JP2005333761A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータ位置のセンサレス検出方法において、ロータ停止時のN/S判定において音・振動を抑制し、かつ短時間に判定が可能な電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】分離された重畳電流から仮のd軸位相角θ0を検出し、仮のd軸位相角θ0におけるN/S判定を行って仮のd軸位相角θ0から真のd軸位相角θを求めるN/S判定手段を備え、該N/S判定手段は、仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向(反発方向)のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力するように構成し、かつ、ロータの動き(d軸位相角の変化)を監視し、音・振動を出す程に動く前に電流を落としたり符号を反転した電流を印加したりして、ロータが音・振動を出す程に動かないように制御する電動機の制御装置。
【選択図】図2

Description

本発明は電動機の制御装置に関し、例えばロータに永久磁石を備えた三相同期電動機(Intenal Permanent
Magnet Motor:以下、IPMモータと記載)におけるセンサレス制御技術に関する。
電動機をインバータで駆動し、トルク制御系として制御するためには、ロータの磁極位置(d軸位相角)を検出する必要がある。ロータの位置をセンサレスで検出する方法としては、下記特許文献1に記載のように、駆動電流(または電圧:以下同じ)に高周波電流(または電圧:以下同じ)を重畳し、高周波電流ベクトル軌跡の長軸を検出するものがある。
高周波電流を重畳してロータの磁極位置を検出する方法は、IPMモータの突極性(d軸とq軸のインダクタンスの差)を利用しているが、この方法では±90°範囲でしか位置を検出することができず、N極とS極の差が分からない(30°と−150°の区別がつかない)。そこで、初期にN/S判定を行い、その後は位置検出の連続性により±180°範囲の検出に拡張している。N/S判定の方法としては、q軸電流は0のままd軸にある程度の大きな負の電流を印加し、磁気飽和の度合いを重畳した高周波電流の大きさにより判定する。つまりd軸電流id>0のときは磁気飽和が生じて高周波電流が大きくなる一方、id<0のときは磁気飽和が起こらず高周波電流が大きくならないといった性質を利用し、ロータ停止時にd軸にのみ電流を印加して磁気飽和の有無によりN/S判定を行う。
特開2001−339999号
しかし、上記の方法においては次のごとき問題があった。すなわち、モータのティースが有限であることや、コアの加工精度、巻線のばらつき、組み立て精度、インバータの誤差等により高周波電流重畳による磁極位置検出には誤差があり、常に真のd軸のみに電流を印加することはむずかしいので、電流印加によってトルクが発生する。また、仮りに真のd軸のみに電流を印加できたとしても、上記の磁極位置検出の誤差と同じ原因によってトルクを発生する。
磁気飽和を起こすためには印加電流を大きくする必要があるが、推定したd軸と実際のd軸には上記のようにズレがある可能性が高いため、大きな電流を流すとモータが大きなトルクで回転し、モータから駆動輪までの動力伝達径路に存在するガタが詰まるときに大きな衝撃音を発生するという問題がある。この大きな衝撃音を防止するためには印加電流を緩やかに増加させる必要があるが、この場合には、磁気飽和に必要な印加電流まで大きくするのに時間がかかり、N/S判定時間が延びるといった問題が発生する。
本発明は上記のごとき問題を解決するためになされたものであり、ロータ停止時のN/S判定において音・振動を抑制し、かつ短時間に判定が可能な電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては、分離された重畳電流から仮のd軸位相角θ0を検出し、仮のd軸位相角θ0におけるN/S判定を行って仮のd軸位相角θ0から真のd軸位相角θを求めるN/S判定手段、を備え、該N/S判定手段は、仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向(反発方向)のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力するように構成している。また、本発明においては、ロータの動き(d軸位相角の変化)を監視し、音・振動を出す程に動く前に電流を落としたり符号を反転した電流を印加したりして、ロータが音・振動を出す程に動かないようにする制御を行うように構成している。
