JP2005347307A - 電磁波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた電磁波吸収特性を有する電磁波吸収体を提供する。
【解決手段】電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とからなる混合粉末を10〜70体積%含有し、残部がマトリックス材料からなる電磁波吸収体であって、当該電磁波吸収体中に、炭化ホウ素粉末が5〜60体積%、軟磁性材料粉末が2〜40体積%含有していることを特徴とする電磁波吸収体であり、好ましくは、前記マトリックス材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする前記の電磁波吸収体であり、広帯域移動アクセスシステム用の電磁波吸収体。
【選択図】なし
【解決手段】電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とからなる混合粉末を10〜70体積%含有し、残部がマトリックス材料からなる電磁波吸収体であって、当該電磁波吸収体中に、炭化ホウ素粉末が5〜60体積%、軟磁性材料粉末が2〜40体積%含有していることを特徴とする電磁波吸収体であり、好ましくは、前記マトリックス材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする前記の電磁波吸収体であり、広帯域移動アクセスシステム用の電磁波吸収体。
【選択図】なし
Description
本発明は、電磁波吸収特性に優れる、特に広帯域移動アクセスシステム用に好適な、1〜110GHzの高周波の吸収特性に優れる電磁波吸収体に関する。
近年、半導体、エレクトロニクスの分野において、コンピューターや民生用電子機器、さらには携帯電話等のいわゆる情報家電に使用される電磁波の高周波化が顕著に進展し、1秒間に10億回以上振動するギガヘルツ(GHz)帯域の電磁波も頻繁に使用されるようになってきた。
また、高度道路交通システム(ITS)の世界では、専用狭域通信(DSRC)と呼ばれる通信方式を用い、路側機(路側に設置された無線装置)と車載器(車両に搭載された無線装置)の間で無線通信を行う。
DSRCは現在、高速道路における自動料金収受システム(ETC)で実用化されているが、今後さらにガソリンスタンド、カーフェリー又はサービスエリアにおける電子決済や、運行管理・物流管理、各種の情報提供等に応用が期待されている。
さらに、高速無線LAN、無線アクセス及びAV機器等の情報家電やパーソナルコンピューター等を接続する無線ホームリンクを実現するために、中心周波数が数〜数十GHzで、かつ帯域に幅を持つ電磁波を用いた、広帯域移動アクセスシステムの導入が検討されている。
これらの用途で用いられる電磁波は、高周波であるために高出力・高密度の信号搬送を可能にする反面、ノイズとして他の機器に取り込まれると、情報漏洩、誤動作その他各種の電波障害を引き起こす懸念がある。
この対策として、電子機器や通信機器が外部から侵入する電磁波に干渉されないように、或いはこれらの機器が発生する電磁波が過剰に外部に漏洩しないように、電磁波シールド材や、電磁波吸収体が用いられる。とりわけ電磁波吸収体は、入射してきた電磁波を熱エネルギーに変換して、透過或いは反射する電磁波の強度を大幅に減衰するものである。
電磁波吸収体の材料として、従来はフェライト或いは磁性金属等の磁性材料やカーボンが使用されている。これらの材料は、粉末状として樹脂、ゴム或いは塗料等のマトリックス材料中に分散、複合化した状態とし、電磁波を吸収したい部位に貼付または塗布する形態で用いられることが多い。
しかしながら、磁性材料は比重が大きいため、マトリックス材料中に分散する際に、マトリックス材料との比重差によって沈降が生じやすく、均一な複合材料の成形性に難があるし、できあがった複合材料が重いため、移動を伴うノート型パーソナルコンピュータや民生用電子機器、通信機器等や、自動車に多量に使用する場合、本体が重くなり機動性に問題が生じる。
一方カーボンは、比重が比較的小さいので、磁性材料に見られるような前記の問題は生じないが、粉末が嵩高いためにマトリックスへの充填量を増大させることが困難であり、複合材料の電磁波吸収特性が不充分になってしまう。これを避けるためカーボンとしては充填性が比較的良好な結晶質のグラファイトが使用されることがあるが、グラファイト粒子は異方性が大きいうえにマトリックス内で配向しやすいため、やはり複合材料の電磁波吸収性能が損なわれてしまう。
