JP2005343260A - 車両用操舵支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 路面カントによる横加速度の影響を抑制し、車両の横方向の操縦安定性を向上させた車両用操舵支援装置を提供する。
【解決手段】 車両1の前方進路の画像をCCDカメラ8により取得し、画像処理部9で各種道路パラメータ、車両の姿勢等を画像処理により求め、ECU2により、走行レーンに沿った走行を支援する操舵アシストトルクを求めてモータドライバ14により、モータ15を駆動して操舵アシストトルクを付与する。このとき、走行レーン中の目標位置からのずれ量であるレーンオフセットD’を求め、これを積分手段23により積分して、求めた積分項とレーンオフセットD'に基づいてオフセット補償のためのヨーレートωを算出する。積分手段23は、道路パラメータ(例えばカーブ半径R)を基にして、第1の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態からこれより小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定した場合に、積分項をリセットする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、走行レーンに沿った走行を支援するため、適切な操舵アシストトルクを付与する車両用操舵支援装置に関する。
走行レーンに沿った車両の走行を支援する車両用操舵支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この支援装置では、まず、CCDカメラなどを利用して自車両が走行するレーンの画像を取得する。取得した画像から画像認識処理によって走行レーンを区画する道路区画線(白線)を検出することで、自車両が走行すべき走行レーン情報を取得する。取得した走行レーン情報を基に、操舵に必要な操舵トルクを求めて、適切な操舵アシストトルクを付与することで、運転者の操舵を支援する。
特許文献1の技術では、走行レーンの曲率、車両中心線と走行路中心線との横ずれ量であるレーンオフセット、走行路中心線と車両中心線のなす角度である偏向角の微分値を用いて操舵アシストトルクを算出することで、適正なアシストトルクを算出することができると記載されている。
特開2001−10518号公報
高速道路等のカーブ区間においては、路面はカーブの中心方向に傾斜させて配置される。このカーブ路面の傾斜(路面カント)の影響で、車両にはカーブの中心方向へと向かう力(横加速度)が作用する。しかしながら、特許文献1の技術では、このような外乱の影響を考慮していないため、過大な横加速度が発生して、カーブ走行時の車両の安定性が低下してしまう可能性がある。
そこで本発明は、路面カントによる横加速度の影響を抑制し、車両の横方向の操縦安定性を向上させた車両用操舵支援装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る車両用操舵支援装置は、自車両の進路方向の画像を取得する手段と、取得した画像から走行レーンを認識する手段と、走行レーン中の目標位置からのずれ量であるレーンオフセットを演算する手段と、このレーンオフセットの積分項を求める手段と、求めたレーンオフセットとその積分項を用いて操舵系に付与するアシストトルクを演算する手段と、算出したアシストトルクを操舵系に付与する手段とを備える車両用操舵支援装置において、走行レーンのカーブ状態が、第1の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態からこれより小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定した場合に、このレーンオフセットの積分項をリセットする手段をさらに備えていることを特徴とする。
あるいは、走行レーンのカーブ状態が、第2の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態から、第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定した場合に、このレーンオフセットの積分項をリセットしてもよい。このとき、第2の曲率は、第1の曲率より大きく設定される。
アシストトルクを演算する際に、現在のレーンオフセット量に加えてレーンオフセットの積分値を用いることで、路面カントによる横加速度の影響が過大になるのを抑制する。その一方、カーブの出口では路面カントは消えるが、レーンオフセットの積分項の値が残存し、これに基づく過大な目標横加速度、操舵トルクを招き、低周波の振動的な応答を発生させる可能性がある。そこで、本発明では、カーブ状態が、第1の曲率より小さい曲率を有するカーブ状態に移行するカーブ出口付近で積分項をリセットすることで、積分項が残存することによる車線追従性の低下を抑制する。なお、第1の曲率より小さい曲率を有するカーブ状態に移行した場合とは、カーブ状態から直線状態へ移行する場合のほか、右方向への旋回状態から左方向への旋回状態へと切り替わる(その逆も同様。)場合(実際には、その少し前)をも含んでいる。
このリセット手段は、走行レーンのカーブ状態が前記第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態となる条件が所定時間以上継続した場合に、第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定するとよい。
カーブ状態の判定は画像認識結果により行っており、走行レーンの形状パラメータ(カーブ曲率)自体に誤差が含まれうる。そのため、ある時刻で第1の曲率より小さい曲率を有するカーブ状態に移行した場合であっても、それが形状パラメータの誤検出による場合もありうる。この場合には、リセット動作等を行うと、むしろ、車線追従性が低下する可能性がある。そのため、一定時間の継続を条件としてリセット動作を行う。同様に、ある時刻でカーブ曲率が第1の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態に移行した場合であっても、それが形状パラメータの誤検出による場合もありうるから、第1の曲率より大きな第2の曲率を有するカーブ状態に移行してから、第1の曲率を下回る曲率を有するカーブ状態に移行した場合にのみ積分項をリセットすることで車両挙動の安定性向上を図る。
なお、所定の曲率を有するカーブ状態であるか否かの判定は、道路曲率により判定するほかに、道路半径、目標から所定位置離れた位置における道路中心の横ずれ量等によっても判定することができる。
本発明によれば、カーブ走行中の路面カントによる横加速度の影響を抑制することができるとともに、カーブ出口移行におけるレーンオフセットの積分項による不要な横加速度の発生も抑制することができるため、低周波の振動的な応答を抑制して、車両挙動を安定的に制御することができる。
また、カーブ状態の判定を上述したように行うことで、レーンオフセット値が振動的に変化している場合に、レーンオフセットの積分値を頻繁にリセットすることがなく、その結果、車両挙動を安定的に制御することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
本発明に係る車両用操舵支援装置の一実施形態について以下に説明する。本実施形態の車両用操舵支援装置を備えた車両1の構成図を図1に示す。車両1は、電子制御ユニット(ECU:Electrical Contorol Unit)2を備えており、ECU2によって車両挙動制御(車線維持制御)が実行される。図1に示されるように、車両1は、ステアリングホイール3を備えている。ステアリングホイール3は、車両1の車室内に配設されており、運転者によって操作されることで転舵輪(ここでは左右前輪FR,FL)を転舵させる。ステアリングホイール3は、ステアリングシャフト4の一端に固定されている。ステアリングシャフト4は、ステアリングホイール3の回転に伴って回転する。
ステアリングシャフト4の他端には、ステアリングギヤボックス5を介してラックバー6が連結されている。ステアリングギヤボックス5は、ステアリングシャフト4の回転運動をラックバー6の軸方向への直進運動に変換する機能を有している。ラックバー6の両端は、ナックルアーム7を介して車輪FL,FRの各ハブキャリアに連結されている。このように構成されているため、車輪FL,FRは、ステアリングホイール3が回転されると、ステアリングシャフト4やステアリングギヤボックス5(ラックバー6)を介して転舵される。
