JP2005336062A - T細胞の腸組織へのホーミング誘導剤 - Google Patents

T細胞の腸組織へのホーミング誘導剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、T細胞の腸組織へのホーミング誘導剤および抑制剤、腸管免疫増強剤、またはそれらのスクリーニング方法、並びに腸組織へのホーミング能が増強されたT細胞の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明者らは、ナイーブT細胞がT細胞抗原受容体を介した抗原刺激を受ける際にレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質が存在することにより、該T細胞は腸組織へのホーミング能を獲得することを見出した。そこで、レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する成分を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤が提供される。

Description

本発明は、レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤および腸管免疫増強剤、並びにナイーブT細胞を用いたT細胞の腸組織へのホーミング制御剤あるいは腸管免疫増強剤のスクリーニング方法などに関する。
抗原刺激を受けていないナイーブT細胞は2次リンパ様器官に移入することができるが、通常の組織には移入することが出来ない。これに対し、2次リンパ様器官で抗原と出会って、活性化T細胞およびメモリーT細胞となると2次リンパ様器官ばかりでなく、通常の組織にも移入(ホーミング)することが可能で、そこで機能を発揮できる。しかし、そのホーミング先は初めに抗原により活性化された場である2次リンパ様器官が所属する組織が主となることが知られている(非特許文献1〜3等を参照)。
ナイーブT細胞が2次リンパ様器官に移入するための第一段階は、2次リンパ様器官の高内皮性小動脈(high endothelial venule(以下、これを「HEV」と称すことがある)に発現する糖質やインテグリンとの結合である。ナイーブT細胞の場合、その表面のL−セレクチン(以下、これを「CD62L」と称することがある)が、HEVにあるGlcNAc−6−sulfateを含む糖質に結合することで接着が促進される(非特許文献4等を参照)。
エフェクター/メモリーT細胞の場合、組織ごとに特有の接着分子およびケモカインを発現し、移入するT細胞のポピュレーションも組織ごとに異なっている。例えば、α4β7インテグリンを発現するケースでは、これに結合するMAdCAM−1が腸組織の血管内皮細胞上に存在し、細胞接着が促進される。さらに、小腸上皮細胞または内皮細胞(腸組織)はケモカインTECK(CCL25)を産生し、その受容体CCR9を持つT細胞の移入を促進することがわかっている(非特許文献5および6等を参照)。
しかし、これまで腸組織へのT細胞のホーミングに必要な接着分子やケモカインに対する受容体がどのような機構で発現するのかについては解明されていなかった。
Guy−Grand et al.,J.Exp.Med.,148:1661(1978) Kantele et al.,J.Immunol.162:5173(1999) Campbell and Butcher,J.Exp.Med.,195:135(2002) Butcher et al.,Adv.Immunol.72:209(1999) Kunkel et al.,J.Exp.Med.192:761(2000) Svensson,et al.,J.Clin.Invest.110:1113(2002)
本発明は、T細胞の腸組織へのホーミングに必要な接着分子やケモカインに対する受容体をT細胞に発現させる機構を見出し、T細胞の腸組織へのホーミング制御剤や腸間免疫増強剤などを提供することなどを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ナイーブT細胞を抗原刺激する際に、ビタミンA(レチノール)代謝物質である低濃度のレチノイン酸の存在下で培養したところ、T細胞の腸組織へのホーミングに必要な接着分子やケモカインに対する受容体を発現することを見出した。また、これらの発現は、レチノイン酸がレチノイン酸受容体(Retinoic acid receptor、RAR)を活性化することにより誘導されていることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明によれば、
(1)レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤、
(2)レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で培養したナイーブT細胞を有効成分とするT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤、
(3)レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質が、レチノイン酸、又はレチノイン酸受容体アゴニストである上記(1)または(2)に記載のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤、
(4)レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を有効成分として含有する腸管免疫増強剤、
(5)レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質が、レチノイン酸、又はレチノイン酸受容体アゴニストである上記(4)に記載の腸管免疫増強剤、
(6)レチノイン酸受容体アンタゴニスト又はレチノイン酸受容体アンタゴニストの存在下で培養したナイーブT細胞を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング抑制剤、
(7)生体内から分離したナイーブT細胞をレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で培養することを特徴とする腸組織特異的ホーミング能が増強されたT細胞の製造方法、
(8)ビタミンAを低減してなるT細胞の腸組織へのホーミング抑制用機能性食品、
(9)ナイーブT細胞を被検物質の存在下で培養し、少なくとも該細胞の腸組織へのホーミングに必要な成分の発現量を指標として被検物質を選択することを特徴とするT細胞の腸組織へのホーミング制御剤および腸管免疫増強剤のスクリーニング方法、
が、提供される。
本発明によれば、T細胞の腸組織へのホーミングを制御するための医薬が提供される。本発明の医薬を、腸組織へのT細胞のホーミングが欠如または低減している個体に投与することによれば、該個体の腸組織における免疫活性を高めることができる。また、逆に腸組織へのT細胞のホーミングが過剰な個体に、本発明のホーミング抑制剤を投与することによれば、過剰なT細胞のホーミングを抑制することができ、これが原因となっている疾患の病状を緩和することができる。さらに、本発明は、T細胞の腸組織へのホーミングを制御する機能を有する物質の簡単なスクリーニング方法が提供される。本スクリーニング方法は、生体を介さずにスクリーニングが行えるため、より有効な医薬を取得するための強力なツールとなる。
本発明は、レチノイン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤、および腸管免疫増強剤、レチノイン酸受容体アンタゴニストを有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング抑制剤、腸組織特異的ホーミング能が増強されたT細胞の製造方法、T細胞の腸組織へのホーミング抑制用機能性食品、並びにT細胞の腸組織へのホーミング制御剤および腸管免疫増強剤のスクリーニング方法に関する。これらを以下に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容には特定されない。
(1)in vitroで抗原刺激を与えたT細胞の腸組織へのホーミング誘導方法
本発明のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤は、以下の実験によりその効果を確認したものである。詳細は実施例1〜3を参照のこと。
マウスCD4あるいはCD8陽性のナイーブT細胞を、マウス脾臓およびリンパ節からCD4、あるいはCD8、およびL−セレクチン(CD62L)の発現を指標として分離した。分離したナイーブT細胞を、抗マウスCD3抗体および抗マウスCD28抗体をコートしたプレートで培養する際、各濃度のレチノイン酸を添加してみたところ、腸組織へのホーミングに必須のα4β7インテグリンの発現が上昇し、ナイーブT細胞に特異的に発現するL−セレクチン(CD62L)の発現が低下した。レチノイン酸の濃度は、all−trans−レチノイン酸の場合0.1nM以上で、また9−cis−レチノイン酸の場合1nM以上で上記の傾向が有意に生じた。すなわち、腸組織へホーミングするT細胞は、T細胞抗原受容体を介して抗原により刺激を受ける際に、適当な濃度のレチノイン酸の存在下で培養することで、in vitroで調製できることが見出された。
また、レチノイン酸存在下でT細胞抗原受容体を介して抗原刺激を与えたT細胞のCCR9遺伝子の発現を半定量的RT−PCRで測定したところ、上昇していることがわかった。CCR9は、小腸上皮細胞または内皮細胞が産生するケモカインTECKの受容体であり、該組織へ移入する(ホーミングする)のに必須である。さらに、該細胞のケモカインTECKへの遊走性を検定したところ、促進されていることが確認された。
さらに、レチノイン酸存在下でT細胞抗原受容体を介して抗原刺激を与えたT細胞をマウスに静脈注射により移入して、1晩経過後、小腸の粘膜固有層に存在するリンパ球をCurrent Protocol in Immunology,John Wily&Sons,Inc.(1992)に記載の方法で採取し、そこに存在するT細胞を調べたところ、注入した細胞が含まれていた。
また、レチノイン酸存在下で抗原刺激を与えることによる上記反応は、レチノイン酸受容体アゴニストである合成化合物Am80(和光純薬工業社製)の添加によっても同様に見られることもわかった。このことから、ナイーブT細胞にレチノイン酸の存在下で抗原刺激を与えることによる腸組織へホーミング誘導は、レチノイン酸受容体(RAR)を介する反応であり、レチノイン酸受容体アンタゴニストにより阻害されることがわかった。
(2)T細胞の腸組織へのホーミング誘導剤
本発明の一つは、T細胞の腸組織へのホーミング誘導剤(以下、これを「ホーミング誘導剤」と称することがある)であるが、この有効成分には、レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質、およびレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で抗原刺激を受けたT細胞の何れかが用いられる。
(1)に記載した機構のとおり、個体に、本発明のホーミング誘導剤を投与することにより、該個体内においてT細胞が抗原刺激を受ける際、投与されたレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質がレチノイン酸受容体を活性化し、この働きによって該T細胞に腸組織へのホーミングに必須の成分が発現され、該T細胞の腸組織へのホーミングが誘導される。
また、レチノイン酸受容体を活性化する物質の存在下で抗原により刺激を受けたT細胞は、腸組織へのホーミング能を有するので本発明のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤として用いることができる。
本発明のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤が投与されるべき個体とは、T細胞の腸組織へのホーミングを必要とするものであれば如何なるものでもよいが、例えば、腸管免疫が低下した個体や、他の場所にT細胞が過剰に移入してしまっている個体などが挙げられる。他の場所にT細胞が過剰に移入してしまっている個体とは、例えば、皮膚組織にT細胞が過剰に移入している個体等が挙げられる。このような個体では、本発明の腸組織へのホーミング誘導剤によりT細胞は皮膚組織へ移入するための物質の発現が抑制されるため、皮膚組織へのホーミングが抑制される。つまり、本発明のホーミング増強剤は皮膚炎症部分へのホーミング抑制剤として用いることもできる。また、同様に移植組織などの免疫寛容剤としても用いることができる。又、本発明の増強剤を投与する個体の種類は、特に制限はないが、哺乳類が好ましく挙げられる。
レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質とは、レチノイン酸受容体(RAR)のうち、好ましくはαおよびβを活性化する機能を有する物質をいい、具体的には、レチノイン酸および、レチノイン酸受容体(αおよびβ)アゴニスト、例えば、Am80(和光純薬社製)、TTNPB(Sigma−Aldrich社製)、Tp80(Ebisawa et al.,Chem.Pharm. Bull.,49:501(2001))などが挙げられるが、これ以外にも(4)に記載の方法によりスクリーニングすることができる。レチノイン酸は、all−transレチノイン酸、9−cis−レチノイン酸のいずれでもよい。また、その他のレチノイン酸異性体および誘導体も、(4)に記載の方法によりスクリーニングすることにより、本発明の医薬の有効成分として用いることができる。
本発明により提供される医薬は、T細胞の腸組織へのホーミング誘導あるいは腸管免疫増強のための医薬として用いることができる。有効成分として上記のレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を用いる場合には、それ自体を医薬としてこれを要求する個体に投与してもよいが、一般には、これらの有効成分の1種又は2種以上を含む医薬組成物を製造して該個体に投与することが好適である。投与の方法は、経口、非経口のいずれでもよい。非経口による局所投与の場合には、例えば、2次リンパ様器官などに投与すると有効である。この2次リンパ様器官は小腸パイエル板や腸間リンパ節以外のものでもよい。また、ワクチン剤とともに本発明の医薬を投与することによれば、共に投与されたワクチンにより刺激を受けたT細胞が腸組織への移入を誘導されるため、腸組織において炎症を引き起こす抗原に有効である。
このような医薬組成物として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ、舌下剤、又は液剤などの経口投与の製剤、あるいは注射剤、座剤、軟膏、貼付剤などの非経口投与用の製剤を例示することができる。
経口投与用の錠剤又はカプセル剤は、通常は単位投与物として提供され、結合剤、充填剤、希釈剤、打錠剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤及び湿潤剤のような通常の製剤用担体を添加して製造することができる。錠剤は、この当業界で周知の方法に従って、例えば、腸溶性コーティング剤等を用いてコーティングすることができ、例えばセルロース、マンニトール、又はラクトース等の充填剤、澱粉、ポリビニルポリピロリドン、澱粉誘導体、又はナトリウム澱粉グリコラート等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤を用いて製造してもよい。
経口投与用の液剤は、例えば、水性又は油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ剤又はエリキシル剤等の他、使用前に水又は適当な媒体により再溶解され得る乾燥製剤として提供される。このような液剤には、通常の添加剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル又は水素化食用脂肪のような沈殿防止剤、レシチン、ソルビタンモノオレート、アラビアゴムのような乳化剤、アーモンド油、精製ココナッツ油、油状エステル(例えばグリセリンエステル)、プロピレングリコール、エチルアルコールのような(食用油も包含しうる)非水性媒体、p-ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、もしくはプロピルエステル、又はソルビン酸のような保存剤及び必要に応じて通常の香味剤又は着色剤を配合することができる。経口投与剤の製剤は、混合、充填、又は打錠などの当業界で周知の方法により製造することができる。また、反復配合操作を用いて多量の充填剤等を使用した製剤中に有効成分を分布させてもよい。
非経口投与用の製剤は、一般には有効成分である化合物または細胞と滅菌媒体とを含有する液体担体投与量製剤として提供される。非経口投与用の溶剤は、通常、化合物を媒体に溶解させて滅菌濾過し、次に適当なバイアル又はアンプルに充填して密封することにより製造される。安定性を高めるために組成物を凍結させた後にバイアル中に充填し、水を真空下で除去してもよい。非経口懸濁液は実質的に非経口溶液の場合と同じ方法で製造されるが、有効成分を媒体に懸濁させてエチレンオキシド等により滅菌することにより好適に製造できる。また、有効成分が均一分布となるように必要に応じて界面活性剤、湿潤剤等を添加してもよい。
有効成分である物質の投与量は、物質の活性の強度、治療や予防の目的、個体の症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定すればよい。また、1日あたり1〜数回に分けて投与するのが望ましい。
また、本発明の有効成分として、レチノイン酸受容体を活性化する物質の存在下で抗原刺激を受けたT細胞を用いる場合については、以下の方法により該医薬を調製することができる。
本発明のT細胞を調製するために用いるT細胞は、T細胞抗原受容体を介した抗原による刺激を受けていないもの(以下、これを「ナイーブT細胞」と称することがある)が好ましいが、特定のホーミング能が形成されていないメモリーT細胞のようなT細胞も用いることができる。ナイーブT細胞は、これを投与する個体と免疫学的に適合する個体から取得する。ナイーブT細胞を取得する個体には本発明のホーミング誘導剤の投与を受ける個体も含まれる。個体からのナイーブT細胞の取得方法は、該T細胞が取得できる方法であれば特に制限はないが、例えば、該個体の組織、骨髄、胎児組織または末梢血を採取し、適切な培地または希釈液を用いて細胞の懸濁液を調製し、該懸濁液から、ナイーブT細胞に特異的に発現する表層マーカー(以下、これを「マーカー」と称することがある)を用いて単離する方法などが挙げられる。ナイーブT細胞のマーカーとしては、(i)CD4またはCD8とL−セレクチン(以下、これを「CD62L」と称することがある)が共に陽性であること、(ii)CD4またはCD8とCD45RBが陽性で、CD44陰性または弱陽性細胞であることなどが挙げられる。さらに、上記マーカーにおいて、T細胞抗原受容体あるいはCD3が陽性であることを確認しながら分離するとさらに好ましい。
マーカーを用いたナイーブT細胞の分離には、それ自体公知の常法を用いることができるが、例えば、マーカーの抗体を結合したマグネティックビーズを上記細胞懸濁液に添加し、マーカーを発現しているT細胞をマグネティックビーズを磁石で集めることにより分離する方法や、蛍光標識したマーカーの抗体を上記細胞懸濁液に添加し、蛍光物質が結合した細胞をセルソーターで分離する方法、マーカーの抗体をコーティングしたプレートで上記細胞懸濁液を培養したのち、プレートに結合した細胞のみを取得する方法、あるいはこれらの方法を組み合わせる等の方法が挙げられる。上記方法で用いられるマーカーの抗体は、ナイーブT細胞に発現しているマーカーが反応するものであれば何れのものでもよいが、モノクローナル抗体が好ましく用いられる。
かくして分離されたナイーブT細胞は、これをレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で、適当な抗原によりT細胞抗原受容体を介して刺激しながら培養する。適当な抗原とは、ナイーブT細胞を該抗原によりT細胞レセプターを介して刺激した場合に、エフェクターT細胞あるいはメモリーT細胞になるようなものであれば如何なるものであってもよい。具体的には、例えば、抗CD3抗体、抗CD28抗体、あるいは抗T細胞レセプター抗体、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、抗原として特定の病原体の一部や不活化した病原体の全体等特定のポリペプチドを含む物質を用いる場合には、これを抗原提示細胞と共にT細胞の培養液に添加する必要がある。抗原提示細胞は、ナイーブT細胞を得た個体もしくは該個体と免疫学的に適合する個体の末梢血から取得することができる。具体的な分離の方法は、例えば、Riddell, et al.,J.Immunol.,146,2795−(1991)に記載の方法が挙げられる。
本発明においてナイーブT細胞の培養は、レチノイン酸またはレチノイン酸受容体のアゴニストの存在下で行われる。レチノイン酸を用いる場合には、培養液中のレチノイン酸濃度は10−11〜10−4Mが好ましく、さらには10−7〜10−9Mが好ましく、1〜9×10−8Mが最も好ましい。レチノイン酸受容体アゴニストとしては、例えば、Am80(和光純薬社製)、TTNPB(Sigma−Aldrich社製)、Tp80(Ebisawa et al.,Chem.Pharm. Bull.,49:501(2001))などが挙げられる。これらの培養液中の濃度は、レチノイン酸受容体を活性化するに十分な濃度であれば特に制限はないが、例えば、Am80の場合は、10−10〜10−4Mが好ましく、さらには10−6〜10−8Mが好ましく、1〜9×10−7Mが最も好ましい。
レチノイン酸、あるいはレチノイン酸受容体のアゴニストをナイーブT細胞培養液へ添加する時期は、培養初期からでもよいし、培養後1〜2日後でもよい。また、レチノイン酸の場合、培養液中で分解される可能性もあるので、適当時間経過後に添加してもよい。
培養容器および培養条件は、当業者がそれぞれのT細胞に適したものを選択して用いることができる。具体的には、例えば、ウシ胎児血清(以下、これを「FCS」と称することがある)を添加した適当な培地を用いて、大過剰のフィ−ダー細胞および、抗原として抗CD3モノクローナル抗体と抗CD28モノクローナル抗体、さらにエフェクターT細胞を誘導するための適当な物質を添加して培養する方法等が挙げられる。エフェクターT細胞を誘導するための適当な物質とは、例えば、Iwata,M.et al.,Int.Immunol.,15,1017(2003)に記載のものが挙げられ、この培養方法によれば、該T細胞をヘルパーT細胞1型(以下、これを「Th1」と称することがある)あるいはヘルパーT細胞2型(以下、これを「Th2」と称することがある)のいずれかに特異的に誘導することができる(具体例は、実施例1を参照のこと)。ここで、用いられる抗体およびサイトカインは、全て用いるT細胞に適したものを用いることが必要である。
培養に用いるナイーブT細胞は、10〜5×10個/ml、好ましくは10〜5×10個/ml、さらに好ましくは10個/mlの濃度が好ましい。また、培養容器は、プラスチックプレート(例えば、住友ベークライト社製など)等を用いることができ、これを10%CO、37℃の環境で約48時間培養することが好ましい。この後、さらに3倍量の上記培地に懸濁して同様の条件でさらに培養するとより好ましい。
また、ナイーブT細胞は、上記培養前後に限界希釈法(例えば、Riddel et al.,J.Immunol.Meth.,128,189−201(1990))などを用いてクローン化してから上記培養に用いてもよい。
かくして得られるT細胞は、本発明の腸組織へのT細胞のホーミング誘導剤あるいは腸管免疫増強剤として用いることができる。投与される細胞量は、通常、病原体に対する免疫性を有する正常な個体に存在する範囲内である。具体的には、例えば、10〜1010細胞/m、好ましくは10〜10細胞/mの範囲の細胞が注入される。これらのT細胞は、1回の注入か、またはある期間内に複数回注入してもよい。但し、注入するT細胞数あるいは注入回数は、注入される個体に適したものを担当医などによって決定され、かつ日常的な検査によって決定され得る。
(3)T細胞の腸組織へのホーミング抑制剤
本発明の一つは、T細胞の腸組織へのホーミング抑制剤(以下、これを「ホーミング抑制剤」と称することがある)であるが、この有効成分には、レチノイン酸受容体アンタゴニスト、およびレチノイン酸受容体アンタゴニストの存在下で抗原刺激を受けたT細胞の何れかが用いられる。
(1)に記載した機構のとおり、個体に、本発明のホーミング抑制剤を投与することにより、該個体内においてT細胞が抗原刺激を受ける際、投与されたレチノイン酸受容体アンタゴニストによりレチノイン酸受容体の活性化が抑制され、この働きによって該T細胞には腸組織へのホーミングに必須の成分が発現されず、該T細胞の腸組織へのホーミングが抑制される。
また、レチノイン受容体アンタゴニストの存在下でT細胞抗原受容体を介した抗原刺激を受けたT細胞は、腸組織へのホーミング能を持たないので本発明のT細胞の腸組織へのホーミング抑制剤として用いることができる。
本発明のT細胞の腸組織へのホーミング抑制剤が投与されるべき個体とは、T細胞の腸組織へのホーミングが抑制されるべき個体であれば何れのものでもよいが、例えば、T細胞の腸組織へのホーミングが過剰な個体、あるいは他組織へのT細胞の移入を必要とする個体などが挙げられる。具体的には、I型糖尿病では、腸組織へのホーミングに必要なα4β7を発現する自己反応性T細胞が、そのリガンドMAdCAM−1を介して膵臓に侵入してランゲルハンス島細胞を攻撃し、インスリン産生を阻害すると考えられているので、本発明のホーミング抑制剤によりこれらの細胞の働きを阻害することができる。また、Crohn病等の炎症性腸疾患では、腸への炎症誘導性活性化T細胞のホーミングが起こっており、本発明のホーミング誘導剤によれば、特に小腸の炎症に関しては、これらの炎症性T細胞のホーミングが抑制される。また、移植片対宿主病(GVHD)では、この原因となるT細胞が腸パイエル板で活性化されることが重要であると考えられており、本発明のホーミング抑制剤によれば病態の緩和が期待できる。
