JP2005351458A - 車両用発進クラッチの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発進クラッチを減速運転時に開放して冷却した後(A→B)、エンジントルクを増大して、クラッチ入力軸回転速度であるエンジン回転速度Neを、クラッチ出力軸回転速度(無段変速機のプライマリプーリ回転速度Nt)に同期させる制御を行い(C)同期した後、エンジントルクに見合ったクラッチ締結圧でクラッチ締結を行うようにした(D)。
【選択図】 図10
Description
そこで、減速運転時にクラッチを開放操作することによって、走行性への影響を避けながらクラッチを効果的に冷却することができることに着目したが、この場合、開放されたクラッチを再締結するときに、クラッチの入力側回転速度(エンジン回転速度)と出力側回転速度との速度差により、締結ショックを発生することが懸念され、また、減速運転中に、短時間でクラッチ開放による冷却を停止し、減速運転を解除してクラッチを再締結する場合には、再締結による発熱量の方が大きくなり、本来の目的であるクラッチ冷却が効果的に行えないことがあった。
図1は本発明の一実施形態を示す車両の構成を示す概略図である。この図に示すように、車両には、エンジン1と、このエンジン1に発進クラッチ(湿式多板クラッチ等)2を介して接続される無段変速機3とが搭載されている。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト101は、発進クラッチ2の入力側に結合されており、無段変速機3の入力軸301は、発進クラッチ2の出力側に結合されている。無段変速機3の出力軸302は、プロペラシャフト4、ファイナルギヤ5及びディファレンシャルギヤ6を介して車輪駆動軸7及び駆動輪8に結合されている。
図2、3は、発進クラッチ2のクラッチ冷却制御を示すフローチャートである。
S1では、エンジン回転速度が所定以上であるか否かを判定し、所定以上の場合には、S2へ進む。エンジン回転速度が所定未満の場合は、発進クラッチ2がまだ開放されたままの低速状態であり、クラッチの発熱を生じないので、本フローを終了する。なお、エンジン回転速度による判定に代えて、クラッチ締結要求(要求トルク発生)の有無による判定としてもよい。
Tst=Ne2×τ
ここで、クラッチのトルク容量τは、図示のように前記クラッチの速度比(Nt/Ne)に基づいて、予め作成された特性マップからの検索などにより求められる。
Hg=Tst×ΔN
上記のようにしてS3で算出した発熱量を、次式のようにS4で積算することにより、クラッチの滑りによる総発熱量ΣHgを算出する。
かかる発進時のクラッチの締結が完了すると、S2の判定でクラッチの速度比(Nt/Ne)が1となり、S5へ進む。
S5では、前記クラッチ総発熱量ΣHgが所定値以上となったか否かを判定する。
総発熱量ΣHgが所定値未満と判定されたときは、S6へ進み、クラッチ完全締結時における単位時間当たりのクラッチ放熱量Hscを算出する。
S7では、前記クラッチの総発熱量の前回値ΣHg-1から、前記放熱量Hscを減算して総発熱量ΣHgを更新する。
S8では、ブレーキ操作を行っているか以下かを判定し、S9ではアクセル操作を行っているか否かを判定する。
そして、S5での判定で総発熱量が所定値以上のクラッチ冷却要求が維持されている状態で、ブレーキ操作が行われ、かつ、アクセルが開放されている所定の減速運転時に、S11以降へ進んで、クラッチ開放による冷却制御を実行する。ここで、ブレーキ操作を条件とするのは、単にアクセルを開放するエンジンブレーキ作用のみでの減速運転時にクラッチを開放してエンジン駆動力の駆動輪への伝達を遮断するとエンジンブレーキ作用が失われることによる減速性低下の影響が大きく、減速フィーリングに違和感を生じるからである。これに対し、ブレーキ操作している減速運転時であれば、ブレーキ操作によって減速しているので、クラッチを開放しても減速性の影響が小さい。
Hns=ΣHg−Hsl
S13では、前記クラッチの必要放熱量Hnsと、現在(クラッチ開放処理開始時)のクラッチ係合面の温度tcと潤滑油温度toとの温度差(=tc−to)とに基づいて、クラッチ開放必要時間TMonを予め作成された特性マップからの検索などにより求める。図6は、クラッチ開放必要時間TMonを算出するブロック図を示す。
S16では、クラッチ開放処理タイマの値が0になったか、つまり、クラッチ開放処理開始後に前記クラッチ開放必要時間TMonが経過したか否かを判定する。
S16でタイマの値が0になってクラッチ冷却のためのクラッチ開放処理が終了したと判定されたときは、S17へ進んで該タイマの作動を停止した後、S18へ進んでクラッチ締結処理を行う。
図7は、上記クラッチの総放熱量ΣHsoを算出するブロック図を示す。
図示のように、前記クラッチ開放処理開始時のクラッチ係合面の温度tcと潤滑油温度toとの温度差(=tc−to)と、実際のクラッチ開放時間TMoとに基づいて、クラッチ開放処理中のクラッチの総放熱量ΣHsoが、予め作成された特性マップからの検索などにより求められる。
ΣHg=ΣHg-1−ΣHso
また、クラッチ開放処理中に、ブレーキ操作を解除し、またはアクセル操作を行ったときは、S10に進んでクラッチ開放操作中と判定されて、S17以降へ進み、同様にクラッチ締結処理とクラッチの総放熱量ΣHsoの算出が行われる。この場合、総放熱量ΣHsoは、必要放熱量Hnsより不足し、クラッチ締結時の総発熱量ΣHgが発熱量上限値Hsl以下に減少しないこともあるが、次回以降の減速運転時で再度クラッチ開放による放熱が行われることで、発熱量上限値Hsl以下に減少させることができる。
このようにして、上記必要開放時間の経過後、若しくは、クラッチ開放操作途中で減速運転を停止して、クラッチ締結要求が発生したときに、本発明にかかる回転同期制御を行った後、クラッチ締結が行われる。
S31では、エンジン回転速度Neとプライマリプーリ回転速度Ntとの相対速度Nep(=Ne−Nt)を算出する。
S32では、前記相対速度Nepが所定値A以上であるか否かを判定し、所定値未満の場合は、S31に戻る。相対速度Nepが所定値A未満で小さいときは、エンジン回転速度Neをプライマリプーリ回転速度Ntに同期させる制御(以下単に回転同期制御という)を行うと、制御遅れによりオーバーシュート乃至アンダーシュートを生じ、却って相対速度を増大させた状態で締結が行われてしまう可能性が高いので、該回転同期制御を禁止する。一方、相対速度Nepが、所定値A以上のときはS33へ進む。
S35では、前記減速度αtが所定値以下であるか否かを判定する。減速度αtが所定値より大きなときは、回転同期制御を行うとエンジンストールしてしまう可能性があるので、回転同期制御を行わせることなく、S31に戻り、減速度αtが所定値以下のときはS36へ進む。
S37では、回転同期制御を実行させるべく、回転同期制御フラグを1にセットする。
このようにして、相対速度Nepが所定値以上、クラッチ冷却制御が終了、プライマリプーリ回転速度Ntの減速度αが所定値以下、車速VSPが所定値以上である全ての条件が満たされたときに、回転同期制御が開始される。
図10は、回転同期制御終了判定のフローチャートを示す。
S41では、上記回転同期制御フラグが1にセットされているか否かを判定し、1にセットされているときはS42へ進み、0にリセットされているときはS41へ戻る。
S42では、クラッチの締結が終了したときにセットされるクラッチ完全締結フラグが1にセットされているか否かを判定し、1にセットされているときはS43へ進み、0にリセットされているときはS41へ戻る。
このようにして、回転同期制御フラグが1にセットされている間、回転同期制御が実行され、クラッチ締結が終了して回転同期制御フラグが0にリセットされたときに回転同期制御が終了する。
図11は、上記回転同期制御終了判定の制御ブロック図を示す。
S51では、エンジン回転速度Neをプライマリプーリ回転速度Ntに一致させるようにフィードバック制御するために必要な目標エンジントルクTedを算出する。
S52では、上記目標エンジントルクTedが上限値未満であるか否かを判定し、上限値未満のときはそのままS54へ進むが、上限値以上のときはS53で目標エンジントルクTedを上限値に制限した後、S54へ進む。
図13は、回転同期制御時を含むエンジントルク制御のブロック図を示す。
S61では、前記回転同期制御フラグが1にセットされているか否かを判定し、1にセットされているときは、S62へ進む。
S62では、エンジン回転速度Neとプライマリプーリ回転速度Ntとの相対速度Nep(=Ne−Nt)を算出する。
S64では、前記回転同期制御における目標エンジントルクTedに応じたクラッチ締結圧Tcdを算出する。
S66では、前記回転同期制御に応じたクラッチ締結圧制御を開始後、所定時間経過したかを判定し、クラッチが完全に締結されるように設定した所定時間の経過を待ってS67へ進み、クラッチ完全締結フラグを1にセットする。これにより、前記図10のS42の判定により、回転同期制御フラグが0にリセットされ、以後は、後述する通常クラッチ圧制御に移行する。
また、S61で回転同期制御フラグが0にリセットされていると判定された場合は、S68へ進んで、通常のクラッチ締結圧に制御する。すなわち、発進時や回転同期制御途中でアクセル踏み込み操作などを行って、速やかに再加速したい要求が発生した場合には、完全締結後の状態に応じて設定された目標エンジントルクに応じた通常のクラッチ締結圧に制御される。
図16は、上記本発明に係るクラッチ制御の作用を示すタイムチャートである。
発進クラッチ2を締結しつつ車両を発進する際に、クラッチ係合面の滑りによりクラッチ温度(総発熱量)が上昇し、クラッチ完全締結後は、潤滑油による放熱により温度低下するが、該完全締結時の放熱量は小さいので温度低下は緩やかであり、許容温度(発熱量上限値)を上回る状態となっている(図示A)。
エンジン回転速度Neがプライマリプーリ回転速度Ntに十分に収束(同期)した後、前記回転速度制御に応じたクラッチ締結圧に制御してクラッチを締結する(図示D)。
上記クラッチ再締結時に、通常は、僅かながら生じる相対速度Nepにより若干のトルク変動を伴うが、十分小さく抑制することができ、また、完全締結に要する時間が短縮されることも相まって締結時の発熱量を十分減少してクラッチ温度の上昇を抑制でき、クラッチの耐久性が向上する。
なお、実施の形態では、減速運転時のクラッチ開放操作後のクラッチ再締結について示したが、必ずしも減速運転時のクラッチ開放後に限らず、走行中に何らかの理由でクラッチ開放した場合のクラッチ再締結に本発明を適用できるものである。
Claims (7)
- エンジンと駆動輪との間に設けられた発進クラッチを、走行中に開放操作後、再締結するときに、クラッチ入力側のエンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させてから締結することを特徴とする車両用発進クラッチの制御装置。
- 前記エンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させる制御を、エンジン回転速度とクラッチ出力側回転速度との相対速度が所定値以上であることを条件として実行することを特徴とする請求項1に記載の車両用発進クラッチの制御装置。
- 前記エンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させる制御を、クラッチ出力側回転速度の減速度が所定値以下であることを条件として実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用発進クラッチの制御装置。
- 前記エンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させる制御を、車速が所定値以上であることを条件として実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用発進クラッチの制御装置。
- 前記エンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させる制御は、該同期させるための目標エンジントルクを算出してエンジントルクを制御する制御であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の車両用発進クラッチの制御装置。
- 上記エンジン回転速度をクラッチ出力側回転速度に同期させるるための目標エンジントルクに応じて、クラッチ締結圧を設定することを特徴とする請求項5に記載の車両用発進クラッチの制御装置。
- 発進クラッチが湿式クラッチであり、車両の減速運転時に、冷却のため開放操作することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車両用発進クラッチの制御装置。
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JP2010190254A (ja) * | 2009-02-16 | 2010-09-02 | Nissan Motor Co Ltd | 車両の制御装置 |
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2004
- 2004-06-14 JP JP2004175872A patent/JP2005351458A/ja active Pending
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