JP2005333696A - 同期機およびその製造方法 - Google Patents

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敬介 藤崎
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Abstract

【課題】ティースの磁気特性を改善して鉄損を低減することができる同期機およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ヨークとティースからなるステータとロータとを有する同期機であって、前記ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップd1が、前記ティース先端部とロータ表面とのギャップd2以上、かつギャップd2の5倍以下であることを特徴とする同期機およびその製造方法。好ましくは、前記ティースと隣接するティースとの間に形成される巻線用スロットの形状が三角形状である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヨークとティースからなるステータとロータとを有する同期機に関する。具体的には、ステータに配置される積層体に電磁鋼板を用いた永久磁石同期機に関する。
永久磁石同期機は、ステータ(固定子)の銅コイルに電流を流すことにより発生する移動磁場と、ロータ(回転子)に埋め込まれた永久磁石が発生する磁場との相互作用により、ロータが回転する同期機であって、保守性、制御性、耐環境性に優れ、高効率、高力率運転が可能なモータとして産業・民生家電分野を問わず広く用いられている。この場合、電気エネルギーを同期機に流して、回転駆動力を得るようにするのが同期電動機であり、逆に、同期機のロータを別の駆動源で回転させて電気エネルギーを同期機より取り出す場合は、同期発電機となる。ここでは、両者を想定し、あわせて、同期機としている、両者の構造は基本的には同じなので、以下詳細説明では、同期電動機の例を中心に説明する。
ヨークとティースからなるステータとロータとを有する同期機に関しては従来から種々の提案がなされており、例えば、特開2004−56906号公報や、特開2004−56907号公報に、ヨークとティースとを備えたステータを複数枚、厚さ方向に積層・固定して用いる同期機であって、前記ヨークが周方向に分割されている同期機が提案されている。
しかし、特開2004−56906号公報や、特開2004−56907号公報に記載された従来の同期機では、コイルに電流を多く流して磁束を多く発生させるために、スロット幅をある程度大きくする必要があるうえ、スロットからの磁束漏れを低減するため、ティース幅とコイルを配置する巻線用スロット幅とは同じ程度としていた。
本発明者は、ステータとロータのギャップ部磁束密度とティース幅との関係を解析したところ、ティース幅を変えることによって、ステータとロータのギャップ部磁束密度や鉄損が変化することを見出し、従来のティース幅とコイルを配置する巻線用スロット幅とを同じ程度にした同期機より磁気特性の優れた同期機が実現できる可能性があることが判明した。
また、同期機の製造技術においては、従来は、ティースとヨークとが一体構造であったために、ステータを積層した後、ティースの内側に配置されたロータ側からスロットにコイルを挿入していた。
しかし、ティース幅を広げた場合には、ティース間のギャップが狭くなるのでコイルを内側からスロットに挿入させることはできないという問題点があった。
特開2004−56906号公報 特開2004−56907号公報
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決し、ティースの磁気特性を改善して鉄損を低減し、電磁トルクを大きくする、または小型にすることができる同期機およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップを狭くしてティース幅を広げることによって、ティースの磁気特性を改善して鉄損を低減し、電磁トルクを大きくする、または小型にすることができる同期機およびその製造方法を提供するものであり、その要旨は特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)前記ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップd1が、前記ティース先端部とロータ表面とのギャップd2以上であり、かつギャップd2の5倍以下であることを特徴とする(1)に記載の同期機。
(2)前記ティースと隣接するティースとの間に形成される巻線用スロットの形状が三角形状であることを特徴とする(1)に記載の同期機。
(3)前記ヨークおよびティースが方向性電磁鋼板からなり、該ヨークの磁化容易方向を前記ステータの周方向とし、該ティースの磁化容易方向を前記ステータの径方向とすることを特徴とする(1)乃至(2)に記載の同期機。
(4)(1)乃至(3)に記載の同期機の製造方法であって、
前記ティースと隣接するティースとの間に形成される巻線用スロットの外側からコイルを挿入することを特徴とする同期機の製造方法。
本発明によれば、ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップを狭くしてティース幅を広げることによって、ティースの磁気特性を改善して鉄損を低減することができる同期機およびその製造方法を提供することができ、鉄損の少ない高効率モータを実現することができるなど産業上有用な著しい効果を奏する。
発明を実施するための最良の形態について、図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の同期機の実施形態を例示する図である。
図1および図2において、1はステータ、2はヨーク、3はティース、4は巻線用スロット、5はロータ、6は永久磁石を示す。
本発明は、図1に示すような、ヨーク2とティース3からなるステータ1とロータ5とを有する同期機である。
本発明者は、ステータ1とロータ5のギャップ部磁束密度とティース3の幅との関係を分析したところ、ティース3の幅を広げることによって、後述のように、ステータ1とロータ5のギャップ部磁束密度を大きく、また、鉄損を小さくすることができることを見出した。
そこで、本発明は、図2に示すティース3の先端部と隣接するティース先端部とのギャップd1は、前記ティース先端部とロータ表面とのギャップd2以上、5倍以下であることが好ましい。
d1がd2未満では、ティース3同士のギャップd1が小さ過ぎるため、隣接するティース間を磁束が流れてロータ5の回転に磁束が使われなくなってしまうためである。また、d1が大きすぎると後で説明するように鉄損が増える。
さらに、前記ティース3と隣接するティースとの間に形成される巻線用スロット4の形状は三角形状であることが好ましい。
ティース幅を広くし、ティース3の先端部と根元の幅をほぼ同一にし、コイルを配置する巻線用スロット4の形状を三角形状にすることによって、ティース3内を流れる磁束の流れを良くすることができる。
また、前記ヨーク2およびティース3が方向性電磁鋼板からなり、該ヨーク3の磁化容易方向を前記ステータの周方向とし、該ティース3の磁化容易方向を前記ステータの径方向とすることが好ましい。
ヨーク2の磁化容易方向をステータ1の周方向とし、ティース3の磁化容易方向をステータ1の径方向とすることにより、ティース3を流れる磁束を隣接するティース3に流れにくくし、ロータ5に流れる磁束を多くすることができるうえ、方向性電磁鋼板(GO)は磁束方向の傾斜の影響を受けやすい性質を有することから、磁束の傾斜の軽減による鉄損の低減効果が無方向性電磁鋼板(NO)に比べて大きいので、ステータ1における鉄損を効果的に低減することができる。
また、方向性電磁鋼板(GO)の励磁特性は、従来の無方向性電磁鋼板(NO)よりも優れており、小さな電流で磁化するためコイルが小さくて済み、巻線用のスロットが小さくできる。
さらに、GO材は、異方性が強く、容易軸方向と困難軸方向とでは、磁化特性が異なるために、ティースで半径方向に磁化容易軸を持っていくことで、横方向には磁束は流れにくいので、スロット漏れを抑制することができる。
図5は、本発明の同期機の製造方法を例示する図である。
図5において、3はティース、4は巻線用スロット、7は銅コイル、8はヨーク内側部、9はヨーク外側部を示す。
本発明の同期機の製造方法は、ティース3と隣接するティースとの間に形成される巻線用スロット4の外側から銅コイルを挿入することを特徴とする。
従来は、ステータの内側よりコ銅イルを挿入していたため、その挿入工程は大変であった。
そこで、本発明においては、ティース3と隣接するティースとの間に形成される巻線用スロット4の外側から銅コイルを挿入することによって、ティース先端部のギャップが狭くても銅コイルを巻線用スロット4に挿入することができるので、作業効率は大幅に改善される。
なお、図5においては、ヨーク内側部8とヨーク外側部9とを別部材としているが、このヨーク内側部8とヨーク外側部9は一体構造としてもよい。
図3および図4は、同期機について、ティースの数を同じにしてティース幅を変化させたときのコイル電流、ギャップ部磁束密度、鉄損の関係を示す図である。ティース幅を広げると、隣接するティースと接合し始めるので、この実施例では、最大ティース幅30mmで、ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップd1=0.5mm、ティース先端部とロータ表面とのギャップd2=0.3mmとなるようにしている。
図3は、ティース幅をパラメータにして、コイル電流とギャップでの磁束密度との関係を示したものである。コイル電流が増加するとギャップでの磁束密度が増大している。通常、ティース幅を広げると、隣接するティースに磁束が漏れるスロット漏れに磁束が増加して、ギャップでの磁束密度はあまり増加しないのである。しかしながら、今回の如くティース部にGO材を適用しその容易軸を半径方向を用いると、ティース部の磁束は、ロータにいくが、隣接する隣のティースに向かうことは難しくなる。隣接する隣のティースにいくことは、GO材の磁化困難軸方向なので、そちらには磁束は行きにくいからである。また、GO材は磁化特性がよいので、少ない電流で磁化される。その結果、ティース幅を広げても、ギャップでの磁束密度は増加している。このため、ギャップに例えば、0.4の磁束密度を発生するためには、ティース幅を広げたほうがよいことになる。
図4は、ティース幅をパラメータにして、ギャップでの磁束密度とステータの鉄損の関係を示したものである。ギャップでの磁束密度が増加すると鉄損が増大している。ギャップでの磁束密度が一定の場合、ステータに流れる磁束はほぼ一定であるの対し、ティース幅を広げることによる断面積の増大があるために、ティース幅を広げたほうが、鉄損は低下する。
このように、ティース幅を広げることで、ギャップにおける磁束密度は増大し、必要とする電磁トルクは大きいものが得られ、また、同時に鉄損を低減することができることが確認された。
本発明の同期機の実施形態を例示する図である。 本発明の同期機の実施形態を例示する図である。 本発明の同期機について、ティース幅を変化させたときのコイル電流とギャップ部磁束密度の関係を示す図である。 本発明の同期機について、ティース幅を変化させたときのギャップ部磁束密度と鉄損の関係を示す図である。 本発明の同期機の製造方法を例示する図である。
符号の説明
1 ステータ
2 ヨーク
3 ティース
4 巻線用スロット
5 ロータ
6 永久磁石
7 コイル
8 ヨーク内側部
9 ヨーク外側部

Claims (4)

  1. ヨークとティースからなるステータとロータとを有する同期機であって、
    前記ティース先端部と隣接するティース先端部とのギャップd1が、前記ティース先端部とロータ表面とのギャップd2以上であり、かつギャップd2の5倍以下であることを特徴とする同期機。
  2. 前記ティースと隣接するティースとの間に形成される巻線用スロットの形状が三角形状であることを特徴とする請求項1に記載の同期機。
  3. 前記ヨークおよびティースが方向性電磁鋼板からなり、該ヨークの磁化容易方向を前記ステータの周方向とし、該ティースの磁化容易方向を前記ステータの径方向とすることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の同期機。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載の同期機の製造方法であって、
    前記ティースと隣接するティースとの間に形成される巻線用スロットの外側からコイルを挿入することを特徴とする同期機の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012253905A (ja) * 2011-06-02 2012-12-20 Toshiba Corp 回転電機
JP2014090545A (ja) * 2012-10-29 2014-05-15 Toshiba Home Technology Corp ファンモータ

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