JP4144876B2 - Hiv−1複製抑制剤 - Google Patents

Hiv−1複製抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4144876B2
JP4144876B2 JP2004061237A JP2004061237A JP4144876B2 JP 4144876 B2 JP4144876 B2 JP 4144876B2 JP 2004061237 A JP2004061237 A JP 2004061237A JP 2004061237 A JP2004061237 A JP 2004061237A JP 4144876 B2 JP4144876 B2 JP 4144876B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hiv
replication inhibitor
seq
polypeptide
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004061237A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005247763A (ja
Inventor
和郎 長嶋
洋文 澤
秀宗 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIRECTOR-GENERAL OF NATIONAL INSTITUTE OF INFECTIOUS DISEASES
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
DIRECTOR-GENERAL OF NATIONAL INSTITUTE OF INFECTIOUS DISEASES
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIRECTOR-GENERAL OF NATIONAL INSTITUTE OF INFECTIOUS DISEASES, Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical DIRECTOR-GENERAL OF NATIONAL INSTITUTE OF INFECTIOUS DISEASES
Priority to JP2004061237A priority Critical patent/JP4144876B2/ja
Publication of JP2005247763A publication Critical patent/JP2005247763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4144876B2 publication Critical patent/JP4144876B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、HIV−1(ヒト免疫不全ウイルス−タイプ1)の複製を抑制する薬剤に関し、詳しくは、トリステトラプロリン(tristetraprolin;TTP)やトリステトラプロリン遺伝子を組み込んだ発現ベクターを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤やエイズ予防・治療薬に関する。
ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS;エイズ)は、RNAウィルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって引き起こされる重篤な全身性の免疫不全症状によって特徴づけられる極めて高い発症率と致死率をもつ疾患である。HIVは、CD4とよばれる細胞膜蛋白を受容体として細胞に感染する性質をもつため、細胞性免疫を統御する中枢細胞であるCD4陽性ヘルパーT細胞に感染し、破壊する。そのため細胞性免疫の著しい機能低下が起こり、その結果、全身性の免疫不全状態が引き起こされる。エイズの病因ウイルスであるHIVは、血清学的・遺伝学的に性状の異なるHIV−1とHIV−2に大別される。HIV−1は現在の世界流行の主体となっているウイルスで全世界に分布している。また、HIVは変異しやすく多くのウイルス亜株が知られており、それらの全塩基配列が解明されているものも多い。そして、抗HIV−1活性を有する多くのペプチド抑制剤が既に報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1〜6参照)。
他方、トリステトラプロリンは、特有なモチーフのジンク・フィンガーモチーフCys-Cys-Cys-Hisをもつタンパク質であり、このトリステトラプロリン欠損マウスでは種々のサイトカインmRNAの安定性が大幅に増加し、関節炎等の自己免疫疾患を発症することが知られている(例えば、非特許文献7参照)。また、トリステトラプロリンがマクロファージによるTNF−α産生を阻害する負の制御をしていることも知られている(例えば、非特許文献8参照)。トリステトラプロリンはTNF−α等のサイトカインmRNAの3'非アミノ酸コード領域にあるAUUUA(AUシークエンス又はAU-rich element;ARE)を認識して結合し、エキソゾーム(exosome)によるmRNAの分解を促進するタンパク質として知られている(例えば、非特許文献9参照)。癌遺伝子、サイトカインなど細胞外部からのシグナルによって作用を開始する因子群は、転写、mRNAの安定性、翻訳、分解等によって多重制御されており、リポポリサッカライド等の刺激によりmRNAの転写が亢進する一方で、AREを認識するトリステトラプロリン等の因子により細胞質、エキソゾームへ誘導され、mRNAの分解が促進されている。トリステトラプロリンは通常、細胞内では発現しておらず、サイトカインなどの転写スイッチ・オンと共に発現し、サイトカインmRNAの分解を促進することによって、転写スイッチでは困難であるサイトカインの俊敏なスイッチ操作を行っていると考えられている(例えば、非特許文献10参照)。
特開2002−338600号公報 Cell 89: 263-273, 1997 Cell 93: 681-684, 1998 Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 95: 15613-15617, 1998 Cell 99: 103-115, 1999 Nat.Med. 4: 1302-1307, 1998 J.Virol. 72: 9763-9770, 1998、Cell 99: 243-246, 1999 Science 281: 1001-1005, 1998 Mol. Cell. Biol. 19: 4311-4323, 1999 Mol. Cell. Biol. 23: 3798-3812, 2003 J. Biol. Chem. 278: 30373-30381, 2003
