JP2007277729A - 高強度溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高強度溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形時に溶接部のHAZ部で破断することなく、単板と同じ成形性を有する高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する。
【解決手段】フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板において、化学成分として、C:0.04%〜0.25%、Si:0.7%以下、 Mn:1.4〜3.5%、Cr:0.05〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ複合組織を構成するフェライトと低温変態相の平均粒径が10μm以下である高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。さらに、Mo:0.05〜1%、V:0.02〜0.5%、Ti: 0.005〜0.05%、B:0.0002〜0.002%から選ばれる1種以上を含有することもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法に関するものである。
引張強度が440MPaを超える高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、その優れた防錆性と高い耐力を利点とし、建設部材、機械構造用部品、自動車の構造用部品などに広く適用されている。このため、高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に係る発明は非常に多く開示されている。特に、適用範囲が拡大する中で加工性に対する要求特性が高まっているため、例えば、特許文献1や特許文献2などのように、加工性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板に関する技術が数多く開示されている。
特許文献1に記載の技術は、Si-Mn-P系の熱延鋼板を酸洗し、連続溶融亜鉛メッキラインにてAc1点以上に加熱してからMs点以下に急冷して、部分的あるいは全部分マルテンサイトを生成させている。その後、溶融亜鉛浴及び合金化の際の温度により、マルテンサイトを焼戻すというものである。
特許文献2に記載の技術は、Mn-P-Nb(-Ti)系の熱延鋼板を、熱延後急冷して低温巻取りして溶融亜鉛メッキを行う。金属組織は、微細なフェライトマトリックスにパーライト又はセメンタイトが微細に分散した組織であり、比較的軟質なパーライトを微細に分散させることによって、伸びフランジ性を向上させるというものである。
しかし、製造ままの鋼板の加工性に対する要求特性が高まる一方で、適用技術の拡大に伴い、テーラードブランク材などのように、溶接部を含んだ状態で加工されることも多くなってきている。これは、自動車の構造用部品などに適用され、特に異種強度あるいは異板厚の材料を、レーザー溶接あるいはマッシュシーム溶接などの溶接法により接合して成形するもので、この接合素材はTWB(Tailored Welded Blank)と呼ばれている。
このように、テーラードブランク材(TWB)自体、あるいは、溶接部を含んだ構造部材の高速変形挙動に対する要求特性が厳しくなるなど、溶接部の特性が加工用素材に対する要求特性として着目されつつある。
特開平5-311244号公報 特開平7-54051号公報
しかしながら、上記の従来の加工性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、一般にその主たる強化機構がオーステナイト相の急冷により得られるマルテンサイトやベイナイトといった低温変態相を利用しているため、溶接時にHAZ(熱影響部)が軟化してしまうという大きな弱点が存在する。特許文献1および特許文献2等の従来技術においては、溶接時のHAZ軟化については触れられていない。
このような溶接時のHAZ軟化は、例えば、テーラードブランク材では成形性が劣化するばかりか、変形強度、破断強度、高速変形強度など構造部材としての性能をも劣化させる原因ともなる。構造部材の使用時における性能は、自動車等の安全性を左右しかねない要因ともなるものであり、構造部材用の材料に対しては、使用時の性能の向上が、車体の軽量化による燃費向上と共に、要請されている。
本発明は、上記社会ニーズを鑑み、TWB素材として使用され、成形時に溶接部のHAZ部で破断することなく、単板と同じ成形性を有する高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することを目的とする。
上記の課題は次の発明により解決される。
[1]フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板において、化学成分として、C:0.04%〜0.25%、Si:0.7%以下、Mn:1.4〜3.5%、Cr:0.05〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ複合組織を構成するフェライトと低温変態相の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
[2]前記[1]において、HAZ軟化特性に優れていることを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
[3]前記[1]又は[2]記載の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板において、化学成分としてさらにMo:0.05〜1%、V:0.02〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0002〜0.002%から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
[4]フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法において、前記[1]ないし[3]に記載された化学成分の鋼を、鋳造し、Ar3点以上の温度で仕上げ圧延後、800〜700℃の温度域を5℃/sec以上で冷却して450〜700℃で巻き取り、酸洗後の熱延鋼帯を、あるいはさらに20%以上の圧下率で冷間圧延した冷延鋼帯を、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて、760〜880℃で均熱した後、1℃/sec以上の冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却し、亜鉛メッキ、あるいはさらに合金化処理を行うことを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
これらの発明は、上記課題を解決するため、鋼成分と溶接結合材の成形性について鋭意検討の結果なされた。検討の結果、ある限定されたC、Si、Mn等の基本成分に適量のNbとCrを複合添加させた鋼を、適切な製造条件下において、平均粒径10μm以下のフェライトと低温変態相を主体とする組織に制御することにより、優れた溶接結合材の成形性が得られることが明らかとなった。本発明のポイントは、溶接時のHAZ軟化を抑制すると同時に、組織を均一微細化することにより、成形時に非常に硬質な溶接線に隣接したHAZ部分に応力集中しても、十分な成形性が確保できる点である。
本発明の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、C、Si、Mn等の基本成分に適量のNbとCrを複合添加させた鋼を、平均粒径10μm以下のフェライトと低温変態相を主体とする組織に制御することにより、HAZ軟化を抑制すると同時に十分な成形性の確保が可能である。その結果、本発明によれば、テーラードブランク材での成形性の劣化が小さい高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、特に自動車メーカーに提供することができるので、工業的価値は極めて高い。
以下に、具体的な化学成分、組織限定理由と本鋼板を得るための製造方法について説明する。
まず、化学成分の限定理由について述べる。
C:0.04%〜0.25%
Cは、所望の強度を確保するために必須の元素であり、そのためには0.04%以上必要である。一方、Cを0.25%を超えて添加すると低温変態相の体積率が増加しすぎて、低温変態相の結晶粒同士が連結しやすくなり、組織の微細分散が困難となる。従って、Cは、下限は強度を確保するため、上限は組織の微細分散を確保するため、0.04%〜0.25%の範囲内とする。
Si:0.7%以下
Siは、フェライト+マルテンサイト2相組織を安定して得るためには有効な添加元素であるが、添加量が0.7%を超えると亜鉛メッキの密着性や表面外観が著しく劣化する。従って、Siを0.7%以下とする。
Mn:1.4〜3.5%
MnはC同様、所望の強度を確保するために必須の元素である。所望の強度を得るため1.4%が下限として必要であるが、3.5%を超えて過剰に添加するとオーステナイトが安定化しすぎて、Cの過剰添加同様、低温変態相が微細分散されにくくなり、所望の効果が得られなくなる。従って、Mnを1.4〜3.5%の範囲内とする。
Cr:0.05〜1%
