JP2005336897A - ボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置 - Google Patents

ボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 常時及び小規模地震時には固定、大規模地震時にはストッパーの保持力を段階的に低減するようにしたボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置を提供する。
【解決手段】 橋梁の橋軸直角方向への移動を拘束し、橋軸方向への移動は拘束しないストッパー13を備え、該ストッパー13を複数のボルト14により固定部材11に固定し、これら複数のボルト14を段階的に破断させる複数種類のボルト孔手段15を備えたボルト破断型緩衝ストッパー装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、橋梁の耐震性確保のために使用されるボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置に関する。なお、本明細書において、橋梁とは、鉄道橋、道路橋を総称するものとする。
分散・免震設計された橋梁において、小規模地震では、車両等の走行性を安定させるため、並びに伸縮装置やジョイント部の保護のため、橋梁が橋軸直角方向に移動しないような固定機能が確保されたストッパーが設置されている場合がある。このストッパーは、大規模地震では、構造物の破壊を防ぐために確実に固定機能が破壊される必要がある。通常、このようなストッパーは水平反力分散装置または免震装置に一体的に組み込まれている。従来、このようなストッパーを備えた免震装置の例として、橋桁と橋脚間に免震ゴム支承を挾持し、該免震ゴム支承の橋軸直角方向の両側に、常時及び小規模地震時は免震ゴム支承が橋軸直角方向に変形しないようなサイドブロックを配置し、大規模地震時は該サイドブロックが地震力により外れるような手段を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−284115号公報
ところで、上記のようなストッパーは、大規模地震では確実に固定機能が破壊され、スムーズに弾性支持(分散・免震機能)へ移行することが望ましい。もし、衝撃的な破壊が生じると橋梁本体の挙動が急激に変化し、橋脚や橋台に過大な水平力が載荷されるおそれがある。特許文献1に示されるサイドブロックのようなストッパー構造では、サイドブロックが一度に外れるようになっているため、サイドブロックの衝撃的な破壊に対して無防備となる問題がある。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、常時及び小規模地震時には固定、大規模地震時にはストッパーの保持力を段階的に低減するようにしたボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置を提供することを目的とする。
本発明に係るボルト破断型緩衝ストッパー装置は、橋梁の橋軸直角方向への移動を拘束し、橋軸方向への移動は拘束しないストッパーを備え、該ストッパーを複数のボルトにより固定部材に固定し、これら複数のボルトを段階的に破断させる複数種類のボルト孔手段を備えたことを特徴とする。
より具体的には、橋桁及び下部構造物に固定される上部及び下部の固定部材と、このうち一方の固定部材に複数のボルトにより固定されたストッパーと、他方の固定部材に橋軸方向に設けられ、前記ストッパーの側面が係合する溝部と、前記複数のボルトを段階的に破断させる複数種類のボルト孔手段とを備えたことを特徴とするボルト破断型緩衝ストッパー装置である。
また、本発明のボルト破断型緩衝ストッパー装置における複数種類のボルト孔手段は、前記ストッパーに設けられるボルト孔の形状を複数種類異なるものに形成するものである。
また、本発明の橋梁の免震装置は、橋桁と下部構造物の間に、本発明の前記ボルト破断型緩衝ストッパー装置とストッパー機能を有しないゴム支承とを別個に配置するものである。
ここで、本発明の橋梁の免震装置は、免震ゴム支承を用いた橋梁の免震構造のほか、分散ゴム支承を用いた橋梁の水平反力分散構造のものを含む概念である。
さらにまた、本発明の橋梁の免震装置は、橋桁と下部構造物の間に、本発明の一対の前記ボルト破断型緩衝ストッパー装置を一体的に組み込んだゴム支承を配置するものである。
本発明によれば、橋梁の橋軸直角方向への移動を拘束するストッパーを複数のボルト及びボルト孔手段を介して固定しているため、常時及び小規模地震時にはストッパーは固定となっており、大規模地震時には複数のボルトをボルト孔手段によって段階的に破断していくので、ストッパーの保持力を徐々に低減させることができる。したがって、ストッパーは大規模地震時でも衝撃的な破壊とならず、橋脚や橋台等の下部構造物に過大な水平力を載荷することはない。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明のボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置の概念図で、橋軸直角方向の断面を示している。図2は図1のA−A断面図である。
この実施形態による免震装置は、橋桁101と下部構造物(橋脚、橋台等)103の間に、ボルト破断型緩衝ストッパー装置10と従来の免震ゴム支承20とを別個に配置したものである。ただし、免震装置20は、橋軸直角方向にストッパーを持たない構造のものである。図1において、21はゴム沓部で、鋼板とゴムを交互に積層したものである。22、23はゴム沓部21を取り付ける上部取付板及び下部取付板である。また、102は上部取付板22を橋桁101に固定するボルト、104はベースプレート105を下部構造物103に固定するアンカーボルトで、下部取付板23はベースプレート105にボルトで固定される。
ボルト破断型緩衝ストッパー装置10は、橋軸直角方向にストッパー機能を有するものであり、橋桁101にボルト102で固定される固定板等からなる上部固定部材11と、アンカーボルト104により下部構造物103に固定される下部固定部材12と、上部固定部材11に複数のボルト14及び後述する複数種類のボルト孔手段15を介して固定されたストッパー13と、ストッパー13の両側面が係合し下部固定部材12に橋軸方向に設けられた溝部16とから構成されている。このストッパー13により、橋梁の橋軸直角方向への移動を拘束し、橋軸方向への移動は拘束しない構造となっている。なお、溝部16は橋軸方向に伸びる凹部でもよい。
ストッパー13は、図2を参照すると、15本のボルト14により上部固定部材11に取り付けられている。そして、各々のボルト14が通る貫通孔であるボルト孔は、孔形状が、円形、菱形、及びそれよりも長目の長菱形の3種類となっている。すなわち、ボルト孔手段15は、複数のボルト14を段階的に破壊させるようにストッパー13に設けられるボルト孔の形状を複数種類に異ならしめたものであり、この例では、1段目のボルト14を破断させる丸孔15aと、2段目のボルト14を破断させる菱形孔15bと、3段目以降のボルト14を破断させる菱形孔15bより長目の長菱形孔15cとからなっている。菱形孔15b及び長菱形孔15cは橋軸直角方向に変位可能にボルト孔形状が変形された変形ボルト孔の一例である。なお、図2において、丸孔部分に挿通されるボルトは図示を省略している。
さらに、図3によりボルト14とボルト孔の関係を説明する。すなわち、1段目のボルト孔を変形の少ない丸形にし、2段目以降のボルト孔を橋軸直角方向へ変形が可能な菱形にする。
丸孔部のボルト14が破断する際には、菱形孔部のボルト14は菱形孔15bの孔壁に接触しているため、ボルト破断時の急激な荷重低下を防止している。そして、菱形孔部のボルト14は破断耐力に至るまでボルト孔を塑性変形させながら押し進む機構となっている。
3段目以降のボルト破断は、菱形孔の水平移動距離を長くした長菱形のボルト孔とすることにより、上記と同様の効果を得るものである。
図4はこのボルト破断型緩衝ストッパー装置10のストッパー13の荷重と変位の関係を示すグラフである。図4中のa点で1段目のボルトが破断し、b点及びc点でそれぞれ2段目、3段目のボルトが破断する。しかも、荷重(ストッパーの保持力)は1段目のボルトが破断しても零にはならず、荷重が低下した荷重低下点dから次の2段目に移行して、2段目のボルトが破断する位置b点まで荷重は上昇する。3段目のボルトの場合も同様であり、2段目のボルトが破断することにより荷重が低下した荷重低下点eから3段目に移行し3段目のボルトが破断する位置c点まで荷重は上昇する。このようにしてストッパーに対する保持力が徐々に低下していく。そして、全てのボルトが破断した後、荷重(ストッパーの保持力)は零となる。このようなストッパー13の荷重−変位特性はボルト破断試験により確認されている。
したがって、上記のようなボルト孔手段15を介してストッパー13を複数のボルト14で上部固定部材11に固定することにより、橋脚を常時、橋軸直角方向に対して固定とすることができる。そして、地震時に橋軸直角方向へ水平力が作用した場合には、相対的に、ストッパー13の側面を下部固定部材12の溝部16によって押すことになる。しかし、小規模地震では、ボルト14は破断せずストッパー13が固定となっているため、橋梁は橋軸直角方向に拘束され固定となっている。また、橋軸方向の地震エネルギーは免震ゴム支承20により吸収し減衰させるので、橋軸方向の地震エネルギーを軽減できる。
大規模地震時において、ボルト14のせん断耐力を超える水平力が作用した場合には、まず最初に、丸孔15aのボルト14が破断する。次に、菱形孔15bのボルト14が破断し、最後に長菱形孔15cのボルト14が破断する。このようにストッパー13を固定している複数のボルト14が段階的に破断していく。このため、ストッパー13の保持力が徐々に低下していくので衝撃的な破壊とはならず、橋梁の挙動に急激な変化を生じさせない。したがって、下部構造物103に衝撃的な力が加わることを回避することができる。また、ボルト14が段階的に破断する過程において、ストッパー13のボルト孔壁を塑性変形させるので、ボルト孔手段15は地震エネルギーを吸収する効果もある。さらに、ボルト14が全数破断した後では、このボルト破断型緩衝ストッパー装置10の橋梁との結合は完全にフリーとなるが、免震ゴム支承20により地震エネルギーを吸収し減衰させるので、地震エネルギーの橋梁への伝達を橋軸方向及び橋軸直角方向共に緩和・軽減させることができる。
上記の説明では、ボルト孔の形状を1段目は丸孔、2段目以降は菱形孔(長菱形孔を含む)の組み合わせとしたが、図5のような組み合わせとすることもできる。すなわち、図5(a)のように、1段目は丸孔、2段目以降は楕円孔、または図5(b)のように、1段目は丸孔、2段目以降は鍵状長孔、あるいは図5(c)のように、1段目は丸孔、2段目以降は斜めの長孔(橋軸直角方向の軸線に対して傾斜した長孔)の組み合わせとしてもよく、同様の効果がある。また、1段目のボルト孔形状を図5(d)、(e)のように四角形や正多角形にしてもよい。
以上のように、1段目のボルト破断用孔形状を、丸孔や四角形、正多角形とし、2段目以降は菱形孔や楕円孔、鍵状長孔、斜めの長孔など任意の変形ボルト孔とすることができる。
上述のボルト孔手段15は、主に、ストッパー13に設けられるボルト孔の形状と、このボルト孔に挿通しストッパー13を固定するボルト14との組み合わせによるものとしたが、そのほかのファクターとしては、ボルト14の材質やボルト径、本数、ストッパー13の材質や板厚などがあげられ、これらのファクターを適宜選定して段階的ボルト破断を行うものである。
図6は、本発明の他の実施の形態によるボルト破断型緩衝ストッパー装置10の断面図である。
この実施の形態は、ストッパー13を図1と上下逆の取付方をしたものであり、この方法でも同様の効果がある。ストッパー13は複数のボルト14と上記のボルト孔手段15を介して下部固定部材12に固定され、このストッパー13の側面に係合し橋軸方向に溝部16を設けた上部固定部材11を橋桁101にボルト102で固定するものである。その他の構成は図1乃至図5に示したものと全く同じである。
図7は、本発明の他の実施の形態を示す免震装置の断面図である。
この実施の形態は、ボルト破断型緩衝ストッパー装置10を免震ゴム支承20に組み込み一体化したものである。すなわち、免震ゴム支承20を下部構造物103に固定するベースプレート105の橋軸直角方向の両側に一対のボルト破断型緩衝ストッパー装置10を配置したものである。このボルト破断型緩衝ストッパー装置10は、ストッパー13、13をそれぞれ複数のボルト14及びボルト孔手段によりベースプレート105の両側に固定するとともに、ストッパー13、13の側面に当接する当接部材17、17を免震ゴム支承20の上部取付板22に垂設する構成となっている。
したがって、この免震ゴム支承20は、一対のボルト破断型緩衝ストッパー装置10が一体的に組み込まれているので、常時及び小規模地震時においては、橋軸直角方向にストッパー機能を有する構造となっている。
この実施の形態の免震ゴム支承20でも、大規模地震時には前述のようにボルト破断型緩衝ストッパー装置10が段階的にボルト14を破断していくので同様の作用効果を奏する。
図8は、本発明のさらに他の実施の形態を示す免震装置の断面図で、図9は図8のB−B断面図である。
この実施の形態も、ボルト破断型緩衝ストッパー装置10を免震ゴム支承20に組み込み一体化したものである。すなわち、図1に示したボルト破断型緩衝ストッパー装置10を上部取付板22とベースプレート105の橋軸直角方向の両側に配置したものであり、同様の作用効果を奏する。なお、この例では、ストッパー13のボルト孔手段15のボルト孔として、図9に示すように、1段目の丸孔、2段目の楕円孔、3段目のやや長い楕円孔を橋軸方向に1列に並べた構成としているが、特にこれに限定されるものではない。
以上に述べた各実施の形態では、ボルトを段階的に破断させるものとしたが、ボルトの代わりにピンを用いてもよい。この場合、ピンは上部または下部の固定部材の穴に、例えば圧入もしくは挿入して取り付けられる。ボルト孔の形状はそのままピンを段階的に破断させる手段として適用することができる。また、ストッパーの落下を防ぐにはピンに鍔を設ければよい。したがって、本発明において「ボルト」とは、ボルトのほかにピンを含むものと解すべきである。
本発明のボルト破断型緩衝ストッパー装置及び橋梁の免震装置の概念図。 図1のA−A断面図。 ボルトとボルト孔の関係を示す説明図。 ボルト破断型緩衝ストッパー装置のストッパーの荷重−変位線図。 ボルト孔形状の他の例を示す説明図。 本発明の他の実施の形態によるボルト破断型緩衝ストッパー装置の断面図。 本発明の他の実施の形態による免震装置の断面図。 本発明のさらに他の実施の形態による免震装置の断面図。 図8のB−B断面図。
符号の説明
10 ボルト破断型緩衝ストッパー装置、11 上部固定部材、12 下部固定部材、13 ストッパー、14 ボルト、15 ボルト孔手段、15a 丸孔、15b 菱形孔、15c 長菱形孔、16 溝部、17 当接部材、20 免震ゴム支承、21 ゴム沓部、22 上部取付板、23 下部取付板、101 橋桁、102 ボルト、103 下部構造物、104 アンカーボルト、105 ベースプレート。

Claims (5)

  1. 橋梁の橋軸直角方向への移動を拘束し、橋軸方向への移動は拘束しないストッパーを備え、該ストッパーを複数のボルトにより固定部材に固定し、これら複数のボルトを段階的に破断させる複数種類のボルト孔手段を備えたことを特徴とするボルト破断型緩衝ストッパー装置。
  2. 橋桁及び下部構造物に固定される上部及び下部の固定部材と、このうち一方の固定部材に複数のボルトにより固定されたストッパーと、他方の固定部材に橋軸方向に設けられ、前記ストッパーの側面が係合する溝部と、前記複数のボルトを段階的に破断させる複数種類のボルト孔手段とを備えたことを特徴とするボルト破断型緩衝ストッパー装置。
  3. 複数種類のボルト孔手段は、前記ストッパーに設けられるボルト孔の形状を複数種類異なるものに形成することを特徴とする請求項1または2記載のボルト破断型緩衝ストッパー装置。
  4. 橋桁と下部構造物の間に、請求項1乃至3のいずれかに記載のボルト破断型緩衝ストッパー装置とストッパー機能を有しないゴム支承とを別個に配置することを特徴とする橋梁の免震装置。
  5. 橋桁と下部構造物の間に、請求項1乃至3のいずれかに記載の一対のボルト破断型緩衝ストッパー装置を一体的に組み込んだゴム支承を配置することを特徴とする橋梁の免震装置。
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