JP2005350972A - 防災事業計画支援システムとその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】情報入力装置と、情報格納装置と、情報演算装置と、情報出力装置を有し、情報入力装置は、各地域における解析データと、CLを演算するための解析パラメータ及び解析モデルとを、情報格納装置に入力可能な手段であって、情報演算装置は、解析モデルに解析パラメータを入力する解析パラメータ設定部と、CLを演算する判別境界面解析部とを備え、情報出力装置は、解析データと解析パラメータと解析モデルとCLのうち少なくとも1の情報を出力可能な手段であるものである。
【選択図】 図1
Description
例えば、非特許文献1には、「RBFネットワークを用いた非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定に関する研究」として、RBF(放射状基底関数)の代表的な関数であるガウス関数を用いながら、入力層、中間層、出力層から構成される階層構造からなるRBFネットワークによって客観的で精度の高い非線形のがけ崩れ発生限界雨量線の設定に関する技術が開示されている。
このようにRBFネットワークを用いたがけ崩れ発生限界雨量線の設定は、発生データの教師値を−1、非発生の教師値を1と設定して、ガウス関数を重ね合わせるようにして判別境界面を構築するため、発生データと非発生データを用いて崩壊現象に関する判別境界面を構築してしまえば、がけ崩れ発生限界雨量線はその等高線から容易に求められる。
また、中間層の出力関数にガウス関数を用いていることから、データが存在しない範囲では、出力値は0となる。従って、非発生データが大量にある領域では出力値が1付近となるが、非発生データが少ない領域では出力値が低下する。従って、発生データがなくとも非発生データが少ない領域を危険領域とみなすことが可能であるため、非発生データのみでもがけ崩れ発生限界雨量線は引くことが可能である。
このようなRBFネットワークを用いる解析のほかには、例えば特許文献1に開示されるように、サポートベクターマシンを解析モデルとして用いて、正しく判別されないデータが存在する可能性のある境界付近における種類判別の精度を高めた「類識別装置及び類識別方法」が開示されている。
さらに、特許文献2には、「テンス・アスペクト・モダリティ翻訳処理方法、テンス・アスペクト・モダリティ翻訳システム」として、機械翻訳の際に変換先のテンス・アスペクト・モダリティを精度よく翻訳する際にサポートベクトルマシンを利用する技術が開示されている。
特許文献1及び特許文献2におけるサポートベクターマシンの利用に関しては、直接本願発明の技術分野には関連はないものの、特許文献1の図2や特許文献2の図4に示されるとおり、このサポートベクターマシンは、2種類の素性あるいは属性を備えるデータを判別する際に用いられている。
従って、本願発明における土砂災害の発生と非発生という2種類の事象に関するデータを判別する境界線を引くために用いることも可能である。このような観点から特許文献1と特許文献2について引用して開示した。
さらに、CLを解析する際にRBFネットワークを用いた場合には、格子間隔、基底関数の半径、非発生降雨の抑制パラメータ、発生降雨の抑制パラメータのそれぞれについて2種類、合計8つのパラメータを試行錯誤して検討する必要があるため、最適なパラメータを検討するのにも時間がかかるという課題もあった。
また、特に請求項2に記載された防災事業計画支援システムにおいては、降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を用いて、降雨データに対する発生・非発生的中率を演算し、要求水準と比較してCLの精度を検証するため、常に高い精度を担保可能な防災事業計画支援システムを提供することができる。
さらに、特に請求項5乃至8では、解析モデルにサポートベクターマシンを導入することによって、高精度に加えて容易に演算可能であり、しかも追加データによる更新を行う際にも短時間、低コストで実行可能であり、時間的、経済的に高効率の解析が可能である。
まず、本願でいう「防災事業」とは、直接的に防災のための施設を施工する事業に限らず、斜面或いは渓流の危険性を調査するために行う調査事業など、その施工につき優先順位付けを必要とする全ての防災に係る事業を包含するものである。
また、本願でいう土砂災害発生の危険度に係る「要因」とは、表土の厚さ、地盤の状況、斜面と不連続面の関係、断層の有無、岩石区分等の地形や地質に係る要因、植生、樹木の樹齢、伐採痕の有無、湧水の有無、崩壊履歴の有無等の環境に係る要因、時間雨量、実効雨量、連続雨量等の降雨に係る要因を含み、これらをCLの設定に供される危険度の解析を実行するための属性として用いることができる。例えば、所定降雨要因条件下での土砂災害発生・非発生の実績を、降雨要因を除く他の要因を属性として加えてCLを解析した場合には、潜在的な危険度を評価した上でCLを設定することができる。
さらに、土砂災害の「発生の的中率」とは、全発生降雨に対する災害発生時刻以前にCLを越えた発生降雨の数の割合を意味し、「非発生の的中率」は全非発生降雨に対する一連降雨中すべての降雨がCLを超過しなかった非発生降雨の数の割合を意味する。
