JP3697472B2 - 土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法とそのプログラム及び土砂災害の警戒避難支援システム - Google Patents

土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法とそのプログラム及び土砂災害の警戒避難支援システム Download PDF

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本発明は、土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法に係わり、特に、RBFネットワーク(以下、「RBFN」ということがある。)を用い土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する方法と、その方法を実行するプログラム、及びその発生限界線等を用いた警戒避難支援システムに関する。
土砂災害(土石流、がけ崩れ、地すべり)は、毎年、全国各地で発生しており、尊い人命が失われ、貴重な財産が破壊されている。これは、我が国の国土の約7割が山地で地質的にも脆弱な地域が多く、急峻な地形が多い等の地理的条件や、都市化の進展による山麓部の土砂災害危険箇所(土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所)への人口増加等の社会的条件、更には土砂災害の誘因となる台風や梅雨等の集中豪雨に見舞われ易いといった気象的条件によるものであり、土砂災害は、我が国における宿命的な自然災害の一つとなっている。
かかる土砂災害危険箇所は、全国で約52万箇所と多く、ハード対策による整備率は20%程度と低いのが現状であり、また、これだけ多くの危険箇所全てにハード対策を実施するには予算的、時間的な制約もあることから、ソフト対策によりハード対策の遅れをカバーする必要性が認識されてきている。ソフト対策の目的は、土砂災害から人命を守り、更には財産の破壊を最小限に留めることにあり、ソフト対策には、警報の発令や避難の指示、被害状況に応じた応急対応や二次災害の防止対応の支援などを的確かつ迅速に行う機能が必要であり、また、種々の防災情報の収集・整理・伝達を如何に迅速に行うかが求められる。特に、的確な警報の発令や避難の指示は重要であり、これらは、通常、短期降雨指標と長期降雨指標を用いて設定された警戒や避難の基準線に基づき行われるが、複数の斜面あるいは複数の渓流を含む地域全体で一つの基準線を用いている場合が多く、また、直線で近似した基準線が殆どである。即ち、従来の多くの基準線では、斜面毎あるいは渓流毎に異なる地形要因による土砂災害発生の危険度(潜在危険度)は考慮されず、また、複雑な自然現象を直線近似で表現していることから、その精度については課題が残されていた。
このため、本発明者らは、警戒避難を支援する警戒避難支援システムの構築を目指し、鋭意研究を重ねてきた。即ち、例えば、降雨要因として短期降雨指標と長期降雨指標を用い、渓流要因として最急渓床勾配や降雨集中度など、土石流危険渓流毎の地形特性を考慮した渓流毎の線形の警戒基準線等を設定する方法を提案し(非特許文献1)、この警戒基準線等を含み、文字や数字、画像などを地図と結び付けてコンピュータ上でさまざまな情報を検索、結合、分析することができ、その結果を地図に表現する機能を有する地理情報システム(GIS)を用い、渓流毎の土石流発生危険度判定結果の色表示、渓流毎のスネーク曲線の表示、避難場所情報の表示、被害想定の表示、被害情報の入力と集計、予測雨量に対する予測土石流発生危険度判定結果の表示の機能を有する土石流警戒避難支援システムを提案した(非特許文献2)。また、斜面毎の地形特性を考慮した斜面毎の線形がけ崩れ発生限界線を設定する方法を提案した(非特許文献3)。
本発明者らは更に、複雑な自然現象を直線近似せず、高精度の発生限界線等を設定することを目的として、非線形判別に優れたRBFネットワークを用い、その学習機能を利用して最適な中間層と出力層との結線の重みを決定することにより、地域毎の非線形がけ崩れ発生限界線を設定する方法を提案し(非特許文献4)、次いで、RBFネットワークを用い、斜面要因あるいは渓流要因を考慮した斜面毎あるいは渓流毎の非線形の土砂災害の発生限界線等を設定する方法を提案した(例えば、非特許文献5)。この方法は、複数の斜面あるいは渓流を、潜在危険度の影響が有意に現れるように、潜在危険度に基づき複数のグループに分類し、そのグループ内のデータは、グループの平均の潜在危険度を有する特定の擬似斜面あるいは擬似渓流のデータであるとして扱い、中間層と出力層との結線の重みをその潜在危険度の関数として求め、求めた関数関係を用いて発生限界線等を設定する方法であって、精度の高い非線形、かつ個別の土砂災害の発生限界線等を設定することができる。
RBFネットワークは、脳や神経回路網のモデルに基づいた計算技術として分類されるニューラルネットワークの一種であり、ニューラルネットワークは、入力層と中間層と出力層との階層構造を備え、計算問題の解法を学習するために内部の重みを外部出力に適用することに特徴づけられる。ニューラルネットワークの中間層を構成する中間素子は、基底関数とも呼ばれ、任意の関数が使用できるが、RBFネットワークは、基底関数として放射状基底関数(RBF)を用いたものである。放射状基底関数の特徴は、関数の応答が中心点からの距離に応じて単調に減少(又は増加)することにあり、放射状基底関数の中心位置、距離目盛り及び正確な形状は、モデルのパラメータである。上述の非特許文献4と非特許文献5の方法では、放射状基底関数の代表例であるガウス関数(高さが1で一定の半径を持った釣鐘型の関数)を用いており、このモデルのパラメータは、放射状基底関数の中心位置と半径である。
かかるRBFネットワークを用い非線形の発生限界線等を設定する方法では、モデルのパラメータである放射状基底関数の中心位置と半径を決定するために、非特許文献4や非特許文献5に詳細が示されている如く、結果が自然現象と矛盾していないか等を目安として、膨大な試行錯誤を行う必要がある。即ち、発生限界線等は、学習データを高精度に再現できる再現性と共に、本来の目的である予測を高精度になし得る汎化性が求められるが、一般的に、再現性と汎化性とは相反する傾向にあり、このパラメータを論理的に決定する方法は無く、最適なパラメータを決定するためには膨大な試行錯誤を要することになる。例えば、中心を学習データに合わせ半径を小さくすれば、再現性は向上するが汎化性は低下する。中心を学習データに合わせた場合であっても、半径を大きくすれば、再現性は低下するが汎化性は向上する傾向を示す。又、例えば、放射状基底関数を全ての学習データに合わせそれぞれ設定した場合、これは必要とするコンピュータのメモリ容量が大きくなり計算も困難になることを意味するが、必ずしも汎化性の向上を意味するものではない。
このため、非特許文献4や非特許文献5に開示された従来技術では、短期降雨指標軸と長期降雨指標軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を格子線で形成される単位格子領域に分割し、格子点が形成する4つの単位格子領域の中に学習データが存在する場合に限りその格子点上に基底関数を設定することにより、基底関数の数を低減する工夫を行っている。また、格子線設定の半分の間隔でクラスター線を設定して二次元平面を、単位格子領域を4等分する単位クラスター領域に分割し、単位クラスター領域毎に発生・非発生の学習データそれぞれにつき、学習データが複数存在する場合には、それを重心法によりクラスタリングした新たな学習データを一つ設定してその複数の学習データを代表させることにより、学習データの密度を均等化して汎化能力の高い判別境界面を構築する改善を行っている。更に又、全ての基底関数は短期降雨指標軸の半径と長期降雨指標軸の半径が同じ円形状であり、かつ同じ半径を有するという簡略化を行っているが、それでも膨大な試行錯誤を要している。
また、ある地域のデータに基づき、膨大な試行錯誤の結果、好適なパラメータとして設定した半径等を有するRBFネットワークを用い、降雨条件が異なる他の地域の発生限界線等を設定しようとしたが、好適な結果が得られず、改めて膨大な試行錯誤を行う必要があることが判明している。
即ち、従来のRBFネットワークを用い非線形の発生限界線等を設定する技術は、膨大な試行錯誤を要すると共に、それを設定する利用者の経験と勘に頼るため客観性に欠けるという問題があり、又、全ての基底関数が円形状でありかつ同じ半径を有するとしているため、充分な再現性が得られていないという問題があった。更に又、学習データの短期降雨指標と長期降雨指標のデータは、降雨量の次元を有する実データであり、降雨条件が異なる他の地域の発生限界線等を設定しようとした場合には、先に膨大な試行錯誤により得られた基底関数のパラメータなどを適用できず、改めて、その地域のデータを用い膨大な試行錯誤を行ってその地域に好適なパラメータを決定する必要があり、汎用性に欠けるという問題があった。
なお、本発明者らは、斜面毎あるいは渓流毎の地形要因を考慮した個別の警戒基準線や、避難基準線、発生限界線を設定するために必要となる、地形要因による土砂災害発生の危険度を評価する方法を提案した。例えば、統計的手法の一種である重判別分析を用いる方法を提案し(非特許文献1、非特許文献3)、又、斜面要因毎にカテゴリー別のがけ崩れ発生率を算出し、その発生率を当該斜面要因・当該カテゴリーの設定点数とし、このようにして設定した斜面要因毎の得点を加算することにより個別斜面の潜在危険度を点数制により評価する方法を提案した(非特許文献5)。この方法は、非常に簡易であり、経験的な判断を必要とせず、更には、斜面要因間のウェイトを自動的に調整できるものであり、実際の崩壊現象(潜在危険度との関係においての、崩壊確率、あるいは崩壊傾向)を非常に良く再現できる方法である。本発明者らは又、ラフ集合を用いて、要因相互間の複雑な因果関係を見出し、土砂災害発生の危険度に係る重要要因の組合せを抽出する方法を提案した(非特許文献6)。これらは、本発明を、潜在危険度を考慮した個々の斜面あるいは個々の渓流の土砂災害の発生限界線等を設定する形態として実施する際に、有効に使用し得る技術である。
高橋透 他5名:地形特性を考慮した土石流警戒避難基準雨量線の設定、砂防学会誌、Vol.53, No.1, p.35-46, 2000 瀬尾克美 他4名:GISを用いた土石流警戒避難支援システムの構築〜山口県大島郡におけるモデルの開発〜、砂防学会誌、Vol.53, No.4, p.30-37, 2000 倉本和正 他5名:急傾斜地における斜面要因を考慮したがけ崩れ発生限界雨量線の設定手法に関する研究、土木学会論文集、No.658/VI-48, pp.207-220, 2000.9 倉本和正 他5名:RBFネットワークを用いた非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定に関する研究、土木学会論文集、No.672/VI-50, pp.117-132, 2001.3 倉本和正 他5名:斜面要因を考慮した斜面毎の非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定方法とその崩壊予測精度、土木学会論文集、No.707/VI-55, pp.67-81, 2002.6 榊原弘之 他5名:ラフ集合を用いたデータマイニングによるがけ崩れ発生要因の抽出に関する研究、土木学会論文集、No.658/VI-48, pp.221-229, 2000.9
本発明は、RBFネットワークを用い土砂災害の発生限界線等を設定する技術に係わる上述の状況に鑑み、膨大な試行錯誤を要さず、利用者の経験と勘を要さず客観的に設定可能であり、学習データの再現性が高く、降雨条件が異なる他の地域にも容易に適用できる汎用性を有する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線を作成する方法と、その方法を実行するプログラムと、その発生限界線、避難基準線及び警戒基準線を利用した警戒避難支援システムを提供することを目的とする。
なお、本願明細書において、発生情報線とは、土砂災害など自然災害の発生に関する発生限界線、避難基準線及び警戒基準線を含む概念をいう。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、標準化解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する第1の工程と、判別境界面解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する第2の工程と、発生情報線作成部によって土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する第3の工程とを有する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法であって、
第1の工程は、標準化解析部が、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された実学習データのうち、短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納する工程であり、