本発明の課題は、HIV−1ゲノムRNAがAREmRNAと同様の動態を示す点に着目した、新しいタイプのエイズ薬剤の開発に有用なHIV−1複製抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、一貫してレトロウイルス、JCウイルスの研究を継続しており、特にウイルス脳症の治療法の確立を目指して研究を遂行している。その研究過程の中で、HIV−1ゲノムRNAの安定性が宿主トポイソメラーゼIによって調節されていること、ウイルス発芽によって安定制御機構が解除され、急速にRNAのUAまたはCA間にニック(切れ目)が入ること、ニックが入ったゲノムRNAはトポイソメラーゼIによって再結合することを見い出した。また、AUUUAの繰り返し配列を含むRNAを合成して切断を調べたところ、タンパク質等の存在下でUA間が急速に切断されることが判明した。さらに、トポイソメラーゼIによるRNAライゲース活性の役割を調べたところ、HIV−1ゲノムRNAはAREmRNAと同様に、トポイソメラーゼIによりRNAの切断が阻害されること、すなわち、HIV−1ゲノムRNAがAREを有するmRNAと同様の動態をとることを見い出した。このように、AREを含むmRNAとHIV−1ゲノムRNAが同様の制御をうけていることから、トリステトラプロリンのHIV−1複製に対する作用を調べた結果、トリステトラプロリンはHIV−1複製を抑制することを確認した。これらの知見に基づいて、本発明は完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤や、配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、HIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤に関する。
また本発明は、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤や、配列番号1で表される塩基配列若しくはその相補的配列又はそれらの部分配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつHIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドををコードするDNAを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤や、これらDNAを組換えベクターとして含有するHIV−1複製抑制剤に関する。
さらに本発明は、以上のHIV−1複製抑制剤を含有することを特徴とするエイズ予防・治療薬に関する。
本発明によると、抗HIV−1薬の開発において盛んに行われているプロテオミクスによる蛋白性因子を標的とした薬剤開発とは異なり、HIV−1mRNAを標的とする新しい抗HIV−1薬の開発が可能となり、HIV感染だけではなく、さらに広い範囲の疾患治療を実現可能にすることも期待できる。
本発明のHIV−1複製抑制剤とは、細胞内でHIV−1ゲノムRNAの複製を抑制することができるものであって、本発明のHIV−1複製抑制剤としては、ポリペプチド又はDNA(ベクターを含む)を有効成分として含有するものを挙げることができる。
上記ポリペプチドとしては、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するヒトトリステトラプロリンや、配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつHIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドを挙げることができる。ここで、HIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するとは、ヒトトリステトラプロリンが有するHIV−1ゲノムRNAの分解作用と同程度若しくはそれ以上のHIV−1ゲノムRNAの分解作用をいい、またここで、アミノ酸の「欠失、置換若しくは付加」の程度及びそれらの位置などは、改変されたペプチド若しくは蛋白質が、配列番号2で示されるアミノ酸配列のからなるポリペプチド(ヒトトリステトラプロリン)と同効物であれば特に制限されない。
アミノ酸配列の改変(変異)は、例えば突然変異や翻訳後の修飾などにより生じることもあるが、人為的に改変することもできる。上記ポリペプチドには、このような改変・変異の原因及び手段などを問わず、上記HIV−1ゲノムRNA分解作用を有する全ての改変ペプチドが包含される。アミノ酸の人為的な置換は、極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性における類似性に基づき行うことができる。例えば、負電荷の酸性アミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正電荷の塩基性アミノ酸にはリシン及びアルギニンが含まれ、また同様の親水価をもつ無電荷の中性アミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが含まれる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドや、配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、HIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドは、そのアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製造することができる。化学合成法には、通常の液相法及び固相法によるペプチド合成法が包含される。かかるペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包含する。上記ポリペプチドの合成は、そのいずれによることもできる。
上記ポリペプチド合成に採用される縮合法も、公知の各種方法に従うことができる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシサクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド等)、ウッドワード法等を例示することができる。これら各方法に利用できる溶媒もこの種ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている一般的なものから適宜選択することができる。例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸やペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メトキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステルアラルキルエステル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばチロシンの水酸基は、アセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第三級ブチル基等で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要はない。更に例えばアルギニンのグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、2−メトキシベンゼンスルホニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基等の適当な保護基により保護することができる。上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及び最終的に得られる上記ポリペプチドにおけるこれら保護基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸等を用いる方法等に従って、実施することができる。