印加電流が小さくて済むことから、トルクが発生したとしても小さく、ガタが詰まるときの衝撃音が小さくてすむ。また、衝撃音が小さいため、印加電流の増大速度(電流応答)も早くでき、N/S判定を素早く行なえる、という効果が得られる。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
図1において、制御手段1(詳細後述)は、例えばコンピュータで構成されており、電流センサ4と電圧センサ6の信号を入力し、PWM(Pulse Width Modulation)指令7を算出してインバータ回路2へ送る。インバータ回路2は、電源部5の直流電力をPWM指令7に応じた三相電力に変換し、その電力でIPMモータ3を駆動する。電流センサ4はインバータ回路2からIPMモータ3へ送られる三相電力のうちの二相(例えばU相とV相)の電流を検出する。また、電圧センサ6は電源部5の出力電圧(インバータ2の入力電圧)を検出する。上記電流センサ4と電圧センサ6の検出値は制御手段1へ送られ、PWM指令7の算出に用いられる。なお、三相電流は、U+V+W=0の関係があるので、何れかの二相を検出すれば演算で残りの一相の電流も求めることが出来る。
図2は、図1における制御手段1の詳細を示す第1の実施例のブロック図である。
図2において、電流目標値作成部10は、外部から与えられたトルク目標値(例えばアクセルペダル操作量等)に基づいてd軸電流目標値およびq軸電流目標値を作成する。なお、d軸電流とはd軸方向に磁界を作る電流成分であり、q軸電流とはq軸方向に磁界を作る電流成分(位相がd軸から90°進んでいる)である。また、d軸位相角θ(以下、単に“位相角θ”と略記する)とは、d軸とα軸との成す角である。
d−q軸変換部11は、図1の電流センサ4から与えられる三相電流と位相角θからd軸電流とq軸電流(図ではd−q軸電流と略記)を算出する。電流制御部(電流−電圧変換)12は、例えばPI制御(PI制御は公知の比例・積分制御)を行って、上記のd軸電流目標値とd軸電流、q軸電流目標値とq軸電流とを一致させるように制御するためのd軸電圧指令とq軸電圧指令を算出する。なお、上記の電流制御には、非干渉制御を入れても良いし、三相電流の高周波分を除くためのローパスフィルタを入れても良い。
三相変換部13は、入力した2相分のd軸電圧指令とq軸電圧指令および位相角θに基づいて3相分の三相電圧指令を演算して出力する。
また、高周波回転電圧発生部14(駆動電流よりも高周波数の重畳電流を重畳する重畳手段)は、高周波の回転電圧を発生させ、三相変換部13からの三相電圧指令に重畳させてPWM指令作成部15に送出する。
ここで回転電圧とは三相平衡電圧のことであり、図3(a)に示すように、二相交流座標系であるα−β座標系に交換したときに電圧ベクトル軌跡が真円となる状態をいう。この回転電圧は、IPMモータ3に同期しない高周波の電圧であるため、この回転電圧によってIPMモータ3が回転することはない。なお、IPMモータのようにd軸とq軸とでインダクタンスに差がある場合には、図3(b)に示すように電流ベクトル軌跡はd軸方向に膨らんだ楕円となる。この場合、q軸は位相がd軸から90°進んでいる。
PWM指令作成部15は、高周波回転電圧発生部14からの回転電圧と三相変換部13からの三相電圧指令とを重畳した電圧と、図1の電圧センサ6から与えられた直流電圧とを入力し、PWM指令7を作成する。このPWM指令7によって図1のインバータ回路2を制御し、インバータ回路2から出力する三相電力によってIPMモータ3を駆動する。
一方、周波数分離部16(重畳電流を分離する分離手段)は、一般的には周波数フィルタを用いて、電流センサ4から入力した三相電流から高周波電流を分離して出力し、3相2相変換部17に送る。3相2相変換部17は、周波数分離部16から入力した高周波成分の三相電流を、図3(b)に示すα−β座標系の二相電流に変換し、変換されたα−β座標系の電流をd軸検出部18に送る。d軸検出部18では、仮の位相角θ0を検出し、N/S判定部19は、N/S判定を行って真の位相角θを求める。
まず、d軸検出部18(d軸位相角検出手段)は、3相2相変換部17でα−β座標系に変換された電流ベクトルのα軸成分iαとβ軸成分iβとにつき、図4に示すように、ピーク値を検出することで振幅Iα(実線で示したα軸成分iαの極大値または極小値の絶対値)および振幅Iβ(破線で示したβ軸成分iβの極大値または極小値の絶対値)を求めるとともに、ゼロクロスの時間を検出することで重畳電流位相φiα、φiβを求める。そして、図3(b)に示すα−β座標系においてα軸から楕円長軸(d軸)までの角度θを下記(数1)式により求める。