また磁性材料やカーボンはMHz帯域や1〜数GHz帯域の電磁波を吸収するには適するが、特に広帯域移動アクセスシステム又はITSにおけるETC若しくは車載レーダーで適用が検討されている、5.8〜76GHz等の高周波帯域の電磁波は、充分吸収できないという問題を有する。
上記以外の材料として炭化珪素や炭化ホウ素が電磁波吸収特性を有することが知られている。この性質を利用した炭化珪素や炭化ホウ素のマイクロ波発熱体が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8−106980号公報。
炭化珪素や炭化ホウ素は磁性材料と比較すると比重が小さく、粉末もさほど嵩高くないため充填性も良好であり、しかも異方性が小さいため、磁性材料やカーボンに見られる前記の問題は有していない。しかし、炭化珪素や炭化ホウ素を含む複合体は、特定範囲の狭い帯域の周波数の電磁波を吸収するには適するが、広帯域移動アクセスシステムに用いられる、例えば24.75GHz〜25.25GHzや、27.00GHz〜27.48GHz等の、帯域に幅を持つ電磁波を吸収するには性能が不充分であった。
本発明は、従来の電磁波吸収体が有する前記の諸問題を解決し、優れた電磁波吸収特性を有する新規な電磁波吸収体を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とからなる混合粉末を10〜70体積%含有し、残部がマトリックス材料からなる電磁波吸収体であって、当該電磁波吸収体中に、炭化ホウ素粉末が5〜60体積%、軟磁性材料粉末が2〜40体積%含有していることを特徴とする電磁波吸収体である。
また、本発明は、前記マトリックス材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする電磁波吸収体である。
また、本発明は、前記の電磁波吸収体からなることを特徴とする広帯域移動アクセスシステム用の電磁波吸収体である。
本発明の電磁波吸収体は、特定の電気伝導度を有する炭化ホウ素粉末と、特定の保磁力を有する軟磁性材料粉末を特定量ずつマトリックス材料に含ませることで、電磁波吸収特性、特に1〜110GHzの周波数であって、帯域に幅を持つ電磁波の吸収特性に優れる特徴がある。ここで、帯域の幅に関しては、従来の電磁波吸収体においては、反射減衰率が最大値の80%以上になる周波数帯域幅の、整合周波数値(GHz)に対する割合は、高々2%以下であったのに対し、本発明の電磁波吸収体においては3%以上、好ましい実施態様に於いては5%以上の割合を示す特徴がある。
本発明の電磁波吸収体は、前記特性の炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末とを、マトリックス材料に特定量配合し、複合化しているので、安定して前記電磁波特性を発揮出来るし、マトリックス材料の形態に応じていろいろな形態として提供することができ、いろいろな用途に容易に適用し得る特徴がある。特に、マトリックス材料として、熱可塑性樹脂を選択するときには、熱可塑性樹脂に利用されている射出成形、押出成形、ロール成形、プレス成形法、テープ成形法等のいろいろな成形、加工方法をそのままに適用することができるので、品質の安定した電磁波吸収体を大量に、従って安価に産業規模で提供出来る特徴がある。
また、本発明の電磁波吸収体は、炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末と同時に含んでいるので、これらをマトリックス材料中に分散させる際に、比重の大きい軟磁性材料粉末が沈降し分離、偏在することを防ぐことができる。更に、本発明の電磁吸収材料は、電磁波吸収体全体としての重量について、炭化ホウ素粉末が存在していることから、従来の磁性材料粉末を単独で使用した場合に比べて、軽いという特徴があり、当該電磁波吸収体を、ノート型パーソナルコンピュータや広帯域移動アクセスシステムに使用される通信機器を初めとする移動用電子機器に用いられる電磁波吸収体として好適である。
本発明者は、前記した公知技術の問題を解決するべくいろいろ検討した結果、特定の炭化ホウ素粉末と、特定の軟磁性材料粉末とを特定配合して混合粉末とすることにより、更に、前記混合粉末を空間的に所定の密度となるように配置することにより、周波数1〜110GHzのような高周波帯域で優れた電磁波吸収体が得られるという知見を得て、本発明に至ったものである。