図1は、本実施の形態に係る防災事業計画支援システムの構成図である。また、図2乃至図5は防災事業計画支援方法のフローチャートを示す。本実施の形態においては、判別境界面の解析やその解析結果に基づくCLの設定に、土砂災害の発生データの集合と非発生の集合を完全に分離するハードマージンによるサポートベクターマシン、ある程度の誤差を許容したソフトマージンによるサポートベクターマシン、土砂災害の非発生データのみを用いる1クラスのサポートベクターマシン(以下、νSVMと略す)を用いて説明する。
情報格納装置4には、大きく分けて実データ11と要求水準データ15、解析パラメータ16、モデルデータ17、CLデータ18、サポートベクターデータ19が格納されている。これらのデータは、前述の情報入力装置1から入力されるものである。また、解析パラメータ16の一部は、情報演算装置2において演算して求められる。
実データ11は、ある地域あるいはその地域に含まれる各地点における降雨データ12や、それらの地域や地点において、土砂災害が発生したかあるいは発生しなかったかの実績を発生・非発生で示す災害実績データ13、土砂災害を引き起こす要因に関する評価値あるいは属性値に関する要因評価値データ14を含むものである。なお、降雨データ12は、実際の測定値でもよいし、それを規格化したようなデータであってもよいし、例えば半減期が21日の実効雨量データなどの降雨指標であってもよい。これらの降雨データ12、災害実績データ13、要因評価値データ14は解析の対象となる地域、地点に関するID符号を付した状態でデータテーブルとして格納されるものであり、これらのID符号をキーとして検索が可能となっている。
要求水準データ15は、モデルを用いて解析された判別境界面の結果から得られるCLの精度についての要求水準であり、発生の的中率と非発生の的中率によって表現される。
また、解析パラメータ16は使用される解析モデルによって変動するが、いずれのサポートベクターマシンにおいても共通するカーネル関数の半径rや、分離超平面の法線ベクトルを表す変数w、バイアス項と呼ばれる変数bやρ、スラック変数ξiに対する重みパラメータC、さらには1クラスのサポートベクターマシンにおいて誤分類されるデータの割合を表すパラメータであるνなどが含まれる。これらの変数、パラメータあるいは係数も含めて数値のセットを指すものである。
CLデータ18は、解析によって得られた判別境界面をベースに得られたCLに関するデータである。解析の更新によってCLデータ18は書き換えられるようにしておいてもよいし、過去において得られた古いデータを、更新されたデータとは区別しながら格納されるようにしておいてもよい。また、CLを設定するための判別境界面に関するデータも含める場合がある。
サポートベクターデータ19は、モデルデータ17と解析パラメータ16のセットを指すもので、具体的には例えばソフトマージンによるサポートベクターマシンにおいて、解析パラメータ16から特定のカーネル関数の半径r、特定のパラメータCなどが代入された個々のサポートベクターに関するデータを意味するものである。また、実施例の説明の際に後述するようにサポートベクターの重要性に関する情報や異常値といえるか否かなどの情報に関するデータを含むものである。
情報演算装置2は、情報入力装置1と情報出力装置3、さらには情報格納装置4にも接続されており、情報入力装置1を介して入力される情報を用いて設定や解析、さらに検証などの演算を行なうことができるし、情報入力装置1を介して予め格納されたデータを情報格納装置4から読み出して用いることも可能である。
情報演算装置2で実行される設定や解析あるいは検証に用いられるデータやそれらの演算の結果については、情報出力装置3を介して出力あるいは表示される。
情報演算装置2の要求水準設定部5では、CLの設定や更新などの演算に先立って要求水準を設定する。この要求水準の設定のための要求水準データ15は、前述のとおり土砂災害の発生の的中率と非発生の的中率によって表現されるが、いずれの程度の的中率とするかの設定を行なうものである。要求水準設定部5は、情報入力装置1からの入力値を採用することで設定することも可能であるが、予め情報格納装置4に格納された要求水準データ15のいずれかを読み出してもよい。その読み出しの際には、予め格納されている要求水準データ15を複数として候補となる要求水準データ15を情報出力装置3に表示しながら、その中から選択可能とするとよい。
また、CLの解析に際して線形のモデルを用いるかあるいは非線形のモデルを用いるかという線形・非線形の選択、さらに本実施の形態においては、どのタイプのサポートベクターマシンを選択するかの2種類の選択を含むものである。但し、線形・非線形の選択は必須ではなく、常にいずれか一方のタイプの解析モデルが選択されるようにしておいてもよい。
これらの解析モデルは予め情報格納装置4に格納されているモデルデータ17を読み出して選択されるようにしてもよいし、可能であれば、情報入力装置1から解析に際して入力してもよい。
解析パラメータ設定部7は、モデル選択部6で選択された解析モデルに用いられる解析パラメータを設定するものであるが、この解析パラメータは情報格納装置4に格納されている解析パラメータ16を読み出して、情報出力装置3に表示し、その中から選択されるようにするものである。もちろん、情報入力装置1から入力されるようにしてもよい。解析パラメータは、解析モデルによって用いられるものが異なるため、解析パラメータ設定部7は、モデル選択部6で選択された解析モデルを判別しながらその判別結果に沿って解析パラメータを情報出力装置3に表示させ、選択されるようにすることが望ましい。
具体的には、解析モデルには、その解析モデルを認識可能なID符号を付しておき、さらに、解析パラメータにも解析モデルと共通のID符号を付した状態で情報格納装置4に格納しておくとよい。モデル選択部6で選択された解析モデルのID符号をモデル選択部6が判別し、そのID符号に関する情報を解析パラメータ設定部7に伝送し、解析パラメータ設定部7は、そのID符号を認識しながら、情報格納装置4に格納された解析パラメータ16の中からそのID符号を検索して合致する解析パラメータ16を読み出して情報出力装置3に表示するのである。
さらに、要因毎に演算された危険度を組合せて累積させることで複数の要因を考慮した危険度とすれば、危険度に対する精度を向上させることが可能である。
この危険度の解析は、選択的に実施されるものであり、予めこの危険度の算定を実施した上でCLを設定するか、危険度を算定せず降雨データ12のみでCLを設定するかを選択可能としておくとよい。この選択はこの解析パラメータ設定部7において、あるいは予め要求水準設定部5、モデル選択部6においてメッセージを情報出力装置3に表示するように制御しておき、情報入力装置1から選択に関する情報を入力するように促すようにしておくとよい。また、一旦危険度に関する解析を実行しておけば、CLの更新の際には再度危険度に関する解析は不要となるので、更新の解析を実行する際には、解析のアルゴリズムにおいて更新であることを認識するフラグを立てて危険度に関する算定の選択を回避するようにしておくとよい。但し、要因評価値データ14に追加や変更などが生じた場合にはこのフラグをリセットして危険度に関する算定の選択が可能となるようにしておくことが望ましい。さらに、算定された危険度は情報出力装置3によって表示されるようにしておくとよい。
なお、この解析パラメータ設定部7における危険度の解析については、図3を参照しながら後で詳細に説明する。
これら解析モデルや解析パラメータの選定によってもなおCLの予測精度が要求水準を満足しない場合には、要求水準設定部5において、再度要求水準を設定してもよい。そのような場合には、予め要求水準データ15を情報出力装置3に表示しておき、解析当初の要求水準データ15よりも、低い要求水準データ15を選択可能とするとよい。
図2乃至図4は、個々の地域あるいは斜面、個々の渓流に対する土砂災害の非線形の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを、精度よく且つ容易に設定可能とし、なおかつこれらの基準線を効率的に更新するための防災事業計画支援方法の好ましい工程・手順を示した概略フローチャートである。なお、本実施例において紹介するこれらの工程・手順は、先に説明した防災事業計画支援システムにおいても共通するものである。これらの図においては、図1との関連性、すなわちハードウェアとの具体的な協働を明示するために、ハードウェアの構成についても併記している。このことに関連して、図2乃至図4を参照する実施例では、図1に記載される構成要素の符号を交えて説明する。
解析対象とする複数の箇所について、要因毎の評価値と、土砂災害発生・非発生の実績情報、降雨データを抽出する雨量観測所名との組で表されるデータを収集し、地形、地点における土砂災害発生の危険度に関わる複数の要因毎にそれぞれ複数のカテゴリー区間に分割し、そのカテゴリー区間名をデータの複数の要因毎の評価値に対応してそれぞれ付与し、そのデータから、各要因のカテゴリー区間名を属性値、土砂災害発生・非発生の実績情報、降雨データを抽出する雨量観測所名を整理した一覧表と雨量観測所毎に時系列的な降雨データの属性値、土砂災害発生非発生の実績との組で表される一覧表を整理しておくとよい。また、属性値とせず、評価値のまま一覧表を整理してもよい。
また、この要因の選択を予め行った上で要因に関する評価値、属性値、土砂災害発生・非発生の実績情報やID符号などを情報格納装置に格納しておいても良い。
なお、図2における降雨データは図1における降雨データ12であり、土砂災害発生・非発生の実績情報は災害実績データ13、属性値と評価値は要因評価値データ14に相当する。一覧表とは、降雨データ12、災害実績データ13、要因評価値データ14をまとめて示す実データ11のデータ構造を示しているとも言える。
解析に使用するモデルが決まれば、それぞれのモデルに必要な解析パラメータ16の入力をステップS4で行う。解析パラメータ16には、前述のとおりどのモデルにも共通してカーネル関数の半径rを決める必要がある。またソフトマージンによるサポートベクターマシンでは、誤判別の許容に関係するパラメータCを決定する必要があり、1クラスのサポートベクターマシンでは、はずれ値とみなす割合の上限値としてνを指定する必要がある。これらの解析パラメータは情報入力装置1から入力してもよく。予め情報格納装置4に格納しておいてそこから読み出してもよい。