第2の工程は、判別境界面解析部が、標準化データベースから標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納する工程であり、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所定間隔の格子線で形成される単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の半径の初期値の放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、3つのグループ毎にそれぞれ短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の目的関数の感度とステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を現在値として更新するトンネル処理手段と、
トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
この最急降下処理手段によって得られた局所値の目的関数の値が所定の条件を満足する場合には局所値を最適値とし、所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
トンネル処理手段における所定の条件は、トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
最急降下処理手段における所定の条件は、目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
第3の工程は、発生情報線作成部が、判別境界面解析データベースから判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程というものである。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法において、前記設定する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線は、地形要因による土砂災害発生の潜在危険度が異なる複数の斜面あるいは複数の渓流を含む、地域全体の斜面あるいは渓流の発生限界線であることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、コンピュータに、標準化解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する第1の工程と、判別境界面解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する第2の工程と、発生情報線作成部によって土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する第3の工程とを実行させる土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成プログラムであって、
第1の工程は、標準化解析部が、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された実学習データのうち、短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納する工程であり、
第2の工程は、判別境界面解析部が、標準化データベースから標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納する工程であり、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所定間隔の格子線で形成される単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の半径の初期値の放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、3つのグループ毎にそれぞれ短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の目的関数の感度とステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を現在値として更新するトンネル処理手段と、
トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
この最急降下処理手段によって得られた局所値の目的関数の値が所定の条件を満足する場合には局所値を最適値とし、所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
トンネル処理手段における所定の条件は、トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
最急降下処理手段における所定の条件は、目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
第3の工程は、発生情報線作成部が、判別境界面解析データベースから判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程であることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する標準化解析部と、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する判別境界面解析部と、土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する発生情報線作成部とを有する土砂災害の警戒避難支援システムにおいて、
標準化解析部は、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された実学習データのうち、短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納し、
判別境界面解析部は、標準化データベースから標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納し、
発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を所定間隔の格子線で形成される単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の半径の初期値の放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、3つのグループ毎にそれぞれ短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の目的関数の感度とステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を現在値として更新するトンネル処理手段と、
トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
この最急降下処理手段によって得られた局所値の目的関数の値が所定の条件を満足する場合には局所値を最適値とし、所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
トンネル処理手段における所定の条件は、トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
最急降下処理手段における所定の条件は、目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び土砂災害の発生領域と非発生領域における長期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径と短期降雨指標軸方向の放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
発生情報線作成部は、判別境界面解析データベースから判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成するものである。
本発明は、RBFNを用い、膨大な試行錯誤を要さず、利用者の経験と勘を要さず客観的に設定可能であり、学習データの再現性が高く、降雨条件が異なる他の地域にも容易に適用できる汎用性を有する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線を作成することができ、もって、短期間に土砂災害のデータベースの更新が可能で迅速性が要求される災害対策などにも対応可能であり、国土保全や人命救助に多大な恩恵を発揮することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、従来の技術では、上述のように、種々の工夫・改善をしてかつ簡略化しても、RBFネットワークの好適なパラメータを決定するためには使用者の経験と勘に頼る膨大な試行錯誤を必要とし、更には、その結果として得られたパラメータを有するRBFNが降雨条件の異なる他の地域には適用できないという問題を、解決すべき基本的な課題として本発明者が鋭意研究を重ねた結果、それを解決する好適な方法等を発明したものである。
即ち、詳細な検討の結果、学習データの短期降雨指標と長期降雨指標のデータの大きさによって、基底関数の半径、基底関数の中心位置、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などの好適な値が変わることが明らかとなり、学習データとして短期降雨指標と長期降雨指標のデータを標準化した標準化学習データを用いることにより、これらの基本的な問題を解決できることを見出したものであって、本発明の第一の実施の形態は、短期降雨指標と長期降雨指標のデータとしてそれぞれ降雨量の次元を有する実データを用いた短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データのうち、前記短期降雨指標と長期降雨指標の実データにそれぞれ所定の変換を施して標準化データとした短期降雨指標と長期降雨指標と前記土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる標準化学習データを求める工程と、標準化学習データをRBFネットワークの学習データとして判別境界面を構築する工程と、判別境界面の所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程とを有する形態である。
本実施の形態について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る土砂災害の発生情報線の作成方法を示すフローチャートである。ステップS1が上述の標準化学習データを求める工程であり、ステップS2が判別境界面を構築する工程であり、ステップS3が土砂災害の発生情報線、すなわち発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程である。なお、その後にはステップS4としてそれらの解析結果を出力する工程を備えている。
標準化学習データ7に供される実学習データ2は、実際のデータを収集したものであるが、標準化に際して入力されてもよいし、図1に示されるように実データベース1などに格納されるものを読み出すようにしてもよい。更には、標準化学習データ7を求める工程S1を含めることなく、この標準化学習データ7がRBFネットワークの学習データとして判別境界面を構築する工程S2において入力されるようにしてもよいし、別個に演算された標準化学習データ7を標準化データベース6に格納しておき読み出されるようにしておいてもよい。
また、コンピュータに実行されるプログラムとしては、実測した降雨データとその土砂災害発生・非発生のデータを、コンピュータを含むシステムの入力データとして、その入力データから降雨量の次元を有する短期降雨指標と長期降雨指標の実データを算出する工程を含み、それを実学習データとしてデータベースに格納し、そのデータベースから実学習データを読み出す工程を実行できるのが好ましい。あるいは、既に実学習データが求まっている場合には、その入力を、コンピュータを含むシステムの実学習データを収集あるいは読み出す工程として実施できるのが好ましい。即ち、降雨データは、種々の形態で存在することがあるため、本発明を実施するコンピュータを含むシステムとしては、その種々の形態の降雨データを入力データとして処理し得るように構成するのが望ましい。
なお、本願特許請求の範囲と明細書において、実データとは、実際に生じた現象の生のデータを言い、実学習データとはRBFネットワークの学習データとして用いられる実データという意味であり、実質的な相違点はない。また、標準化データと標準化学習データも同様の関係にあり実質的な相違点はない。
RBFNの放射状基底関数としては、本発明を限定するものではないが、放射状基底関数の代表例でもあるガウス関数を用いるのが好ましく、他の関数を用いた場合には、得られる判別境界面がガウス関数よりも劣化する。例えば、2次関数を利用した場合、データ集合の平均的な部分(内部の中心部分)ではそれなりの良好な精度が得られるが、関数の形状の関係で裾野の部分に悪影響を与えてしまい、全体的に見ると良好な近似ができないという劣化が生じる。