その他、上記ポリペプチドは、その塩基配列情報により、遺伝子工学的手法を用いて常法により調製することもできる。このようにして得られるポリペプチドは、通常の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って、適宜その精製を行うことができる。
本発明のHIV−1複製抑制剤の有効成分としてのDNAとしては、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA(ヒトトリステトラプロリン遺伝子)や、配列番号1で表される塩基配列若しくはその部分配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつHIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドをコードするDNAや、これらDNAが発現ベクターに組み込まれた組換えベクターを挙げることができる。
また、上記配列番号1で表される塩基配列若しくはその相補的配列又はそれらの部分配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつHIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドをコードするDNAは、配列番号1に示される塩基配列若しくはその相補的配列又はそれらの配列の一部又は全部をプローブとして、ヒトのDNAライブラリーに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションを行ない、該プローブにハイブリダイズするDNAを単離することにより、ヒトトリステトラプロリンと同効な目的とするポリペプチドをコードするDNAを得ることもできる。かかるDNAを取得するためのハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、42℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理を挙げることができ、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC,0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理をより好ましく挙げることができる。なお、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与える要素としては、上記温度条件以外に種々の要素があり、当業者であれば、種々の要素を適宜組み合わせて、上記例示したハイブリダイゼーションのストリンジェンシーと同等のストリンジェンシーを実現することが可能である。
また、上記組換えベクターの構築におけるDNAが組み込まれる発現ベクターとしては、例えば、非分列細胞を含む全ての細胞(血球系以外)での一過性発現に用いられるアデノウイルスベクター(Science, 252, 431-434, 1991)や、分裂細胞での長期発現に用いられるレトロウイルスベクター(Microbiology and Immunology, 158, 1-23, 1992)や、非病原性、非分裂細胞にも導入可能で、長期発現に用いられるアデノ随伴ウイルスベクター(Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158, 97-129, 1992)や、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス等のウイルス由来のベクターの他、リポソームなどを具体的に挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、経口により細胞株を樹立することなく直接的に遺伝子を生体に発現させることができ、高い効率で細胞系や生体の臓器における遺伝子発現が可能なアデノウイルスベクターが好ましい。これら発現ベクターへの組込みは常法によって行われ、その際プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の制御配列を適宜利用することもできる。
上述のHIV−1複製抑制剤や、かかるHIV−1複製抑制剤を含有する本発明のエイズ予防・治療薬を、HIV−1を標的とした医薬用の製剤として用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分の他、Smadタンパク質やそれをコードするDNA等のトリステトラプロリン誘発剤を添加することができる。これら治療剤は、経口的又は非経口的に投与することができ、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。
経口的に投与する製剤の場合、薬理学的に許容される担体としては、慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、例えば錠剤には乳糖、デンプン等の賦形剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤等を配合することができ、懸濁液製剤には生理的食塩水アルコール等の溶剤、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の溶解補助剤、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン等の懸濁化剤、グリセリン、D−マンニトール等の等張化剤、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩等の緩衝剤などを配合することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を配合することもできる。非経口的に投与する製剤の場合、蒸留水、生理的食塩水等の水溶性溶剤、サリチル酸ナトリウム等の溶解補助剤、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等の等張化剤、ヒト血清アルブミン等の安定化剤、メチルパラベン等の保存剤、ベンジルアルコール等の局麻剤を配合することができる。
