JP2005333959A - Hiv−1複製を制御するhiv−1由来のポリヌクレオチドおよびポリペプチド - Google Patents
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Abstract
【課題】HIV複製に対して影響及ぼすヌクレオチド変異およびペプチド変異の位置を同定し、HIV感染者の治療に有効な、RNAiや遺伝子治療および薬剤開発等を可能とする新しいHIV−1由来ポリヌクレオチドとポリペプチドを提供する。
【解決手段】特定の塩基配列を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド、およびその配列において1以上の特定の塩基置換を有するポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチド、およびHIV−1複製を制御する構造遺伝子中のアミノ酸変異を伴わない塩基置換。
【選択図】図1
【解決手段】特定の塩基配列を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド、およびその配列において1以上の特定の塩基置換を有するポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチド、およびHIV−1複製を制御する構造遺伝子中のアミノ酸変異を伴わない塩基置換。
【選択図】図1
Description
この出願の発明は、HIV−1由来のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関するものである。さらに詳しくは、HIV−1複製を制御可能なHIV−1のヌクレオチド置換位置を同定し、かつそのヌクレオチド置換がアミノ酸置換の伴わない同義変異であってもHIV−1複製を制御する。
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)は主として異性間感染と母子感染により世界中に蔓延し続け、2003年のUNAIDSおよびWHOの報告書によれば、世界中で300万人以上が命を落とし、500万人が新たにHIVに感染し、約4000万人がHIV/AIDSと共に生きていると推計された。特にサハラ以南の南部アフリカ地域における感染者数は約2660万人で全世界の約65%を占める。また、南・東南アジアにおいても感染拡大は衰えておらず約800万人の感染者数が推計されている。特に中国の感染拡大は著しく2003年末には感染者が100万人を上回った。日本においても新規感染者数は毎年約600人以上を記録し、献血者数に占めるHIV陽性者の割合も年々増加している。このように不幸にもHIVに感染してしまった患者には、先進国であればAZTを始めとした抗レトロウイルス薬の投与により、病状の進行およびAIDSの発症が抑えられ延命が期待できるが、完全にウイルスを排除するような治療薬は無く継続的な投与を行う必要性がある。また、薬の副作用による影響も大きい。このような事を踏まえ2003年日本でHIV感染患者一人一人に感染しているウイルスを検査し、患者自身のHLAを調べ、免疫力を高めHIV抑制を目的としたテーラーメイド遺伝子治療治験が開始されたが、アフリカを始めとする発展途上国においては、コストの面で同様の抗レトロウイルス薬を用いた治療やテーラーメイド遺伝子治療を行う事は困難である。このような遺伝子治療の他にも、合成RNAを用いたHIV−1複製を直接制御可能(RNA interference;RNAi)な技術が報告された(Brisibe et al.,2003,Hu et al,2002,Jacque et al.,2002)が、そのターゲットとなる遺伝子部位の選定(Park et al.,2003)、RNA長等様々な問題も残されている(Borden et al.,2003,Wang et al.,2003)。
しかし、このような治療薬や治療方法の開発が急がれる中、HIV−1自身の解析は未だ多くのブラックボックスを残している。次世代の治療方法や予防/治療ワクチンおよび薬剤開発のターゲット部位の決定にも解析が急務である。現在エイズワクチンのターゲットとして利用されているgag遺伝子にも様々な機能が報告されている。Gag遺伝子は、HIV−1のコアーを形成するカプシドタンパク質(p24)、外膜とカプシドタンパク質との間に存在するマトリックスタンパク質(p17)、ヌクレオカプシドタンパク質(p15)等のコアーに関連した構造タンパク質をコードしている(Freed 1998)。特にp17部位は、ウイルスassembly、membrane binding、maturation、earlypostentry step、envelope incorporation等に対して重要な役割を持つ事が報告されている(Freed 1998)。また、p17の特定のアミノ酸置換により感染性モレキュラークローンの感染性制御も報告されている(Canno et al.1997)。また、APOBEC3G(Gu et al.,2003,Mangeat et al.,2003,Zhang et al.,2003)やAID(Pham et al.,2003))の様なホスト側の要因も1本鎖のDNAに対して直接作用し細胞複製に対して抑制する事が報告されている。
Borden et al.,J.Virol.,77,11531−11535,2003.
Brisibe et al,,Trends Biotechnol.,21,306−311,2003.
Canno et al,J.Virol.,71,3474−3483,1997.
Cornelissen et al.,J.Virol.,70,8209−8212,1996.
Freed,Virology 251,1−15,1998.
Gu et al.,Nature,424,21−22,2003.
HIV−1 database;www.hiv.lanl.gov/content/index.
Hu et al.,Curr.Biol.,6,1301−1311,2002.
Jacque et al.,Nature,418,435−438,2002.
Leitner et al.,Virology,209,136−146,1995.
Mangeat et al.,Nature,424,99−103,2003.
Park et al.,Nucleic Acids Res.,30,4830−4835,2002.
Pham et al.,Nature,424,103−107,2003.
Wang et al.,World J.Gastroenterol,9,1657−1661,2003.
Yuan et al.,J.Virol.,67,6387−6394,1993.
Zhang et al.,Nature.424,94−98,2003.
Zhou et al.,J.Virol.,68,2556−2559,1994.
Brisibe et al,,Trends Biotechnol.,21,306−311,2003.
Canno et al,J.Virol.,71,3474−3483,1997.
Cornelissen et al.,J.Virol.,70,8209−8212,1996.
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Yuan et al.,J.Virol.,67,6387−6394,1993.
Zhang et al.,Nature.424,94−98,2003.
Zhou et al.,J.Virol.,68,2556−2559,1994.
HIV−1の感染によるAIDSが世界的規模で急速に拡大しつつあり、その対策が強く求められている。特にAIDSの予防や治療の観点からは有効なワクチン、遺伝子治療および薬剤の開発が急務であるが、HIV−1のゲノムRNAやその発現タンパク質は急激かつ多様に変異するため、それぞれに決定的なターゲットとなるHIV遺伝子は未だ見出されていない。またウイルスおよびホストである人側の因子との相互作用についても完全に解明されておらず両サイドからの解析がそれぞれ必要である。
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、HIV−1遺伝子の未解明の機能を明らかにする事によりHIV−1の制御を可能にし、HIV−1治療に有効な薬剤開発を可能とする新しいHIV−1由来ポリヌクレオチドとポリペプチドを提供することを課題としている。
この出願の発明は、前記の課題を解決するものとして、以下の発明を提供する。
(1) 配列番号1の塩基配列を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド。
(2) 配列番号1の塩基配列において、以下の塩基置換(a)を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド:
(a) 第75位aがg;
(3) 配列番号2のアミノ酸配列を有するHIV−1由来のポリペプチド。
(4) HIV−1複製を制御する構造遺伝子中のアミノ酸変異を伴わない塩基置換。
(1) 配列番号1の塩基配列を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド。
(2) 配列番号1の塩基配列において、以下の塩基置換(a)を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド:
(a) 第75位aがg;
(3) 配列番号2のアミノ酸配列を有するHIV−1由来のポリペプチド。
(4) HIV−1複製を制御する構造遺伝子中のアミノ酸変異を伴わない塩基置換。
我々は、1992年、WHOによりタイで採取、分離されたHIV−1 CRF01_AE、92TH022を感染させたphytohemagglutinin−blasted(PHA−b)peripheralblood mononuclear cell(PBMC)のprovirusから感染性モレキュラークローンの構築に成功した。このモレキュラークローンとCornelisseらが公表したgag p17 regionのシークエンスを比較検討した所、公表されたシークエンスのgag position 75の塩基はGであった(Cornelissen et at.1996,HIV−1 database; www.hiv.lanl.gov/content/index, accessionnumber U86578)が、我々が新規に構築した感染性モレキュラークローンは同位置がAであった。また、同位置は、塩基性アミノ酸が多く存在するドメイン(gag position 51〜93)に含まれ、細胞膜結合に関連している(Yuan et al.,1993,Zhou et al.,1994)。更に、感染性モレキュラークローン作成に使用したwild−typeのウィルスはin vitroにおいて感染性が弱く、ウイルス増殖が困難であった。また、既に公表されている他のsubtypeのシークエンスおよびコンセンサスシークエンスにおいても同位置はA(subtype Fを除く)であり、subtypeを超えて配列が非常に良く保存されている事が判明した。以上の事に注目し、感染性モレキュラークローンのgag position 75をA(配列番号1の塩基配列)からG(配列番号3の塩基配列)に置換した(表1)モレキュラークローンミュータントを作成した。このモレキュラークローンミュータントはアミノ酸置換を伴わない同義変位にも関わらずウイルス複製機能を喪失した。このようにウイルスは従来考えられたようなアミノ酸レベルでの機能制御(Cannon et al.1997)の他に核酸レベルで調整を行っている事を見いだした。
この出願の前記発明(1)〜(4)は以上のとおりの新規な知見に基づくものである。
以下、この発明の実施形態について詳しく説明する。なお、この発明において、「ポリヌクレオチド」とは、プリンまたはピリミジンが糖にβ−N−グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ATP、GTP、CTP、UTP;またはdATP、dGTP、dCTP、dTTP)が複数個結合したDNA分子またはRNA分子を言い、「ポリペプチド」とは、アミド結合(ペプチド結合)によって直線的配列で互いに結合した複数個のアミノ酸残基の直線的配列から構成された分子を意味する。また、この発明を実施するために使用する遺伝子工学および分子生物学的技術は、公知の文献(例えば、Sambrook and Maniatis,in Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York, 1989;Ausubel,F.M. et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y,1995)等に基づいて当該技術分野において通常の知識を有する者にとっては容易に実施可能なものである。
この発明(1)のポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列を有することを特徴としている。また発明(2)は、配列番号1の塩基配列において、表1に示した(a)の塩基置換を有するポリヌクレオチド(配列番号3)である。
また、塩基置換配列は、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドに、市販のミューテーションキット等を用いて前記の塩基置換を導入することによって取得することもできる。得られたポリヌクレオチドは、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBN(Nucleic acid sequencebased amplification )法、TMA( Transcription−mediatedamplification)法およびSDA(Strand Displacement Amplification)法などの通常行われる遺伝子増幅法により増幅することができる。
前記の発明(1)および(2)のポリヌクレオチドは、アミノ酸変異の伴わない同義変異であるgag position 75の変異がHIV−1複製を制御しており、これらのポリヌクレオチドは、HIV−1複製に対して影響している事から、このポリヌクレオチドは、HIV−1複製を制御し、HIV−1感染者の治療用薬剤のターゲット遺伝子として極めて有用である。
発明(3)のポリペプチドは、配列番号2、4のアミノ酸配列に基づいて化学合成する方法や、前記のポリヌクレオチドをインビトロ転写翻訳系または宿主−ベクター系で発現させる方法によって製造することができる。例えば、ポリペプチドをインビトロ転写翻訳で発現させる場合には、RNAポリメラーゼプロモーターを有する発現ベクターにポリヌクレオチドを組換え、プロモーターに対応するRNAポリメラーゼを含むウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加すれば、ポリペプチドをインビトロで生産することができる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6などが例示できる。これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKAl、pCDM8、pT3/T7 l8、pT7/3 l9、pBluescript IIなどが例示できる。また、ポリペプチドを、大腸菌などの微生物で発現させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有する発現ベクターにポリヌクレオチドを組込んで発現ベクターを作成する。この発現ベクターで宿主細胞を形質転換すれば、ポリペプチドを発現する形質転換体細胞を得ることができ、この形質転換体を培養すれば、その培養物から目的のポリペプチドを大量生産することができる。大腸菌用発現ベクターとしては、pET発現システム、pGEX発現システムなどが例示できる。さらに、ポリペプチドを真核細胞で発現させる場合には、ポリヌクレオチドを、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに挿入して組換えベクターを作製する。このベクターを真核細胞内に導入すれば、目的のポリペプチドを発現する形質転換真核細胞を得ることができる。発現ベクターとしては、pKAl、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pBK−RSV、EBVベクター、pRS、pYES2などが例示できる。真核細胞としては、ヒト胎児腎臓細胞HEK293、サル腎臓細胞COS7、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOなどの哺乳動物培養細胞、あるいはヒト臓器から単離した初代培養細胞などが使用できる。出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞なども使用できる。発現ベクターを細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。形質転換細胞で発現させたポリペプチドを単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
以上のとおりこのポリヌクレオチドは、HIV−1複製に対して影響している事から、このポリヌクレオチドは、HIV−1複製を制御し、HIV−1感染者の治療用薬剤のターゲット遺伝子として極めて有用である。
以下、この発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの特定について行った実験的研究について詳しく説明する。
1.方法
1−1.DNA−PCRとシークエンス解析
DNAをPCR法により増幅し、シークエンス解析を行った。gag p17遺伝子を先ず以下のプライマーセット:
JA152(5’−ATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAG:配列番号5);および
JA155(5’−CTGATAATGCTGAAAACATGGGTAT:配列番号6)、
を用いて増幅し、次いで以下のプライマーセット:
JA153(5’−CTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCT:配列番号7);および
JA154(5’−CCCATGCATTCAAAGTTCTAGGTGA:配列番号8)、
を用いてネステッドPCRを行った(Leiner et al.,1995)。
1.方法
1−1.DNA−PCRとシークエンス解析
DNAをPCR法により増幅し、シークエンス解析を行った。gag p17遺伝子を先ず以下のプライマーセット:
JA152(5’−ATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAG:配列番号5);および
JA155(5’−CTGATAATGCTGAAAACATGGGTAT:配列番号6)、
を用いて増幅し、次いで以下のプライマーセット:
JA153(5’−CTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCT:配列番号7);および
JA154(5’−CCCATGCATTCAAAGTTCTAGGTGA:配列番号8)、
を用いてネステッドPCRを行った(Leiner et al.,1995)。
増幅したフラグメントはHigh Pure PCR Product Purification Kit(Roche Diagnostics,NJ,USA)を用いて生成し、自動DNAシークエンスサー(Applied Biosystems 377,PE Biosystem,CA,USA)により、ABIPRISM Big Dye Terminator Cycle Sequence technology(PEBiosystem)を用いて、直接シークエンス解析を行った。
1−2.モレキュラークローン解析
PCRにより増幅した全長の92TH022ゲノム(約9kb)をpGEM−Tベクター(Promega Co.,USA)にクローニングした(G5型)。このプラスミドを用い図1に示すように3段階のクローニングによりp17領域を置換したプラスミドG6(配列番号3に置換)を構築した。2μg/μlに調整されたプラスミドをCLONfectin(CLONETECH Laboratories,Inc.USA)を用いて50x104細胞/well(6穴)のMAG1C5細胞(CD4、CXCR4およびCCR5発現継代細胞)にトランスフェクションし発現したウイルスを104細胞/well(96穴)MAG1C5細胞および106細胞/well(48穴)、PHA−b PBMCを標的細胞として感染実験を行った。発現したウイルスの標的細胞への感染性およびウイルスの発現評価としてgagp17をDNA−PCRおよびRT−PCR法を用い、また培地中のHIV−1 p24 HIV−1抗原をHIV−1 p24 Antigen ELIZA test System(COULTER,Florida,USA)を用いて評価した。
2.結果と考察
2−1.モレキュラークローンによる遺伝子機能の解析
HIV−1 gag p17 position 75置換のウイルス増殖、感染性等への影響を調べる為に、92TH022(G5)を元にgag p17領域を遺伝子操作したモレキュラークローン(G6)を作成し、MAG1C5細胞およびPHA−b PBMCを標的として評価を行った。G5およびG6のMAG1C5細胞ゲノムへの挿入およびmRNA発現が確認された[図2(a)]。一方、PHA−b PBMCでは同様に両モレキュラークローンのゲノムへの挿入が確認されたが、mRNA発現は確認されなかった[図2(b)]。しかし、培地中のp24 HIV−1抗原は、MAG1C5細胞のG5のみで検出された(表2)。以上から、ターゲットにしたHIV−1 gag p17 position 75は、HIV−1遺伝子のゲノムへの挿入、挿入された遺伝子の発現およびウイルスの分泌および成熟性に影響を及ぼしている事が示唆され、これをターゲットにした、薬剤開発にこの遺伝子配列が重要である事が示唆された。
1−2.モレキュラークローン解析
PCRにより増幅した全長の92TH022ゲノム(約9kb)をpGEM−Tベクター(Promega Co.,USA)にクローニングした(G5型)。このプラスミドを用い図1に示すように3段階のクローニングによりp17領域を置換したプラスミドG6(配列番号3に置換)を構築した。2μg/μlに調整されたプラスミドをCLONfectin(CLONETECH Laboratories,Inc.USA)を用いて50x104細胞/well(6穴)のMAG1C5細胞(CD4、CXCR4およびCCR5発現継代細胞)にトランスフェクションし発現したウイルスを104細胞/well(96穴)MAG1C5細胞および106細胞/well(48穴)、PHA−b PBMCを標的細胞として感染実験を行った。発現したウイルスの標的細胞への感染性およびウイルスの発現評価としてgagp17をDNA−PCRおよびRT−PCR法を用い、また培地中のHIV−1 p24 HIV−1抗原をHIV−1 p24 Antigen ELIZA test System(COULTER,Florida,USA)を用いて評価した。
2.結果と考察
2−1.モレキュラークローンによる遺伝子機能の解析
HIV−1 gag p17 position 75置換のウイルス増殖、感染性等への影響を調べる為に、92TH022(G5)を元にgag p17領域を遺伝子操作したモレキュラークローン(G6)を作成し、MAG1C5細胞およびPHA−b PBMCを標的として評価を行った。G5およびG6のMAG1C5細胞ゲノムへの挿入およびmRNA発現が確認された[図2(a)]。一方、PHA−b PBMCでは同様に両モレキュラークローンのゲノムへの挿入が確認されたが、mRNA発現は確認されなかった[図2(b)]。しかし、培地中のp24 HIV−1抗原は、MAG1C5細胞のG5のみで検出された(表2)。以上から、ターゲットにしたHIV−1 gag p17 position 75は、HIV−1遺伝子のゲノムへの挿入、挿入された遺伝子の発現およびウイルスの分泌および成熟性に影響を及ぼしている事が示唆され、これをターゲットにした、薬剤開発にこの遺伝子配列が重要である事が示唆された。
以上詳しく説明したとおり、この出願によって、アミノ酸変異を伴わない遺伝子変異が、HIV−1複製に影響を及ぼす事を提供した。これによりHIV感染者の治療に有効な薬剤開発を可能とする新しいHIV−1由来ポリヌクレオチドとポリペプチドが提供される。
Claims (4)
- 配列番号1の塩基配列を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド。
- 配列番号1の塩基配列において、以下の塩基置換(a)を有するHIV−1由来のポリヌクレオチド:
(a)第75位aがg; - 配列番号2のアミノ酸配列を有するHIV−1由来のポリペプチド。
- HIV−1複製を制御する構造遺伝子中のアミノ酸変異を伴わない塩基置換。
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