JP2005351229A - 燃料噴射弁、弁座体、及び弁座体の調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間使用によっても、燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】弁体8と弁シート12との間隙部40から噴射孔42の内部までの燃料経路において、弁シート12の表面に沿った流れには淀み部A,Bが生じる。弁シート12の表面のうち少なくともこれら淀み部A,Bに相当する部分に接する壁面の表面粗さRzを0.1μm以下とする。このような構成とすることで、弁シート12の内壁面におけるカーボンの堆積(デポジット)の生成を抑制することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料を噴射する燃料噴射弁の技術に関する。
燃料噴射弁としては、従来からニードルやボール弁等の弁体を有する筒状の弁本体の出口に噴射孔を有する弁座体を設け、外部から供給される燃料を、旋回体により旋回させて、弁体と弁座体との間隙から噴射孔に供給するタイプのものが知られている。
この燃料噴射弁については、例えば、燃料噴射弁内における燃料流速の低下を抑制して噴射燃料の微粒子化を図るために、弁体と弁座体とが接する円錐状(テーパー状)の弁座面と噴射孔の内面とを繋ぐ面をテーパー状のものとして、弁座面から噴射孔内部への燃料の流れ方向が徐々に変化するようにした燃料噴射弁が提案されている(例えば、特許文献1)。
このような技術に関する先行技術文献としては、以下のようなものがある。
特開2002−364497号公報
しかしながら、上記提案されている燃料噴射弁では、テーパー状の面が相互に接続する尖鋭部の下流側近傍において、弁体と弁座面との間隙から噴射孔へ至る弁座体表面に沿った燃料の流れに淀みが生じ、この淀みに燃焼の熱が加えられることで、弁座体内面へのカーボンの堆積(所謂デポジット)を生成する。そして、このデポジットの存在により、燃料の流れの淀みがさらに大きくなり、さらなるデポジットの生成を生み出す。このため、燃料噴射弁の長時間の使用によって、燃料噴射量の精度を低下させる結果を招く。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長時間使用によっても、燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、燃料噴射弁であって、制御部からの動作信号に応答して前記燃料噴射弁の開閉動作を行う弁閉鎖体と、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体とを備え、前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときに、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れが前記燃料経路において形成され、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、燃料噴射弁であって、制御部からの動作信号に応答して前記燃料噴射弁の開閉動作を行う弁閉鎖体と、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体とを備え、前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面は、角部を有するとともに、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定し、前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときには、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れを前記燃料経路において形成する弁座体において、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁に使用され、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体において、前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面が、角部を有するとともに、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定し、前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときには、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れを前記燃料経路に形成する弁座体の調整方法であって、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面を、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とする工程を備えることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体の調整方法であって、前