JP2005344893A - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクシャフトからバランスシャフトへの動力伝達に際して騒音発生を好適に抑制することのできる内燃機関のバランサ装置を提供する。
【解決手段】この装置は、第1バランスシャフト17に一体に設けられたメインギア31と同メインギア31に対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように該メインギア31にスプリング33を介して設けられるサブギア32とを有する第1被動ギア25を備える。第1被動ギア25とクランクギア15との噛み合いを通じて、クランクシャフトの回転力が第1バランスシャフト17に伝達される。スプリング33の付勢力のサブギア32に対する作用点及び第1バランスシャフト17の軸心Lを繋ぐ第1の仮想線L1と同軸心L及び重心Gを繋ぐ第2の仮想線L2とのなす角度が第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度になるように、スプリング33が配設される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、クランクシャフトとの連結に用いるギア機構としてシザーズギアを備えた内燃機関のバランサ装置に関する。
周知のように、内燃機関のバランサ装置では、重心が軸心から偏倚されたバランスシャフトがギア機構を介してクランクシャフトに駆動連結され、同クランクシャフトの回転力がバランスシャフトに伝達される。そして、バランスシャフトがクランクシャフトと同期して回転することにより、機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力が打ち消され、内燃機関の低振動化が図られるようになる。
ここで、内燃機関における爆発燃焼は間欠的に行われているために、クランクシャフトの回転速度は一定にならず、常に変動している。このため、上記バランサ装置が設けられた内燃機関では、そのギア機構のバックラッシに起因する騒音が大きくなり易い傾向にある。そこで従来、そうしたギア機構として、シザーズギアを用いるようにした装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
図14及び図15に一例を示すように、シザーズギア100は、バランスシャフト102に一体に設けられたメインギア104と、同メインギア104にスプリング106を介して設けられるサブギア108とを備えている。サブギア108は、メインギア104に対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように設けられている。そして、それらメインギア104及びサブギア108はクランクシャフトに設けられたクランクギア110に噛合される。具体的には、クランクギア110の歯間において、一方の歯面に上記メインギア104が、他方の歯面にサブギア108がそれぞれ噛合される。このとき、メインギア104及びサブギア108は共に、上記スプリング106の付勢力によってクランクギア110の歯面に押し付けられる。こうしたシザーズギア100を用いることによってバックラッシが無くなり、騒音の発生が抑制されるようになる。
特許第2871243号
ところで、バランサ装置において発生する騒音としては、バックラッシによる騒音の他、以下のような理由による騒音もあることが発明者によって確認された。
図16及び図17に模式的に示すように、重心Gが軸心Lから偏倚されたバランスシャフト102の軸受112内における回転は、その軸心Lと軸受112の中心Oとが一致した回転とならず、偏心したものとなる。これはバランスシャフト102と共に回転するメインギア104及びサブギア108からなるシザーズギア100と、クランクギア110(共に図14及び図15参照)との噛み合い状態の悪化、具体的にはそれら各ギア100,110の歯当たり面積の増減を招くこととなる。そして、これがシザーズギア100とクランクギア110との噛み合い時に発生する音の著しい増大、ひいては騒音の発生を招く要因となっている。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クランクシャフトからバランスシャフトへの動力伝達に際して騒音発生を好適に抑制することのできる内燃機関のバランサ装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
先ず、請求項1に記載の発明は、重心が軸心から偏倚されたバランスシャフトに一体に設けられるメインギアと、同メインギアに対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように該メインギアにスプリングを介して設けられるサブギアとを備えたシザーズギアを有し、該シザーズギアとクランクシャフトに設けられたクランクギアとの噛み合いを通じて、同クランクシャフトの回転力が前記バランスシャフトに伝達される内燃機関のバランサ装置にあって、前記シザーズギアが前記クランクギアに噛み合った状態で前記サブギアに作用するクランクギアからの力と前記スプリングの付勢力との合力によって同サブギアが前記バランスシャフトの軸心に対して前記重心の反対側に付勢されるように前記スプリングを配設したことをその要旨とする。
同構成によれば、バランスシャフトの回転に伴ってメインギアは同バランスシャフトの軸心よりも重心側に偏倚して回転するようになるため、メインギアとクランクギアとの歯当たり面積が増減するが、この際、サブギアについてはこうしたメインギアの偏倚する側と反対側、すなわちバランスシャフトの軸心に対してその重心の反対側に付勢される。サブギアとバランスシャフトとの間にはクリアランスが形成されているため、サブギアはその方向に移動する。このため、このサブギアについてはメインギアに生じるような歯当たり面積の増減が極力抑制されるようになり、ひいてはシザーズギア全体の歯当たり面積の増減が抑制される。その結果、こうした歯当たり面積の増減による振動や異音の発生を抑制することができるようになる。
また、請求項2に記載の発明は、重心が軸心から偏倚されたバランスシャフトに一体に設けられるメインギアと、同メインギアに対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように該メインギアにスプリングを介して設けられるサブギアとを備えたシザーズギアを有し、該シザーズギアとクランクシャフトに設けられたクランクギアとの噛み合いを通じて、同クランクシャフトの回転力が前記バランスシャフトに伝達される内燃機関のバランサ装置にあって、前記スプリングの付勢力の前記サブギアに対する作用点及び前記バランスシャフトの軸心を繋ぐ第1の仮想線と同バランスシャフトの軸心及び重心を繋ぐ第2の仮想線とのなす角度が前記第2の仮想線を0度として前記バランスシャフトの回転方向側45度から135度までの範囲内になるように、前記スプリングが前記軸心の周方向に沿って配設されることをその要旨とする。
本発明者によるシミュレーション結果により、上記合力の作用する方向は常に一定の方向ではなく、バランスシャフトの回転に伴って、上記第1の仮想線を0度としてバランスシャフトの回転方向側45度から135度までの角度範囲で変化することが確認された。このため、上記構成にあって、例えば上記第1の仮想線と第2の仮想線とのなす角度が45度に設定されると、上記合力の作用する方向が第2の仮想線を0度としてバランスシャフトの回転方向側90度から180度の範囲で変化するようになる。また、例えば上記角度が135度に設定されると、上記合力の作用する方向はバランスシャフトの回転方向側180度から270度の範囲で変化するようになる。このように上記構成では、上記合力の作用する方向が第2の仮想線を0度としてバランスシャフトの回転方向側90度から270度の範囲で変化するように、スプリングが配設されるようになる。
したがって上記構成によれば、上記合力によって、バランスシャフトの偏心方向と反対の方向にサブギアを相対移動させて、同サブギアの中心を軸受の中心に近づけることが可能になる。そのため、サブギアについての歯当たり面積の増減が極力抑制されるようになり、その増減による振動や異音の発生を抑制することができるようになる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関のバランサ装置において、前記スプリングは、前記第1の仮想線と前記第2の仮想線とのなす角度が90度になるように配設されることをその要旨とする。
上記構成によれば、上記合力を、第2の仮想線を0度としてバランスシャフトの回転方向側180度の方向、すなわちバランスシャフト軸心の偏心方向と反対の方向を中心に同135度から225度の範囲で変化するように作用させることができるようになる。これにより、バランスシャフトの全回転位相にわたって、軸受中心からのサブギア中心の偏倚をバランス良く抑制することができ、サブギアとクランクギアとの歯当たり面積の増減をより好適に抑制することができるようになる。なお、バランサ装置の組み付けに際して、サブギアとクランクギアとの噛み合いの関係から、上記第1の仮想線と第2の仮想線とのなす角度が90度から若干ずれるおそれがあるが、そうした噛み合いの影響による程度のずれであれば、上述したものと同等の作用効果が得られる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の内燃機関のバランサ装置において、前記バランスシャフト及びその軸受のクリアランスと前記バランスシャフト及び前記サブギアのクリアランスとを等しく設定することをその要旨とする。
バランスシャフト軸心の軸受中心からの偏倚量はそれらバランスシャフト及び軸受のクリアランスによって定まる。また、サブギア中心のバランスシャフト軸心からの偏倚量はサブギア及びバランスシャフトのクリアランスによって定まる。したがって、それらクリアランスを等しく設定する上記構成によれば、軸受中心からバランスシャフト軸心が偏倚している分だけサブギアを相対移動させることが可能になり、サブギア中心の軸受中心からの偏倚を的確に抑制することができるようになる。
以下、本発明にかかる内燃機関のバランサ装置を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関10のクランクシャフト11は、シリンダブロック12及びクランクケース13に回転自在に支持されている。このクランクシャフト11には、斜歯歯車からなるクランクギア15が一体回転可能に設けられている。内燃機関10には、クランクシャフト11の回転力がそのクランクギア15を通じて伝達されて作動するバランサ装置16が設けられている。
図2に示すように、バランサ装置16は第1バランスシャフト17と第2バランスシャフト18とを備えている。それらバランスシャフト17,18は、クランクシャフト11の下方において、それぞれ同クランクシャフト11と平行に配置されている。
各バランスシャフト17,18は、クランクケース13及びハウジング19により形成された軸受21(図1参照)によって支持されている。各バランスシャフト17,18には、それぞれ一対のアンバランスウェイト23,24が設けられている。なお、アンバランスウェイト23は第1バランスシャフト17に対応し、アンバランスウェイト24は第2バランスシャフト18に対応するものである。それらアンバランスウェイト23,24が設けられて、各バランスシャフト17,18の重心がその軸心から偏倚されている。
第1バランスシャフト17には第1被動ギア25が設けられている。この第1被動ギア25は、前述したシザーズギアと基本構造が同じもの、具体的には、メインギア31及びサブギア32を備えたシザーズギアにより構成されている。これらメインギア31及びサブギア32はいずれも斜歯歯車からなり、クランクギア15に噛合されている。なお、メインギア31はクランクシャフト11(クランクギア15)から回転力を伝達されるものであるために歯幅の厚いギアが用いられる。また、サブギア32は第1被動ギア25及びクランクギア15のバックラッシの解消を図るものであることから比較的歯幅の狭いものが用いられる。
一方、第2バランスシャフト18には、これも斜歯歯車からなる第2被動ギア26が一体回転可能に連結されている。この第2被動ギア26は上記メインギア31に噛合されており、同メインギア31を通じて第1バランスシャフト17の回転力が伝達されて回転されるようになっている。この第2被動ギア26はクランクギア15及びサブギア32には噛合されていない。
なお、各バランスシャフト17,18の一方の端部には、スラスト軸受27,28が前記軸受21(図1参照)に隣接してそれぞれ形成されており、これらスラスト軸受27,28により各バランスシャフト17,18の軸方向における移動が規制されている。
図3は、上記各ギア及び各シャフトの関係を模式的に示したものである。バランサ装置16をこのような構成とすることで、クランクシャフト11から伝達される回転力は、クランクギア15及び第1被動ギア25(メインギア31及びサブギア32)を介して第1バランスシャフト17に伝達され、同第1バランスシャフト17がクランクシャフト11とは逆方向に回転する。また、クランクシャフト11の回転力は、クランクギア15、第1被動ギア25(メインギア31)及び第2被動ギア26を介して第2バランスシャフト18にも伝達され、同第2バランスシャフト18がクランクシャフト11と同一方向に回転する。
ここで、第1バランスシャフト17の重心はその軸心から偏倚されているために、その軸受21内における回転は同軸受21の中心から偏心したものとなる。そして、これが第1被動ギア25とクランクギア15との歯当たり面積を増減させて、騒音を発生させる一因になっている。したがって、第1被動ギア25中心の上記軸受21中心からの偏倚を抑制することができれば、騒音発生の抑制を図ることができるようになると云える。
第1被動ギア25のうちのメインギア31は第1バランスシャフト17に一体に設けられていることから、その偏倚を抑制することは困難である。これに対し、サブギア32は第1バランスシャフト17に対して相対移動可能な構成であることから、移動方向を調節することによってその偏倚を抑制することが可能である。この点をふまえ、本実施の形態では、サブギア32の移動方向を調節してその中心の上記軸受21中心からの偏倚を抑制し、これにより、少なくともサブギア32とクランクギア15との歯当たり面積の増減を抑制するようにしている。
なお、前述したようにサブギア32の歯幅はメインギア31の歯幅よりも狭く設定されているために、サブギア32の噛み合い面における面圧はメインギア31の噛み合い面における面圧と比べて高い。このため、サブギア32の歯当たり面積の増減が騒音発生に与える影響も大きいと云え、そうしたサブギア32とクランクギア15との歯当たり面積の増減を抑制することは、上記騒音発生を抑える上で、極めて有効であると云える。
本実施の形態では、サブギア32中心の偏倚を抑制するための構成として、同サブギア32のメインギア31への配設態様に工夫を凝らしている。
以下、図4を参照して、そうしたサブギア32の配設態様について詳細に説明する。
図4に示すように、サブギア32はスプリング33を介してメインギア31に設けられる。このスプリング33は、メインギア31及びサブギア32の間にあってそれらの周方向に沿ってC字形状に延びるように配設され、その一端がメインギア31に固定されたピン31aに、他端がサブギア32に固定されたピン32aにそれぞれ係合されている。スプリング33の付勢力は、各ピン31a,32aを互いに近づける方向に作用するようになっている。
ここで、便宜上、ピン32aの配設位置(スプリング33の付勢力のサブギア32に対する作用点)及び第1バランスシャフト17の軸心Lを繋ぐ仮想線を「第1の仮想線L1」、第1バランスシャフト17の軸心L及び重心Gを繋ぐ仮想線を「第2の仮想線L2」とする。
本実施の形態では、それら第1の仮想線L1及び第2の仮想線L2のなす角度が、第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度になるように、ピン32aの配設位置が設定されている。
以下、このように設定した理由について、本発明者がシミュレーションを行った結果に基づいて説明する。
図5に、第1バランスシャフト17の回転中においてサブギア32に作用する複数の力についてその方向及び大きさの一例を示す。
同図において、「Fs」はスプリング33から受ける力、「Fk」はクランクギア15から受ける力、「Fc」はそれら力の合力(=Fs+Fk)をそれぞれ表している。また、「r」はピン32aの配設位置のサブギア32中心からの距離、「a×r」はサブギア32中心から噛み合い点までの距離(本実施の形態では、a=1.5)、「α」は圧力角(本実施の形態では、α=18度)をそれぞれ表している。更に、「β」は上記合力Fcの作用する方向とX軸とのなす角度、「θ」はピン32aの配設位置がX軸上にある状態を「0度」とした第1バランスシャフト17の回転位相をそれぞれ表している。
先ず、サブギア32中心まわりのモーメントの釣り合いから、下式(1)が成立し、これを変形して式(2)が得られる。

Fs×r=Fk×cosα×a×r …(1)
Fk=Fs/(a×cosα) …(2)

一方、力FsのX軸方向成分「Fsx」は下式(3)のように表され、Y軸方向成分「Fsy」は下式(4)のように表される。

Fsx=−Fs×sinθ …(3)
Fsy=Fs×cosθ …(4)

他方、力FkのX軸方向成分「Fkx」は下式(5)のように表され、Y軸方向成分「Fky」は下式(6)のように表される。

Fkx=Fk×sinα …(5)
Fky=Fk×cosα …(6)

それら式(5)及び(6)にそれぞれ上式(2)を代入すると、下式(7)及び(8)が導き出される。

Fkx=(Fs×tanα)/a …(7)
Fky=Fs/a …(8)

上記合力FcのX軸方向成分「Fcx」は力FsのX軸方向成分Fsxと力FkのX軸方向成分Fkxとの和であることから、そうした関係(Fcx=Fsx+Fkx)及び上式(3)、式(7)に基づいて下式(9)を導き出すことができる。

Fcx=(−sinθ+(tanα)/a)×Fs …(9)

また、合力FcのY軸方向成分「Fcy」は力FsのY軸方向成分Fsyと力FkのY軸方向成分Fkyとの和であり、そうした関係(Fcy=Fsy+Fky)及び上式(4)、式(8)に基づいて下式(10)を導き出すことができる。

Fcy=(cosθ+1/a)×Fs …(10)

本例にあって上記合力FcはX軸から角度βの方向に作用していることから、同角度β、合力FcのX軸方向成分Fcx、及びY軸方向成分Fcyは以下の関係式(11)を満たす。

tanβ=Fcy/Fcx …(11)

そして、式(11)に、上式(9)及び式(10)を代入すると、下式(12)が得られる。

tanβ
=(cosθ+1/a)/(−sinθ+(tanα)/a) …(12)

ここで、「a」及び「α」は共に第1被動ギア25の設計に際して定められる定数であることから、式(12)は角度β及び回転位相θを変数とする一次方程式であると云える。したがって、式(12)に第1バランスシャフト17の回転位相θを代入することにより、同回転位相θと上記角度βとの関係、換言すれば、同回転位相θとサブギア32に作用する力の方向との関係を求めることができる。参考までに、上式(12)により求めた第1バランスシャフト17の各回転位相θにおける各力Fs,Fk,Fcを、図6(a)〜(g)にそれぞれ示す。
図7に、上式(12)により求めた角度βと第1バランスシャフト17の回転位相θとの関係を示す。同図7から明らかなように、上記角度βから回転位相θを減算した値(=β−θ)は、45度から135度の範囲で変化し、その平均値が90度となる。なお、この値は、第1バランスシャフト17の回転中において上記合力Fcの作用する方向と第1の仮想線L1とのなす角度に相当する値である(図5参照)。したがって、図8に示すように、上記合力Fcは、第1の仮想線L1よりもその回転方向側90度を中心に同45度から135度の角度範囲(同図中にEで示す範囲)で変化するようになることが分かる。
こうした実情をふまえ、本実施の形態では、前述したように第1の仮想線L1と第2の仮想線L2とのなす角度が第2の仮想線を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度になるように、ピン32aの配設位置が設定されている。
このため、合力Fcの作用する方向が、第2の仮想線を0度として同第1バランスシャフト17の回転方向側180度の方向、すなわち第1バランスシャフト17重心Gの偏心方向と反対の方向を中心に同135度から225度の範囲で変化するように設定されることとなる。
第1バランスシャフト17の回転に伴ってメインギア31は同第1バランスシャフト17の軸心Lよりも重心G側に偏倚して回転するようになるため、メインギア31とクランクギア15との歯当たり面積が増減する。しかしながら、この際、サブギア32についてはメインギア31(図3)の偏倚する側と反対側、すなわち第1バランスシャフト17の軸心Lに対してその重心Gの反対側に付勢される。サブギア32と第1バランスシャフト17との間にはクリアランスが形成されているため、サブギア32はその方向に移動する。このため、サブギア32についてはメインギア31に生じるような歯当たり面積の増減が極力抑制されるようになり、ひいては第1被動ギア25(図3)全体の歯当たり面積の増減が抑制されるようになる。その結果、こうした歯当たり面積の増減による振動や異音の発生が抑制されるようになる。
ところで、通常、サブギアとバランスシャフトとのクリアランスを大きくすると同サブギアのガタツキの元になることや、サブギアはバランスシャフトに対して殆ど相対移動しないために焼き付きのおそれもないことから、同クリアランスはごく小さく設定される。そのようにクリアランスがごく小さく設定される構成にあっては、バランスシャフトに対するサブギアの相対移動量が小さくなるために、上記騒音の抑制についての十分な効果が得られないおそれがある。
そこで、本実施の形態では、騒音発生の抑制効果をより好適なものとするべく、第1バランスシャフト17及び軸受21のクリアランス(図9におけるA−B)と、第1バランスシャフト17及びサブギア32のクリアランス(図10におけるC−D)とを等しく設定するようにしている。なお、理解を容易にするために、図9及び図10に示すクリアランス、及び先の図4及び図8に示すクリアランスは多分に誇張して描いてある。
軸受21中心からの第1バランスシャフト17の軸心Lの偏倚は、それらのクリアランスによって定まり、具体的は同クリアランスのほぼ1/2(=(A−B)/2)だけ許容される。また、サブギア32中心の上記第1バランスシャフト17軸心Lからの偏倚は、それらのクリアランスによって定まり、これも同クリアランスのほぼ1/2(=(C−D)/2)だけ許容される。したがって、それらクリアランスを等しく設定する本実施の形態では、例えば図11に模式的に示すように、軸受21中心Oから第1バランスシャフト17軸心Lが偏倚している分だけサブギア32を相対移動させることが可能になり、サブギア32中心が軸受21中心Oに的確に近づけられるようになる。また、サブギア32と第1バランスシャフト17とのクリアランスを従来よりも大きく設定することも可能になり、サブギア32の内径についての寸法公差を大きく設定してその製造コストを削減することが可能になる、といった副次的効果を得ることもできる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)第1被動ギア25がクランクギア15に噛み合った状態でサブギア32に作用するクランクギア15からの力とスプリング33の付勢力との合力Fcによって、同サブギア32が第1バランスシャフト17の軸心Lに対して重心Gの反対側に付勢されるようにスプリング33を配設した。そのため、サブギア32についてはメインギア31に生じるような歯当たり面積の増減が極力抑制されるようになり、ひいては第1被動ギア25全体の歯当たり面積の増減が抑制されるようになる。したがって、そうした歯当たり面積の増減による振動や異音の発生を抑制することができるようになる。
(2)第1の仮想線L1と第2の仮想線L2とのなす角度が同第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度になるように、同ピン32aを配設するようにした。これにより、上記合力Fcの作用する方向が、第2の仮想線を0度として同第1バランスシャフト17の回転方向側180度の方向、すなわち第1バランスシャフト17重心Gの偏心方向と反対の方向を中心に同135度から225度の範囲で変化するように設定される。このため、第1バランスシャフト17の全回転位相にわたって、軸受21中心Oからのサブギア32中心の偏倚をバランス良く抑制することができ、サブギア32とクランクギア15との歯当たり面積の増減を好適に抑制することができるようになる。
なお、バランサ装置16の組み付けに際して、サブギア32とクランクギア15との噛み合いの関係から、上記第1の仮想線L1と第2の仮想線L2とのなす角度が90度から若干ずれることも考えられる。しかしながら、そうした噛み合いの影響による程度のずれであれば、同等の効果が得られる。
(3)第1バランスシャフト17及びその軸受21のクリアランスと第1バランスシャフト17及びサブギア32のクリアランスとを等しく設定するようにした。このため、軸受21中心Oから第1バランスシャフト17軸心Lが偏倚している分だけ、同第1バランスシャフト17に対してサブギア32を相対移動させることが可能になり、サブギア32中心の軸受21中心Oからの偏倚を的確に抑制することができるようになる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・クランクギア15、第1被動ギア25、及び第2被動ギア26を斜歯歯車に代えて平歯車により構成してもよい。
・上記実施の形態において、クランクギア15とサブギア32との歯当たり面積の増減を適正に抑制することができるのであれば、第1バランスシャフト17及びその軸受21のクリアランスと第1バランスシャフト17及びサブギア32のクリアランスとを等しく設定しなくてもよい。
・上記実施の形態において、第1の仮想線L1と第2の仮想線L2とのなす角度は、第1バランスシャフト17の回転方向側90度に限らず、同45度から135度の範囲で任意に変更可能である。
前述したように、前記合力Fcの作用する方向は常に一定の方向ではなく、第1バランスシャフト17の回転に伴って、上記第1の仮想線L1を0度としてバランスシャフトの回転方向側45度から135度までの角度範囲で変化する。このため、例えば図12に示すように、上記第1の仮想線L1と第2の仮想線L2とのなす角度を45度に設定すると、上記合力Fcの作用する方向は第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度から180度の範囲(同図中にFで示す範囲)で変化するようになる。また、図13に示すように、上記角度を135度に設定すると、上記合力Fcの作用する方向は第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側180度から270度の範囲(同図中にGで示す範囲)で変化するようになる。
このように上記構成では、合力Fcの作用する方向が第2の仮想線L2を0度として第1バランスシャフト17の回転方向側90度から270度の範囲、すなわちサブギア32を第1バランスシャフト17の重心G側に相対移動させることのない範囲で変化するように、ピン32aが配設される。したがって上記構成によっても、サブギア32の中心が軸受21の中心Oに近づくように上記合力Fcを作用させることができ、同合力Fcによってサブギア32を相対移動させて、サブギア32とクランクギア15との歯当たり面積の増減を抑制することはできる。
・また、上記角度を、第1バランスシャフト17の回転方向側45度から135度の範囲で設定する構成にも限られない。要は、第1バランスシャフト17の全回転位相の少なくとも一部において、サブギア32に作用するクランクギア15からの力とスプリング33の付勢力との合力によって同サブギア32が第1バランスシャフト17の軸心Lに対して重心Gの反対側に付勢されるように、上記角度を設定すればよい。こうした構成によっても、サブギア32を、メインギア31の偏倚する側と反対側に移動させて、歯当たり面積の増減による振動や異音の発生を抑制することはできる。
・前述したバランサ装置に限らず、クランクシャフトの回転力をバランスシャフトに伝達するためのギア機構としてシザーズギアが採用されるバランサ装置であれば、本発明は適用可能である。
本発明の一実施形態についてその概略構成を示す側面図。 同実施形態におけるギアの噛合関係を示す斜視図。 同実施形態における各ギアの噛合状態を模式的に示す側面図。 第1被動ギアを示す断面図。 サブギアに作用する各力についてその方向及び大きさの一例を示す略図。 (a)〜(g)サブギアに作用する各力についてその方向及び大きさの一例を示す略図。 第1バランスシャフトの回転位相θと角度βとの関係を示すグラフ。 第1被動ギアを示す断面図。 第1バランスシャフトとサブギアとのクリアランスを示す断面図。 第1バランスシャフトと軸受とのクリアランスを示す断面図。 第1バランスシャフトに対するサブギアの移動態様の一例を示す断面図。 実施の形態の変形例にかかる第1被動ギアを示す断面図。 実施の形態の他の変形例にかかる第1被動ギアを示す断面図。 従来のバランサ装置に採用されるギア機構を示す断面図。 従来のバランサ装置における各ギアの噛合状態を模式的に示す側面図。 従来のバランスシャフトの一回転位相での軸受内における位置を模式的に示す断面図。 従来のバランスシャフトの他の回転位相での軸受内における位置を模式的に示す断面図。
符号の説明
10…内燃機関、11…クランクシャフト、12…シリンダブロック、13…クランクケース、15…クランクギア、16…バランサ装置、17…第1バランスシャフト、18…第2バランスシャフト、19…ハウジング、21…軸受、23,24…アンバランスウェイト、25…第1被動ギア、26…第2被動ギア、27,28…スラスト軸受、31…メインギア、31a,32a…ピン、32…サブギア、33…スプリング。

Claims (4)

  1. 重心が軸心から偏倚されたバランスシャフトに一体に設けられるメインギアと、同メインギアに対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように該メインギアにスプリングを介して設けられるサブギアとを備えたシザーズギアを有し、該シザーズギアとクランクシャフトに設けられたクランクギアとの噛み合いを通じて、同クランクシャフトの回転力が前記バランスシャフトに伝達される内燃機関のバランサ装置にあって、
    前記シザーズギアが前記クランクギアに噛み合った状態で前記サブギアに作用するクランクギアからの力と前記スプリングの付勢力との合力によって同サブギアが前記バランスシャフトの軸心に対して前記重心の反対側に付勢されるように前記スプリングを配設した
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  2. 重心が軸心から偏倚されたバランスシャフトに一体に設けられるメインギアと、同メインギアに対して相対回転可能かつその回転方向に付勢されるように該メインギアにスプリングを介して設けられるサブギアとを備えたシザーズギアを有し、該シザーズギアとクランクシャフトに設けられたクランクギアとの噛み合いを通じて、同クランクシャフトの回転力が前記バランスシャフトに伝達される内燃機関のバランサ装置にあって、
    前記スプリングの付勢力の前記サブギアに対する作用点及び前記バランスシャフトの軸心を繋ぐ第1の仮想線と同バランスシャフトの軸心及び重心を繋ぐ第2の仮想線とのなす角度が前記第2の仮想線を0度として前記バランスシャフトの回転方向側45度から135度までの範囲内になるように、前記スプリングが前記軸心の周方向に沿って配設される
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  3. 前記スプリングは、前記第1の仮想線と前記第2の仮想線とのなす角度が90度になるように配設される
    請求項2に記載の内燃機関のバランサ装置。
  4. 前記バランスシャフト及びその軸受のクリアランスと前記バランスシャフト及び前記サブギアのクリアランスとを等しく設定する
    請求項2又は3に記載の内燃機関のバランサ装置。
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