JP2005351295A - 電気自動車用動力伝達装置 - Google Patents

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邦彦 森川
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Abstract

【課題】 外形寸法の小型化が可能な電気自動車用動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 大径ピニオン4Lと小径ピニオン4Sが一体的に構成された複合遊星ギヤ4がキャリア3の軸心周りに複数個等角度間隔に配設され、大径ピニオン4Lがモータ10により駆動されるサンギヤ2と噛合い、小径ピニオン4Sがギヤケース5に固定のリングギヤ6と噛合う電気自動車用動力伝達装置であり、リングギヤ6と噛合う小径ピニオン4Sをモータ10に近い位置に配置する一方、サンギヤ2と噛合う大径ピニオン4Lをモータ10から遠い位置に配置し、各ギヤを収容するギヤケース5の大径ピニオン4Lを収容するモータ10から遠い端部を開口させてギヤカバー7で閉塞する一方、ギヤケース5の小径ピニオン4Sを収容し且つモータハウジング10Aに固設する端部に一体に底部壁5Aを設けるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一体となった大径ピニオンおよび小径ピニオンからなる複合遊星ギヤを有する遊星歯車式減速装置を備える電気自動車用動力伝達装置に関し、特に、遊星歯車式減速装置の外形寸法の小型化に好適な電気自動車用動力伝達装置に関するものである。
従来から一体となった大径ピニオンおよび小径ピニオンからなる複合遊星ギヤを有する遊星歯車式減速装置を備える電気自動車用動力伝達装置は知られている(特許文献1、2参照)。
これは、大径ピニオンおよび小径ピニオンが一体的に構成された複数の複合遊星ギヤを備え、その複数の大径ピニオンを共通のサンギヤと噛合わせる一方、複数の小径ピニオンを共通の位置固定のリングギヤと噛合わせ、サンギヤに入力された回転を減速してキャリアから出力する遊星歯車式の変速装置を構成している。そして、モータ側にサンギヤおよび複数の大径ピニオンを配置し、ケース後端側に複数の小径ピニオンおよびリングギヤを配置している。
特開平7−119801号公報 特開平8−240254号公報
しかしながら、上記従来例では、モータ側にサンギヤおよび複数の大径ピニオンを配置し、ケース後端側に複数の小径ピニオンおよびリングギヤを配置している。このことから、これらを収容するギヤケースは複数の大径ピニオンが位置するモータ側から複数の大径ピニオンを挿入するための大きな開口部を設け、当該ピニオンを複数個等角度間隔に支持するキャリアの一端を回転可能に支持する軸受を配設したギヤカバーをギヤケース開口部に固設する構造としている。このため、このギヤケースをモータハウジングに固設する結合部は、ギヤカバーとの固設部のさらに外周側に位置させることとなり、装置として小型化できない不具合があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、外形寸法の小型化が可能な電気自動車用動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明は、大径ピニオンと小径ピニオンが一体的に構成された複合遊星ギヤがキャリアの軸心周りに複数個等角度間隔に配設され、大径ピニオンがモータにより駆動されるサンギヤと噛合い、小径ピニオンがギヤケースに固定のリングギヤと噛合う電気自動車用動力伝達装置において、前記リングギヤと噛合う小径ピニオンをモータに近い位置に配置する一方、前記サンギヤと噛合う大径ピニオンをモータから遠い位置に配置し、前記各ギヤを収容するギヤケースの大径ピニオンを収容するモータから遠い端部を開口させてギヤカバーで閉塞する一方、ギヤケースの小径ピニオンを収容し且つモータハウジングに固設する端部に一体に底部壁を設けるようにした。
したがって、本発明では、リングギヤと噛合う複合遊星ギヤの複数の小径ピニオンをモータに近い位置に配置する一方、サンギヤと噛合う複合遊星ギヤの複数の大径ピニオンをモータから遠い位置に配置し、各ギヤを収容するギヤケースの大径ピニオンを収容するモータから遠い端部を開口させてギヤカバーで閉塞する一方、ギヤケースの小径ピニオンを収容し且つモータハウジングに固設する端部に一体に底部壁を設けるため、ギヤカバーとギヤケースの固設位置とモータハウジングとギヤケースの固設位置が径方向にオーバラップすることがなくなり、動力伝達装置を小型化することができる。
