JP2005105355A - 耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材および二輪車用フレーム材 - Google Patents

耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材および二輪車用フレーム材 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶接性に優れ、溶接熱影響部および母材の耐食性に優れ、かつ高強度で耐たわみ性が良好な二輪車用のタイヤリム材およびフレーム材を低コストで提供する。
【解決手段】 C:0.04質量%以下,Si:1.0〜3.0質量%,Mn:2.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜20.0質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.15質量%,さらに必要に応じてMo:3.0質量%以下を含むステンレス鋼において、下記(1)式で定義されるA値を−3.0以上に、下記(2)式で定義されるD値を80以上になるように調整して、最終焼鈍後の組織が10体積%以下のフェライト相,25体積%以下の残留オーステナイト相および残部マルテンサイト相からなる複相組織となったものを得る。
A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8
‥‥‥(1)
D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311
‥‥‥(2)
【選択図】 なし

Description

本発明は、母材ならびに溶接部の耐食性および耐たわみ性に優れた自転車,オートバイ,車いす等の二輪車のタイヤリム材またはフレーム材に関する。
自転車,オートバイ,車いす等の二輪車に使用されるタイヤリム材またはフレーム材としては、使用環境によっては耐食性が要求されるため、従来のめっき品に代わってSUS430系のフェライト系ステンレス鋼が使用されている。
また上記部材は溶接接合されて使用されるので、優れた溶接性も要求される。このため、例えば特許文献1では、10〜20質量%のCrを含有するフェライト系ステンレス鋼に、0.1〜0.3質量%のTiと0.15〜0.3質量%のNbを添加して、溶接部の靭性,延性及び耐食性を確保しつつ溶接時の座屈を防止することが提案されている。また、特許文献2では、12.5〜17質量%のCrを含有するフェライト系ステンレス鋼において、C,Nを適度に低減した上で、Ni,Mn,Cu等のオーステナイト形成元素を適量添加し、溶接部にマルテンサイトを形成させることにより、Ti,Nbの安定化元素を用いなくても、溶接部靭性および加工性に問題を生じさせることなく、溶接部の耐粒界腐食性を向上させた高強度のリム用ステンレス鋼材が得られることが報告されている。そして当該特許文献においては、マルテンサイト相を形成しやすくするために、その指標であるCE値を所定の範囲にすることが示されている。
特開昭61−73866号公報 特開昭62−164857号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなTiを多量に含むフェライト系ステンレス鋼は、Ti介在物に起因したTiストリークが生成するといった問題点がある。
また、特許文献2に記載されたステンレス鋼では、C+N量が0.04質量%以下に規定されており、特に強度を向上させる元素が含有されていないため、マルテンサイトを形成してもSUS430並みの剛性しか得られない。
近年、本用途では薄肉・軽量化,長寿命のニーズが高まっており、従来材では強度不足の点から厳しいニーズに対応困難となってきている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、溶接性に優れ、溶接熱影響部および母材の耐食性に優れ、かつ高強度で耐たわみ性が良好な、自転車,オートバイ,車いす等の二輪車用のタイヤリム材およびフレーム材を低コストで提供することを目的とする。
本発明の耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材および二輪車用フレーム材は、その目的を達成するため、C:0.04質量%以下,Si:1.0〜3.0質量%,Mn:2.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜20.0質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.15質量%,さらに必要に応じてMo:3.0質量%以下を含み、残部が実質的にFeからなる成分組成を有し、10体積%以下のフェライト相,25体積%以下の残留オーステナイト相および残部マルテンサイト相からなる複相組織を有することを特徴とする。
成分組成を、下記(1)式で定義されるA値が−3.0以上に、下記(2)式で定義されるD値が80以上になるように調整すると、10体積%以下のフェライト相,25体積%以下の残留オーステナイト相および残部マルテンサイト相からなる複相組織が得やすくなる。
A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8
‥‥‥(1)
D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311
‥‥‥(2)
本発明では、フェライト相および残留オーステナイト相の生成を一定量以下に抑え、残部がマルテンサイト相からなる複相組織のステンレス鋼とすることにより、優れた強度と耐食性、ならびに加工性をバランスよく兼備した二輪車用タイヤリム材および二輪車用フレーム材を得ることができた。
本発明者等は、溶接熱影響部の耐食性ならびに耐たわみ性に優れた自転車,オートバイ,車いす等の二輪車用のタイヤリム材あるいはフレーム材に使用されるステンレス鋼板を得る手段について、種々検討した。なお、以下の説明では、自転車部品に限って説明する。オートバイ,車いす等でも同様であることはいうまでもない。
自転車の車体を構成する主要材料としては、タイヤリム材や各種パイプ材が挙げられる。これらの材料には、走行中の自転車に対してその安定性を維持するために、剛性、すなわちたわみ難いことが必要である。また、路面に近いタイヤリム材については、走行環境での腐食環境の影響を受けやすく、耐食性も必要である。さらに、タイヤリム材については、ブレーキ部品であるゴムに対する耐摩耗性も必要である。加えて、タイヤリム材あるいはフレーム材では、走行中の小石等の飛散による凹凸の発生を抑制する耐デント性の改善も必要である。
間近の過酷な使用環境下で充分な耐たわみ性を得るには,素材の硬さをビッカース硬さでHV320以上、ヤング率を180000N/mm2以上とすることで達成できることがわかった。
また、走行中の小石等の飛散による疵付きや摩耗が起こってもタイヤリム材として優れた耐食性を維持するには、Cr量が13質量%以上のステンレス鋼であることが必要である。そして、このような必要特性は、Cr量が13質量%以上で、かつフェライト相および残留オーステナイト相が一定量以下に抑えられたマルテンサイト系ステンレス鋼で発現し得ることを確認した。
マルテンサイト系ステンレス鋼において安価に高強度を得る手段としては、CおよびNの含有量を多くすることが挙げられる。しかし、CおよびNが多く固溶したマルテンサイト系ステンレス鋼母材に溶接を施すと、その入熱で溶接熱影響部の一部が600〜900℃の温度域に達し、Cr炭窒化物が主に粒界に析出して母相にCr欠乏層が生じる。このような粒界の鋭敏化現象が起こると、溶接熱影響部の耐食性が低下することとなる。
この溶接熱影響部の鋭敏化現象を抑制するためには、C,N含有量の低減が最も効果的であるが、一方、母材および溶接部の強度はC,N含有量が少なくなるにともない低下する。したがって、所定の強度を得るには、C,Nの含有以外の手段で強化を図る必要がある。
そこで、本発明者等はさらに鋭意検討した結果、母相および溶接部ともに優れた耐食性を維持した状態で安価に強度を向上させる上で、一定範囲量のSiを含有させることが有効であることを見出した。
また、マルテンサイト鋼では場合により充分な加工性が得られず、タイヤリム等の加工条件によっては割れることがある。本発明では、Bを適切量含有させることによって、旧オーステナイト粒界の結合力が高くなり、また結晶粒が微細となって加工性が改善されることが明らかになった。
以下に、本発明タイヤリム材あるいはフレーム材に含まれる合金成分,含有量等について詳しく説明する。なお、各元素の含有量を示す「%」は、以下の記載にあっては特に示さない限り「質量%」を意味する。
C:0.04%以下
Cはδフェライトの生成を抑制するとともに、マルテンサイト相を強化する上で極めて有効な元素である。しかし、多量のC含有は、最終焼鈍後の冷却過程あるいは溶接時に粒界にCr炭化物が析出して耐粒界腐食性を低下させる原因となる。その弊害はC含有量が0.04%を超えると顕著に現れる。したがって、Cは0.04%以下とした。
Si:1.0〜3.0%
Siは通常脱酸の目的で添加されるが、本発明では母相および溶接部を強化するために含有させる。この強化作用は10%以上の含有で顕著に現れる。しかし3.0%を超えて含有させるとフェライト相の残留による強度低下を招くとともに、耐食性を劣化させる要因になる。したがって、Si含有量は2.0%以下とした。
Mn:2.0%以下
Mnは高温域でのδフェライト相の生成を抑制する。しかし、多量のMn含有により焼鈍後の残留オーステナイト量が多くなり、強度低下の原因となるとともに、耐食性を低下させる。このため、Mn量は2.0%以下とした。なお、好ましくは0.2〜0.8%の範囲である。
Ni:2.0〜10.0%
Niは同じくオーステナイト形成元素であるCおよびNの一部を置換して、多量のC,N含有による耐食性低下を防止する上で有効な元素である。また、δフェライト相の生成を抑制し、最終焼鈍後にマルテンサイト相を得て、母相および溶接部で高い強度を維持するのに重要である。本発明の合金系でこれらの効果を有効に得るためには、最低2.0%のNi含有が必要である。しかし、10.0%を超えて多量のNiを含有させると、残留オーステナイトが多くなりすぎ、母相および熱影響部で強度低下をもたらす。したがって、Niの含有量は2.0〜10.0%の範囲とした。
Cr:13.0〜20.0質量%
Crは優れた耐食性を得る上で必須の成分である。タイヤリム材あるいはフレーム材として充分な耐食性を付与するためには、少なくとも13.0%以上を必要とする。しかし、20.0%を超えてCrを含有させると、フェライト相が増加するために強度の向上が期待できなくなる。また、延性,靭性,冷間圧延性等も低下する。この場合、フェライト相の生成を抑制するために成分調整を図ろうとすると、他のオーステナイト生成元素の多量添加が必要となり、最終焼鈍後あるいは溶接後に多量のオーステナイト相が残留して高強度を得ることが困難となる。したがって、Cr含有量は13.0〜20.0%の範囲とした。
N:0.04%以下
NはCと同様にマルテンサイト相の強化に極めて有効な元素であるとともに、δフェライトの生成を抑制する作用を有する。また、Cの一部をNで置換してCの多量添加を抑制することにより、母相の延性,靭性および溶接部の耐食性低下を回避することができる。しかし、0.04%を超えて多量に添加すると、溶接熱影響部のCr窒化物の生成により耐食性を低下させる。したがって、Nの含有量は0.04%以下に規定した。
B:0.001〜0.015%
BはNと微細な析出物を形成して最終焼鈍時の結晶粒粗大化を抑制するとともに、旧オーステナイト粒界の粒界結合力を高めることにより、高強度でも良好な加工性を得る上で重要な元素である。また、最終焼鈍後の冷却過程で場合によりSが粒界に偏析して室温での延性および靭性が低下することがあるが、Bはその弊害を小さくする作用を有している。結晶粒微細化およびSの粒界偏析を抑制する効果は、0.001%以上の含有で顕著に現れる。ただし、0.015%を超えて過剰にBを含有させると、多量のB系析出物が粒界に析出して曲げ加工性が低下する。このため、タイヤリムの製造やフレームの製造に支障を来たすことがある。したがって、B含有量は、0.001〜0.015%の範囲とした。
Mo:3.0%以下
Moは耐食性向上に寄与するので、必要に応じて添加される。しかし、過剰のMo添加は、熱間加工性の低下や鋼材コスト上昇の原因となるので、添加する場合、その上限は3.0%とする。
なお、本発明では、熱間加工性の向上を目的として、CaやREM(希土類元素)を含有させてもよい。含有させる場合には、耐食性や耐たわみ性,加工性を損なうことなく、これらの元素の効果を有効に得る上で、それぞれ0.001〜0.015%の範囲とすることが好ましい。
本発明の素材は、最終焼鈍状態でマルテンサイト組織を主体としている。最終焼鈍後に高強度を得る上で、フェライト相およびオーステナイト相の生成を一定量以下に抑制することが必要とされる。最終焼鈍後にフェライト相が10体積%を超えていると、最終焼鈍後の硬さはフェライト相の増加にともない低下するとともに、熱間加工時のエッジクラックが起こり易くなるという弊害を招くことになる。また場合によっては、フェライトが板厚方向で層状に生成し、リムの曲げ加工性を低下させることがある。一方、最終焼鈍後に残留オーステナイト相が25体積%を超えていると、最終焼鈍状態で高強度を得ることが困難となる。本発明で規定する範囲を超えてフェライト相あるいはオーステナイト相が残留していても、最終焼鈍後に調質圧延を施して加工歪みを付与したり、あるいは残留オーステナイトの一部をマルテンサイト化したりすることにより強化することも可能ではある。しかし、この場合、タイヤリムあるいはフレームに加工した後の溶接時に、溶接部で多量のフェライト相あるいはオーステナイト相が再出現することになって、良好な強度は得られない。
したがって、最終焼鈍後のフェライト相は10体積%以下、残留オーステナイト相は25体積%以下と規定した。なお、本発明の素材では、フェライト相および残留オーステナイト相の共存は必須ではない。いずれかの相が出現していなくてもよい。
最終焼鈍後の相割合が規定された本発明の素材を得るに当って、最終焼鈍条件は特に限定されないが、焼鈍温度は炭窒化物が固溶し、かつ結晶粒の粗大化が抑えられる900〜1100℃の範囲とすることが好ましく、また、冷却過程で炭窒化物が析出しないように5℃/秒以上で冷却することが推奨される。
ところで、本発明者等は、本発明に近似する組成を有するステンレス鋼の最終焼鈍が通常1000℃程度で行われていることから、1000℃で最終焼鈍し、水冷した後のフェライト量および残留オーステナイト量と成分・組成の関係を種々検討した。その結果、次の(1),(2)式で表わされるA値およびD値なる指標がフェライト量および残留オーステナイト量と極めてよい対応関係を示すことを見出した。すなわち、A値が−3.0以上になるように成分調整したときフェライト相は10体積%以下になり、D値が80以上になるように成分調整したとき残留オーステナイト相は25体積%以下になることを確認した。
なお、A値ならびにB値は、本発明者の度重なる実験により得られた経験式である。
A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8
‥‥‥(1)
D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311
‥‥‥(2)
表1に示す成分・組成を有する鋼材100gを真空溶解炉にて溶解し、各鋼とも熱間圧延を経て板厚4.0mmの熱延板を製造した。表1において、鋼種番号A1〜A8が本発明で規定する成分・組成を有する発明対象鋼,B1〜B6が比較鋼、C1が従来鋼のSUS430LXである。
本発明の対象鋼および比較鋼の熱延板に780℃×12時間均熱・炉冷の焼鈍を施した。さらに酸洗後、冷間圧延を施して板厚1.5mmとし、800℃×1分均熱・空冷の中間焼鈍を施した後、再度、板厚0.5mmまで冷間圧延し、その後1000℃×1分均熱・空冷の連続最終焼鈍を施すことにより,板厚0.5mmの冷延焼鈍板を得た。
なお、従来鋼であるSUS430LX鋼については、熱延板を950℃×1分均熱・水冷の熱延板焼鈍を行い、板厚1.5mmまでの冷間圧延、950℃×1分均熱・水冷の中間焼鈍、板厚0.5mmまでの冷間圧延および950℃×1分均熱・水冷の最終焼鈍を施した。
Figure 2005105355
最終焼鈍を終えた各冷延焼鈍板について、フェライト量,残留オーステナイト量および表面硬さを測定するとともに、曲げ性,耐食性並びに耐たわみ性を評価した。
フェライト量は、冷延焼鈍板を研磨後、フッ酸+硝酸+グリセリン溶液を用いて常温で15秒のエッチングを行い、光学顕微鏡を用いて400倍の倍率で10視野観察し、フェライト量をポイントカウント法により測定した。
残留オーステナイト量は振動試料型磁力計を用いて導出した。表面固さはビッカース硬さ計を用いて荷重10kgで測定した。
曲げ性は、タイヤリムを成形する加工を模して、曲げ半径が1mmの180度曲げを行うことにより評価した。
各鋼板とも、タイヤリム材を模擬した図1に示す形状の枠、およびフレーム材を模擬した直径30mmのステンレス鋼管を作製した。溶接はTIG溶接とし、電極;W(直径1.6mm),溶接電流密度;150A,トーチ移動速度;500mm/分,シールガス;Ar,流速;10L/分の条件で行った。溶接ビード部凸部をグラインダーで平滑化し、最終的に母材部と併せて、#400研磨で仕上げた。
母材および溶接部の耐食性は、JIS H8502に基づいたキャス試験により評価した。キャス試験は、溶液;pH3.0〜3.1の5%NaCl+0.26g/LCuCl2+酢酸溶液,試験時間;200時間,試験温度;35±2℃で行った。試験後に母材および溶接部の発銹の有無を調べた。
耐たわみ試験は、図2に示すように、タイヤリム材を模擬した形状のハーフサイズ形状枠試験片Rに荷重60kgのおもりWをのせる試験を行い、試験前のL方向における高さと、試験後荷重を除去した後の高さの差を永久ひずみとして評価した。
表2に各鋼板についての試験結果を示す。
なお、曲げ性は、曲げ試験で割れが生じなかったものを○、割れが発生したものを×で示した。キャス試験結果については、発銹が認められなかったものを○で、発銹があったものを×で示した。リム材の耐たわみ試験結果については、おもりを1時間乗せて、除荷した後の永久ひずみが1mm以下であったものを○、1mmを超えたものを×で示した。
Figure 2005105355
表2の結果に見られるように、本発明鋼では、母材硬さHV325以上を維持しつつ、リム材として良好な曲げ性・耐たわみ性を有し、しかもリム模擬の成形品およびフレーム模擬のステンレス鋼管はいずれもキャス試験で溶接部熱影響部,母材とも発銹が認められなかった。
これに対して、比較鋼のB1の冷延鋼板では残留オーステナイト量が本発明で規定される範囲を超えているために、硬さが本発明鋼よりも低く、耐たわみ性で劣っていた。B2はC含有量が本発明で規定される範囲を超えて多いために溶接部の耐食性が不良であった。Si含有量が少ないB3は、強度が低く耐たわみ性も劣っていた。逆にSi含有量が多いB4は高い強度は得られるものの、曲げ性および耐食性が充分ではなかった。
比較鋼のB5は、各合金成分含有量は本発明で規定される範囲内であるが、A値が規定値を超えているためにフェライト量が多くなり、曲げ性が不良であった。B5の冷延焼鈍板を細かく観察してみると、本発明で規定した量を超えるフェライト相が板厚方向に層状に生成していた。この多量の層状フェライト相が加工性に悪影響を及ぼしていたものと推測される。B含有量が少ないB6の冷延焼鈍板は曲げ性が不良であった。B6の鋼板の金属組織を観察すると、旧オーステナイト粒径は平均で25μmになっていた。他のステンレス鋼では平均で15μm以下であったことから、B6では最終焼鈍時にB系析出物によるピン止め効果がなく、他のステンレス鋼よりも粒成長しやすくなり、加工性を低下したものと考えられる。
一方、従来鋼は硬さがHV176と低く、耐たわみ性が不良であった。
タイヤリム模擬成形品形状を説明する断面図 耐たわみ試験方法の概略を説明する図

Claims (6)

  1. C:0.04質量%以下,Si:1.0〜3.0質量%,Mn:2.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜20.0質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.15質量%を含み、残部が実質的にFeからなる成分組成を有し、10体積%以下のフェライト相,25体積%以下の残留オーステナイト相および残部マルテンサイト相からなる複相組織を有することを特徴とする耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材。
  2. 成分組成が、さらにMo:3.0質量%を含むものである請求項1に記載の耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材。
  3. 成分組成が、下記(1)式で定義されるA値が−3.0以上に、下記(2)式で定義されるD値が80以上になるように調整されている請求項1または2記載の耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材。
    A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8
    ‥‥‥(1)
    D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311
    ‥‥‥(2)
  4. C:0.04質量%以下,Si:1.0〜3.0質量%,Mn:2.0質量%以下,Ni:2.0〜10.0質量%,Cr:13.0〜20.0質量%,N:0.04質量%以下,B:0.001〜0.15質量%を含み、残部が実質的にFeからなる成分組成を有し、10体積%以下のフェライト相,25体積%以下の残留オーステナイト相および残部マルテンサイト相からなる複相組織を有することを特徴とする耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用フレーム材。
  5. 成分組成が、さらにMo:3.0質量%を含むものである請求項4に記載の耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用フレーム材。
  6. 成分組成が、下記(1)式で定義されるA値が−3.0以上に、下記(2)式で定義されるD値が80以上になるように調整されている請求項3または4記載の耐食性および耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用フレーム材。
    A=30×(C%)-1.5×(Si%)+0.5×(Mn%)+(Ni%)-1.3×(Cr%)+30×(N%)-(Mo%)+11.8
    ‥‥‥(1)
    D=-1667×(C%)-28×(Si%)-33×(Mn%)-61×(Ni%)-42×(Cr%)-1667×(N%)-42×(Mo%)+1311
    ‥‥‥(2)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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