JP2005341811A - 培養処理装置、自動培養装置、接触検出方法、およびチップ装着状態検出方法 - Google Patents

培養処理装置、自動培養装置、接触検出方法、およびチップ装着状態検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 チップ先端と液体との接触を検出する。また、ピペット装置にチップが適正に装着されているかどうかを検出する。
【解決手段】 給排ロボットを、電動ピペット10a、10bにおいてチップ14が装着される口金10i(先端部)に振動を入力する振動発生装置22と、口金10iの振動の様子を測定する振動測定装置23とを有し、口金10iの振動の様子に基づいてチップ14の先端が容器内の液体に接触しているかどうかの検出、及びチップ14の装着状態の検出を行う構成とする。
【選択図】 図5

Description

この発明は、培養処理装置、自動培養装置、接触検出方法、およびチップ装着状態検出方法に関するものである。
従来の自動培養装置としては、複数の培養容器を収納可能な固定式の収納棚と、水平・昇降・回転移動可能な搬送手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この自動培養装置は、培養室内に配置された収納棚に、鉛直方向に並ぶ複数の小部屋を備え、各小部屋の中に培養容器を1つずつ収容して培養を行い、培養途中あるいは培養終了時に搬送手段を作動させて、小部屋から1つずつ培養容器を取り出し、あるいは、小部屋へ培養容器を収容するよう構成されている。
特開2002−262856号公報(図1等)
この自動培養装置では、培養処理の過程で、電動ピペット等のピペット装置を用いて培養容器内の液体(検体の懸濁液)の移し替えが行われる。しかし、ピペット装置によって培養容器内の液体を吸出す際に、ピペット装置の吸い口となるチップが必要以上に液体に浸ってしまうと、チップを液体から引き上げた際に、チップにおいて液体に浸っていた部分に付着していた液体がチップ先端に集まって液滴を形成してしまうことが考えられる。
このようにチップ先端に液滴が形成されると、ピペット装置の移動の際などにこの液滴が落下または飛散して自動培養装置の底面に付着することが考えられる。そして、底面に付着した液滴は乾燥することにより粉塵となって浮遊することが考えられる。この場合において、1種類の検体のみを取り扱う場合は問題ではないが、多数の検体を取り扱う場合においては、各検体の培養処理ごとに自動培養装置の底面を清掃しなければ、自動培養装置内に舞い上がった粉塵が他の検体を収容する容器内に混入する不都合が考えられる。
このため、ピペット装置によって培養容器内の液体を吸出す際に、チップを必要以上に液体に浸らせないようにすることが求められている。
また、自動培養装置では、ピペット装置は使用の都度チップを新しいチップと交換する。この交換作業は自動的に行われるのであるが、ごく稀に、ピペット装置にチップを適正に装着できない場合がある。この状態のまま自動培養装置の動作を継続させると、次回のチップ交換作業を行うまでの間、ピペット装置による処理が適切に行われなくなってしまうことが考えられる。このため、ピペット装置にチップが適正に装着されていない場合には、速やかにチップの再装着を行うことができるよう、ピペット装置にチップが適正に装着されているかどうかを検出することが求められている。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、チップと液体との接触を検出することができる培養処理装置、自動培養装置、接触検出方法、およびピペット装置にチップが適正に装着されているかどうかを検出することができるチップ装着状態検出方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、培養容器内部の検体の培養処理に用いられて、この培養処理の過程でピペット装置による前記培養容器や他の容器からの液体の吸出しを行う培養処理装置であって、前記ピペット装置は、装置本体と、該装置本体の先端部に設けられる吸い口と、該吸い口または前記先端部に振動を入力する振動発生装置と、前記吸い口または前記先端部の振動の様子を測定する振動測定装置とを有している培養処理装置を提供する。
このように構成される培養処理装置では、振動発生装置によってピペット装置の吸い口または装置本体の先端部が振動させられるようになっており、吸い口または装置本体の先端部の振動の様子は、振動測定装置によって測定されるようになっている。なお、吸い口や先端部の振動モードには、自由端である先端を振り子状に振動させる振り子モード、吸い口の軸線方向に沿って往復する縦振動モード、吸い口の軸線回りに正逆回転方向に揺動するねじれモード等がある。
ここで、吸い口は、空中にある状態では先端が自由端となるのに対して、先端が容器内の液体に接触している状態では先端が液体の抵抗によって緩やかに拘束される。すなわち、吸い口が空中にある状態と液体に接触している状態とでは、吸い口および装置本体の先端部の振動の様子(共振周波数)が異なる。
本発明に係る培養処理装置は、このことを利用して、吸い口と容器内の液体との接触を検出することができる。具体的には、振動測定装置による吸い口または装置本体の先端部の振動の様子の測定情報を監視しながら装置本体と容器とを相対的に近接させてゆき、この振動の様子に有意な変動が生じたことをもって、吸い口と容器内の液体とが接触したとみなすことができる。
ここで、上記した吸い口と液体との接触の検出作業は、例えば作業者が行ってもよく、また接触検知装置等によって自動的に行われるようにしてもよい。
このように、本発明に係る培養処理装置では、ピペット装置による容器内の液体の吸出しの際に、吸い口と液体とが接触したことを容易かつ高精度に検知することができる。
そして、この培養処理装置では、このように吸い口と液体との接触の検知が可能であるので、吸い口が液体と接触した時点以降の装置本体と容器との相対的な移動量を適正に制御することで、吸い口が液体に浸かる量を最小限にして、吸い口への液滴の付着を効果的に防止することができる。
さらに、この培養処理装置では、装置本体と容器との相対的な移動を開始した時点からチップと容器内の液体とが接触する時点までの装置本体と容器との相対的な移動量の情報に基づいて、容器内の液面の位置を検出することができる。
ここで、この培養処理装置では、ピペット装置として、吸い口が装置本体の先端部に着脱可能にして設けられるチップによって構成されているものを用いてもよい。
このようなピペット装置では、装置本体の先端部にチップが適正に装着されている状態と適正に装着されていない状態とでは、先端部の振動の様子が異なる。例えば、先端部にチップが装着されていない場合には、先端部にチップが適正に装着されている場合に比べて先端部の共振周波数が高くなる。
本発明に係る培養処理装置では、振動発生装置を、先端部に振動を入力する構成とし、振動測定装置を、先端部の振動の様子を測定する構成として、先端部の振動の様子を測定することで、上記の原理を利用して、チップが先端部に適正に装着されているかどうかを検出することができる。
すなわち、振動測定装置によって得られた吸い口の振動の様子とチップが適正に装着されている場合の振動の様子とがほぼ等しい場合(例えば吸い口の振動の周波数が基準範囲内にある場合)にはチップが適切に装着されているとみなすことができ、それ以外の場合(例えば吸い口の振動の周波数が基準範囲外にある場合)には、チップが適正に装着されていないとみなすことができ、ピペット装置の装置本体の先端部にチップが適正に装着されているかどうかを容易かつ高精度に検出することができる。
ここで、上記したチップの検出作業は、例えば作業者が行ってもよく、またチップ検知装置によって自動的に行われるようにしてもよい。
また、この培養処理装置においては、前記振動発生装置が、前記吸い口に振動を入力する発振子となる圧電素子を有しており、前記振動測定装置は、前記圧電素子の電気的挙動に基づいて前記吸い口または前記先端部の振動の様子を測定する構成とされていてもよい。
このように構成される培養処理装置では、吸い口または先端部に入力される振動が電気的に直接制御されるとともに、吸い口または先端部の振動の情報が直接電気信号として得られるので、吸い口に付与する振動の制御および吸い口の振動の検出を容易かつ高精度に行うことができ、吸い口と液面との接触の検知やチップの検出を容易かつ高精度に行うことができる。
また、一つの圧電素子を、振動発生装置の発振子と振動測定装置の振動センサとに利用しているので、発振子としての圧電素子と振動センサとしての圧電素子とを別個に設けた場合に比べて部品点数が少なくて済み、製造コストが低い。
また、上記培養処理装置を備える自動培養装置によれば、吸い口と容器内の液体との接触を検知することができるので、吸い口への液体の付着を最小限に抑えつつ培養処理を自動的に行うことができる。そして、この自動培養装置によれば、ピペット装置の装置本体にチップが装着されているかどうかを検知することができる。したがって、チップが適正に装着されていない場合にもこれを検知して速やかにチップの再装着を行うことができ、自動培養処理を円滑に進めることができる。
また、本発明は、ピペット装置の装置本体の先端部に設けられる吸い口と容器内の液体の液面との接触を検出する接触検出方法であって、前記吸い口または前記先端部に振動を付与し、該吸い口または前記先端部の振動の様子を測定しながら前記吸い口を前記液面に相対的に近接させてゆき、前記吸い口または前記先端部の振動の様子に有意な変動が生じたことをもって前記吸い口と前記液面とが接触したとみなす接触検出方法を提供する。
この接触検出方法では、ピペット装置の吸い口が空中にある状態と液体に接触している状態とでは吸い口および装置本体の先端部の振動の様子が異なることを利用して、吸い口と容器内の液体とが接触しているかどうかの検出を行うので、吸い口と液面との接触を容易かつ高精度に検出することができる。
また、本発明は、装置本体の先端部にチップを装着して該チップを吸い口として利用するピペット装置の前記先端部に、前記チップが適正に装着されているかどうかを検出するチップ装着状態検出方法であって、前記先端部に振動を付与して該先端部の振動の様子を測定し、該先端部の振動の様子が基準範囲内にある場合には前記チップが適正に装着されているとみなし、前記基準範囲外にある場合には前記チップが装着されていないかまたは装着が適正でないとみなすチップ装着状態検出方法を提供する。
このチップ装着状態検出方法では、ピペット装置の装置本体の先端部にチップが適正に装着されている状態と適正に装着されていない状態とでは先端部の振動の様子が異なることを利用して、ピペット装置の装置本体にチップが適正に装着されているかどうかの検出を行うので、装置本体にチップが適正に装着されているかどうかを容易かつ高精度に検出することができる。
本発明に係る培養処理装置、自動培養装置、および接触検出方法によれば、チップと液体の液面との接触を容易かつ高精度に検出することができ、チップへの液滴の付着を防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るチップ装着状態検出方法によれば、ピペット装置の装置本体の先端部にチップが適正に装着されているかどうかを容易かつ高精度に検出することができるという効果を奏する。したがって、チップが適正に装着されていない場合にもこれを検知して速やかにチップの再装着を行うことができ、自動培養処理を円滑に進めることができるという利点がある。
この発明の一実施形態に係る培養処理装置および自動培養装置について、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態に係る自動培養装置1は、図1に示されるように、外部から観察可能な透明な壁材により密閉され、シャッタ2を介して相互に連絡する第1空間S1と第2空間S2とを備えている。
第1空間S1の両側空間S11,S13には、培養容器3を収容する培養室4が2個ずつ計4個配置され、中央空間S12には、培養容器3を移動するための搬送ロボット(搬送機構)5が備えられている。中央空間S12の上部には、中央空間S12内の空気を浄化するために清浄な下降空気流を送る空気清浄部6が設けられている。
4個の培養室4は、それぞれ中央空間S12に向けて扉4aを配置することにより、横に並んだ2個ずつが相互に扉4aを対向させて、間隔をあけて配置されている。
前記各培養室4は、図2および図3に示されるように、一側面に開口部4bを有し、該開口部4bを開閉可能な扉4aを備えている。開口部4bに向かって左右の側壁には、対応する高さ位置に複数のレール状のトレイ保持部材4cが設けられており、左右対となる各トレイ保持部材4cに掛け渡すようにして、トレイ7を上下方向に複数段収容できるようになっている。各培養室4内は、所定の培養条件、例えば、温度37±0.5℃、湿度100%およびCO濃度5%等に維持されている。なお、トレイ保持部材4cはレール状に限定されず、トレイ7を出し入れ可能に支持することができれば任意の形態でよい。
各トレイ7には、複数個、例えば、10個の培養容器3を並べて載置できるようになっている。各培養容器3は、図4に示されるように、容器本体3aと、該容器本体3aの上面に設けられた蓋体3bとからなり、容器本体3aの左右の側面には、後述する第2空間内のハンドにより引っかけられる突起3cが設けられている。
各培養室4の下方には、図1に示されるように、未使用の培養容器3をトレイ7に搭載した状態で複数収容するストッカ8が配置されている。ストッカ8は、前記培養室4の扉とは反対側の第1空間S1の外部に向かう側面に開閉可能なドアを有している。該ドアは、ストッカ8の一側面全体を開放する大きさに形成されている。
前記搬送ロボット5は、4個の培養室4の間隔位置のほぼ中央に配置されている。該搬送ロボット5は、水平回転可能な第1アーム5aと、該第1アーム5aの先端に鉛直軸回りに回転可能に連結された第2アーム5bと、該第2アーム5bの先端に鉛直軸回りに回転可能に取り付けられ、それ自身は駆動部、伝導機構などの培養室内の環境を劣化させる機構を持たないハンド5cと、これら第1アーム5a、第2アーム5bおよびハンド5cを昇降可能な昇降機構5dとを備えている。これにより、搬送ロボット5は、4個の培養室4内の全てのトレイ7にアクセスするとともに、前記シャッタ2を跨いで第1空間S1と第2空間S2との間に配置されたコンベア9上にトレイ7を引き渡すことができる水平方向の動作範囲を有している。
前記コンベア9は、搬送ロボット5のハンド5cの幅寸法より大きな間隔をあけて左右に配置された2本の無端ベルト9aを備え、これら無端ベルト9aに掛け渡してトレイ7を載置できるようになっている。また、搬送ロボット5は、培養室4内の全てのトレイ7にアクセスするとともに、前記ストッカ8内の少なくとも最上段のトレイ7にアクセスできる垂直方向の動作範囲を有している。
なお、ベルト9aは無端ベルトに限られない。
前記ハンド5cは、トレイ7を載置可能に水平方向に延びる平坦な形状に形成されており、培養室4に収容されているトレイ7間の隙間に挿入可能な厚さ寸法に形成されている。そして、ハンド5cは、トレイ7間の隙間に挿入された状態から上昇させられることにより、2本の腕によってトレイ7を下方から押し上げてトレイ保持部材4cから取り上げるとともに、トレイ7を安定して保持できるようになっている。
前記第2空間S2には、図1に示されるように、培養処理装置30が構成されている。この培養処理装置30は、例えば、医療機関等で患者から採取された骨髄液を導入され、供給された骨髄液から間葉系幹細胞を多く含む細胞を抽出する検体抽出装置を備えている。検体抽出装置は、導入された骨髄液50を貯留する容器52(図9参照、例えば、そのまま遠心分離できるような遠沈管)内に溶血剤を注入する溶血剤注入装置54と、溶血剤が注入された骨髄液を攪拌する体液攪拌装置(図示せず)と、攪拌された骨髄液から間葉系幹細胞を多く含む細胞を分離する遠心分離機11とを備えている。
溶血剤注入装置54は、溶血剤、例えば、0.17モル濃度の塩化アンモニウム溶液を貯留する溶血剤タンクと、該溶血剤タンクから必要量の溶血剤を放出させるバルブとを備えている。バルブはポンプに置き換えてもよい。また、遠心分離機11は、後述するように培地から細胞を分離するための遠心分離機11と共通である。