以下、本発明の電気自動車用動力伝達装置を一実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した電気自動車用動力伝達装置の一実施形態の第1実施例を示す断面図である。
図1において、第1実施例の電気自動車用動力伝達装置は、入力軸となるモータ軸1の軸端にスプライン等により相対回転不能に連結されたサンギヤ2、キャリア3に立設されたピニオンシャフト3Aに回転可能に配設された複合遊星ギヤ4、およびギヤケース5にスプライン結合により固定されたリングギヤ6を備えている。この動力伝達装置は、モータ軸1からサンギヤ2へ入力された回転を、所定の変速比で減速して、キャリア3から出力するよう構成している。
前記複合遊星ギヤ4は、一体に構成した大径ピニオン4Lおよび小径ピニオン4Sをキャリア3の軸心まわりに複数組、例えば、図2に示すように、3組がキャリア3に等角度間隔に配設したピニオンシャフト3A上にニードルベアリングを介して回転自在に支持して配設している。前記複数の大径ピニオン4Lはサンギヤ1に噛合わせる一方、複数の小径ピニオン4Sはリングギヤ6に噛合わせている。そして、モータ10に近い側で複数の小径ピニオン4Sとリングギヤ6とが噛合うように配置し、その後方のモータ10から遠い側で前記サンギヤ2と複数の大径ピニオン4Lとが噛合うように配置している。
前記ギヤケース5は、底部壁5Aをモータ10側に備え、底部壁5Aの外周でモータハウジング10AにボルトB1により結合されている。ギヤケース5は、また、前記複合遊星ギヤ4の大径ピニオン4Lを挿入するための大きな開口部5Bをモータハウジング10Aとは遠い側に備え、この開口部5Bの周縁にボルトB2で結合するギヤカバー7によりこの開口部5Bを閉じるよう構成している。前記ギヤケース5は、その底壁部5Aの貫通穴に配置した軸受8Aにより前記キャリア3のモータ10側端部を回転自在に支持し、前記ギヤカバー7は、その貫通穴に配置した軸受8Bによりキャリア3の出力側端部を回転自在に支持するようにしている。
以上の構成の電気自動車用動力伝達装置においては、サンギヤ2と噛合う大径ピニオン4Lをモータ10から遠い側に配置する一方、リングギヤ6と噛合う小径ピニオン4Sをモータ10に近い側に配置し、これらを収容するギヤケース5のモータ10に近い側に一体に底部壁5Aを設ける一方、モータ10から遠い側を開口5Bさせてギヤカバー7で閉塞するようにしたため、ギヤカバー7とギヤケース5の固設位置とモータハウジング10Aとギヤケース5の固設位置とが径方向にオーバラップすることがなくなり、動力伝達装置を小型化することができる。
図3は、同一寸法の複合遊星ギヤ4を備える動力伝達装置であって、サンギヤ2と噛合う大径ピニオン4Lをモータ10側に配置し且つリングギヤ6と噛合う小径ピニオン4Sをモータ10から遠い側に配置し、これらを収容するギヤケース5のモータ10に近い側を開口させてギヤカバー7で閉塞した比較例の動力伝達装置(図3(A)参照)と本実施形態における動力伝達装置(図3(B)参照)とを対比して示すものである。図2から分かるように、本実施形態における動力伝達装置は、比較例に比較して、比較例のギヤカバー7の取付け部分より外側にあって、モータハウジング10Aとの固設のために半径方向外側に出っ張っている寸法分だけ外形寸法を小さくできる。
図4に示す第2実施例の電気自動車用動力伝達装置は、第1実施例の電気自動車用動力伝達装置に対してリングギヤ6のギヤケース5への取付け方法およびギヤケース5のモータハウジング10Aへの固設方法を変更したものであり、その他の構成は両者とも同一構成であり、同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図4に示す電気自動車用動力伝達装置において、リングギヤ6はギヤケース5の内周の円筒部分に嵌合させて半径方向に位置決めされ、軸方向に貫通する貫通穴6Aが複数設けられ、これら貫通穴6Aに連ねてギヤケース5にも取付け穴5Cを貫通状態で設けている。そして、モータハウジング10Aにも、同様の配置においてねじ穴10Bを設け、これらリングギヤ6とギヤケース5との貫通穴6A、5Cを貫通させて、ギヤケース5内部からボルトB3を挿通させて、ボルトB3の先端ねじ部をモータハウジング10Aのねじ穴10Bに締結することで、モータハウジング10Aに対してギヤケース5とリングギヤ6とを共締めして固定する。
このように、ギヤケース5の内部からギヤケース5を貫通してモータハウジング10Aに螺合するボルトB3によりギヤケース5をモータハウジング10Aに固設することにより、これら結合部がケース5、10Aの内部とでき、この結合部付近の小径化も図ることができる。しかも、このボルトB3は、リングギヤ6も貫通しているため、リングギヤ6も同時に固定することができ、取付け構造が簡素化できる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)大径ピニオン4Lと小径ピニオン4Sが一体的に構成された複合遊星ギヤ4がキャリア3の軸心周りに複数個等角度間隔に配設され、大径ピニオン4Lがモータ10により駆動されるサンギヤ2と噛合い、小径ピニオン4Sがギヤケース5に固定のリングギヤ6と噛合う電気自動車用動力伝達装置であり、リングギヤ6と噛合う小径ピニオン4Sをモータ10に近い位置に配置する一方、サンギヤ2と噛合う大径ピニオン4Lをモータ10から遠い位置に配置し、各ギヤを収容するギヤケース5の大径ピニオン4Lを収容するモータ10から遠い端部を開口させてギヤカバー7で閉塞する一方、ギヤケース5の小径ピニオン4Sを収容し且つモータハウジング10Aに固設する端部に一体に底部壁5Aを設けるようにした。このため、ギヤカバー7とギヤケース5の固設位置とモータハウジング10Aとギヤケース5の固設位置が径方向にオーバラップすることがなくなり、動力伝達装置を小型化することができる。
(イ)第2実施例のように、ギヤケース5を、その底部壁5Aを軸方向に貫通するボルトB3によりモータハウジング10Aに固設することにより、これら結合部がケース内部とでき、この結合部付近の小径化も図ることができる。
(ウ)また、第2実施例のように、リングギヤ6を、軸方向に貫通させた貫通穴6Aを通して前記底部壁5Aを軸方向に貫通するボルトB3によりギヤケース5と共にモータハウジング10Aに固設することにより、リングギヤ6も同時に固定することができ、取付け構造が簡素化できる。
本発明の一実施形態の第1実施例を示す電気自動車用動力伝達装置の断面図。 同じく複合遊星ギヤを備えた遊星歯車組の概略平面図。 比較例の動力伝達装置(A)と第1実施例の電気自動車用動力伝達装置(B)との対比図。 本発明の一実施形態の第2実施例を示す電気自動車用動力伝達装置の断面図。
符号の説明
B1〜B3 ボルト
1 モータ軸
2 サンギヤ
3 キャリア
4 複合遊星ギヤ
4L 大径ピニオン
4S 小径ピニオン
5 ギヤケース
5A 底部壁
6 リングギヤ
7 ギヤカバー
8A、8B 軸受
10 モータ
10A モータハウジング

Claims (3)

  1. 大径ピニオンと小径ピニオンが一体的に構成された複合遊星ギヤがキャリアの軸心周りに複数個等角度間隔に配設され、大径ピニオンがモータにより駆動されるサンギヤと噛合い、小径ピニオンがギヤケースに固定のリングギヤと噛合う電気自動車用動力伝達装置において、
    前記リングギヤと噛合う小径ピニオンをモータに近い位置に配置する一方、前記サンギヤと噛合う大径ピニオンをモータから遠い位置に配置し、
    前記各ギヤを収容するギヤケースの大径ピニオンを収容するモータから遠い端部を開口させてギヤカバーで閉塞する一方、ギヤケースの小径ピニオンを収容し且つモータハウジングに固設する端部に一体に底部壁を設けたことを特徴とする電気自動車用動力伝達装置。
  2. 前記ギヤケースは、底部壁を軸方向に貫通するボルトによりモータハウジングに固設されていることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車用動力伝達装置。
  3. 前記リングギヤは、軸方向に貫通させた貫通穴を通して前記底部壁を軸方向に貫通するボルトによりギヤケースと共にモータハウジングに固設されることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車用動力伝達装置。
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