Crは、HAZ部の硬度低下を抑制するために必要な元素であり、少なくとも0.05%以上の添加が必要である。一方、Crを1%を超えて添加すると表面性状が劣化する。従って、Crを0.05〜1%の範囲内とする。
P:0.05%以下
PはSiと同様に、フェライト+マルテンサイト2相組織を安定して得るためには有効な添加元素であるが、添加量が0.05%を超えると溶接部の靭性が劣化する。従って、Pを0.05%以下とする。
S:0.01%以下
Sは不純物であり、含有量が高いとPと同様に溶接部の靭性が劣化する。このためSを0.01%以下とする。
sol.Al:0.05%以下
sol.Alは、通常の鋼に含有される量0.05%以下であれば本発明の効果を損なわない。従って、sol.Alを0.05%以下とする。
Nb:0.005〜0.1%
Nbは、本発明の特徴であるフェライト粒の微細化に必要な元素であり、そのためには少なくとも0.005%の添加が必要である。一方、0.1%を超えて過剰に添加しても、その効果が飽和するばかりか、かえって加工性を劣化させる。従って、Nbを0.005〜0.1%の範囲内とする。
N:0.007%以下
Nは、通常の鋼に含有される量0.007%以下であれば本発明の効果を損なわない。従って、Nを0.007%以下とする。
本発明では、上記元素の他に、さらにMo、V、Ti、Bから選ばれる1種以上の元素を含有させることができる。
Mo:0.05〜1%、V:0.02〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0002〜0.002%
これらの元素は、いずれもフェライト粒を微細化させて、本発明の効果を補助的に高めることができる。さらに、Mo、Vは鋼板の焼き入れ性を上昇させ、Tiは補助的に組織を微細化させ、また、Bはフェライトの析出を抑制して強度を上昇させる効果がある。それぞれの元素の下限は、所望の効果が得られる最低限の量であり、また、上限は、効果が飽和する量である。
上記元素以外の残部はFeおよび不可避不純物とする。
フェライトおよび低温変態相の平均粒径:10μm以下
フェライトおよび低温変態相の平均粒径を10μm以下に微細にすることにより、良好な成形性が得られる。従って、フェライトおよび低温変態相の平均粒径を10μm以下とする。
製造方法の発明は、フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法において、前述の発明の化学成分の鋼を、鋳造後、Ar3点以上の温度で仕上げ圧延後、800〜700℃の温度域を5℃/sec以上で冷却して450〜700℃で巻き取り熱延鋼帯とし、酸洗後、あるいはさらに20%以上の圧下率で冷間圧延した後、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて、760〜880℃で均熱した後、1℃/sec以上の冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却し、亜鉛メッキ、あるいはさらに合金化処理を行うことを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法である。
この発明は、前述の発明の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板を製造するための方法である。以下、個々の製造工程について説明する。
発明の実施に当たっては、造塊あるいは連続鋳造等のスラブ製造方法によりスラブを鋳造後、通常の熱延方法、あるいは粗熱延バー接続による連続熱延、インダクションヒーターによる昇温等を含む種々の方法で熱延を行う。これらの造塊あるいは連続鋳造によるスラブ製造法や、熱延での粗熱延バー接続による連続熱延、また、熱延過程でのインダクションヒーターを利用した200℃以内の昇温なども、本発明の効果に対して影響を及ぼさない。
仕上圧延温度:Ar3点以上
仕上圧延温度がAr3点未満になると、フェライトが生成し、その加工歪による粗大化等により、組織が不均一となる。従って、仕上圧延温度をAr3点以上とする。その他特に規定していないが、熱延終了後に1秒以内に100〜300℃/secといった大冷却を活用することは、組織微細化の上で好ましい。これにさらに仕上げ熱延大圧下を組み合わせるなど、熱延板粒径を小さくする限りは、本発明の効果を阻害しない。
圧延後の冷却条件:800〜700℃の温度域を冷却速度5℃/sec以上
本発明の化学成分の鋼では、この温度域においてフェライトが析出するが、特に800〜700℃の温度域で5℃/sec未満の冷却では、フェライトが粗大に析出して組織が不均一となる。従って、圧延後の冷却条件については、800〜700℃の温度域を5℃/sec以上の冷却速度とする。
巻き取り温度:450〜700℃
その後、450〜700℃で巻き取り熱延鋼帯とする。巻き取り温度は、NbCの析出に著しく影響を及ぼすため、確実に制御し、熱延板段階でNbCを微細に分散析出させておく必要がある。巻き取り温度が450℃未満では、NbCの析出が不十分となる。一方、巻き取り温度が700℃超では、NbCが粗大に析出して、熱延板段階でNbCを微細に分散析出させることができなくなる。従って、巻き取り温度を450〜700℃の範囲内とする。
この後、酸洗して、あるいは、さらに冷間圧延した後、連続溶融亜鉛メッキラインにおいてめっきを施す。
冷間圧延の圧下率:冷間圧延する場合20%以上
連続溶融亜鉛メッキラインにおいてめっきを施す前に冷間圧延する場合は、圧下率が20%未満では、焼鈍の際に歪粒成長が起こり、かえって組織が粗大となる。従って、冷間圧延する場合は圧下率を20%以上とする。また、めっき前のNi等のプレメッキ、表面研削など、鋼板材質を変化させない処理を施すことは、本発明の効果を何ら損なわない。
均熱温度(加熱温度):760〜880℃
連続溶融亜鉛メッキラインにおける均熱温度が760℃未満では、十分な体積率のオーステナイト相が得られず、所望の効果(組織)が得られなくなる。一方、880℃を超えて均熱すると組織が粗大化するので、やはり所望の効果(組織)が得られなくなる。従って、連続溶融亜鉛メッキラインにおける均熱温度(加熱温度)を760〜880℃の範囲内とする。
均熱後の冷却条件:600℃以下の温度まで冷却速度1℃/sec以上
均熱後の冷却速度が1℃/sec未満では、フェライトが粗大に析出し、また、低温変態相が生成しなくなり、所望の効果(組織)が得られなくなる。また、冷却速度が1℃/sec以上であっても、600℃まで到達する前に、冷却速度が1℃/sec未満となると、やはりフェライトの粗大析出や低温変態相の減少・消滅が起こり、所望の効果(組織)が得られなくなる。従って、均熱後の冷却条件を、600℃以下の温度まで1℃/sec以上の冷却速度とする。
このようにして、600℃以下の温度域まで冷却した後は、亜鉛メッキ、あるいはさらに合金化処理を行う。溶融亜鉛めっき後についても、表層電気めっきや化成皮膜の塗布など、鋼板材質を変化させない処理を施すことは、本発明の効果を何ら損なわない。
このようにして製造された本発明の溶融亜鉛めっき鋼板において、組織が均一微細化されるのは、上述したNbの添加が、同時に組織の微細化にも有効となるためと考えられる。ただし、仕上げ熱延後のフェライト析出温度域の冷却速度を十分にとってフェライトの粗大析出を抑制し、かつ、巻き取り温度をNbCが析出するよう適正化する必要がある。
次に、組織の限定理由について若干の補足を加える。本発明では、組織を平均粒径10μm以下のフェライトと低温変態相を主体として構成させる。フェライトおよび低温変態相の平均粒径を10μm以下とさせるのは、前述したように、組織を均一微細化することにより、成形時に非常に硬質な溶接線に隣接したHAZ部分に応力集中しても、十分な成形性を確保させるためである。
HAZ軟化抑制については次のように考えられる。すなわち、転位密度の高いマルテンサイトあるいはベイナイトを硬質相とし、Crによる2次析出強化とNbCの微細析出による転位回復の抑制を利用することで、短時間での昇温でも硬質相の強度低下が下げられる。この結果、HAZ部の硬度低下を抑制できる。
また、低温変態相を含有させるのは、転位密度の高いマルテンサイトあるいはベイナイトを硬質相とすることで、Crによる2次析出強化とNbCの微細析出による転位回復の抑制を利用して、短時間での昇温でも硬質相の強度低下が下げられるためである。
本発明の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板は、フェライトと低温変態相等の複合組織からなり、フェライトと低温変態相を主体としている。従って、低温変態相以外の組織が多少含まれていてもよいが、パーライトについては、体積率で10%以上を超えて多量に析出した組織だと、上記のHAZ軟化防止の原理が活用できないばかりか、成形性自体が劣化するので好ましくない。
また、残留オーステナイトについても、含有率が大きくなると溶接時の熱影響によりフェライトと炭化物に分解して軟化の原因になってしまう。このため、残留オーステナイトの含有率は10%以下とすることが望ましい。
以下に本発明による効果を具体的に示す。
まず、表1に成分を示す本発明成分鋼A〜Rと比較成分鋼a〜kを転炉で出鋼し、連続鋳造によりスラブとした。これらのスラブを表2に示す条件で熱延鋼帯とし、酸洗後、冷延率65%で冷間圧延して、メッキ下地を準備した。続いて、連続溶融亜鉛メッキラインにて、表2に示す条件で溶融亜鉛メッキもしくは合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造した。なお、表2に示した以外の製造条件についても、いずれも本発明の製造条件の範囲内である。
Figure 2007277729
Figure 2007277729
これらの鋼板の組織を解析した結果と、特性についても、表2に併せて示している。残留オーステナイトはX線により定量化している。TWB特性については、レーザーで突合わせ溶接した材料をエリクセン試験して、溶接しない場合の成形高さと溶接材料の成形高さとの差、および破断位置により評価した。溶接は、下記に示す条件で行った。
レーザ機種:炭酸ガスレーザ
波長:10.6μm
ビームモード:リングモードM=2
レーザ集光系:ZnSe製レンズ
焦点距離:254mm出力:4kW
溶接速度:4m/min
シールドガス:アルゴン20リットル/min。
次に、本発明成分鋼C,I,JおよびQと比較成分鋼dを転炉で出鋼し、種々の製造条件、即ち本発明法およびこれらからはずれる製造条件で製造した。表3に、これらの製造条件と、得られた鋼板について上記の試験を行った結果をまとめて示す。
Figure 2007277729
この表3より、フェライト粒径および第2相粒径が本発明の範囲内である本発明例では、エリクセン高さの溶接の有無による差が小さい、即ち高いΔh(母材と溶接材のエリクセン高さの差)を示している。一方、上記粒径が本発明の範囲外の比較例では、Δhが低い。また、比較例においては、破断位置がHAZ部であり、後述のようにHAZ軟化が発生していることが推定される。
図1は、表2と表3に示した鋼のΔh(母材と溶接材のエリクセン高さの差)を、フェライト粒径で整理した図である。本図から明らかなように、本発明成分鋼を適切な条件で製造して、フェライト粒径および低温変態相の粒径を10μm以下とすることで、HAZ部での破断もなくΔhが2mm以下となり、高強度とともに良好なTWB特性が得られていることがわかる。なお、本発明鋼の組織は、SEM像で見ると、粒径3μm程度のフェライトとマルテンサイトが微細に分散した組織となっている。
一方、化学成分が本発明範囲であっても、組織が適切でない場合、Δhは2mmを超えており、また、破断もHAZで生じてTWB特性が劣化しているのがわかる。成分が適切でない比較成分鋼については、組織を適切化してもTWB特性は改善されていない。
図2は、表2中の本発明鋼板17(鋼種Q)(図a)と比較鋼板28(鋼種j)(図b)のレーザー溶接部断面の硬度分布を示している。本図から、鋼成分と組織を本発明範囲に制御することで、HAZ軟化が著しく抑制されていることがわかる。
母材と溶接材とのエリクセン高さとの差Δhを、フェライト粒径で整理した図である。(実施例1および2) レーザー溶接部断面の硬度分布を示す図である。(実施例1)

Claims (4)

  1. フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板において、化学成分として、C:0.04%〜0.25%、Si:0.7%以下、 Mn:1.4〜3.5%、Cr:0.05〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ複合組織を構成するフェライトと低温変態相の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
  2. HAZ軟化特性に優れていることを特徴とする請求項1記載の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
  3. 請求項1又は請求項2記載の高強度溶融亜鉛メッキ鋼板において、化学成分としてさらにMo:0.05〜1%、V:0.02〜0.5%、Ti: 0.005〜0.05%、B:0.0002〜0.002%から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板。
  4. フェライトと低温変態相等の複合組織からなる高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法において、請求項1ないし請求項3に記載された化学成分の鋼を、鋳造し、Ar3点 以上の温度で仕上げ圧延後、800〜700℃の温度域を5℃/sec以上で冷却して450〜700℃で巻き取り、酸洗後の熱延鋼帯を、あるいはさらに 20%以上の圧下率で冷間圧延した冷延鋼帯を、連続溶融亜鉛メッキラインにおいて、760〜880℃で均熱した後、1℃/sec以上の冷却速度で600℃ 以下の温度域まで冷却し、亜鉛メッキ、あるいはさらに合金化処理を行うことを特徴とする高強度溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
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