まず、本発明は、電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とからなる混合粉末を10〜70体積%含有し、残部がマトリックス材料からなる電磁波吸収体であって、当該電磁波吸収体中に、炭化ホウ素粉末が5〜60体積%、軟磁性材料粉末が2〜40体積%含有していることを特徴とする電磁波吸収体である。本発明品が優れた電磁波吸収特性を発揮できることの原因について、本発明者は次のように推定している。
電磁波吸収特性には、材料の有する電気伝導性、誘電的性質或いは磁気的性質が関与するとされているが、電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とが複合された場合、更に、空間的に所定に密度で配置された場合に、前記の特定範囲の電気伝導度と、これらの材料同士が混合された際に生じる誘電的性質及び磁気的性質とが相俟って、電磁波吸収に好適な性質が発現すると考えられる。
電磁波は、電磁波吸収体に入射した際に生じる、電気抵抗による損失、誘電損失及び/又は磁気損失によって、電磁波の有するエネルギーが熱に変換されて吸収される。従って誘電損失に対応する吸収体の複素比誘電率(εr=εr’―jεr”)の虚部(εr”)又は磁気損失に対応する吸収体の複素比透磁率(μr=μr’−jμr”)の虚部(μr”)が、大きな値を有さなければならない。ここで、jは虚数単位を示す。
一方、広帯域移動アクセスシステム又はITSにおける不要電磁波吸収の場合に見られるように、波源からの距離が遠い位置すなわち遠方界における電磁波吸収において、電磁波が電磁波吸収体に入射するためには、空間と電磁波吸収体のインピーダンスが整合しなければならない。インピーダンスが整合するためには、電磁波の波長(λ)、吸収体の厚さ(d)、吸収体の複素比誘電率及び複素比透磁率の関係が、無反射条件と呼ばれる下式に示す一定の条件に近づかなければならない。
1=(μr/εr)1/2*tanh(j*(2πd/λ)*(εrμr)1/2)
ここで、εr及びμrは複素数でありそれぞれ実部(εr’、μr’)及び虚部(εr”、μr”)からなるので、それぞれの実部及び虚部も相互に特定の関係を有さなければならない。
1=(μr/εr)1/2*tanh(j*(2πd/λ)*(εrμr)1/2)
ここで、εr及びμrは複素数でありそれぞれ実部(εr’、μr’)及び虚部(εr”、μr”)からなるので、それぞれの実部及び虚部も相互に特定の関係を有さなければならない。
本発明の電磁波吸収体が周波数1〜110GHzの電磁波を吸収する理由は、1〜110GHzにおいて、本発明の電磁波吸収体の構成要素となっている、炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末との混合粉末が比較的大きな誘電損失(εr”値)を有すること、更に空間的に所定に密度で配置されることに基づくと推定される。
また、本発明の電磁波吸収体が周波数1〜110GHzの帯域に幅を持つ電磁波を吸収するのは、1〜110GHzにおいて、前記混合粉末の複素比透磁率の実部(μr’)及び虚部(μr”)が、無反射条件に近い関係を有するため空間と電磁波吸収体のインピーダンスが整合しやすいことに基づくと推定される。この理由は明らかではないが、1〜110GHzの周波数において、特に保磁力0.1〜1000A/mの軟磁性材料の複素比透磁率の実部及び虚部が周波数の増大と共に低下する現象が顕著であることから、磁性材料の複素比透磁率が実部、虚部共に一定値以上になり得ずしかも周波数の増大と共に低下する現象(Snoekの限界と呼ばれる)に関係すると推測される。
以上のように、本発明の電磁波吸収体は、特定の炭化ホウ素粉末の有する優れた電磁波吸収性能と、特定の軟磁性材料の有する優れたインピーダンス整合性能と、両者を組み合わせることで、更に空間的に適度に充填することにより、優れた電磁波吸収特性が発揮されている。
本発明に用いる炭化ホウ素粉末は、電気伝導度が5×10−6S/cm以上のものであれば良く、その製造履歴は問わない。
炭化ホウ素粉末の製造方法として、炭化ホウ素塊を合成した後これを粉砕、篩い分けすることによって製造することができる。炭化ホウ素塊を合成する具体的な方法としては、例えばホウ酸等のホウ素分と石油コークス等の炭素分とを混合した原料を、アーク炉、抵抗加熱炉、高周波加熱炉等を用いて2200℃程度の高温まで加熱して、例えば下記の反応を生じさせる方法が代表的である。
4H3BO3+7C → B4C+6CO+6H2O
4H3BO3+7C → B4C+6CO+6H2O
更に、前記以外の方法として、三塩化ホウ素(BCl3)を炭素の存在下、水素(H2)で還元する方法や、BCl3とメタン(CH4)等の炭化水素をH2存在下で反応させるなどの方法が公知であるが、本発明に於いてはいずれの製法によるものであっても構わない。
また、炭化ホウ素粉末に関して、ホウ素の炭素に対するモル比については、4、6.5、8、10又は25が公知である、本発明に於いては、前記特定の電気伝導性を有する限り、いずれモル比のものであっても構わない。
炭化ホウ素粉末を構成する粒子の粒度については、0.1μm以上250μm以下、好ましくは0.1μm以上45μm以下である。
尚、炭化ホウ素粉末の電気伝導度については、以下の方法で測定したものである。即ち、直径16mm、厚さ3mmのステンレス製円板を、内径16mm、外径24mmの樹脂(ポリアセタール)製円筒にはめ込み、その上に炭化ホウ素粉末1.0〜1.5gと、もう1枚の直径16mm、厚さ3mmのステンレス製円板を載せる。上下のステンレス円板の外側に銅箔を敷いた後、油圧プレスを用いて14.7MPaの圧力を加えて炭化ホウ素粉末を圧縮する。加圧したままデジタルマルチメーターで上下の銅箔間の抵抗値を計測し、加圧開始1分後の抵抗値と、加圧時の炭化ホウ素粉末の充填高さ及び樹脂円筒内径寸法から、炭化ホウ素粉末の比抵抗(Ωcm)を算出し、逆数を電気伝導度(S/cm)とする。この測定法による電気伝導度が5×10−6S/cm未満の炭化ホウ素粉末は、得られる電磁波吸収体の電磁波吸収性能が不充分な場合がある。
次に、本発明に用いる軟磁性材料粉末については、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料からなる粉末であれば、何れであっても良い。例えば、鉄(Fe)の他、ケイ素鋼(Fe−Si)、パーマロイ(Ni−Fe)、パーメンジュール(Fe−Co)、センダスト(Fe−Si−Al)、電磁ステンレス鋼、アモルファス鉄基合金(Fe−B−C系、Fe−Co系)等の鉄を含む合金や、マンガン−亜鉛(Mn−Zn)フェライト、ニッケル−亜鉛(Ni−Zn)フェライト等からなる粉末である。かかる粉末を構成する粒子の粒度は、0.1μm以上250μm以下、好ましくは0.1μm以上45μm以下である。
本発明に用いる軟磁性材料粉末について、その保磁力は、当該粉末をリング状に圧粉、成形してコア材を形成し、これに一次側及び二次側のコイルをそれぞれ巻き付けて、一次側コイルに交流50Hz又は交流60Hzの電圧を印加しながら、一次側コイルからコア材に加わる磁場(H)を、二次側コイルからコア材に生じる磁束密度(B)をそれぞれ検出してオシロスコープに磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)を表示させるオシロスコープ直視法によって、求めることができる。
本発明においては、前記の測定法による保磁力が0.1A/m未満のものは磁気的性質が弱過ぎるために、また1000A/mを超えるものは1〜110GHzで常用される電磁波では殆ど磁化しないために、何れも得られる電磁波吸収体の電磁波吸収特性が向上しない。
本発明の電磁波吸収体は、前記炭化ホウ素粉末に前記軟磁性材料粉末を混合することで得られる混合粉末を、樹脂、ゴム或いは塗料等のマトリックス材料中に分散、複合化した複合材料として用いることができる。
この場合、前記混合粉末は、樹脂、ゴム、塗料或いは無機材料等のマトリックス材料中に分散、複合化した複合材料において、混合粉末が10〜70体積%を占有するように選択される。10体積%未満では、得られる電磁吸収体の電磁波吸収特性が不十分となって実用面で制限されることが多いからであり、70体積%を越える場合には複合材料を、多量に、安定して得ることが容易でなくなるからである。
マトリックス材料としては、前記混合粉末の電磁波吸収特性を阻害しない材料であればどのようなものであっても構わないが、具体的に例示するならば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリピラゾール、ポリキノキサリン、ポリキナゾリンジオン、ポリベンズオキサジノン、ポリインドロン、ポリキナゾロン、ポリインドキシル、シリコン樹脂、シリコン−エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、ポリアミノビスマレイミド、ジアリルフタレート樹脂、フッ素樹脂、TPX樹脂(メチルペンテンポリマー「三井石油化学社製商品名」)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、66−ナイロンおよびMXD−ナイロン、アモルファスナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等の樹脂類、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、ポリブタジエン、クロロプレン、天然ゴム、ポリイソプレン等のエラストマー類及びこれらに必要に応じ、硬化剤、硬化促進剤、触媒、加硫剤、滑剤・離型剤、安定剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、カップリング剤等を添加したものであるが、これら以外に蛙目粘土、木節粘土等の粘土類、セメント、アルミナセメント、モルタル、石膏等の無機材料も使用可能である。
前記マトリックス材料のうち、取り扱いが簡便であること、ドクターブレード等に成膜する方法、ロール成形、押出成形、射出成形、プレス成形など従来公知の成形方法や加工方法を、必要なら複数の方法を組み合わせて、適用できることからアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
マトリックス材料に対して、前記混合粉末を添加、混合し、用途に応じ膜、板等の成形品や、液状のままで塗料、充填材等の多用な形態の複合材料として使用される。
尚、本発明の電磁波吸収体の製造に当たり、混合粉末を経由することなく、マトリックス材料に炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末とを所定量配合し、複合化することで得ることもできる。
尚、本発明の電磁波吸収体の製造に当たり、混合粉末を経由することなく、マトリックス材料に炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末とを所定量配合し、複合化することで得ることもできる。
複合材料が液状の場合、混合は、少量のときは手混合でも良いが、多量のときにはプラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ボールミル、ミキシングロール等の一般的な混合機が用いられる。
マトリックス材料と複合化する際、炭化ホウ素粉末の含有量は、5〜60体積%、軟磁性材料粉末の含有量は2〜40体積%であることが好ましい。前記配合割合以外では、充分な電磁波吸収特性が得られなくなることがあるからである。
本発明の電磁波吸収体は、前記の通りに優れた電磁波吸収特性を有するとともに、軽量である特徴があるので、広帯域移動アクセスシステム用の電磁波吸収体として好適に使用出来る。
(実施例1)ホウ酸粉末と石油コークス粉末を混合した後、抵抗加熱炉を用い2200℃で5時間加熱して炭化ホウ素塊を合成した。これを鉄製ボールのボールミルで粉砕し、篩網を用いて粒径45μm以下に篩分け、更に硝酸水溶液で洗浄して鉄分を除去後、濾過・乾燥して炭化ホウ素粉末を作製した。
前述の方法で前記炭化ホウ素粉末の電気伝導度を測定したところ、8×10−6S/cmであった。
軟磁性材料粉末として、市販のセンダスト粉末(日本アトマイズ加工製SFR−FeSiAl、平均粒径8.9μm)を用いた。この粉末を金型成形後さらにCIP(冷間静水圧)成形して外径13mm、内径10mm、厚さ6mmのリング状成形体を作製し、これに一次コイル及び二次コイルを何れも巻数14回巻付けた後、一次側コイルに交流50Hzの電圧を印加しながらオシロスコープ直視法によって保磁力を測定したところ、105A/mであった。
次に、アクリルエマルジョン(高圧ガス工業製FX−851、樹脂分55%)100質量部、分散剤(サンノプコ製SNディスパーサント2060)2質量部及び消泡剤(サンノプコ製SNデフォーマー314)0.2質量部からなる液状マトリックスを用意した。
前記液状マトリックスに、前記液状マトリックス中の樹脂分と炭化ホウ素粉末と軟磁性材料粉末との合計に対して、炭化ホウ素粉末が45体積%、軟磁性材料粉末が15体積%となるように配合し、添加し、ハイブリッドミキサー(キーエンス製HM−500)を用いて混合してスラリーを作製した。
前記スラリーを0.3mm厚さのシート形状に成形した後、70℃で3時間加熱して固化させて、炭化ホウ素粉末、軟磁性材料粉末及びアクリル樹脂を含有する電磁波吸収体を得た。
前記電磁波吸収体について、1〜110GHzの電磁波入射時における電磁波吸収特性を、ネットワークアナライザーを用い、自由空間法で測定した結果、反射減衰率が最大となる整合周波数は25.1GHzであり、この時の反射減衰率は28.8デシベルであった。また、反射減衰率が最大値の80%(23.0デシベル)以上になる周波数帯域は、24.3〜25.8GHzであり、またこの帯域幅の整合周波数値(GHz)に対する割合は、6.0%であり、広帯域移動アクセスシステムに用いられる24.75GHz〜25.25GHz帯域の電磁波吸収体として使用可能であることを確認した。
(実施例2〜4)実施例1において、軟磁性材料粉末の種類を変えたこと、炭化ホウ素粉末と軟磁性材料の配合割合を変えたこと、電磁波吸収体の厚さを変化させたこと以外は実施例1と同じ操作で電磁波吸収体を作製して、1〜110GHzにおける電磁波吸収特性を測定し、整合周波数、整合周波数における最大反射減衰率及び反射減衰率が最大値の80%以上になる周波数帯域を求めた。結果を表1に示した。
尚、軟磁性材料粉末は、鉄粉(平均粒径10μm)、Mn−Znフェライト粉(ハイデコ製HC−04500C、平均粒径1.5μm)及びNi−Znフェライト粉(戸田工業製BSN−355B、平均粒径5.5μm)であり、その保磁力は、実施例1と同じ方法で測定したところ、それぞれ80、8.7、及び750A/mであった。
(比較例1)実施例1において、軟磁性材料粉末は用いずに、炭化ホウ素粉末だけを45体積%になるように配合しこと以外は、実施例1と同様にして0.3mm厚さのシート形状に成形して電磁波吸収体を得て、実施例1と同じ評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例2)磁性材料であるマグヘマイト(γ−Fe2O3)粉末を、非特許文献1に記載された方法で作製したところ、粒子長径1〜3μm、短径0.1〜0.2μm程度の針状ないし葉脈状粒子からなる粉末であり、実施例1と同じ方法で測定した保磁力は2700A/mであった。
マグネトセラミックス(技報堂出版)、230〜236ページ。
マグネトセラミックス(技報堂出版)、230〜236ページ。
これを軟磁性材料粉末の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして0.3mm厚さのシート形状に成形して電磁波吸収体、炭化ホウ素粉末及びアクリル樹脂の複合材料を作製して1〜110GHzにおける電磁波吸収特性を得て、実施例1と同じ評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例5)実施例1の電磁波吸収体を、床面積約10m2、壁面高さ2.4mの方形の部屋の内壁全面に貼付し、部屋の中心で、広帯域移動アクセスシステムの一種である住宅内LAN用無線を想定した周波数帯24.75〜25.25GHzの電磁波をネットワークアナライザを用いて発信させて、部屋の外で、壁面直近の床面から高さ1.2mの位置で受信した。この時受信した電磁波の強度(N)と、部屋の内壁に電磁波吸収体を貼付していない時における受信強度(S)との比をデシベル値(−20log[N/S])に変換したところ22〜28デシベルであり、実施例1の電磁波吸収体が広帯域移動アクセスシステム用として使用可能であることを確認した。
本発明の電磁波吸収体は、帯域に幅を持つ電磁波に対して安定した吸収特性を発揮するので、特に広帯域移動アクセスシステム用の不要電磁波の吸収材料として適するが、それ以外にも自動車料金収受システム、車載レーダー、情報家電、無線LAN、超高帯域無線(UWB)、携帯電話基地局或いはテレビ受信時におけるゴースト発生防止用等の不要電磁波の吸収材料として、家屋の外装材、壁材或いはカーテン等への広範な産業上の利用可能性を有している。
Claims (3)
- 電気伝導度が5×10−6S/cm以上の炭化ホウ素粉末と、保磁力が0.1〜1000A/mの軟磁性材料粉末とからなる混合粉末を10〜70体積%含有し、残部がマトリックス材料からなる電磁波吸収体であって、当該電磁波吸収体中に、炭化ホウ素粉末が5〜60体積%、軟磁性材料粉末が2〜40体積%含有していることを特徴とする電磁波吸収体。
- 前記マトリックス材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収体。
- 請求項1、又は請求項2記載の電磁波吸収体からなることを特徴とする広帯域移動アクセスシステム用の電磁波吸収体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004161696A patent/JP2005347307A/ja active Pending
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