吸収されることなく、アンテナ素子によって好適に送受信することができる。このように金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ素子によって好適に送受信することができる通信装置を実現することができる。
本発明によれば、13.56MHzの電磁波を、減衰させることなく集中させて通過させることができる。したがって13.56MHzの電磁波を利用して無線通信する場合に、アンテナ素子の近傍に金属製の部材が存在したとしても、電磁波の損失を小さく抑え、好適に無線通信することができる。13.56MHzの電磁波は、たとえばRFID
(Radio Frequency IDentification)タグの通信に主に用いられ、RFIDタグを金属製の部材の近傍で用いて、好適に通信することができる。しかも複素比誘電率のεの虚部ε”が小さいために、磁束がシールド層を通過する際にシールド層自体に渦電流が発生してしまい、無線通信の障害となってしまう不具合の発生を防ぎ、好適な無線通信環境を実現することができる。
また本発明によれば、100MHz〜1GHzの電磁波を吸収することができるので、100MHz〜1GHzの電磁波に対して、不要放射ノイズ等を抑制することができる。したがってさらに好適に通信することができる。
また本発明によれば、平な軟磁性金属紛が、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で、ポリマー中に密に分散されて、シールド層が構成されている。したがって前述の優れた効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
また本発明によれば、体積固有抵抗が10Ωcm以上として絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射するような電磁波シールド性を付与しないことになる。このように好適な磁気シールドシートを実現することができる。
また本発明によれば、設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能な磁気シールドシートを実現することができる。
また本発明によれば、高い熱伝導性を有し、熱源の近傍で用いることが可能な磁気シールドシートを実現することができる。
また本発明によれば、磁気シールドシートは、このように難燃性を有する物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
また本発明によれば、金属製の部材に貼着して用いることができる。
また本発明によれば、金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ素子によって好適に送受信することができる通信装置を実現することができる。
図1は、本発明の実施の一形態のタグ用磁気シールドシート(以下、単に「磁気シールドシート」という)10を簡略化して示す断面図である。磁気シールドシート10は、少なくとも磁界を集中させて通過させるために用いられるシートであって、本実施の形態では、たとえば電磁波によって形成される電磁界を集中させて通過させるために用いられる。換言すれば、本実施の形態では、磁気シールドシート10は、電磁波を集中させて通過させるために用いられる。集中させて通過させる対象とする電磁波は、たとえば13.56MHzであってもよいし、900MHzであってもよいが、本実施の形態では、13.56MHzである。
磁気シールドシート10は、シールド層11と、粘着剤層12とが積層される積層体に構成される。シールド層11は、少なくとも磁界、本実施の形態では電磁界を集中させて通過させ、電磁波を集中させて通過させるための層である。粘着剤層12は、シールド層11を含む磁気シールドシート10を物品に貼着力を利用して貼着するための層である。
シールド層11は、複素比透磁率μの実部μ’が大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が小さい材料から成る。具体的には、シールド層11の複素比透磁率μの実部μ’は、30以上であり、好ましくは60以上であり、複素比透磁率の虚部μ”は、6以下であり、透磁率損失項tanδ(=μ”/μ’)は、0.2以下である。シールド層11の複素比透磁率μの実部μ’は、大きいほど好ましく、複素比透磁率の実部μ’にはまさに上限がないが、複素比透磁率μの虚部μ”を超えることはなく、1を超える値となり得ることがないので、1が上限値となる。複素比透磁率μの虚部μ”および透磁率損失項tanδは、小さいほど好ましく、下限はないに等しいが、0未満の値となり得ることがないので、0が下限値となる。
またシールド層11は、複素比誘電率εの虚部ε”が小さい材料から成る。具体的には、シールド層11の複素比誘電率εの虚部ε”は、500以下である。複素比誘電率εの虚部ε”は、小さいほど好ましく、まさに下限はないが、0未満の値となり得ることがないので、0が下限値となる。
このようなシールド層11は、具体的には、たとえばノンハロゲン系ポリマー、またはノンハロゲン系ポリマーと他のポリマーなどの材料とを混合したノンハロゲン系混合材料を結合材として、扁平な軟磁性金属粉を充填、分散、配向させることにより得られる。本実施例ではHNBR(水素添加NBR)を用いたが、これに限定されることはない。またハロゲン系ポリマーを用いることもある。これらシールド層11を形成するために用いられる材料を、以下「本件材料」という。本件材料と、従来の技術で用いられているセンダスト、フェライトおよびカーボニル鉄をポリマー等の結合材に充填したシート(以下「従来材料」という)とを比較すると、本件材料の13.56MHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’は、従来材料の複素比透磁率の実部と同程度またはそれ以上である大きい値であり、本件材料の13.56MHzの電磁波における複素比透磁率μの虚部μ”は、従来材料の複素比透磁率の虚部未満である小さい値である。また本件材料の複素比誘電率εの虚部ε”は、従来材料の複素比誘電率の実部と同程度またはそれ以下である小さい値であり、導電性を発現することのない十分に低い値である。
ここで本件材料と従来材料の、周波数が、1MHz〜10GHzの電磁波に対する材料定数を比較する。材料定数は、複素比透磁率μの実部μ’、複素比透磁率μの虚部μ”、複素比誘電率εの実部ε’および複素比誘電率εの虚部ε”を含む。測定は材料をリング加工(φ7×φ3)して同軸管法で測定した。
図2は、本件材料として、HNBRに三菱マテリアル製JEM粉(Fe−Ni−Cr−Si系合金)を40vol.%充填した材料を用いて、100μm厚に形成したシート(実施例1)の測定結果を示すグラフである。図3は、本件材料として、HNBRに樹脂コーティングしたセンダスト(Fe−Si−Al系合金)を50vol.%充填した材料を用いて、100μm厚に形成したシート(実施例2)の測定結果を示すグラフである。図4は、本件材料として、HNBRにセンダスト(Fe−Si−Al系合金)を57vol.%充填した材料を用いて、100μm厚のシート(実施例3)の測定結果を示すグラフである。
図5は、従来材料として、塩素化ポリエチレンにフェライトを50vol.%充填した材料を用いて、500μm厚に形成したシート(比較例1)の測定結果を示すグラフである。図6は、従来材料として、塩素化ポリエチレンにカルボニル鉄を50vol.%充填した材料を用いて500μm厚に形成したシート(比較例2)の測定結果を示すグラフである。図7は、従来材料として、センダスト(Fe−Si−Al系合金)を用いて、100μm厚に形成したノイズ抑制シート(市販品;比較例3)の測定結果を示すグラフである。
図2〜図4に示す各実施例1〜3では、13.56MHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が30以上であり、かつ複素比透磁率μの虚部μ”を複素比透磁率μの実部μ’で除算した値である透磁率損失項tanδ(=μ”/μ’)が0.2以下である。特に実施例1は、13.56MHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が61かつ複素比透磁率μの虚部μ”がtanδ=μ”/μ’として0.05である。
これに対して、図5および図6に示す比較例1、比較例2では、下限周波数が100MHzであるが複素比透磁率μの実部μ’が10に満たず、それより低周波数側にても複素比透磁率μの実部μ’が大きくならない挙動を示している。また図7に示す比較例3では、13.56MHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が69と大きいものの、複素透磁率μの虚部μ”が33であり透磁率損失項tanδ(=μ”/μ’)が0.48と大きい値になっている。これら各比較例1〜3では、いずれの場合も本発明でいう磁気シールドシート、具体的には、金属対応RFIDタグ用磁気シールド材(磁気ヨークとも呼ばれる)として不十分となる。
各実施例1〜3と、各比較例1〜3の性能差は、以下の理由による。第1の理由は、各実施例1〜3では、扁平な軟磁性金属(JEM粉やセンダスト)を用いている点で、各比較例1および2とは異なるからである。第2の理由は、さらに各実施例1〜3では、扁平な軟磁性金属の形状を壊す(歪み、折れなど)ことなく、密に分散させて配向させている点で、各比較例1〜3とは異なるからである。第3の理由は、各実施例1〜3では、シートの複素比透磁率μの実部μ’の低下する周波数を高周波数化(100MHz以上)にすることで、13.56MHzの複素比透磁率μの虚部μ”を低くする点で、各比較例3とは異なるからである(配合方法および金属の組成比の検討により実現)。
以上の3つの理由が複合して本件材料を用いた各実施例1〜3では、好ましい特有の材料定数μ’,μ”,ε’,ε”を得ることができている。一般のノイズ抑制シートは上記1および2に腐心されており、各周波数における複素比透磁率μの実部μ’および虚部μ”を共に上げるべく設計されている。本発明はその技術と明確に一線を画しており、特定周波数(13.56MHz)にて複素比透磁率μの実部μ’は高いものの虚部μ”は低いとの性能を実現させている。特に実施例1の結果は従来材料から容易に得られる結果ではない。
粘着剤層12は、粘着性を有する材料、たとえば日東電工社製No.500を付与することから成る。この粘着剤層12を設けることによって、磁気シールドシート10の少なくとも一表面部に、粘着性が付与される。このような粘着剤層12が、シールド層11の厚み方向一方側に積層されて、磁気シールドシート10が構成される。
また磁気シールドシート10は、全体の厚み寸法T10が、10μm以上500μm以下である。このように磁気シールドシート10は、厚み寸法T10が小さく形成され、かつシールド層11および粘着剤層12(以下これらの層を総称するときは「各層11,12」という)が、前述のような材料から成っており、可撓性を有している。したがって磁気シールドシート10は、自在に変形させることができる。
また磁気シールドシート10は、各層11,12の少なくともいずれか1つの層に、たとえば難燃剤または難燃助剤が添加されている。これによって磁気シールドシート10に、難燃性が付与されている。たとえば携帯電話等のエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。
このような難燃性を得るための難燃剤としては、特に限定されることはないが、たとえばリン化合物、ホウ素化合物、臭素系難燃剤、亜鉛系難燃剤、窒素系難燃剤、水酸化物系難燃剤、金属化合物系難燃剤などを適宜用いることができる。リン化合物としては、リン酸エステル、リン酸チタンなどが挙げられる。ほう素化合物としては、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。臭素系難燃剤としては、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモベンジルフェニルエーテル、デカブロモベンジルフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール、臭化アンモニウムなどが挙げられる。亜鉛系難燃剤としては、炭酸亜鉛、酸化亜鉛若しくはホウ酸亜鉛等が挙げられる。窒素系難燃剤としては、たとえばトリアジン化合物、ヒンダードアミン化合物、若しくはメラミンシアヌレート、メラミングアニジン化合物といったようなメラミン系化合物などが挙げられる。水酸化物系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。金属化合物系難燃剤としては、たとえば3酸化アンチモン、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化クロム、酸化鉄などが挙げられる。
本実施例では、デカブロモジフェニルオキサイドと三酸化アンチモンとを混合した難燃剤薬品、たとえば味の素ファインテクノロジー社から販売されている商品名「ポリセーフFCP−5」をポリマー材料100に対して該難燃性薬品を30(重量比)添加することでUL94V0の評価を達成した。磁気シールドシート10は、このような物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。たとえば航空機、船舶および車両内の装置など、燃焼およびこれに伴うガスの発生を防止したい空間などで用いられる物品に装着するなどして、好適に用いることができる。
また磁気シールドシート10は、電気絶縁性を有している。具体的には、各層11,12が前述のような材料から成ることによって、磁気シールドシート10の体積固有抵抗が10Ωcm以上である。シールド層11の体積固有抵抗は、大きいほど好ましい。したがって実現可能な最大値が、体積固有抵抗の上限値となる。このように高い体積固有抵抗を有し、電気絶縁性を有している。
また磁気シールドシート10は、耐熱性を有している。具体的には、ゴムあるいは樹脂材料に架橋剤を添加した場合の磁気シールドシート10の耐熱温度は、150℃であり、磁気シールドシート10は、少なくとも150℃を超える温度になるまでは、特性に変化を生じない。
図8は、磁気シールドシート10を備えるタグ15を簡略化して示す断面図である。電子部品であるタグ15は、電磁波の信号(「電磁波信号」という場合がある)を送受信するためのアンテナ素子16と、アンテナ素子16に電気的に接続される集積回路(IC)17を備えるタグであって、このタグにさらに磁気シールドシート10が設けられている。このタグ15は、アンテナ素子16を用いて信号を送受信する通信装置である。
アンテナ手段であるアンテナ素子16は、仮想面18に沿ってループ状に形成されるループアンテナである。仮想面18は、平面であってもよし、曲面であってもよいが、本実施の形態では、平面である。このアンテナ素子16は、少なくとも、仮想面18に関して一方側に向けて電磁波信号を送信し、仮想面18に関して一方側から到来する電磁波信号を受信することができる。具体的に例示すると、アンテナ素子16は、仮想面18に垂直であり、かつ仮想面18の一方側に向かう送受信方向Aへ電磁波信号を送信し、送受信方向Aから到来する電磁波信号を受信することができる。
IC17は、少なくとも記憶部と制御部とを有している。記憶部には情報を記憶することが可能であり、制御部は、記憶部に情報を記憶させ、または記憶部から情報を読出すことができる。このIC17は、アンテナ素子16によって受信される電磁波信号が表す指令に応答して、情報を記憶部に記憶し、または記憶部に記憶される情報を読出して、その情報を表す信号をアンテナ素子16に与える。
たとえば、情報管理装置から、予め定める記憶すべき情報(以下「主情報」という)と、その主情報を記憶するように指令する情報(以下「記憶指令情報」という)とを表す電磁波信号が、アンテナ素子16によって受信されると、主情報および記憶指令情報を表す電気信号がアンテナ素子16からIC17に与えられる。IC17は、制御部が、記憶指令情報に基づいて、主情報を記憶部に記憶させる。
また情報管理装置から、記憶部に記憶される情報(以下「記憶情報」という)を送信するように指令する情報(以下「送信指令情報」という)を表す電磁波信号が、アンテナ素子16によって受信されると、送信指令情報を表す電気信号がアンテナ素子16からIC17に与えられる。IC17は、制御部が、送信指令情報に基づいて、記憶部に記憶される情報(記憶情報)を読出し、その記憶情報を表す電気信号をアンテナ素子16に与える。これによってアンテナ素子16から、記憶情報を表す電磁波信号が送信される。
このようにタグ15は、アンテナ素子16によって電磁波信号を送受信する電子部品である。タグ15は、内蔵するバッテリによって駆動されるバッテリ駆動タグであってもよいし、受信した電磁波信号のエネルギを利用して電磁波信号を返信するバッテリレスタグであってもよい。
このようなタグ15を、金属製の部材19の近傍で用いることができるようにするために、磁気シールドシート10が用いられる。磁気シールドシート10は、アンテナ素子16に対して、送受信方向Aと反対側、したがって仮想面18に関して他方側に設けられる。磁気シールドシート10は、シールド層11よりも粘着剤層12をアンテナ素子16およびIC17とは反対側に配置して設けられる。
図8には、簡略化して示しているが、アンテナ素子16とIC17とは、可撓性を有するテープに搭載されるなどしてパッケージングされ、これに磁気シールドシート10が貼着される状態で積層される。アンテナ素子16とIC17とが搭載されるパッケージに、磁気シールドシート10を貼着するにあたっては、たとえば接着剤または粘着剤を用いて貼着される。
磁気シールドシート10を備えるタグ15は、たとえば金属製の部材19に、装着して用いられる。このタグ15は、アンテナ素子16よりも磁気シールドシート10を金属製の部材19側に配置して、アンテナ素子16と金属製の部材19との間に磁気シールドシート10が介在されるように設けられる。金属製の部材19には、磁気シールドシート10の粘着剤層12が臨んでおり、この粘着剤層12によって、金属製の部材19に貼着して装着される。
磁気シールドシート10は、前述のようにシールド層11を有しており、このシールド層11によって、電磁界を集中させて通過させ、磁気シールドシート10によって仕切られる2つの領域のうち、一方の領域の電磁界が他方の領域に漏れ、その一方の領域の電磁界のエネルギが他方の領域に伝わることを防ぐことができる。遮蔽可能な電磁界は、もちろん電磁波によって形成される電磁界も含んでおり、したがってこの電磁界を形成する電磁波を遮蔽することができる。
具体的に述べると、シールド層11は、複素比透磁率μの実部μ’が大きい材料から成るので、このシールド層11を磁界中に設けると、たとえば図8にアンテナ素子16から送信される電磁波による電界を例に示すように、磁力線20がシールド層11を集中して通るようになり、近傍に存在する金属製の部材19内を通らなく、または通りにくくなる。これによって、磁気シールドシート10を用いることによって、磁界を遮蔽して、磁気シールドシート10によって仕切られる一方の領域であるアンテナ素子16が設けられる領域の磁界が、他方の領域である金属製の部材19が設けられる領域に漏れることを防ぐことができる。
図8に示す位置と同様の位置にアンテナ素子16が設けられる場合に、磁気シールドシート10が設けられていなければ、送信される電磁波による磁界の磁力線が、たとえば図8に仮想線21で示すように、金属製の部材19内を通るようになる。このように磁力線が金属製の部材19内を通ると、磁界の変化に伴って金属製の部材19内に渦電流が発生して発熱する。このように、磁界のエネルギが熱エネルギに変換され、磁界のエネルギが吸収されてしまう。これに対して磁気シールドシート10を用いて磁界を集中させて通過させることによって、磁気シールドシート10に関して金属製の部材19と反対側の磁界のエネルギが、金属製の部材19によって吸収されてしまうことが防がれる。したがって磁気シールドシート10に関して金属製の部材19とは反対側であるアンテナ素子16側で、アンテナ素子16によって送受信される電磁波によって形成される磁界のエネルギが、金属製の部材19によって吸収されてしまうことが防がれる。
さらにシールド層11は、複素比透磁率μの虚部μ”が小さい材料から成るので、このシールド層11の中を磁束が通過しても通過に伴うシールド層11内でのエネルギの損失を小さく抑えることができる。これによって磁力線がシールド層11内を集中して通るようにしても、シールド層11自体が磁界のエネルギを損失させてしまうことが抑制されている。このようにシールド層11は、近傍に存在する金属製の部材19による磁界のエネルギの吸収を防止したうえで、自己による損失を小さく抑え、磁界のエネルギの減衰を可及的に小さくすることができる。
このような磁気シールドシート10を、前述のようにアンテナ素子16と金属製の部材19との間に介在させることによって、アンテナ素子16によって送受信される電磁波信号による電磁界のエネルギが、金属製の部材19で吸収されてしまうことが防がれる。しかもこのような金属製の部材19の影響を防ぐための磁気シールドシート10自体は、磁性損失および誘電性損失が小さく抑えられている。したがってアンテナ素子16によって好適に、しかも長距離を送受信することができる。したがってタグ15が、金属製の部材19の近傍に設けられる場合であっても、情報管理装置とタグ15との間で情報の無線通信が可能であり、情報管理装置から送信された電磁波信号の表す情報をタグ15に記憶させ、またタグ15に記憶されている情報を、情報管理装置によって読出すことができる。
このように、磁気シールドシート10を用いることによって、アンテナ素子16を用いる電子部品を、金属製の部材19に貼着するなどして、金属製の部材19の近傍に設け、電磁波信号の好適な送受信を実現できる状態で、電子部品を用いることができる。したがってたとえば、前述のようなタグ15は、たとえば図9に示すような金属製の部材19である金属製の容器に飲料を収容した飲料品22に貼着して、たとえば商品管理などの目的で用いることができる。またタグ15は、たとえば図10に示すような基板など金属製の部材19が多数用いられている携帯電話装置などの電子装置23に内蔵するようにして、たとえば商品管理またはユーザ認証などの目的で用いることができる。このようにタグ15の広い用途を確保することができ、利便性を高いタグ15を実現することができる。
図8に示すように、本発明に従えば、13.56MHzではRFIDの金属対応磁気シールドシートとして機能し、他の周波数(1GHz)では不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を有する。
また本発明は、100MHzおよび1GHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が10以上かつ複素比透磁率μの虚部μ”がtanδ=μ”/μ’として0.5以上であることを特徴とする。
本発明に従えば、13.56MHzではRFIDの金属対応磁気シールドシートとして機能し、他の広範囲の周波数(100MHz〜1GHz)では高い不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を有することになる。具体的には、実施例1の100MHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が35であり、虚部μ”が19でtanδ=0.54、1GHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が12.4であり、虚部μ”が14でtanδ=1.13であり、ノイズ抑制効果を併用することがわかる。
また磁気シールドシート10は、前述のように可撓性を有しているので、自在に変形させることができる。これによって設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能になる。たとえば物品に貼着して用いる場合に、物品の形状に倣わせて設けることが可能になる。たとえば、図9に示すように、円筒状の容器(金属製の部材19に相当)の表面に、その表面の形状に倣わせて貼着することが可能であり、磁気シールドシート10の装着場所の制限を少なくするとともに、装着作業を容易にすることができる。タグ15として用いる場合には、他の構成の材料を適宜選択して、タグ15が全体として可撓性を有する構成にしておくことによって、円筒面状の表面に倣って貼着することができるようになる。
また磁気シールドシート10は、少なくとも一表面部に粘着性が付与されているので、物品に装着して用いる場合、粘着性を利用して、物品に粘着させて装着することができる。これによって磁気シールドシート10を物品に容易に装着することができる。したがって磁気シールドシート10およびそれを備える電子部品を利用するための作業を容易にすることができる。
また磁気シールドシート10は、前述のような耐熱性および電気絶縁性を有している。耐熱性に関しては、特に自動車用途にて120℃や130℃での使用することがあり、その温度でも性能劣化することなく用いることができることが要求される。架橋材を添加し、結合材を架橋することでその耐熱性が実現できる。この場合用いる結合材の種類や架橋材を適宜に組み合わせることにより、それ以上の高温(たとえば200℃)の耐熱性を実現することももちろん可能である。さらに有機および無機系の絶縁性材料を結合材として、軟磁性金属粉を被覆することで、シート内に分散する軟磁性金属が直接接触することなく磁気シールドシート10の電気絶縁性を向上させることができる。電気が導通するようではそれ自体に渦電流が発生し、磁気エネルギを減衰させてしまう。さらに回路やメッキ筐体(グランド)が極近接して配置されるため、磁気シールドシート10に導電性があればそれを介して導通してしまうことになり、動作に支障をきたすことになる。これらを防ぐために磁気シールドシート10には体積固有抵抗として10Ωcm以上を達成している。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば積層構成を変更するようにしてもよい。具体的には、図1に仮想線で示すように、シールド層11に対して粘着剤層12と反対側に、第2の粘着剤層30が設けられる構成であってもよい。このような磁気シールドシート10を、タグ15に用いる場合、アンテナ素子16とIC17とが搭載されるパッケージに、磁気シールドシート10を貼着して、タグ15を構成するときに、別途に接着剤を用いなくても第2の粘着材層30を用いて貼着可能となり、作業が容易になる。このように磁気シールドシート10の電子部品への組込みが容易になるなど、磁気シールドシート10の設置および装着作業を容易にすることができる。
また粘着剤層12は、タグ15に組込むときに、アンテナ素子16とIC17とが搭載されるパッケージに、磁気シールドシート10を貼着するために用いられてもよい。この場合、前記第2の粘着剤層30が設けられるのであれば、この第2の粘着剤層30を用いて物品に貼着するようにしてもよいし、第2の粘着剤層30がなければ、接着剤を用いて物品に貼着さればよい。また粘着剤層12,30を形成せずに、粘着剤をシールド層11に添加して、表面に粘着性を付与する構成であってもよい。粘着剤層12は、本発明における磁気シールドシート10の必須の構成要素ではなく、シールド層11に積層または機能付加して一体物として使用できるものである。
また難燃性を与えるための手段は、難燃剤を添加する構成に代えて、他の構成であってもよい。また磁気シールドシート10に最低限必要な性能は、磁界を遮蔽する性能であり、その他の性能に関しては、必須要件ではなく、有していない構成であってもよい。
また磁気シールドシート10の用途は、電子部品に限定されるものではなく、少なくとも磁界を遮蔽すべき要求がある用途で、広く用いることができる。もちろん電子部品は、タグ15に限定されるものではない。さらにタグ15の用途は、前述の物品以外の金属製の部材19を有する物品であってもよい。たとえば電子装置は、携帯電話装置に限らず、PDAおよびノートパソコンなどであってもよい。
これらの変更例以外の構成の変更であってもよい。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)特定周波数に対する複素比透磁率μの実部μ’が大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が小さい材料から成るシールド層を含むことを特徴とする磁気シールドシート。
磁気シールドシートには、シールド層が設けられる。シールド層は、複素比透磁率μの実部μ’が大きい材料から成るので、このシールド層を磁界中に設けると、磁力線がシールド層を集中して通るようになる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、磁界を遮蔽して、磁気シールドシートによって仕切られる一方の領域の磁界が他方の領域に漏れることを防ぐことができる。さらにシールド層は、複素比透磁率μの虚部μ”が小さい材料から成るので、このシールド層を磁界中に設けても、シールド層を設けたことによる磁界のエネルギの損失を小さく抑えることができる。
このような磁気シールドシートは、たとえばアンテナを金属製の部材の近傍に配置してRFID無線通信に用いる場合に、アンテナと金属製の部材との間に介在させて用いるようにしてもよい。この場合、送受信される電磁波信号の磁界のエネルギが金属製の部材で吸収されてしまうことが防がれる。しかもこのような金属製の部材の影響を防ぐための磁気シールドシート自体は、磁性損失が小さく抑えられている。したがって金属面(導電性を有する面)に近接するアンテナであっても好適に送受信してRFID無線通信することができる。
磁気シールドシートを用いることによって、磁界のエネルギの損失を小さく抑えたうえで、磁界を集中させて通過させ、磁気シールドシートによって仕切られる一方の領域の磁界が他方の領域に漏れることを防ぐことができる。したがって特定周波数の電磁波を減衰させることなく遮蔽する磁気シールドシートを達成することができる。
(2)前記シールド層は、特定周波数に対する複素比誘電率εの虚部ε”が小さい材料から成ることを特徴とする磁気シールドシート。
複素比誘電率εの虚部ε”が小さい。複素比誘電率εの虚部ε”はシールド層の導電性の尺度になり、虚部ε”が大きい場合は、導電性が発現することになる。導電性が発現した場合、磁束がシールド層を通過する際に渦電流が発生してしまう。このように渦電流が発生すると、たとえば無線通信環境の改善のために用いる場合に、磁束を減衰させることにより無線通信の障害となる。これに対して、複素比誘電率εの虚部ε”が小さくすることによって、前記課題の発生を防ぎ、無線通信の障害になることを防止して、好適な無線通信環境を実現することができる。
複素比誘電率εの虚部ε”を小さくすることによって、前記課題の発生を防ぎ、RFID無線通信の障害になることを防止して、好適な無線通信環境を実現することができる。
(3)特定周波数が13.56MHzであることを特徴とする磁気シールドシート。
たとえばRFID(Radio Frequency IDentification)タグの通信に主に用いられる13.56MHzに対して前述のような効果を達成し、RFIDタグを用いた好適な無線通信を達成することができる。
たとえばRFIDタグの通信に主に用いられる13.56MHzに対して前述のような効果を達成し、RFIDタグを用いた好適な無線通信を達成することができる。
(4)13.56MHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が30以上かつ複素比透磁率μの虚部μ”を複素比透磁率μの実部μ’で除算した値tanδが0.2以下であることを特徴とする磁気シールドシート。
この様な数値関係にあることで、磁束がシールド層に集中して流れ、かつその中での減衰が少なくなる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、たとえば金属面の近傍で、良好に無線通信ができることになる。
磁気シールドシートを用いることによって、たとえば金属面の近傍で、良好に無線通信ができることになる。
(5)13.56MHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が50以上かつ複素比透磁率μの虚部μ”を複素比透磁率μの実部μ’で除算した値tanδが0.1以下であることを特徴とする磁気シールドシート。
この様な数値関係にあることで、磁束がシールド層により集中して流れ、かつその中での減衰がさらに少なくなる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、たとえば金属面の近傍で、より良好に無線通信ができることになる。したがって、たとえば金属面に近接したRFIDタグであっても、さらに良好な通信環境を確保できることになると共に従来品より大きく薄層化(たとえば100μm)したシールド層を提供できることになる。
磁気シールドシートを用いることによって、たとえば金属面の近傍で、より良好に無線通信ができることになる。したがって、たとえば金属面に近接しRFIDタグであっても、さらに良好な通信環境を確保できることになると共に従来品より大きく薄層化(たとえば100μm)したシールド層を提供できることになる。
(6)体積固有抵抗が10Ωcm以上とされたことを特徴とする磁気シールドシート。
体積固有抵抗が10Ωcm以上として絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射するような電磁波シールド性を付与しないことになる。
電気絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射することが防がれる。
(7)前記シールド層は、13.56MHzの電磁波における複素比誘電率εの虚部ε”が500以下であることを特徴とする磁気シールドシート。
少しでも、言い換えるならば可及的に、渦電流による減衰を抑えることができることになる。
可及的に、渦電流による減衰を抑えることができる。
(8)特定周波数の電磁波においては、複素比透磁率μの実部μ’が大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が小さく、特定周波数以外の周波数の電磁波においては、複素比透磁率μの実部μ’が大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が大きいことを特徴とする磁気シールドシート。
特定周波数の電磁波に対しては、前述の磁気シールド効果を達成し、かつ特定周波数以外の周波数では、不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を有する磁気シールドシートを実現することができる。たとえば13.56MHzの電磁波を利用するRFIDタグの金属対応磁気シールドシートとして機能し、かつそれ以外の周波数では不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
特定周波数(たとえば13.56MHz)の電磁波に対しては、前述の磁気シールド効果を達成し、かつ特定周波数以外の周波数では、不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を有する磁気シールドシートを実現することができる。
(9)特定周波数は1GHz以外であり、1GHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が7以上かつ複素比透磁率μの虚部μ”を複素比透磁率μの実部μ’で除算した値tanδが0.5以上であることを特徴とする磁気シールドシート。
13.56MHzの電磁波を利用するRFIDタグの金属対応磁気シールドシートとして機能し、かつ他の周波数(1GHz)では不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
13.56MHzの電磁波を利用するRFIDタグの金属対応磁気シールドシートとして機能し、かつ他の周波数(1GHz)では不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
(10)特定周波数は100MHz〜1GHz以外であり、100MHz〜1GHzにおける複素比透磁率μの実部μ’が10以上かつ複素比透磁率μの虚部μ”を複素比透磁率μの実部μ’で除算した値tanδが0.5以上であることを特徴とする磁気シールドシート。
13.56MHzの電磁波を利用するRFIDタグの金属対応磁気シールドシートとして機能し、かつ他の広範囲の周波数(100MHz〜1GHz)では高い不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
13.56MHzの電磁波を利用するRFIDタグの金属対応磁気シールドシートとして機能し、かつ他の広範囲の周波数(100MHz〜1GHz)では高い不要放射ノイズ等の抑制(吸収)効果を達成する磁気シールドシートを実現することができる。
(11)可撓性を有することを特徴とする磁気シールドシート。
磁気シールドシートは、可撓性を有しているので、自在に変形させることができる。これによって設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能になる。たとえば物品に貼着して用いる場合に、物品の形状に倣わせて設けることが可能になる。
設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能な磁気シールドシートを実現することができる。
(12)難燃性が付与されていることを特徴とする磁気シールドシート。
磁気シールドシートは、難燃性が得られる。携帯電話等のエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。磁気シールドシートは、このような物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
磁気シールドシートは、このように難燃性を有する物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
(13)熱伝導性が付与されたことを特徴とする磁気シールドシート。
発熱源となるIC基板や電源部が近接することがあり、熱伝導性が優れることが、昇温を抑え、高温に晒される事による性能低下を防ぐことにつながる。
高い熱伝導性を有し、熱源の近傍で用いることが可能な磁気シールドシートを実現することができる。
(14)少なくとも一表面部に粘着性が付与されていることを特徴とする磁気シールドシート。
磁気シールドシートは、少なくとも一表面部に粘着性が付与されているので、物品に装着して用いる場合、粘着性を利用して、物品に粘着させて装着することができる。これによって磁気シールドシートを物品に容易に装着することができる。したがって磁気シールドシートを利用するための作業を容易にすることができる。
物品に装着して用いる場合、粘着性を利用して、物品に粘着させて装着することができ、磁気シールドシートを物品に容易に装着することができる。
(15)電磁波信号を送受信するためのアンテナ手段と、アンテナ手段に対して、送受信方向と反対側に設けられる前記磁気シールドシートとを含むことを特徴とする電子部品。
電子部品には、アンテナ手段と磁気シールドシートとが設けられる。磁気シールドシートは、アンテナ手段に対して、送受信方向と反対側に設けられる。これによって、電子部品は、金属製の部材の近傍に設けても、その金属製の部材とアンテナ手段との間に磁気シールドシートが介在されるように配置することによって、電磁波のエネルギが金属製の部材によって吸収されることなく、アンテナ手段によって好適に送受信することができる。このように金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ手段によって好適に送受信することができる電子部品を実現することができる。
金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ手段によって好適にRFID送受信することができる電子部品を実現することができる。
(16)周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信するためのアンテナ素子と、アンテナ素子に電気的に接続され、アンテナ素子で受信される信号に応答して、アンテナ素子から信号を送信させる集積回路とを備えるタグを、金属製の部材の近傍で用いるにあたって、アンテナ素子と金属製の部材との間に設けられるタグ用磁気シールドシートであって、
周波数が13.56MHzの電磁波に対して、複素比透磁率μの実部μ’が30以上でありかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下であるとともに、複素比誘電率εの虚部ε”が500以下であるシールド層と、
粘着剤から成る粘着剤層とを備えることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
タグ用磁気シールドシートには、シールド層が設けられる。シールド層は、複素比透磁率μの実部μ’が大きいほど、磁力線(磁束)が集中して通るようになり、複素比透磁率μの実部μ’が小さいほど、磁力線(磁束)が通りにくい構成となる。またシールド層は、複素比透磁率μの虚部μ”が大きいほど磁界のエネルギを損失させ、複素比透磁率μの虚部μ”が小さいほど磁界のエネルギを損失させにくい構成となる。
シールド層は、13.56MHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が30以上と大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下と小さい。これによって13.56MHzの電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシールド層を集中して通り易くなるようにし、その上で磁界のエネルギを損失させないようにすることができる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、13.56MHzの電磁波を、エネルギの損失を小さく抑えたうえで漏れないように遮蔽することができる。
またタグ用磁気シールドシートは、少なくとも一表面部に粘着性が付与されているので、金属製の部材に粘着させて装着することができる。これによってタグ用磁気シールドシートを金属製の部材に装着して容易に用いることができる。
このようなタグ用磁気シールドシートは、たとえば13.56MHzの電磁波を利用して無線通信する場合において、アンテナの近傍に金属製の部材が存在する場合、アンテナと金属製の部材との間に設けられて用いられる。これによって13.56MHzの電磁波の金属製の部材側への漏れが防がれ、金属製の物体によって、13.56MHzの電磁波のエネルギが吸収されてしまうことが防がれる。しかも磁気シールドシート自体は、磁性損失が小さく抑えられている。したがってアンテナの近傍に金属製の部材が存在する状態であっても、13.56MHzの電磁波を利用して好適に無線通信することができる。13.56MHzの電磁波は、たとえばRFID(Radio Frequency IDentification)タグの通信に主に用いられる。したがってRFIDタグを用いて、好適に通信することができる。
13.56MHzの電磁波を、集中させて、減衰させることなく通過させることができる。したがって13.56MHzの電磁波を利用して無線通信する場合に、アンテナ素子の近傍に金属製の部材が存在したとしても、電磁波の損失を小さく抑え、好適に無線通信することができる。13.56MHzの電磁波は、たとえばRFID(Radio Frequency
IDentification)タグの通信に主に用いられ、RFIDタグを金属製の部材の近傍で用
いて、好適に通信することができる。しかも複素比誘電率のεの虚部ε”が小さく、磁束がシールド層を通過する際にシールド層自体に渦電流が発生してしまい、無線通信の障害となってしまう不具合の発生を防ぎ、好適な無線通信環境を実現することができる。さらに金属製の部材に貼着して用いることができる。
(17)前記シールド層は、周波数が100MHz〜1GHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が7以上でありかつ複素比透磁率の虚部μ”が7以上であることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
シールド層は、100MHz〜1GHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が7以上と決して小さすぎることはなくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が7以上と大きい。これによって100MHz〜1GHzの電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシールド層を通るようにし、その磁界のエネルギを損失させることができる。したがって磁気シールドシートを用いることによって、100MHz〜1GHzの電磁波を吸収することができる。したがって100MHz〜1GHzの電磁波に対して、不要放射ノイズ等を抑制することができる。したがって通信に利用する13.56MHzの電磁波に対しては、損失を小さく抑え、不要な100MHz〜1GHzの電磁波は、吸収することができ、さらに好適に通信することができる。
100MHz〜1GHzの電磁波を吸収することができるので、100MHz〜1GHzの電磁波に対して、不要放射ノイズ等を抑制することができる。したがってさらに好適に通信することができる。
(18)前記シールド層は、ポリマーに平な軟磁性金属紛が混合される材料から成り、
軟磁性金属紛は、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で密に分散されていることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
平な軟磁性金属紛が、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で、ポリマー中に密に分散されて、シールド層が構成されている。このような構成によって、13.56MHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が30以上と大きくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下と小さい特性を有し、100MHz〜1GHzの電磁波に対しては、複素比透磁率μの実部μ’が7以上と決して小さすぎることはなくかつ複素比透磁率μの虚部μ”が7以上と大きい特性を有するシールド層を形成することができる。したがって前述の優れた効果を達成するタグ用磁気シールドシートを実現することができる。
平な軟磁性金属紛が、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で、ポリマー中に密に分散されて、シールド層が構成されている。したがって前述の優れた効果を達成するタグ用磁気シールドシートを実現することができる。
(19)体積固有抵抗が10Ωcm以上であることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
体積固有抵抗が10Ωcm以上として絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射するような電磁波シールド性を付与しないことになる。
体積固有抵抗が10Ωcm以上として絶縁性を確保することで、渦電流の発生を抑えると共に、放射ノイズを反射するような電磁波シールド性を付与しないことになる。このように好適なタグ用磁気シールドシートを実現することができる。
(20)可撓性を有することを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
タグ用磁気シールドシートは、可撓性を有しているので、自在に変形させることができる。これによって設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能になる。金属製の部材に貼着して用いる場合に、その形状に倣わせて設けることが可能になる。
設置場所の制限が少なく、広い用途で用いることが可能なタグ用磁気シールドシートを実現することができる。
(21)熱伝導性が付与されていることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
発熱源となるIC基板や電源部が近接することがあり、熱伝導性が優れることが、昇温を抑え、高温に晒される事による性能低下を防ぐことにつながる。
高い熱伝導性を有し、熱源の近傍で用いることが可能なタグ用磁気シールドシートを実現することができる。
(22)難燃性が付与されていることを特徴とするタグ用磁気シールドシート。
磁気シールドシートは、難燃性が得られる。携帯電話等のエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。磁気シールドシートは、このような物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
磁気シールドシートは、このように難燃性を有する物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。
(23)周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信するためのアンテナ素子と、
アンテナ素子に電気的に接続され、アンテナ素子で受信される信号に応答して、アンテナ素子から信号を送信させる集積回路と、
前記タグ用磁気シールドシートとを含むことを特徴とするタグ。
タグ用磁気シールドシートが、アンテナ素子と金属製の部材との間に設けられる。これによってタグは、金属製の部材の近傍に設けても、電磁波のエネルギが金属製の部材によって吸収されることなく、アンテナ素子によって好適に送受信することができる。このように金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ素子によって好適に送受信することができるタグを実現することができる。
金属製の部材の近傍に設けても、アンテナ素子によって好適に送受信することができるタグを実現することができる。
本発明の実施の一形態のタグ用磁気シールドシート10を簡略化して示す断面図である。 実施例1の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 実施例2の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 実施例3の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 比較例1の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 比較例2の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 比較例3の材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)測定結果を示すグラフである。 磁気シールドシート10を備えるタグ15を簡略化して示す断面図である。 タグ15が装着される飲料品22を示す斜視図である。 タグ15が内蔵される電子装置を示す斜視図である。 従来の技術であるタグ1を簡略化して示す断面図である。 他の従来の技術であるタグ1Aを簡略化して示す断面図である。
符号の説明
10 磁気シールドシート
11 シールド層
12 粘着剤層
15 タグ
16 アンテナ素子
17 IC
19 金属製の部材
20 磁力線
22 飲料品
23 電子装置

Claims (9)

  1. アンテナ素子を備え、このアンテナ素子を用いて周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信する通信装置を、金属製の部材の近傍で用いるにあたって、アンテナ素子と金属製の部材との間に設けられる磁気シールドシートであって、
    周波数が13.56MHzの電磁波に対して、複素比透磁率μの実部μ’が30以上でありかつ複素比透磁率μの虚部μ”が6以下であるとともに、複素比誘電率εの虚部ε”が500以下であるシールド層を含むことを特徴とする磁気シールドシート。
  2. 前記シールド層は、周波数が100MHz〜1GHzの電磁波における複素比透磁率μの実部μ’が7以上でありかつ複素比透磁率の虚部μ”が7以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気シールドシート。
  3. 前記シールド層は、ポリマーに偏平な軟磁性金属紛が混合される材料から成り、
    軟磁性金属紛は、歪みおよび折れを含む形状変形を生じることなく、配向された状態で密に分散されていることを特徴とする請求項1または2記載の磁気シールドシート。
  4. 体積固有抵抗値が10Ωcm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁気シールドシート。
  5. 可撓性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の磁気シールドシート。
  6. 熱伝導性が付与されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気シールドシート。
  7. 難燃性が付与されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の磁気シールドシート。
  8. 粘着剤から成る粘着剤層を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の磁気シールドシート
  9. 周波数が13.56MHzの電磁波の信号を送受信するためのアンテナ素子と、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載の磁気シールドシートとを含むことを特徴とする通信装置。
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