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面が、角部を有するとともに、前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面を、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とする工程を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、弁閉鎖体が弁座部から離隔したときに、淀み部を生じさせつつ弁座体の表面に沿った燃料の流れが形成されるため、弁座体の表面のうち少なくとも淀み部に接する壁面を、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁を提供することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、燃料経路を規定する弁座体の表面が角部を有するとき、弁座体の表面のうち少なくとも角部の下流側近傍における壁面を、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、例えば、弁座部と噴射孔とを繋ぐ壁面、及び弁座部の壁面を容易に作製可能なテーパー状の面によって形成した場合にも、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁を提供することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、弁閉鎖体が弁座部から離隔したときに、淀み部を生じさせつつ弁座体の表面に沿った燃料の流れが形成されるため、弁座体の表面のうち少なくとも淀み部に接する壁面を、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射弁における燃料噴射量の精度を低下し難くすることができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、燃料経路を規定する弁座体の表面が角部を有するとき、弁座体の表面のうち少なくとも角部の下流側近傍における壁面を、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、例えば、弁座部と噴射孔とを繋ぐ壁面、及び弁座部の壁面を容易に作製可能なテーパー状の面によって形成した場合にも、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射弁における燃料噴射量の精度を低下し難くすることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、弁閉鎖体が弁座部から離隔したときに、淀み部を生じさせつつ弁座体の表面に沿った燃料の流れが形成されるため、弁座体の表面のうち少なくとも淀み部に接する壁面を、研磨により0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射弁における燃料噴射量の精度を低下し難くすることができる。
また、請求項8に記載の発明によれば、燃料経路を規定する弁座体の表面が角部を有するとき、弁座体の表面のうち少なくとも角部の下流側近傍における壁面を、研磨により0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とすることで、例えば、弁座部と噴射孔とを繋ぐ壁面、及び弁座部の壁面を容易に作製可能なテーパー状の面によって形成した場合にも、弁座体の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することが可能であり、長時間使用によっても、燃料噴射弁における燃料噴射量の精度を低下し難くすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図においては、図示の都合上、各部材の寸法比は、実際のものとは異なっている場合がある。
<実施の形態1>
<燃料噴射弁の構造及び動作>
図1は本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1の全体断面図であり、図2は燃料噴射弁1の先端部周辺を模式的に示す断面図である。燃料噴射弁1は、電磁力を発生させるソレノイド装置2と、燃料の噴射を行うバルブ装置7とを備えて構成される筒内噴射用の燃料噴射弁となっている。
ソレノイド装置2は、ヨーク3、固定鉄心4、電磁コイル5、及び可動鉄心6を備えて構成され、バルブ装置7は、弁閉鎖体であるニードル(以下「弁体」とも称する)8、弁本体9、スワラー(旋回体)11、弁座体(弁シート)12、及びストッパ10を備えて構成される。
バルブ装置7は、ヨーク3の内径側に挿入されて、かしめ部3aでヨーク3と結合されている。可動鉄心6は、弁体8と溶接部6aにおける溶接により結合されて一体化されている。また、弁本体9の内径側に、スワラー11を挿入又は圧入し、更に弁シート12を圧入して、溶接部12dにおける溶接により固定されている。このようにして、弁シート12等の各部位が、燃料噴射弁1に組み合わされた状態となっている。
