JP2005337048A - ガスエンジン装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 着火性が良く、高熱効率、そして窒素酸化物の排出量を低減可能とし、さらにはノッキングの防止を可能とするガスエンジン装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 シリンダ1とピストン4により形成される燃焼室へガス燃料と酸化剤とを供給し、上記燃焼室で圧縮された混合気を着火装置5により着火するガスエンジン装置において、着火装置5は、燃料の爆轟により超高温のプラズマを生成し、該プラズマが進行する方向に延びる噴射予室16と、該噴射予室から放射状に延びて外周部で噴射開口17Bを形成する複数の噴射孔17とを有し、各噴射開口はシリンダの軸線方向に細長いスリット形状をなしていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリンダ1とピストン4により形成される燃焼室へガス燃料と酸化剤とを供給し、上記燃焼室で圧縮された混合気を着火装置5により着火するガスエンジン装置において、着火装置5は、燃料の爆轟により超高温のプラズマを生成し、該プラズマが進行する方向に延びる噴射予室16と、該噴射予室から放射状に延びて外周部で噴射開口17Bを形成する複数の噴射孔17とを有し、各噴射開口はシリンダの軸線方向に細長いスリット形状をなしていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガスエンジン、特に、パイロット着火式ガスエンジン装置に関する。
この種のガスエンジンとしては特許文献1に開示されているものが知られている。
この特許文献1のエンジンは、シリンダ内へガス燃料と空気との予混合気を充填し、圧縮行程時に着火性のよいディーゼル燃料をノズルから噴射して上記予混合気に点火させるようになっている。
上記の特許文献1のエンジンでは、着火用のディーゼル燃料のノズルをシリンダヘッドの吸入バルブ近傍に設け、ガス燃料噴射ノズルはシリンダ壁に設けられている。かかる特許文献1のエンジンは、シリンダ内に吸入された空気中に吸入行程後期から圧縮行程後期の間の適正な時期にガス燃料を噴射させるガス燃料噴射ノズルがシリンダ壁から上記シリンダ内に臨ませて設けられているので、特許文献1によると、吸気行程時には空気のみをシリンダ内に吸入するためにシリンダ内に吸入する空気量を増大させることができ、したがって、エンジンの出力を向上させることができるとされている。
特開平6−137150
しかしながら、着火源として液体燃料を噴射する上記特許文献1のガスエンジンでは、次のような点で、改善が求められている。
先ず、ガスエンジンのみならず、他の形式のエンジンの場合にも共通しているが、液体燃料を着火源として噴射するエンジンにあっては、燃焼用のガスの温度が低い場合、上記着火源として噴射される液体燃料がその気化熱により温度が下がってしまい、特に始動時に着火しにくいという点がある。さりとて、吸気温度を高めると体積効率が低下してしまう。
また、着火用の燃料が液体燃料なので、燃焼時間が比較的長く、煤等の未反応物質が多く排出される傾向にある。
さらには、空気過剰率を下げると、窒素酸化物の排出量が増大する。
これに加えて、着火源としての液体燃料の噴射は、火炎が前方に向けて大きく拡がってシリンダ内壁付近の未燃ガスを圧縮するために、ノッキングが起きやすい。仮に、噴射口を複数設けて複数の火炎を形成しても、それらの火炎がほぼ円弧状につながってしまい、解決策とならない。
本発明は、このような点に鑑み、着火性が良く、高熱効率、窒素酸化物の排出濃度の低減を可能とし、さらには着火源として超高温プラズマを噴射し、この噴射プラズマがその幅が拡がらずに鋭いビーム状をなすようにして上記のノッキングが起きにくいパイロット着火式のガスエンジン装置を提供することを目的とする。
本発明のガスエンジン装置は、シリンダとピストンにより形成される燃焼室へガス燃料
と酸化剤との混合気を供給し、上記燃焼室で圧縮された混合気を着火装置により着火するようになっている。
と酸化剤との混合気を供給し、上記燃焼室で圧縮された混合気を着火装置により着火するようになっている。
かかるガスエンジン装置において、本発明では、着火装置は、燃料の爆轟により超高温のプラズマを生成し、該プラズマが進行する方向に延びる噴射予室と、該噴射予室から放射状に延びて外周部で噴射開口を形成する複数の噴射孔とを有し、各噴射開口はシリンダの軸線方向に細長いスリット形状をなしていることを特徴としている。
このような構成の本発明によれば、放射状に延びて設けられた複数の噴射孔の開口から噴射されるプラズマ流は、シリンダの軸線方向に細長く、すなわち周方向で狭い幅に形成されるので、プラズマ噴流と混合気の温度差が大きく粘度差が大きいため混合気を巻きこまないことと相俟って隣接するプラズマ噴流同士の干渉がなく、これらがつながって円弧状に伝播されるということが防止される。したがって、複数のプラズマ噴流はシリンダの内壁まで細いビームを保ったまま到達し、その間に混合気を圧縮せず、シリンダ内壁に到達して一度に多点着火して混合気を燃焼させる。こうして、ノッキングが防止され、その結果、高圧縮比運転ができるので熱効率の向上が図れると共に、エンジンの長寿命化が図れる。
本発明において、噴射孔は、軸線を含む面での断面形状がラバールノズル形状をなしていることが好ましい。このラバールノズル形状により、上記周方向での狭い幅を保ったまま、プラズマ流は速度を低下することなく進行し、周囲の混合気の巻き込みが抑制され、この点でも、上記多点着火促進、ノッキング防止が図れる。
本発明において、噴射予室は、噴射孔の位置よりもプラズマ進行方向前方の位置に終端壁を有し、該終端壁はプラズマ進行方向に対し直角な壁面をなしていることが望ましい。プラズマは衝撃波を伴って進行する。その際、上記のような終端壁を有していると、この衝撃波は終端壁で反射衝撃波を生じる。この反射衝撃波が往復する際に噴射孔からプラズマ流が複数回噴射される。その結果、混合気の完全燃焼を促進し、エンジンの低公害化に貢献する。
また、本発明において、噴射孔を形成する部材は、耐熱材料で作られていること、そして冷却構造を有していることのいずれか一方を満足していることが好ましく、さらには、周囲とは別部材として形成されていて交換可能となっていることがより好ましい。
噴射孔の内面は高温下におかれるので、噴射孔を形成する部材が耐熱材料で作られることそして冷却構造を有していることにより長寿命化が図れ、ひいては作動の信頼性が向上する。耐熱材料としてはチタン合金、クロム・モリブデン鋼、セラミック等を用いることができる。冷却構造としては水冷構造や油冷却構造を用いることができる。また、上記部材が交換可能となっていれば、仮に焼損があっても部品交換により直ぐに対処でき、そのコストも安い。さらには、噴射孔に関しての作動条件の変更にも容易に対応できる。上記噴射孔を形成する部材が複数の部材で形成されていることとするならば、必要最低限の部材のみの交換ですむと共に、ラバールノズルの形状の加工も容易となる。
本発明は、以上のごとく、シリンダ内の圧縮混合気は、着火装置から噴出される超高温のプラズマで着火されるようにしたので、この噴射プラズマ流がシリンダ内の混合気に対して広範囲で着火することとなり、燃焼が均一に行われて低公害となり、また、ノッキングが抑制されて高圧縮比運転のもとで高熱効率を得られる。特に、上記噴射プラズマ流は噴射孔の細長い開口から噴射されるので、幅方向での拡散が抑制されつつ前進してシリンダ壁に達してから混合気に対して広範囲で瞬時に着火するので、その効果が大きい。した
がって、ノッキング抑制によりエンジンの耐久性が向上し、高圧縮比運転により熱効率が改善される。また、上述のごとく、噴射孔の開口の幅が小さいので、幅方向すなわち周方向で噴射孔を複数形成することが可能となり、その場合には、開口ごとに噴射プラズマ流が分散形成されるため多点着火を促進し、この点でもノッキング防止が図られる。
がって、ノッキング抑制によりエンジンの耐久性が向上し、高圧縮比運転により熱効率が改善される。また、上述のごとく、噴射孔の開口の幅が小さいので、幅方向すなわち周方向で噴射孔を複数形成することが可能となり、その場合には、開口ごとに噴射プラズマ流が分散形成されるため多点着火を促進し、この点でもノッキング防止が図られる。
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
図1の本実施形態のガスエンジン装置において、符号1はエンジンのシリンダであり、シリンダヘッドには吸気管2と排気管3が設けられ、そこには、吸気弁2Aそして排気弁3Aが配されている。また、シリンダ1内にはピストン4が設けられている。
上記シリンダ1のシリンダヘッドには、着火装置5が取り付けられていて、制御装置6によって、制御されている。
着火装置5は、図2に拡大して示されるように、本体7が上本体7Aと下本体7Bとに分割され、シール7Cにより密封状態で、図示しないボルト等で連結されている。
上本体7Aの上部には中空の予燃焼室8が形成されていて、適宜手段によって燃料と酸化剤の混合気が供給され、燃焼して高圧の燃焼排ガスを発生する。この予燃焼室8は、導孔9を介して下述の分散部10に連通している。該分散部10は、上部材11と下部材12で形成されている。
分散部10は、上記導孔9から半径方向に大きく拡径する円盤状空間10Aと、該円盤状空間の外周部で周方向の複数位置に貫通形成された一次細孔10Bと、該複数の一次細孔10Bが連通する環状空間10Cと、該環状空間10Cの範囲で貫通形成された複数の二次細孔10Dとから形成されている。かくして、予燃焼室8で生成された高圧の燃焼排ガスによって圧縮された混合気の爆轟により発生した爆轟波は、円盤状空間10A、一次細孔10B、環状空間10C、そして二次細孔10Dを経て伝播されることにより分散されて次の収束室13へ導入される。
上記収束室13は、上記下本体7Bの弯曲回転内面と上記下部材12の下側突出部12Aの外周面との間で形成されており、下方に向けて空間横断面が次第に小さくしかも中央部へ向けて変向するように形成されている。
上記下部材12の下側突出部12Aの内部空間には、段状ピストン14が上下移動自在に収められている。この段状ピストン14の大径部材14Aの上下空間のそれぞれには、図1に見られるように、例えば油圧制御装置としての既出の制御装置6の配管6A,6Bが連通している。
上記段状ピストン14の小径部材の下端部は、テーパ部分を有する弁部14Bを形成していて、上記下本体7Bの弯曲回転内面の中央部に取り付けられた管状弁座体15と協働する。該管状弁座体15は、上部に形成された大径の弁座部15Aと、ここから下方に延びる管状部15Bとを有している。上記弁座部15Aの上面中央部には、上記段状ピストン14の下端部に形成されたテーパ部分が係止するテーパ状の弁座が設けられていて、該弁座からは下方に延びる開口せる筒状中空空間が形成されている。この筒状中空空間は上記下本体7Bの突出部7Dの下壁により閉塞されていて終(下)端としての壁面16Aを有する噴射予室16を、上記弁座と該壁面16Aとの間で形成する。上記壁面16Aは後述の噴射孔17よりも下方に位置し、プラズマ進行方向に対して直角な平坦面を形成している。
上記管状弁座体15の管状部15Bの下端には、周方向の四箇所で下方に開放され半径外方に貫通する溝部17Aが形成されており、上記下本体7Bの突出部7Dと相俟って軸方向に細長いスリット状の開口17Bを有する噴射孔17を形成している。該噴射孔17は、図2において紙面と平行な面での断面形状は、半径外方に向け下向きのラバールノズル形状をなしている。すなわち、上記溝部17Aが弯曲形状をなして喉部を形成し、流路面積が該喉部までは次第に小さく、喉部から外方に向けて大きく拡がっている。このように、図2及びこの噴射孔17での横断面を示す図3にも見られるように、放射状に周方向の四箇所に形成された噴射孔17は、軸線方向に細長い、換言すれば周方向に幅の狭いスリット状の開口を有したラバールノズル形状を有している。
このような構成の本実施形態装置は、次のように作動する。
(1)先ず、図2の状態で、予燃焼室8での燃料と酸化剤との混合気の燃焼が行われ、高圧の燃焼排ガスが生成される。高圧の燃焼排ガスが下流側の混合気を圧縮して圧力を高くし、爆轟を生じさせ爆轟波を発生させる。
(2)爆轟波は分散部10を経て分散され収束室13へ導入される。
(3)図1に見られるように、段状ピストン14は制御装置6にしたがい配管6Aからの背圧を受けて、該段状ピストン14の弁部14Bが弁座部15Aを閉じている。上記収束室13内では、下方に向けて収束室の断面積が小となるために、爆轟波は収束され収束爆轟波となり、超高温のプラズマを発生させる。
(4)次に、ピストン4が上死点に至近してシリンダ1内の混合気が圧縮されたとき、制御装置6によって配管6Bからの瞬時の圧力により段状ピストン14はこれに同期して上昇し、上記弁部14Bは弁座部15Aとの間に流路を形成する。したがって、超高温プラズマは、この流路から、瞬間的に噴射予室16内を下方に進行する。
(5)この超高温プラズマは、噴射孔17からシリンダ1内へ噴射される。その際、上記噴射予室16内を下方に進行する衝撃波は終端の壁面16Aで反射して反射衝撃波を形成し、この反射衝撃波によっても、プラズマが上記噴射孔17から噴射される。この反射衝撃波は収束室を経由して予燃焼室まで伝播し、予燃焼室の上流端で反射し、噴射予室まで伝播して、噴射孔からプラズマが噴射される。このような衝撃波の反射は数度、繰り返される。
(6)噴射孔17から噴射された超高温プラズマは、シリンダ1内で圧縮された混合気を着火する。その際、上記プラズマは、細長い噴射孔17の開口17Bから噴射されるので、その幅(周方向の幅)が狭いビームBを維持したまま、周囲の混合気を巻き込むことなく、半径外方へシリンダ1の内面にまで達する。しかるに、一度に多点着火し、混合気が燃焼し、ノッキングを伴うことがない。
本発明において、ラバールノズル形状をなす噴射孔を形成する部材は、周囲部材とは別部材となっていることが好ましい。こうすることにより、ラバールノズル形状を簡単に成形できるし、補修そして交換が容易に行える。また、焼損を抑制するために、上記部材を耐熱材で作ったり、冷却構造を有しているようにすることも望まれる。
上記の実施形態では、収束室を設け、爆轟波を収束して収束爆轟波を形成して超高温プラズマを発生させるが、収束させずに爆轟波により超高温プラズマを発生させてもよい。
上記の実施形態では複数の噴射孔を有する場合について述べたが、噴射孔を一つ設けるようにしてもよい。その場合は、着火装置を少なくとも二つ設けて、シリンダ内に超高温プラズマを少なくとも二つ噴射するようにする。
1 シリンダ
4 ピストン
5 着火装置
16 噴射予室
16A 終端壁の壁面
17 噴射孔
17B 噴射開口
4 ピストン
5 着火装置
16 噴射予室
16A 終端壁の壁面
17 噴射孔
17B 噴射開口
Claims (6)
- シリンダとピストンにより形成される燃焼室へガス燃料と酸化剤とを供給し、上記燃焼室で圧縮された混合気を着火装置により着火するガスエンジン装置において、着火装置は、燃料の爆轟により超高温のプラズマを生成し、該プラズマが進行する方向に延びる噴射予室と、該噴射予室から放射状に延びて外周部で噴射開口を形成する複数の噴射孔とを有し、各噴射開口はシリンダの軸線方向に細長いスリット形状をなしていることを特徴とするガスエンジン装置。
- 噴射孔は、シリンダの軸線を含む面での断面形状がラバールノズル形状をなしていることとする請求項1に記載のガスエンジン装置。
- 噴射予室は、噴射孔の位置よりもプラズマ進行方向前方の位置に終端壁を有し、該終端壁はプラズマ進行方向に対し直角な壁面をなしていることとする請求項1に記載のガスエンジン装置。
- 噴射孔を形成する部材は、耐熱材料で作られていること、冷却構造を有していることのいずれか一方を満足していることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載のガスエンジン装置。
- 噴射孔を形成する部材は、周囲とは別部材として形成されていて交換可能となっていることとする請求項1ないし請求項4のうちの一つに記載のガスエンジン装置。
- 噴射孔を形成する部材は複数の部材で形成されていることとする請求項1ないし請求項5に記載のガスエンジン装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004154359A JP2005337048A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | ガスエンジン装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004154359A JP2005337048A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | ガスエンジン装置 |
Publications (1)
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JP2005337048A true JP2005337048A (ja) | 2005-12-08 |
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ID=35490900
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2005337048A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014129788A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 副室式ガスエンジン |
-
2004
- 2004-05-25 JP JP2004154359A patent/JP2005337048A/ja active Pending
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JP2014129788A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 副室式ガスエンジン |
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