JP2005344607A - ガスタービン動翼の寿命推定方法および寿命推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスタービン動翼の寿命をより正確に推定し得るガスタービン動翼の寿命推定方法を提供する。
【解決手段】ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定方法であって、アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定し、次にこの測定された厚さdおよびガスタービンの稼動時間tから、下記(1)式を用いて、金属間化合物層の成長速度係数kを求め、次にこの成長速度係数k、並びに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rから、下記(2)式を用いて、稼動中における動翼の使用温度Tを推定し、この推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する方法である。
t=k×t1/2 ・・・(1)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(2)
【選択図】 なし
【解決手段】ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定方法であって、アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定し、次にこの測定された厚さdおよびガスタービンの稼動時間tから、下記(1)式を用いて、金属間化合物層の成長速度係数kを求め、次にこの成長速度係数k、並びに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rから、下記(2)式を用いて、稼動中における動翼の使用温度Tを推定し、この推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する方法である。
t=k×t1/2 ・・・(1)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(2)
【選択図】 なし
Description
本発明はガスタービン動翼の寿命推定方法および寿命推定装置に関する。
ガスタービンにおいて、動翼は1300Kを超える高温ガス中で高速回転しているため、温度的および強度的に非常に激しい状況下に置かれている。
このため、動翼部材には耐熱強度に優れた高価なニッケル基耐熱合金が用いられているが、当然、交換寿命が定められている。
このため、動翼部材には耐熱強度に優れた高価なニッケル基耐熱合金が用いられているが、当然、交換寿命が定められている。
そして、通常、ガスタービンの動翼は、運転中での破損を防止するため、定期検査などにおいて、破断寿命を待たずに交換されている。
しかし、破断までの寿命が十分に残っているにも拘わらず交換することは、メンテナンス費用の増大に繋がるため、動翼の交換寿命の正確な評価が必要とされる。
しかし、破断までの寿命が十分に残っているにも拘わらず交換することは、メンテナンス費用の増大に繋がるため、動翼の交換寿命の正確な評価が必要とされる。
このため、例えば動翼の経年変化に伴い、動翼の内部組織のγ′(ガンマプライム)相が凝集粗大化することから、動翼の一部を採取し、これらγ′相の粒径を計測することで、残りの寿命(余寿命)が推定されている(特許文献1参照)。
特開平4−25745号公報
上述したγ′相の粒径を計測して寿命を推定する方法では、高温でクリープ負荷(遠心力による)を受ける使用環境下では、γ′相にラフティングと呼ばれる変形が発生する場合があり、γ′相の粒径だけで寿命の推定を行うと、誤差が大きくなり、寿命を正確に推定することができないという問題があった。なお、動翼の一部を採取するという破壊検査法であるため、動翼に傷を付けてしまうという問題もあった。
そこで、上記課題を解決するため、本発明は、ガスタービン動翼の寿命をより正確に、また非破壊検査法を用いて推定し得るガスタービン動翼の寿命推定方法および寿命推定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るガスタービン動翼の寿命推定方法は、ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定方法であって、
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定し、
次にこの測定された厚さdおよびガスタービンの稼動時間tから、下記(1)式を用いて、金属間化合物層の成長速度係数kを求め、
次にこの成長速度係数k、並びに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rから、下記(2)式を用いて、稼動中における動翼の使用温度Tを推定し、
この推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する方法である。
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定し、
次にこの測定された厚さdおよびガスタービンの稼動時間tから、下記(1)式を用いて、金属間化合物層の成長速度係数kを求め、
次にこの成長速度係数k、並びに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rから、下記(2)式を用いて、稼動中における動翼の使用温度Tを推定し、
この推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する方法である。
d=k×t1/2 ・・・(1)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(2)
また、請求項2に係るガスタービン動翼の寿命推定装置は、ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定装置であって、
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定する厚さ測定手段と、
この測定された金属間化合物の厚さdおよびガスタービンの稼動時間tを入力して、下記(3)式に基づき、金属間化合物層の成長速度係数kを求める成長速度係数演算手段と、
この成長速度係数演算手段にて求められた成長速度係数kを入力するとともに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rを用いて、下記(4)式に基づき、稼動中における動翼の使用温度Tを推定する使用温度推定手段と、
この使用温度推定手段にて推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する交換寿命推定手段とを具備したものである。
k=k0exp(−Q/RT)・・・(2)
また、請求項2に係るガスタービン動翼の寿命推定装置は、ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定装置であって、
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定する厚さ測定手段と、
この測定された金属間化合物の厚さdおよびガスタービンの稼動時間tを入力して、下記(3)式に基づき、金属間化合物層の成長速度係数kを求める成長速度係数演算手段と、
この成長速度係数演算手段にて求められた成長速度係数kを入力するとともに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rを用いて、下記(4)式に基づき、稼動中における動翼の使用温度Tを推定する使用温度推定手段と、
この使用温度推定手段にて推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する交換寿命推定手段とを具備したものである。
d=k×t1/2 ・・・(3)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(4)
さらに、請求項3に係るガスタービン動翼の寿命推定装置は、請求項2に記載の寿命推定装置の厚さ測定手段として、表面SH波に基づく超音波センサ、X線厚さ測定器、または渦電流厚さ測定器を用いたものである。
k=k0exp(−Q/RT)・・・(4)
さらに、請求項3に係るガスタービン動翼の寿命推定装置は、請求項2に記載の寿命推定装置の厚さ測定手段として、表面SH波に基づく超音波センサ、X線厚さ測定器、または渦電流厚さ測定器を用いたものである。
上記寿命推定方法および寿命推定装置によると、超音波を用いて動翼の拡散層とニッケル基耐熱合金(基材)との間に生成した金属間化合物層の厚さを測定するとともに、この金属間化合物層の厚さおよび現在までの稼動時間に基づき金属間化合物層の成長速度係数を求め、次にこの成長速度係数、金属間化合物層成長の活性化エネルギー等に基づき使用温度を推定し、そしてこの使用温度に基づき、予め求められた使用温度と交換寿命との関係から交換寿命を推定するようにしたので、従来のように、動翼の内部組織のγ′相の粒径を測定して推定する場合よりも、より正確に推定することができる。
しかも、動翼の金属間化合物層の厚さを測定するのに、表面SH波に基づく超音波、X線、または渦電流を用いるため、従来のように、動翼を破壊する必要がないため、簡単に且つ動翼に傷を付けることなく、測定することができる。
[実施の形態]
以下、本発明のガスタービン動翼の寿命推定方法および寿命推定装置を、図1〜図8に基づき説明する。
以下、本発明のガスタービン動翼の寿命推定方法および寿命推定装置を、図1〜図8に基づき説明する。
図1に示すように、ガスタービンの動翼1は、1300K以上の高温に曝されるため、耐熱強度に優れたニッケル基耐熱合金(動翼基材)2の表面に、耐酸化性および耐食性を持たせるために、アルミニウムを20重量%以上含有するニッケル基合金層であるコーティング層3およびその拡散層4の二層からなるアルミニウム拡散コーティングが施工されている。
以下、ガスタービン動翼の寿命推定方法について説明する。なお、本来なら、まずガスタービン動翼の寿命推定装置を説明すべきであるが、当該寿命推定装置は寿命推定方法を具現化するものであり、説明の重複を避けるため、先に、寿命推定方法を説明した後に、簡単に、寿命推定装置について説明する。
まず、本発明に係る動翼の寿命推定原理について説明する。
本発明者等は、1300K以上の高温に曝されるガスタービンの動翼の評価、すなわち寿命を推定するのに、経年変化に基づくニッケル基耐熱合金の組織中のγ′(ガンマプライム)相の形状変化以外に、拡散層4とニッケル基耐熱合金2との間の性状変化に基づき寿命の推定が可能であるとの知見を得た。
本発明者等は、1300K以上の高温に曝されるガスタービンの動翼の評価、すなわち寿命を推定するのに、経年変化に基づくニッケル基耐熱合金の組織中のγ′(ガンマプライム)相の形状変化以外に、拡散層4とニッケル基耐熱合金2との間の性状変化に基づき寿命の推定が可能であるとの知見を得た。
すなわち、アルミニウムによりコーティングが施された動翼の場合、コーティング層3の下方にできる拡散層4とニッケル基耐熱合金2との間に生成する金属間化合物(例えば、Niを主体として、Al、Ti,Cr、Coなどからなるもので、当然に、Alなどが内部に拡散し、ニッケル基耐熱合金2よりAlを若干多く含んだ化合物である。)の成長度合いから稼動中における動翼1の温度(内部の上昇温度で、以下、使用温度という)を推定するとともに、この使用温度に基づきその寿命(以下、交換寿命ともいう)を推定する方法である。
以下、この寿命推定方法について詳しく説明する。
図2に示すように、ある程度(例えば、寿命率が30%程度)、稼動(運転)されたガスタービンの動翼1においては、コーティング層3の表面にアルミニウムの酸化膜層5が形成されるとともに、拡散層4とニッケル基耐熱合金2との間に金属間化合物層6が生成される。
図2に示すように、ある程度(例えば、寿命率が30%程度)、稼動(運転)されたガスタービンの動翼1においては、コーティング層3の表面にアルミニウムの酸化膜層5が形成されるとともに、拡散層4とニッケル基耐熱合金2との間に金属間化合物層6が生成される。
そして、本発明者等は、この金属間化合物層6の厚さと使用温度との関係を熱処理実験により調べた。その結果は、以下の通りであった。
図3のグラフに示すように、金属間化合物層6は熱処理温度が高いと厚くなり、しかもその厚さdは熱処理時間(動翼の現在までの稼動時間に相当する)tの1/2乗に比例して成長していることが判明した。
図3のグラフに示すように、金属間化合物層6は熱処理温度が高いと厚くなり、しかもその厚さdは熱処理時間(動翼の現在までの稼動時間に相当する)tの1/2乗に比例して成長していることが判明した。
上記の関係を数式化すると、下記(1)式が得られる。
d=k・t1/2・・・(1)
但し、(1)式中、kは金属間化合物層の成長速度係数である。
d=k・t1/2・・・(1)
但し、(1)式中、kは金属間化合物層の成長速度係数である。
なお、上記(1)式の関係は、一般に放物線則といわれ、この関係が成立する場合には、金属間化合物層の成長は拡散律速と見なすことができる。
また、上記成長速度係数kは、下記(2)式で表される。
また、上記成長速度係数kは、下記(2)式で表される。
k=k0・exp(−Q/(R・T))・・・(2)
ここで、k0は金属間化合物層の材料定数[正確に言えば、基材におけるコーティング材の拡散性を考慮したもの]、Qは金属間化合物層成長の活性化エネルギー、Rはガス定数、Tは絶対温度を表している。
ここで、k0は金属間化合物層の材料定数[正確に言えば、基材におけるコーティング材の拡散性を考慮したもの]、Qは金属間化合物層成長の活性化エネルギー、Rはガス定数、Tは絶対温度を表している。
そして、熱処理実験により、成長速度係数kと熱処理温度(絶対温度;使用温度に相当)Tとの関係を調べると、図4のグラフのようになる。図4のグラフから、使用温度の逆数(1/T)と成長速度係数kの二乗(k2)の対数[Log(k2)]とが直線関係(比例関係)になっていることが分かり、したがって上記(2)式が成立していることが判明した。
すなわち、(2)式から、実験により、金属間化合物層の材料定数k0と金属間化合物層成長の活性化エネルギー[ニッケル基耐熱合金中におけるコーティング材(アルミニウム)の拡散活性化エネルギー]Qとを求めることができる。なお、図4から求めた活性化エネルギーQの値は262kJ/molであり、ニッケルにおけるアルミニウムの拡散活性化エネルギーの値268kJ/molとほぼ同様の結果であった。
ところで、破断した動翼を用いて、金属間化合物層6の厚さdおよび稼動時間tから動翼の使用温度Tを推定すると1166Kとなり、一方、クリープ実験データ(動翼中央部に発生する遠心力と同一応力でのクリープ破断実験)から推定すると1173Kであった。両者の値はほぼ一致しており、上述した方法により、使用温度の推定が可能なことが確認された。
次に、動翼における使用温度と寿命(交換寿命)との関係について説明する。
稼動されたガスタービンの動翼の交換寿命と使用温度との関係を、例えば破壊法に基づき調べた結果を、図5のグラフに示しておく。
稼動されたガスタービンの動翼の交換寿命と使用温度との関係を、例えば破壊法に基づき調べた結果を、図5のグラフに示しておく。
このグラフから、動翼の使用温度Tと交換寿命h(対数目盛)とが比例していることが分かる。すなわち、上述した(1)式および(2)式を用いて、金属間化合物層の厚さから動翼の使用温度が推定されると、図5のグラフから、使用温度T0に基づき交換寿命h0を推定することができる。また、当然に、交換寿命h0から現在までの稼動時間を差し引くことにより、ガスタービン動翼の余寿命を推定することができる。
ところで、ガスタービン動翼1の金属間化合物層6の厚さdについては、超音波を用いて、より具体的には、表面SH波を用いて非破壊法にて測定される。
図6に示すように、この厚さ測定手段11としては、表面SH波に基づく超音波センサが用いられる。この超音波センサには、被測定物である動翼1の表面に、超音波を発信する送波器12と、この送波器12から発信された超音波の表面SH波(横波のうち、ごく表層を伝播する波である)を受信する受波器13と、表面SH波の伝播時間(受信時間)を入力して金属間化合物層6の厚さdを演算する厚さ演算部14とが具備されている。
図6に示すように、この厚さ測定手段11としては、表面SH波に基づく超音波センサが用いられる。この超音波センサには、被測定物である動翼1の表面に、超音波を発信する送波器12と、この送波器12から発信された超音波の表面SH波(横波のうち、ごく表層を伝播する波である)を受信する受波器13と、表面SH波の伝播時間(受信時間)を入力して金属間化合物層6の厚さdを演算する厚さ演算部14とが具備されている。
なお、この厚さ測定手段11の厚さ演算部14には、図7のグラフに示すように、表面SH波の伝播時間と金属間化合物層の厚さとの関係を示すテーブルが具備されており、その伝播時間から金属間化合物層の厚さが求められるようにされている。
次に、上記寿命の推定方法を具現化する寿命推定装置について、簡単に説明する。なお、この寿命推定装置による寿命推定方法については、上述したので、その説明を省略する。
この寿命推定装置21は、図8に示すように、動翼1の表面の金属間化合物層6の厚さを超音波すなわち表面SH波を用いて測定する厚さ測定手段11と、寿命を推定するに際して必要な種々のデータを保持しているデータベース部22と、上記厚さ測定手段11からの測定値を入力して上記(1)式に基づき金属間化合物層の成長速度係数kを求める成長速度係数演算手段23と、この成長速度係数演算手段23からの成長速度係数kおよびデータベース部22からのデータ(例えば、k0、Q、Rなど)を入力して上記(2)式に基づき動翼の使用温度Tを推定する使用温度推定手段24と、この使用温度推定手段24にて推定された使用温度Tおよびデータベース部22から使用温度Tと交換寿命hとの関係を示すデータテーブルに係るデータを入力して、当該使用温度に基づき交換寿命、および現在までの稼動時間から残りの余寿命を推定する寿命推定手段25と、この寿命推定手段25にて求められた交換寿命および余寿命を表示する寿命表示手段(例えば、ディスプレイなど)26とから構成されている。
そして、上記成長速度係数演算手段23、使用温度推定手段24および寿命推定手段25は、例えばコンピュータ装置により構成されるとともに、それぞれの演算を行うためのプログラムが具備されている。
なお、上記データベース部22には、少なくとも、金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQ、ガス定数Rなどのデータ、および使用温度Tと交換寿命hとの関係を示すデータテーブルが保持されている。なお、このデータベース部22に、厚さ測定手段11に具備されている表面SH波の伝播時間と金属間化合物層の厚さとの関係を示すデータテーブルを保持させるようにしてもよい。勿論、この場合、厚さ測定時には、データベース部22から厚さ測定手段11の厚さ演算部14にデータテーブルが読み込まれる(図8の破線矢印にて示す)。
上述したように、超音波、具体的には表面SH波を用いて、動翼の拡散層とニッケル基耐熱合金との間に生成した金属間化合物層の厚さを測定するとともに、この測定厚さおよび現在までのガスタービンの稼動状態(稼動時間、起動回数、運転負荷など)に基づき、金属間化合物層の成長速度係数を求め、次にこの成長速度係数、金属間化合物層の材料定数、金属化合物層成長の活性化エネルギーおよびガス定数に基づき使用温度を推定し、そしてこの使用温度に基づき、予め求められた使用温度と交換寿命との関係から交換寿命および余寿命を推定するようにしたので、従来のように、動翼の内部組織のγ′相の粒径を計測する場合よりも、正確に推定することができる。
すなわち、γ′相の粒径を測定するには、ニッケル基耐熱合金である動翼基材の組織観察が必要となり、コーティングの除去等が不可欠である上に、γ′相の粒径については、稼動時に応力の影響を受ける場合(γ′相がラフティングする場合)には、必ずしも正確な数値であるとは言えない。本発明においては、基材ではなく、コーティング部の金属間化合物層に着目し、その厚さを測定することで、応力の影響をあまり受けずに非破壊法にて正確な交換寿命を把握することができる。
また、金属間化合物層の厚さから使用温度を推定し、使用温度と交換寿命との関係を示すデータテーブルおよび今後のガスタービン動翼の稼動計画により、定量的に、交換寿命および余寿命を把握することができる。
しかも、動翼の金属間化合物層の厚さを測定するのに、非破壊検査法、例えば表面SH波に基づく超音波を用いるため、従来のように、動翼を破壊する必要がないため、簡単に且つ動翼に傷を付けることなく、測定することができる。
また、上記実施の形態においては、厚さ測定手段として、超音波センサを用いたが、例えばX線を用いたX線厚み測定器または渦電流を用いた渦電流厚み測定器であってもよい。
1 動翼
2 ニッケル基耐熱合金
3 コーティング層
4 拡散層
6 金属間化合物層
11 厚さ測定手段
12 送波器
13 受波器
14 厚さ演算部
21 寿命推定装置
22 データベース部
23 成長速度係数演算手段
24 使用温度推定手段
25 寿命推定手段
26 寿命表示手段
2 ニッケル基耐熱合金
3 コーティング層
4 拡散層
6 金属間化合物層
11 厚さ測定手段
12 送波器
13 受波器
14 厚さ演算部
21 寿命推定装置
22 データベース部
23 成長速度係数演算手段
24 使用温度推定手段
25 寿命推定手段
26 寿命表示手段
Claims (3)
- ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定方法であって、
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定し、
次にこの測定された厚さdおよびガスタービンの稼動時間tから、下記(1)式を用いて、金属間化合物層の成長速度係数kを求め、
次にこの成長速度係数k、並びに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rから、下記(2)式を用いて、稼動中における動翼の使用温度Tを推定し、
この推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定することを特徴とするガスタービン動翼の寿命推定方法。
d=k×t1/2 ・・・(1)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(2) - ニッケル基耐熱合金の基材の表面にアルミニウムがコーティングされてなるガスタービン動翼の寿命推定装置であって、
アルミニウムを含有するニッケル基合金層であるコーティング層と上記基材との間に形成されたアルミニウムを含有するニッケル基合金層である拡散層と、上記基材との間に形成される金属間化合物層の厚さdを測定する厚さ測定手段と、
この測定された金属間化合物の厚さdおよびガスタービンの稼動時間tを入力して、下記(3)式に基づき、金属間化合物層の成長速度係数kを求める成長速度係数演算手段と、
この成長速度係数演算手段にて求められた成長速度係数kを入力するとともに予め求められている金属間化合物層の材料定数k0、金属間化合物層成長の活性化エネルギーQおよびガス定数Rを用いて、下記(4)式に基づき、稼動中における動翼の使用温度Tを推定する使用温度推定手段と、
この使用温度推定手段にて推定された使用温度Tに基づき動翼の交換寿命を推定する交換寿命推定手段とを具備したことを特徴とするガスタービン動翼の寿命推定装置。
d=k×t1/2 ・・・(3)
k=k0exp(−Q/RT)・・・(4) - 厚さ測定手段として、表面SH波に基づく超音波センサ、X線厚さ測定器、または渦電流厚さ測定器を用いたことを特徴とする請求項2に記載のガスタービン動翼の寿命推定装置。
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