弁シート12は、弁体8との接触により燃料を封じ込める弁座部12aと、燃料を燃料噴射弁1の外部に噴射する噴射孔部42と、弁体8と弁シート12との間隙(以下「間隙部」とも称する)40から流出する燃料を噴射孔部42まで誘導する経路(以下「誘導経路」とも称する)41に面する燃料誘導部12bとが形成されて構成される。つまり、燃料誘導部12bが、弁座部12aと噴射孔部42の内壁(以下「噴射孔部内壁」とも称する)12cとを繋いでおり、弁シート12が間隙部40から噴射孔部42に至る燃料経路を規定している。また、別の観点から言えば、弁シート12には、弁座部12a、燃料誘導部12b及び噴射孔部内壁12cによって燃料を噴射するための孔(以下「燃料噴孔」とも称する)50が形成されている。
ここで、弁シート12に着目すると、燃料噴孔50が、燃料の下流側に向けて徐々に狭まるように、弁座部12aの壁面によって形成される第1の区間を有するとともに、燃料誘導部12bの壁面によって形成される誘導経路を第2の区間として有する。具体的には、弁座部12a及び燃料誘導部12bは、それぞれ下流側が狭くなるような円錐面状の内壁を有するテーパー状の孔を形成している。さらに、燃料噴孔50は、最も下流側に、第3の区間として弁体8の中心軸(燃料噴射弁1の中心軸)1Pを中心軸とする略円柱形状の噴射孔部42を有する。
また、弁座部12aの内壁面が、中心軸1Pに対して傾斜角θ1(例えば、θ1=40°)だけ傾斜されて形成され、燃料誘導部12bの内壁面が、中心軸1Pに対して傾斜角θ2(例えばθ2=22.5°)だけ傾斜されて形成されている。つまり、ここでは、燃料噴射弁1内における燃料流速の低下を抑制して噴射燃料の微粒子化を図ることを目的として、弁座部12aの内壁面と燃料誘導部12bの内壁面とが、弁体8の中心軸1Pに対する傾斜角度が順次減少するように2つのテーパー状の面が接続されて形成される。すなわち、傾斜角θ1>傾斜角θ2となるように設定されている。また、噴射孔部内壁12cは、弁体8の中心軸1Pと略平行となるように形成されており、結果として、弁座部12aの内壁と燃料誘導部12bの内壁と噴射孔部内壁12cとが相互に比較的小さな角度を持って接続されている。すなわち、燃料噴孔50は、内壁面の法線方向が上流側から下流側にかけて徐々に変化するように構成されている。
このように、燃料噴孔50の内面が、2つのテーパー状の内壁と噴射孔部内壁12cとが接続されて形成されることで、弁座部12aと燃料誘導部12bとが接続する部分(以下「第1の接続部」とも称する)60aと、燃料誘導部12bと噴射孔部内壁12cとを接続する部分(以下「第2の接続部」とも称する)60bとが、尖鋭部やエッジ等の角部を形成する。なお、幾何学的に厳密に表現すれば、燃料噴孔50の内面各部の法線方向が不連続に変化する部分が角部(エッジや頂点)となる。
次に、燃料噴射弁1における弁の開閉動作について説明する。
エンジンを制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略称する)より燃料噴射弁1の駆動回路(不図示)に動作信号が送られると、電磁コイル5に電流が流れる状態(通電状態)となり、ヨーク3、固定鉄心4、及び可動鉄心6で構成される磁気回路に磁束が生じて、可動鉄心6が、圧縮バネ13の押しつけ荷重(バネ力)を超える電磁吸引力を受けて固定鉄心4側に吸引される動作を行う。このとき、可動鉄心6と一体構造である弁体8の下流側が弁シート12の弁座部12aから離隔することで、弁体8と弁シート12との間に間隙(間隙部)40が形成された状態(以下「開弁状態」とも称する)となる。
そして、固定鉄心4の上部から供給される圧力が2MPa以上の高圧の燃料は、弁本体9内部のスワラー11と弁本体9との間隙の通路を通って旋回室30で弁体8の周囲を旋回した後に、弁シート12の弁座部12aと弁体8との間隙(間隙部)40、間隙部40の下流側の誘導経路(「中間経路」とも称する)41、及び噴射孔部42を通過して燃料噴射弁1の外部(ここではエンジンシリンダ内)に噴射される。エンジンシリンダ内に噴射された燃料は、噴射から数ミリ秒で燃焼に至る。
一方、エンジンを制御するマイコンより燃料噴射弁1の駆動回路に対して、ソレノイド装置2の動作の停止を示す信号(停止信号)が送られると、電磁コイル5に対する通電状態が解除され、磁気回路中の磁束が減少して、弁体8を閉弁方向に押しつけている圧縮バネ13のバネ力により弁体8が弁座部12aに接触する状態となる。つまり、弁体8と弁座部12aとの間隙(間隙部)40が閉じられた状態(以下「閉弁状態」とも称する)となり、噴射孔部42からの燃料の噴射が終了する。
このようにして、エンジンを制御するマイコンからの動作信号に応答して弁体8が弁座部12aに対して接離することで、燃料噴射弁1の開閉動作が実現される。
次に、弁体8に係る燃料のシール(封じ込め)と摺動構造について説明する。
電磁コイル5に電流が流れていない状態(非通電状態)では、閉弁状態となっており、固定鉄心4の上部より高圧の燃料が供給されて、燃料噴射弁1の内部の圧力が2〜20MPaとなっている。この状態では、弁体8の先端において略円錐状に突起する先端部8SEは、弁座部12aに対して当接している。そして、このとき、圧縮バネ13による押しつけ荷重と燃料の圧力による押しつけ荷重とにより、弁体8の先端部8SEのうち弁座部12aと当接(接触)する部分が、微小に弾性変形を起こし、燃料が噴射孔部42に向けて流れ出さないように燃料を封じ込める。そして、電磁コイル5が、非通電状態から通電状態となると、弁体8が弁座部12aから離隔するが、この時、弁体8は、摺動部8a,8bが弁本体9に対して摺動することで弁本体9に対して支持された状態を保持する。そして、弁体8が開弁方向に摺動して、弁体8の上部に設けられるフランジの上面8cがストッパ10の下面に対して当接することで、燃料噴射弁1が完全に開弁された状態(以下「完全開弁状態」とも称する)となる。
<デポジットの生成とその抑制>
図3は、燃料噴射弁1の先端部周辺における燃料の流れを模式的に示す断面図である。
図3に示すように、開弁状態においては、間隙部40から噴射孔部42に向けて燃料が流出する。このとき、上述したように、燃料噴孔50は、上流側から下流側にかけて内面の法線方向が徐々に変化するように構成されているため、燃料の流れの方向が急激には変化しない。そのため、間隙部40から噴射孔部42の内部に至る弁シート12の内面に沿った燃料の流れが、第1及び第2の接続部60a,60b付近において弁シート12の内壁面から比較的剥離し難くなっているものの、燃料の流れの剥離が若干だけ生じる。
しかし、この若干生ずる燃料の流れの剥離により、第1及び第2の接続部60a,60bの直ぐ下流側(すなわち下流側近傍)において、弁シート12の表面に沿った燃料の流れが淀んだ部分(以下「淀み部」とも称する)A,Bを生ずる。つまり、弁シート12の表面によって規定される燃料経路において、淀み部A,Bを生じさせつつ弁シート12の表面に沿った燃料の流れが生じる。換言すれば、間隙部40から噴射孔部42の内部に至る燃料の流れのうち、燃料誘導部12bの表面に沿った燃料の流れにおいて淀み部Aを生じ、噴射孔部内壁12cに沿った燃料の流れにおいて淀み部Bを生じる。
この淀み部A,Bに対してエンジン内の燃焼の熱が伝達されると、弁シート12の内面のうち、淀み部A,Bに対してそれぞれ接する面(以下「淀み面」)SA,SBに、カーボンの堆積(以下「デポジット」とも称する)が生成する傾向にある。すなわち、燃料誘導部12bにおける淀み面SAと、噴射孔部内壁12cのうちの上流側である噴射孔部42の開口部近傍にあたる淀み面SBとが、デポジットの生成し易い状況にある。
そこで、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1では、弁シート12の内壁面に対して特別の平滑化処理を施すことで、デポジットの生成を抑制している。
以下では、このデポジットの生成の抑制について説明するが、まず、比較のために、弁シートの内壁面に対して特別の平滑化処理が施されていない場合(例えば、特許文献1に係る燃料噴射弁)について説明する。
ここで、燃料噴射弁1において、弁シート12の内壁面に対して特別の平滑化処理が施されていないものと仮定すると、淀み部に対してエンジン内の燃焼の熱が伝達されることで、弁シートの内壁面のうち淀み部に対してそれぞれ接する淀み面にカーボンの堆積(デポジット)が生成してしまう。そして、燃料噴射弁の使用(エンジンに組み合わされた状態における燃料の噴射と燃焼)においては、淀み面に対してデポジットが生成すると、そのデポジットの存在により、弁シートの内壁面に沿った燃料の流れにおいて淀みがさらに発生し易くなる。よって、このデポジットは、燃料噴射弁を使用すれば使用する程、徐々増大する傾向にあるため、燃料噴射弁の長時間の使用によって、燃料噴射量の精度が低下してしまうこととなる。
これに対して、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1では、弁シート12の内壁面のうち、淀み面SA,SBを含む淀み面SA,SB近傍の壁面が、特別な平滑化処理によって平滑な面(以下「平滑面」とも称する)となっている。
図4は、燃料噴射弁1において特別な平滑化処理を施す領域(以下「平滑化対象面」とも称する)を模式的に示す断面図である。図4に示すように、燃料噴射弁1では、弁シート12の内壁面のうち、間隙部40から噴射孔部42の内部に至る平滑化対象面(斜線部)PSの表面粗さRzが、0.1μm以下となるように特別な平滑化処理が施されている。なお、平滑化対象面PSは、特別な平滑化処理が施された後は平滑な面(平滑面)となるため、特別な平滑化処理後のものについては、適宜、平滑面PSとも称する。
ここで、表面粗さRzとは、十点平均粗さ(Rz)を意味する。この十点平均粗さ(Rz)は、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均値から縦倍率の方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均をマイクロメートル(μm)で表したものである。この十点平均粗さ(Rz)については、JISB0601に規定されている。
平滑化対象面PSの表面粗さRzを0.1μm以下とするには、弁シート12の燃料噴孔50の内壁面を、通常の切削及び研削加工によって調整することは困難である。また、流体の流れ圧力によって加工する方法によっても表面粗さRzを0.5μm程度とすることが限界である。そこで、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1については、コロイダルシリカを研磨剤として用いたバフ研磨によって仕上げる特別な平滑化処理を施すことで、平滑化対象面PSの表面粗さRzを0.1μm以下としている。なお、平滑化対象面PSの表面粗さRzを0.1μm以下とするためには、研磨剤として用いられるコロイダルシリカの粒径を15〜400nm程度の範囲のものとすることが好ましく、特に、30〜150nm程度の範囲など、粒径がより細かく均一なコロイダルシリカを研磨剤として使用することがさらに好ましい。
図5は、弁シート12の燃料噴孔50の内壁面に対する特別な平滑化処理であるバフ研磨の実施方法を模式的に例示する断面図である。なお、図5では、コロイダルシリカを研磨剤として用いるバフ研磨を実施する研磨装置100が示されており、研磨装置100において弁シート12が研磨されている状態が示されている。
図5に示すように、研磨装置100は、例えば、研磨対象となる弁シート12を載置する台座70、台座70上に載置された弁シート12を下向きに押さえつけることで台座70上で弁シート12を保持固定する抑え板80、研磨対象となる部位(ここでは、平滑化対象面PS)に接触させる研磨布91、及び研磨布91を回転させる回転軸92を備えて構成される。
ここでは、研磨布91は、回転軸92の先端部外周に略円柱形状となるように装着されて回転軸92と一体化されており、回転軸92は、モータ(不図示)によって回転駆動可能に設けられている。
そして、砥粒であるコロイダルシリカを研磨布91に保持させて、モータの駆動によって研磨布91と回転軸92とを一体的に高速で回転駆動させた状態で、弁シート12の燃料噴孔50の内面のうち表面粗さRzを小さく仕上げたい面に研磨布91を押し当てることで、特別な平滑化処理であるバフ研磨を実施することができる。なお、ここで、表面粗さRzを小さく仕上げたい面は、弁シート12が燃料噴射弁1に組み合わされた状態における淀み面SA,SBに相当する壁面を含む平滑化対象面PSである。そして、平滑化対象面PSが上記バフ研磨によって平滑な表面(平滑面)PSに仕上げられる。
ここで、平滑化対象面PSの表面粗さRzを0.1μm以下とする理由について説明する。
図6は実験によって求められた平滑化対象面PSの表面粗さRzと燃料流量低下率との関係を示す図である。図6では、横軸が表面粗さRzを示し、縦軸が噴射孔部42から噴射される燃料の量(すなわち燃料流量)の低下率(以下「燃料流量低下率」とも称する)を示している。なお、図6に示す燃料流量低下率は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1と同様な構成であり、かつその平滑化対象面PSの表面粗さRzを種々変化させた燃料噴射弁を用い、当該燃料噴射弁をエンジンに対して装着させた状態(すなわち実機に組み込んだ状態)で200時間連続して燃料噴射弁から燃料を噴射させつつエンジンを燃焼させた後における燃料流量(流量2)と、使用前の燃料噴射弁における燃料流量(流量1)とを測定することで算出される。具体的には、燃料流量低下率は、下式(1)によって算出される。また、この実験においては、燃料噴射弁の使用開始から使用終了まで、ほぼ一定の条件で燃料噴射弁に対して燃料を供給し、ほぼ一定の間隔で開弁、閉弁、及び燃焼とを行った。
(燃料流量低下率)={(流量1)−(流量2)}/(流量1)×100。
図6に示すように、平滑化対象面PSの表面粗さRzの低下とともに、燃料流量低下率も低下した。そして、平滑化対象面PSの表面粗さRz≒0.1μmを臨界値として燃料流量低下率が急激に低下した。具体的には、平滑化対象面PSの表面粗さRzが0.1μmよりも大きく、平滑化対象面PSを十分平滑化させていない場合には、燃料流量低下率が数%程度となる一方、表面粗さRzを0.1μm以下とすると燃料流量低下率が急激に低下し、例えば、平滑化対象面PSの表面粗さRzを0.05μm程度まで低下させると、燃料流量低下率がほぼ零となった。
ここでは、コロイダルシリカを研磨剤としたバフ研磨によって、平滑化対象面PSの表面粗さRzが0.1μm以下となるような仕上げ(高精度の鏡面加工)を行うことで、淀み面SA,SBに付着するデポジットのアンカー効果を低減させて、デポジットが淀み面SA,SBから剥がれ易くすることができるものと考えられる。そして、デポジットが淀み面SA,SBから剥がれ易くなると、淀み面SA,SBにおけるデポジットが少し成長すると、間隙部40から流れ出す高速の燃料の流れによる抵抗により、デポジットが淀み面SA,SBから剥がれるものと考えられる。その結果、デポジットが大きく成長することがないため、図6に示す測定結果のごとく、長時間の使用によっても、燃料流量がほとんど低下しないものと考えられる。
このように、弁座部12aから噴射孔部内壁12cに至る弁シート12の表面(ここでは、平滑化対象面PS)の表面粗さRzが0.1μm以下となるように調整して、弁シート12を燃料噴射弁1に組み込むことで、燃料噴射量の精度を低下し難くすることができる。
なお、ここでは、弁シート12の内壁面のうち第1及び第2の接続部60a,60bの下流側近傍を含む淀み面SA,SBにおいて構造上デポジットが生成し易いことから、淀み面SA,SBの表面粗さRzを0.1μm以下とすることが、デポジットの成長の抑制、ひいては燃料流量低下率の低減の実現に対して特に寄与しているものと考えられる。したがって、燃料流量低下率の低減を実現するためには、淀み面SA及び淀み面SBのうち少なくとも一方の表面粗さRzを0.1μm以下とすれば良い。