Figure 2005333761
図5(a)、(b)は、図2における制御内容を示したフローチャートである。図5(a)は全体の概略フローであり、ステップS1において、高周波電流を重畳して仮のd軸を検出し、ステップS2において、N/S判定を行って真のd軸を検出して位相角θを検出する。そしてステップS3において、上記の位相角θを用いて電動機のトルク制御を行う。
また、図5(b)は、上記の位相角θを検出するフローであり、ステップS4では、入力電流を周波数分離して高周波成分を抽出する(前記周波数分離部16)。ステップS5では、分離した高周波電流をα−β座標系の二相電流に変換する(前記3相2相変換部17)。
ステップS6では、α−β座標系に変換された電流ベクトルのα軸成分iαとβ軸成分iβとにつき、振幅Iα、振幅Iβと位相φiα、φiβを求める。そしてステップS7では、±90°の範囲でα軸とd軸とのなす角度θを前記(数1)式で算出する。ただし、この段階の角度は仮の位相角θ0である(前記d軸検出部18)。
ステップS8〜ステップS11においては、下記のようにして真の角度θを算出して出力する(前記N/S判定部19)。
すなわち、上記の(数1)式により、±90°の範囲でα軸とd軸とのなす角度θが求まる。この角度θを±180°の範囲まで拡張するために、連続した検出では90°以上位相が変化することがないという前提を用いる。つまり、図5(b)に示すフローは、たとえば100μsec毎に起動するので、通常90°以上位相が変化することはない。つまり極めて短時間なのでロータが90°以上回転することは無い。したがって、連続した検出において、89°から−89°に変化した場合には、89°から91°(=−89°+180°)へ変化したものとする。同様に、−89°から89°に変化した場合には、−89°から−91°(=89°+180°−360°)に変化したものとする。これにより、α軸とd軸とのなす角度θを±180°の範囲で検出することができる。
ただし、最初の検出を行ったときの初期位相(ステップS8でYESの場合)は、変化の比較対象が存在しないので決定できない。すなわち、最初の検出の演算結果が30°であった場合、この初期位相が30°なのか−150°なのかが不明である。このため、図5(a)のステップS1に示したように、最初の検出では暫定的にθの範囲を±90°の範囲、上記の例では30°とした仮のd軸(位相角θ0)としておき、後述するN/S判定による極性判定によって正しいθ、つまりθを±180°の範囲で求めることとする。上記のd軸検出部18で求めたα軸から楕円長軸(d軸)までの角度θを仮の位相角θ0としてd軸検出部18から出力する。
図6は、N/S判定部19における演算内容を示すフローチャートである。
N/S判定部19は、初期には判定角θ1=0としてd軸検出部18からの仮の位相角θ0をそのまま位相角θとして出力し、d−q軸電流目標値も電流目標値作成部10から入力した値をそのまま出力している。
d軸検出部18によって仮のd軸(仮の位相角θ0)を検出し、ステップS20において、ロータが停止(検出した位相角が不変)していることを確認した時点で、θ0をラッチして位相角θを固定し、d軸のみに負の電流を印加する(iq=0、id<0)。
ステップS21では、上記の電流を印加した際にロータが動いたか否かを判断する。ロータが停止しているか、動いたかは、検出した位相角が変化したか否かで判断する。この時ロータが動かない場合があるが、これはモータが全くトルクを発生しないか、トルクを発生したとしても動力伝達機構のガタ(隙間)が詰まっている状態で、そのままガタが詰まる方向へ動こうとした場合である。この時は、従来技術と同様に高周波電流の大きさを下記(数2)式を用いて検出する。そしてステップS22〜ステップS25に示したように、高周波電流の大きさが実験的に求めておいたしきい値以下であれば、d軸に負の電流を印加していることになるので、判定角θ1を0°とする。また、高周波電流の大きさが実験的に求めておいたしきい値を越えていれば、d軸に正の電流を印加していることになり、位相は180°反転しているため、判定角θ1を180°とする。なお、高周波電流による電流ベクトル軌跡は楕円となるが、(数2)式はこの楕円の長軸a×短軸bを算出する式である。
Figure 2005333761
図7はd軸電流による磁気飽和を示す図である。図7に示す通り、高周波電流の大きさが変わるのは、磁気飽和のためである。d軸に負の電流を印加すると磁石の磁束を弱めることになり磁気飽和は起きないが、正の電流を印加すると磁石の磁束を強めることになるので磁気飽和が起こる。時期飽和が起こるとインダクタンスが下がり、振幅が等しい高周波電圧に対して流れる高周波電流が大きくなる、という仕組みである。
