JP2005345345A - 分注装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して精度よく分注を行うことができる分注装置を提供すること。
【解決手段】 外管2と、その外管2に内包された内管3とを含む二重管構造の分注器1を備える。内管3には、分注液が供給され、外管2には、分注液を搬送するエアが供給される。内管3に分注液を供給するための手段として、液配管7、タンク8、第1電磁弁9、エア配管10及び圧送圧力調整器11が設けられる。外管2にエアを供給するための手段として、エア配管12、第2電磁弁13及び圧力調整器14が設けられる。内管3の吐出口から分注液が自重で滴下する以前に、分注液を撮像するCCDカメラ20と、CCDカメラ20の撮像データから分注液の体積を算出して、分注液の体積が目標値になるように外管2の吐出口からエアを吐出するタイミングを調整させるべく第2電磁弁13を制御するコントローラ15が設けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、所定の液体を一定微量に小分けしてスポット的に注ぐのに使用される分注装置に関する。例えば、バイオチップ製造等の分野にて好適に用いられるものである。
従来から、薬液等の液体を一定微量ずつ小分けしてスポット的に相手容器等に注ぐ(分注する)のに使用される分注装置として、例えば、下記の非特許文献1に記載されるものがある。この分注装置は、分注器のノズル先端から、「0.1〜2.5μl」程度の容量の液体を「0.1μl」の精度で吐出して分注するようになっている。
ところが、前記非特許文献1に記載された装置では、「μl」レベルの精度の分注が限界であり、それ以上の精度で液体を超微量に分注することが困難であった。これは、前記分注器では、主として「液滴法」が使用され、液体には表面張力と呼ばれる「液体分子間の凝集力」や「管壁に対する付着力」があるためである。一般に、垂直な管の下端から落下する液滴は、その質量分の重力が表面張力等に打ち勝つときに落下することから、落下に必要な最少の液滴量が「μl」レベルになってしまうからである。従って、従来の分注装置では、「nl」レベルの超微量な分注を行うことができなかった。
この問題を解決した分注装置が特開2004−101480号公報に開示されている。ここに開示された分注装置は、先端に吐出口を有する一つの外管と、その外管に内包され、その外管の吐出口の近傍に位置する吐出口を有する少なくとも一つの内管と、外管又は内管に分注液を供給するための分注液供給手段と、分注液が供給されない管に搬送流体を供給するための搬送流体供給手段と、分注液が供給される管の吐出口から分注液が自重で滴下する以前に、分注液が供給されない管の吐出口から搬送流体を吐出させるために搬送流体供給手段を制御する供給制御手段とを備えたものである。
そして、この分注装置では、分注液供給手段により外管又は内管に分注液が供給されることにより、その管の吐出口へ分注液が導かれる。又、分注液が供給されない管に、搬送流体供給手段により搬送流体が供給されることにより、その管の吐出口へ搬送流体が導かれる。ここで、分注液が供給される管の吐出口から分注液が自重で滴下する以前に、供給制御手段による搬送流体供給手段の制御により、分注液が供給されない管の吐出口から搬送流体が吐出されることにより、その搬送流体が滴下前の分注液に作用し、その表面張力に打ち勝って分注液が液滴として落とされる。したがって、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の液滴が分注される。
アズワン(株)カタログ「研究用総合機器70000」第568頁 特開2004−101480号公報(第2〜3頁、図1)
しかしながら、特開2004−101480号公報に開示された分注装置では、自重で滴下するときの容量より少ない超微量(「nl」レベル)の液滴を吐出して分注することはできるが、その吐出(分注)量が目標量であるか否かが不明であった。このため、分注を行う条件によって、分注される液滴の体積(分注量)にばらつきが生じるおそれがあった。言い換えると、精度よく分注を行うことができないおそれがあったのである。