このように、燃料流量低下率の低減を実現するためには、淀み面SA,SBの表面粗さRzを0.1μm以下とすれば良いが、淀み面SA,SB近傍を区別して上記特別な平滑化処理であるバフ研磨を施すことは、逆にバフ研磨の工程を複雑なものとしてしまう。また、淀み面SA,SBだけでなく、弁座部12aから噴射孔部内壁12cに至る弁シート12の表面の広い範囲、すなわち弁シート12の表面のうち燃料経路を規定する各部分を、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とする方が、弁シート12の内壁面におけるデポジットの生成を抑制し、燃料噴射量の精度低下を抑制する上で好ましいと言える。
以上のように、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1では、燃料噴孔50において燃料の流れの淀み部A,Bに接した淀み面SA,SBに発生するデポジットの生成を確実に減少させることを狙いとして、弁シート12の内壁面に対して特別の平滑化処理が施されている。具体的には、間隙部40から噴射孔部42の内部までに至る弁シート12の表面に沿った燃料の流れに淀み部A,Bが生じるため、当該淀み部A,Bに接する淀み面SA,SBを少なくとも含む弁シート12の表面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされている。その結果、弁シート12の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することができるため、燃料噴射弁1を長時間使用しても燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁1を提供することができる。
また、弁シート12の表面のうち、少なくとも淀み部A,Bに接する壁面(ここでは、淀み面SA,SB)が、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面PSとされている。別の観点から言えば、弁シート12の燃料経路を規定する内壁面のうちの少なくとも角部の下流側近傍における壁面が、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面PSとされている。このような弁シート12の調整方法を採用することで、弁シート12の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することができる。したがって、長時間使用によっても、燃料噴射量の精度が低下し難くすることができる。
また、コロイダルシリカを研磨剤として用いたバフ研磨によって平滑面PSを仕上げることで、弁シート12の内壁面における表面粗さRzを0.1μm以下とすることができる。
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aの先端部周辺を模式的に示す断面図である。
上述した実施の形態1に係る燃料噴射弁1では、弁シート12に設けられた噴射孔部42が、弁体8の中心軸1Pを中心軸とする略円柱状の形状を有していたが、実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aでは、噴射孔部42が、弁体8の中心軸1Pに対して傾斜させたもの(以下「傾斜噴射孔部」とも称する)となっている点で、実施の形態1に係る燃料噴射弁1と異なる。なお、その他の点は、実施の形態1に係る燃料噴射弁1とほぼ同様となるため、図7以降では、実施の形態1に係る燃料噴射弁1と対応する部分については同様な符合を付して説明を省略する。
図7に示すように、燃料噴射弁1Aでは、傾斜噴射孔部42が上流側から下流側に向けて中心軸1Pに対して図中左方向に傾斜するように設けられている。そのため、弁座部12aの内壁面と燃料誘導部12bの内壁面との成す角度、及び燃料誘導部12bの内壁面と傾斜噴射孔部42の内壁部(噴射孔部内壁)12cとの成す角度が、実施の形態1に係る燃料噴射弁1のものとは異なる。具体的には、燃料噴射弁1Aでは、接続部60a,60bについては、図中右側よりも図中左側の方がより尖鋭な角部を形成するような構造となっている。
図8は、燃料噴射弁1Aにおける燃料の流れを示す模式図である。
上述したように、図中左右によって接続部60a,60bにおける尖鋭の度合いが異なるため、図8に示すように、接続部60a,60bのうち尖鋭の度合いが大きな図中左方の角部において、図中右方の角部においてよりも、弁シート12内壁面に沿った燃料の流れが弁シート12内壁面から剥離し易くなる。そのため、弁シート12内壁面に沿った燃料の流れに生じる淀み部A,Bは、図中左方の角部の下流側近傍において図中右方の角部の下流側近傍よりも大きくなる。したがって、淀み部A,Bに接する淀み面SA,SBのうち、比較的大きな燃料の流れの淀みに接する部分が、デポジットが比較的生じ易い環境にある。
しかし、実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aについても、実施の形態1に係る燃料噴射弁1と同様な手法(コロイダルシリカを研磨剤として用いたバフ研磨)を用いて、弁シート12の内壁面のうち、弁座部12aから噴射孔部内壁12cに至る壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面(図9中の斜線部)PSとなるように、特別な平滑化処理が施されている。