また、前方を撮像するCCDカメラ8が、ルームミラーに内蔵されている(図2参照)。CCDカメラ8は、車両1のフロントウィンドウ30越しに前方の所定領域内の周辺状況を撮影する。具体的には、道路50の車両1が走行している走行レーン51の周囲の状況の動画像を撮影する。このCCDカメラ8には、画像処理部9が接続されている。CCDカメラ8が撮影した周辺状況の画像データは、画像処理部9に供給される。画像処理部9は、CCDカメラ8による画像データを画像処理し、車両1が走行する道路上に描かれた道路区画線(以下、白線と称する。)などを基に走行レーン(走行経路=車線)を検出する。撮像した画像や映像内では、路面とその上に描かれた白線との輝度差が大きいことから、走行レーンを区画する白線はエッジ検出等によって比較的検出しやすく、車両前方の車線を検出するのに都合がいい。
画像処理部9は、上述したECU2に接続されている。画像処理部9は、検出した車線に基づいて、図3に示されるように、前方走行経路のカーブ曲率(χ=1/R)や、車線に対する車両1のオフセットD(車両の前後方向の中心軸1aと走行レーン51の中心線51cの車両重心位置における接線51aとの横ずれ量に相当する。)及びヨー角θ(車両の前後方向の中心軸1aと走行レーン51の中心線51cの車両重心位置における接線51aとのなす角度に相当する。)を演算によって検出し、結果をECU2に送出する。なお、カーブ曲率、オフセットD、ヨー角θはいずれも正負いずれの値も取ることがあり、符号は方向、向きを示す。画像に基づいて、前方走行経路の各種情報量(カーブ曲率χや自車のオフセットD・ヨー角θ)を検出する方法は、公知の方法を用いることができる。
ECU2には、舵角センサ10及び車速センサ11も接続されている。舵角センサ10は、ステアリングホイール3の操舵角に応じた信号を出力する。また、車速センサ11は、各車輪に取り付けられた車輪速センサであり車両1の速度に応じた周期でパルス信号を発生する。車速センサ11は、車速検出手段として機能している。なお、車速検出手段として車体前後加速度を検出するセンサを取り付け、この出力を時間積分することで車速を得るようにすることも可能である。舵角センサ10の出力信号および車速センサ11の出力信号は、それぞれECU2に供給されている。ECU2は、舵角センサ10の出力信号に基づいてステア角を検出すると共に、車速センサ11の出力信号に基づいて車速を検出する。
また、ECU2には、ヨーレートセンサ12やナビゲーションシステム13も接続されている。ヨーレートセンサ12は、車両1の重心近傍に配置され、重心鉛直軸回りのヨーレートを検出し、検出結果をECU2に送出する。また、ナビゲーションシステム13は、GPS等を利用して車両1の位置を検出するための装置である。ナビゲーションシステム13は、車両1前方のカーブ曲率(χ)や勾配等の状況を検知する機能をも有している。ECU2は、ナビゲーションシステム13を用いて車両1の位置及び走行すると予想される道路の状況を把握する。
さらに、ECU2には、モータドライバ14も接続されている。モータドライバ14は、上述したステアリングギヤボックス5に配設されたモータ(アクチュエータ)15が接続されている。図示されていないが、ラックバー6の一部外周面にはボールスクリュー溝が形成されており、モータ15のロータにはこのボールスクリュー溝に対応するボールスクリュー溝を内周面上に有するボールナットが固定されている。一対のボールスクリュー溝の間には複数のベアリングボールが収納されており、モータ15を駆動させるとロータが回転してラックバー6の軸方向の移動、即ち、転舵をアシストすることができる。
モータドライバ14は、ECU2の指令信号に従ってモータ15に駆動電流を供給する。モータ15は、モータドライバ14から供給された駆動電流に応じた操舵トルクをラックバー6に付与する。ECU2は、後述する論理に従ってモータドライバ14に指令信号を供給し、モータ15を駆動することにより,ラックバー6を変位させ、車輪FL,FRを転舵させる。
また、ECU2には、警告ランプ16及び警報ブザー17が接続されている。警告ランプ16は、車室内に搭乗した乗員が視認可能な位置に配置されており、ECU2からの指令信号に従って点灯する。また、警報ブザー17は、ECU2からの指令信号に従って車室内へ音声を発する。ECU2は、後述する論理に従って警告ランプ16及び警報ブザー17を駆動し、乗員に対して注意を喚起する。
次に、本実施形態における操舵支援制御について説明する。図4は、操舵支援制御の動作を示すブロック図であり、図5は、レーンオフセット情報の処理を示すフローチャートである。
まず、CCDカメラ8によって、車両1の前方状況を撮像し(図2右下)、撮像した画像に基づいて画像処理部9によって、走行レーン51の状況(カーブ曲率χ)と、自車両1のオフセットD及びヨー角θとが算出される。なお、カーブ曲率χは、撮像された画像から前方カーブの曲率Rを幾何学的に求め、この逆数(1/R)を取ることで求められる。幾何学的な求め方としては、自車両1の所定距離前方における白線の横方向への偏位量や自車両1の所定距離前方における白線の接線の傾きを参照して行えばよい。
また、走行経路に対して目標となるオフセットやヨー角は、目標オフセットD及び目標ヨー角θとして予め決定されている。
モータドライバ14への制御量の算出にあたっては、制御量となるヨーレートωを算出する必要がある。このヨーレートωは、カーブ曲率χに基づくヨーレートωにオフセットDを補償するヨーレートωとヨー角θを補償するヨーレートωθを合算したものとして求められる。
まず、車両1前方のカーブ曲率χに基づいて、車両1をこのカーブに沿って走行させるために必要なヨーレートωを求める。このヨーレートωは、フィードフォワードコントローラ(F/Fコントローラ)21によって、入力されたカーブ曲率χから所定の特性に基づいて算出される。この所定の特性は、例えば、マップ形式でECU2内に格納しておき、カーブ曲率χに基づいて必要なヨーレートωを読み出す形式で求めるとよい。あるいは、ECU2内に格納したプログラム内に関数形式で記述しておき、カーブ曲率χに基づいて必要なヨーレートωを算出すればよい。
ヨー角θを補償する(目標に収束させる)ために必要となるヨーレートωθは、ヨー角θと目標ヨー角θとの偏差(θ−θ)に係数Kθをかけて算出される。
一方、オフセットDを補償する(目標値に収束させる)ために必要となるヨーレートωについては、以下のようにして算出する。まず、オフセットDと目標オフセットDとの偏差(D−D)を求め、これをオフセット偏差D'として積分手段23へと入力する。積分手段23では、図5に示される処理が実行される。この処理は、支援制御中は所定のタイミング(タイムステップ)で繰り返し実行されている。なお、この積分手段は、積分項をリセットする手段を内蔵している。
まず、カーブ半径Rと、求めたオフセット偏差D'が読み込まれる(ステップS1)。次に、カーブ半径の絶対値|R|をしきい値Ra(第2の曲率1/Raを有するカーブ状態)と比較するとともに、前回のタイムステップにおけるカーブ状態の判定結果を示すflagLCMの値を判定する(ステップS2)。このflagLCMは、前回のタイムステップにおいてカーブ走行中と判定した場合にONに設定されている。
|R|がRaより小さく、かつ、flagLCMがoffであると判定した場合、つまり、カーブ状態が第2のカーブ状態より急な(カーブ半径|R|が第2のカーブ半径Raより小さい=カーブ曲率|1/R|が第2のカーブ曲率1/Raより大きい)カーブ状態を走行中で、かつ、前回のタイムステップにおいてカーブ走行中でないと判定した場合には、tmrLConの値に1を加算する(ステップS3)。|R|がRa以上か、flagLCMがonであると判定した場合、つまり、カーブ状態が第2のカーブ状態より緩い(カーブ半径|R|が第2のカーブ半径Raより大きい=カーブ曲率|1/R|が第2のカーブ曲率1/Raより小さい)道路(直線道路を含む。)を走行中か、前回のタイムステップにおいて既にカーブ走行中と判定している場合には、tmrLConの値を0にリセットする(ステップS4)。
ステップS3、S4終了後は、ステップS5へと移行し、カーブ半径の絶対値|R|をしきい値Rb(第1の曲率1/Rbを有するカーブ状態)と比較するとともに、前回のタイムステップにおけるカーブ状態の判定結果を示すflagLCMの値を判定する。このRbはRaより大きな値に設定されている。つまり、第1のカーブ状態の道路(カーブ半径がRb)は、第2のカーブ状態の道路(カーブ半径がRa)よりカーブ状態が緩やかである。
|R|がRbより大きく、かつ、flagLCMがonであると判定した場合、つまり、カーブ状態が第1のカーブ状態より緩い(カーブ半径|R|が第1のカーブ半径Rbより大きい=カーブ曲率|1/R|が第1のカーブ曲率1/Rbより小さい)道路(直線道路を含む。)を走行中で、かつ、前回のタイムステップにおいてカーブ走行中と判定した場合には、tmrLCoffの値に1を加算する(ステップS6)。|R|がRbより小さいか、flagLCMがoffであると判定した場合、つまり、カーブ状態が第1のカーブ状態より急な(カーブ半径|R|が第1のカーブ半径Rbより小さい=カーブ曲率|1/R|が第1のカーブ曲率1/Rbより大きい)道路を走行中か、前回のタイムステップにおいて既にカーブ走行中でないと判定している場合には、tmrLCoffの値を0にリセットする(ステップS7)。
ステップS6、S7終了後は、ステップS8へと移行し、カーブ状態の判定結果を示すflagLCの値を判定する。ここでは、flagLCはflagLCMに等しい値を有する。flagLCがoff、つまりカーブ走行中でないと設定されている場合には、ステップS9へと移行して、さらに、tmrLConの値をしきい値T1と比較する。tmrLConがT1以上の場合のみ、flagLCをonに切り替え(ステップS10)、それ以外の場合には、flagLCをoffのまま維持する。一方、flagLCがon、つまりカーブ走行中であると設定されている場合には、ステップS11へと移行して、さらに、tmrLCoffの値をしきい値T2と比較する。このしきい値T2はT1と同じであってもよいし、異ならせてもよい。tmrLCoffがT2以上の場合のみ、flagLCをoffに切り替え(ステップS12)、それ以外の場合には、flagLCをonのまま維持する。
これにより、前回のタイムステップまでは、カーブ走行中でないと判定していた場合に、カーブ半径がRaより小さい道路をT1回のタイムステップ連続して走行したと判定した場合には、カーブ走行中と判定してflagLCをONに切り替える。反対に、前回のタイムステップまでは、カーブ走行中と判定していた場合に、カーブ半径がRbより大きい道路をT2回のタイムステップ連続して走行したと判定した場合には、カーブを抜けたと判定してflagLCをOFFに切り替える。カーブ半径Rは、CCDカメラ8から取得した画像に基づいて画像処理部9により求めているため、取得した画像の解像度や、撮影状況や道路と車両との位置関係に応じて実際の値からずれが生じうる。そこで、このように、しきい値との比較結果が一度満たされた場合ではなく、連続してT1回、または、T2回満たされた場合に切り替え判定を行うことで、カーブと直進路との切り替えを精度良く行うことができる。また、カーブから直進路への移行と直進路からカーブへの移行の判定しきい値を異ならせることで、カーブと直進路との切り替えが頻繁に発生するのを抑制し、これに基づく制御を安定して行うことができる。
flagLCの設定後は、ステップS13へと移行して、flagLCMの値とflagLCの値を判別する。flagLCMがonで、かつ、flagLCがoffの場合、つまり、前回のタイムステップまでカーブ走行中と判定していたが、今回のタイムステップでカーブ走行から抜けたと判定した場合にはステップS14へと移行して、積分値IntDをリセットする。それ以外の場合には、ステップS15へと移行して積分値IntDにD’×dt(dtはタイムステップ間隔)を加算し、オフセット偏差D'の積分を行う。積分値IntDを求めたら、flagLCMにflagLCの値を格納し(ステップS16)、積分値IntDを出力して処理を終了する(ステップS17)。
積分手段23で求めた積分値IntDに係数Kd'を乗じ、これをオフセットの偏差D'に係数Kdを乗じて得られた値に加えることでオフセットDを補償するヨーレートωが算出される。
このようにして算出された3つのヨーレートを合算することで、目標ヨーレートωが算出される。この目標ヨーレートωは、車速センサ11によって検出された車速Vnを用いて目標横加速度Gに変換され、トルク演算器22によって、この目標横加速度Gを発生させるために必要な、転舵量=モータ15の駆動トルクTが算出される。
ECU2は、求めた駆動トルクTに応じて、モータドライバ14に指示して、モータ15を駆動せしめる。その結果、左右前輪FR,FLが転舵され、車両1は車線を維持すべく旋回される。車両1が旋回すると、再度CCDカメラ8によって前方の状況が撮像され、上述したことが繰り返される。
本実施形態においては、オフセットDを補償するヨーレートωを算出する際に、オフセットDと目標オフセットDとの偏差(D−D)に加えて、その積分項を用いているため、路面カントによる余分な横加速度を打ち消すことができ、カーブの内側方向へと巻き込まれるのを効果的に抑制できる。例えば、図6に示される道路と走行軌跡との関係においては、この積分項は走行レーン中心線51cと車両軌跡Pとによって区画されたハッチング部分の面積に相当し、カーブの出口まで累積されていく。このため、カーブ出口では、そのまま計算されるヨーレートωによれば、車両1をカーブの外側へと向かって押し出す方向へと作用することになる。これは、カーブ出口付近で振動的な操舵トルクを発生させ、車両の挙動を不安定にする可能性がある。
そこで、本発明では、カーブ出口手前で積分項をリセットすることで、カーブ出口付近で車両に過大な横加速度(操舵トルク)が発生するのを抑制し、安定的な制御を行うことを可能としている。これ韮り、車両の挙動が安定し、横方向の操縦安定性が向上する。
以上の説明では、カーブ状態の遷移をカーブ半径により判定したが、もちろん曲率によって判定を行ってもよい。その場合、しきい値との大小関係は、逆になる。切り替え判定を行うまでのタイムステップ回数(または継続時間)は、道路の形状パラメータ(カーブ半径または曲率)の推定精度や切り替え判定を行う形状パラメータの値に応じて適切な値に設定するとよい。また、カーブ状態の遷移の判定基準として所定距離先における走路中心の横方向のずれ幅等を基準に用いてもよい。
また、以上の説明では、積分項をリセットする手段と積分手段とを一体化したが、積分手段とは別に、道路パラメータを基にして積分項をリセットする手段を別に設けてもよい。
本実施形態の車両用操舵支援装置を備えた車両1の構成図である。 本実施形態のCCDカメラによる走行レーンの取得状況を説明する図である。 道路パラメータを説明する図である。 操舵支援制御の動作を示すブロック図である。 レーンオフセット情報の処理を示すフローチャートである。 制御中の道路と走行軌跡の関係を示す図である。
符号の説明
1…車両、2…ECU、3…ステアリングホイール、4…ステアリングシャフト、5…ステアリングギヤボックス、6…ラックバー、7…ナックルアーム、8…カメラ、9…画像処理部、10…舵角センサ、11…車速センサ、12…ヨーレートセンサ、13…ナビゲーションシステム、14…モータドライバ、15…モータ、16…警告ランプ、17…警報ブザー、21…フィードフォワードコントローラ、22…トルク演算器、23…積分手段、30…フロントウィンドウ、50…道路、51…走行レーン、D…オフセット、G…目標横加速度、R…カーブ半径、T…駆動トルク、Vn…車速、θ…ヨー角、χ…カーブ曲率、ω…ヨーレート。

Claims (3)

  1. 自車両の進路方向の画像を取得する手段と、取得した画像から走行レーンを認識する手段と、走行レーン中の目標位置からのずれ量であるレーンオフセットを演算する手段と、該レーンオフセットの積分項を求める手段と、求めたレーンオフセットとその積分項を用いて操舵系に付与するアシストトルクを演算する手段と、算出したアシストトルクを操舵系に付与する手段とを備える車両用操舵支援装置において、
    走行レーンのカーブ状態が、第1の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態からこれより小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定した場合に、該レーンオフセットの積分項をリセットする手段をさらに備えていることを特徴とする車両用操舵支援装置。
  2. 自車両の進路方向の画像を取得する手段と、取得した画像から走行レーンを認識する手段と、走行レーン中の目標位置からのずれ量であるレーンオフセットを演算する手段と、該レーンオフセットの積分項を求める手段と、求めたレーンオフセットとその積分項を用いて操舵系に付与するアシストトルクを演算する手段と、算出したアシストトルクを操舵系に付与する手段とを備える車両用操舵支援装置において、
    走行レーンのカーブ状態が、第2の曲率より大きな曲率を有するカーブ状態から、第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定した場合に、該レーンオフセットの積分項をリセットする手段をさらに備えており、前記第2の曲率は、前記第1の曲率より大きいことを特徴とする車両用操舵支援装置。
  3. 前記リセット手段は、走行レーンのカーブ状態が前記第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態となる条件が所定時間以上継続した場合に、第1の曲率より小さな曲率を有するカーブ状態へと遷移したと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用操舵支援装置。
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