まずステップS71では、解析データ、すなわち実データ11の選択を行う。CLを新規に設定する場合は、現時点までの土砂災害の実績情報を基に土砂災害発生降雨(以下、「発生降雨」という)と土砂災害非発生降雨(以下、「非発生降雨」という)を選択する。またCLを更新する場合は、現況CLの設定時に抽出した更新データと新たに入手した発生降雨、非発生降雨を選択する。従って、予めCLの更新であるか新設であるかの情報を情報格納装置4に格納しておき、その選択を読み出すかあるいは情報入力装置1からの入力を促すかして、その情報に基づいて、いずれの期間の実データ11を読み出すかについて判断する必要がある。更新かあるいは新設かの情報については、ID符号を付すようにしておき、このID符号を読みだしてそのID符号に対応した期間の実データ11の選択を行なうとよい。
また、CLは危険度を反映させる場合と反映させない場合の2通りで設定方法が異なるため、CLに危険度を反映させる場合は、ステップS72からステップS77の処理を実施し、危険度を反映させない場合はステップS78からステップS80の処理を実施する。以下にそれぞれのCL設定方法を示す
CLに危険度を反映させる場合は、ステップS72において設定の対象とする危険箇所などの地点を危険度の大小に応じていくつかのグループに分ける。次にステップS73では、上記のグループ毎に発生・非発生降雨を抽出する。ステップS74ではステップS3で選択したCLのモデルに応じてサポートベクターマシンによりグループ毎に分離超平面の法線ベクトルを表すw、バイアス項bの値を算出し、それらを用いて判別境界面を構築する。構築した各判別境界面から最適な閾値を検討し、それらを基本CLとする。ステップS75では、基本CLの設定に用いた分離超平面の法線ベクトル、バイアス項の値を解析パラメータ16として情報格納装置4に読み出し可能に格納する。また基本CLに対する重要度の高いサポートベクター(重要データ)、重要度の低い不要データ、異常値、更新データを抽出し、これらをサポートベクターデータ19として情報格納装置4に読み出し可能に格納する。
CLの設定に関わるデータ、すなわちCL周辺にあるデータを重要度の高いデータと言う。非発生データが集中的にある領域内の散発的な発生データを異常値という。それ以外のデータを重要度の低いデータとみなす。更にこれらのデータの中からCLの更新に必要な更新データを抽出する。
これらの重要度の高低や更新データ、異常値については後ほど説明する。
ステップS76では、降雨データの存在する範囲内に短期的な降雨指標の縦軸と長期的な降雨指標の横軸にそれぞれ一定間隔の格子を設定し、この格子毎にグループ毎の代表危険度(平均値)と各格子の重みの近似式を設定する。最後にステップS77では、CL設定の対象とする各地点の危険度を前述の近似式に入力し、地点毎にCLを構築する。構築したCLは情報出力装置4により出力・表示されるとともに情報格納装置4に読み出し可能に格納される。
構築したCLは情報出力装置や情報表示装置により出力・表示されるとともに情報格納装置に読み出し可能に格納される。ステップS80では、CL設定に対して重要度の高いサポートベクター(重要データ)、重要度の低い不要データ、異常値、更新データを抽出し、情報格納装置に読み出し可能に格納する。
先ずステップS81では情報格納装置4から精度検証するCLを読み出す。次にステップS82では、情報格納装置4の実データ11からCL設定に用いた発生・非発生降雨(学習データ)の一連降雨あるいはCL設定に用いていない発生・非発生降雨(未学習データ)の一連降雨を抽出する。これらの発生・非発生降雨の一連降雨は情報入力装置1から入力してもよく、予め情報格納装置4に格納しておいて、そこから読み出してもよい。抽出した発生・非発生降雨の一連降雨とCLの関係からステップS83では、発生・非発生の的中率を算出する。発生の的中率は、全発生降雨に対する災害発生時刻以前にCLを越えた発生降雨の数の割合を意味し、非発生の的中率は全非発生降雨に対する一連降雨中全ての降雨がCLを超過しなかった非発生降雨の数の割合を指す。予測精度は情報出力装置により出力・表示される。
しかしながら、発生降雨は非発生降雨とともに年々データが蓄積していくため、これら全てのデータをCL更新に用いると労力や時間の面で効率的ではない。また地盤条件の変化や対策工の効果等により、過去のデータが必ずしも有用とならない場合も生じる。例えば、中国地方の中でも土砂災害が多い山口県では、一年当たり数10件の土砂災害が発生している。また発生降雨と同様にCLの設定に欠かせない非発生降雨は、毎年約10,000個も蓄積される。このように年々蓄積していく発生・非発生降雨に対して、従来の技術ではCL設定に対して重要あるいは不要なデータを選別する術はなく、過去から蓄積されたデータと新たに入手したデータを含めた大量の発生・非発生降雨に対してCLを設定せざるを得ない。また近年では、従来の1時間雨量よりも更に詳細に土砂災害発生あるいは非発生降雨の状況を把握するために10分間雨量の情報が提供されはじめている。10分間雨量を用いる場合、データ数が1時間雨量の6倍となり、RBFネットワークを用いた先行技術では、CLの設定や更新作業が困難になると予想される。
非線形CLを設定する先行技術としてRBFネットワーク(以下、「RBFN」という)を利用した技術が公開されているが、特にこの技術では非線形CLの設定に多くの非発生降雨を必要とするため、CLの見直しには上記の問題が生じると予想される。したがって、過去の発生・非発生降雨を土砂災害に対する重要度に応じて選別し、重要度の低いデータを除いてCLを更新する方法を確立する必要がある。
本実施例では、現在パターン分類手法として注目されているサポートベクターマシンを利用して、前述のCLの設定手法及び精度の問題点、CL更新の問題点の解決を試みた。
従来手法では、上記のように発生降雨が入手できない場合、非発生降雨の上限でCLを設定している。この方法ではCLの安全領域が極端に大きくなりこともあり、危険側のCLとなることが多い。そのため豪雨時では土砂災害を見逃す恐れがある。現状では非発生降雨のみを用いて客観的に精度の良いCLをする手法は少ない。
したがって、非発生降雨のみでも精度の良いCLを客観的に設定する手法が必要であり、非発生降雨精度のみでCLを設定し、精度の良い発生降雨を入手してCLの見直しを図るまでの間、仮のCLとして警戒避難に役立てることができる。本実施例ではνSVMを適用し、はずれ値を客観的に判断することで災害実績の少ない地域でも非発生降雨のみでCLの設定を試みる。
サポートベクターマシンには、二つの集合A、B(本発明でいう発生、非発生)の完全分離を目的としたハードマージン法と、ある程度の誤判別(ノイズ)を許容したソフトマージン法が存在する。
先ず完全分離を目的としたハードマージン法の概念を説明する。図6に示すように二つの集合A(発生)、B(非発生)がある場合、この二つの集合を分離する最適な分離超平面H0は、式(3)で表現され、
一方、ソフトマージン法は、図8に示すように、マージンを最大化すると同時にスラック変数ξを導入して、これを最小化する。スラック変数ξを導入することで、制約条件を緩め、誤判別を許容することができる。どの程度、誤判別を許容するかは、Cによって決まり、Cを大きくすれば、誤判別の度合いをより小さくするため、ハードマージン法に近い判別結果となる。
本実施例ではサポートベクターマシンの中でも特に上記のソフトマージン法に着目し、散発的ながけ崩れをノイズと解釈することで、このソフトマージン法を用いて客観的に散発的ながけ崩れを選別しながら、CLの設定を試みる。
以上の考えは、全て線形分離可能な問題に対して有効であり、非線形性が強く線形分離不可能な場合は、次のような検討を行う。図9に示すように原空間Xは、ある非線形写像(z=φ(x))によって高次元の特徴空間Zにマッピングされ、線形分離可能な状態となる。この状態に前述のソフトマージン法を適用すれば最適な非線形の分離超平面を得ることができる。本発明では、土砂災害発生限界線の設定に関して線形分離が可能な場合(線形CL)にも適用できるが、本実施例では特に線形分離不可能な場合(非線形CL)の例を取り上げることとした。
最適な分離超平面は、図10に示すようにあらかじめ決められた割合νのサンプル群(はずれ点)が原点側に残るように設定される。したがって、式(15)のνははずれ点の範囲を決定するパラメータであり、νが大きいほどはずれ点の範囲が広がる。すなわち非線形CLの安全領域が小さくなることを意味する。このνもサポートベクターマシンのパラメータ と同様に実験的に検討する必要がある。なおサポートベクターはα>0の非発生降雨となる。
式(15)と(16)を解き、得られたαとρによって、識別関数は以下のようになる。
中国地方でも山口県は土砂災害が多い地域であり、特に下関市は県内で危険箇所の数が最も多く、警戒避難体制の早期充実が望まれる地域の一つである。本実施例では、下関市内で発生した土砂災害の中で、下関気象台を中心に半径5km圏内で発生したがけ崩れ災害(1975年〜1999年:80件、2000年〜2003年:33件)を解析の対象とした。なお本実施例ではCL設定の最小単位を下関気象台から半径5km圏内に設定しているため、地点毎に異なる地形・地質・植生要因等の差異(危険度)は検討していない。
集中的に発生するがけ崩れとは、定性的に実効雨量が一定以上となった場合に、一連降雨(24時間連続して無降雨である期間で区切られた一連の雨)のピーク付近で面的に限られた範囲で発生する崩壊と定義されている。本実施例では、この定義を参考に下記の条件で集中発生と散発発生を分類した。
集中発生:一連降雨の時間雨量及び実効雨量(半減期72時間)のピーク後3時間以内に発生した災害の中で、実効雨量(半減期72時間)が140以上
散発発生:上記以外のがけ崩れ災害
上記の条件により、本実施例では1975年〜1999年のがけ崩れ発生降雨80件を集中発生39件と散発発生41件に分類した。集中発生と散発発生の分類結果は、図11(a)に示すとおりである。線形CLの設定に用いる発生降雨は、発生時刻における実効雨量(半減期1.5時間)と実効雨量(半減期72時間)の組合せの中で集中発生のみを使用し、非発生降雨は非発生の一連降雨の中で原点から最も離れた実効雨量(半減期1.5時間)と実効雨量(半減期72時間)の組合せを使用した。線形CLは、図11(b)に示すように集中発生の中で最も原点よりの降雨に対する下限とし、直線の傾きは非発生降雨に対する的中率が最も高くなるように設定した。図11(b)より線形CLは、形状が直線であるためCLを超過した非発生降雨が複数存在することが分かる。
本実施例では上記のΔRx、ΔRyを先行技術の方法に従って、それぞれΔRx=5.0mm、ΔRy=1.5mmとした。その他にもRBFNを利用して非線形CLを設定するには、パラメータとして基底関数の半径Rx,Ry、非発生降雨に対する抑制パラメータλmax、λmin、発生降雨に対する抑制パラメータλmax、λminを設定する必要がある。本実施例では先行技術の方法に従ってそれらのパラメータをそれぞれRx=35.0mm、Ry=10.5mm、非発生降雨の抑制パラメータλmax=100、λmin=1、発生降雨の抑制パラメータλmax=λmin=10とした。図14に設定したRBFN-CLを示す。
RBFNによる先行技術では、発生・非発生降雨の全てに基底関数を配置した場合、極端なデータの粗密により汎化能力の低い非線形CLが構築される恐れがある。したがってRBFNによる先行技術では、前処理として上記のクラスタリングを行い、データの密度をある程度均等化する必要がある。なおサポートベクターマシンでは、非線形CLを設定する際に非発生降雨に対して、上記のクラスタリング処理を行う必要はないため、RBFN-CLよりも解析が容易である。
一方、正規化した発生・非発生降雨に基づき決定したパラメータは、降雨条件の異なる地域においても、概ね最適なパラメータとして使用し得るものであり、本実施例により得られたサポートベクターマシンのパラメータのノウハウを利用でき、改めての試行錯誤を要さず、汎化能力の高いSVM-CLを設定することができる。本実施例では、SVM-CLを設定に用いる発生降雨及び非発生降雨を平均値 と標準偏差 によって次式(18)により正規化を行う。
重要度は、重要データ、不要データ、異常値の定義による各データセットの分類結果を示すものである。表4よりID1のデータセットは、非発生と正判別されており、αi>0であるため非発生のサポートベクターとなる。またf(x)の値は0.989であり、−1≦f(x)≦+1の範囲にあるため重要データに分類される。
表4よりID747のデータセットは、発生のサポートベクターであり、f(x)の値も-0.561であるためID1と同様に重要データに分類される。またID487のデータセットは発生のサポートベクターであるが、識別結果が誤判別(f(x)=1.003)であるため異常値(散歩発生)となる。その他のαi=0となるデータセットは全て不要データとなる。
土砂災害の発生、非発生降雨の分離超平面としては、図21に示すように自然現象と矛盾しないためには傾きが常に負になる必要がある。図15に示す分離超平面は、非線形性が強く一部傾きが正になる領域があるため、現時点より大きな降雨を経験したにも関わらず、土砂災害発生の危険度が低くなるという点で自然現象に矛盾した形状といえる(図21参照)。したがって、図15に示すCの範囲は、分離超平面の設定に適さないと判断できる。
図16乃至図20は、Cを徐々に小さくして分離超平面を設定した例を示している。Cを小さくすることで誤判別を多めに許容することとなり、分離超平面はシンプルな形状を呈することが分かる。図16乃至図20のようにCをいくつか変更して分離超平面を設定した結果、C=1〜10で分離超平面が自然現象に矛盾しない滑らかな右下がりの形状を示した。その中でもC=1は非発生降雨をより多く捕捉している。また図19、図20のようにCを1より小さくしても形状や非発生降雨の的中率に差は生じないことから、同条件の場合はCがより大きい程学習が正確であるため、本実施例ではC=1を最適値と判断した。なお、半径rは、前述したようにr=1とした。
また図18よりサポートベクターマシンにより分離超平面を設定することで、分離超平面の設定に関して重要度の高いサポートベクター(重要データ)、不要なデータ、異常値を客観的に分類できることが分かる。
SVM−CL、RBFN-CL、提言案の予測精度の検証結果は表5に示すとおりである。表5は解析に使用した1975年〜1999年の発生降雨と非発生降雨に対する予測精度の検証結果である。なお提言案との比較を行うため、発生降雨は提言案の定義に基づく集中発生に対してのみ行った。表5よりSVM-CL、RBFN-CL、提言案ともに集中発生に対しては的中率100%であるが、非発生降雨に対してはSVM-CL、RBFN-CLが提言案より7%程度精度向上がみられた。またRBFN-CLと比較してSVM-CLの予測精度は0.6%程高い結果となった。
(2)RBFNで非線形CLを設定するには、格子間隔ΔRx、ΔRy、基底関数の半径Rx、Ry、非発生降雨の抑制パラメータλmax、λmin、発生降雨の抑制パラメータλmax、λmin、計8つのパラメータ試行錯誤して最適値を検討する必要がある。一方、サポートベクターマシンでは基底関数の半径r、誤判別を許容する割合を決めるC、計2つのパラメータの最適値を検討するだけでよい。したがってサポートベクターマシンはRBFNと比較して検討するパラメータの数が少ない。
(3) サポートベクターマシンでは解析の結果、非線形CLを設定できるだけでなく、非線形CLの設定に関して重要度の高いサポートベクター(重要データ)、不要なデータ、異常値を客観的に分類することができる
以上、サポートベクターマシンによる非線形CLの設定手法は、上記の3点でRBFNによる先行技術よりも優れているといえる。なお上記に示した(3)の特徴を利用した実施例を参考例2として以下に説明する。
更新データ:-(1+ε)≦f(x)≦(1+ε)の重要データ、不要データ、異常値
参考例2の結果を図24乃至図29に示す。図24乃至図29では、ε=0(重要データのみ使用)、ε=0.001、ε=0.005の3ケースで検討した。ε=0とした場合を図24(a),(b)、図25(a),(b)、ε=0.001とした場合を図26(a),(b)、図27(a),(b)、ε=0.005とした場合を図28(a),(b)、図29(a),(b)に示す。
図24乃至図29より、3ケースともに1年毎に更新した非線形CLでは、形状に大きな差異はないことが分かる。これは、更新期間がわずか3年であるため、地盤強度などの条件がほとんど変化せず、過去の災害実績に比べて大規模な発生降雨、あるいは非線形CLを超過する非発生降雨が生じない限り、CLは大きく変化しないと推察され、妥当な結果と判断できる。実際に対象地域では2000年〜2002年にがけ崩れ災害が3件のみであり、過去の災害実績と比べても特に大きな降雨ではなかった。
図30乃至図35より、3ケースともに1993年の非線形CLは、1983年の非線形CLと比較すると、実効雨量(半減期1.5hr)60mm〜70mm付近に非発生の重要データが存在するため、安全領域が縦軸方向に大きく拡大している。また2003年にはがけ崩れが多発したこと、県内に密に配置された砂防雨量計の降雨データを使用できたことによって、信頼性の高い発生降雨をSVM-CLに反映することができた。その結果2003年の更新時では、今まで非発生降雨が少なく安全領域として信頼性の低かった範囲に発生降雨が増えたため、更新後の非線形CLでは縦軸方向の安全領域が以前より小さくなったことが分かる。このことからCLは、精度の良い発生・非発生の降雨が入手できた場合は逐次更新を行う必要があり、そのためにはCLの更新はできるだけ容易かつ効率的に実施することが重要と改めて認識できる。
なお、本実施例で使用したデータでは、εを変化させても更新結果に大きな差異は生じなかったが、他の地域で本発明を適用する場合には最適なεを実験的に検討する必要がある。
また近年、各都道府県は土砂災害の警戒避難や水防活動に役立てる目的で、雨量局を密に整備しはじめている。山口県でも県内に砂防雨量局が110箇所設置されており、10分間単位の精度の良い降雨データを入手することができる。すなわち、今後は発生降雨を含めて精度の良い非発生降雨をより細かい単位で入手することができると考えられる。したがって、細かい地域単位で警戒避難を実施する場合も発生降雨が入手できるまでの間、精度の良い非発生降雨で非線形CLを設定することは重要である。
本実施例では、非発生降雨のみで非線形CLを設定する参考例4として表8、表9及び図39を用いて説明する。上記の砂防雨量局の中で近年災害実績のない新町雨量局の非発生降雨(2000年〜2003年)を用いて、νSVMによる非線形CLの設定を次のように行った。
νSVMの解析は、表8(c)のデータから式(16)を用いて最適化し、αi (i=1,2,...,n)とバイアス項であるρの値を演算することにある。
表9は、参考例4としてνSVMによる解析結果を整理した一覧表である。表9では、各データセットに対するrと の値、αi(i=1,2,...,n)とρの値、f(x)の値、識別結果、重要度が整理されている。f(x)の値、識別結果、重要度の意味は参考例1と同様である。
Claims (10)
- 情報入力装置と、情報格納装置と、情報演算装置と、情報出力装置を有し、各地域における降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を用いて土砂災害の発生限界線、避難基準線あるいは警戒基準線(以下、これらを総称してCLと略す場合がある。)を演算する防災事業計画支援システムであって、
前記情報入力装置は、前記各地域における降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報(以下、降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を解析データと呼ぶことがある。)と、前記CLを演算するための解析パラメータ及び解析モデルとを、前記情報格納装置に入力可能な手段であって、
前記情報演算装置は、前記解析モデルを前記情報格納装置から読み出して、この解析モデルに前記情報格納装置から読み出された解析パラメータ又は前記情報入力装置から入力された解析パラメータを入力する解析パラメータ設定部と、
前記情報格納装置から解析データを読み出して又は前記情報入力装置から入力された解析データを用いて前記CLを演算する判別境界面解析部を備え、
前記情報出力装置は、前記解析データと解析パラメータと解析モデルとCLのうち少なくとも1の情報を出力可能な手段であることを特徴とする防災事業計画支援システム。 - 前記情報入力装置は、前記演算されたCLに対する要求水準を入力可能な手段であって、
前記情報演算装置は、前記降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を前記情報格納装置から読み出して又は前記情報入力装置から入力された降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を用いて、前記判別境界面解析部で演算されたCLに対して土砂災害が発生した場合の降雨データに対する発生的中率及び/又は土砂災害が発生しなかった場合の降雨データに対する非発生的中率を演算し、前記要求水準と比較して前記CLの精度を検証するCL精度検証部を備えることを特徴とする請求項1記載の防災事業計画支援システム。 - 前記解析データには、降雨データ以外に、前記各地域内に含まれる地点の災害を引き起こす要因のうち少なくとも1要因に関する属性値又は評価値を含み、この属性値又は評価値を危険度とし、その大小に応じて前記地点を分類して、この分類毎に前記CLを演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防災事業計画支援システム。
- 前記解析データには、降雨データ以外に、前記各地域内に含まれる土砂災害を引き起こす要因のうち少なくとも1要因に関する属性値又は評価値を含み、前記判別境界面解析部は、前記属性値又は評価値を含む解析データを前記情報格納装置から読み出し、あるいは前記情報入力装置から入力された解析データを用いて、前記要因のカテゴリー区間の各々で土砂災害発生・非発生の実績情報から土砂災害発生率を演算し、その土砂災害発生率を前記地点の危険度とし、大小に応じて前記地点を分類して、この分類毎に前記CLを演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防災事業計画支援システム。
- 前記解析モデルはサポートベクターマシン(以下、SVMと略すことがある。)であって、
前記判別境界面解析部は、前記CLの演算に用いた前記解析データの内、サポートベクターマシンによって分類されるサポートベクターを抽出し、これを前記情報格納装置に格納しておき、その後に前記解析データが追加データを蓄積した場合には、前記サポートベクターと前記追加データを用いてCLを演算することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の防災事業計画支援システム。 - 前記サポートベクターマシンによって前記サポートベクターに分類されなかった解析データの内、前記サポートベクターマシンの分離超平面f(x)=±1から予め定めた距離εに含まれる前記解析データを前記サポートベクターと前記追加データに含めてCLを演算することを特徴とする請求項5に記載の防災事業計画支援システム。
- 前記解析モデルのサポートベクターマシンは、下式で表現されるソフトマージンを有するサポートベクターマシンであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の防災事業計画支援システム
- 前記解析モデルのサポートベクターマシンは、下式で表現されるνサポートベクターマシンであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の防災事業計画支援システム
- 降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報と土砂災害を引き起こす要因毎の評価値を用いてCLを演算する防災事業計画支援方法であって、
解析パラメータ設定部によって、予め情報格納装置に格納された解析モデルを読み出して、この解析モデルに前記情報格納装置から読み出された解析パラメータ又は情報入力装置から入力された解析パラメータを入力する工程と、
判別境界面解析部によって、前記情報格納装置から解析データを読み出して又は前記情報入力装置から入力された解析データを用いて前記CLを演算する工程と、
情報出力装置によって、前記解析データと解析パラメータと解析モデルとCLのうち少なくとも1の情報を出力する工程を有することを特徴とする防災事業計画支援方法。 - 降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報と土砂災害を引き起こす要因毎の評価値を用いてCLを演算しこのCLを要求水準で検証する防災事業計画支援方法であって、
要求水準設定部によって、予め情報格納装置に格納された要求水準を読み出し又は入力部から入力された要求水準を用いて前記CLに対する要求水準を設定する工程と、
解析パラメータ設定部によって、予め前記情報格納装置に格納された解析モデルを読み出して、この解析モデルに前記情報格納装置から読み出された解析パラメータ又は前記情報入力装置から入力された解析パラメータを入力する工程と、
判別境界面解析部によって、前記情報格納装置から解析データを読み出して又は前記情報入力装置から入力された解析データを用いて前記CLを演算する工程と、
CL精度検証部によって、前記降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を前記情報格納装置から読み出して又は前記情報入力装置から入力された降雨データと土砂災害発生・非発生の実績情報を用いて、前記判別境界面解析部で演算されたCLに対して土砂災害が発生した場合の降雨データに対する発生的中率及び/又は土砂災害が発生しなかった場合の降雨データに対する非発生的中率を演算し、前記要求水準と比較して前記CLの精度を検証する工程と、
情報出力装置によって、前記解析データと解析パラメータと解析モデルとCLのうち少なくとも1の情報を出力する工程を有することを特徴とする防災事業計画支援方法。
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