そして、実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aについても、平滑化対象面PSの表面粗さRzと燃料流量低下率との関係は、図6に示すものと同様となる。したがって、実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aについても、淀み面SA,SBを含む平滑化対象面(平滑面)PSの表面粗さRzを0.1μm以下とすることで、実施の形態1と同様な理由により、長時間の使用によっても、燃料流量がほとんど低下しないようにすることができる。
なお、実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aでは、図8に示すように、淀み部A,Bに接する淀み面SA,SBのうち、比較的大きな燃料の流れの淀みに接する部分(図中左方)が、デポジットが比較的生じ易い環境にある。そのため、淀み面SA,SBのうち、図中左方の部分における表面粗さRzが0.1μm以下となることが、燃料流量低下の抑制に対して比較的大きく働いているものと考えられる。
以上のように、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aでは、間隙部40から噴射孔部42の内部までに至る弁シート12の表面に沿った流れに淀み部A,Bが生じるため、弁シート12の表面のうち少なくとも当該淀み部A,Bに接する弁シート12の内壁面(ここでは、淀み面SA,SB)が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされている。その結果、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。具体的には、例えば、弁シート12の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することができるため、長時間使用しても燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁1Aを提供することができる。
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
◎例えば、上述した実施形態では、長時間使用による燃料流量低下率を抑制するために、平滑面PSの表面粗さRzを0.1μm以下としたが、これに限られるものではない。図6に示す測定結果より、長時間使用による燃料流量低下率を大きく抑制するためには、平滑面PSの表面粗さRzを0.1μm以下とすれば良いが、厳密には、平滑面PSの表面粗さRzを0.1μm未満とする方が好ましい。また、長時間使用による燃料流量低下率をほとんど零とするためには、平滑面PSの表面粗さRzを0.05μm以下とする方がさらに好ましい。
◎また、上述した実施形態では、弁座部12a及び燃料誘導部12bの内壁面をそれぞれテーパー状の面としたが、これに限られず、例えば、第1及び第2の接続部60a,60bが角部を形成せず、弁座部12a、燃料誘導部12b、及び噴射孔部内壁12cを、尖鋭部やエッジ等の角部を持たない一つの曲面で形成するようにしても良い。つまり、表面各部の法線方向に不連続がない曲面としても良い。このような構造とする方が、弁シート12内面からの燃料の流れの剥離をさらに抑制することができ、デポジットの生成、及び長時間使用による燃料流量低下のさらなる抑制を図ることができる。
但し、弁座部12aの内壁、燃料誘導部12bの内壁、及び噴射孔部内壁12cを、尖鋭部やエッジ等の角部を持たない一つの曲面で形成するような加工は極めて難しい。よって、弁シート12を容易に作製可能であるといった観点からすれば、弁座部12a及び燃料誘導部12bの内壁面をそれぞれテーパー状の面とすることがより現実的であり、製造コスト面でも有利である。そこで、上述した実施形態では、弁座部12a及び燃料誘導部12bの内壁面をそれぞれテーパー状の面として、それぞれ角部を形成する第1及び第2の接続部60a,60bの下流側近傍における弁シート12の壁面の表面粗さRzを0.1μm以下としている。そして、このような構成とすることで、弁座部12aや燃料誘導部12bが容易に作製可能な複数のテーパー状の面によって形成される場合にも、弁シート12の内壁面におけるデポジットの生成を抑制することができ、長時間使用しても燃料噴射量の精度が低下し難い燃料噴射弁を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁1の全体断面図である。 燃料噴射弁1の先端部周辺を模式的に示す断面図である。 燃料噴射弁1における燃料の流れを示す模式図である。 燃料噴射弁1において平滑化処理を施す領域を示す模式図である。 平滑化処理の手法を模式的に示す断面図である。 表面粗さと燃料流量低下率との関係を示す図である。 実施の形態2に係る燃料噴射弁1Aの先端部周辺を示す断面図である。 燃料噴射弁1Aにおける燃料の流れを示す模式図である。 燃料噴射弁1Aにおいて平滑化処理を施す領域を示す模式図である。