本発明は、上述のようにして求めた、標準化した土砂災害の発生限界線等を逆変換する工程を更に有する形態で実施するのが好ましい。即ち、標準化した短期降雨指標と長期降雨指標との関数として表された発生限界線等に、降雨量の次元を有する実データに施した所定の変換と逆の変換を施し、実データと同じ次元を有する短期降雨指標と長期降雨指標との関数として表された土砂災害の発生限界線等を求める工程を有する形態として実施するのが好ましい。従来の土砂災害の発生限界線等は、全て実データと同じ次元を有する短期降雨指標と長期降雨指標との関数として表された発生限界線等であり、かかる変換を行うことにより、従来の発生限界線との継続性を確保でき、また、従来と同様な感覚で利用することができるようになる。なお、この工程は、本発明を実施するコンピュータを含むシステム内で行えるように構成するのが望ましい。
次に、標準化学習データを求める工程S1の好ましい実施の形態について図1を参照しながら説明する。この工程S1は、まず実データの選定を行う(ステップS11)。この選定とは、上述のとおり実データが入力される場合と実データベース1に実学習データ2を予め格納しておきそれを読み出す場合という2通りの概念を含むものである。
次に、ステップS12で、標準化データ基準値の選定を行う。標準化データ基準値とは、標準化を行う際に用いられるものでどのような値でも良く、本発明を限定するものではないが、1、10、100など区切りの良い数値が望ましく、これにより標準化データの取扱いや表示が容易になる。本実施の形態においては、この標準化データ基準値を短期降雨指標と長期降雨指標に関してそれぞれSSmmax、SLmmaxとする。
これらの標準化データ基準値は、入力されてもよいし、図1に示されるように標準化解析用データベース3に標準化データ基準値テーブル4として格納しておいてもよい。この標準化データ基準値テーブル4は、予め選定されたいくつかの数字がセットとして格納されるものである。
ステップS13は、標準化のための変換係数の演算を行う工程である。この変換係数の演算は、例えば、(1)全ての実学習データの中から短期降雨指標と長期降雨指標の実データの最大値(RSmax、RLmax)をそれぞれ求め、(2)その最大値にそれぞれ1以上である所定の定数を掛けてそれぞれの実データ基準値(RSmmax、RLmmax)を算出し、先のステップS12で選定した標準化データ基準値を実データ基準値で除す演算を行う。このようにして得られる係数が標準化変換係数5である。
すなわち、実データを変換する標準化変換係数はそれぞれSSmmax/RSmmax 、SLmmax/RLmmaxとなる。なお、所定の定数とは、実データの基準値を求めるために実データの最大値に掛ける定数であるが、解析に使用する学習データに限らず当該地域の過去の最大の実績データを若干、概ね10%程度、越すように決定するのが好ましい。過去の最大実績データを丸めたものに基づき決定することもできるが、本発明を多くの地域に汎用的に使用する上で、過去の最大実績データの1.1倍に基づき決定する等、固定的に実施するのが好ましい。なお、この定数を大きくし過ぎると、学習データが座標軸の原点付近にのみ集中して、学習データが存在しない領域が増大し、コンピュータの容量や処理上の負担が増大するなどの問題が生じる。この所定の定数についても解析時に入力されてもよいし、予め1.1や1.2などとして設定して標準化解析用データベース3などに格納しておき、それを読み出すようにしてもよい。
標準化変換係数5は、本実施の形態においては、標準化解析用データベース3に格納されるが別個にデータベースを設けて格納してもよい。
ステップS14は、標準化データが演算される工程である。この工程では、ステップS13で演算された標準化変換係数5を標準化解析用データベース3から読み出し、これと、実学習データの短期降雨指標データあるいは長期降雨指標データとの積を求めることによって無次元化する変換を行う。
ステップS15では、ステップS14で得られた標準化学習データ7を標準化データベース6に格納する。
次に、ステップS1で解析された標準化学習データ7を用いながらRBFネットワークの学習データとして判別境界面を構築する工程S2について引き続き図1を参照しながら説明する。
まず、ステップS21である放射状基底関数の中心位置を設定する工程の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の実施においては、短期降雨指標と長期降雨指標に係る標準化学習データ7を標準化データベース6から読み出して、短期降雨指標軸と長期降雨指標軸とにそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面をその格子線で形成される単位格子領域に分割し、単位格子領域毎に、(1)領域内に土砂災害発生の学習データ(以下、単に「発生データ」ということがある)が存在しかつ領域を形成する右上の格子点に基底関数が設定されていない場合に限りその格子点に基底関数を設定し、(2)領域内に土砂災害非発生の学習データ(以下、単に「非発生データ」ということがある)が存在しかつ領域を形成する左下の格子点に基底関数が設定されていない場合に限りその格子点に基底関数を設定する、といった手順により行うのが好ましい。
図2は、かかる単位格子領域内の発生・非発生の学習データに基づく放射状基底関数の中心位置の設定方法を示した概念図である。
また、図3は、縦軸11に短期降雨指標として時間雨量を、横軸12に長期降雨指標として実効雨量をとって、白抜き丸として非発生の降雨データ14を、黒塗り四角として発生の降雨データ14をプロットしたものである。
これを単位格子領域に分割して発生・非発生の学習データ(降雨データ14)をプロットして、基底関数13を設定した様子を概念図として示すのが図4である。
格子線の設定に係る所定間隔とは、予め設定される所望の一定間隔の意味であるが、例えば、上述の標準化データの基準値を上限としてそれの分割数を設定する、といった手順で決定することができ、その方が、イメージ的にも理解し易く望ましい。その場合の分割数としては、本発明を限定するものではないが、概ね20〜60程度が好ましく、分割が少な過ぎると、学習データの再現性が低下し、分割を多くすると、コンピュータの容量や処理上の負担が増大するが、必ずしも汎化性が改善される訳ではない。
この基底関数の中心位置の設定方法は、上述の従来技術(非特許文献4など)と異なるが、同様に、基底関数の数を低減することができる。更に、この設定方法では、非発生データは内側、つまり安全側に評価し、発生データは外側、つまり危険側に評価できる。なお、本発明においても、上述の従来技術と同様な方法などにより、基底関数の中心位置を設定しても良いことは言うまでもない。
次に、ステップS22のクラスタリング解析工程の好ましい実施の形態について説明する。学習データのクラスタリングは、上記の従来技術(非特許文献4など)で説明したように、学習データの密度を均等化、即ち、密集した学習データはこれを平均化して設定した新たな学習データで代替して、汎化能力の高い判別境界面を構築するために行うものであって、本発明の実施においてもこれを行うのが望ましい。このクラスタリングに際し、結線の重みの抑制パラメータを算出する必要があり、先ず、これについて説明する。
一般に、RBFNは、RBFNの出力値と教師値(即ち、土砂災害の発生・非発生、例えば、それぞれ0と1)との差の二乗と、結線の重みと抑制パラメータの積からなる自己抑制項との和を目的関数とし、それを最小化する学習を行っており、自己抑制項を有するのがRBFNの特徴の一つである。自己抑制項を設ける意味は、幾つかあって、その一つは、自己抑制項には一般化逆行列が正方になるような作用があり、学習データの数の方が基底関数の数(即ち、学習すべき結線の重みの数)より少ない場合でも答えを出すことが可能となることであり、二つ目は、各基底関数の持つ優位性を調整できることである。上記の従来技術や本発明のクラスタリングは、その各基底関数の持つ優位性を調整できるという、二番目の性質を利用したものである。
具体的には、図5を参照しながら説明する。図5は、縦軸11に短期降雨指標として時間雨量を、横軸12に長期降雨指標として実効雨量をとり、降雨データ14a〜14dをプロットするものである。
また、基底関数13の中心位置を設定する際に分割した単位格子領域を用い、領域内の発生・非発生の学習データ(降雨データ14a〜14d)それぞれにつき予め設定された学習データの上限数と抑制パラメータの上限値と下限値とを用いて、領域毎に発生・非発生の学習データそれぞれにつき、(1)その抑制パラメータを、領域内の学習データ数に基づき、上限数以上の学習データを有する領域の学習データには抑制パラメータの下限値を設定し、一つのみである領域の学習データには抑制パラメータの上限値を設定し、その間の領域の学習データには抑制パラメータの上限値と下限値を比例配分して設定する、(2)学習データが複数存在する場合には、図5に示されるように、クラスタ16a〜16dを設定し、そこに含まれる複数の学習データ(降雨データ14a〜14d)を重心法によりクラスタリングした新たな学習データ(クラスタ代表点15a〜15d)を一つ設定し、その元の複数の学習データを削除する、といった手順により実施することができる。
なお、予め設定する学習データの上限数などは、発生データと非発生データで異なっても良く、同じに設定することもできる。
発生データについては、通常、そのデータ数が非発生データと比較して著しく少ないため、抑制パラメータをデータ数によらない固定値としても目的とする発生限界線等を設定できることがあり、そのような場合には、発生データの抑制パラメータを固定することにより、パラメータを減らすことができ好適である。なお、学習データの上限数は、例えば、領域内に存在する学習データの最大数を求めその最大数を用いても良いが、通常、特に非発生データ数は0〜数万と非常に広範囲であり、その最大数を用いるのは自己抑制項の分布上好ましくなく、適当な自己抑制項の分布を考え、実際の領域内最大データ数によらず、概ね50〜200、特には100程度に設定するのが好ましい。
このクラスタリングによって、各単位格子領域内には、発生データと非発生データはそれぞれ最大一つのみとなり、学習データの密度の均等化が図られ、汎化能力の高い判別境界面を構築することができ、これを用いて汎化性の高い土砂災害の発生限界線等を設定することができる。なお、本発明においても、上述の従来技術と同様な方法などにより、クラスタリングを行ってもよい。
基底関数の中心位置の設定と学習データのクラスタリングは、実学習データの段階で行っても良く、標準化学習データの段階で行っても良いが、特には、先に標準化を行い、しかる後、基底関数の中心位置の設定と学習データのクラスタリングを行うのが好ましい。これにより、標準化の処理を除き、他の地域を含み統一的な処理を行うことができ、その関係・整合性等についての確認・検討をより容易に行うことができるようになる。
以上、標準化した学習データを用いる第一の実施の形態によれば、当初は従来技術と同様、基底関数の半径と中心位置、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などRBFNのパラメータを、試行錯誤によって、予めその好適な値を求める必要があるが、その試行錯誤によって得られた値は、標準化した学習データに基づくものであって、降雨条件の異なる地域においても、本発明の所定の手順により標準化した学習データを用いることにより、概ね好適なパラメータとして使用し得るものである。即ち、本実施の形態によれば、先に得られたRBFNのパラメータのノウハウを利用できるため、膨大な試行錯誤を要さず、利用者の経験と勘を要さず、かつ客観的に、再現性が高い土砂災害の発生限界線等を設定することができる。従って又、降雨条件が異なる他の地域にも容易に適用できる汎用性を有する。
なお、試行錯誤などによって予め求められた基底関数の半径、中心位置、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などのRBNFのパラメータは、標準化解析用データベース3に格納してもよいし、求められた値を解析時に入力されるようにしてもよい。
次に、図1に戻って本実施の形態に係るステップS23の放射状基底関数半径最適化工程について説明する。このステップS23は、図示しないが、上述した標準化した学習データを用い、更に基底関数を所定の条件により複数のグループに分類する工程と、その分類されたグループはそれぞれ同じ半径を有する基底関数から成るグループであるとして、RBFNの目的関数を最適化の目的関数としグループ毎の基底関数の半径を最適化する工程とを有する。なお、最適化の目的関数は、上述のようなRBFNの目的関数であって、それを最小化する目的関数である。以下、それを「エネルギ」ということがある。
全ての基底関数の半径をそれぞれ独立の最適化変数とすることは、理論的には可能であるが、変数が膨大になり、その解を求めることは現実的には殆ど不可能である。又、その解が得られたとしても、自然現象としてそれぞれの基底関数が独立に有する理論的な特異性はなく、汎化能力が改善するとも限らない。
そこで、本発明においては、基底関数を予め設定された所定の条件により複数のグループに分類し、その分類されたグループはそれぞれ同じ半径を有する基底関数から成るグループであるとして、グループ毎の基底関数の半径を最適化する形態としたものであって、その所定の条件による分類とは、好ましくは、発生データの領域、即ち、極めて危険な領域にある基底関数と、非発生データの領域、即ち、極めて安全な領域にある基底関数と、発生データと非発生データとが混在する領域、即ち、慎重な取扱いを要する領域にある基底関数との3グループ化であり、その変数は、各グループのそれぞれ短期降雨指標軸の半径と長期降雨指標軸の半径、即ち、半径の最適化の変数を6として実施するのが好ましい。この6変数を用いた最適化により、上述の1変数を用い試行錯誤していた従来技術と比較し、学習データの再現性を大幅に改善できることは言うまでも無い。
なお、基底関数の予め設定された条件による分類は、これに限らず、例えば、発生領域の分類条件を、所定の割合以上の発生データが存在する領域とし、非発生領域の分類条件を、所定の割合以上の非発生データが存在する領域とし、その他を混在領域とする分類法などで実施してもよい。この分類の場合、例えば、過去の累積された降雨条件などによって、安全度の高い領域に突発的に発生する、所謂、予測不可能な発生データについては、その影響を排除し、そのデータ領域を非発生領域に分類することができる。
基底関数の3グループ化は、本実施の形態で説明した、基底関数の中心位置を設定する工程S21でこれを行うのが好ましい。即ち、上述の基底関数の中心位置を設定する工程S21は、基底関数を所定の条件により複数のグループに分類する工程でもあって、基底関数はそれぞれ土砂災害の発生領域、非発生領域、又は混在領域のいずれかに識別される識別情報を有し、上述の単位格子領域毎に、(1)領域内に発生データが存在する場合に限り、領域を形成する右上の格子点に基底関数が設定されていない場合はその格子点に発生領域の基底関数を識別して設定し、既に基底関数が設定されている場合はこれを混在領域の基底関数に変更し、(2)領域内に非発生データが存在する場合に限り、領域を形成する左下の格子点に基底関数が設定されていない場合はその格子点に非発生領域の基底関数を識別して設定し、既に基底関数が設定されている場合はこれを混在領域の基底関数に変更する、といった手順により行うのが好ましい。
次に、放射状基底関数半径最適化工程S23の好ましい実施の形態について、更に具体的に説明する。図6は、その全体の処理の流れを示した全体フローチャートであって、(1)最適化の変数である半径の初期値を求めその変数の値で規定される初期点を設定する初期点探索工程S231と、(2)与えられた変数の値で規定される現在点と、変数の少なくとも一つを選択しその選択した変数にステップ幅を与えて値を飛ばしたトンネル先点とを最適化の目的関数で比較し、その関係が予め設定された所定の条件を満たす場合にはトンネル先点を現在点とする更新を行うトンネル処理工程S232と、(3)目的関数の変数に対する感度(目的関数を当該変数で偏微分したもの)を求め、その感度に従って目的関数を最小化する局所点を求めるための収束計算を行う最急降下処理工程S233と、(4)最急降下処理工程で求めた結果を判定し、局所点を最適点として最適化の処理を終了するか、最適化計算回数を更新してトンネル処理工程に戻り最適化の処理を続行するかを決定する判定工程S234と、4つのサブ工程を有している。
一般に、最適化問題は、その目的関数の値が、変数の値で規定される地点との関係において、単調な山又は谷を形成する場合は、目的関数の各変数に対する感度に従って、その最適点、即ち最適な変数の組合せを、最急降下法により高速、かつ効率的に得ることができる。一方、本発明の最適化問題は、本発明者の詳細な検討の結果、多峰性、即ち、目的関数が極小値を示す局所点が複数存在するという多峰性を有することが明らかとなり、単純な最急降下法では最適化できないことが明らかとなった。即ち、本発明の最適化工程は、この問題を解決するため、上述のトンネル処理工程S232を有することが最大の特徴である。
以下、発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、かつ、各グループのそれぞれ短期降雨指標軸の半径と長期降雨指標軸の半径を最適化の変数とした、6変数の最適化を例として、放射状基底関数半径最適化工程S23のサブ工程S231〜S234の好ましい具体例について、更に説明する。
以下、図7〜図10中、Xは最適化の変数である半径を意味し、X1とX2は非発生領域の基底関数の半径、X3とX4は発生領域の基底関数の半径、X5とX6は混在領域の基底関数の半径を示し、それぞれ前者(サフィックスが奇数)が長期降雨指標軸の半径を後者(サフィックスが偶数)が短期降雨指標軸の半径を示している。
図7は、初期点探索工程S231の具体例を示したフローチャートであって、所定の下限値・上限値(図中、Xmin、Xmax)内を条件として半径の初期値を発生する第一の乱数発生手段(図中、random)を有し、乱数発生手段により複数(図中、k)の初期点を発生させ、発生させた複数の初期点のエネルギ(図中、E)をそれぞれ求めて、エネルギの値が最も小さくなる点を選択し(図中、min)、その点を最適化の初期点として設定する実施の形態を示している。なお、この工程では、図示したように、最適化計算回数のカウンター(図中、j)の初期化も行っている。
図7の初期点探索工程S231は、3グループそれぞれにつき、短期降雨指標軸の半径(図中、X2、X4、X6)と長期降雨指標軸の半径(図中、X1、X3、X5)とが同じ、即ち、円形状の基底関数として設定していることが特徴の一つであり、本発明を限定するものではないが、かかる設定により、局所解からの脱出が容易になり、最適化を効率よく行うことができる。初期値を所定の上下限値内で乱数発生させることも又、局所解からの脱出を容易にし、最適化を効率よく行う上で有効である。
初期値の上下限値や初期点の数は、本発明の所定の手順により標準化した学習データを用いることにより、降雨条件の異なる他の地域などにおいても使用し得るものである。初期値の上下限値や初期点の数は、予め試行錯誤により適宜求めて設定し、標準化データベース6などに格納しておくとよい。
なお、図7は、最適化の初期点の選択を、その設定された初期点でのエネルギの値を比較することで行う例を示しているが、それぞれ所定回の最適化計算を行った後、その結果を比較することによって選択するマルチスタートポイント法などで行うこともできる。また、初期点を乱数発生させず、固定した初期点を設定することで行っても良い。
次に、トンネル処理工程S232について説明する。図8は、その具体例を示したフローチャートであって、現在点のエネルギとそのエネルギの各変数に対する感度を求めることから、その処理を始める実施の形態を示している。即ち、次いで、第2の乱数発生手段によりトンネル処理の対象とする一つの変数を選択し、下限値0と所定の上限値(図中、α)内を条件に第3の乱数発生手段で発生させたステップ幅係数と、選択した変数に関する現在点のエネルギの感度との積をステップ幅としてトンネル先点を設定する。但し、その際、選択した変数のトンネル先の値が所定の最小値(図中、ζ)以上であることを第一の制約条件とし、選択した変数が混在領域以外の場合、その短期降雨指標軸の半径(図中、X2とX4)と長期降雨指標軸の半径(図中、X1とX3)との比率がそれぞれ所定値(図中、ξ)以下であることを第二の制約条件として、トンネル先点を設定する。これらの第一の制約条件と第二の制約条件が予め設定された条件ということになる。
続いて、そのトンネル先点のエネルギを求め、第4の乱数発生手段の上限値(図中、β)を、所定の下限値・上限値(図中、βminとβmax)を用いて最適化計算回数に反比例させて求め、それを上限値とし0を下限値とした第4の乱数発生手段で発生させた適用係数と1との和を適用定数とし、現在点のエネルギと適用定数との積とトンネル先点のエネルギとを比較し、トンネル先点の方が小さい場合にはトンネル先点を現在点とする更新を行うアニーリング処理を含む実施の形態を示している。
即ち、本工程S232は、(1)トンネル処理する変数を乱数で一つだけ選択し、(2)トンネル法を応用して、乱数で発生させたステップ幅係数と感度との積をステップ幅として当該変数の値を飛ばすことにより、トンネル先点を設定し、(3)アニーリング法を応用して、下限値0と最適化計算回数に反比例する上限値とを有する乱数で発生させた適用係数をゲタ分として用い、トンネル先点のエネルギと、現在点エネルギと(1+ゲタ分)との積を比較し、トンネル先点が小さい場合に限り現在点を更新する処理を行う工程であって、当初は、広範囲に局所点を探索してこれを比較させ、最適化計算回数と共に徐々にその探索範囲を狭めて最適解を求めようとするものであり、多峰性を有する本発明の最適化問題を極めて効果的に解決することができる方法である。
然しながら、本発明は、これに限定されることなく、多峰性を有する最適化問題を解決できる他の方法を用いて実施することもできる。例えば、アニーリング処理を含まず、広範囲の局所点を探索してその上位の数点を序列化し、所定回数その序列が変わらないことを条件にして最適点を探索しても良く、又、所定回数、広範囲の局所点を探索してその上位の数点を序列化し、然る後、その上位の数点の近傍に限定して最適点を探索することもできる。あるいは又、多峰性を有する最適化問題に有効な方法として周知のGA法を用いても良いが、解析に膨大な時間を要するという難点がある。
なお、この工程のステップ幅係数の上限値や変数のトンネル先の値(半径)を制約する条件、適用係数の上下限値などは、当初、試行錯誤によってその好適な値を求める必要があるが、その結果は、本発明の所定の手順により標準化した学習データを用いることにより、降雨条件の異なる他の地域などにおいても使用し得るものである。
ステップ幅係数の上下限値や変数のトンネル先の値(半径)を制約する条件、適用係数の上下限値は、予め試行錯誤により適宜求めて設定し、標準化データベース6などに格納しておくとよい。
次に、最急降下処理工程S233について説明する。最急降下処理工程S233は、上述のように、目的関数の値が、変数の値で規定される地点との関係において、単調な山又は谷を形成する場合に有効な方法であって、本発明におけるその好ましい実施の形態の具体例を図9のフローチャートに示した。この方法は、与えられた現在点を基点として、目的関数の変数に対する感度を求め、その感度に従って目的関数を最小化する局所点を求める、即ち、与えられた現在点近傍の局所点を求めるための収束計算を行う周知の方法であり、本発明を特に限定するものでもなく、その詳細な説明は省略する。
なお、この工程においては、図9に示したように、全ての半径が最小値(図中、ζ)以上であることを第一の制約条件とし、混在領域以外については、その短期降雨指標軸の半径(図中、X2とX4)と長期降雨指標軸の半径(図中、X1とX3)との比率がそれぞれ所定値(図中、ξ)以下であることを第二の制約条件として、収束演算を行うのが好ましい。
次に、最適化処理のための判定工程S234について説明する。本発明におけるその好ましい実施の形態の具体例を図10のフローチャートに示した。この判定工程で行う判定は、本発明を限定するものではないが、図10に示したように、今回の最適化計算と前回の最適化計算との目的関数の変化量の絶対値(図中、Abs)が所定の値(図中、ε)以上であり、かつ、最適化計算回数が所定の許容回数(jmax)以下であることを条件として、引き続き、最適化計算を行うことで実施できる。
以上、標準化した学習データを用い、更に基底関数の半径を最適化するステップS23を備える本実施の形態によれば、更に、学習データの再現性を大幅に改善した高精度の土砂災害に発生限界線等を設定することができる。又、半径を最適化する工程を有するため、利用者の経験と勘に頼って試行錯誤せざるを得ないパラメータが減少し、以前では試行錯誤によって決定していた基底関数の中心位置や、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などRBFNのパラメータを、著しく簡単に求めることができ、更には、それをより好適に設定することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、標準化した学習データを用いて放射状基底関数の半径を最適化する工程として説明したが、実学習データを用いて放射状基底関数の半径を最適化する工程としてもよい。
このような形態では、実学習データを用いたことを除き、基底関数を複数のグループに分類する工程と、その分類されたグループ毎の基底関数の半径を最適化する工程とは、上述の第二の実施の形態と同様にしてこれを実施することができるため、その説明を省略するが、学習データの再現性を大幅に改善した高精度の土砂災害の発生限界線等を設定することができ、又、半径を最適化する工程を有するため、利用者の経験と勘に頼って試行錯誤せざるを得ないパラメータが減少し、試行錯誤によって決定すべき基底関数の中心位置や、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などRBFNのパラメータを、著しく簡単に求めることができ、更には、それをより好適に設定することが可能となる。
次に、図1に戻りステップS24で示される基底関数合成工程について説明する。ステップS23まででそれぞれの基底関数のパラメータが決定された後、これらの基底関数を合成させる。
放射状基底関数の例としては上述のとおりガウス関数があり、このガウス関数は図11に示されるような形状をしている。このガウス関数を格子点に配置して、非発生の高さを1とし、発生の高さを−1としてRBFネットワークで学習させながら、これらの基底関数を合成させて面を形成させる。これが判別境界面である。この判別境界面の例を図12に示す。
図12において、Z軸18には前述の非発生の場合が1、発生の場合が−1として演算したガウス関数の高さが示され、X軸19には長期降雨指標としての実効雨量が、そしてY軸20には短期降雨指標としての時間雨量が示されている。
これらの軸によって表現される3次元座標中に判別境界面17が描画されている。この判別境界面17は、上述のとおり格子点に存在するそれぞれのガウス関数を面として合成させて得られるものである。非発生が1であり、発生が−1であることからこの面が高い箇所では例えば土砂災害の非発生の確率が高く、低い箇所では発生確率が高いと判断されるのである。
ステップS24は、基底関数を合成することによって、このような判別境界面17を求める工程である。
次に、図1において、このステップS24において得られた判別境界面17をはじめとして、判別境界面の解析で得られた判別境界面解析データ9を判別境界面解析データベース8に格納するのがステップS25である。
さらに、ステップS3は、得られた判別境界面17あるいは判別境界面解析データ9を利用して発生情報線を作成する工程である。この例えば土砂災害などの発生情報線の作成工程S3の実施の形態に関して以下に詳細に述べる。
本発明では、地形要因による土砂災害発生の潜在危険度が異なる複数の斜面あるいは複数の渓流を含む、地域全体の斜面あるいは渓流の発生限界線等の発生情報線を設定する形態として実施することもでき、又、個々の斜面毎あるいは個々の渓流毎の土砂災害の発生限界線等の発生情報線を設定する形態として実施することもできる。
この地域の発生限界線等の設定も、個別の発生限界線等の設定も、その詳細な実施の形態は本発明を限定するものではなく、地域の発生限界線等については例えば上述の非特許文献4、個別の発生限界線等については例えば上述の非特許文献5に記載された方法などによって設定することができるため、詳細な説明は省略するが、例えば、地域の発生限界線等は、非特許文献4に開示された従来技術と同様にして、短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる複数の学習データを学習することにより、中間素子と出力素子との結線の重みを学習して、短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害の発生危険度とからなる判別境界面を構築し、その判別境界面の所定の発生危険度に対応する等高線として土砂災害の発生限界線や、避難基準線、警戒基準線を設定することができる。
一方、個別の発生限界線等は、非特許文献5に開示された従来技術と同様にして、(1)個別斜面あるいは個別渓流を潜在危険度の大小に基づき複数のグループに分類し、(2)グループ毎に、グループの学習データを学習することにより中間素子と出力素子との結線の重みを学習し、(3)グループ毎に学習した結線の重みを、それぞれグループ平均の潜在危険度を有する個別斜面あるいは個別渓流に対応して学習した重みと看做し、潜在危険度の関数として近似、例えば、直線近似して、(4)その近似した関数関係に基づき、個別斜面あるいは個別渓流の潜在危険度に対応する結線の重みを求め、(5)その重みを用いて個別斜面あるいは個別渓流の個別判別境界面を構築し、(6)その個別判別境界面の所定の発生危険度に対応する等高線として個別斜面あるいは個別渓流の土砂災害の発生限界線や、避難基準線、警戒基準線を設定することができる。
この個別の発生限界線等を設定するに際し半径の最適化を行う場合、その最適化は種々の形態で実施することができる。即ち、例えば、全ての斜面あるいは渓流を対象として、即ち、全ての学習データを一つのRBFNの学習データとしそのエネルギを目的関数として最適化を行い、その最適化した半径を全てのグループに適用する形態で実施することができる。
又、潜在危険度に基づき分類したグループ毎に、そのグループ毎の学習データをグループ毎のRBFNの学習データとし、グループ毎のエネルギを目的関数としてそれぞれ独立に最適化し、その最適化した半径をそれぞれのグループにのみ適用する形態で実施することもできる。この場合には、グループ間の統一性を確保して潜在危険度に対応した個別判別境界面を構築できるようにする必要があり、例えば、全学習データを対象として中心位置を設定した基底関数を全グループで使用し、グループ毎に学習した結線の重みをグループ平均の潜在危険度の関数として近似すると共に、グループ毎に最適化した基底関数の半径をグループ平均の潜在危険度の関数として近似し、その近似した関数関係に基づき、個別斜面あるいは個別渓流の潜在危険度に対応する結線の重みと半径を求め、その重みと半径を用いて個別斜面あるいは個別渓流の個別判別境界面を構築できるようにする等の配慮が必要である。
なお、このグループ毎に独立して半径を最適化する形態では、グループ内は全て同じ半径として最適化しても良く、あるいは、同じ半径を有する複数の領域、例えば、上述のように、発生・非発生・混在の領域などに分類して最適化することもできるが、領域を分ける方がより精度を向上させることができ好ましい。
個別の発生限界線等を設定するに際しての半径の最適化は又、グループ毎の学習データをグループ毎のRBFNの学習データとし、そのグループ毎のエネルギの和を目的関数として最適化を行う形態として実施することもできる。即ち、グループ毎のRBFNを用い、最適化の目的関数をグループ毎のRBFNのエネルギの和として、全グループを対象として最適化する形態で実施することもできる。この場合にも、上述のように、グループ間の統一性を確保して潜在危険度に対応した個別判別境界面を構築できるようにする配慮が必要であり、又、グループ内は全て同じ半径として最適化しても良く、同じ半径を有する複数の領域に分類して最適化することもできる。
土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の設定は、それぞれ所定の発生危険度を指定しそれに対応する判別境界面の等高線として設定することができ、指定する発生危険度は、通常、発生限界線>避難基準線>警戒基準線の順である。なお、この順序は、物理的な危険度の順序を意味するものであって、必ずしも判別境界面の発生危険度の値の大小を意味するものではない。例えば、上述のように、RBFNで行う学習で用いる教師値、即ち土砂災害の発生と非発生に対し、それぞれ0と1を用いた場合には、その値が小さい方が物理的な発生危険度が大きいこと意味する。この発生には0を非発生には1を用いる方法は、上述の非特許文献5にも記載されているように、過去に発生した土砂災害の降雨条件を大きく越す領域は、かかる降雨実績(学習データ)が無くても非常に危険な領域であることは明らかだが、学習データが無い限り、基底関数を設定することができず、RBFNの出力値が0にならざるを得ないという問題を避ける有効な方法である。得られた発生限界線等は、通常、短期降雨指標と長期降雨指標とを直交軸とする二次元平面上の曲線として表わされる。
次に、潜在危険度の評価に係わる実施の形態について、斜面を例として説明する。周知の如く、斜面要因は、地形要因、地質・土質要因、環境要因、あるいは地震要因などに大きく区分でき、更にそれぞれの大区分毎に、例えば、地形要因としては、傾斜度、斜面高さ、斜面方位、斜面形状、横断形状、遷急線などに細分され、潜在危険度は、これらの要因に基づく評価として求められる。具体的なその評価方法は、例えば、周知の多変量解析、ファジイ理論、あるいは点数制などが使用でき、本発明を限定するものではないが、本発明者らの研究によれば、点数制を用いた評価が好ましい。例えば、要因毎にカテゴリー別の土砂災害発生率を算出し、その発生率を当該要因・当該カテゴリーの設定点数とし、このようにして設定した要因毎の得点を加算することにより個別斜面の潜在危険度を評価するのが好ましい。この方法は、非常に簡易であり、経験的な判断を必要とせず、更に要因間のウェイトを自動的に調整できるものであり、実際の崩壊現象(潜在危険度との関係においての、崩壊確率、あるいは崩壊傾向)を非常に良く再現できる方法である。
なお、潜在危険度の評価に際し、本発明を限定するものではないが、上述の非特許文献6に開示された如く、ラフ集合を用いて、土砂災害発生・非発生の実績を斜面要因との関係において解析し、要因相互間の複雑な因果関係を見出して発生危険度に係る重要要因の組合せを抽出し、その抽出した重要要因の組合せによって潜在危険度を評価するのが好ましい。
以上のように設定される発生限界線、避難基準線、警戒基準線などの発生情報線については図1に示されるステップS4において出力部10に出力される。出力部10とは、例えば液晶のディスプレーなどの表示装置であったり、プリンターであったり、あるいはコンピュータなどの他の演算装置へデータ信号を送信する構成要素を含む概念である。
出力部10には、発生限界線、避難基準線、警戒基準線などの発生情報線のみならず、解析に使用したデータをはじめとして判別境界面なども解析結果として出力させるとよい。
本発明で好適に使用し得る次元を有する短期降雨指標と長期降雨指標との実データの組合せとしては、本発明者らの精力的な研究によれば、すでに図面などで示すとおり、短期降雨指標として発生推定時刻から3時間以内の最大時間雨量、長期降雨指標としてその時刻における半減期を72時間とした実効雨量との組合せが特に好ましい。
次に、本発明の第二の実施の形態として、土砂災害の発生情報線の作成プログラムについて説明する。このプログラムは、上述した本発明の土砂災害の発生情報線の作成方法を実行するコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、少なくとも、コンピュータに、短期降雨指標と長期降雨指標のデータとしてそれぞれ降雨量の次元を有する実データを用いた短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データのうち、短期降雨指標と長期降雨指標の実データにそれぞれ所定の変換を施して標準化データとした短期降雨指標と長期降雨指標と前記土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる標準化学習データを求める工程と、標準化学習データをRBFネットワークの学習データとして判別境界面を構築する工程と、判別境界面の所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程とを実行させるプログラムとして実施できる。
それぞれの工程の内容及び作用、効果については、既に土砂災害の発生情報線の作成方法の実施の形態において説明したとおりである。その他、土砂災害の発生情報線の作成方法の実施の形態に係る説明と重複する箇所についてはその説明を省略した。
次に、本発明の第三の実施の形態として、土砂災害の警戒避難支援システムについて図13乃至図15を参照しながら説明する。図13は本実施の形態に係る土砂災害の警戒避難支援システムの構成図である。図13において、土砂災害の警戒避難支援システムは、土砂災害発生情報管理システム21と、実データベース1、標準化解析用データベース3、標準化データベース6及び判別境界面解析データベース8の4つのデータベースとを有する。
土砂災害発生情報管理システム21は、データ(実学習データ)25や解析条件26の入力を入力部22で受けるか、あるいは予め入力部22を介して実データベース1に格納された実学習データ2を入力部22から読み出してもよい。
入力部22で入力されたあるいは実データベース1から入力部22によって読み出された実学習データ2は、標準化解析部23において標準化される。この標準化解析部23における標準化の解析の内容については、図14を参照しながら説明するが、土砂災害の発生情報線の作成方法に係る実施の形態において説明したステップS1と同様である。
標準化解析部23は、標準化データ基準値選定部28、変換係数演算部29及び標準化データ演算部30から構成される。
土砂災害の発生情報線の作成方法の実施の形態においては、実データ選定工程があったが、土砂災害の警戒避難支援システムにおいては、入力部22を備えておりこの入力部22を介して実データが入力されたり、実学習データ2を予め実データベース1に格納しておき、それを読み出したりするので標準化解析部23には選定する構成要素を含んでいない。
標準化データ基準値選定部28では、標準化解析用データベース3に格納された標準化データ基準値テーブル4から予め選定されたいくつかの数字のうち、1つを選んで読み出す。この標準化データ基準値の例は、既にステップS12の説明時に述べたが、1,10,100などの区切りのよい数字がある。この選定については、予め標準化解析部23としての推奨値を定めておき、それを自動的に読み出すようにしておいてもよいし、システムの利用者に対して標準化データ基準値テーブル4を出力部10を介して提示して、利用者の所望の値を入力部22を介して入力するようにしてもよい。あるいは、利用者が標準化データ基準値テーブル4を参照することなく所望の値を入力部22を介して入力することができるようにしておいてもよい。
変換係数演算部29は、標準化のための変換係数の演算を行う。この標準化変換係数の演算についても既にステップS13の説明で行ったのでここでは省略する。標準化変換係数5は、標準化解析用データベース3に格納される。
標準化データ演算部30では、標準化解析用データベース3に格納された標準化変換係数5を読み出し、これを実データベース1から読み出した実学習データ2に掛けることによって無次元化する変換によって標準化学習データ7を演算する。演算された標準化学習データ7は、標準化データベース6に格納される。
その他、土砂災害の発生情報線の作成方法の実施の形態に係る説明と重複する箇所についてはその説明を省略した。
次に判別境界面解析部24について図15を参照しながら説明する。
図15は判別境界面解析部24の詳細な構成を示す概念図である。図15において、判別境界面解析部24は、放射状基底関数中心位置設定部32、クラスタリング解析部33、放射状基底関数半径最適化部34及び基底関数合成部39から構成される。また、放射状基底関数半径最適化部34はさらに初期点設定部35、トンネル処理部36、最急降下処理部37及び判定部38によって構成される。
判別境界面解析部24では、標準化データベース6に格納された標準化学習データ7を読み出して、各々の構成要素において解析を実行していくが、この判別境界面解析部24のそれぞれの構成要素に関する作用及び効果については、土砂災害の発生情報線の作成方法のステップS2の各工程について説明したものと同様であるのでここでは省略する。
但し、土砂災害の発生情報線の作成方法の実施の形態においては、ステップS25として、ステップS24で基底関数を合成することによって解析された判別境界面やその他の判別境界面解析データ9について判別境界面解析データベース8に格納する工程が設けられているが、本実施の形態に係るシステムでは、基底関数合成部39をはじめとして、放射状基底関数中心位置設定部32乃至判定部38のそれぞれの構成要素から解析結果としてのデータが判別境界面解析データ9として判別境界面解析データベース8に送信され格納される。
発生情報線作成部27は、判別境界面解析部24で解析されて得られた判別境界面あるいは判別境界面解析データ9を利用して発生情報線を作成するものであり、この構成要素における作用及び効果は土砂災害の発生情報線の作成方法のステップS3の説明に記載されているものと同様である。
出力部10は、例えば液晶のディスプレーなどの表示装置であったり、プリンターであったり、あるいはコンピュータなどの他の演算装置へデータ信号を出力するものであるが、解析によって得られた判別境界面や発生限界線、避難基準線、警戒基準線などの発生情報線について出力する。
本発明の警戒避難支援システムは、本発明の土砂災害の発生情報線の作成方法で設定された土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする警戒避難支援システムであって、その詳細な構成は、本発明を限定するものではなく、例えば、前述の本発明者らが提案した土石流警戒避難支援システム(非特許文献2)と同様な構成において、本発明を実施できることは明らかである。
例えば、本発明の方法で設定された土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを有し、地理情報システム(GIS)を用い、計測降雨データに基づく土砂災害発生危険度判定結果の色表示、スネーク曲線の表示、避難場所情報の表示、被害想定の表示、被害情報の入力と集計、予測雨量に対する予測土砂災害発生危険度判定結果の表示の機能を有する警戒避難支援システムとして実施できる。
又、本発明の土砂災害の発生情報線の作成プログラムを含み、例えば、RBFNの追加学習・忘却機能を利用し、ハード対策等の最新情報を反映させた発生限界線や、避難基準線、警戒基準線の更新を行い、その信頼性を保持、あるいは向上させて実施することもできる。
以上のような実施の形態により、本発明は、RBFNを用い、膨大な試行錯誤を要さず、利用者の経験と勘を要さず客観的に設定可能であり、学習データの再現性が高く、降雨条件が異なる他の地域にも容易に適用できる汎用性を有する土砂災害の発生限界線等を設定する方法と、その方法を実行するプログラムと、その発生限界線等を用いた警戒避難支援システムを提供することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。先ず、以下で説明するがけ崩れの発生限界線の設定法に係わる実施例において、解析に用いた対象データについて説明する。対象地域は全国的にもがけ崩れの危険性が高い山口県下関市南部とし、対象とする斜面は、対象地域内で危険箇所に設定されている自然斜面とした。発生斜面は、1975年から1998年(以下、「対象期間」という)までにがけ崩れの発生が確認された斜面とした。また、非発生斜面は、対象期間内に一度もがけ崩れが発生しておらず、かつ現状でも未対策の斜面とした。対象降雨データには、対象期間中に下関気象台で観測されたアメダスデータを用いた。発生降雨は、がけ崩れ発生時刻を含む一連降雨とし、解析に用いた発生降雨要因は、短期降雨指標が発生時刻から3時間以内の最大時間雨量(以下、「時間雨量」と略称することがある)、長期降雨指標がその時刻における半減期を72時間とした実効雨量(以下、「実効雨量」と略称することがある)である。一方、非発生降雨は、対象期間内の全ての降雨から発生降雨を除いたものとし、解析に用いた非発生降雨要因は、非発生降雨中のすべての時刻における時間雨量および実効雨量とした。
この実学習データは、実効雨量と時間雨量の最大値(RLmax、RSmax)がそれぞれ290.6mm/hrと57mm/hrであり、標準化に対応して設定した実データ基準値(RLmmax、RSmmax)はそれぞれ330mm/hrと60mm/hrである。また、その実データ基準値に対応して設定した標準化データの基準値(SLmmax、SSmmax)はそれぞれ10と10である。即ち、本実施例では、標準化データを求めるために実データに掛ける変換係数は、実効雨量と時間雨量それぞれSLmmax/RLmmax=0.0303hr/mmとSSmmax/RSmmax=0.167hr/mmであり、以下の実施例は、この変換係数を用いて変換した標準化データを用いたものである。
次に、本実施例で行った長期降雨指標(実効雨量)と短期降雨指標(時間雨量)との二次元平面の分割について説明する。本実施例では、実効雨量と時間雨量それぞれの標準化データ基準値(10と10)で規定される矩形領域を、それぞれに所定間隔で設定した格子線で形成される単位格子領域に分割するための分割数をそれぞれ33と40とした。即ち、本実施例は、それぞれの標準化データ基準値で規定される矩形領域を1320個の単位格子領域に分割したものである。
学習データのクラスタリングは、この分割に基づき行ったものであり、単位格子領域毎に、発生データ、非発生データそれぞれにつき、領域内に当該データが複数存在する場合には、その複数のデータを重心法によりクラスタリングした新たな学習データを一つ設定し、その元の複数のデータを削除することにより、RBFNで用いる学習データの密度の均等化を図った。その結果、最終的にRBFNの学習に用いた学習データの数は、発生データは37であり、非発生データは275である。
このクラスタリングに関連する抑制パラメータλは、領域内実データの上限数Nmaxと、その上限数以上の領域データに対応する抑制パラメータの下限値λminと、一つのみの領域データに対応する抑制パラメータの上限値λmaxを用い、λ=(λmaxNmax−λmin+N(λmin−λmax))/(Nmax−1)によって設定した。なお、NがNmaxを超えた場合には、N=Nmaxとして処理した。領域内実データの上限数Nmaxは、非発生データについては100、発生データについては10とした。抑制パラメータの下限値λminと上限値λmaxは、非発生データ、発生データともに同じ、0.01、10とした。この抑制パラメータの設定条件は、試行錯誤による検討の結果、本実施例において好適なものとして設定したものである。
基底関数の中心位置の設定は、(1)領域内に発生データが存在する場合に限り、領域を形成する右上の格子点に基底関数が設定されていない場合はその格子点に発生領域の基底関数を識別して設定し、既に基底関数が設定されている場合はこれを混在領域の基底関数に変更し、(2)領域内に非発生データが存在する場合に限り、領域を形成する左下の格子点に基底関数が設定されていない場合はその格子点に非発生領域の基底関数を識別して設定し、既に基底関数が設定されている場合はこれを混在領域の基底関数に変更する、といった手順により、それぞれ土砂災害の発生領域、非発生領域、又は混在領域のいずれかに分類・識別して行った。その結果、設定された発生領域、非発生領域、混在領域の基底関数の数は、それぞれ22、260、15ある。
以下、種々の条件で比較検討した結果について説明する。先ず、図16は、RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、基底関数の半径が及ぼす影響を比較して示した二面図である。即ち、全ての基底関数の半径を同一とし所定の値に固定して、RBFNを用い、その中間素子と出力素子との結線の重みを学習し、実効雨量と時間雨量とがけ崩れ発生危険度とからなる判別境界面を構築して、その判別境界面の所定の発生危険度に対応する等高線を実効雨量(長期降雨指標)と時間雨量(短期降雨指標)との二次元座標に示したものであり、その固定した半径は、左図が長期降雨指標40、短期降雨指標10であり、右図が長期降雨指標30、短期降雨指標6である。なお、この半径の値は、単位格子領域を構成するそれぞれの格子線の目盛り長さを単位とした倍率であり、以下で説明する半径の値も、同様である。
学習は、教師値、即ちがけ崩れの発生と非発生に対しそれぞれ0と1を用いて行ったものであり、その値が小さい方が物理的な危険度が大きいことを意味する。図16には5本の線が示されているが、物理的な発生危険度の高い順(原点から遠い順)に、それぞれ0.0、0.2、0.4、0.6、0.8の発生危険度に対応する判別境界面の等高線である。図16の座標軸は、それぞれ実効雨量と時間雨量の実データ基準値(それぞれ330mm/hrと60mm/hr)をフルスケールとしたものであり、表示されている等高線は、それらの実データベースのものである。なお、この教師値や図の表示は、以下で説明する他の実施例でも同様である。
図16は、白色、灰色の領域がそれぞれ安全、危険領域を示し、白から灰色領域に近づくと共に、徐々にがけ崩れの発生危険度が増すことを意味するが、設定した発生危険性が小さいほどその内側領域が減少することを示しており、構築した判別境界面が自然現象と矛盾せず妥当なものであることを示している。図16の左図と右図は、エネルギがそれぞれ22.52と22.54であり、ほぼ同一の最適化がなされていると言えるが、それにも係らず左図と右図には大きな相違があり、図16は、半径が発生限界線等に大きな影響を及ぼすことを示したものである。
図17は、RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、抑制パラメータの及ぼす影響を比較して示した二面図である。即ち、全ての基底関数の半径を同一とし所定の初期値を設定して、単純な最急降下法により半径を最適化したものであり、抑制パラメータは、発生データについては全て1とし、非発生データについては、λminを0.1、λmaxを左図は10、右図は1として設定したものである。なお、設定した半径の初期値は、長期降雨指標が30、短期降雨指標が6であり、最適化した半径の結果は、それぞれ左図は20.40と23.94、右図は21.36と13.90である。
図17は、抑制パラメータの設定条件が、結果に著しい影響を与えることを示す一例であって、上述した、非発生データのλmaxを10とするなどの抑制パラメータの設定条件は、かかる試行錯誤による検討の結果、本実施例において好適なものとして設定したものである。なお、この結果は、本発明の所定の手順により標準化した学習データを用いることにより、降雨条件の異なる他の地域などにおいても好適に使用し得るものである。
図18は、RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、半径の初期値の及ぼす影響を比較して示した三面図である。即ち、領域を、上述のように、発生・非発生・混在の3領域に分類し、それぞれの半径を単純な最急降下法により最適化したものであり、半径の初期値を、3領域とも同じとし、左図は1.0、中間図は2.0、右図は3.0と設定したものである。なお、半径には0.01の下限値を設定して最適化した。最適化した結果の半径は、長期降雨指標と短期降雨指標それぞれ、左図は、発生領域が0.667と0.846、非発生領域が2.27と1.18、混在領域が0.01と1.20であり、同様に、中間図は、0.443と0.01、1.89と4.60、0.01と0.01、右図は、4.29と0.01、0.783と3.01、1.10と2.31である。
図18は、単純な最急降下法による最適化では、半径初期値の著しい影響を受け、汎用性を有するがけ崩れ発生限界線等の設定方法の最適化法として、十分ではないことを示している。これは本発明の最適化問題が多峰性、即ち、目的関数が極小値を示す局所点が複数存在するという多峰性を有することに起因するものである。なお、図18の結果は、いずれもエネルギが20.5前後であり、説明を省略した、領域を分けず単純な最急降下法により最適化したエネルギと比較して1ほど下がっており、これは、領域を分けることにより高い再現性が得られることを意味し、領域を分ける効果を示すものである。
図19は、RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、最急降下法の収束計算で用いるステップ幅の及ぼす影響を比較して示した二面図である。即ち、図18の右図と同様な条件にて、ステップ幅(図9のγ)のみを変えて最適化したものであり、ステップ幅を、左図では図18と同じ0.5とし、右図では0.72としたものである。図19の左図は、図18の右図と同じ図であり、図19は、多峰性を有する本発明の最適化問題では、ステップ幅を変更するだけでも結果に影響を及ぼすことを示し、適正なステップ幅を選定する必要があることを示すものである。
次に、かかる種々の検討結果に基づき、本実施例で用いた最適化法について説明する。即ち、その全体の処理の流れは、実施の形態で説明した図6の全体フローチャートであって、(1)半径の初期値を求め初期点を設定する初期点探索工程と、(2)現在点と、変数の一つを選択しその選択した変数にステップ幅を与えて値を飛ばしたトンネル先点とをエネルギで比較し、その関係が所定の条件を満たす場合にはトンネル先点を現在点とする更新を行うトンネル処理工程と、(3)エネルギの変数に対する感度を求め、その感度に従ってエネルギを最小化する局所点を求めるための収束計算を行う最急降下処理工程と、(4)最急降下処理工程で求めた結果を判定し、局所点を最適点として最適化の処理を終了するか、最適化計算回数を更新してトンネル処理工程に戻り最適化の処理を続行するかを決定する判定工程と、4つのサブ工程を有している。
この4つのサブ工程は、詳細には、それぞれ図7〜図10に示したフローチャートであって、以下、本実施例で用いたそのパラメータ・条件について説明する。図7の初期点探索工程に関しては、乱数発生器(図中、random)の下限値と上限値(図中、XminとXmax)は、非発生領域(図中、X1とX2)と発生領域(図中、X3とX4)とは同じ1と3であり、混在領域(図中、X5とX6)については0.5と1である。長期降雨指標軸の半径(図中、サフィックスが奇数の半径)と短期降雨指標軸の半径(図中、サフィックスが偶数の半径)は同じ、即ち、円形状の基底関数として設定した。発生させる初期点の数(図中、k)は、30である。なお、図中、EはRBFNのエネルギであり、minは最小値選択器、jは最適化計算回数のカウンターである。
図8のトンネル処理工程に関しては、ステップ幅係数を発生させる乱数発生器(図中、random)の下限値は0であり、上限値(図中、α)は5である。変数X(半径)の第一の制約条件である最小値(図中、ζ)は0.01であり、第二の制約条件である、混在領域以外に適用する長期降雨指標軸の半径(図中、X1とX3)と短期降雨指標軸の半径(図中、X2とX4)との最大比率(図中、ξ)は2である。なお、この制約条件は、図9の最急降下処理工程でも同じである。最適化計算回数に反比例させて、ゲタ分である適用係数を発生させる乱数発生器(図中、random)の上限値(図中、β)を求めるための下限値と上限値(図中、βminとβmax)は、0と0.02である。なお、図中、jmaxは許容計算回数であり、40を用いた。
図9の最急降下処理工程に関しては、収束計算のためのステップ幅(図中、γ)は0.72であり、収束判定条件(図中、ε)は0.0001である。変数Xの制約条件(図中、ζとξ)は、上述のトンネル処理工程と同じである。図10の判定工程に関しては、目的関数の変化量の判定条件(図中、ε)、最適化計算回数の判定条件(図中、jmax)は、それぞれ上記と同じく、0.0001と40である。
先ず、上記のパラメータ・条件の内、初期点を円形状の基底関数として設定する条件と、混在領域以外に適用する長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との最大比率を設定する第二の制約条件を設けずに最適化した結果について説明する。図20は、その結果を示した二面図であって、最適化した結果の半径は、長期降雨指標と短期降雨指標それぞれ、左図は、発生領域が0.233と1.63、非発生領域が1.19と3.98、混在領域が3.61と0.01であり、同様に、右図は、3.43と0.20、1.16と3.54、5.02と0.01である。エネルギは、左図が19.45、右図が19.21である。
即ち、このパラメータ・条件では、エネルギは共に大幅に低下させることができるが、未だ二つの局所解を有し、安定して最適解を求めることが困難であり、又、長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との比率が大きく、自然現象と矛盾せず妥当なものとは言い難い面があることが判明した。
そこで、初期点を円形状の基底関数として設定する条件と、慎重な取り扱いを要する混在領域は除き、非発生領域と発生領域に適用する長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との最大比率を設定する第二の制約条件を含み、上記のパラメータ・条件によって最適化を行った。図21は、その結果を示した図であって、最適化した結果の半径は、長期降雨指標と短期降雨指標それぞれ、発生領域が0.839と0.419、非発生領域が2.02と3.66、混在領域が4.02と0.01であり、エネルギは19.74である。
このパラメータ・条件を用いた最適化によれば、局所解に陥ることなく、安定的に同じ結果を得ることができた。これは、初期点を円形状の基底関数として設定することにより、どれかの変数が極端に小さいところから始まった場合、そこはどんどん小さくなりそれを他の変数でカバーして、局所解からの脱出が不可能になってしまうことを防止できるためと考えられる。
以上、本実施例によれば、当初は従来技術と同様、基底関数の半径と中心位置、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などRBFNのパラメータを、試行錯誤によって、その好適な値を求める必要があるが、その試行錯誤によって得られた値は、標準化した学習データに基づくものであって、降雨条件の異なる地域においても、本実施例の所定の手順により標準化した学習データを用いることにより、概ね好適なパラメータとして使用し得るものである。即ち、本実施例によれば、先に得られたRBFNのパラメータのノウハウを利用できるため、膨大な試行錯誤を要さず、利用者の経験と勘を要さず、かつ客観的に、再現性が高い土砂災害の発生限界線等を設定することができる。従って又、降雨条件が異なる他の地域にも容易に適用できる汎用性を有する。
又、学習データの再現性を大幅に改善した高精度の土砂災害に発生限界線等を設定することができ、更に又、利用者の経験と勘に頼って試行錯誤せざるを得ないパラメータが減少し、当初、試行錯誤によって決定すべき基底関数の中心位置や、結線の重みの抑制パラメータの上下限値などRBFNのパラメータを、著しく簡単に求めることができ、更には、それをより好適に設定することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、特許請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の変更がなされても良いことは明らかである。
例えば、実施例で説明した種々のパラメータは、実施例で使用した地域、特にはその学習データに基づき、試行錯誤による検討の結果、設定したものではあるが、必ずしも最適な設定ができたとは言えない可能性もあり、更には、降雨条件の異なる他の地域を対象とした検討結果なども含み、更に最適な設定をすべきものであり、何ら本発明を限定するものではない。
又、実施例では、初期点を円形状の基底関数として設定する例を説明したが、例えば、長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との比率を所定の範囲に限定する形態として実施することもでき、また、混在領域以外に適用する長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との最大比率を、実施例では2としたが、本発明は、これに何ら限定されるものではない。
自治体や防災センターなど公的な機関における防災計画の立案業務やハザードマップ作成、さらに集中豪雨などに伴う避難勧告や警報の発令のためなど幅広い用途がある。また、教育機関などにおいて災害の未然防止や避難訓練用の教材としても活用が見込まれる。さらに、建設・土木事業を営む私企業においても、防災事業のニーズ掘り起こしや事業提案のためのツール、あるいは公的機関との連携を図るための災害情報の共有ツールとして活用が可能であり、企業の防災技術に関する研究開発や設計事業などの用途にも適用可能である。
本発明の実施の形態に係る土砂災害の発生情報線の作成方法を示すフローチャートである。 単位格子領域内の発生・非発生の学習データに基づく放射状基底関数の中心位置の設定方法を示した概念図である。 降雨データをプロットしたグラフである。 単位格子領域に分割して発生・非発生の学習データをプロットして基底関数を設定した概念図である。 降雨データをプロットしたグラフである。 最適化工程の好ましい実施の形態についてその全体の処理の流れを示した全体フローチャートである。 最適化処理のための初期点探索工程の好ましい具体例を示したフローチャートである。 最適化処理のためのトンネル処理工程の好ましい具体例を示したフローチャートである。 最適化処理のための最急降下処理工程の好ましい具体例を示したフローチャートである。 最適化処理のための判定工程の好ましい具体例を示したフローチャートである。 ガウス関数の形状を表現する概念図である。 判別境界面の具体例を示す概念図である。 本実施の形態に係る土砂災害の警戒避難支援システムの構成図である。 標準化解析部の詳細な構成を示す概念図である。 判別境界面解析部の詳細な構成を示す概念図である。 RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、基底関数の半径が及ぼす影響を比較して示した二面図である。 RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、抑制パラメータの及ぼす影響を比較して示した二面図である。 RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、半径の初期値の及ぼす影響を比較して示した三面図である。 RBFNを用いてがけ崩れ発生限界線等を設定するに際し、最急降下法の収束計算で用いるステップ幅の及ぼす影響を比較して示した二面図である。 初期点を円形状の基底関数として設定する条件と、混在領域に適用する長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との最大比率を設定する第二の制約条件を設けずに最適化した結果を示した二面図である。 初期点を円形状の基底関数として設定する条件と、混在領域に適用する長期降雨指標軸の半径と短期降雨指標軸の半径との最大比率を設定する第二の制約条件を含み、最適化した結果を示した図である。
符号の説明
1…実データベース 2…実学習データ 3…標準化解析用データベース 4…標準化データ基準値テーブル 5…標準化変換係数 6…標準化データベース 7…標準化学習データ 8…判別境界面解析データベース 9…判別境界面解析データ 10…出力部 11…縦軸 12…横軸 13…基底関数 14a〜14d…降雨データ 15a〜15d…クラスタ代表点 16a〜16d…クラスタ 17…判別境界面 18…Z軸 19…X軸 20…Y軸 21…土砂災害発生情報管理システム 22…入力部 23…標準化解析部 24…判別境界面解析部 25…データ 26…解析条件 27…発生情報線作成部 28…標準化データ基準値選定部 29…変換係数演算部 30…標準化データ演算部 32…放射状基底関数中心位置設定部 33…クラスタリング解析部 34…放射状基底関数半径最適化部 35…初期点設定部 36…トンネル処理部 37…最急降下処理部 38…判定部 39…基底関数合成部

Claims (4)

  1. 標準化解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する第1の工程と、判別境界面解析部によって前記短期降雨指標と前記長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する第2の工程と、発生情報線作成部によって土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する第3の工程とを有する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法であって、
    前記第1の工程は、前記標準化解析部が、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された前記実学習データのうち、前記短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納する工程であり、
    前記第2の工程は、前記判別境界面解析部が、前記標準化データベースから前記標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に前記標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
    前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた前記発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
    を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納する工程であり、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を前記所定間隔の格子線で形成される前記単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として前記半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の前記半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の前記半径の初期値の前記放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、前記3つのグループ毎にそれぞれ前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
    前記目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、前記最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の前記目的関数の感度と前記ステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を前記現在値として更新するトンネル処理手段と、
    前記トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って前記目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
    この最急降下処理手段によって得られた局所値の前記目的関数の値が所定の条件を満足する場合には前記局所値を最適値とし、前記所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
    前記トンネル処理手段における所定の条件は、前記トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記最急降下処理手段における所定の条件は、前記目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは前記最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記第3の工程は、前記発生情報線作成部が、前記判別境界面解析データベースから前記判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程であることを特徴とする土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法。
  2. 前記設定する土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線は、地形要因による土砂災害発生の潜在危険度が異なる複数の斜面あるいは複数の渓流を含む、地域全体の斜面あるいは渓流の発生限界線であることを特徴とする請求項1記載の土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成方法。
  3. コンピュータに、標準化解析部によって短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する第1の工程と、判別境界面解析部によって前記短期降雨指標と前記長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する第2の工程と、発生情報線作成部によって土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する第3の工程とを実行させる土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成プログラムであって、
    前記第1の工程は、前記標準化解析部が、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された前記実学習データのうち、前記短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納する工程であり、
    前記第2の工程は、前記判別境界面解析部が、前記標準化データベースから前記標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に前記標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
    前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた前記発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
    を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納する工程であり、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を前記所定間隔の格子線で形成される前記単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として前記半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の前記半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の前記半径の初期値の前記放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、前記3つのグループ毎にそれぞれ前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
    前記目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、前記最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の前記目的関数の感度と前記ステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を前記現在値として更新するトンネル処理手段と、
    前記トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って前記目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
    この最急降下処理手段によって得られた局所値の前記目的関数の値が所定の条件を満足する場合には前記局所値を最適値とし、前記所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
    前記トンネル処理手段における所定の条件は、前記トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記最急降下処理手段における所定の条件は、前記目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは前記最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記第3の工程は、前記発生情報線作成部が、前記判別境界面解析データベースから前記判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する工程であることを特徴とする土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の作成プログラム。
  4. 短期降雨指標と長期降雨指標と土砂災害発生・非発生とのデータセットからなる実学習データの標準化を実行する標準化解析部と、前記短期降雨指標と前記長期降雨指標との二次元平面を所望の間隔の格子線で形成される単位格子領域に分割して格子点上に放射状基底関数を設定し、この格子点上の放射状基底関数を合成することで形成される判別境界面を構築する判別境界面解析部と、土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成する発生情報線作成部とを有する土砂災害の警戒避難支援システムにおいて、
    前記標準化解析部は、予め実データベースに格納された又は入力部から入力された前記実学習データのうち、前記短期降雨指標と長期降雨指標の実データを標準化して標準化学習データを生成して、標準化データベースに格納し、
    前記判別境界面解析部は、前記標準化データベースから前記標準化学習データを読み出し、標準化された短期降雨指標と長期降雨指標をそれぞれ示す軸にそれぞれ所定間隔の格子線を設定して、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を該格子線で形成される単位格子領域に分割し、該単位格子領域毎に、単位格子領域内に土砂災害発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する右上の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り発生の放射状基底関数を設定し、単位格子領域内に土砂災害非発生の前記標準化学習データが存在しかつ該単位格子領域を形成する左下の格子点に放射状基底関数が設定されていない場合に限り該格子点に非発生の放射状基底関数を設定する手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において、設定される単位格子領域毎に前記標準化された短期降雨指標と長期降雨指標に対応して含まれる前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段と、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数を設定する手段において設定された発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段と、
    前記土砂災害発生の標準化学習データ及び土砂災害非発生の標準化学習データをクラスタリングする手段によってクラスタリングされた標準化学習データと、前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段によって最適化された半径とを用いた前記発生の放射状基底関数と非発生の放射状基底関数を合成する手段と、
    を有して判別境界面を構築して、判別境界面解析データベースに格納し、
    前記発生の放射状基底関数及び非発生の放射状基底関数の半径の最適化を図る手段は、前記短期降雨指標と長期降雨指標との二次元平面を前記所定間隔の格子線で形成される前記単位格子領域内に存在する土砂災害の発生データと土砂災害の非発生データによって、土砂災害の発生領域と非発生領域と混在領域の3グループに分類し、予め設定した上下限値内を条件として前記半径の初期値を発生する第1の乱数発生手段を備えて、この第1の乱数発生手段によって複数の前記半径の初期値を発生させ、該発生させた複数の前記半径の初期値の前記放射状基底関数の目的関数を求め、該目的関数の値が最も小さくなる点を最適化の半径の初期値として設定し、かつ、前記3つのグループ毎にそれぞれ前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径とが同じに設定される初期点設定手段と、
    前記目的関数に含まれる複数の変数から1の変数を選択する第2の乱数発生手段と、下限値0と所定上限値内を条件としてステップ幅係数を発生させる第3の乱数発生手段とを備えて、前記最適化の半径の初期値の変数で規定される現在値の前記目的関数の感度と前記ステップ幅係数の積をステップ幅としてトンネル先値を所定の条件の下に設定しこのトンネル先値を前記現在値として更新するトンネル処理手段と、
    前記トンネル処理手段によって更新された現在値の目的関数の変数に対する感度を求めてこの感度に従って前記目的関数の値を最小化する局所値を求めるための収束計算を行う最急降下処理手段と、
    この最急降下処理手段によって得られた局所値の前記目的関数の値が所定の条件を満足する場合には前記局所値を最適値とし、前記所定の条件を満足しない場合には最適化計算回数を更新してトンネル処理手段に戻って最適化処理を続行する判定手段と、を有し、
    前記トンネル処理手段における所定の条件は、前記トンネル先値の放射状基底関数の半径が予め設定された最小値以上であること、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記最急降下処理手段における所定の条件は、前記目的関数の値の変化量の絶対値が予め設定された所定の値より小さいあるいは前記最適化計算回数が予め設定された所定の許容回数よりも大きいこと、及び前記土砂災害の発生領域と非発生領域における前記長期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径と前記短期降雨指標軸方向の前記放射状基底関数の半径との最大比率が設定値を超えないことであることを特徴とし、
    前記発生情報線作成部は、前記判別境界面解析データベースから前記判別境界面を読み出し、所定の発生危険度に対応する等高線として標準化した土砂災害の発生限界線、避難基準線及び警戒基準線の少なくともいずれかを作成することを特徴とする土砂災害の警戒避難支援システム。
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