レチノイン酸受容体アンタゴニストとは、レチノイン酸受容体(RAR)に結合し、この活性化を阻害する機能を有する物質であれば如何なるものであってもよいが、レチノイン酸受容体(RAR)のうち、αおよびβのアゴニストが好ましい。具体的には、例えば、LE135(Umemiya et al.,J.Med.Chem.,40:4222(1997))、LE540(Umemiya et al.,J.Med.Chem.,40:4222(1997))、BMS493 (Bristol−Myers−Squibb社製)等が挙げられるが、これら以外にも(4)に記載の方法によりスクリーニングすることができる。
本発明により提供される医薬は、T細胞の腸組織へのホーミング抑制のための医薬として用いることができる。有効成分としてレチノイン酸アンタゴニストを用いる場合には、(2)に記載の方法で製剤化し、個体に投与することができる。具体的な投薬量としては、LE135の場合、0.1〜500 mg/kg程度を1日1回または複数回に分けて投与することが好ましい。また、有効成分としてレチノイン酸アンタゴニストの存在下でT細胞抗原受容体を介した抗原刺激を行ったT細胞を用いる場合には、(2)に記載の方法で調製するが、アンタゴニストの添加量としては、例えばLE135を用いる場合、10−9〜10−3Mが好ましく、さらには10−5〜10−7Mが好ましく、10−6Mの範囲が挙げられる。得られたT細胞の製剤化方法及び個体への投与または注入方法は(2)に記載の方法を用いることができる。
また、本発明のレチノイン酸受容体アンタゴニストと同様の機能を有するものとして、ビタミンAを低減してなる機能性食品も本発明の範囲に含まれる。
レチノイン酸は、食物中のビタミンA類(主にレチノールエステルとβ-カロテン)からの代謝産物として、いくつかの特定の細胞によって産生される。一般に、ビタミンAは主に肝臓でレチノールエステルの形で蓄えられ、必要に応じて血中に放出される。血中ではほとんどがレチノールの形で結合タンパク質(RBP)と結合して、ほぼ一定の濃度(1〜3×10−6M)に保たれている。レチノールが標的細胞に入ると、細胞内でレチナール、レチノイン酸へと代謝される。レチノールからレチナールへの変換は可逆過程で、これにはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)が関与し、この酵素にはいくつかのアイソフォームがある。レチナールからレチノイン酸への変換にはレチナールデヒドロゲナーゼ(RALDH)が関与し、これにもいくつかのアイソフォームが存在する。即ち、ビタミンAを低減してなる機能性食品は、これを摂取した個体内でレチノイン酸の産生量を低減させるため、該個体内の2次リンパ様器官におけるレチノイン酸受容体の活性化が抑制され、T細胞の腸組織へのホーミング抑制機能が誘導される。本発明の機能性食品は、ビタミンAを多く含む食品からビタミンAのみを低減してなるものが好ましい。ここでいう食品とは、固体でも飲料あるいは調味料などの液体でもよく、また動物用の資料もこれに含まれる。
(4)T細胞の腸組織へのホーミング制御剤のスクリーニング方法
本発明はT細胞の腸組織へのホーミングを誘導または抑制する機能を有する物質のスクリーニング方法も提供する。本発明のスクリーニング方法では、ナイーブT細胞を被検物質の存在下で培養し、少なくとも該細胞の腸組織へのホーミングに必要な成分の発現量を指標として被検物質を選択するものである。T細胞の腸組織へのホーミングに必須の成分とは、α4β7インテグリン、ケモカインTECK受容体(CCR9)などが挙げられる。
ナイーブT細胞の取得および培養方法は、(2)に記載した方法を用いることができる。また、特定のホーミング能が形成されていないメモリーT細胞のようなT細胞も用いることができる。T細胞抗原受容体を介した抗原刺激には、抗T細胞抗原受容体抗体、抗CD3抗体、あるいは抗CD28抗体、あるいはその組み合わせが好ましく用いられる。用いる被検物質としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等が挙げられ、これらの物質は新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよい。被検物質存在下でのナイーブT細胞の培養方法も、(2)に記載の方法におけるレチノイン酸などを被検物質に置き換えた方法などが用いられる。
このような培養を行った後、培養液からT細胞を回収し、該細胞に発現しているα4β7インテグリン、ケモカインTECK受容体(CCR9)の発現量を測定する。この発現量を好ましくは、上記培養前の該物質の発現量と比較して、有意に増加した場合には、該被検物質はT細胞の腸組織へのホーミング誘導活性を有していると判断でき、逆に低減または変化しなかった場合には該被検物質はT細胞の腸組織へのホーミング誘導活性を有していないと判断することができる。
さらに、上記培養後のT細胞について、腸以外の組織へのホーミングに必須な成分の発現量を測定し、これがα4β7インテグリン、ケモカインTECK受容体(CCR9)の発現量より多ければ、該被検物質は、他組織へのホーミング誘導能を有する、即ち腸組織へのT細胞のホーミング抑制活性を有すると判断することができる。腸以外の組織へのホーミングに必須な成分とは、例えば、皮膚組織への移入に必要なE−セレクチンリガンドおよびP−セレクチンリガンド、あるいはケモカインTARC受容体(CCR4)などが挙げられる。
これらの指標となる物質の測定方法は、それ自体公知の定法を用いることができる。例えば、蛍光物質を結合させた指標となる物質の抗体を該T細胞と接触させ、細胞に結合した蛍光物質の量を測定する方法や、T細胞内のRNAなどを定法に従って分離精製し、指標となるタンパク質をコードする遺伝子の発現量として定量的PCR法又は半定量的RT−PCRなどを用いて測定する方法などが挙げられる。
また、ケモカインTECK受容体(CCR9)の発現量が増加したことを確認する方法としては、実際に該T細胞のケモカインTECKへの遊走性を定法に従って測定する方法も挙げられる。
かくして選択されたT細胞の腸組織へのホーミング制御活性を有する物質は、上記(2)および(3)のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤、あるいは抑制剤として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 マウスT細胞の腸組織へのホーミング受容体発現を制御する物質の探索・同定
(1)ナイーブCD4陽性T細胞の取得
ナイーブCD4陽性T細胞を採取するマウスDO11.10は、RAG−2遺伝子欠損マウスと、T細胞抗原受容体(以下、これを「TCR」と称することがある)を遺伝子導入したマウスの、交配により作製されたものである。RAG−2遺伝子欠損マウスは、常法(ジーンターゲッティング、メディカルサイエンスインターナショナル(1995))に従って作製されたものである(Shinkai,Y.,et al.,Cell,68,855(1992))。また、TCR遺伝子導入マウスは、Murphyらにより卵白アルブミン(OVA)に特異的なTCR遺伝子を導入、作製されたものである(Murphy,KM.,et al.,Science,250,1720(1990))。
両マウスを交配することにより、RAG−2を欠損した遺伝的背景に、単一のTCRを発現する、つまり内因性のTCR発現がなく、導入されたTCRのみを発現するマウスが作製された。このマウスでは主要組織適合抗原(MHC)拘束性を利用することにより、胸腺においてT細胞の分化をCD4陽性細胞系列に誘導することができ、末梢の大部分のT細胞がCD4陽性細胞となる特徴がある。しかも、OVAを投与しない限り、大部分の末梢T細胞はナイーブT細胞である。
上記マウスをSPF条件下にて飼育し、この脾臓およびリンパ節を無菌的に取り出し、Current Protocol in Immunology,John Wily&Sons,Inc.(1992)に記載の方法により、10%非働化ウシ血清を含むDMEM培地(シグマ社製)で1〜5x10細胞/ml濃度の細胞懸濁液を調整した。この細胞懸濁液から、Iwata,M.et al.Int.Immunol.15:1017(2003)に記載の方法によって、CD4陽性CD62L強陽性のT細胞を精製し、ナイーブCD4陽性T細胞として用いた。
具体的には、この細胞懸濁液1mlあたり50mlのDynabeads Mouse CD4(Dynal社製)を添加し、4℃で20分緩やかに撹拌した。Dnyabeadsに接着した細胞をDynal MPC−1 Magnetic Particle Concentrator(Dynal社製)を用いて集め、非接着細胞を除去した。接着した細胞を、新たな培地に再懸濁して同様な方法で再び集め、この操作をさらに2度繰り返して洗浄した。
洗浄した接着細胞は10%濃度のDetachaBead Mouse CD4(Dynal社製)に懸濁して室温で40分緩やかに撹拌してビーズから剥がし、ビーズのみをDynal MPC−1 Magnetic Particle Concentratorで除去してCD4陽性T細胞を得た。この細胞画分を1x10細胞/mlの濃度で懸濁し、MACS CD62L Microbeads(Miltenyl Biotec社製)を添加して4℃で20分培養した。
これらの細胞を新たな培地に懸濁し、Mini MACS separation unit(Miltenyl Biotec社製)に設置したMSカラムに添加し、カラムをさらに2mlの培地で洗浄してCD62L陰性または弱陽性細胞を除去した。その後、カラムを装置から外してさらに1mlの培地を添加し、カラム内に留まったCD4陽性でCD62L強陽性の細胞を回収した。
(2)ナイーブCD4陽性T細胞の活性化に伴う各種ホーミング受容体の発現変化とその制御
上記(1)で取得したナイーブCD4陽性T細胞を7.5x10細胞/mlの濃度で10% ウシ胎児血清を含む培地に懸濁した。この細胞懸濁液を、Iwata,M.et al.Int.Immunol.15:1017(2003)に記載の方法によって、抗マウスCD3抗体と抗マウスCD28抗体をコートした懸濁培養用プラスチックプレート(住友ベークライト社製)内で、10%CO、37℃の環境で48時間刺激を加えて培養した。
培養後、細胞を20〜50units/mlリコンビナント・マウス・インターロイキン−2(IL−2:Biosource社製)を含む3倍量の新しい培養液に懸濁し、抗体をコートしていない培養プレート中でさらに48〜96時間培養した。この2段階の培養の際、通常は他のサイトカインは添加しないが、ヘルパーT細胞1型(Th1)を特異的に誘導するためには10ng/mlのリコンビナント・マウスIL−12(Genzyme社製)、および2μg/mlのモノクローナル抗マウスIL−4抗体(BD PharMingen社製:クローン11B11)を添加した。また、ヘルパーT細胞2型(Th2)を特異的に誘導するためには40units/mlのリコンビナント・マウス・インターロイキン−4(IL−4:Genzyme社製)、2μg/mlのモノクローナル抗マウス・インターフェロン−γ抗体(BD PharMingen社製、クローン:XMG1.2)、および2μg/mlのモノクローナル抗マウス・インターロイキン−12(IL−12)抗体(BD Pharmingen社製、クローン:C17.8)を添加した。ホーミング受容体発現への影響を検定する物質としてall−trans−レチノイン酸(all−trans−RA)又は9−cis−レチノイン酸をこの2段階の培養の全期間に0、0.1、1、10、100、1000nMの濃度で添加した。
これらの培養で得た細胞を洗浄後、Phycoerythrin(PE)標識したモノクローナル抗マウスLPAM−1(Integrin α4β7 complex)抗体(BD PharMingen社製、クローン:DATK32)またはモノクローナル抗マウスCD62L(L−selectin) 抗体(BD PharMingen社製、クローン:MEL−14)、およびFc受容体をブロックするためのモノクローナル抗マウスCD16/CD32抗体(BD PharMingen社製、クローン:2.4G2)と4℃で30分培養した。細胞をマウスE−selectinとヒトIgG Fc部分の融合タンパク質(Genzyme−Techne社製)またはマウスP−selectinとヒトIgG Fc部分の融合タンパク質(BD PharMingen社製)と4℃で30分培養した場合には洗浄後、さらにPE標識した抗ヒトIgGFc抗体と4℃で30分培養した。細胞は洗浄後に蛍光標識の強度をセルソーター(FACScan:日本ベクトン・ディッキンソン社製)によって解析した。
その結果を図1に示す。図1Aの実線はall−trans−レチノイン酸(al−trans−RA)を10nM添加した場合の細胞表面への各マーカー(図上に表示)発現レベル(横軸)を示し、点線はレチノイン酸無添加の場合のマーカー発現レベルを示す。発現レベルは、平均発現レベル(平均蛍光強度からバックグラウンドレベルを差し引いた値)である。また、図左には、ナイーブT細胞の培養条件を示した。図から明らかなように、all−trans−レチノイン酸(all−trans−RA)の存在下で培養した細胞では、IL−4やIL−12を添加しない条件(unskewed 条件)下、Th1誘導条件下、およびTh2誘導条件下のいずれにおいても、α4β7インテグリンの発現が上昇し、CD62Lの発現は抑制される傾向があった。また、皮膚へのホーミングに関与する分子E−selectinリガンド(E−lig)およびP−selectinリガンド(P−lig)の発現は、unskewed条件およびTh1誘導条件において抑制される傾向があった。また、図1Bには、上記のunskewed条件のT細胞にall−trans−レチノイン酸あるいは9−cis−レチノイン酸(9cRA)が、それぞれ0〜1000nM添加した培養条件で、細胞表面へのα4β7インテグリン(図中黒丸で示す)とE−lig(図中白丸で示す)の発現レベル(縦軸)を示した。図から明らかなように、レチノン酸添加の効果は、all−trans−レチノイン酸の場合、0.1nM以上の添加で有意に認められ、9−cis−レチノイン酸(9cRA)の場合、1nM以上の添加で有意に認められた。
さらに、上記培養で得た細胞からAdachi,S.et al.,J.Biol.Chem.275,14708(2000)に記載の方法にて全RNAを調製し、種々のサイトカイン受容体mRNAに対する半定量的RT−PCRを行った。PCRの鋳型cDNAは、上記の方法で調製したRNA5μg/20μlから1st strand cDNAを調製して用いた。DNA量は、反応液を5倍希釈してから、そのうち1μlを用いてコントロールであるGAPDHをPCR法で増幅し、増幅されたGAPDHが各サンプル間で等量となるように調整して用いた。用いたセンス・プライマーおよびアンチセンス・プライマーの配列は、それぞれ、CCR9には配列番号1および2、CCR7には配列番号3および4、CCR4には配列番号5および6、FucT−VIIには配列番号7および8、およびコントロールのGAPDHには配列番号9および10に記載のものを用いた。これらの半定量的RT−PCR解析の結果を図2に示す。図中、「None」はレチノイン酸を添加していない培養系の結果を示し、RAはレチノイン酸(all−trans−レチノイン酸)を10-8M添加した培養系、また「Am80」はレチノイン酸受容体アゴニストであるAm80を10-7M添加した培養系を示す。又、各3レーンは、鋳型DNA量を1倍、1/3倍、1/9倍として用いた結果を示す。図から明らかなように、all−trans−レチノイン酸はCCR9遺伝子の発現を誘導促進する効果を示した。一方、皮膚へのホーミングに関与するCCR4遺伝子の発現はall−trans−レチノイン酸の添加により抑制された。また、E−ligおよびP−ligの発現に必要なfucosyltransferase FucT−VIIの発現も抑制された。しかし、CCR7の発現にはほとんど影響を与えなかった。
(3)レチノイン酸受容体アゴニストのナイーブCD4陽性T細胞の活性化に伴う各種ホーミング受容体の発現変化への影響
9cRAはレチノイン酸受容体(RAR)とレチノイドX受容体RXRの両者に結合するが、all−transレチノイン酸はレチノイン酸受容体にのみ結合するので、これらの作用はレチノイン酸受容体を介して発揮されると考えられる。但し、all−transレチノイン酸から9cRAへの変換が細胞内で起こる可能性がある。そこでレチノイン酸受容体のアゴニストである合成化合物Am80(和光純薬工業製)の効果を調べたところ、その10nM添加によっても同様な効果が認められたので、レチノイン酸受容体を介した作用によることが確認された。また、レチノールやレチナールの活性はall−transレチノイン酸の1/100以下だった。
(4)レチノイン酸受容体アンタゴニストのナイーブCD4陽性T細胞の活性化に伴う各種ホーミング受容体の発現変化への影響
上記(2)と同様にしてナイーブT細胞をunskewed条件で培養する際、1nM all−transレチノイン酸とレチノイン酸受容体のアンタゴニストである合成化合物LE135(Umemiya et al.,J.Med.Chem.,40:4222(1997))を1μM、培養開始後24時間目に添加して、得られるT細胞のα4β7インテグリンの発現量を測定した。又、コントロールとして、all−transレチノイン酸を添加しない系、及びLE135を添加しない系についても同様に得られるT細胞のα4β7インテグリンの発現量を測定した。その結果を図3に示す。図中、「LE135」はLE135を添加した系の結果を示し、「None」は添加していない系の結果を示す。又、斜線で塗ったグラフはall−transレチノン酸を添加した系の結果を示し、黒く塗ったグラフは添加しない系の結果を示す。図から明らかなように、all−transレチノン酸の存在下で培養されることによるα4β7インテグリンの発現は、LE135の添加によって抑えられることがわかった。
(5)T細胞の化学遊走活性へのall−transレチノイン酸の影響
CCR9遺伝子の発現がall−transレチノイン酸により増強されることで、実際にT細胞のCCR9のリガンドであるケモカインTECK(CCL25)へのケモタクシス(化学遊走)が促進されるか否かを検定した。Campbell,D.J.&Butcher,E.C.,J.Exp.Med.195:135(2002)の方法に基づいて、上記培養細胞の一部を用いて化学遊走が検定した。その結果を図4に示す。図中、「None」で示したグラフはレチノイン酸を添加しないで培養したT細胞の結果を示し、「RA」で示したグラフはall−trans−レチノイン酸を10nM添加した培養系のT細胞の結果を示す。また、「TECK」はケモカインTECKへの遊走性を解析した結果を示し、「TARK」「CTACK」「IP−10」はそれぞれケモカインの種類を示す。all−transレチノイン酸の存在下で活性化されたT細胞は、TECKへの化学遊走能を著しく促進されることが判明した。しかし、他のケモカインTARC、CTACK、およびIP−10などへの反応にはあまり大きな影響はなかった。
実施例2 In vitroでall−transレチノイン酸存在下に活性化されたT細胞のin vivoでのホーミング・パターンの変化
実施例1に示した2段階の培養により得られた活性化T細胞のin vivoにおけるホーミング・パターンを解析した。all−transレチノイン酸を添加して培養した細胞は緑色の蛍光色素5−(and−6)−carboxyl fluorescein diacetate succinimidyl ester(CFSE)で標識し、all−transレチノイン酸を加えずに培養した細胞は赤色の蛍光色素tetramethylrhodamine isothiocyanate(TRITC)で標識した後、両細胞を1:1に混合して、1.5% FCSを含む培地0.25 mlにそれぞれの細胞を10個ずつ含むように懸濁し、これらの細胞と同系の非Tgマウスに静脈注射により移入した。
一晩経過した後、種々の2次リンパ様器官および小腸の粘膜固有層に存在するリンパ球をCurrent Protocol in Immunology,John Wily&Sons,Inc.(1992)に記載の方法で採取し、そこに存在する蛍光色素標識細胞をFACScanで解析した。この結果を図5に示す。図中、Inputは投与する前の細胞の蛍光(緑色および赤色)とその割合(緑色細胞:赤色細胞)を示し、PLN、SPL、MLN、PPは、投与後16時間目のマウスの2次リンパ様器官における両細胞(それぞれR1とR2の区画の中の細胞)の割合を示す。同様に、PLN(末梢リンパ節)、SPL(脾臓)、MLN(腸間膜リンパ節)、PP(パイエル板)における両細胞(それぞれR1とR2の区画の中の細胞)の蛍光強度を示した。横軸は緑色の蛍光強度、横軸は赤色の蛍光強度を示す。それぞれの組織におけるR1:R2の比をhoming indexとして右上の棒グラフで示した。
図から明らかなように、緑色細胞:赤色細胞の比が、脾臓(SPL)ではほぼ1:1だったが、腸管膜リンパ節(MLN)では1.6、小腸パイエル板(PP)では2.8、皮膚などを担当する末梢リンパ節(PLN;鼠径部リンパ節と腋下リンパ節を用いた)では逆に0.3だった。また、小腸粘膜固有層では、少数の緑色細胞が存在したが赤色細胞はほとんど検出できなかった。従って、all−transレチノイン酸と培養されたT細胞は実際にin vivoで腸へのホーミング能が上昇し、逆に末梢リンパ節へのホーミング能は低下することが判明した。
実施例3 ビタミンA欠乏マウスにおけるT細胞の腸へのホーミング能への影響
T細胞の腸組織へのホーミング能に生体内のビタミンAレベルが影響を与えるか否かを解析するために、ビタミンA欠乏マウスを作製した。妊娠2週目からビタミンAを欠損させた餌を与えた群と、同じ餌にビタミンAだけを通常の餌と同レベル加えたものを与えた対照群の妊娠マウスから、それぞれ生まれた仔マウスをさらに同じ餌で8〜12週間飼育し、血中のレチノールレベルが著しく低下したことをChatellard−Gruaz,D.et al., J.Lipid Res.39:1421(1998)に記載の方法に基づいて確認した。その小腸粘膜固有層に存在するCD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞を解析した。その結果、対照群のマウスでは通常通りのCD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞が回収できたのに対し、ビタミンA欠乏マウスではほとんどCD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞が得られなかった。このことは、食物抗原等によって生ずる筈の活性化T細胞やメモリーT細胞が小腸組織にホーミングしにくくなっていることを示しており、生理的にもビタミンA代謝物質のレチノイン酸がT細胞の腸へのホーミングに関与していることを示している。
レチノイン酸存在下でナイーブT細胞を活性化した場合の、a4b7インテグリン、CD62L、E−selectinリガンド(E−lig)およびP−selectinリガンド(P−lig)の細胞表面における発現量を蛍光標識抗体とflow cytometryを用いて解析した結果を示す図である。 レチノイン酸存在下でナイーブT細胞を活性化した場合の、CCR9、CCR7、CCR4、FucT−VII、およびGAPDHのmRNAの発現量をRT−PCRによる半定量的検定により測定した電気泳動の結果を示す図である。 レチノン酸存在下でナイーブT細胞を活性化する際、レチノイン酸アンタゴニストを添加して、得られたT細胞のα4β7インテグリン発現量を解析した結果を示すグラフである。 レチノイン酸の存在下でナイーブT細胞を活性化した場合の、種々のケモカインに対する遊走性を解析した結果を示すグラフである。 レチノイン酸の存在下、ナイーブT細胞をin vitroで活性化した後、in vivoに投与してホーミング特異性をFACScanを用いて解析した結果を示す図である。

Claims (9)

  1. レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤。
  2. レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で培養したナイーブT細胞を有効成分とするT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤。
  3. レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質が、レチノイン酸、又はレチノイン酸受容体アゴニストである請求項1または2に記載のT細胞の腸組織へのホーミング誘導剤。
  4. レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質を有効成分として含有する腸管免疫増強剤。
  5. レチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質が、レチノイン酸、又はレチノイン酸受容体アゴニストである請求項4に記載の腸管免疫増強剤。
  6. レチノイン酸受容体アンタゴニスト又はレチノイン酸受容体アンタゴニストの存在下で培養したナイーブT細胞を有効成分として含有するT細胞の腸組織へのホーミング抑制剤。
  7. 生体内から分離したナイーブT細胞をレチノイン酸受容体を活性化する機能を有する物質の存在下で培養することを特徴とする腸組織特異的ホーミング能が増強されたT細胞の製造方法。
  8. ビタミンAを低減してなるT細胞の腸組織へのホーミング抑制用機能性食品。
  9. ナイーブT細胞を被検物質の存在下で培養し、少なくとも該細胞の腸組織へのホーミングに必要な成分の発現量を指標として被検物質を選択することを特徴とするT細胞の腸組織へのホーミング制御剤および腸管免疫増強剤のスクリーニング方法。
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