培養処理装置30は、図1に示されるように、シャッタ2が開かれた状態で第1空間S1からコンベア9によって搬送されてきたトレイ7上の培養容器3に対し、上記検体抽出装置において抽出された細胞を供給し、あるいは培地を供給、回収する給排ロボット(検体供給装置、ピペット装置)10と、培養容器3内の培地から細胞を分離する遠心分離機11と、血清や試薬等の種々の液体を分注するための電動ピペット12を備えた水平回転および昇降移動可能な4台の分注ロボット13と、これら給排ロボット10および分注ロボット13の電動ピペット12先端に取り付ける使い捨て可能なチップ14を複数収容していて給排ロボット10および分注ロボット13の動作範囲内に提供可能な3台のチップ供給装置15と、使用済みのチップ14を廃棄回収するチップ回収部31と、血清や試薬等の種々の液体を複数の容器に貯留する試薬等供給装置16と、培養容器3内における細胞の様子を観察可能な顕微鏡17と、各試薬および培地交換等により廃棄される廃液をそれぞれ貯留する複数の貯留タンク18と、前記コンベア9と各ロボット10,13との間で培養容器3を受け渡し可能とするように培養容器3を移動させる水平移動機構19と、該水平移動機構19のスライダ20に取り付けられ、受け取った培養容器3を載置する載置台21とを備えている。
なお、第2空間S2にも、該第2空間S2内の空気を浄化するために清浄な下降気流を形成する空気清浄機32が設けられている。
前記第2空間S2に構成された培養処理装置30は、その高さ方向の中間位置に配され第2空間S2内を上部空間S21と下部空間S22とに上下に区画する第1の区画壁33と、該第1の区画壁33により形成された下部空間S22内をさらに上下に区画する第2の区画壁34とにより、上下方向に並ぶ3つの空間S21,S221,S222に区画されている。第1の区画壁33は、前記コンベア9の高さに配置され、その上方の上部空間S21内に、載置台21、給排ロボット10、分注ロボット13のアーム13a、顕微鏡17のXYテーブル17a以上の機構部等を配置している。これらの装置は、培養容器3の移動に必要な装置、および培養容器3の上部開口からアクセスすることが必要な装置だからである。なお、試薬等供給装置16の上面も第1の区画壁33の上面に露出しているが、これはチップ14の挿入口16cを上部空間S21に開口させるためである。
また、第1の区画壁33には、載置台21を上部空間S21において移動させるために、載置台21を下部空間S21内の水平移動機構19に連結するための長孔35、第1の区画壁33の下方の空間S221に配置されたチップ供給装置15からチップ14を取り出すための貫通孔36、使用済みのチップ14を廃棄するための廃棄口37が貫通形成されている。さらに、第1の区画壁33には、その側壁30a,30bに沿って、上下に貫通する通気口38が設けられている(斜線部)。
第1の区画壁33と第2の区画壁34との間の空間S221には、図6に示されるように、分注ロボット13の本体部分、チップ供給装置15、試薬等供給装置16、顕微鏡17のXYテーブル17a以下の部分、水平移動機構19および、チップ回収部31の廃棄口37と廃棄容器39とを接続するダクト40が備えられている。前記ダクト40は、図7に示されるように、例えば、その上端にフランジ部40aを備える構造とされ、第1の区画壁33の下部に設けたフック44に引っかけることで、第1の区画壁33と第2の区画壁34との間に着脱可能に設ければよい。第2の区画壁34の側壁30a,30b近傍には、該側壁30a,30bに沿って、上下に貫通する通気口43が設けられている(斜線部)。
さらに、第2の区画壁34の下方の空間S222には、図8に示されるように、遠心分離機11、貯留タンク18、廃棄容器39、および排気ファン41が配置されている。排気ファン41の出口にはHEPAフィルタのようなフィルタ42が設けられ、排気される空気を清浄にするようになっている。
前記給排ロボット10は、水平多関節型ロボットであって、例えば、図1に示す例では、2種類の電動ピペット10a,10bを備えるヘッド10cと、水平旋回可能な2つのアーム10d,10eと、アーム10eの先端に設けられヘッド10cを昇降させる昇降機構10fとを備えている。電動ピペット10aは、貯留タンク18からダクト10gを介して導かれた培地を供給するようになっている。電動ピペット10bは、培養容器3内あるいは遠心容器内の不要な培地を吸引し、ダクト10gを介して他の貯留タンク18へ廃液として排出するようになっている。
また、給排ロボット10は、電動ピペット10aによって、遠心分離機11により分離された細胞と培地との混合液を吸引し、載置台21上に搭載された培養容器3内に上部開口から供給するようになっている。
一旦使用された使用済みのチップ14は、チップ回収部31において取り外され回収されるようになっている。したがって、給排ロボット10は、載置台21、チップ供給装置15、チップ回収部31および遠心分離機11からの細胞供給装置(図示略)等の種々の装置をその動作範囲内に配置している。
ここで、チップ14は、チューブ状の部材であって、図5に示されるように、その一端側を電動ピペット10a,10b,12のピペット本体10h(装置本体)に保持されてこれら電動ピペット10a,10b,12の吸い口および液体の一時貯留部として利用される。
チップ14は、電動ピペット10a,10b,12に保持される一端側に拡径部14aが設けられており、拡径部14aも含めて一端側から他端側(先端側)に向かうにつれて次第に縮径されたテーパー形状とされている。チップ14は、拡径部14aが構成する取付口に、電動ピペット10a,10b,12の先端部が挿入状態にして嵌合されることで、電動ピペット10a,10b,12に装着されるようになっている。
電動ピペット10a,10b,12は、それぞれのピペット本体10hの先端部に、先端に向かうにつれて次第に縮径されたテーパー状をなす口金10iが設けられており、この口金10iをチップ14の取付口に挿入して嵌合させることで、電動ピペット10a,10b,12にチップ14が装着されるようになっている。
電動ピペット10a,10b,12には、ピペット本体10hから口金10iの下端まで通じる流通路(図示せず)が設けられており、これら電動ピペット10a,10b,12は、流通路を通じてチップ14内の雰囲気を吸出すことによってチップ14の先端からチップ14内に液体を吸い込み、流通路を通じてチップ14内に気体を供給することでチップ14内の液体をチップ14の先端から吐出させる構成とされている。
給排ロボット10は、電動ピペット10a、10bの口金10iに振動を入力する振動発生装置22と、口金10iの振動の様子を測定する振動測定装置23とを有している。
振動発生装置22は、電動ピペット10a,10bのピペット本体10hと口金10iの間に介装される圧電素子24と、圧電素子24の両電極間に交流電圧を印加する電源装置25とを有している。
圧電素子24は、図5に示されるように、略水平面上で口金10iの軸線を挟んで対称にして配置される平面視略円弧状の一対の圧電体24a,24bと、これら圧電体24a,24bの上端面間にまたがって設けられる電極24cと、これら圧電体24a,24bの下端面間にまたがって設けられる電極24dとを有している。ここで、電極24cは圧電素子24とピペット本体10hとの接続部を構成しており、電極24dは圧電素子24と口金10iとの接続部を構成している。また、図5(b)に示されるように、電極24c,24dにはそれぞれ口金10iの軸線が通る位置に開口部Hが設けられている。圧電素子24には、この開口部Hおよび圧電体24a、24b間を通じて図示せぬ配管が上下に挿通されており、この配管によって前記流通路の一部が構成されている。
圧電体24a,24bは、それぞれその分極の向きを略鉛直方向に向けた状態にして配置されており、かつ互いの分極の向きは逆向きとされている。これにより、電極24c,24d間に電圧が加えられると、圧電体24a,24bのうちの一方は略鉛直方向に伸張し、他方は略鉛直方向に収縮することとなり、圧電素子24を介してピペット本体10hに支持されている口金10iが、ピペット本体10hに対して傾斜させられる。また、電極24c、24d間に加える電圧の向きを逆向きにすると、口金10iは逆方向に傾斜させられる。そして、電極24c,24d間に交流電圧を印加することで、口金10iが下端を左右に振動させる状態(振り子モード)で振動させられる。
振動測定装置23は、圧電素子24の電気的挙動、例えば、圧電素子24の電極24c,24d間に加わる電圧の大きさ、または電源装置25から圧電素子24への電圧供給回路上を流れる電流の大きさに基づいて口金10iの振動を検出する構成とされている。
図5に示す例では、振動測定装置23は、圧電素子24の電極24c,24d間に生じる電圧を測定する電圧計26と、この電圧計26の測定値から周波数成分を抽出する分析装置27と、電源装置25の動作を制御して圧電素子24に入力する交流電圧の周波数を制御するとともに分析装置27の分析結果に基づいて給排ロボット10の動作を制御する制御装置(図示せず)とを有している。
ここで、分析装置27としては、例えば、FFTアナライザ等が用いられる。
前記遠心分離機11は、体液攪拌装置により混合された骨髄液と溶血剤との混合液を貯留した容器を受け取って低速回転させることにより、骨髄液内に含有されている間葉系幹細胞等の白血球をその他の体液から分離して沈下させるようになっている。また、遠心分離機11は、給排ロボット10から供給された細胞入り培地を低速回転させることにより培地内に浮遊していた比重の重い細胞を培地から分離して沈下させるようになっている。
前記分注ロボット13は、それぞれ、先端にチップ14を着脱可能に取り付ける電動ピペット12を備えた水平回転可能なアーム13aと、該アーム13aを昇降させる昇降機構13bとを備えている。分注ロボット13は、水平移動機構19によって搬送されて来た培養容器3内へ、培地や種々の試薬を供給するようになっている。したがって、分注ロボット13は、水平移動機構19上の載置台21、チップ供給装置15、チップ回収部31および試薬等供給装置16等の種々の装置をその動作範囲内に配置している。
前記チップ供給装置15は、上方に開口した容器15a内に、電動ピペット10a,10b,12への取付口を上向きにして複数のチップ14を配列状態に収容しており、給排ロボット10や分注ロボット13が、新たなチップ14を必要とするときに、電動ピペット10a,10b,12を上方から挿入するだけで、電動ピペット10a,10b,12の先端にチップ14を取り付けるように構成されている。容器15aは、給排ロボット10や分注ロボット13による電動ピペット10a,10b,12の移動方向に対して交差する方向に往復移動させられるように移動機構15bに取り付けられている。また、分注ロボット13にチップ14を供給するチップ供給装置15には、移動機構15bによる移動方向とは直交する方向に容器15aを移動させる他の移動機構15cが備えられている。これにより、容器15a内の全てのチップ14に対して電動ピペット10a,10b,12がアクセスすることができるようになっている。
前記チップ回収部31は、廃棄容器39の入口に、チップ14を把持する把持装置(図示略)を備えていて、給排ロボット10や分注ロボット13において使用されたチップ14が把持装置に挿入されると、これを把持するようになっている。そして、この状態で給排ロボット10や分注ロボット13が電動ピペット10a,10b,12を移動させることにより、電動ピペット10a,10b,12先端から使用済みチップ14が取り外され、廃棄容器39内にダクト40を介して回収されるようになっている。廃棄容器39は、空間S222内に着脱可能に配置されており、必要に応じて交換可能となっている。
前記ダクト40および廃棄容器39の交換時には、培養処理装置30の側壁30a,30bに設けられた図示しないドアを開くことにより、培養処理装置30の外部からアクセスすることとすればよい。
前記試薬等供給装置16は、例えば、図6に示されるように、円筒状のケーシング内部に、水平回転可能なテーブル16aを収容し、該テーブル16a上に、扇型の底面形状を有する筒状の試薬等容器16bを周方向に複数配列して搭載している。ケーシング内部は一定の温度に保冷されている。各試薬等容器16bには、種々の試薬等が貯留されている。例えば、細胞を培養するために必要な培地を構成するMEM(Minimal Essential Medium:最小必須培地)、DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)、FBS(Fetal Bovine Serum:ウシ胎児血清)やヒト血清のような血清、培養容器3内の細胞を剥離させるトリプシンのような蛋白質分解酵素や、培養に際して細胞を成長させるサイトカインのような成長因子、細胞を分化させるデキサメタゾンのような分化誘導因子、ペニシリン系抗生物質のような抗生剤、エストロゲン等のホルモン剤や、ビタミン等の栄養剤が貯留されている。
試薬等供給装置16のケーシングの上面には、分注ロボット13が電動ピペット12先端のチップ14を挿入する挿入口16cが設けられている。この挿入口16cは、前記分注ロボット13の動作範囲内に配置されている。また、各試薬等容器16bは、その上面に、前記挿入口16cに一致する位置に配置される開口部(図示略)を備えている。これにより、テーブル16aを回転させて試薬等容器16bの開口部をケーシングの挿入口16cの鉛直下方に配置することで、分注ロボット13が、電動ピペット12先端のチップ14を上方から試薬等容器16b内へ挿入して、内部に貯留されている試薬等を吸引することができるようになっている。試薬等供給装置16を2台設けているのは、検体に共通のトリプシンのような薬液と、検体に固有の血清のような液体とを分離して取り扱うようにしているためである。
前記顕微鏡17は、培養工程の途中、あるいは、培地交換の際に、培養容器3内の細胞の様子や増殖の程度を観察したり、細胞数を計数したりする場合等に使用されるようになっている。顕微鏡17のXYステージ17aや作動距離調整、倍率の変更等は全て遠隔操作により行うことができるように構成されている。第2空間S2の外方に向けて接眼レンズを配置しておくことにより、自動培養装置1の外部から培養容器3内の細胞の状態を観察できるようにしてもよい。
前記貯留タンク18は、例えば、全ての検体に共通して使用できるMEMやPBS(リン酸緩衝化食塩水)等を貯留しておき、必要に応じて試薬等供給装置16内の試薬等容器16b内に供給するようになっている。また、貯留タンク18には、廃液タンクとして、培地交換の際に排出される廃培地等を貯留するものもある。
前記水平移動機構19は、直線移動機構により水平方向に移動可能なスライダ20を備えている。スライダ20上には前記載置台21が搭載されており、載置台21に搭載された培養容器3を、コンベア9から分注ロボット13の動作範囲まで移動させることができるようになっている。
前記載置台21は、コンベア9上のトレイ7内から移載された培養容器3を搭載して保持する保持機構(図示略)を備えている。また、該培養容器3に振動を付与する加振装置(図示略)を備えていてもよい。加振装置は、例えば、培養容器3を所定の角度範囲で往復揺動させる装置の他、超音波振動を加える装置や、水平方向の振動を加える装置を採用してもよい。
本実施形態に係る自動培養装置1の各種装置には、前記した図示しない制御装置が接続されている。制御装置は、各工程の順序や動作タイミング等を制御するとともに、動作履歴等を記録保存するようになっている。
このように構成された本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る自動培養装置1を用いて、間葉系幹細胞を培養するには、まず、患者から採取された骨髄液50を容器52に入れた状態で培養処理装置30内に導入し、検体抽出装置に供給する。この工程は作業者が行ってもよく、図示しないハンドリングロボットにより行ってもよい。
検体抽出装置においては、検体抽出工程が行われる。すなわち、検体抽出装置に導入された骨髄液50に対して、溶血剤注入装置54の作動により、骨髄液50が貯留されている容器52内に溶血剤が注入される。溶血剤の注入量は、例えば、骨髄液50を1mlに対して12ml程度でよい。次いで、体液攪拌装置によって骨髄液50と溶血剤とを均一に混合し、この状態で、例えば、3〜7min程度放置することにより溶血処理を行う。
溶血処理により、比重の大きな赤血球の細胞膜が破壊され、容器52内の赤血球が除去されることになる。
その後、ハンドリングロボット等の作動により、容器52が遠心分離機11に投入される。そして、遠心分離機11が、例えば、800〜1300Gで3〜5min間作動させられることにより、図9(a)に示されるように、骨髄液50内の比重の重い間葉系幹細胞を含む細胞58が沈降した状態に集められる。
この状態で、再度ハンドリングロボット57の作動により、容器52が遠心分離機11外に取り出される。そして、給排ロボット10およびチップ供給装置15の作動により、電動ピペット10b先端に未使用のチップ14が取り付けられる。
すなわち、チップ供給装置15は移動機構15bを作動させることにより、未使用のチップ14を給排ロボット10の動作範囲内に配する。すると、給排ロボット10は、昇降機構10fを作動させることにより、ヘッド10cを下降させて、第1の区画壁33下方のチップ供給装置15から未使用のチップ14を受け取り、電動ピペット10bの先端に取り付ける。ここで、このように電動ピペット10bへのチップ14の装着作業を行った後は、電動ピペット10bの口金10iにチップ14が適正に装着されているかどうかの検出を行い、チップ14が適正に装着されている場合には次の工程に移行し、チップ14が適正に装着されていない場合には、電動ピペット10bへのチップ14の再装着を行う。
この状態で、図9(b)に示されるように、給排ロボット10を作動させて電動ピペット10bのチップ14の先端を容器52内に挿入して吸引する。これにより、図9(c)に示されるように、容器52内の上澄み液59が除去され、赤血球を含まない間葉系幹細胞を多く含む細胞58が容器52内に残される。ここで、この吸引工程では、チップ14と容器52内の液体との接触の検知が行われるとともに、この情報に基づいて制御装置による昇降機構10cの制御が行われて、チップ14を液体に浸す量が最小限に抑えられている。
次に、容器52内に残った検体は、給排ロボット10により、培養容器3に投入される。投入に先立って、コンベア9の作動により、トレイ7に載せた10個の空の培養容器3が、第1空間S1から第2空間S2に差し出されている。トレイ7上の培養容器3の内の2個の培養容器3が、図示しない移載装置の作動により、載置台21上に載置される。そして、図示しない蓋体開閉装置の作動により、載置台21上の培養容器3の蓋体3bが開けられる。
この状態で、給排ロボット10を作動させて、電動ピペット10aから容器52内に、貯留タンク18に貯留されているDMEMやPBS(リン酸緩衝化食塩水)等の培地構成液60を、所定量供給する。
具体的には、給排ロボット10は、電動ピペット10aの先端にチップ供給装置15から供給されたチップ14を装着した状態で、アーム10d,10eによって検体抽出装置の骨髄液を貯留する容器52の上方まで搬送されて、昇降機構10fによってチップ14の先端(下端)を容器内に挿入されて、この状態で容器52内に培地構成液60の供給を行う。ここで、このように電動ピペット10aへのチップ14の装着作業を行った後は、電動ピペット10aの口金10iにチップ14が適正に装着されているかどうかの検出を行い、チップ14が適正に装着されている場合には次の工程に移行し、チップ14が適正に装着されていない場合には、電動ピペット10aへのチップ14の再装着を行う。
次いで、体液攪拌装置等によって容器52内の骨髄液50と溶血剤とを均一に混合する。これにより、赤血球を含まず、間葉系幹細胞を多く含む細胞58と培地構成液60とが均一に混合された細胞懸濁液61が構成されることになる。
このようにして製造された細胞懸濁液61は、図9(d)に示されるように、電動ピペット10aを作動させることにより、チップ14内に吸引される。ここで、この吸引工程においても、チップ14と容器52内の液体59,61との接触の検知が行われるとともに、この情報に基づいて制御装置による昇降機構10cの制御が行われて、チップ14を液体59,61に浸す量が最小限に抑えられている。
吸引された細胞懸濁液61は、チップ14内に保持された状態で、給排ロボット10を作動させることにより、電動ピペット10aごと載置台21上の培養容器3の上方まで搬送されて、培養容器3内に上部開口から投入される。
この場合において、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、検体抽出装置によって骨髄液50内から赤血球が除去された状態の検体が抽出される。したがって、細胞懸濁液61内に浮遊している間葉系幹細胞は、静置されて沈降させられる際に、その沈降を赤血球に阻害されることがなく、培養容器3の底面に容易に付着して成長を開始することになる。すなわち、迅速かつ効率的に増殖させられるので、早期に必要な細胞数に達することができる。
本実施形態においては、骨髄液の入った容器に溶血剤を加えることとしたが、投入した骨髄液を予め溶血剤入りの容器に分注し、その後体液攪拌装置により両液を混合する処理を行ってもよいことは言うまでもない。
以下、前記した給排ロボット10の動作について具体的に説明する。
電動ピペット10a,10bによる液体59,61の吸出しにあたって、電動ピペット10a,10bが容器52の上方まで搬送された後、制御装置は、振動発生装置22を動作させて口金10iを振動させ、さらに振動測定装置23によって口金10iの振動の様子を測定する。口金10iにはチップ14が装着されているので、このように口金10iを振動させることで、口金10iとチップ14とが一体に振動する。
制御装置は、この状態で昇降機構10fの動作を制御して電動ピペット10a,10bを下降させる。制御装置は、振動測定装置23の測定結果に基づいてチップ14と液面とが接触したかどうかを監視しており、チップ14の先端が液面に接触したことが検出されるまで電動ピペット10a,10bを下降させる。すなわち、制御装置は、チップ14の先端と液面との接触を検知する接触検知装置を構成している。
そして、チップ14先端が液面に接触したことが検知された場合には、制御装置は、接触が検知された時点から電動ピペット10a,10bをさらにわずかに下降させて、チップ14の先端を液体59,61にごくわずかに浸す。
以降は、液体59,61が吸引されることによる液面の下降に追従して電動ピペット10a,10bが下降するように、昇降機構10fを動作させる。なお、液面の下降速度は、液体59,61が貯留されている容器52の形状と、電動ピペット10a,10bによる液体59,61の吸引速度から求められる。
以下、制御装置によるチップ14と液体59,61との接触の検知の原理について、図5(a)を用いて説明する。
チップ14と液体59,61との接触の検知を行うにあたって、制御装置は、振動発生装置22の電源装置25を動作させて圧電素子24に交流電圧を印加し、圧電素子24を駆動する。これにより、電動ピペット10a,10bの口金10iに前記電圧と同じ周波数の振動が入力されるので、口金10iにチップ14が適正に装着されている場合には、口金10iはチップ14と一体にして振り子モードで振動する。
このとき、制御装置は、電源装置25に、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fを含む周波数帯域Bのホワイトノイズを出力させるか、またはこの周波数帯域B内を順次掃引するようにパルス信号を出力させて、圧電素子24を駆動する。これにより、口金10iには、圧電素子24から周波数帯域Bの振動が同時または順次加えられる。
ここで、圧電素子24の振動の周波数が口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fに近いほど、圧電素子24の負荷が少なくなってそのインピーダンスが小さくなる。
振動測定装置23は、このことを利用して、周波数帯域B内で圧電素子24のインピーダンスが最小となる周波数を求めて、この情報に基づいて口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fを検出する。
具体的には、振動測定装置23は、電極24c,24d間の電位差を電圧計26によって測定し、電圧計26の出力(測定値の情報を含む電気信号)を分析装置27によって分析してその周波数成分及び各周波数成分に対応する出力の大きさの情報を取り出す。そして、制御装置によって、分析装置27が取り出した周波数成分のうち最も出力が小さくなる周波数(すなわち圧電素子24のインピーダンスが最小となる周波数)を特定する。このようにして求められた周波数が、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fである。
ここで、チップ14は、空中にある状態では先端が自由端となるのに対して、先端が容器内の液体に接触している状態では先端が液体の抵抗によって緩やかに拘束される。すなわち、チップ14が空中にある状態と液体に接触している状態とでは、口金10iおよびチップ14からなる系の振動の様子(共振周波数f)が異なる。
チップ14が空中にある状態での口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数をfairとし、チップ14先端が液体に接触している状態での口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数をfwatとすると、fair<fwatとなる。
制御装置は、このことを利用して、チップ14と容器52内の液体59,61との接触を検出する。具体的には、制御装置は、振動測定装置23による口金10iの振動の様子の測定情報を監視しながら電動ピペット10a,10bと容器52とを相対的に近接させてゆき、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fがfwatを含む第一基準範囲B1外になったことをもってチップ14と容器52内の液体とが接触したとみなす。
ここで、制御装置を、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fがfwatを含む第二基準範囲B2内(第一基準範囲B1よりも高周波数の所定の範囲)になったことをもってチップ14と容器52内の液体とが接触したとみなす構成とすれば、チップ14と液体59,61との接触の検出をより確実に行うことができる。
このように、この自動培養装置1では、電動ピペット10a,10bによる容器52内の液体59,61の吸出しの際に、チップ14の先端と液体59,61とが接触したことを容易かつ高精度に検知することができ、チップ14への液滴Dの付着を防止することができるという効果を奏する。
したがって、給排ロボット10の移動の際などに液滴Dの落下や飛散が生じにくく、多数の検体を取り扱う場合においても、各検体の培養処理ごとに自動培養装置1の底面を清掃する必要がなくなり、不要な手間を省くことができるという利点がある。
そして、この自動培養装置1では、このようにチップ14先端と液体59,61との接触の検知が可能であるので、チップ14が液体59,61と接触した時点以降のピペット本体10hと容器52との相対的な移動量を適正に制御することで、チップ14が液体59,61に浸かる量を最小限にして、チップ14への液滴の付着を効果的に防止することができる。
さらに、この自動培養装置1では、ピペット本体10hと容器52との相対的な移動を開始した時点からチップ14と容器52内の液体59,61とが接触する時点までのピペット本体10hと容器52との相対的な移動量の情報に基づいて、容器52内の液面の位置を検出することができる。
ここで、口金10iにチップ14が適正に装着されている状態と適正に装着されていない状態とでは、口金10iの振動の様子が異なる。例えば、口金10iにチップ14が装着されていない場合の口金10iの共振周波数をfとすると、fair<fwat<fとなる。
このことを利用して、チップ14が口金10iに適正に装着されているかどうかを検出することができる。具体的には、口金10iへのチップ取り付け作業直後(電動ピペット10a,10bを容器52に近接させていない状態)で振動発生装置22を作動させて、口金10iの共振周波数がfairを含む第一基準範囲B1内になった場合にはチップ14が適正に装着されているとみなすことができ、それ以外の場合にはチップ14の装着が適正でないとみなすことができる。特に、口金10iの共振周波数がfを含む第三基準範囲B3内(第一、第二基準範囲B1,B2よりも高周波数の所定範囲)にある場合には、口金10iにチップ14が装着されていないとみなすことができる。
このように、この自動培養装置1では、電動ピペット10a,10bの口金10iにチップ14が適正に装着されているかどうかを容易かつ高精度に検出することができるので、チップ14が適正に装着されていない場合にもこれを検知して速やかにチップ14の再装着を行うことができ、自動培養処理を円滑に進めることができる。
以上述べたようにして細胞懸濁液61を培養容器3内に投入し終わると、給排ロボット10は、第1の区画壁33に形成された廃棄口37にチップ14を挿入して取り外し、チップ回収部31に回収させる。廃棄口37において取り外されたチップ14は、ダクト40を介して、最下位の空間S222に配置されている廃棄容器内に投入される。
次に、細胞懸濁液61が投入された培養容器3は、水平移動機構19を作動させることにより、載置台21ごと水平移動させられ、各分注ロボット13の動作範囲内に配置される。分注ロボット13は、チップ供給装置15から受け取った未使用のチップ14を先端に取り付けた電動ピペット12を作動させることにより、試薬等供給装置16の試薬等容器16b内からDMEMや血清、あるいは各種試薬を適量吸引した後に、培養容器3の上方まで搬送して培養容器3内に注入する。血清や各試薬の吸引は、各試薬等の吸引ごとにチップ供給装置15から未使用のチップ14に交換して行われる。これにより、培養容器3内においては、適正な培地内に間葉系幹細胞が混合された状態で存在することになる。なお、培地内において間葉系幹細胞を均一に分布させるために、載置台21を作動させて、培養容器3ごと加振することにしてもよい。
そして、全ての処理を終えた培養容器3は水平移動機構19の作動により、コンベア9の近傍まで移動させられ、そこで、再度、蓋体開閉装置および移載装置の作動により、蓋体3bにより上部開口を閉じられた状態で、トレイ7に戻される。
トレイ7上の全ての培養容器3に対して所定の処理が行われた後に、コンベア9を作動させることにより、トレイ7に載せられた培養容器3が第2空間S2から第1空間S1の中央空間S12内に挿入される。
この状態で、搬送ロボット5を作動させることにより、ハンド5cによってトレイ7を持ち上げる。そして、トレイ7を収容する培養室4の前まで搬送したところで、当該培養室4の扉4aを開き、搬送ロボット5によって、空いているトレイ保持部材4c上にトレイ7を挿入する。そして、再度、扉4aを閉じることにより、培養室4内の培養条件を一定に保持して細胞の培養が行われることになる。なお、細胞懸濁液61の投入や、DMEM、血清、各種試薬の投入や吸引の順序は適宜変更してもよいのは言うまでもない。
また、培地交換や容器交換の際にも、上記と同様にして、培養室4外に配置されている搬送ロボット5の作動により、培養室4内の培養容器3がトレイ7ごと取り出され、第1空間S1から第2空間S2へ受け渡される。第2空間S2では、培養容器3内にトリプシンが注入されて、培養容器3内の細胞が剥離させられた状態で、給排ロボット10の作動によって遠心分離機11内に投入され、間葉系幹細胞等の必要なもののみが集められる。その他の処理工程は上記と同様である。
そして、複数回の培地交換や容器交換を介した所定期間にわたる培養工程を行うことにより、間葉系幹細胞が十分な細胞数まで増殖させられることになる。十分な細胞数に達したか否かは、給排ロボット10の作動により、間葉系幹細胞が底面に付着した培養容器3を顕微鏡17まで搬送することにより、観察あるいは測定され、細胞の増殖の程度が判断される。なお、トレイ7上には、同一検体の培養容器3が載置されていてもよいし、異なる検体の培養容器3が混在していてもよい。また、載置台21上には同一検体の培養容器3が載置されてもよいし、異なる検体の培養容器3が混在していてもよい。
このようにして、本実施形態に係る自動培養装置1により、患者から採取した骨髄液50から十分な細胞数の間葉系幹細胞を自動的に培養することが可能となる。なお、十分な間葉系幹細胞が得られた後には、培養容器3内にリン酸カルシウムのような生体組織補填材およびデキサメタゾンのような分化誘導因子を投入して、再度培養工程を継続することにより、生体の欠損部に補填可能な、生体組織補填体を製造することにしてもよい。
この場合において、本実施形態に係る自動培養装置1によれば、培養室4内に、培養容器3を取り出すための機構部が存在しない。すなわち、培養室4内には、トレイ7を載置した状態に支持するトレイ保持部材4cが設けられているのみであり、培養容器3を取り出すための機構部は全て培養室4外に配置された搬送ロボット5に集約されている。そして、搬送ロボット5は、トレイ7の出し入れ作業が行われた後には、培養室4の扉4aの外側に完全に退避することができるようになっている。
したがって、扉4aが閉じられた状態では、培養室4内に機構部が存在せず、機構部の作動によって発生するような塵埃の発生は全く存在しない。また、培養室4内は、温度37±0.5℃、湿度100%およびCO濃度5%等に維持されるが、機構部が存在しないために、このような環境下においても、腐食等の問題が生ずることがない。また、扉4aが開かれた状態においても、培養室4内に挿入されるのは搬送ロボット5のハンド5c先端のみであり、実質的に回転機構や摺動機構が培養室4内に入ることはない。その結果、培養室4内への塵埃の侵入が抑制され、培養室4内部の清浄度を高めることができる。
なお、培養室4は、COインキュベータ、マルチガスインキュベータ、インキュベータ、または保冷庫等のように、培養に利用されるものあるいはその組合せで構成されていてもよい。
また、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、医療機関等において患者から採取された状態の骨髄液50に何ら前処理を施すことなく培養処理装置30に導入するだけで、早期に間葉系幹細胞を必要細胞数まで増殖させることができる。したがって、医療機関や作業者に特別な設備や作業を発生させることがないという利点がある。
さらに、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、培養処理装置30の第2空間S2内が、第1の区画壁33により上部空間S21と下部空間S22とに区画されている。さらに、上部空間S21には清浄な下降気流を発生させる空気清浄機32が設けられている。そして、第1の区画壁33には、その側壁30a,30b近傍に通気口38が設けられている。第1の区画壁33には、通気口38の他に種々の装置を貫通させるための貫通孔36,37等が形成されているが、通気口38の流通断面積を他の貫通孔36,37等の流通断面積より十分に大きく確保しておくことにより、気流を通気口38に通過させることが可能となる。
したがって、上部空間S21内を下降してきた清浄な気流は、第1の区画壁33の近くで側壁30a,30bの方向に向かい、通気口38を介して下部空間S22へと流通させられる。その結果、上部空間S21内に浮遊していた塵埃を下方に向かって押し流してきた気流が、上部空間S21の側壁30a,30b近傍の角部に滞留することがなく、スムーズに下部空間S22へ流通させられることになる。
さらに、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、蓋体3bを開かれた状態の培養容器3が移動させられる上部空間S21には、培養容器3の移動に必要な載置台21、顕微鏡17のXYテーブル17a、培養容器3の上部開口からアクセスすることが必要な給排ロボット10、分注ロボット13の電動ピペット12、顕微鏡17の光源部分等のみが配置され、その他の機構部は下部空間S22に配置されている。したがって、上部空間S21における塵埃の発生が最小限に抑えられ、培養容器3内への塵埃の混入の可能性が低減されることになる。
また、特に、塵埃を発生する可能性の高い装置、例えば、遠心分離機11、廃棄容器39、排気ファン41等は、下部空間S22の内、さらに第2の区画壁34によって区画された最下位の空間S222内に配置されているので、そこで発生した塵埃が上部空間S21に流入することはない。さらに、空間S222内の空気は排気ファン41によって吸引され、HEPAフィルタ42によって塵埃を除去された後に培養処理装置30の外部に放出される。したがって、上部空間S21の清浄度は、極めて高い清浄度に維持されることになる。
また、第2の区画壁34にも、側壁30a,30bに沿って通気口43が設けられているので、上部空間S21から流入した塵埃を含む気流が、空間S221内に広がることなく、スムーズに空間S222に向けて流通させられることになる。
さらに、培地や細胞が付着した使用済みのチップ14を収容した廃棄容器39は、着脱可能であり、必要によりまたは定期的に交換することで、下部空間S22の清浄度をも高い状態に回復することができる。さらに、廃棄容器39への廃棄の際に使用済みのチップ14を通過させるダクト40も、必要によりまたは定期的に取り外して、交換あるいは清掃することで、清浄度の向上に寄与することができる。
さらに、本実施形態に係る自動培養装置1は、搬送ロボット5の設置されている中央空間S12の上部に、空気清浄部6を備えているので、搬送ロボット5の存在する中央空間S12内も常に清浄度が維持されている。したがって、培養室4の扉4aが開かれたときにも、培養室4内に塵埃が流入することを最小限に抑えることが可能となる。
したがって、本実施形態に係る自動培養装置1によれば、培養中の細胞が塵埃等によって汚染される可能性を低減し、健全な細胞を培養することができるという効果がある。
なお、この発明は、上記実施形態に示した構成に限定されるものではない。すなわち、培養室4の形状や数、搬送ロボット5、給排ロボット10および分注ロボット13の形態や数、各種装置の形態や数等は、何ら限定されることなく、適用条件に合わせて任意に設定することができる。
また、上記実施の形態では、振動検出装置23が、電圧計26によって圧電素子24の電極24c,24d間に生じる電圧を測定し、この情報に基づいて口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fを求める例を示したが、これに限られることなく、他の手法によって口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fを求める構成を採用してもよい。
例えば、図10に示すように、振動検出装置23に、電圧計26の代わりに、電源装置25から圧電素子24に供給される電流を測定する電流計71を設けて、この電流計71の出力(測定値の情報を含む電気信号)を分析装置27によって分析してその周波数成分及び各周波数成分に対応する出力の大きさの情報を取り出す構成としてもよい。
この場合には、電源装置25に前記した掃引動作を行わせた際に、分析装置27が取り出した周波数成分のうち最も出力が大きくなる周波数(すなわち圧電素子24のインピーダンスが最小となる周波数)が、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fである。
また、振動発生装置22の電源装置25にホワイトノイズを出力させたり周波数帯域B内を順次掃引させる代わりに、電源装置25に、前記共振周波数fair,fwat,fのそれぞれの周波数のパルス信号を順次出力させるか、またはこれらパルス信号を合成したパルス信号を出力させて、分析装置27によって電圧計26または電流計71が受信した圧電素子24の電極24c,24d間の電圧波形または電流波形から共振周波数fair,fwat,fの成分をそれぞれ抽出するようにしてもよい。この場合には、分析装置27によって抽出された各共振周波数成分の出力の大きさに基づいて、現在の電動ピペット10aの状況を検出することができる。
具体的には、各共振周波数成分の出力のうちfair成分の出力が最も大きい場合にはチップ14は空中にあるとみなすことができ、各共振周波数成分の出力のうちfwat成分の出力が最も大きい場合にはチップ14は液体59,61に接触しているとみなすことができ、各共振周波数成分の出力のうちf成分の出力が最も大きい場合には電動ピペット10aにチップ14が装着されていないとみなすことができる。
また、上記実施の形態では、自動培養装置1を、口金10iおよびチップ14からなる系の共振周波数fが、第一基準周波数域B1内にあるかどうかに基づいてチップ14と容器52内の液体59,61との接触を検知する構成とした例を示したが、これに限られることなく、単純に、口金10iおよびチップ14からなる系の振動の様子(共振周波数以外の要素も含む)が変動したことをもって、チップ14と容器52内の液体59,61とが接触したとみなすようにしてもよい。
また、上記実施形態では、振動発生装置22を、口金10iに振り子モードの振動を生じさせる構成とした例を示したが、これに限られることなく、振動発生装置22は、口金10iに他の振動モードを生じさせる構成としてもよい。
例えば、図11に示すように、振動発生装置22において、圧電素子24の代わりに圧電素子72を設けてもよい。圧電素子72は、圧電素子24において、圧電体24a,24bの代わりにその分極の向きが口金10iの軸線方向に略平行にして単一の層状の圧電体24eを設けたものであって、電極24c,24dに交流電圧を入力することで、口金10iの軸線方向に伸縮するものである。
この構成を採用することで、口金10iにその軸線方向の振動(縦振動モード)を生じさせることができる。
また、例えば図12に示すように、ピペット本体10hと口金10iとの接続部に、互いに対向しかつそれぞれ口金10iの軸線に略平行な面F1,F2を一対以上設けて、これら対向する面F1,F2間に、口金10iの軸線に略平行な面上でこの軸線を挟んで対称にして配置される平面視略円弧状の一対の圧電体81a,81bと、これら圧電体81a,81bと面F1との間に設けられる電極81cと、これら圧電体81a,81bと面F2との間に設けられる81dとを有する圧電素子81を設けてもよい。
圧電体81aと圧電体18bとは、それぞれ分極方向を面F1,F2の面に略直交する向きに向けられており、かつ互いの分極の向きを逆向きにして設けられており、電極81c,81d間に電圧を入力すると圧電体81aと圧電体81bとのうちの一方が伸張し他方が収縮して、口金10iをその軸線回りの一方向に所定角度回転させることができる。そして、電極81c,81d間に交流電圧を入力することで、口金10iにその軸線回りの正逆回転方向に揺動する振動(ねじれモード)を生じさせることができる。
また、上記実施形態では、給排ロボット10にのみ、振動発生装置22、振動測定装置23を設けた例を示したが、この構成を分注ロボット13にも設けて、電動ピペット12による試薬等容器16b内の液体の吸出しの際におけるチップ14と液面との接触の検知およびチップ14の装着状態の検出を行う構成としてもよい。
また、成長因子としては、サイトカインの他に、例えば、濃縮血小板、BMP、EGF、FGF、TGF−β、IGF、PDGF、VEGF、HGFやこれらを複合させたもの等の成長に寄与する物質を採用することにしてもよい。また、抗生剤としては、ペニシリン系抗生物質の他、セフェム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ホスホマイシン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン系等任意の抗生物質を採用することができる。
なお、本発明に係る自動培養装置は、骨髄の間葉系幹細胞の培養に限定されるものではない。生体の種々の組織から採取された細胞や、樹立された細胞ラインを培養してもよい。
また、生体組織補填材としては、リン酸カルシウムに代えて、生体組織に親和性のある材料であれば任意のものでよく、生体吸収性の材料であればさらに好ましい。特に、生体適合性を有する多孔性のセラミックスや、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒアルロン酸、またはこれらの組合せを用いてもよい。また、チタンの様な金属であってもよい。また、生体組織補填材は、顆粒状でもブロック状でもよい。
この発明の一実施形態に係る自動培養装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の第1空間を概略的に示す縦断面図である。 図1の自動培養装置の第1空間を概略的に示す平面図である。 図1の自動培養装置において用いられる培養容器の一例を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の給排ロボット10を模式的に説明する図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の第1の区画壁を除去して第2の区画壁上の装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の第1および第2の区画壁を除去して最下位の空間内に設置された装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の廃棄容器に接続するダクトの取付構造例を示す縦断面図である。 図1の自動培養装置による検体抽出工程の一部(後半)を説明する図である。 図1の自動培養装置の他の形態例を模式的に示す正面図である。 図1の自動培養装置の他の形態例を模式的に示す正面図である。 図1の自動培養装置の他の形態例を模式的に示す平断面図である。
符号の説明
1 自動培養装置
3 培養容器
10 給排ロボット(ピペット装置)
10h ピペット本体(装置本体)
14 チップ(吸い口)
22 振動発生装置
23 振動測定装置
24,72,81 圧電素子
27 口金(先端部)
30 培養処理装置

Claims (5)

  1. 培養容器内部の検体の培養処理に用いられて、この培養処理の過程でピペット装置による前記培養容器や他の容器からの液体の吸出しを行う培養処理装置であって、
    前記ピペット装置は、装置本体と、
    該装置本体の先端部に設けられる吸い口と、
    該吸い口または前記先端部に振動を入力する振動発生装置と、
    前記吸い口または前記先端部の振動の様子を測定する振動測定装置とを有している培養処理装置。
  2. 前記振動発生装置が、前記吸い口に振動を入力する発振子となる圧電素子を有しており、
    前記振動測定装置は、前記圧電素子の電気的挙動に基づいて前記吸い口または前記先端部の振動の様子を測定する構成とされている請求項1記載の培養処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の培養処理装置を備える自動培養装置。
  4. ピペット装置の装置本体の先端部に設けられる吸い口と容器内の液体の液面との接触を検出する接触検出方法であって、
    前記吸い口または前記先端部に振動を付与し、
    該吸い口または前記先端部の振動の様子を測定しながら前記吸い口を前記液面に相対的に近接させてゆき、
    前記吸い口または前記先端部の振動の様子に有意な変動が生じたことをもって前記吸い口と前記液面とが接触したとみなす接触検出方法。
  5. 装置本体の先端部にチップを装着して該チップを吸い口として利用するピペット装置の前記先端部に、前記チップが適正に装着されているかどうかを検出するチップ装着状態検出方法であって、
    前記先端部に振動を付与して該先端部の振動の様子を測定し、
    該先端部の振動の様子が基準範囲内にある場合には前記チップが適正に装着されているとみなし、前記基準範囲外にある場合には前記チップが装着されていないかまたは装着が適正でないとみなすチップ装着状態検出方法。
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