そこで、本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して精度よく分注を行うことができる分注装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る分注装置は、先端に吐出口を有する一つの外管と、前記外管に内包され、その外管の吐出口の近傍に位置する吐出口を有する少なくとも一つの内管と、前記外管又は前記内管に分注液を供給するための分注液供給手段と、前記分注液が供給されない管に搬送流体を供給するための搬送流体供給手段と、前記分注液が供給される管の吐出口から前記分注液が自重で滴下する以前に、前記分注液が供給されない管の吐出口から前記搬送流体を吐出させるために前記搬送流体供給手段を制御する供給制御手段と、前記吐出口から滴下される分注液を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像データに基づいて画像解析を行い前記滴下される分注液の体積を算出する分注液体積算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
この分注装置では、分注液供給手段により外管又は内管に分注液が供給されることにより、その管の吐出口へ分注液が導かれる。また、分注液が供給されない管に、搬送流体供給手段により搬送流体が供給されることにより、その管の吐出口へ搬送流体が導かれる。ここで、分注液が供給される管の吐出口から分注液が自重で滴下する以前に、供給制御手段による搬送流体供給手段の制御により、分注液が供給されない管の吐出口から搬送流体が吐出されることにより、その搬送流体が滴下前の分注液に作用し、その表面張力に打ち勝って分注液が液滴として落とされる。したがって、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の液滴が分注されることになる。
そして、分注された液滴が撮像手段により撮像され、分注液体積算出手段により撮像手段の撮像データが画像解析されて分注液の体積が算出される。具体的には、例えば、分注液を球であると仮定して、撮像データから分注液の断面積を求め、そこから分注液の半径を求めて、分注液の体積を算出する。
このように、この分注装置では、分注液の体積が毎回算出されるので、分注液の体積が目標値から大きくずれた場合には、搬送流体供給手段を調整するなどして、常に目標値通りの体積の液滴を滴下することができる。したがって、分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して精度よく分注を行うことができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る別の分注装置は、先端に吐出口を有する一つの外管と、前記外管に内包され、その外管の吐出口の近傍に位置する吐出口を有する少なくとも一つの内管と、前記外管又は前記内管に分注液を供給するための分注液供給手段と、前記分注液が供給されない管に搬送流体を供給するための搬送流体供給手段と、前記分注液が供給される管の吐出口から前記分注液が自重で滴下する以前に、前記分注液が供給されない管の吐出口から前記搬送流体を吐出させるために前記搬送流体供給手段を制御する供給制御手段と、前記吐出口から滴下される分注液の直径を測長する測長手段と、前記測長手段で測長された直径から前記滴下される分注液の体積を算出する分注液体積算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
この分注装置でも、分注液供給手段により外管又は内管に分注液が供給されることにより、その管の吐出口へ分注液が導かれる。また、分注液が供給されない管に、搬送流体供給手段により搬送流体が供給されることにより、その管の吐出口へ搬送流体が導かれる。ここで、分注液が供給される管の吐出口から分注液が自重で滴下する以前に、供給制御手段による搬送流体供給手段の制御により、分注液が供給されない管の吐出口から搬送流体が吐出されることにより、その搬送流体が滴下前の分注液に作用し、その表面張力に打ち勝って分注液が液滴として落とされる。したがって、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の液滴が分注されることになる。
そして、分注された液滴の直径が測長手段により計測され、分注液体積算出手段により測定された直径から分注液の体積が算出される。このように、この分注装置でも、分注液の体積が毎回算出されるので、分注液の体積が目標値から大きくずれた場合には、搬送流体供給手段を調整するなどして、常に目標値通りの体積の液滴を滴下することができる。したがって、分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して精度よく分注を行うことができる。
本発明に係る分注装置においては、前記供給制御手段は、前記分注液体積算出手段で算出される体積と分注液の目標体積とが等しくなるように前記搬送流体供給手段を制御することが望ましい。
このように、搬送流体供給手段をフィードバック制御することにより、分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して非常に精度よく分注を行うことができるからである。
また、本発明に係る分注装置においては、前記供給制御手段は、前記分注液供給手段も制御するようにしてもよい。
こうすることにより、吐出口への分注液の供給時間を調整することができ、分注に要する時間を短縮することができるからである。
また、本発明に係る分注装置においては、分注開始前に試し滴下を行い、前記分注液体積算出手段により試し滴下時の分注液の体積を算出することが望ましい。
こうすることにより、1回目の分注から目標量を確実に吐出することができるからである。したがって、より高精度な分注を行うことができる。
また、本発明に係る分注装置においては、分注液供給手段は、タンクに貯留された分注液をピエゾアクチュエータの動作により圧送するものであることが望ましい。
こうすることにより、タンクに貯留された分注液がピエゾアクチュエータの動作により圧送されて、外管又は内管に分注液が供給されるので、例えば、エアにより分注液を圧送するタイプの構成に比べ、エア配管やエア供給の必要性がなく、構成が簡略化されるからである。
また、本発明に係る分注装置においては、分注液が供給される管の吐出口の周囲表面に撥水性処理を施すことが望ましい。
こうすることにより、吐出口からの分注液の切れが促進され、液滴の容量が更に少なくなるからである。
また、本発明に係る分注装置においては、分注液が供給される管の吐出口の周囲を表面張力緩和形状とすることが望ましい。
こうすることにより、吐出口からの分注液の切れが促進され、液滴の容量が更に少なくなるからである。
本発明に係る分注装置によれば、滴下される分注液の体積を算出する分注液体積算出手段を備えているので、分注量を常に把握することができる。このため、常に目標値通りの体積の液滴を滴下することができるので、分注量がばらつくことなく常に目標量で吐出して精度よく分注を行うことができる。
以下、本発明の分注装置を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。図1に、この実施の形態の分注装置の概略構成図を示す。この分注装置は、ピペット状の分注器1を備える。この分注器1は、外管2と、その外管2に内包される内管3とを含む二重管構造をなす。分注器1の下方には、分注相手であるバイオチップ等の基板4が配置される。また、後述する吐出口2aに近傍にCCDカメラ20が配置される。このCCDカメラ20は、吐出口から吐出される分注液を水平方向から撮像するものである。
図2に、分注器1の下端部を拡大断面図に示す。図3に、図2のA−A線断面図を示す。外管2は、その先端である下端に吐出口2aを有する。内管3は、外管2の吐出口2aの近傍に位置する吐出口3aを含む。外管2と内管3との間には、隙間通路5が形成される。図2に示すように、内管3の吐出口3aの周囲の形状は、単に管材をその軸線に垂直に切断しただけの端面形状を有する。この吐出口3aの周囲表面には、図2に破線で示すように、シリコーン・コーティング剤等を使用しての撥水性処理を施すことにより、撥水性コーティング6が形成される。
図1に示すように、分注器1の内管3には、液配管7が接続される。この液配管7の上流端は、分注液を貯留するタンク8に接続されて分注液の中に配置される。液配管7の途中には、第1電磁弁9が設けられる。タンク8の上部には、液圧送用エアを供給するためのエア配管10が接続される。このエア配管10の途中には、液圧送用エアの圧力を調整するための圧送圧力調整器11が設けられる。そして、タンク8には、圧送圧力調整器11により圧力調整されたエアが常時供給される。この状態で、第1電磁弁9が開弁することにより、タンク8に貯留された分注液が、内管3に供給される。この実施の形態では、これら液配管7、タンク8、第1電磁弁9、エア配管10及び圧送圧力調整器11により、内管3に分注液を供給するための本発明の分注液供給手段が構成される。
図1に示すように、分注器1の外管2には、別のエア配管12が接続される。このエア配管12には、搬送流体としてのエアが供給される。エア配管12の途中には、第2電磁弁13と、エア圧力を調整するための圧力調整器14が設けられる。この状態で、第2電磁弁13が開弁することにより、搬送用エアが、外管2と内管3との間の隙間通路5に供給される。この実施の形態では、これらエア配管12、第2電磁弁13及び圧力調整器14により、外管2と内管3との間の隙間通路5に搬送流体としてのエアを供給するための本発明の搬送流体供給手段が構成される。
図1に示すように、第1電磁弁9及び第2電磁弁13は、それぞれコントローラ15に接続される。このコントローラ15は、分注器1に対する分注液及びエアの供給タイミングを制御するために、第1電磁弁9及び第2電磁弁13の開弁及び閉弁を制御するものである。この実施の形態で、コントローラ15は、内管3の吐出口3aから分注液が自重で滴下する以前に、外管2の吐出口2aから搬送用エアをパルス的に吐出させるために第2電磁弁13を制御するものであり、本発明の供給制御手段に相当する。
また、コントローラ15にはCCDカメラ20が接続される。そして、コントローラ15は、CCDカメラ20の撮像データに基づき画像解析を行って分注液の体積を算出するものでもある。つまり、この実施の形態で、コントローラ15は、本発明の分注液体積算出手段にも相当する。そして、コントローラ15は、算出した分注液の体積が目標値になるように、第1電磁弁9及び第2電磁弁13の開弁及び閉弁のタイミングを制御するようになっている。
ここで、コントローラ15での分注液の体積算出方法について説明する。吐出口12aから吐出される分注液はほぼ球になる。したがって、分注液の断面積(投影面積)をSとすると、画像解析により断面積Sを算出することができる。これにより、分注液の半径Rは、
R=√(S/π)
となる。したがって、分注液の理想体積V’は、
V’=4・π・R3/3
となる。
ところが、実際には分注液は完全な球にはならないので補正係数をKとすると、分注液の体積Vは、
V=K・V’
となる。なお、補正係数Kは、分注液として使用する液体の性状により決定されるものであり、実験などにより予め求めておけばよい。
図4に、コントローラ15が制御する第1電磁弁9及び第2電磁弁13の開閉タイミングの一例をタイムチャートに示す。この実施の形態では、基本的には図4(a),(b)に示すように、第1電磁弁9の開弁から少し遅れて第2電磁弁13が開弁され、その後に所定時間が経過すると、両電磁弁9,13が同時に閉弁されるようになっている。
そして、コントローラ15により、CCDカメラ20の撮像データから算出される分注液の体積に基づき、第2電磁弁13の開弁タイミングが制御される。例えば、CCDカメラ20の撮像データに基づき算出される分注液の体積が目標値よりも大きい場合には、第2電磁弁13の開弁タイミングが早められる。一方、CCDカメラ20の撮像データに基づき算出される分注液の体積が目標値よりも小さい場合には、第2電磁弁13の開弁タイミングが遅らされる。これにより、常に一定量の分注液を吐出することができる。
この実施の形態では、搬送用エアの圧力が「0.5MPaG」に設定される。また、分注液の圧送圧力は「0.01MPaG〜0.1MPaG」の範囲で可変となっている。そして、分注液の圧送圧力は、コントローラ15により調整される。つまり、コントローラ15によって圧送圧力調整器11の設定値を変更して分注液の圧送圧力を可変させる。例えば、分注液の圧送圧力を大きくすることにより、分注に要する時間を短縮することができる。また、内管3の内径は「φ50μm」に、外管2の外径は「φ100μm」に設定される。
図5に、細管21の下端開口21aから液滴22が落下する際の力学的関係を概念図に示す。液滴22の質量を「m」とすると、液滴22を下に引く力は重力「mg」である。一方、液滴22を上に引き上げる力は「2πrα」である。ここで、「α」は「表面張力」であり、「r」は開口21aの「外半径」である。従って、液滴22が落下するには、「mg>2πrα」の関係が成立するまで、液滴22が成長してその質量が増大する必要がある。
以上説明したこの実施の形態の分注装置によれば、第1電磁弁9が開弁されてタンク8から内管3に分注液が供給されると、内管3の吐出口3aへ分注液が導かれる。又、第2電磁弁13が開弁されて外管2に搬送用エアが供給されると、外管2の吐出口2aへ搬送用エアが導かれる。
ここで、内管3の吐出口3aから分注液が自重で滴下する以前に、CCDカメラ20で分注液を撮像し、コントローラ15がその撮像データから分注液の体積を算出し、分注液の体積が目標値になるように第2電磁弁13を制御することにより、外管2の吐出口2aから搬送用エアが吐出される。このとき、図6に示すように、分注液が、その外周に作用する搬送用エアにより、表面張力等に打ち勝って吹き落とされる。このときの分注液の体積は、ほぼ目標値となっている。従って、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の分注液が基板4に分注される。このため、「nl」レベルの超微量な分注を高精度に行うことができるようになる。
また、この実施の形態の分注装置では、分注開始前に試し滴下が行われる。この試し滴下においても、CCDカメラ20によって分注液が撮像され、コントローラ15によってこの撮像データから分注液の体積が算出される。そして、このとき算出された分注液の体積と目標値との差に基づいて、第2電磁弁13の開弁タイミングの調整が行われる。その後、正規の分注が開始される。これにより、最初の分注から目標量を確実に吐出することができるため、より高精度な分注を行うことができる。
この実施の形態によれば、分注液が供給される内管3の吐出口3aの周囲表面に撥水性コーティング6が形成されるので、その吐出口3aからの分注液の切れが促進され、滴下する分注液の容量が更に少なくなる。この意味で、分注される液滴の超微量化を促進することができ、分注の精密度を高めることができる。
ここで、変形例について図7を参照しながら説明する。図7は、第1の実施の形態に係る分注装置の変形例を示す概略構成図である。この変形例には、CCDカメラ20の代わりに、測長手段を構成する投光器21と受光器22とが備わっている。そして、これら投光器21と受光器22がそれぞれコントローラ15に接続されている。投光器21は、シート状のレーザ光を照射するものであり、そのレーザ光が分注液の中心を通過するように配置されている。また、受光器22は、投光器21から照射されたレーザ光を受光するものであり、そのレーザ光を受光できるように配置されている。そして、分注液を通過したレーザ光の波長は、他の部分と波長が異なるから、投光器21で検出される波長差から分注液の直径を測定することができるようになっている。
このようにして分注液の直径が測定されると、コントローラ15によって分注液の体積が算出される。そして、コントローラ15により、分注液の体積が目標値になるように第2電磁弁13が制御されて、外管2の吐出口2aから搬送用エアが吐出される。したがって、この変形例でも、「nl」レベルの超微量な分注を高精度に行うことができる。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の分注装置を具体化した第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。尚、この実施の形態を含む以下の各実施の形態において、前記第1の実施の形態と同等の構成については、同一の符合を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
図8に、この実施の形態の分注装置の概略構成図を示す。この分注装置は、ピペット状の分注器31を備える。図9に、分注器31の下端部を拡大断面図に示す。図10に、図9のB−B線断面図を示す。図8〜図10に示すように、この分注器31は、外管32と、その外管32に内包される二重をなす第1内管33及び第2内管34とを含む三重管構造をなす。外管32及び両内管33,34は、その先端である下端に吐出口32a,33a,34aを有する。第1内管33の吐出口33aの周囲表面には、図9に破線で示すように、撥水性コーティング6が形成される。
この実施の形態では、図8に示すように、搬送用エアを供給するエア配管12から、別の分岐エア配管35が設けられ、その配管35の途中に第3電磁弁36が設けられる。第3電磁弁36の開弁及び閉弁は、コントローラ15により制御される。この実施の形態で、エア配管12の先端は中心の第2内管34に接続される。分岐エア配管35の先端は、外管32に接続される。液配管7の先端は、第1内管33に接続される。
図11に、コントローラ15が制御する第1電磁弁9、第2電磁弁13及び第3電磁弁36の開閉タイミングをタイムチャートに示す。この実施の形態では、図11(a),(b),(c)に示すように、第1電磁弁9の開弁から少し遅れて第2電磁弁13が開弁され、第2電磁弁13の開弁から少し遅れて第3電磁弁36が開弁され、その後に所定時間が経過すると、全ての電磁弁9,13,36が同時に閉弁されるようになっている。
そして、コントローラ15により、CCDカメラ20の撮像データに基づき算出される分注液の体積に基づき、第2電磁弁13と第3電磁弁36の開弁タイミングが制御される。例えば、CCDカメラ20の撮像データに基づき算出される分注液の体積が目標値よりも大きい場合には、第2電磁弁13および第3電磁弁36の開弁タイミングが早められる。一方、CCDカメラ20の撮像データに基づき算出される分注液の体積が目標値よりも小さい場合には、第2電磁弁13および第3電磁弁36の開弁タイミングが遅らされる。これにより、常に一定量の分注液を吐出することができる。
以上説明したこの実施の形態の分注装置によれば、第1電磁弁9が開弁されてタンク8から第1内管33に分注液が供給されると、その内管33の吐出口33aへ分注液が導かれる。又、第2電磁弁13が開弁されて第2内管34に搬送用エアが供給されると、同内管34の吐出口34aへ搬送用エアが導かれる。更に、第3電磁弁36が開弁されて外管32に搬送用エアが供給されると、外管32の吐出口32aへ搬送用エアが導かれる。
ここで、第1内管33の吐出口33aから分注液が自重で滴下する以前に、CCDカメラ20で分注液を撮像し、コントローラ15がその撮像データから分注液の体積を算出し、分注液の体積が目標値になるように第2電磁弁13及び第3電磁弁36を制御することにより、第2内管34及び外管32の吐出口34a,32aから順次搬送用エアが吐出される。このとき、図12に示すように、分注液が、その中心に作用する搬送用エアと、その外周に作用する搬送用エアとにより、表面張力等に打ち勝って吹き落とされる。従って、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の分注液が基板4に分注される。このため、「nl」レベルの超微量な分注を高精度に行うことができるようになる。
また、この実施の形態の分注装置では、分注開始前に試し滴下が行われる。この試し滴下においても、CCDカメラ20によって分注液が撮像され、コントローラ15によってこの撮像データから分注液の体積が算出される。そして、このとき算出された分注液の体積と目標値との差に基づいて、第2電磁弁13および第3電磁弁36の開弁タイミングの調整が行われる。その後、正規の分注が開始される。これにより、最初の分注から目標量を確実に吐出することができるため、より高精度な分注を行うことができる。
この実施の形態では、第2内管34及び外管32の吐出口34a,32aから順次搬送用エアが吐出されることから、第1の実施の形態で外管2からの搬送用エアの吐出のみにより分注液を吹き落とす分注装置に比べ、より効率良く分注液を吹き落とすことができる。これにより、分注される液滴の超微量化を更に促進して、分注の精密度を更に高めることができる。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の分注装置を具体化した第3の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図13に、この実施の形態の分注装置の概略構成図を示す。この分注装置は、分注器1の内管3に分注液を供給するための分注液供給手段の構成の点で、第1の実施の形態の分注装置と構成が異なる。
この実施の形態では、第1の実施の形態におけるエア配管10、圧送圧力調整器11及び液圧送用エアの供給が削除され、それに代わって、タンク8にピエゾアクチュエータ16が設けられる。ここで、タンク8は分注液により満たされる。このタンク8は、ピエゾアクチュエータ16に対応する部分が可撓部材により構成される。この可撓部材の部分が、ピエゾアクチュエータ16の歪み動作に基づいて変形することにより、タンク8に貯留された分注液が液配管7へ圧送されて内管3に供給されるようになっている。
ピエゾアクチュエータ16は、第1及び第2の電磁弁9,13と同様、コントローラ15に接続される。コントローラ15は、分注器1に対する分注液及びエアの供給タイミングを制御するために、第1電磁弁9及び第2電磁弁13の開弁及び閉弁、並びに、ピエゾアクチュエータ16の動作を制御するようになっている。
即ち、コントローラ15は、第1電磁弁9を開弁させ、その状態でピエゾアクチュエータ16を歪み動作させることにより、内管3に分注液を供給するようになっている。この実施の形態でも、コントローラ15は、内管3の吐出口3aから分注液が自重で滴下する以前に、分注液がCCDカメラ20で撮像され、コントローラ15によりその撮像データから算出される分注液の体積に基づき、第2電磁弁13の開弁タイミングが制御される。
以上説明した本実施の形態の分注装置でも、内管3の吐出口3aから分注液が自重で滴下する以前に、CCDカメラ20で分注液を撮像し、コントローラ15がその撮像データから分注液の体積を算出し、分注液の体積が目標値になるように第2電磁弁13を制御することにより、外管2の吐出口2aから搬送用エアが吐出されるので、内管3の吐出口3aに導かれた分注液が、その外周に作用する搬送用エアにより、表面張力等に打ち勝って吹き落とされる。従って、自重で滴下するときの容量より少ない超微量の分注液が基板4に分注される。このため、「nl」レベルの超微量な分注を高精度に行うことができるようになる。
しかも、この実施の形態では、タンク8に貯留された分注液をピエゾアクチュエータ8の歪み動作により液配管7を通じて圧送することにより、内管3に分注液が供給される。従って、エアにより分注液を圧送するタイプの第1の実施の形態における分注装置に比べ、エア配管10、圧送圧力調整器11及び液圧送用エアの供給が除かれた分だけ装置の構成が簡略化される。このため、分注装置をコンパクトなものにすることができる。
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記第1及び第2の実施の形態では、図2、図9に示すように、分注液が供給される内管3及び第1内管33の吐出口3a,33aの周囲表面に撥水性コーティング6を形成する撥水性処理を施したが、この撥水性処理を省略することもできる。
(2)前記第1及び第2の実施の形態では、図2、図9に示すように、分注液が供給される内管3及び第1内管33の吐出口3a,33aの周囲の形状は、単に管材をその軸線に垂直に切断しただけの端面形状を有する。
これに対して、分注液が供給される管の吐出口の周囲を所定の表面張力緩和形状としてもよい。例えば、表面張力緩和形状として、図14〜図18に示すような形状を上げることができる。
即ち、図14に示すように、分注液が供給される管41の吐出口41aの外面をテーパ状に面取りしたり、図15に示すように、分注液が供給される管41の吐出口41aの内面をテーパ状に面取りしたり、図16に示すように、分注液が供給される管41の吐出口41aの外面及び内面を共にテーパ状に面取りしたり、図17に示すように、分注液が供給される管41の吐出口41aの先端を曲面状に面取りしたり、図18に示すように、分注液が供給される管41の吐出口41aの先端にフランジ41bを設けたりしてもよい。このように構成することにより、吐出口41aからの分注液の切れが促進され、液滴の容量が更に少なくなる。この結果、分注される液滴の超微量化を更に促進して、分注の精密度を更に高めることができる。
又、図14〜図18に示す管41の吐出口41aの周囲表面に設けられる撥水性コーティング6を省略してもよい。
(3)前記第2の実施の形態では、分注器31を、外管32、第1内管33及び第2内管34を同軸上に配置した三重管構造とし、外管32と第2内管34にエアを供給し、第1内管33に分注液を供給するように構成した。
これに対して、図19に示すように、外管42、第1内管43及び第2内管44を同軸上に配置した三重管構造とし、第1内管43と第2内管44にエア(図において「エア」と示す。以下同様。)を供給し、外管42に分注液(図において「液」と示す。以下同様。)を供給するように構成してもよい。
(4)前記第1の実施の形態では、分注器1を、外管2及び内管3を同軸上に配置した二重管構造とし、外管2にエアを供給し、内管3に分注液を供給するように構成した。又、前記第2の実施の形態では、分注器31を、外管32、第1内管33及び第2内管34を同軸上に配置した三重管構造とし、外管32と第2内管34にエアを供給し、第1内管33に分注液を供給するように構成した。
これに対して、分注器の配管構造や、分注液及びエアの供給を適宜変更することもできる。例えば、図20〜図22に示すように構成することもできる。
即ち、図20に示すように、二重管構造の外管42と内管43を偏心して配置し、その外管42に分注液を供給し、内管43にエアを供給するようにしてもよい。或いは、図21に示すように、外管42の中に同径の内管45を4本平行に配置し、外管42に分注液を供給し、各内管45にエアを供給したり、その反対に、外管42にエアを供給し、各内管45に分注液を供給したりしてもよい。或いは、図22に示すように、外管42及び内管43を同軸上に配置した二重管構造とし、その内管43の中に同径の内管46を4本平行に配置し、外管42にエアを供給し、各内管46に分注液を供給するようにしてもよい。
(5)前記各実施の形態では、分注液やエアの供給を制御するために電磁弁9,13,36を使用したが、電磁弁以外の流量制御弁を使用してもよい。
(6)前記各実施の形態では、分注液をその表面張力等に打ち勝って吹き落とすために、搬送流体としてエアを使用したが、搬送流体として所定の液体を使用することもできる。
(7)前記第2および第3の実施の形態では、CCDカメラ20を利用して分注液の体積を算出しているが、前記第1の実施の変形例のように、投光器21と受光器22を利用して分注液の体積を算出することもできる。
第1の実施の形態に係る分注装置を示す概略構成図である。 分注器の下端部を示す拡大断面図である。 図2のA−A線断面図である。 第1及び第2の電磁弁の開閉タイミングを示すタイムチャートである。 細管から液滴が落下する際の力学的関係を示す概念図である。 分注器から分注液が吹き落とされる作用を示す説明図である。 第1の実施の形態に係る分注装置の変形例を示す概略構成図である。 第2の実施の形態に係る分注装置を示す概略構成図である。 分注器の下端部を示す拡大断面図である。 図9のB−B線断面図である。 第1〜第3の電磁弁の開閉タイミングを示すタイムチャートである。 分注器から分注液が吹き落とされる作用を示す説明図である。 第3の実施の形態に係る分注装置を示す概略構成図である。 別の実施の形態に係り、管の吐出口の周囲形状を示す断面図である。 別の実施の形態に係り、管の吐出口の周囲形状を示す断面図である。 別の実施の形態に係り、管の吐出口の周囲形状を示す断面図である。 別の実施の形態に係り、管の吐出口の周囲形状を示す断面図である。 別の実施の形態に係り、管の吐出口の周囲形状を示す断面図である。 別の実施の形態に係り、分注器の外管と内管の配置構造等を示す図である。 別の実施の形態に係り、分注器の外管と内管の配置構造等を示す図である。 別の実施の形態に係り、分注器の外管と内管の配置構造等を示す図である。 別の実施の形態に係り、分注器の外管と内管の配置構造等を示す図である。
符号の説明
1 分注器
2 外管
2a 吐出口
3 内管
3a 吐出口
7 液配管
8 タンク
9 第1電磁弁
10 エア配管
11 圧送圧力調整器
12 エア配管
13 第2電磁弁
14 圧力調整器
15 コントローラ
16 ピエゾアクチュエータ
20 CCDカメラ
31 分注器
32 外管
32a 吐出口
33 第1内管
33a 吐出口
34 第2内管
34a 吐出口
35 分岐エア配管
36 第3電磁弁
41 管
41a 吐出口
41b フランジ
42 外管
43 内管
44 内管
45 内管
46 内管

Claims (8)

  1. 先端に吐出口を有する一つの外管と、
    前記外管に内包され、その外管の吐出口の近傍に位置する吐出口を有する少なくとも一つの内管と、
    前記外管又は前記内管に分注液を供給するための分注液供給手段と、
    前記分注液が供給されない管に搬送流体を供給するための搬送流体供給手段と、
    前記分注液が供給される管の吐出口から前記分注液が自重で滴下する以前に、前記分注液が供給されない管の吐出口から前記搬送流体を吐出させるために前記搬送流体供給手段を制御する供給制御手段と、
    前記吐出口から滴下される分注液を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段の撮像データを画像解析して前記滴下される分注液の体積を算出する分注液体積算出手段と、
    を備えることを特徴とする分注装置。
  2. 先端に吐出口を有する一つの外管と、
    前記外管に内包され、その外管の吐出口の近傍に位置する吐出口を有する少なくとも一つの内管と、
    前記外管又は前記内管に分注液を供給するための分注液供給手段と、
    前記分注液が供給されない管に搬送流体を供給するための搬送流体供給手段と、
    前記分注液が供給される管の吐出口から前記分注液が自重で滴下する以前に、前記分注液が供給されない管の吐出口から前記搬送流体を吐出させるために前記搬送流体供給手段を制御する供給制御手段と、
    前記吐出口から滴下される分注液の直径を測長する測長手段と、
    前記測長手段で測長された直径から前記滴下される分注液の体積を算出する分注液体積算出手段と、
    を備えることを特徴とする分注装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載する分注装置において、
    前記供給制御手段は、前記分注液体積算出手段で算出される体積と分注液の目標体積とが等しくなるように前記搬送流体供給手段を制御することを特徴とする分注装置。
  4. 請求項3に記載する分注装置において、
    前記供給制御手段は、前記分注液供給手段も制御することを特徴とする分注装置。
  5. 請求項1から請求項4に記載するいずれか1つの分注装置において、
    分注開始前に試し滴下を行い、前記分注液体積算出手段により試し滴下時の分注液の体積を算出することを特徴とする分注装置。
  6. 請求項1から請求項5に記載するいずれか1つの分注装置において、
    前記分注液供給手段は、タンクに貯留された分注液をピエゾアクチュエータの動作により圧送するものであることを特徴とする分注装置。
  7. 請求項1から請求項6に記載するいずれか1つの分注装置において、
    前記分注液が供給される管の吐出口の周囲表面に撥水性処理を施したことを特徴とする分注装置。
  8. 請求項1から請求項7に記載するいずれか1つの分注装置において、
    前記分注液が供給される管の吐出口の周囲を表面張力緩和形状としたことを特徴とする分注装置。
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