JP2005344162A - メッキ用バレル - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸回りに回転するバレル内で転動する被メッキ物のバレル内で引っ掛かりをなくしてメッキ不良を減少させる。
【解決手段】 多孔壁9で略多角筒状に形成されていて内部に被メッキ物を収納可能なバレル本体2と、このバレル本体2の軸方向一端部を閉鎖する端部材3と、バレル本体2の軸方向他端部に設けた開口部4を有する開口枠体5と、この開口枠体5の開口部4を開閉する施蓋具とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、極小電子部品等の被メッキ物を電気メッキするためのメッキ用バレルに関する。
この種の従来技術においては、電子部品等の小部品を電気メッキする電解メッキ装置は、被メッキ物を六角筒状のバレルに収納し、このバレルをメッキ槽内の電解メッキ液中に浸漬し、メッキ液中に陽極を、バレル内に陰極をそれぞれ設け、前記バレルを軸回りに回転させて、被メッキ物を前記バレル内で転動させながらメッキするようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなバレルは、5面を形成する多孔壁を矩形に枠組される枠体と、1面に閉塞される開口部とからなり、絶縁可能でかつメッキ液で変質しない合成樹脂で形成している。この開口部から被メッキ物を出し入れする。
特開平8−176897号公報(第3−4頁、第1図)
最近、メッキする電子部品は極小化されてきており、厚み0.1mm以下という極薄板材を加工した部品も多数有り、そのような極小部品は前記従来技術のバレルを使用すると、被メッキ物の転動する位置に開口部とそれを閉鎖する蓋体とがあるため、それらの間の小隙間に被メッキ物が入り込むことがあり、メッキ不良の発生原因となっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたメッキ用バレルを提供することを目的とする。
本発明は、バレル本体の軸方向他端部の開口枠体に開口部を設けることにより、前記軸回りに回転するバレル内で被メッキ物を転動させても被メッキ物が前記開口部に触れる機会が少なく、かつ開口枠体の開口部を閉鎖する施蓋具を有することにより前記小隙間が発生しないメッキ用バレルを提供することを目的とする。
本発明メッキ用バレルにおける課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、多孔壁で略多角筒状に形成されていて内部に被メッキ物を収納可能なバレル本体と、このバレル本体の軸方向一端部を閉鎖する端部材と、バレル本体の軸方向他端部に設けた開口部を有する開口枠体と、この開口枠体の開口部を開閉する施蓋具とを有することである。これによって、被メッキ物を出し入れすべき開口部をバレル本体の軸方向他端部に設けて、軸回りに回転するバレル内に転動する被メッキ物が開口部に触れる機会が少なく、開口部とそれを閉鎖する蓋体との小隙間がなく、従って被メッキ物が小隙間に入り込むことによるメッキ不良をなくすことを可能にする。
第2に、第1の具体的手段に加えて、前記施蓋具は、開口部の縁に傾斜面を押し付けて開口部を閉鎖する蓋体と、周囲部に設けた係合部を開口枠体に係脱自在に係合して蓋体をバレル本体側に押圧して離脱を阻止する押圧板とを有することである。これにより、開口部を閉鎖する蓋体をバレル本体側に押圧板を押圧してその離脱を阻止することにより、開口部とそれを閉鎖する蓋体との小隙間の発生をなくし、被メッキ物が小隙間に入り込む可能性をなくすることができる。
第3に、押圧板を蓋体から弾力的に離隔して蓋体にバレル本体側への押圧力を与える弾圧手段を設けていることである。これにより、蓋体をバレル本体側に弾力的に押圧して、回転するバレルのような動的状況下でもその離脱を永続的に阻止可能にすることができる。
第4に、前記開口枠体の開口部縁を円形の外広がりテーパ面に形成し、前記蓋体の傾斜面を開口部縁に密接するテーパ面に形成し、前記弾圧手段を蓋体に回転自在に係合されかつ押圧板に螺合されたネジ部材で形成していることである。これにより、弾圧手段にネジ部材を用いて簡単かつ堅牢に構成することが可能になる。
第5に、前記端部材にバレル支持具に回転自在に支持される軸部と駆動力が伝達されるギヤ部とそれらの軸心を通る電極挿入孔とを設け、前記開口枠体はバレル支持具に回転自在に支持される軸部を有し、前記施蓋具は軸心を通る電極挿入孔を有することである。これにより、従来のメッキ装置、特に挿入される電極等をそのまま使用できるので、従来の設備をそのまま利用でき、余分な設備投資を要せず、安価に実施することが可能になる。
第6に、バレル本体の周囲部に内方突出状の電極を設け、前記端部材にバレル支持具に回転自在に支持される軸受と駆動力が伝達されるギヤ部と前記電極に連結される導電体とを設け、前記開口枠体はバレル支持具に回転自在に支持される軸部を有し、前記施蓋具は盲蓋構造であることである。これにより、電気メッキ時において被メッキ物が極小電子部品であっても、むらなく電気を供給し均一にメッキを施すことが可能になる。
本発明によれば、軸回りに回転するバレル内で転動する被メッキ物の開口部に触れる機会を少なくでき、かつ開口部とそれを閉鎖する蓋体との小隙間を可及的になくすことができ、それらによって被メッキ物がその小隙間に入り込むことがなく、したがってメッキ不良をなくすことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4に示す第1の実施の形態において、バレル1は、6面からなる略多角筒状のバレル本体2と、このバレル本体2の軸方向一端部を閉鎖する端部材3と、軸方向他端部に設けられていて開口部4を有する開口枠体5と、開口部4を開閉する施蓋具6とを有しており、全部材は絶縁可能で、かつメッキ液で変質せず適宜溶接による接合可能な合成樹脂で形成されている。
このバレル1は、バレル本体2内に陰極を設けると共に開口部4から極小電子部品を収納し、メッキ槽内の陽極を配置したメッキ液内に浸漬して、横軸回りに回転させながら電気メッキ作業をする。
バレル本体2は、6枚の平坦な板材7を6面とする六角形になるように互いに側縁を接合し、その接合した側縁に軸方向(長手方向)に延びる横部材8を設けており、それらの軸方向両端に端部材3と開口枠体5を接合している。
前記バレル本体2の側面を構成している板材7は、メッキ液が流動可能な複数の孔が形成されていて多孔壁9を構成している。
なお、バレル本体2は、6枚の板材7で六角形に形成しているが、1枚の長尺板材を六角形となるように同一方向に屈曲して形成してもよく、また、六角形以外の多角形に形成してもよい。
前記端部材3並びに開口枠体5は、バレル支持具に回転自在に支持されるための軸部3a、5aを備えている。端部材3はギヤ部3cを有していてモータ55(図8)からギヤ伝動手段を介して回転動力が伝達可能になっている。そして、軸部3aには、軸心を通る電極挿入孔3bを有しており、電極挿入孔3bから陰極3dを挿入する。
開口枠体5は、縁4aを有する円形の開口部4と、後述する押圧板20の3箇所の係合部21が係合される係合溝5c及び係止部5dとが形成されている。開口部4の縁4aは、円形の外広がりのテーパ面に形成されている。
前記係合溝5cは開口部4の中心から見て略L字形状であり、押圧板20の係合部21を軸内方向に入れた後に周方向に回動することができ、係合部21を回動した状態で軸外方向へ離脱することを係止部5dが阻止するようになっている。
施蓋具6は、開口部4を開閉する円形状の蓋体10と、この蓋体10をバレル本体2側に押圧してバレル本体2からの離脱を阻止する押圧板20とを有し、蓋体10と押圧板20との間に押圧板20を蓋体10から弾力的に離隔して蓋体10にバレル本体2側への押圧力を与える弾圧手段40とを有して、ひとつのアッセンブリとして組立てられかつ扱われる。
蓋体10には、開口部4の縁4aに押し付けて開口部4を閉鎖するための傾斜面11と、弾圧手段40を形成するネジ部材30のための係合孔12と、中心位置に陰極14挿入のための電極挿入孔13とが形成され、前記係合孔12は、中心位置から外方向であって周方向等間隔に3箇所設けられている。この係合孔12は、直径の小さい小部分16と、バレル本体2側に直径が大きい拡大部分15とからなり、その間には段差17が生じている。
押圧板20は、開口枠体5に係脱自在に係合する係合部21と、弾圧手段40を形成するネジ部材30のための螺合孔22と、中心位置に電極挿入孔23とが設けられている。係合部21は、押圧板20の円板周囲部に径外方向に突出しかつ周方向等間隔で3箇所設けられている。
図2は、施蓋具6である押圧板20及び蓋体10と開口枠体5を備えたバレル本体2とを展開して示している。開口部4に挿入したとき軸外方向となる蓋体10の外面18(図3)と押圧体20の面とが接する向きに、蓋体10と押圧体20とを重ね合わせる。その際に、蓋体10の係合孔12と押圧板20の螺合孔22の相互の位置を合わせる。そして、蓋体10の内面18aの開放された係合孔12に、ネジ部材30を挿入して押圧板20の螺合孔22に螺合させる。
ネジ部材30の頭部33が前記蓋体10の係合孔12の段差17に接触する程度までネジ部材30を挿入してから、蓋体10の係合孔12を封鎖部材19で封鎖して溶着する。その後、ネジ部材30の先端にツマミ31を螺合して止めピン32で固定しておく。
施蓋具6による開口部4の閉鎖は、押圧板20の係合部21を開口枠体5の係合溝5cに合わせ、蓋体10を開口部4に挿入し、開口部4のテーパ状の縁4aと蓋体10の傾斜面11とを密着させる。その後に施蓋具6を若干回動させて係合部21を係止部5dに入れて、押圧板20が軸外方向へ離脱しないようにする。
図4において、ツマミ31を回転させて、蓋体10の外面18に近接していた押圧板20を蓋体10から隔離するように弾性変形させ、その押圧板20の弾性復元力によって蓋体10にバレル本体2側に押圧する力を加える。その際に、ネジ部材30の頭部33は封鎖部材19に密着して支えられる。前記押圧板20の湾曲による弾性的な押圧力は、常に蓋体10にかかる。
押圧力による蓋体10の傾斜面11と開口枠体5の開口部4のテーパ面とは、テーパ面同志として離れることなく押圧力により密着して形成され、従って被メッキ物が入り込むような小隙間が発生することはない。
図5〜9に示す第2の実施の形態において、施蓋具6を構成する蓋体10には、対称位置に2つのネジ孔41を設け、弾圧手段40のための係合凹部51を中心位置に設けている。電極挿入孔は設けていない。
押圧板20には、蓋体10の前記ネジ孔41に螺合する止めネジ52が挿通される円弧溝42を2箇所設け、また、蓋体10の係合凹部51に対応して押圧板20の中心位置にネジ部材30が螺合する螺合孔22を設けている。この第2実施形態の施蓋具6は蓋体10の外面18に押圧体20を面接して重ね合わせ、円弧溝42から止めネジ52を挿入してネジ孔41に螺合し、蓋体10と押圧板20とを結合し、ネジ部材30を螺合孔22に螺合して、その先端を係合凹部51に当接係合させ、これによりひとつの組立物としておく。
蓋体10による開口部4の閉鎖は、施蓋具6を開口部4に挿入し、蓋体10の傾斜面11を開口部4の縁4aに当接した後、蓋体10に対して押圧板20を円弧溝42の範囲内で回動させて係合部21を係止部5dに係合し、その後にネジ部材30を回動して押圧板20の変形で蓋体10を開口部4に押圧する。この第2実施形態の施蓋具6は前記第1実施形態と同様に施蓋できる上に中央1箇所のネジ部材30で大きな弾圧力を発生できる。そして、押圧力による蓋体10の傾斜面11と開口枠体5の開口部4のテーパ面とは、テーパ面同志として離れることなく形成され、従って被メッキ物が入り込むような小隙間が発生することはない。
図5においてバレル本体2の角部及び側部には導電体53、46が埋設され角部の導電体53からバレル本体2内へ軸方向複数本の電極44が突設されている。バレル本体2の軸方向一端部を閉鎖する端部材、軸受部材、バレル支持具50の側面にも真鍮製の導電体46が使用されまた設けられており、バレル支持具50の外側面の導電体46が給電装置と結線されている。前記バレル支持具50は、バレル本体2を回転自在に支持し、モータ55からギヤ伝動手段56を介してバレル本体2のギヤ部3cへ回転動力を伝達するようになっており、また、このバレル支持具50はコンベアに連結されていて、バレル1をメッキ液に浸漬しながら搬送可能になっている。
前述した本発明によれば、バレル1を浸漬する電気メッキ液温度と大気中での被メッキ物の出し入れのための大気温度との温度差によるバレル1の熱膨張・収縮、バレル1が軸回りに、すなわち軸方向に直角に、回転することによるバレル1の動的変形、並びに上記両者の重複等のメッキ操業による微少なバレル変形が生じても、弾性的に蓋体10を押圧し蓋体10の傾斜面11と開口部4のテーパ面とがテーパ面同志として離れることなく維持形成されることにより、極小の被メッキ物に対してもメッキ不良が発生することがない。
特に、本発明のように、軸方向他端部に設けられた開口部4を有して、軸回りに回転するバレル1内で被メッキ物を転動させた場合には、被メッキ物はバレル1の外周内面の沿って転動し、開口部4方向には転動しにくい。小隙間が発生する心配のある開口部4近傍には被メッキ物が到着しにくい。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜9に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、本発明は被メッキ物を極小にした場合に有効であるほか、形状が複雑で、コーナー部がメッキし難いような物に対しても良好なメッキ物を得ることが出来る。
本発明の第1の実施の形態のバレルの一端断面正面図である。 第1の実施の形態のバレル及び施蓋具の展開図である。 施蓋したバレルの側面図である。 施蓋具の断面拡大図である。 本発明の第2の実施の形態のバレルの一部断面正面図である。 図5のX矢視図である。 第2の実施の形態のバレル及び施蓋具の展開図である。 メッキ装置の全体正面図である。 メッキ装置の全体側面図である。
符号の説明
1 バレル
2 バレル本体
3 端部材
3a 軸部
3b 電極挿入孔
3c ギヤ部
4 開口部
4a 縁
5 開口枠体
5a 軸部
5b 電極挿入孔
6 施蓋具
9 多孔壁
10 蓋体
11 傾斜面
20 押圧板
21 係合部
30 ネジ部材
40 弾圧手段
44 電極
46 導電体
50 バレル支持具

Claims (6)

  1. 多孔壁で略多角筒状に形成されていて内部に被メッキ物を収納可能なバレル本体と、このバレル本体の軸方向一端部を閉鎖する端部材と、バレル本体の軸方向他端部に設けた開口部を有する開口枠体と、この開口枠体の開口部を開閉する施蓋具とを有することを特徴とするメッキ用バレル。
  2. 前記施蓋具は、開口部の縁に傾斜面を押し付けて開口部を閉鎖する蓋体と、周囲部に設
    けた係合部を開口枠体に係脱自在に係合して蓋体をバレル本体側に押圧して離脱を阻止する押圧板とを有することを特徴とする請求項1に記載のメッキ用バレル。
  3. 前記施蓋具は、蓋体と押圧板との間に、押圧板を蓋体から弾力的に離隔して蓋体にバレル本体側への押圧力を与える弾圧手段を設けていることを特徴とする請求項2に記載のメッキ用バレル。
  4. 前記開口枠体の開口部縁を円形の外広がりテーパ面に形成し、前記蓋体の傾斜面を開口部縁に密接するテーパ面に形成し、前記弾圧手段を蓋体に回転自在に係合されかつ押圧板に螺合されたネジ部材で形成していることを特徴とする請求項3に記載のメッキ用バレル。
  5. 前記端部材にバレル支持具に回転自在に支持される軸部と駆動力が伝達されるギヤ部とそれらの軸心を通る電極挿入孔とを設け、前記開口枠体はバレル支持具に回転自在に支持される軸部を有し、前記施蓋具は軸心を通る電極挿入孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッキ用バレル。
  6. バレル本体の周囲部に内方突出状の電極を設け、前記端部材にバレル支持具に回転自在に支持される軸受と駆動力が伝達されるギヤ部と前記電極に連結される導電体とを設け、前記開口枠体はバレル支持具に回転自在に支持される軸部を有し、前記施蓋具は盲蓋構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッキ用バレル。
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