図6のステップS21で、ロータが動いた場合は、動力伝達機構のガタでロータが自由に動ける場合で、かつ、モータのティースが有限であることや、コアの加工精度、巻線のばらつき、組み立て精度、インバータの誤差等により、真のd軸のみに電流を印加することができなかった場合、または、真のd軸のみに電流を印加できたとしても、上記と同じ原因によりトルクを発生した場合である。
ロータが動いた場合は、ステップS26により、瞬時にd軸の電流を反転させたり、電流を0にしたりして、ロータを止める。この制御により衝撃音を確実に防止できる。ロータが動いた時は、d軸に負の電流を印加していることになるので、位相は正しくなっており、判定角θ1は0°とする(ステップS27)。なお、上記のようにd軸の電流を反転させたり、電流を0にするには、N/S判定部19から出力するd−q軸電流目標値を、電流0もしくは反転させる値にすることによって行う。
ステップS28では、電流を0にし、ステップS29では、ステップS24、S25、S27の結果に応じてd軸検出部18からの位相角θ0に判定角θ1(0°または180°)を加算し、真の位相角θとして出力する。
図8は、正負のd軸電流によるロータの動きやすさを説明するための図である。
図8に示す通り、正負のd軸電流ではそれぞれ挙動が異なり、負の電流は反発側(ロータが弾かれる方向)であるのでロータが大きく動きやすく、正の電流は吸引側であるのでロータがほとんど動かない(位相誤差の範囲内でのみ動く)、という特徴がある。従って、或るしきい値以上に動いた場合つまり弾かれた場合は、それはd軸に負の電流を印加していることになる。
図9〜図12は、トルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形を示す図であり、図5(a)のフローチャートの部分に対応する。
図9は、ロータが動かない(検出位相θが不変)、かつ仮決めしたd軸が正しい場合で、id<0を印加した際の高周波電流の振幅は小さい。
図10は、ロータが動かない、かつ仮決めしたd軸が180°反転している場合で、id<0として印加した電流は、実際にはid>0となっており、飽和により高周波電流の振幅が大きくなっている。
図11は、ロータが動いた場合(検出位相θが変化)で、動いたと判定したのちid>0を印加してロータを止めている。
図12は、ロータが動いた場合で、動いたと判定したのち電流を0にしている。
図11、図12の場合は、前記のように磁気飽和による高周波電流の判定はできないが、id>0を印加した場合に動く量より大きく動いた(つまり弾かれた)ので、id<0を印加していることがわかり、仮決めしたd軸は正しいと判断できる。
上記のように、本実施例においては、印加電流が小さくて済むことから、トルクが発生したとしても小さく、ガタが詰まるときの衝撃音が小さくてすむ。また、衝撃音が小さいため、印加電流の増大速度(電流応答)も早くでき、N/S判定を素早く行なえる、という効果がある。
(実施例2)
図13は、第2の実施例のN/S判定のフローチャートを示す図である。
N/S判定部19は、初期には判定角θ1=0としてd軸検出部18からの位相角θ0をそのまま位相角θとして出力し、d−q軸電流目標値も電流目標値作成部10から入力した値をそのまま出力している。
まず、ステップS30では、d軸検出部18によって仮のd軸を検出し、ロータが停止していることを確認した時点でθ0をラッチして位相角θを固定し、d軸のみに負の電流を印加する。
ステップS31では、前記と同様に、ロータが動いたか否かを判断し、ロータが動かない場合は、ステップS32で、図8の位相誤差がある場合と同じ状態になるように、意図的にd軸電流の位相に誤差を加えて(印加する駆動電流の位相を変えて)、ステップS33で、再びロータが動いたか否かを判断する。
さらに、この状態でもロータが動かない場合は、ステップS34で、符号を反転させた位相誤差を加えて動くかどうかを確認する。このように2種類の位相誤差を加えるのは、弱め側(反発側)であるにも関わらず、たまたまガタが詰まっていて動かない場合もあることを想定している。
最後まで動かなかった(意図的に与えた位相誤差の範囲内で動いた)場合は、ステップS36で、判定角θ1を180°とする。
ステップS31、S33、S35でロータが動いた場合は、ステップS37により、瞬時にd軸の電流を反転させたり、電流を0にしたりして、ロータを止める。ロータが動いた時は、d軸に負の電流を印加していることになるので、位相は正しくなっており、判定角θ1は0°とする(ステップS38)。
ステップS39では、電流を0にし、ステップS40では、ステップS36、S38の結果に応じてd軸検出部18からの位相角θ0に判定角θ1(0°または180°)を加算し、真の位相角θとして出力する。