また、本発明のHIV−1複製抑制剤や、かかるHIV−1複製抑制剤を含有する本発明のエイズ予防・治療薬の投与量は、疾病の種類、患者の体重や年齢、投与形態、症状等により適宜選定することができるが、例えば成人に投与する場合、有効成分であるHIV−1を標的としたHIV−1複製抑制剤を通常1回量として約0.001〜500mg、好ましくは1〜50mgであり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。本発明のHIV−1複製抑制剤や、かかるHIV−1複製抑制剤を含有する本発明のエイズ予防・治療薬を非経口的に投与するには、たとえば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、骨髄腔内投与、経粘膜投与などを挙げることができるが、静脈内投与や皮下投与が好ましい。
さらに、本発明のHIV−1複製抑制剤は養子免疫療法にも用いることができる。すなわち、生体外に取り出したエイズ患者のCD4陽性ヘルパーT細胞に本発明のHIV−1複製抑制剤導入し、再びエイズ患者の生体内に戻すことにより、養子免疫療法を行うことができる。ヘルパーT細胞内に、ポリペプチドを有効成分とする本発明のHIV−1複製抑制剤を導入する方法としては、巨大分子と非共有結合体を形成し、タンパク質等の巨大分子の構造を変化させ、タンパク質等の巨大分子を細胞内にデリバリーすることができるChariot(Active Motif社製)等の細胞毒性のない試薬を用いることができる。また、ヘルパーT細胞内に、組換えベクター等DNAを有効成分とする本発明のHIV−1複製抑制剤を導入する方法としては、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等を挙げることができる。
本発明のHIV−1複製抑制剤は、サイトカイン等mRNAの分解を促進することにより腫瘍、自己免疫疾患、他のRNAウイルス感染症等の治療に応用できる可能性が期待できるが、かかるHIV−1複製抑制剤を含有する本発明のエイズ予防・治療薬を用いる、宿主因子とウイルスRNAの相互作用を標的としたエイズ治療の場合、ウイルス因子を対象とする場合に比べてエスケープミュータントの出現効率が極めて低く、細胞毒性の低い特異的抗ウイルス剤の開発が可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[ヒトトリステトラプロリンcDNAのクローニングとシークエンス、発現ベクターの作製]
ヒト細胞株HeLaからSV total kit(Promega)を用いてmRNAを抽出し、Omniscript kit(Qiagen)を用いて15ntのpoly(dT)をプライマーとしてcDNAライブラリーを作製した。RT−PCRによってヒトトリステトラプロリンをクローニングした。RT−PCRには、TTPF(5'−CGTGAATTCATGGATCTGACTGCCATCTACGAGAGCCT−3';配列番号3)と、TTPR(5'−GACCGGGCAGGCGGCCGCTCACTCAGAAACAGAGAT−3';配列番号4)をそれぞれプライマーとして用いた(EcoRIとNotIサイトをそれぞれ下線で示した。)。ヒトトリステトラプロリンcDNAのシークエンスを確認した後、哺乳類発現ベクターpcDNA4/HisMax−C(Invitrogen Life Technologies)のEcoRI、NotIサイトへ挿入しpchTTPwtとした。
[発現ベクターによる感染性ウイルス粒子の作製]
HIV−1は1本鎖直鎖状RNAウイルスで染色体上のプロウイルスとしては9,709bpの長さを有する。HIV−1のプロウイルスDNAを含むベクターpNL43(1986年にAdachi等が発表)を哺乳類細胞へ導入することによりHIV−1蛋白群が転写、翻訳され、感染性を有する粒子が培養細胞上清に放出される。
[ウイルス発現ベクター及びヒトトリステトラプロリン発現ベクターの細胞内への導入]
実施例2記載のHIV−1のプロウイルスDNAを含むベクターpNL43を0.2μgと、実施例1で得られたヒトトリステトラプロリン発現ベクターpchTTPwtを0.02μg、0.2μg又は空の哺乳類発現ベクターpcDNA4/HisMax−Cを0.2μgとを、同時にヒト由来の293T細胞へ哺乳細胞遺伝子導入試薬Fugene6(Rosche)を用いて導入し、1mlの培養液で培養した。
[ウイルスの定量]
遺伝子導入から48時間後、上清のHIV−1抗原(P24)を抗原ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)(ZeptoMetrix, Buffalo, NewYork)によって定量した。ヒトトリステトラプロリンを発現したヒト293T細胞から得られたウイルス量を空の発現ベクターを導入した細胞由来のウイルス量と比較した結果を図1に示す。図1から、ヒトトリステトラプロリンの発現により、ウイルス産生量は5.2分の1となることがわかる。また、感染価は12分の1になった。トリステトラプロリンの発現量に依存してHIV−1ウイルス産生と感染価が減少しているこれらの結果は、ヒトトリステトラプロリンによりHIV−1 RNAの分解が細胞内で促進され、ウイルス産生量が低下したことを示している。
[ウイルスRNAの定量]
上清からからSV total kit(Promega)を用いてRNAを抽出し、Omniscript kit(Qiagen)を用いて15ntのpoly(dT)をプライマーとしてcDNAライブラリーを作製した。cDNAはreal-time, 5'-exonuclease PCR-based assay (TaqMan)によって定量解析された。QuantiTect Probe PCR kit (Qiagen)を用い、PCRの条件は、95℃15分、95℃15秒、60℃1分を1サイクルとして45サイクルとした。PCRには、1459F(5'−GGTCCTATGATTATGTCCGGTTATG−3';配列番号5)と、1535R(5'−TGTAGCCATCCATCCTTGTCAA−3';配列番号6)をプライマーとして使用した。また、プローブとしては、1491P(5'−FAM−TCCGGAAGCGACCAACGCCTT−TAMRA−3';配列番号7)を用いた。なお、1491Pにおいて、FAMは6−カルボキシフルオレセイン(6-carboxyfluorescein)を、TAMRAはN,N,N',N'−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(N,N,N',N'-tetramethyl-6-carboxyrhodamine)を表す。結果を図2に示す。その結果、上清のウイルスRNA量は10分の1以下になった。トリステトラプロリンの発現により上精のウイルスRNA量が減少しているこれらの結果は、ヒトトリステトラプロリンによりHIV−1 RNAの複製が細胞内で阻害され、ウイルス産生量が低下し、ウイルスRNA量が低下したことを示している。
ヒトトリステトラプロリン発現ベクターを導入したヒト由来293T細胞の培養上清におけるHIV−1抗原(P24)を抗原ELISAにより定量した結果を示す図である。 ヒトトリステトラプロリン発現ベクターを導入したヒト由来293T細胞の培養上清におけるウイルスRNAの定量解析の結果を示す図である。

