JP2005351682A - 電子線照射装置急停止時の保護機構 - Google Patents

電子線照射装置急停止時の保護機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2005351682A
JP2005351682A JP2004170683A JP2004170683A JP2005351682A JP 2005351682 A JP2005351682 A JP 2005351682A JP 2004170683 A JP2004170683 A JP 2004170683A JP 2004170683 A JP2004170683 A JP 2004170683A JP 2005351682 A JP2005351682 A JP 2005351682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acceleration
voltage
power source
power supply
electron beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004170683A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunichiro Yamada
山田俊一郎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHV Corp
Original Assignee
NHV Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NHV Corp filed Critical NHV Corp
Priority to JP2004170683A priority Critical patent/JP2005351682A/ja
Publication of JP2005351682A publication Critical patent/JP2005351682A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract


【課題】
【解決手段】 電子線照射装置のインターロック機能によって装置が運転中に急停止する場合、加速電圧の電源と電子流用の電源の停止するタイミング差によって加速電圧が跳ね上がり部品損傷を引き起こす。それを防ぐため、インターロックがかかった時に信号が遅延タイマーを通じて電子流電源を遮断するようにし、遅延タイマーによって電子流電源の停止を遅らせ、加速電源を先に停止させ、加速電源の電圧上昇を防ぎ過電圧によるコンデンサや整流器など電源装置の損傷を防ぐ走査型にも非走査型にも適用することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は電子線照射装置のインターロック時に於いて加速電圧の跳ね上がりと加速電源の機器の故障を防ぐようにした保護装置に関する。電子線照射装置は真空中で熱電子を発生し加速し照射窓を通して大気中にとりだし被処理物に電子線をあててさまざまな処理をするための装置である。
電子線を照射することによる効果は多種多様で、電線被覆の架橋反応、塗膜の硬化、廃ガスの処理、医療用器具の殺菌、食品の殺菌など広く用いられる。電子線の放出方法によって、電子線照射装置は2種類に大別される。スポット状の電子線を被照射物の幅まで走査し広げて出力する装置は一般に300keV〜5MeVの高い加速エネルギーを用い,走査型といい、長い電子源を用いて元から被照射物の幅をもった電子線を出力するものは80keV〜300keV程度の低い加速エネルギーを用い、非走査型(エリア型)と呼ぶ。
走査型の電子線照射装置は大がかりな装置であって走査管でビームを左右或いは左右前後に走査する。それは高圧電源、熱電子発生機構、加速管、走査管、照射窓、搬送装置、筐体などを含む大型の装置である。走査管は三角形の広がりをもつもので上部には走査コイルがあって交番磁界によって電子ビームを左右に振る。照射窓は走査管の下底の開口部であるがTi箔、Al箔などが張ってあって外部の大気圧と内部の真空を仕切っている。
照射窓の直下を被処理物が通過できるように無端周回コンベヤのような搬送機構が設けられる。電子線通過によって窓箔が加熱されるから照射窓の桟には冷却水を通し窓箔には冷却風を吹き付ける冷却機構が設けられる。電子線が窓桟や被処理物、搬送機構に当たるとX線が発生する。X線が外部に漏れないように筐体で搬送機構の全体を包囲している。
X線が大気中の酸素を酸化してオゾンを発生する。被処理物によってオゾンの発生が好ましくないということもある。その場合は筐体の内部で照射窓の直下当たりに窒素ガスやArガスなどの不活性なガスを流しオゾンが生じないようにする。
以上に述べたものは走査型のものである。エリア型の電子線照射装置は、走査管がなく加速管も短い。フィラメントは蛇行した面積の広いものであり断面積の広い電子ビームを発生することができる。断面積が広いビームを作るので走査をする必要がない。真空チャンバ内に設けられたフィラメントから出た熱電子がそのまま照射窓方向へ1段加速される。電子線が照射窓の窓箔を通過して被処理物に照射されるようになっている。被処理物が無端周回コンベヤなどの搬送機構で運ばれ、搬送機構が筐体で覆われている。そのような点は走査型のものと同様である。窓箔の冷却機構も同じように設けられる。
特開2001−356199「電子線照射装置」 特開平10−160900号「電子線照射装置} 特開平11ー101896「電子線照射装置} 特開2004−77271「電子線照射装置の電子流急停止機構」
加速電源は商用電源を整流器で整流しコンデンサに充電していくことを繰り返して高い電圧を得るようになっている。商用交流を倍電圧整流して昇圧したり様々のものがある。たとえばコッククロフトウオルトン型、グライナッヘル型等の高圧電源等を用いる。コッククロフトでも2列に直列接続されたコンデンサ群に整流器で充電して行く直列型と、並列に複数のコンデンサを接続したもの2組を整流器を介して接続した並列コンデンサ型のものがある。たとえばコッククロフトの直列型だと、複数の直列に接続されたコンデンサ2組と、コンデンサに襷がけ接続された多数の整流機とよりなりその始端のコンデンサが商用電源を1次側とするトランスの二次側に接続される。加速電源の最終のコンデンサの負極がフィラメントと加速電極の1段目の電極に接続される。
加速電源の電圧は先述のように、数MeVとか数百keVという高電圧である。電流は電子ビーム電流であるから、数十mA〜数百mAである。熱電子を発生するのは、真空中でフィラメントを加熱することによって行われる。フィラメントは抵抗値の低い金属の細線(タングステン、タンタル)である。だからフィラメントの電源は低電圧であってかなりの大きい電流を流すことのできるものでなければならない。
フィラメントは高圧架台にあるから、地上側の電源から直接にフィラメントに給電するというわけにはいかない。
非走査型の場合は、加速電圧が比較的低いので、絶縁トランスを用い、一次側を大地側の商用交流電源につなぎ、二次側をフィラメント電源とすることも可能である。たとえば一次側が100V、2Aで、二次側が3V〜5V、40〜60Aというような絶縁トランスを用いることができる。その場合はトランスの一次側、二次側の巻線の間に加速電圧に等しい電圧が掛かることになる。
走査型の場合は絶縁トランスでは大地側と高圧架台の間の絶縁を維持できない。そこでトランスを使わず、大地側でモータを廻し、モータの回転を絶縁棒によって高圧架台側の発電機に伝え発電機を廻すようになっている。絶縁棒は直線の棒であり発電機軸とモータ軸が同一直線上に上下に並べられておりそれらの軸を絶縁棒で直結するようにしたものである。絶縁棒で大地側と高圧側が電気的に遮断されている。この場合たとえば発電機で100V、2Aの電圧・電流を得るようにしさらに高圧架台側に設けたトランスで3〜5V、40〜60Aというように低電圧大電流に変換する。
このように電子線照射装置には、加速電源とフィラメント電源という全く性質の異なる二種類の電源が存在するということである。非走査型でたとえば加速電圧が300keVで電流が500mAという場合、加速電源の電力は150kWとなる。一方のフィラメント電源はたとえば200W程度である。
特許文献1は、電子流の緊急停止時において加速電圧の跳ね上がりを防ぐため、電子流が減少する前に、加速電源のサイリスタ電圧調整器にオフ信号を出して加速電源電圧を降下させそのあと電子流電源が下がるようにしている。これが本発明にもっとも近い従来例である。
特許文献2は、加速電源を、2つの電圧設定器で設定するようにし、電子線を一次停止するときは、両方の電圧設定器の電圧を低い方の電圧に切り換えて加速電源の電圧を下げてから電子線を停止するようにしている。
特許文献3は、第1加速電極の電圧をフィラメントより下げることによって電子流を瞬間的にオフにし、第1加速電極の電圧をフィラメントより上げることによって電子流を瞬間的にオンにするようにしている。電子流電源を0Vにしなくても電子流を瞬間的に一次停止できる。
特許文献4は、電子流電源のモータ・絶縁棒・発電器よりなる機械的部分の動きを止めることによって電子流電源を0Vにするようにしたもので、モータに電磁ブレ−キをつけておき急停止時には電磁ブレ−キによってモータを急停止し電子流電源をオフにする。
図1によって走査型の電子線照射装置の概略の構成を説明する。上方の枠で囲んだ部分が高圧架台におかれた容器内の構造を示す。この容器は絶縁ガス(SF6)で満たされ封止されている。高圧架台側には負の高電圧が印加される部材が搭載されている。加速電源はトランス、コンデンサ、整流器を組み合わせて負の高電圧を商用電源から作り出すものである。さまざまの型式の物がある。ここではコッククロフトウオルトン型のものを例示している。
商用電源を一次側m、加速電源の端子を二次側nとするトランス3と、二列に接続された大容量高耐圧のコンデンサC1、C2、C3、…と、コンデンサをたすきがけ接続する整流器D1、D2、D3、…などよりなる。たとえば200V60Hz(または50Hz)の商用交流を一次側mにつなぐ。交流が二次側nで昇圧される。それが整流器で倍電圧整流され、コンデンサをつぎつぎに充電していく。ビーム電流計4を介して大地Eに接続されたe点は大地電圧である。コンデンサ、整流器の数は所望の加速電圧Vacc(負数)によって自由に決める。コンデンサ列の終わりのp点が加速電圧Vaccである。
加速管5が高圧架台側に設けられる。これは真空に引かれた縦長円筒の構造物である。加速管5には上から下へ等間隔にリング上の加速電極6が複数枚設けられる。隣接する加速電極6の間には分圧抵抗7が設けられる。加速電極6の一番上のものtに、先ほどの加速電源の負電圧端子pが接続される。だから加速電極tの電圧はVaccである(t=Vacc)。加速電極の一番下のものuは、電流計8を介して接地される(u=0)。分圧抵抗7は加速電極6の印加電圧を上から下へ直線的に減らしてゆき加速電極間に上向きの一様な電界を発生させ、電子ビームを下向きに引き寄せるためにある。
高圧架台の絶縁容器の中には電子流用電源9が設けられる。真空容器である加速管5の上方には電流用電源9によって駆動されるフィラメント10がある。電流用電源9はモータ19、発電機20、絶縁棒21、トランス22などよりなる。たとえば商用交流24が原初的な電力源となる。商用交流電源24が電磁開閉機25を経てインバータ26に与えられる。インバータは商用の60Hz交流から、交流直流変換と直流交流変換によって任意の周波数fの交流を作りだす。その周波数fの交流によってモータ19を回転させる。モータ19の主軸は細い絶縁棒21によって高圧架台側の発電機20の主軸に直結される。モータ19の回転力によって発電機軸を廻すので、周波数に比例した電圧を発電機20が発生する。絶縁棒21によって機械的に回転力を伝達するのはモータ(大地側)と発電機(高圧側)を電気的に絶縁する必要があるからである。
発電機20の交流出力はまだ電圧が高いので低抵抗のフィラメントを加熱するには不適である。それでトランス22によってより低い電圧(2〜5V)の電圧に下げる。トランス22の一次側は発電機20につながり、トランス22の二次側cはフィラメント10につながる。二次コイルcの中点sは先述の加速電源2の最終端子pに接続される。つまりフィラメント10の電位の平均値はVaccである。だからフィラメント10と大地間の電位差は常にVaccとなる。フィラメントに通電してフィラメントを加熱すると真空中であるので熱電子がフィラメントから生ずる。熱電子は加速電極が形成する下向きの電界によって加速される。
加速された電子29は加速管5を下向きに走行する。加速管5の下方には末広がり三角形状の走査管30が続いて設けられる。走査管30の上部両側には走査コイル32があり交番磁界を発生する。加速された電子は交番磁界で曲げられ左右に振れる。走査管30の下端は照射窓31になっておりそこに窓箔33がはってある。窓箔33はTi、Alなどのうすい金属の箔である。窓箔33は冷却機構で冷却される。加速管5、走査管30は真空に引かれている。窓箔33は上部の真空と、下方の大気圧をしきるためのものである。照射窓31の直下には被処理物34が搬送機構で運ばれる。電子線が被処理物にあたると高分子架橋反応、殺菌作用、塗膜硬化などの作用がなされる。厚い金属壁の筐体(図示しない)が搬送機構(図示せず)を取り囲んでいる。
加速電源2の負電圧端子はq点で抵抗36につながれる。抵抗36の他端は電圧監視用電流計37を介して大地に接続される。加速電圧Vaccを監視するための装置である。電圧監視用電流計37の電流に抵抗36を掛けたものがVaccである。
電子線ビームの電流は加速電源2のコンデンサ、整流器、p、q,r、s点からフィラメント10、電子線29、大地、電流計4というように循環するので、ビーム電流計4によって測定できる。
制御用シーケンサ39には、電子ビーム電流を測定するビーム電流計4からの信号a、加速電圧Vaccを監視する電流計37からの信号d、加速管5の加速電極6に流れる電流を監視する電流計8の信号fが入力される。これらの信号と指令に基づき、制御用シーケンサ39は、電流用電源9と、加速電源2の両方を制御する。そのほか搬送機構の速度や冷却機構も制御するがそれはここでは述べない。
電流用電源9に対しては、インバータ26を制御(矢印h)しモータ19の回転数を加減する。また電子流電源用電磁開閉器25をオンオフする。
加速電源2においては、商用交流43の電力が加速電源用電磁開閉器40を通り、電力調整器42を通過してトランス3の一次側に交流電力が供給される。電力調整器42はたとえば両方向に電流点弧角制御するサイリスタが用いられ実質的にトランスの一次側の電圧を加減する。それによって二次側に現れる電圧が変わるから加速電圧Vaccが変化する。
制御用シーケンサ39は加速電源2に対し、矢印kに示すように電磁開閉器40のオンオフ動作を指示する。また矢印jに示すように電力調整器42に電圧の制御信号をあたえるようになっている。本発明はこの加速電源用電磁開閉器40と先ほどの電流用の電磁開閉器25のオンオフのタイミングの差を問題にする。
電子線照射装置には安全のために何らかの異常な事態が発生すると装置を急停止するような機構が備わっている。それをインターロックと呼んでいる。急に電子ビームを停止させるために加速電源とフィラメント電源をオフにする必要がある。その場合、加速電源2と電子流用電源9の双方の電源供給を同時に引き外す操作を行う。
高電圧を開閉するための加速電源2の電磁開閉器40は200A〜800Aの大型の定格のものである。ところがフィラメント(電子流用)電源9の電磁開閉器25は10A〜30Aクラスの小型のものが用いられている。電磁開閉器40、25の規模が違うので、オフに要する時間が違う。フィラメント電源のオフに要する時間をτ1、加速電源のオフに要する時間をτ2とする。τ1<τ2である。そのようにオフ時間τ1、τ2が違うから、同時に電源を引き外すための指令を出しても、二つの電磁開閉器が同時に開かない。小型のフィラメント電源用電磁開閉器25が先に開く。すると電子線ビームがそこで存在しなくなる。
しかし加速電源は依然として高電圧を発生しているから、加速電源からみると、電子線という負荷が突然なくなったことになる。加速電源には負荷である電子ビーム電流を一定に保持するためのレギュレーション機能が備えられている。つまり電子ビーム電流が増えると加速電圧を下げ、電子ビーム電流が減ると加速電圧を上げるようになっている。だからτ2−τ2時間は、加速電圧が異常に上昇してしまう。
それはコンデンサの充電電圧が正常の値よりも高くなるということである。そのためにコンデンサや整流器を損傷する可能性がある。それは好ましくないことである。
図2のグラフは、加速電源のオンオフ(1)、電子流用電源のオンオフ(2)、加速電圧(3)と電子流電源(4)の時間変化を表す。横軸は時間である。Toで急停止指令が与えられたとする。電子流用(フィラメント)電源の電磁開閉器は小型であるから短い時間τ1後に開く、それがT1である。電磁開閉器が開いたのでフィラメント電流がすぐに消失する。それで電子ビーム電流もすぐに0になる。それが(4)電子流電圧の消失Tにあたる。ところが加速電源の電磁開閉器は大電流用でありオンからオフへの遅延時間τ2が大きい。T(=T0+τ2)で加速電源用の電磁開閉器がオフになる。そしてそれより後のTで加速電源が0となる。
T1〜T3の間では電子流が存在しないが加速電源が存在するということになる。それは加速電圧用電源の負荷(電子流)が無負荷になるということである。無負荷になると加速電圧電源のレギュレーションにより加速電圧が上昇する。それが図2の加速電圧(3)の電圧の跳ね上がりV5である。
加速電源電圧の跳ね上がりV5は加速電源のコンデンサや整流器に過大な負担を掛ける。コンデンサ、整流器、保護装置など部品はこの跳ね上がり電圧の最大値以上の耐電圧が必要である。それは部品を大型化させ高コストにするので好ましくない。緊急停止時の加速電源の跳ね上がりはできるだけ小さくするかあるいは全く消失させるべきである。
本発明は、電子流用電源のオフ指令を遅らせるために遅延タイマーを入れる。遅延タイマーの遅延時間τ3が、電磁開閉器のオフ時間の差(τ1−τ1)より大きいものを選ぶ。そうすることによって先述の加速電源の跳ね上がりを防ぐことができる。
本発明は、そのようにして、電子線照射装置の急停止時に、制御用シーケンサから各電源への停止指令に時間差を設けて出力する。インターロックによる電子線照射装置の急停止時において、加速電圧用電源を、フィラメント(電子流)電源よりも速く引き外す。電磁開閉器のオフ時間の差(τ2−τ1)に等しい時間差を与えれば、丁度、両電源が同時にオフとなる。そのようにすると加速電圧の跳ね上がりがなくなりコンデンサや整流器に過大な電圧、電流がかからず加速電源を損傷することがない。
本発明は、電子流用電源のオフ指令を遅らせるために遅延タイマーを入れる。遅延タイマーの遅延時間τ3が、遅延時間差(τ2ーτ1)より大きいので、(τ3>τ2ーτ1)、加速電源の電圧が先に0になり、そのあと電子流電源の電圧が0になる。だから、電子線照射装置の急停止時において加速電圧の跳ね上がりがなくなる。加速電源のコンデンサ、整流器そのほかの電子部品を過大電圧によって損傷するという恐れがなくなる。インターロック時において加速電源を保護することができる。
電流用電磁開閉器に遅延タイマ(遅延時間τ3)を入れて、電流用電源のオフの時間を遅らせるようにしたのが本発明の骨子である。図3に本発明における加速電源開閉器オンオフ、電流用電源開閉器オンオフ、加速電圧Vacc、電子流電流Ibの時間変化を示す。
Toでインターロックによる急停止信号が発生したとする。その信号は加速電源の電磁開閉器と、電子流用遅延タイマに入力される。加速電源電磁開閉器の遅延時間がτ2であるから、T=T+τ2で加速電源電圧が下降しはじめTで加速電源電圧が0になる。そのときは電子流電源はオンのままであるが、加速電圧が0なので電子流は0になる。電子流の負荷が常に存在していたのであるから、加速電源電圧の跳ね上がりという現象が起こらない。
τ5を経過したのち遅延タイマーが電子流用電磁開閉器にオフ指令を発する。Tからτ5+τ1時間のちのT(=To+τ3+τ1)に電子流電源が0になる。そうして急停止することができる。電子流電源が0Vになる前に、加速電源電圧が0に落ちており先述の問題はなくなる。
装置の定格にもよるが、加速電圧用電源用の電磁開閉器には通常200Aから800Aクラスのものが使用される。そのように大型の電磁開閉器の引き外しには60msec〜150msecの長い時間が掛かる。
それに対して電子流(フィラメント)用電源の電磁開閉器は10A〜30Aクラスのものが多くてその引き外し時間は5msec〜14msecであり短時間でオンからオフへ変わる。
本発明はそこで、先に加速電源用の電磁開閉器に対して停止指令を出し、そのあと55msec〜140msec遅延させて、電子流(フィラメント)電源の電磁開閉器へ停止指令を出すようにする。
図3に示すように、電子線照射装置においてシーケンサプログラム上で、装置の異常を検知した(A)とする。それに基づいて急停止指令(B)とオンディレイタイマー(T3)をオンする。
急停止指令(B)によって加速電圧用電源の電磁開閉器が開く。それまでの時間遅れがτ2である。オンディレイタイマー(T)がτ3の遅延時間後に、電子流用電源の電磁開閉器を開くようにする。だから電子流(フィラメント)電源の遅延時間はτ3+τ1となる。τ3+τ1≧τ2となるように設定する。
その結果、容量の大きく遅延時間の長い加速電圧電源の電磁開閉器が、容量が小さく遅延時間の短い電子流電源用の電磁開閉器より速く引き外される。だから、加速電圧の跳ね上がりがなくなる。過電圧が生じないので加速電源のコンデンサや整流器に過大な負担がかからず装置を保護することができる。
走査型の電子線照射装置の加速電源、加速管、走査管、電子流用電源などの全体の概略を示す図。 従来例の電子線照射装置において、緊急停止のためにインターロックが掛かったときに、同時に電子流電源と加速電源を引き外す動作を開始しても、電磁開閉器の定格が違うから電子流電源が先にTにおいてオフになるが、そのとき加速電源がオフにならず遅れてTにおいてオフになるのでT〜Tの時間は電子流が存在せず無負荷であるにもかかわらず加速電圧がかかっており加速電源の電圧が跳ね上がるということを説明するための図。(1)が加速電源のオンオフ操作の時間変化を示す図。(2)が電子流用電源のオンオフ操作の時間変化を示す図。(3)はインターロック時の加速電源電圧の変化を示す図。緊急停止のためにインターロックが掛かったときに、同時に電子流電源と加速電源を引き外す動作を開始しても、先に電子流電源がオフになり電子ビーム電流が消失するがそのときも加速電源がかかっているから電圧が跳ね上がる。(4)は電子流電源の変化を示す図。 本発明の電子線照射装置において、緊急停止のためにインターロックが掛かったときに、加速電源のオフ動作(引きはずし)はすぐに開始するが、電子流(フィラメント)電源は遅延タイマーを介してオフ操作をするようにするから先に加速電源の電圧が0におちその後に電子流電源電圧が0に落ちるので跳ね上がりが起こらないという事を示すグラフ。(1)が加速電源のオンオフ操作の時間変化を示す図。(2)が電子流用電源のオンオフ操作の時間変化を示す図。(3)は加速電源電圧の変化を示す図。緊急停止のためにインターロックが掛かったときに電圧が跳ね上がらない。(4)は電子流電源の変化を示す図。加速電圧の低下とともに電子線の引出電圧が下がり加速電圧がある値になると電子流は急激に低下する。加速電圧0のときには電子流も0となる。
符号の説明
2加速電源 3トランス 4ビーム電流計 5加速管 6加速電極 7分圧抵抗
電流計 9電子流用電源 10フィラメント 19モータ 20発電機
21絶縁棒 22トランス 24商用交流 25電子流電源用電磁開閉器 26インバータ 30走査管 32走査コイル 33窓箔 34被処理物 36抵抗 37電圧監視用電流計 39制御用シーケンサ
40加速電源用電磁開閉器 42電力調整器 43商用交流

Claims (1)

  1. 加速電源と、フィラメントを加熱する電子流用電源を持ち、真空中で電子流用電源によって電子線を発生し、加速電源で加速して大気中へ出し、被処理物に電子線を照射するようにした電子線照射装置において、電子線照射装置がインターロック機能によって装置が運転中に急停止する場合、加速電圧用電源には急停止指令をそのまま与え、電子流用電源には遅延タイマーにより急停止指令を遅延させて与えるようにして、加速電源が、電子流用電源よりも先にオフになるようにしたことを特徴とする電子線照射装置急停止時の保護機構。
JP2004170683A 2004-06-09 2004-06-09 電子線照射装置急停止時の保護機構 Pending JP2005351682A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004170683A JP2005351682A (ja) 2004-06-09 2004-06-09 電子線照射装置急停止時の保護機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004170683A JP2005351682A (ja) 2004-06-09 2004-06-09 電子線照射装置急停止時の保護機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005351682A true JP2005351682A (ja) 2005-12-22

Family

ID=35586296

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004170683A Pending JP2005351682A (ja) 2004-06-09 2004-06-09 電子線照射装置急停止時の保護機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005351682A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013506250A (ja) * 2009-10-23 2013-02-21 ラテント エーエス 電離放射線を制御可能に発生する装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013506250A (ja) * 2009-10-23 2013-02-21 ラテント エーエス 電離放射線を制御可能に発生する装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100331777B1 (ko) 소형반도체클라이스트론전원공급장치
SE469810B (sv) Anordning vid jonplasmaelektronkanon samt sätt att alstra sekundärelektroner från en jonplasmaelektronkanon
US20140146571A1 (en) Pulsed power generator
JPH04280055A (ja) イオン注入及び表面処理に関する方法及び装置
Egorov et al. A high-repetition rate pulsed electron accelerator
JPWO2009072460A1 (ja) インバータ装置、およびインバータ装置を用いたx線高電圧装置
JP5283910B2 (ja) X線管用の電力供給装置及びそれを動作させるための方法
JP2005351682A (ja) 電子線照射装置急停止時の保護機構
JP2005142140A (ja) マイクロフォーカスx線装置およびx線放射の強度を制御する方法
US5038082A (en) Vacuum switch apparatus
JP3952708B2 (ja) 多ヘッド電子線照射装置のビーム切れ検出運転継続機構
Thompson et al. High-power dynamitron accelerators for X-ray processing
JP2005209424A (ja) 走査型電子線照射装置のビーム停止機構
JP3752969B2 (ja) 電子線照射装置
JP3736917B2 (ja) インバータ式x線高電圧装置
Galloway et al. The New IBA Self‐Shielded Dynamitron Accelerator for Industrial Applications
JPH0371598A (ja) ラジオグラフイー装置
JP3427150B2 (ja) イオン注入装置
JP2001356199A (ja) 電子線照射装置
JP4140464B2 (ja) 電子線照射装置及び電子線放出管
Sokovnin et al. Improving the Operating Characteristics of an УPT-0.5 Accelerator
JPH0729694A (ja) インバータ式x線高電圧装置
JP2003294898A (ja) 電子線照射装置
Cleland et al. The IBA Easy‐E‐Beam™ Integrated Processing System
JPH10189287A (ja) インバータ式x線高電圧装置