この実施例2の場合は、磁気飽和による判定を用いないので実施例1に比べて印加電流が小さい。従って、誤差によって大きなトルクが発生することを考慮しなくて済むため、電流応答を早くし、結果的に判定時間を短くできる。
図14〜図17は、実施例2におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形を示す図である。
図14は、仮決めしたd軸が180°反転していた場合で、iq=0、id<0を印加してもロータは動かず、意図的に位相誤差を与えても位相誤差範囲内で動く(追従する)のみである。
図15は、仮決めしたd軸が正しい場合で、かつモータのティースが有限であることや、コアの加工精度、巻き線のばらつき、組み立て精度、インバータの誤差等により、真のd軸のみに電流を印加することができなかった場合、または、真のd軸のみに電流を印加できたとしても、上記と同じ原因によりトルクを発生した場合で、ロータが動いた場合である。ロータが動いたことを判定し、止めるためにid>0を印加している。
図16は、仮決めしたd軸が正しい場合で、かつiq=0、id<0を印加しても全くトルクを発生しないか、トルクを発生したとしても動力伝達機構のガタ(隙間)が詰まっている状態で、そのままガタが詰まる方向へ動こうとした場合であり、ロータは動かない。この場合には、意図的に位相誤差を与えると、ロータが大きく動くので、動いたことを判定し、止めるためにid>0を印加している。
図17は、図16とほぼ同様であるが、意図的に位相誤差を与えてトルクを発生させても、その位相誤差がたまたま動力伝達機構のガタ(隙間)が詰まっている状態で、そのままガタが詰まる方向へ動こうとした場合であり、ロータは動かない。そこで、符号を反転させて位相誤差を与えることによりロータが大きく動くので、動いたことを判定し、止めるためにid>0を印加している。
以下、これまでに説明した演算に用いる各数式をまとめて記載する。ただし、(数3)式はd軸/q軸電流の演算式、(数4)式はd軸/q軸電圧指令値の演算式、(数5)式はd軸/q軸電圧指令値の演算式、(数6)式は三相電圧指令値の演算式、(数7)式は三相PWMデューティ幅の演算式である。
Figure 2005333761
ただし、
,i:d軸/q軸電流計測値[A]
,i,i:三相電流計測値[A]
ただし、i=−i−iとして省略可
θ:N/S判定部19から出力される位相角
Figure 2005333761
ただし、
,i :d軸/q軸電流指令値[A]
,v :d軸/q軸電圧指令値[V]
s:ラプラス演算子
pd,Kpq:d軸/q軸比例ゲイン
id,Kiq:d軸/q軸積分ゲイン
Figure 2005333761
ただし、
,v :d軸/q軸電圧指令値[V]
',v':PI制御出力のd軸/q軸電圧指令値[V]
,i:d軸/q軸電流値[A]
,L:d軸/q軸インダクタンス[H]
Φ:誘起電圧定数[Wb]
ω:角速度(電気角)[rad/s]
Figure 2005333761
ただし、
,v ,v :三相電圧指令値[V]
Figure 2005333761
ただし、
dc:直流電圧計測値[V]
,t ,t :三相PWMデューティ幅(上アームオン時間)
T0:PWM周期(10[kHz]の場合は100[μs])
次に、d軸検出部におけるd軸位相検出は、d−q軸レベルで行う方法もあるし、高周波電流制御を行って高周波電流を一定に制御し、高周波電圧で磁気飽和を判定する方法もある。また、ベクトルレベルで制御する場合もあるし、振幅の平均値を制御する場合もある。以下、それぞれの場合について説明する。
図18は、d−q軸レベルでd軸検出を行う場合のブロック図である。
高周波回転電圧発生部14’は、d−q軸電圧指令を発生させる。周波数分離部16は、d−q軸変換部11で変換後のd軸電流とq軸電流を入力し、そのうちから高周波成分(高周波d−q軸電流)を分離する。
d軸検出部18’では、d−q軸上に変換された高周波分離された電流ベクトルのd軸成分idとq軸成分iqをそれぞれ、ピーク値検出、0クロスの時間検出により、振幅、位相を求める。この時、d軸から楕円長軸までの角度θは、IαとIβをIdとIqに、φiαとφiβをφidとφiqに変更する以外は、前記(数1)式と同様であるが、これに一定の係数を乗じて(比例演算を行って)角速度ωを求め、そのωを積分することにより、d軸位相角θ0を生成して出力する。このようにd−q軸レベルでd軸検出を行うと、モータ回転時に位相誤差が少ないという利点がある。
図19は、高周波電圧で磁気飽和を判定する場合のブロック図である。
これまで説明した実施例は、電圧ベクトル軌跡が真円の高周波電流を重畳し、該高周波電流の電流ベクトルからd軸位相角を求めるという構成であったが、図19の実施例は、電流ベクトル軌跡が真円の高周波電流を重畳し、該高周波電流のα−β軸上の電圧ベクトルからd軸位相角を求めるという構成である。
図19において、周波数分離部16は、一般的な周波数フィルタを用いて、電流センサ4から入力した三相電流から高周波電流を分離して出力する。
高周波電流制御部20は、上記高周波電流と高周波電流目標値とを入力し、高周波電流ベクトル軌跡が真円(図3a参照)となるように、PI制御等を行って高周波三相電圧指令を作成する。
なお、高周波制御は前記した様に、三相(静止座標系)ではなく、d−q軸上(回転座標系)で行うこともできる。このようにd−q軸上で高周波制御を行い、d−q軸上でd軸検出を行う場合は、モータ回転時に周波数のずれがない。
高周波三相電圧指令をベクトル化すると、図3(b)に示すように、その電圧ベクトル軌跡は楕円となる。磁気飽和が生じない低負荷時には、楕円の長軸方向はq軸(インダクタンス最大の位置)を指しており、d軸検出はq軸位相から90°を差し引くことによって行うことが出来る。すなわち、3相2相変換部17では、高周波電流制御部20から出力された高周波三相電圧指令を入力し、図3(b)に示すようなα−β軸電圧を出力する。d軸検出部18は、上記のようにq軸位相から90°を差し引くことによってd軸位相角θ0を算出して出力する。
なお、楕円の長軸(すなわちq軸)の位相角は、前記(数1)式におけるIαとIβをVαとVβに、φiαとφiβをφvαとφvβに置き換えた式により求めることができる。
図20は、振幅の平均値を制御する場合のブロック図である。
図20において、高周波電流制御部20’は、高周波電流の平均の振幅を一定とするように制御し、ベクトル軌跡が真円となる高周波電圧指令を出力する。この場合、d軸検出は高周波電流(iα、iβ、φiα、φiβ)を用い、N/S判定(磁気飽和)は高周波電圧指令(vα、vβ、φvα、φvβ)を用いる。
また、図19、図20において、位相角検出とN/S判定をd−q軸レベルで行うことも出来る。
本発明の一実施例の全体構成を示すブロック図。 図1における制御手段1の詳細を示す第1の実施例のブロック図。 真円の電圧ベクトル軌跡と楕円の電流ベクトル軌跡とを示す図。 ピーク値を検出することで振幅Iα、振幅Iβを検出し、ゼロクロスの時間を検出することで重畳電流位相φiα、φiβを求める方法を説明するための図。 図2の実施例における制御内容を示したフローチャートであり、(a)は全体の概略フロー、(b)は位相角θを検出するフロー。 N/S判定部19における演算内容を示すフローチャート。 d軸電流による磁気飽和を示す図。 正負のd軸電流によるロータの動きやすさを説明するための図。 実施例1におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例1におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例1におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例1におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 第2の実施例のN/S判定のフローチャートを示す図。 実施例2におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例2におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例2におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 実施例2におけるトルク制御に移行するまでのN/S判定の動作波形図。 d−q軸レベルでd軸検出を行う場合のブロック図。 高周波電圧で磁気飽和を判定する場合のブロック図。 振幅の平均値を制御する場合のブロック図。
符号の説明
1…制御手段 2…インバータ回路
3…IPMモータ 4…電流センサ
5…電源部 6…電圧センサ
7…PWM指令 10…電流目標値作成部
11…d−q軸変換部 12…電流制御部
13…三相変換部 14、14’…高周波回転電圧発生部
15…PWM指令作成部 16…周波数分離部
17…3相2相変換部 18、18’…d軸検出部
19…N/S判定部 20、20’…高周波電流制御部

Claims (6)

