JP2005336005A - セメント組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 石膏ボード廃材を有効利用して、簡易にセメント組成物を製造することができると共に、製造されたセメント組成物のスランプフローの経時変化も低減させることができるセメント組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 セメント組成物の製造方法は、まず、石膏ボード廃材から紙を除去して石膏分を回収する。そして、石膏分を170℃〜350℃で加熱処理して、再生石膏を得る。この再生石膏には、半水石膏やIII型無水石膏等が含まれている。さらに、この再生石膏に大気中の水分を吸収させてIII型無水石膏を半水石膏としたうえで、再生石膏をセメントクリンカーに混合して、セメント組成物を製造する。半水石膏のブレーン比表面積は、7500cm/g〜10000cm/gであり、半水石膏の混合量は、セメントクリンカーに対し、SO換算で0.5〜3.5質量%である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、石膏ボード廃材から分離した石膏分を利用してセメント組成物を製造するセメント組成物の製造方法に関する。
石膏は極めて短時間で硬化する水硬性材料であり、成形性や加工性に優れ、寸法安定性が高く、防火性、耐火性に優れる等の特性を有する。また、石膏は、安価な材料であることから、石膏ボードの原料として広く使用されている。石膏ボードは、石膏を主体とした成分からなる芯材の両面に紙を貼り付けた板状の構造である。この石膏ボードの生産量が年々増大するにつれて、その廃材の処理が大きな問題となってきている。そのため、石膏ボード廃材を利用して、セメント組成物を製造する方法が提案されている。
例えば、下記特許文献1では、石膏ボード廃材から紙を除去した後、400℃以下の温度で加熱して得られた半水石膏やIII型無水石膏を水和処理して二水石膏とし、セメントクリンカーに添加することにより、セメント組成物を製造する方法が提案されている。
特開2003−24900号公報
しかしながら、特許文献1に示されるセメント組成物の製造方法では、半水石膏やIII型無水石膏に水を加えて水和処理する工程が煩雑である。また、この製造方法によって得られたセメント組成物には、二水石膏が含まれているために、スランプフローの経時変化を十分に低減できない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、石膏ボード廃材を有効利用して、簡易にセメント組成物を製造することができると共に、製造されたセメント組成物のスランプフローの経時変化も低減させることができるセメント組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るセメント組成物の製造方法は、石膏ボード廃材から紙が除去された石膏分を170℃〜350℃で加熱処理し、得られた半水石膏とセメントクリンカーとを混合することにより、セメント組成物を製造することを特徴とする。
このセメント組成物の製造方法によれば、石膏ボード廃材を有効利用して、簡易にセメント組成物を製造することができる。この場合、石膏ボード廃材から紙は除去されているため、炭化物は発生しない。そのため、セメント組成物が炭化物により変色することはなく、コンクリートに使用される混和剤が炭化物に吸収されることもない。また、石膏ボード廃材の石膏分を170℃〜350℃で加熱処理することによって得られた半水石膏は、排煙脱硫石膏、リン酸石膏等の化学石膏、或いは天然石膏を脱水させて得られた半水化或いはIII型無水化したものに比べると、水への溶解が抑制される。したがって、本セメント組成物の製造方法により製造されたセメント組成物においては、水への溶解速度が適正な範囲となるために、このセメント組成物を用いたモルタル或いはコンクリートにおけるスランプの経時変化は低減されるとともに、注水直後のこわばり(偽凝結)の発生も抑制される。また、二水石膏を含むセメント組成物と比較しても、本セメント組成物の溶解速度は適度に早く、高流動コンクリートのスランプロス(時間の経過と共にコンクリートの流動性が低下する現象)を低減することができる。ここで、石膏分の加熱処理温度が170℃よりも低いと、石膏分に含まれる有機混和剤の分解が不十分となるため、セメントクリンカーに添加する石膏として使用した場合には、残存する有機混和剤の起泡作用により、モルタルやコンクリートに泡が混入して密度が低下し、強度が低下する。また、石膏分の加熱処理温度が350℃よりも高いと、不溶性のII型無水石膏の割合が増大し、再生石膏の水に対する溶解速度が極端に遅くなる。そのため、スランプフローの経時変化を低減する効果が無くなるだけでなく、凝結や硬化異常が発生しやすくなる。
また、上記のセメント組成物の製造方法において、半水石膏の混合量は、セメントクリンカーに対し、SO換算で0.5〜3.5質量%であることが好ましい。
半水石膏の混合量が、SO換算で0.5〜3.5質量%であれば、より効果的にモルタル或いはコンクリートのスランプの経時変化を低減することができる。半水石膏の混合量が0.5質量%よりも少ないと、セメント組成物を用いたコンクリートのスランプフローの経時変化の低減効果が十分ではなくなる。また、半水石膏の混合量が3.5質量%よりも多いと、生成する半水石膏の量が過剰となるため、高流動コンクリートを作製するにあたっては、目標のスランプフローを得るために必要な高性能AE減水剤の添加量が多くならざるを得なくなったり、または、加水時に再生石膏が水和して生成する二水石膏により、偽凝結や初期の流動性の低下が大きくなってしまう。
また、半水石膏の特性は、半水石膏4gを、20℃の純水1000mLに分散させたとき、1分経過後のろ液のSOイオン濃度が1700mg/L〜2300mg/Lとなることが好ましい。ろ液のSOイオン濃度が1700mg/L未満であるような半水石膏であると、エトリンガイドの生成量が少なく、間隙相表面をエトリンガイドで緻密に被覆することができないため、アルミネートの水和抑制効果が小さく、スランプロスが大きくなる。また、ろ液のSOイオン濃度が2300mg/Lを超えると、コンクリートの混練時に半水石膏やIII型無水石膏は水と反応して急激に二水石膏となり、偽凝結を生じてしまう。
また、半水石膏のブレーン比表面積は、7500cm/g〜10000cm/gであることが好ましい。半水石膏のブレーン比表面積が、7500cm/g〜10000cm/g程度に十分大きければ、細孔径が小さく、そのために、水と接触し難いので、SOイオンが拡散し難い。したがって、半水石膏の溶解速度を適正な範囲にすることができる。
本発明によれば、石膏ボード廃材を有効利用して、簡易にセメント組成物を製造することができると共に、製造されたセメント組成物のスランプフローの経時変化も低減させることができる。
以下、本発明に係るセメント組成物の製造方法の好適な実施形態について説明する。
石膏ボードは、石膏を主体とした成分からなる芯材の両面に紙を貼り付けた板状の構造をしている。本実施形態において用いられる石膏ボード廃材としては、その発生場所を選ばず、例えば、石膏ボード製造工場で発生する廃材、新築工事現場で発生する石膏ボードの端材、余剰材、建築物解体現場で発生する廃材等を使用することができる。
また、本実施形態では、石膏ボード廃材を再利用するにあたって、まず石膏ボード廃材から紙を除去する。その方法としては、例えば、石膏ボード廃材をジョークラッシャで解砕した後、篩いを用いて紙と石膏を分離する方法や、石膏ボード廃材をロール間で圧縮し、石膏分を粉状にして紙と石膏とを分離する方法、市販の石膏ボード粉砕分別機を用いる方法等、公知の方法が挙げられる。
このようにして石膏ボード廃材から紙を除去した石膏分を、170℃〜350℃の温度で加熱処理すると、半水石膏を主成分とする再生石膏が得られる。加熱処理温度が高い場合には、加熱処理直後、III型無水石膏が主成分であるが、大気中の水分を吸収させることで、半水石膏となる。なお、副成分としてII型無水石膏を含む再生石膏が得られる場合もある。
ここで、石膏分の加熱処理温度が170℃よりも低いと、石膏分に含まれる有機混和剤の分解が不十分であり、セメントクリンカーに添加する石膏として使用した場合には、残存する有機混和剤の起泡作用により、モルタルやコンクリートに泡が混入して密度が低下し、強度が低下する。また、石膏分の加熱処理温度が350℃よりも高いと、不溶性のII型無水石膏の割合が増大し、再生石膏の水に対する溶解速度が極端に遅くなる。そのため、スランプフローの経時変化を低減する効果が無くなるだけでなく、凝結や硬化異常が発生しやすくなる。
このような条件で加熱処理して得られた再生石膏は、高性能AE減水剤等の有機混和剤を用いた高強度高流動コンクリートのスランプフローの経時変化を低減させるのに十分な水量に対する溶解速度と同等の溶解速度を持つ。しかし、通常セメントクリンカー添加用の石膏として使用されている排煙脱硫石膏、リン酸石膏等の化学石膏や天然石膏が脱水されて半水化或いはIII型無水化された石膏に比べると、本再生石膏は、溶解速度が遅いため、本再生石膏を用いて製造したセメント組成物における注水直後のこわばり(偽凝結)は発生しにくい。
石膏分を加熱処理して得られた再生石膏にIII型無水石膏が含まれる場合、上述のように再生石膏を放置して大気中の水分を吸収させ、III型無水石膏を半水石膏にし、安定させる。そのうえで、再生石膏をセメントクリンカーに添加して再生石膏とセメントクリンカーとを混合させる。セメントクリンカーに対する再生石膏の混合量は、半水石膏の混合割合が、SO換算での0.5質量%〜3.5質量%であることが好ましい。半水石膏の混合割合が0.5質量%よりも少ないと、スランプフローの経時変化の低減効果が少なくなる。また、半水石膏の混合割合が3.5質量%よりも多いと、半水石膏の量が過剰となる。そのため、例えば、高流動コンクリートを作製するにあたっては、目標のスランプフローを得るための高性能AE減水剤の添加量が多くならざるを得なかったり、加水時に再生石膏が水和して生成する二水石膏により、偽凝結や初期の流動性の低下が大きくなるため好ましくない。
また、半水石膏の特性は、半水石膏4gを、20℃の純水1000mLに分散させたとき、1分経過後のろ液のSOイオン濃度が1700mg/L〜2300mg/Lとなることが好ましい。ろ液のSOイオン濃度が1700mg/L未満であるような半水石膏であると、エトリンガイドの生成量が少なく、間隙相表面をエトリンガイドで緻密に被覆することができないため、アルミネートの水和抑制効果が小さく、スランプロスが大きくなる。また、ろ液のSOイオン濃度が2300mg/Lを超えると、コンクリートの混練時に半水石膏やIII型無水石膏は水と反応して急激に二水石膏となり、偽凝結を生じてしまう。なお、半水石膏の特性は、上記の条件下において、ろ液のSOイオン濃度が1800mg/L〜2000mg/Lとなることが、より好ましい。
さらに、半水石膏のブレーン比表面積が、7500cm/g〜10000cm/g程度に十分大きければ、細孔径が小さく、そのために、水と接触し難いので、SOイオンが拡散し難い。したがって、半水石膏の溶解速度を適正な範囲にすることができる。
このようにして製造されたセメント組成物に含まれる再生石膏は、水への溶解速度が適正な範囲にあるために、このセメント組成物によってモルタル或いはコンクリートを作製した場合、そのスランプの経時変化を低減できるとともに、注水直後のこわばり(偽凝結)の発生を抑制することができる。また、二水石膏を含むセメント組成物と比較しても、本セメント組成物は、半水石膏を含んでいるため、溶解速度は適度に早く、高流動コンクリートのスランプロスを低減することができる。
なお、本再生石膏のセメントクリンカーへの添加時期は制限されず、セメントクリンカーの粉砕時に添加しても良いし、或いは、粉砕後に添加し、混合しても良い。また、再生石膏に含まれるIII型無水石膏が総て半水石膏となる前に、セメントクリンカーに添加してもよい。再生石膏に、半水石膏の他、III型無水石膏が含まれていても、SOイオンの溶解度や、石膏の溶解率はほとんど変わらず、また、セメントクリンカーに添加した後も、III型無水石膏は、大気中の水分を吸収して徐々に半水石膏となるためである。また、セメントクリンカーとしては、普通ポルトランドセメントクリンカー、早強ポルトランドセメントクリンカー等、種々のセメントクリンカーを用いることができる。
以下、実施例を用いて、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
[ 再生石膏の調製 ]
新築工事現場から排出された石膏ボード端材をジョークラッシャで粗砕した後、振動篩により石膏分と紙とに分別した。分別した石膏分を、箱型電気炉により、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃の各温度で20分間熱処理し、一週間室内に放置して再生石膏を調製した(再生石膏No.1〜No.7)。さらに、比較のため排脱石膏を上記と同様な条件で熱処理し、一週間室内に放置して試製した石膏もあわせて調整した(試製石膏No.8〜No.14)。なお、比較のため、再生石膏No.1及び試製石膏No.8の石膏は熱処理されていない。
表1に、再生石膏No.1〜No.7及び試製石膏No.8〜No.14の熱処理温度、結晶形態、及び水に対する溶解率を測定した結果を示す。結晶形態は、X線解析装置により測定した。また、熱処理温度によっては、熱処理直後の石膏の結晶形態はIII型無水石膏となるが、一週間室内に放置することにより、III型無水石膏は空気中の水分を吸収し、全て半水石膏となった。
石膏No.1〜No.14のSO量はJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法/三酸化硫黄の定量方法」に準拠して測定した。水に対する溶解量は、石膏4gを20℃の純水1000mlに分散させ、1分経過後に吸引ろ過して、ろ液のSOイオン濃度をJIS K 0101「工業用水試験方法/硫酸イオン」により測定した。石膏の溶解率は、次式により求めた。
Figure 2005336005
Figure 2005336005
表1に示すように、いずれの熱処理条件についても、石膏ボード廃材から得られた再生石膏は、同一温度で熱処理した排脱石膏から得られた試製石膏に比べて硫酸イオンの溶解が抑制されていることが分かった。
また、表2に、再生石膏No.1〜No.6及び試製石膏No.8〜No.11についての比重、ゆるみ見掛比重、ブレーン比表面積のデータを示す。なお、比重は、ピクノメータ法により測定した。また、ゆるみ見掛比重は、ホソカワミクロン製パウダテスタを用いて測定した。なお、ゆるみ見掛比重とは、粉体状の石膏を100ccの容器に静かに充填し、表面をすり切った後に測定した容器内の粉体重量を100で割った値である。
Figure 2005336005
[ セメント組成物の調製 ]
直径700mm×長さ700mmの試験用ボールミルを用いてセメント組成物を調製した。1バッチ当りのクリンカー粉砕量を15kg、表1の各石膏を宇部興産株式会社製の普通ポルトランドセメントクリンカーに対し、SO換算で1.5質量%添加した。目標のブレーン比表面積は3300±100cm/gとした。各セメント組成物の化学組成を表3に示す。
Figure 2005336005
各セメント組成物の示差熱試験、物理試験、軟練異常凝結試験、コンクリート試験を行った。以下にその詳細を述べる。
[ 示差熱試験 ]
各セメント組成物に含まれる石膏の結晶形態およびその量を、セイコー電子製示差熱熱重量同時測定装置SII EXSTAR 6000/TG/DTA6200Rを用いて、熱天秤ピンホール法により求めた。
[ 物理試験 ]
各セメント組成物について、モルタル圧縮強さ試験をJIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準じて行なった。
[ 軟練異常凝結試験 ]
軟練異常凝結試験は、JASS 5T−101「セメントの異常凝結試験方法」(但し、1986年の改正時に削除)による判定では現れ難い偽凝結性状を知るために改良した方法であり、次の手順で行なった。
(1)試験用器具は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定するセメントの凝結試験装置を用いる。
(2)セメントペーストは、水140mlを練り混ぜ用のはちに注ぎ、さらにセメント組成物400gを練り混ぜ用のはちに入れ(W/C=35%)、30秒間静置する。
(3)次に、30秒間手練りする。
(4)このようにして調製したセメントペーストは、ペースト容器下面にグリスを塗り、底板ガラスに密着したものに詰める。
(5)セメントペーストを練り終わってから5分後、および10分後に標準棒をセメントペースト中に徐々に落下させ、セメントペーストの表面に標準棒の先端が接した時から30秒後の落下値を読む。
(6)偽凝結性の判定は、5分後、および10分後の標準棒の落下値が、いずれか1点でも10mm未満の場合を、偽凝結性のセメント組成物であると判定する。
[ コンクリートのスランプフロー試験 ]
上記のように試製した各セメント組成物に、細骨材、粗骨材、分散剤及び水を加え、表4に示す水セメント比(W/C)、目標スランプフロー、及び空気量で、50Lのパン型強制練りミキサを使用してコンクリートを調製した。練混ぜ量は1バッチ30Lとした。各材料は以下のものを使用した。なお、目標スランプフローは、練り混ぜ5分後の目標値である。
(1)骨材
(i) 細骨材(S):海砂:密度2.59g/cm3、粗粒率2.71、北九州市若松産
(ii) 粗骨材(G):砕石(2005):密度2.58g/cm3、粗粒率6.58、山口市宮野産
(2)練混ぜ水(W):水道水
(3)分散剤:ポリカルボン酸系分散剤((株)エヌエムビー社製、商品名:レオビルドSP8S×4)
Figure 2005336005
そして、セメント組成物、骨材、細骨材を30秒間空練りし、水および混和剤を加えて150秒間練り混ぜた。練り混ぜ後から5分、30分、および60分経過後のスランプフローをJIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」により測定した。スランプフローの経時変化の判定は、練り混ぜ後5分と60分のスランプフローの差が100mm未満を合格とした。なお、「コンクリートのスランプフロー試験方法」は、JIS A1101 「コンクリートのスランプ試験方法」に規定された円錐台形状カップのスランプコーンに、表2に示す各セメント組成物で調整されたコンクリートを詰めて平板に載置し、スランプコーンを鉛直方向に引き上げて、コンクリートをスランプコーンから開放し、平板上に広がったコンクリートの径を測定する試験である。
示差熱試験結果及び物理試験結果を表5に、軟練異常凝結試験結果を表6に、コンクリート試験結果を表7に示す。
Figure 2005336005
表5に示すように、セメント組成物AおよびBから作製された供試体の脱型重量は、570g未満と軽く、また、その供試体の圧縮強度は58.0N/mm未満と低い。これは、石膏ボード廃材から分離した石膏分に含まれる有機混和剤が除去されていないため、その起泡作用によるものである。
Figure 2005336005
表6に示すように、排脱石膏を熱処理して半水化した試製石膏を添加したセメント組成物Hは、偽凝結性試験の結果が10mm以下であり、偽凝結性のセメント組成物と判定される。一方、石膏ボード廃材から分離した石膏分を200℃、300℃で熱処理して半水化させた再生石膏を添加した試製したセメント組成物C、Dは、セメント組成物中に含まれる石膏の半水石膏の割合が100%であるにもかかわらず、偽凝結性は認められなかった。
Figure 2005336005
表7に示すように、セメント組成物中の半水石膏の割合が少ないセメント組成物E、F、Gで作製したコンクリートは、5分後のスランプフローと60分後のスランプフローとの差が100mmを超えており、スランプフローの経時変化が大きかった。一方、石膏ボード廃材から分離した石膏分を熱処理して半水化させた再生石膏を添加したセメント組成物C、Dで作製したコンクリートにおいては、5分後のスランプフローと60分後のスランプフローとの差は50mm未満であり、スランプフローの低減効果は大きかった。以上の各試験の結果のまとめを、表8に示す。
Figure 2005336005
表8に示すように、石膏ボード廃材から紙を除去した石膏分を、170℃〜350℃で加熱処理して、半水石膏やIII型無水石膏を含む再生石膏を得、その再生石膏に大気中の水分を吸収させてIII型無水石膏を半水石膏としたうえで、その再生石膏をセメントクリンカーに添加して調製したセメント組成物No.C,Dは、強度、偽凝結性、および高強度高流動配合におけるスランプフローの経時変化の低減効果のいずれについても、良好な結果が得られた。また、これらセメント組成物No.C,Dに用いた再生石膏のブレーン比表面積は、表2から、7500〜10000cm/gであることがわかった。

Claims (4)

  1. 石膏ボード廃材から紙が除去された石膏分を170℃〜350℃で加熱処理し、得られた半水石膏とセメントクリンカーとを混合することにより、セメント組成物を製造することを特徴とするセメント組成物の製造方法。
  2. 前記半水石膏の混合量は、前記セメントクリンカーに対し、SO換算で0.5〜3.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のセメント組成物の製造方法。
  3. 前記半水石膏の特性は、前記半水石膏4gを、20℃の純水1000mLに分散させたとき、1分経過後のろ液のSOイオン濃度が1700〜2300mg/Lとなることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント組成物の製造方法。
  4. 前記半水石膏のブレーン比表面積は、7500cm/g〜10000cm/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント組成物の製造方法。
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