符号の説明
1,1A 燃料噴射弁、8 弁体、12 弁シート、12a 弁座部、12b 燃料誘導部、12c 噴射孔部内壁、40 間隙部、41 誘導経路、42 噴射孔、50 燃料噴孔、60a 第1の接続部、60b 第2の接続部、91 研磨布、100 研磨装置、A,B 淀み部、PS 平滑化対象面(平滑面)、SA,SB 淀み面。

Claims (9)

  1. 燃料噴射弁であって、
    制御部からの動作信号に応答して前記燃料噴射弁の開閉動作を行う弁閉鎖体と、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体と、
    を備え、
    前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときに、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れが前記燃料経路において形成され、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
    前記燃料経路中を規定する前記弁座体の表面が、角部を有し、
    前記弁座体の表面のうち、少なくとも前記角部の下流側近傍の壁面が、前記平滑面とされていることを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
    前記弁座体の表面のうち、前記燃料経路を規定する各部分が前記平滑面とされていることを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 燃料噴射弁であって、
    制御部からの動作信号に応答して前記燃料噴射弁の開閉動作を行う弁閉鎖体と、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体と、
    を備え、
    前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面は、角部を有するとともに、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面が、
    0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする燃料噴射弁。
  5. 弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定し、前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときには、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れを前記燃料経路において形成する弁座体において、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする弁座体。
  6. 弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁に使用され、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体において、
    前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面が、角部を有するとともに、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面が、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とされていることを特徴とする弁座体。
  7. 弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定し、前記弁閉鎖体が前記弁座部から離隔したときには、淀み部を生じさせつつ前記弁座体の表面に沿った燃料の流れを前記燃料経路に形成する弁座体の調整方法であって、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記淀み部に接する壁面を、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とする工程、
    を備えることを特徴とする弁座体の調整方法。
  8. 弁閉鎖体と組み合わされて燃料噴射弁において使用され、
    前記弁閉鎖体が接離する弁座部を有するとともに、前記弁座部から噴射孔に至る燃料経路を規定する弁座体の調整方法であって、
    前記燃料経路を規定する前記弁座体の表面が、角部を有するとともに、
    前記弁座体の表面のうち少なくとも前記角部の下流側近傍における前記弁座体の壁面を、研磨により、0.1μm以下の表面粗さRzを持つ平滑面とする工程、
    を備えることを特徴とする弁座体の調整方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の弁座体の調整方法であって、
    前記研磨が、コロイダルシリカを研磨剤として用いた研磨を含むことを特徴とする弁座体の調整方法。
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