  1. 直流電源に接続され、前記直流電源からの電力を交流に変換して出力すると共に、この出力された交流電力によって電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を目標トルク値とd軸位相角θに基づいて制御する制御手段と、を備えた電動機の制御装置において、
    前記電動機を駆動する駆動電流に、該駆動電流とは異なる周波数の重畳電流を重畳する重畳手段と、
    前記電動機に供給した電流から前記重畳電流を分離する分離手段と、
    前記分離された重畳電流から仮のd軸位相角θ0を検出するd軸検出手段と、
    前記仮のd軸位相角θ0におけるロータのN極/S極の判定を行って前記仮のd軸位相角θ0から真のd軸位相角θを求めるN/S判定手段と、を備え、
    前記N/S判定手段は、前記仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動機の制御装置において、
    前記N/S判定手段は、前記仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、弾かれなかった場合は、前記d軸電流に位相誤差を加えた駆動電流を印加し、これによって弾かれた場合には前記仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、共に前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力することを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項2に記載の電動機の制御装置において、
    前記N/S判定手段は、前記仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、弾かれなかった場合は、前記d軸電流に位相誤差を加えた駆動電流を印加し、これによって弾かれた場合には前記仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、それでも弾かれなかった場合には、位相誤差の方向を反対にした駆動電流を印加し、これによって弾かれた場合には前記仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、共に前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力することを特徴とする電動機の制御装置。
  4. 請求項3に記載の電動機の制御装置において、
    前記N/S判定手段は、前記仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、弾かれなかった場合は、前記d軸電流に位相誤差を加えた駆動電流を印加し、これによって弾かれた場合には前記仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、それでも弾かれなかった場合には、位相誤差の方向を反対にした駆動電流を印加し、これによって弾かれた場合には前記仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、共に前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力し、さらにそれでも弾かれなかった場合は、前記仮のd軸位相角θ0に180°を加算した値を真のd軸位相角θとして出力することを特徴とする電動機の制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載の電動機の制御装置において、
    前記d軸電流または前記d軸電流に位相誤差を加えた駆動電流の印加によってロータが弾かれた場合には、前記d軸電流または駆動電流の方向を逆転するか若しくは0にすることよってロータを停止させることを特徴とする電動機の制御装置。
  6. 請求項1に記載の電動機の制御装置において、
    前記N/S判定手段は、前記仮のd軸位相角θ0をd軸として仮決めし、そのd軸についてロータが弾かれる方向のd軸電流を印加し、弾かれた場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、弾かれなかった場合は、前記重畳電流の大きさを検出し、その値が所定値以下の場合には仮決めしたd軸が実際のd軸であると判断し、共に前記仮のd軸位相角θ0を真のd軸位相角θとして出力し、前記重畳電流の値が所定値より大きい場合には、前記仮のd軸位相角θ0に180°を加算した値を真のd軸位相角θとして出力することを特徴とする電動機の制御装置。
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