Claims (6)

  1. 配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤。
  2. 配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、HIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤。
  3. 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤。
  4. 配列番号1で表される塩基配列若しくはその相補的配列又はそれらの部分配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつHIV−1ゲノムRNAの分解作用を有するポリペプチドをコードするDNAを有効成分として含有するHIV−1複製抑制剤。
  5. DNAを組換えベクターとして含有することを特徴とする請求項3又は4記載のHIV−1複製抑制剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のHIV−1複製抑制剤を含有することを特徴とするエイズ予防・治療薬。
JP2004061237A 2004-03-04 2004-03-04 Hiv−1複製抑制剤 Expired - Fee Related JP4144876B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004061237A JP4144876B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 Hiv−1複製抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004061237A JP4144876B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 Hiv−1複製抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005247763A JP2005247763A (ja) 2005-09-15
JP4144876B2 true JP4144876B2 (ja) 2008-09-03

Family

ID=35028599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004061237A Expired - Fee Related JP4144876B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 Hiv−1複製抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4144876B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010129746A2 (en) 2009-05-06 2010-11-11 Curna, Inc. Treatment of tristetraproline (ttp) related diseases by inhibition of natural antisense transcript to ttp

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005247763A (ja) 2005-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Unique features of TRIM5α among closely related human TRIM family members
TWI341844B (en) Hiv fusion inhibitor peptides with improved biological properties
US7718610B2 (en) Retrocyclins: antiviral and antimicrobial peptides
Schneider et al. Development of HIV fusion inhibitors
BG62977B1 (bg) Вирусен материал и нуклеотидни фрагменти, свързани с диагностика, профилактика и лечение на мултиплената склероза
CN110420331B (zh) Alkbh5抑制物在治疗病毒感染性疾病中的应用
WO2005123771A2 (en) Oligomeric peptides and their use for the treatment of hiv infections
US7335727B2 (en) Pharmaceutical used for treating HIV infection, the composition and uses thereof
WO2008124013A1 (en) Novel formulations for delivery of antiviral peptide therapeutics
WO2022202816A1 (ja) ペプチド及びペプチドを含む組成物
JP6929272B2 (ja) 疾患処置のための方法
WO2018191858A1 (zh) 强效抑制hiv的脂肽、其衍生物、其药物组合物及其用途
US20080286293A1 (en) Promiscuous pap cd4 t cell epitopes
US5157115A (en) Regulation of expression
US20150175666A1 (en) Peptides derived from hiv gp41 for treating t-cell mediated pathologies
KR20100080812A (ko) 치료용 항-hiv 펩티드의 합성 방법
JP4144876B2 (ja) Hiv−1複製抑制剤
US7037896B1 (en) Peptide (VIRIP) which inhibits a circulating virus in humans and the use thereof
WO1998014587A1 (en) Inhibition of hiv replication using soluble tat peptide analogs
JPH10509327A (ja) 真核開始因子5A(eIF−5A)変異体
US5843724A (en) Chimeric nucleic acids and proteins for inhibiting HIV-1 expression
US6358511B1 (en) Inhibitors of HIV infection
US7754687B2 (en) Methods of inhibiting viral infection
EP3272768A1 (en) Chimeric peptides useful in malaria prophylaxis or treatment
WO1994002606A1 (en) Inhibition of retroviral expression by interferon-induced cellular genes and proteins

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080520

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080616

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees