JP4817363B2 - 危険度評価システム - Google Patents
危険度評価システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4817363B2 JP4817363B2 JP2006038693A JP2006038693A JP4817363B2 JP 4817363 B2 JP4817363 B2 JP 4817363B2 JP 2006038693 A JP2006038693 A JP 2006038693A JP 2006038693 A JP2006038693 A JP 2006038693A JP 4817363 B2 JP4817363 B2 JP 4817363B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- data
- disaster
- risk
- hyperplane
- factor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 238000012502 risk assessment Methods 0.000 title claims description 16
- 238000000926 separation method Methods 0.000 claims description 99
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 claims description 64
- 230000008439 repair process Effects 0.000 claims description 58
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 claims description 47
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 claims description 29
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 claims description 18
- 238000010276 construction Methods 0.000 claims description 13
- 238000003860 storage Methods 0.000 claims description 12
- 238000007689 inspection Methods 0.000 description 39
- 238000000034 method Methods 0.000 description 20
- 238000012423 maintenance Methods 0.000 description 18
- 238000007726 management method Methods 0.000 description 12
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 10
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 9
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 description 8
- 239000011435 rock Substances 0.000 description 8
- 239000010959 steel Substances 0.000 description 8
- 238000012876 topography Methods 0.000 description 8
- 238000000605 extraction Methods 0.000 description 7
- 238000000585 Mann–Whitney U test Methods 0.000 description 6
- 238000009826 distribution Methods 0.000 description 6
- 230000006870 function Effects 0.000 description 6
- 230000002265 prevention Effects 0.000 description 6
- 230000002159 abnormal effect Effects 0.000 description 5
- 230000009471 action Effects 0.000 description 5
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 5
- XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N water Substances O XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 5
- 230000008569 process Effects 0.000 description 4
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 3
- 230000007774 longterm Effects 0.000 description 3
- 239000000463 material Substances 0.000 description 3
- 238000013461 design Methods 0.000 description 2
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 2
- 230000007613 environmental effect Effects 0.000 description 2
- 239000000284 extract Substances 0.000 description 2
- 231100001261 hazardous Toxicity 0.000 description 2
- 238000011835 investigation Methods 0.000 description 2
- 238000013507 mapping Methods 0.000 description 2
- 238000003672 processing method Methods 0.000 description 2
- 239000008262 pumice Substances 0.000 description 2
- 238000011158 quantitative evaluation Methods 0.000 description 2
- 238000011160 research Methods 0.000 description 2
- 230000004044 response Effects 0.000 description 2
- 239000002689 soil Substances 0.000 description 2
- 238000000547 structure data Methods 0.000 description 2
- 238000012706 support-vector machine Methods 0.000 description 2
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 230000015556 catabolic process Effects 0.000 description 1
- 230000008859 change Effects 0.000 description 1
- 238000000546 chi-square test Methods 0.000 description 1
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 1
- 238000006731 degradation reaction Methods 0.000 description 1
- 230000001066 destructive effect Effects 0.000 description 1
- 238000003745 diagnosis Methods 0.000 description 1
- 238000002955 isolation Methods 0.000 description 1
- 239000004973 liquid crystal related substance Substances 0.000 description 1
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 1
- 238000012067 mathematical method Methods 0.000 description 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 1
- 230000003340 mental effect Effects 0.000 description 1
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 description 1
- 238000003909 pattern recognition Methods 0.000 description 1
- 230000002028 premature Effects 0.000 description 1
- 238000011002 quantification Methods 0.000 description 1
- 230000002787 reinforcement Effects 0.000 description 1
- 238000012827 research and development Methods 0.000 description 1
- 238000012552 review Methods 0.000 description 1
- 239000004576 sand Substances 0.000 description 1
- 230000008054 signal transmission Effects 0.000 description 1
- 230000002269 spontaneous effect Effects 0.000 description 1
- 238000007619 statistical method Methods 0.000 description 1
- 230000029305 taxis Effects 0.000 description 1
- 230000002123 temporal effect Effects 0.000 description 1
- 238000012549 training Methods 0.000 description 1
- 230000007704 transition Effects 0.000 description 1
- 238000012795 verification Methods 0.000 description 1
- 238000011179 visual inspection Methods 0.000 description 1
Landscapes
- Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
Description
このため、評価結果と実際の損傷状況に食い違いが生じることも多く、また評価者が変われば評価そのものが全く変わってしまう等、精度上の問題、客観性の課題が残されていた。
土木構造物については、維持管理による有効利用が求められる昨今にあって、既存の社会資本の保守事業遂行は急務であるが、これをより効率的に実施するためには一層高精度且つ客観性を有した損傷状況の評価手法の確立が不可欠であると考えられる。
また、このような評価手法は、土木構造物の他に、例えば土砂災害などの自然災害においても未然防止の観点から急峻な斜面に対して補強工事や排水溝などの対策工を施すなどする際に、その危険度を評価するために必要であり、本願発明者らは既に自然災害の未然防止の観点から様々な検討を実施している。
その結果、例えば非特許文献1では、横軸に実効雨量、縦軸に時間雨量をとった判別境界面が曲線の集合として描かれる。
この曲線は、いわば等高線を示したもので、これが非線形のがけ崩れ発生限界線を示している。判別境界面は、災害の発生、非発生の実効雨量と時間雨量をプロットしながら、その高さ方向として災害の発生の場合には教師値を−1とし、非発生の場合には教師値を+1とした放射状基底関数を考え、その重ね合わせによって演算されたものである。従って、これらの等高線は、原点に近い方が高いもので、原点の存在する左下の角から対角方向に向かってなだらかに低いものとなっている。
このような災害の発生限界線や避難基準線、警戒基準線(以下、これらを総称してCLという。)を定量的、客観的に描くことによって精度の高い防災事業の立案の判断が可能であり、また、コンピュータ処理によって膨大なデータを短時間に処理できることから、CLの陳腐化を防止して精度の高い情報を提供できるのである。
本特許文献1に開示される災害対策支援システムは、基本的にはif−then形式で、予め発生する事象とそれに対応する対策を関連付けて格納された対策リストを読みだして、対応するものである。災害時に精神的、時間的、人的に余裕のない状況で、的確な判断を可能とすべくなされたものである。また、標準的な作業時間と実働時に要した作業時間及び対策可能な残り時間を表示することで、対策進捗状況をリアルタイムに把握することが可能であると同時に、重要度の高い対策と低い対策を取捨選択するためにも用いることができる。
このようにして得られたCLを用いることで、信頼性の高い警戒避難支援システムを提供することが可能である。
特許文献3では「コンクリート構造物の維持管理装置」としてコンクリート構造物の劣化現象が影響を受ける自然環境やコンクリート材料、施工方法などの要因を考慮しながら施設等の維持管理に関する費用を正確に算定することが可能な発明が開示されている。本発明においては、将来の劣化状態を予測する第1の劣化状態予測手段と、補修後の劣化状態を予測する第2の劣化状態予測手段と施設等における潜在的な被害の大きさをリスクとして定量的に算出する潜在リスク演算手段を備えている。これらの構成要素によって、それぞれ劣化状態や潜在的なリスクを演算することが可能である。
また特許文献4では、「構造物の維持経営システム、維持経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置」として、中小規模分散型の構造物について、安全性を確保しつつ民間資金の導入を可能として、税金ないし補助金のみによる構造物の管理システムに関する発明が開示されている。
本構造物の維持経営システムにおいては、構造物の余寿命および耐力などの特性を定量的に把握してそのデータが格納される構造物データファイルを備えて橋梁その他の構造物の状態を、たとえば余寿命および耐力あるいは疲労損傷の程度などおよびこれらに対する劣化・損傷予測として定量的に診断すること、それに対処する対策工法や経費を的確に選定できるシステムを構築することにより維持管理ないし維持経営のための費用を的確に査定することを可能とするものである。
倉本和正 他5名:RBFネットワークを用いた非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定に関する研究、土木学会論文集のNo.672/VI−50,pp.117−132,2001.3
一般的に、災害発生の危険度や構造物の補修工事の必要度に関しては、これらに関する健全性劣化の要因データによって解析されるが、この要因データはその対象物が備える潜在的な要因である素因と偶然に生じて災害発生の危険度や補修工事に必要度を増大させる誘因に分類することができる。
このような状況下で、先の非特許文献1及び特許文献2に開示された発明を考えてみると、客観的、定量的な評価であっても、災害発生の要因データのうち、誘因に係る要因データの影響が大きく、その誘因が生じない場合にはそのような災害が発生するかどうかという点で精度が高い解析とはならない可能性があるという課題があった。
また、特許文献4に開示される発明においても構造物データベースを備えることで構造物の余寿命、耐力、疲労損傷の程度などを劣化・損傷予測として定量的に診断することが可能とされているが、その構造物データベースに入力されるべき評価の内容は専門家支援によるものであり、段落0022によれば構造物の状態を、目視検査などの定性的判断に加えて、客観的に診断もしくは性能評価することにより該構造物の余寿命および耐力などの特性を定量的に把握してこの構造物データファイルにデータベース化するとあるが、この定量的な把握の方法の具体的な内容は不明であり、結局従来の評価方法によるものという課題は残されたままである。すなわち、本発明は、これまで実施されてきた内容のことをコンピュータとそれに接続されるデータベースを用いて実施するものであり、その演算内容やデータコンテンツなどは旧来のものと考えられる。
また、橋梁、トンネル、鉄塔等の土木構造物は、維持管理のために日常的に点検が行われ、損傷が認められた場合にはその程度を判断し、必要な補修対策がとられるのが常である。この点検業務には現地で簡便に利用することができるチェックシート(点検データシート)が利用されている場合が多い。これらのシートでは対象物の損傷状況に応じて評点をつけることにより現況の安全性が評価できるように工夫されている。ただし、シートの評点決定に関して明瞭な決定根拠が示されているものはほとんどなく、最終的な判断は高度な技術者の判定に委ねられることも少なくない。
これについて、既往の点検データと補修実施の実績データから、サポートベクターマシン(以後、SVMと略す場合がある。)等の数学的なパターン分類手法を用いることにより補修の要否を設定することも考えられるが、本発明では、学習において判別のための教師値を必要としないνサポートベクターマシン(以下、νSVMと表記)を利用して危険度を評価する手法を考案した。この方法を使用することにより、上記のような誘因の大小に関わらず潜在的危険度を有する地点を正しく評価することが可能になり、より高精度な危険度の設定ができる。また、危険度はνSVMにより分離超平面と各データの距離f(x)として算出されるため、連続的な値で危険度の指標を得ることが可能となり、危険度に応じた対策事業の優先順の検討等において大きな効果が期待できる。
まず、SVMは、現在知られている手法の中でも最もパターン認識性能の優秀な学習モデルの一つであり、あるパターン分類問題が線形分離不可能な場合、ある非線形写像により、線形分離可能な高次元空間にマッピングを行い、線形分離可能な状態とすることで、最適な分離超平面を求めることができる。
本発明でも,危険度評価手法としてSVMを用いる。特に、本発明では、図1に示されるように、危険状況発生の履歴データに頼ることなく、素因のみで危険性の高い危険箇所とそうでない箇所とを客観的に分離可能なνSVMを採用した。
νSVMのνとは、全データのうち異常値データとして分離超平面の外側に配されるデータ数の上限値を設定するものである。例えば、ν=0.8であれば、全体データの8割がサポートベクタの上限値になるように設定するものである。また、分離超平面構築の際に必要なデータをサポートベクタという。つまり、νの値は、大きくなるとより少ないデータによって分離超平面を構築し、逆にνが小さくなると少ないデータで分離超平面を構築する傾向にある。
図2において、危険度評価システムは入力部1と演算部2と出力部6と複数のデータベース8、11、13、17、20から構成されている。
入力部1は、これらのデータベースに格納されるデータ7aや解析条件7bを予め入力したり、或いは演算部2の作動時に直接データ7aや解析条件7bを入力するために使用されるものである。具体的に、例えば、キーボード、マウス、ペン、タブレット、或いは、コンピュータ等の解析装置や計測機器から通信回線を介してデータを受信する受信装置など複数種類の装置からなり目的に応じた使い分け可能な装置が考えられる。
演算部2はデータベースから読み出したり、入力部1から入力される分離超平面データベース11や災害危険箇所データに関するデータ9、及び構造物の点検データ10を用いて、解析条件設定3、分離超平面解析4、分離超平面評価部19、危険度の算出及び危険度順位設定5の解析を行うセクションにより構成されている。演算部2として、具体的にワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータが考えられる。
また、データベースとしては、災害危険箇所データ9及び構造物に対する過去の点検データ10が格納される災害危険箇所データベース・点検データベース8、危険度を算出するために必要な分離超平面データ12を格納するための分離超平面データベース11、種々の解析のための解析条件データ14、パラメータデータ15、危険度関数データ16を格納するための解析データベース13、更には演算部2を用いて解析された結果得られた危険度データ18を格納する評価情報データベース17がある。このうち、上記の災害危険箇所データ9及び構造物に対する点検データ10は構造物の損傷に関する要因値や地形要因のみで構成されており、νSVM以外の手法において必須であった教師値データ、例えば、構造物の補修工事実績データや災害実績データ等を含まないデータセットの形態をとるものである。災害危険箇所データ9及び構造物に対する点検データ10に含まれない災害履歴データ21や補修実績データ22は、別途災害履歴データベース及び補修実績データベース20に格納されており、分離超平面評価部19において分離超平面解析部4によって構築された分離超平面の評価を行う際のみに使用される。
ハードウェアとしてのデータベースは具体的には、磁気ディスクや光ディスク等のコンピュータ用の記憶装置にデータを格納したものが考えられ、出力部6としては、CRT、液晶、プラズマ或いは有機ELなどによるディスプレイ装置、或いはプリンタ装置などの表示装置、更には外部装置への伝送を行うためなどのトランスミッタなどの発送装置などが考えられる。
図3のステップS1にも示されるとおり、入力部1によるデータ入力処理では、先ず、データを入力する処理を行うが、その入力データとしては、例えば、災害危険箇所データベース・点検データベース8に格納される地形・地質・環境に関する要因、或いは構造物の劣化の要因に係る定量的なデータ(以下、要因データ)として、過去の調査によって得られた災害危険箇所データ9や過去の点検データ10がある。なお、要因データの定量的とは、例えば要因として漏水を考えた場合に、その単位時間の漏水量を立法メートル毎時などとして測定した場合のその数値を意味したり、或いは例えばボルトの緩みを判断する場合に3段階のレベルで表現した場合には、そのレベル1、2、3なども定量的とするものである。すなわち、物理量として数値で表現できるもののほか、非物理量であったり、定性的にしか表現でいないような場合に、その状態を何らかのレベルで表現するような場合もそのレベルの数値をもって定量的とするものである。また、分離超平面データベース11に格納される分離超平面データ12がある。
これらの入力データの他、解析データベースに格納される解析条件データ14やパラメータデータ15などもある。なお、本実施の形態に係る危険度評価システムは、災害危険箇所データ・点検データベース8に格納されている災害危険箇所データ9・点検データ10にある要因データのみを解析に利用し、教師値データは使用しない。
本実施の形態においては、ステップS1として最初にデータ入力処理を実施するようにしているが、解析の工程に合わせて適宜データを入力するようにしてもよい。
表2は急傾斜地崩壊危険箇所データベースで、急傾斜地崩壊危険箇所の延長から湧水までの26個の地形地質・環境要因で構成されている。
表3は鋼橋点検データベースで、ボルトの緩みや異常音など9個の損傷に関する要因で構成されている。
表4は、発電所維持管理用斜面カルテで地形・土質・地質・構造・表面の形状などに関する14個の地形要因から構成されている。
ここで解析条件設定部3は、入力部1を介して、どのような条件で解析を行うかについての入力を促し、入力された条件をキーとして、災害危険箇所データベース・点検データベース8と分離超平面データベース11にアクセスして該当する災害危険箇所データ9、点検データ10と分離超平面データ12を読み出す。入力を促すために表示される災害危険箇所データベース・点検データベース8と分離超平面データベース11に格納されているデータ内容或いはデータ構造を示すパラメータデータ15は、解析データベース13に格納されているため、解析条件設定部3はまず、この解析データベース13にアクセスして、パラメータデータ15を読み出して、そのパラメータデータ15を出力部6を利用して表示などさせるとよい。
この表示を受けて本危険度評価システムのユーザーは、災害危険箇所データ9や点検データ10を入力した後に分離超平面データ12の解析ができる。また、分離超平面データベース11に格納されている分離超平面データ12を読み出す場合には、後で、災害危険箇所データ9や点検データ10の入力を行うことが可能である。
本危険度評価システムにおいて、解析条件設定部3の説明では、分離超平面データベース11に格納されている分離超平面データ12を読み出されるように説明したが、前述の通り、災害危険箇所データ9や点検データ10から解析して求める場合は、ステップS2において解析条件を設定した後に、分離超平面解析部4において、分離超平面データ12の解析を行うものとする。また、解析データベース13に格納されているパラメータデータ15を用いる場合には、ステップS2において、要因データの入力を行う。なお、解析によって得られた分離超平面データ12は分離超平面データベース11に格納され、次回の解析に用いることも可能である。
さらに、分離超平面評価部19は、分離超平面解析部4において解析された分離超平面データ12を分離超平面データベース11から読み出して、さらに災害履歴データベース・補修実績データベース20に格納されている災害履歴データ21あるいは補修実績データ22を読み出す。そして、この読み出された災害履歴データ21あるいは補修実績データ22をキーとして、災害危険箇所や構造物における災害危険箇所データ9や点検データ10の中から、対象となる素因となる要因データを選択して読み出して、この素因に係る要因データを座標として解析された分離超平面データ12から構成される分離超平面に入力し、この場合に分離超平面からこの座標までの距離を演算して分離超平面の精度を解析するものである。
この精度の良否は、表5に示されるパラメータ設定条件を基に、式1で表現される発生的中率によって判断される。すなわち、素因に係る要因データを用いて解析された分離超平面に対して、災害履歴データ21あるいは補修実績データ22を入力して得られる危険度あるいは補修工事の必要度が、その履歴や実績とどの程度乖離しているかを式1の発生的中率によって判断し、予め、そのクリティカルな発生的中率を解析データベース13の解析条件データ14として格納しておいて、このクリティカルな発生的中率と比較しながら、履歴や実績に合致するほど精度の高いすなわち適切な分離超平面データ12を確定することができる。
図4はνSVMを用いて解析した分離超平面を2次元イメージにした概念図である。図4は横軸に土石流危険渓流の地形要因の1つである流域面積をとり、縦軸には同じく土石流危険渓流の地形要因の1つである渓流長をとるものである。本図は概念図であるため、詳細に軸目盛を付していないが原点から遠ざかる程、要因値が大きくなるものである。図中の太い破線で示されているものが分離超平面を表している。
この分離超平面を構築するのが、分離超平面データベース11に格納されている分離超平面データ12である。
また、白丸は災害危険箇所データ9に属する地形要因を2次元平面上にプロットしたものである。図中では分離超平面から危険側へ離れるほど災害発生の危険性を有している。
図4は、白丸は災害危険箇所データ9に属する地形要因を2次元平面上にプロットしたものである。図中の太い破線で示したものが分離超平面でありf(x)=0である。本発明では、この分離超平面を基準とし、図中にプロットされているデータとの間の距離をf(x)とする。また距離f(x)は、分離超平面と要因データとの最短距離であり、本発明ではそれを危険度として扱う。
危険度演算部5において演算された距離は、演算された距離は危険度データとして評価情報データベース17に格納される他にも、出力部6を介して直接出力される場合もある。また、出力部6には、ある地域の災害危険箇所データ9、或いは点検データ10に含まれる要因データや、解析に使用された分離超平面に関する分離超平面データ12を表示あるいは信号送信等で出力する。
また、距離で表現されているので、評価対象の危険箇所や構造物における危険性が定量的に表現され、他の危険箇所や点検箇所との比較においても客観的に判断が可能である。
図4に示される各データは、災害毎に地形要因データが異なり、また構造物ではその種別毎に損傷要因データが異なるために2次元平面で様々な位置にプロットされるが、それらのデータ収集を重ねることによって注目すべき地形要因、或いは補修対象となる箇所の評価の精度が向上し、より普遍的、一般的な評価を行うことができる。
図5のように、νSVMでは教師値データに頼ることなく、地形要因の要因値を用いて形成された分離超平面を基準に、潜在的に危険である箇所と安全である箇所に分けることができる。図5で示した各データに関して、たまたま災害履歴データがあった場合、災害履歴データ21からそれを読み出して過去の災害履歴によって色分けして表現すると図6のようになるものとする。教師値を用いずに分析されるνSVMにおいては外側に分布するデータに過去の災害履歴を持つものと持たないものが混在する可能性が高い。しかしながら、過去の災害履歴の有無については、これまでの誘因の作用状況に作用される場合が大きく、分離超平面の外側にある非発生データについて一概に誤判別と考えることは適切でないものと考えられる。
そこで、本実施例では発生履歴を持つデータの分布のみに注目し、以下の式1により発生的中率を求めることとした。
図9 (b)より、危険領域側の方が発生的中率が高くなる評価ができている。
表9は災害履歴の無い地域のデータについての危険度設定結果(f(x)値)と各要因データを示したものである。ここで、危険度上位と判定されたデータは各要因が大きな値をとっていることが確認できる(表の太枠で囲んだ値は各要因値の上位5位までを示す)。このことは、先のウィルコクソン順位和検定結果と併せて、本実施例による危険度評価が妥当に行われたことを示すものと考えられる。
以上のことから、潜在的危険度を有する地点を教師値データ用いることなく評価することが可能であることが分かった。本手法を適用することで設定される危険度の値は要注意箇所を特定する有効な指標となることが考えられる。
図12(a) 、(b)より危険側に発生箇所の分布が高くなるように危険箇所を分離できており、急傾斜地崩壊危険箇所でも教師値データに頼ることなく危険性の高い箇所の評価ができた。
図13(a) 、(b)より、この点検データでは要補修箇所がデータの大半を占めるために、安全側にも要補修箇所の分布が見られたが、危険側の方が要補修箇所の分布が高くなるように点検箇所を分離できている。この結果、鋼橋点検箇所でも教師値データを用いることなく危険性の高い箇所の評価ができた。また、f(x)の値は今後補修を行う順番を特定する有効な指標にもなると考えられる。
図14 (b)より危険領域側に発生的中率が高くなるように評価できており、発電所調査斜面でも教師値データに頼ることなく危険性の高い箇所の評価ができた。
図15 (b) 、図16 (b)より危険領域側に発生的中率が高くなるように評価できており、地質毎に分類した場合でも正しい危険度評価ができている。
表14より、発生経験のある斜面が1位と2位であり、それに類似した危険なカテゴリを有している災害履歴のない斜面が3〜10位を占めている。これは、これまで災害経験のない斜面についても、今後の誘因の作用によっては災害発生の可能性が十分あることを示唆するものといえる。表15では、発生経験のある斜面とそうでない斜面が半々でランクインしている。この結果からも、これまで災害経験のない斜面が発生経験のある斜面と同等の危険性があることが分かる。
Claims (1)
- 入力部と、演算部と、格納部と、出力部を有し、災害危険箇所や土木構造物等(以下、これらを総称して対象物という。)における健全性劣化の要因データのうち前記対象物が潜在的に備える素因に係る要因データと前記対象物に対する災害履歴データあるいは補修実績データを用いて、ある対象物の災害発生の危険度や補修工事の必要度を算出する危険度評価システムであって、
前記入力部は、前記ある対象物における健全性劣化の素因に係る要因データと前記対象物に対する災害履歴データあるいは補修実績データを前記格納部に入力可能な手段であって、
前記演算部は、前記格納部から読み出した前記ある対象物における健全性劣化の素因に係る要因データ又は前記入力部から入力された前記ある対象物における素因に係る要因データを用いて、前記ある対象物における災害の発生と非発生あるいは補修の施工と非施工を分離する分離超平面を構築するために教師値を不要とするνSVMを用いて解析を行う分離超平面解析部と、
前記分離超平面の境界データが構成される2次元以上の空間(以下、多次元空間という。)上に前記格納部から前記対象物に対する災害履歴データあるいは補修実績データを読み出して、この災害履歴データあるいは補修実績データをキーとして前記対象物における健全性劣化の素因に係る要因データを選択し、この選択された素因に係る要因データを座標として入力し、前記分離超平面からの距離を演算して前記分離超平面の精度を解析する分離超平面評価部と、
前記分離超平面解析部で解析された分離超平面の境界データが構成される多次元空間上に、前記格納部から読み出したある対象物における健全性劣化の素因に係る要因データ又は前記入力部から入力されたある対象物における素因に係る要因データを座標として入力する解析条件設定部と、
前記分離超平面から前記ある対象物における健全性劣化の素因に係る要因データの座標までの距離を災害危険度あるいは補修必要度として演算する危険度演算部とを備え、
前記出力部は、前記ある対象物における健全性劣化の素因に係る要因データと前記境界データと前記精度と前記災害危険度あるいは補修必要度のうち少なくとも1の情報を出力可能な手段であることを特徴とする危険度評価システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006038693A JP4817363B2 (ja) | 2006-02-15 | 2006-02-15 | 危険度評価システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006038693A JP4817363B2 (ja) | 2006-02-15 | 2006-02-15 | 危険度評価システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007219769A JP2007219769A (ja) | 2007-08-30 |
JP4817363B2 true JP4817363B2 (ja) | 2011-11-16 |
Family
ID=38497015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006038693A Expired - Fee Related JP4817363B2 (ja) | 2006-02-15 | 2006-02-15 | 危険度評価システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4817363B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4446035B2 (ja) * | 2007-11-02 | 2010-04-07 | 国立大学法人山口大学 | 健全性劣化評価システム |
JP5633522B2 (ja) * | 2012-01-06 | 2014-12-03 | 新日鐵住金株式会社 | 操業状況評価装置、操業状況評価方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
CN112070399B (zh) * | 2020-09-09 | 2024-02-13 | 中国人民解放军火箭军工程大学 | 一种大型工程结构安全风险评估方法及系统 |
CN114429308B (zh) * | 2022-02-08 | 2024-06-07 | 河南鑫安利安全科技股份有限公司 | 一种基于大数据的企业安全风险评估方法及系统 |
CN116151629B (zh) * | 2023-04-23 | 2023-07-18 | 山东佰腾云智能科技有限公司 | 一种基于人工智能的工程安全监管系统及方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10142112A (ja) * | 1996-11-08 | 1998-05-29 | Ohbayashi Corp | 既存建築物の耐震性能評価方法及びその耐震性能評価システム、並びに既存建築物群の改修優先順位評価方法及びその改修優先順位評価システム |
JP3501454B1 (ja) * | 2003-02-26 | 2004-03-02 | 有限会社山口ティー・エル・オー | 防災事業計画支援方法とそのシステム |
JP3674707B1 (ja) * | 2004-06-10 | 2005-07-20 | 有限会社山口ティー・エル・オー | 防災事業計画支援システムとその方法 |
-
2006
- 2006-02-15 JP JP2006038693A patent/JP4817363B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007219769A (ja) | 2007-08-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3975406B2 (ja) | 構造物補修施工計画支援システム | |
Alam et al. | Buildings’ seismic vulnerability assessment methods: a comparative study | |
JP4446035B2 (ja) | 健全性劣化評価システム | |
JP4595094B2 (ja) | 防災総合計画支援システムとそのプログラム | |
Shadabfar et al. | Resilience-based design of infrastructure: Review of models, methodologies, and computational tools | |
US8595178B2 (en) | Prioritizing bridges to repair based on risk | |
JP3975407B2 (ja) | 防災事業計画支援システム | |
JP4817363B2 (ja) | 危険度評価システム | |
JP4701371B2 (ja) | 災害発生確率評価システムとそのプログラム | |
JP2012174125A (ja) | 防災計画支援システムとそのプログラム | |
JP7141309B2 (ja) | 地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システムとその方法とそのプログラム | |
Wu et al. | FANPCE technique for risk assessment on subway station construction | |
JP4152423B2 (ja) | 点検業務に利用可能な評点式データシートに基づく健全性評価システム | |
JP4252606B2 (ja) | 優先順位評価システム | |
Lallam et al. | Fuzzy analytical hierarchy processes for damage state assessment of arch masonry bridge | |
JP3656852B1 (ja) | 防災事業計画支援方法とそのシステム | |
Ribas et al. | Prioritization of hydroelectric power plant earth dam safety procedures: a multi-criteria approach | |
Contreras et al. | Geotechnical risk analysis for the closure alternatives of the Chuquicamata open pit | |
Mohammadian et al. | Modeling important factors on occupational accident severity factor in the construction industry using a combination of artificial neural network and genetic algorithm | |
JP2009276896A (ja) | 対策工効果評価システム | |
US10431009B2 (en) | Methods and systems for three dimensional modeling of infrastructure elements | |
Harirchian | Improved rapid assessment of earthquake hazard safety of existing buildings using a hierarchical type-2 fuzzy logic model | |
Bartolucci et al. | Deliverable D1. 4 Detailed user requirements and research output protocols for the LIQUEFACT Reference Guide | |
An Hoang | Risk assessment in the renovation of existing reinforced concrete buildings using the F-AHP method: A case study in Vietnam | |
De Iuliis | Fuzzy-Based Model to Evaluate the Downtime and the Resilience of Building Structures Following an Earthquake |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060216 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110318 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110513 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110726 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110826 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20200909 Year of fee payment: 9 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4817363 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |