JP2005344190A - ステンレス鋼製二輪車構造部材 - Google Patents

ステンレス鋼製二輪車構造部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 長期間にわたって美麗な外観を維持し、耐久性に優れた自転車,自動二輪,車椅子等の構造部材を提供する。
【解決手段】 二輪車構造部材は、C:0.04質量%以下,Si:1.0質量%以下,Mn:1.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜16.5質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.015質量%,必要に応じMo:3.0質量%以下を含み、フェライト-残留オーステナイト-マルテンサイトの複相又はマルテンサイト単相組織のステンレス鋼から作製されている。複相組織は、フェライト相:10体積%以下,残留オーステナイト相:25体積%以下がマトリックスのマルテンサイトに分散した組織になっている。また、式(1),(2)で定義されるA値,D値をそれぞれA≧-3.0,D≧80に調整することが好ましい。
A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8 ・・・・(1)
D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311・・・・(2)
【選択図】 なし

Description

本発明は、強度,耐食性に優れた自転車,自動二輪,車椅子等の構造部材に関する。
自転車,自動二輪,車椅子等の二輪車は、腐食性雰囲気で使用されることが多く、タイヤリム,フレーム等の構造部材が発銹すると外観が著しく劣化するので、めっき鋼板よりも耐食性に優れたSUS430系のフェライト系ステンレス鋼板が使用されるようになってきている。タイヤリム,フレームに使用される素材には、必要形状に成形した後で溶接する製造工程を考慮すると加工性,溶接性にも優れていることが要求される。
フェライト系ステンレス鋼にTi,Nbを添加すると溶接部の靭性,延性が改善され、自転車用リム材に要求される溶接性,耐食性が確保される(特許文献1)。C,Nを適度に低減したフェライト系ステンレス鋼にNi,Mn,Cu等のオーステナイト形成元素を適量添加するとき、溶接部にマルテンサイト相が生成し、溶接部の耐粒界腐食性が改善される(特許文献2)。
特開昭61-73866号公報 特開昭62-164857号公報
Ti添加は靭性,延性の改善に有効であるものの、0.1〜0.3質量%と多量のTiを添加するとTi系介在物起因のTiストリークが発生しやすくなる。他方、特許文献2のステンレス鋼では、C+N量が0.04質量%以下に規制され、特に強度を向上させる成分も添加されていないため、マルテンサイト相が生成した状態においてもSUS430程度の剛性を示すに留まる。
更に、自転車,自動二輪,車椅子等は、操作性の向上を狙って軽量化が強く要求されている。薄肉の構造部材を使用することにより軽量化が可能となるが、従来材を薄肉化すると強度不足になって寿命が短くなる。そこで、耐食性,溶接性,加工性に加え、強度,軽量化,長寿命を満足する材料の提供が望まれており、フェライト系に代わるマルテンサイト系ステンレス鋼の使用が検討されている。
マルテンサイト系ステンレス鋼の高強度化には、C,Nの増量が安価な手段である。しかし、多量のC,Nが固溶したマルテンサイト系ステンレス鋼を溶接すると、溶接時の入熱で溶接熱影響部の一部が600〜900℃の温度域に達し、クロム炭化物が主として粒界に析出する。クロム炭化物の粒界析出に伴い母材にCr欠乏層が生じ、粒界が鋭敏化して溶接熱影響部の耐食性が低下する。固溶強化能の大きなSi添加による高強度化も知られているが、Si添加により加工性に有害なδフェライトの層状成長が懸念される。
本発明は、二輪車構造部材にマルテンサイト系ステンレス鋼を使用することを前提とし、マルテンサイト・マトリックスに分散するフェライト,残留オーステナイトを規制することにより、素材の溶接性,加工性を改善し、耐食性,強度,軽量化,長寿命等の要求特性を満足した二輪車構造部材を提供することを目的とする。
本発明の二輪車構造部材は、フェライト-残留オーステナイト-マルテンサイトの複相組織又はマルテンサイト単相組織のステンレス鋼から作製されている。複相組織は、フェライト相:10体積%以下,残留オーステナイト相:25体積%以下がマトリックスのマルテンサイトに分散した組織になっている。該ステンレス鋼は、C:0.04質量%以下,Si:1.0質量%未満,Mn:1.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜16.5質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.015質量%,必要に応じMo:3.0質量%以下を含んでいる。
更に、式(1),(2)で定義されるA値,D値をそれぞれA≧-3.0,D≧80に調整することが好ましい。
A=30×(C%)−1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)−1.3×(Cr%)+30×(N%)−(Mo%)+11.8 ・・・・(1)
D=−1667×(C%)−28×(Si%)−33×(Mn%)−61×(Ni%)−42×(Cr%)−1667×(N%)−42×(Mo%)+1311 ・・・・(2)
本発明者等は、自転車,自動二輪,車椅子等のタイヤリム,フレームに使用されるステンレス鋼の各種要求特性について種々調査・検討した。
自転車の車体を構成する主要構造部材にはタイヤリム材や各種パイプ材があるが、加工後に真円度を高めるため延性,成型加工性に優れていること及び走行中の安全性を高めるため優れた強度,耐久性が要求される。路面に近いタイヤリムでは、腐食環境に曝されるため耐食性も必要であり、ブレーキ部品であるゴムとの摺擦によっても摩耗しがたいことが必要である。走行中に生じる小石等の飛散によっても凹凸が発生しがたいこと(耐デント性)も要求特性のひとつである。かかる要求特性は、自転車に限らず自動二輪,車椅子等の構造部材でも同様である。
二輪車が使用される環境を想定し、要求特性を満足する耐久性を調査したところ、ビッカース硬さ:HV320以上,耐力:800N/mm2以上の素材が必要なことが判った。走行中の小石等の飛散による疵付きや摩耗が生じてもタイヤリムとして必要な耐食性を維持する上で、ステンレス鋼のCr含有量を高める必要がある。このような耐久性,耐食性は、Cr:13質量%以上で、マトリックスのマルテンサイトに分散しているフェライト相,オーステナイト相を規制することにより達成される。マルテンサイト単相鋼では加工性が不足し、タイヤリム,フレーム材等の製品形状に加工する際の加工条件によっては割れる場合もあるが、旧オーステナイト粒界の結合力向上,結晶粒の微細化に有効なBを適量添加することにより加工性が改善される。
次いで、二輪車構造部材の素材として使用されるステンレス鋼の合金成分,含有量等を説明する。
〔C:0.04質量%以下〕
δフェライトの生成を抑え、マルテンサイト相を強化する合金成分であり、0.005質量%以上でCの効果がみられる。しかし、過剰量のCが含まれると、最終焼鈍後の冷却過程又は溶接時にクロム炭化物が粒界析出して耐粒界腐食性が低下するので、C含有量の上限を0.04質量%に設定した。
〔Si:1.0質量%未満〕
固溶強化能の大きな合金成分であり、マトリックスを強化する作用を呈する。マトリックス強化作用は0.1質量%以上で顕著になるが、1.0質量%以上のSiを添加しても固溶強化能が飽和し、増量に見合った効果が得られない。過剰量のSi添加は、延性に有害なδフェライトの生成を助長させる原因でもあるので、Si含有量を1.0質量%未満に設定した。好ましくは、0.2〜0.8質量%の範囲でSi含有量を選定する。
〔Mn:1.0質量%以下〕
高温域でδフェライトの生成を抑制する作用を呈し、0.1質量%以上のMnの効果がみられる。しかし、過剰量のMnが含まれると、焼鈍後の組織に残留オーステナイト相が多くなって強度が低下しやすいので、Mn含有量の上限を1.0質量%に設定した。好ましくは、0.2〜0.8質量%の範囲でMn含有量を選定する。
〔Ni:2.0〜10.0質量%〕
オーステナイト形成元素C,Nの添加によってマルテンサイト組織が得られるものの、C,Nの多量添加は耐食性低下の原因である。そこで、C,Nの一部をオーステナイト形成元素Niに置換することにより、C,Nの過剰添加を抑えている。Niは、δフェライトの生成を抑制し、最終焼鈍後にマルテンサイト組織とし、母材,溶接部の強度を向上させる上でも有効な合金成分である。これらの効果を得るため、Ni含有量を2.0質量%以上としている。しかし、10.0質量%を超える過剰量のNiを添加すると、残留オーステナイトが多くなりすぎ、母材,溶接部の強度が低下しやすい。好ましくは、3.0〜8.0質量%の範囲でNi含有量を選定する。
〔Cr:13.0〜16.5質量%〕
耐食性の向上に必須の合金成分であり、タイヤリム材,フレーム材として十分な耐食性を付与するため少なくとも13.0質量%以上のCr含有量が必要である。Crの増量に伴って耐食性が向上するが、16.5質量%を超える過剰量のCrを添加しても、フェライト相が増加して強度の向上が期待できなくなる。Crの過剰添加は、延性,靭性,冷間圧延性等からも好ましくない。しかも、過剰量のCrを含む合金系でフェライト相の生成を抑制する成分調整を図ろうとするとオーステナイト形成元素の多量添加が必要となり、最終焼鈍後又は溶接後に多量のオーステナイト相が残留するので高強度化が困難になる。好ましくは、14.0〜16.0質量%の範囲でCr含有量を選定する。
〔N:0.04質量%以下〕
Cと同様にマルテンサイト層の強化に極めて有効な成分であり、δフェライトの生成を抑制する作用も呈する。また、Cの一部をNで置換してCの過剰添加を回避すると、母材の延性,靭性及び溶接部の耐食性を確保できる。しかし、0.04質量%を超える過剰量のNを添加すると、耐食性に有害なクロム窒化物が溶接熱影響部に生成しやすくなる。
〔B:0.001〜0.015質量%〕
Nと結合して微細な析出物となり、最終焼鈍時に結晶粒の粗大化を抑制すると共に、旧オーステナイト粒界の粒界結合力を高める合金成分であり、高強度でも良好な加工性をステンレス鋼に付与する。延性,靭性を低下させるSの粒界偏析を防止する上でも有効な成分である。このような効果は0.001質量%以上のB添加でみられるが、0.015質量%を超える過剰量を添加すると、多量のボロン系析出物が粒界に析出して曲げ加工性が低下する。好ましくは、0.002〜0.012質量%の範囲でB含有量を選定する。
〔Mo:3.0質量%以下〕
必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性を向上させる作用を呈し、0.3質量%以上でMoの添加効果がみられる。しかし、3.0質量%を超える過剰量のMoを添加すると、熱間加工性の低下や鋼材コストの上昇が懸念される。
以上の成分の他に、熱間加工性に有効なCaやREM(希土類元素)を添加しても良い。Ca,REM等を添加する場合には、耐久性,耐食性,加工性が損なわれないように0.001〜0.015質量%の範囲に含有量を設定する。ステンレス鋼に通常含まれる不純物P,Sは、それぞれP:0.06質量%以下,S:0.004質量%以下に規制している。Pは耐食性に有害な成分であり、少ないほど好ましいので上限を0.06質量%に規制する。Sは熱間圧延時に耳割れ発生原因となる硫化物系介在物を生成する有害成分であり、可能な限りS含有量を低下することが必要なことから、S含有量の上限を0.004質量%に規制している。
〔最終焼鈍後の組織〕
二輪車構造部材の素材に使用されるステンレス鋼は、最終焼鈍によってマルテンサイトを主体とする組織に調整される。マトリックスのマルテンサイトに分散しているフェライト相を10体積%以下,残留オーステナイト相を25体積%以下に規制すると、高強度を確保しながらも成型加工性,耐食性に優れたステンレス鋼となる。フェライト相,残留オーステナイト相の量的条件は、成分調整,熱処理条件,加工条件等によって制御できる。フェライト相,残留オーステナイト相のないマルテンサイト単相組織であっても、二輪車構造部材の素材として使用される。
最終焼鈍後のマトリックスに含まれるフェライト相はステンレス鋼の硬さに影響し、フェライト相が多量になるほど硬さが低下する。場合によっては、フェライト相が圧延方向で層状に生成し、曲げ加工性を劣化させることもある。ビッカース硬さ:HV320以上を確保し、フェライト相の層状成長を抑制する上で、マトリックスに含まれるフェライト相を10体積%以下に規制している。
最終焼鈍後のマトリックスに多量の残留オーステナイトが含まれると、最終焼鈍状態での高強度化が困難になる。最終焼鈍後の調質圧延や加工歪みの付与により残留オーステナイトの一部をマルテンサイト化すると、高強度化が図られる。しかし、タイヤリム,フレーム等の構造部材に加工した後で溶接する際、溶接部に多量のフェライト又はオーステナイトが再出現すると良好な強度が得られないので、最終焼鈍状態で残留オーステナイト相を25体積%以下に規制している。
フェライト相:10体積%以下,残留オーステナイト相:25体積%以下のマルテンサイトを主体とする組織が得られる限り、最終焼鈍条件に特段の制約が加わるものではない。しかし、炭窒化物が固溶し且つ結晶粒の粗大化が抑えられる900〜1100℃の温度域に焼鈍温度を設定し、焼鈍後の冷却速度を5℃/秒以上とすることにより冷却過程で炭窒化物の析出を防止することが好ましい。
〔A値,D値〕
式(1),(2)で定義されるA値,D値は、最終焼鈍後のマルテンサイトマトリックスに含まれるフェライト,残留オーステナイトを高い相関性で表す指標であり、A≧-3.0の成分調整でフェライト相が10体積%以下になり、D≧80の成分調整で残留オーステナイト相が25体積%以下になる。式(1),(2)は、類似組成のステンレス鋼が1000℃程度で最終焼鈍されていることから、1000℃の最終焼鈍後に水冷して得られた組織のフェライト量,残留オーステナイト量に及ぼす成分・組成の影響を調査・検討し、両者の関係を数式化したものである。
A=30×(C%)−1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)−1.3×(Cr%)+30×(N%)−(Mo%)+11.8 ・・・・(1)
D=−1667×(C%)−28×(Si%)−33×(Mn%)−61×(Ni%)−42×(Cr%)−1667×(N%)−42×(Mo%)+1311 ・・・・(2)
表1の各種ステンレス鋼を真空溶解炉で溶製し、鋼塊に鋳造した後、板厚:4.0mmに熱間圧延した。表1中、Aグループが本発明で規定する組成を満足する発明対象鋼,Bグループが比較鋼,C1が従来鋼SUS430LXである。
Figure 2005344190
A,Bグループの熱延鋼板に780℃×均熱12時間→炉冷の焼鈍を施し、酸洗後、1.5mmまで冷間圧延した。次いで、800℃×均熱1分→空冷で中間焼鈍し,更に板厚:0.5mmまで冷間圧延し、1000℃×均熱1分→空冷で最終焼鈍することにより冷延焼鈍板を製造した。なお、従来鋼種C1には、950℃×均熱1分→水冷の熱延板焼鈍,板厚:1.5mmまでの冷間圧延,950℃×均熱1分→水冷の中間焼鈍,板厚:0.5mmまでの冷間圧延,950℃×均熱1分→水冷の最終焼鈍を施した。
また、各冷延焼鈍板からタイヤリムを模擬した形状の枠(図1)及びフレーム材を模擬した直径30mmのステンレス鋼管をTIG溶接により作製した。TIG溶接では、直径1.6mmのタングステン電極を用い、シールガスとしてArを流量:10リットル/分で供給しながら溶接電流密度:150A,トーチ移動速度:500mm/分の条件下で突合せ部を溶接した。得られたステンレス鋼管の溶接ビード凸部をグラインダーで平滑化し、最終的に母材部と併せて#400研磨した。
各冷延焼鈍板から試験片を切り出し、フェライト量,残留オーステナイト量,表面硬さを測定すると共に、曲げ性を評価した。強度試験にはタイヤリムを模擬した形状の枠状試験片(図1),腐食試験には枠状試験片及びステンレス鋼管を用いた。
フェライト量測定用の試験片は、試験片断面を研磨した後、フッ酸+硝酸+グリセリン溶液を用い常温で15秒エッチングした。エッチング面の10視野を倍率×400で光学顕微鏡観察し、ポイントカウント法でフェライト量を求めた。残留オーステナイト量は、振動試料型磁力計を用いて算出した。表面硬さは、ビッカース硬度計を用い荷重10kgで測定した。
曲げ試験では、タイヤリムを成形する加工を模擬し、試験片を曲げ半径:0.75mmで180度曲げした。曲げ試験後に試験片を観察し、割れが発生しなかった試験片を○,割れが発生した試験片を×として曲げ性を評価した。
腐食試験には、JIS H8502に規定するキャス試験(腐食液:5%NaCl+0.26g/l CuCl2+酢酸,pH:3.0〜3.1,試験温度:35±2℃,試験時間:200時間)を採用した。キャス試験後に母材部,溶接部を観察し、発銹していない試験片を○,発銹が検出された試験片を×として耐食性を評価した。
強度試験では、タイヤリムを模擬した形状のハーフサイズ形状枠試験片R(図2)に荷重60kgの重錘Wを載せ、試験片Rを永久変形させた。L方向に沿った試験前高さ及び重錘Wを除去した後の高さを測定し、両者の差を永久変形量とした。この永久変形量が1mm以下を○,1mm超を×としてリム材の強度を評価した。
表2の試験結果にみられるように、Aグループの鋼材を用いた本発明例では、母材硬さがHV325以上でありながらリム材として良好な成型加工性,強度をもっていた。また、リム模擬の成形品,フレーム模擬のステンレス鋼管何れも、キャス試験で溶接熱影響部,母材部とも発銹しなかった。
他方、B1の鋼材は、B含有量が不足し曲げ性に劣っていた。Cr含有量の高いB2やSi含有量の高いB4の鋼材は、冷延焼鈍後に多量のフェライト相が層状に生成したため曲げ性に劣っていた。B3の鋼材は、成分的には規格内であるもののA値≧-3.0を満足しないため曲げ性が不十分であった。過剰のCを含むB6の鋼は、耐食性が不十分であった。B5の鋼は、残留オーステナイトが多すぎる冷延焼鈍板となるため、硬さが不足し剛性に劣っていた。
硬さがHV176と低い従来鋼C1を使用した場合には、剛性が劣っていた。
この対比から明らかなように、本発明で規定した成分調整,金属組織を満足する鋼材を使用することにより、必要な加工性,耐食性,剛性が確保され、耐久性に優れたタイヤリム,フレーム等の二輪車構成部材が得られることが確認された。
Figure 2005344190
以上に説明したように、本発明の二輪車構造部材は、マルテンサイトを主体とする複層組織又はマルテンサイト単相組織のステンレス鋼から作製されており、軽量化のために薄肉化しても十分な強度をもち耐久性に優れたタイヤリム,フレーム等の部材として使用される。しかも、耐食性が良好なため長期使用後においても発銹が無く、美麗な外観を維持する自転車,自動二輪,車椅子等が提供される。
本実施例で作製したタイヤリムを模擬した成形品の断面図 同成形品の永久変形試験を説明する図

Claims (4)

  1. C:0.04質量%以下,Si:1.0質量%未満,Mn:1.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜16.5質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.015質量%を含み、
    フェライト相:10体積%以下,残留オーステナイト相:25体積%以下,残部がマルテンサイト相からなる複相組織又はマルテンサイト単相組織になっているステンレス鋼を素材とするステンレス鋼製二輪車構造部材。
  2. ステンレス鋼が更にMo:3.0質量%以下を含む請求項1記載のステンレス鋼製二輪車構造部材。
  3. A=30×(C%)−1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)−1.3×(Cr%)+30×(N%)−(Mo%)+11.8
    D=−1667×(C%)−28×(Si%)−33×(Mn%)−61×(Ni%)−42×(Cr%)−1667×(N%)−42×(Mo%)+1311
    と定義されるA値,D値がA≧-3.0,D≧80に成分調整されたステンレス鋼を使用する請求項1又は2記載のステンレス鋼製二輪車構造部材。
  4. 構造部材がタイヤリム材又はフレーム材である請求項1〜3何れかに記載のステンレス鋼製二輪車構造部材。
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JP2020005807A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 日鉄ステンレス株式会社 車椅子

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