JP2005333425A - 光伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 中継器を配置することなく伝送距離を伸長し、経済的で高品質の光伝送を行う。
【解決手段】 ブランチ局30は、分岐された後の受信光信号が流れる光ファイバに励起光を入射して、光ファイバを増幅媒体とした光増幅を行う光励起部31−1、31−2を含み、光分岐地点と無中継の光伝送を行う。光分岐装置40は光増幅部41−1、41−2及び光分岐部42を有し、光増幅部41−1、41−2は、ブランチ局30が発出し、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局30からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体41cを励起させて、ブランチ局30からの送信光信号のパワーを増幅させる。光分岐部42は、ブランチ局30から送信された光信号の分岐及び他局から送信された光信号の分岐を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光伝送システムに関し、特に光信号を分岐して、少なくとも3つ以上の局間で光信号の伝送を行う光伝送システムに関する。
近年、国際通信の需要は、ビジネスのグローバル化、インターネットの普及などにより、急激に拡大している。このような現状に対し、海底光伝送システムは、衛星通信と並んで重要なものであり、経済的で大容量の海底光伝送システムの早期実現が急務となっている。
海底光伝送システムは、海底に敷設された光ファイバケーブルで局間をつないで光伝送を行うシステムである。この場合、局が少なくとも3つ以上あるシステムでは、局間に光分岐装置が置かれ、光分岐装置によって光信号の分岐が行われる。
また、大洋横断級の海底光伝送などでは、光ファイバケーブルの途中に中継器が設けられるが、この中継器は、局から給電されることで光中継増幅の動作を行っている。光分岐装置では、このような中継器に対する給電経路の切り替えも行う。
図6、図7は従来の海底光伝送システムの構成を示す図である。海底光伝送システム50は、端局51、52、ブランチ局53、光分岐装置54から構成される。端局51、52、ブランチ局53は陸上局であり、光分岐装置54は海中に設置される。
なお、海底光伝送システムにおいては、局間をつなぐ回線には、光信号を流す光ファイバケーブルと、電気を流すメタリックの給電ラインとが含まれるため、図6には光ファイバケーブルによる構成を、図7には給電ラインによる構成を分けて示している。
図6に対し、端局51、52は、例えば、それぞれが異なる国における運用局であるならば、伝送区間が長距離に及ぶことになるので、端局51と光分岐装置54間の回線L1、L2上には(端局と光分岐装置を接続する回線をトランク回線と呼ぶ)、中継器61〜64が設置され、端局52と光分岐装置54間のトランク回線L3、L4上には、中継器65〜68が設置される。
トランク回線上の中継器61〜68は、端局51→端局52へ流れる光信号の増幅を行う中継アンプ61a〜68aをそれぞれ持ち、端局52→端局51へ流れる光信号の増幅を行う中継アンプ61b〜68bをそれぞれ持つ。
ここで、トランク回線上に中継器を配置する場合、中継器の間隔(スパン長)をXとすれば、光分岐装置54に最も近い位置に配置すべき中継器62、64、65、67は、一般に、光分岐装置54からスパン長Xの約1/2程度離した位置に配置される。または、2つの区間を合わせた距離が(例えば、{中継器62と光分岐装置54との距離}+{中継器65と光分岐装置54との距離})、ほぼスパン長Xになるような位置に配置される。
一方、ブランチ局53と光分岐装置54間の回線(ブランチ回線と呼ぶ)L5、L6上には中継器71、72が設置される。なお、ブランチ局53は、例えば、端局51、52をつなぐ大洋中に存在する島などに設置される。
ブランチ局53と光分岐装置54との間隔は、端局〜光分岐装置の伝送距離よりも短い距離となるので、中継器を設けないですむ場合もあるが、海底の地形等の理由により、ケーブル長を伸ばす必要が生じたり、または光伝送品質の向上を図るために、通常は、ブランチ回線にも中継器が設置される(一般にブランチ局〜光分岐装置の距離Yがスパン長Xの1/2程度より長い場合には、ブランチ回線上にも中継器が配置される)。
ブランチ回線上の中継器71、72は、ブランチ局53→光分岐装置54への光信号の増幅を行う中継アンプ71a、72aをそれぞれ持ち、光分岐装置54→ブランチ局53への光信号の増幅を行う中継アンプ71b、72bをそれぞれ持つ。
光信号の流れを簡単に説明すると、例えば、端局51が出力したトランク回線L1上の光信号は、中継アンプ61a、62aで増幅されて光分岐装置54で受信され、光分岐装置54ではスルーで出力し、トランク回線L3上の中継アンプ65a、66aで増幅されて端局52で受信される。また、端局51が出力したトランク回線L2上の光信号は、中継アンプ63a、64aで増幅されて光分岐装置54で受信され、光分岐装置54ではブランチ局53側へ分岐して、ブランチ回線L5上の中継アンプ71bで増幅されてブランチ局53で受信される。
一方、図7は給電ラインから見たシステム構成である。端局51、52はそれぞれ給電装置51a、52aを有し、ブランチ局53は、給電装置53aを有する。なお、給電ラインについては、トランク回線L1に対応する給電ラインLs1、トランク回線L3に対応する給電ラインLs3、ブランチ回線L5に対応する給電ラインLs5として、これら給電ラインに関連する構成のみを示している。
中継器61は、中継アンプ61aに給電を施す給電部61a−sと、中継アンプ61bに給電を施す給電部61b−sを含む。同様にして、中継器62、65、66、71はそれぞれ、中継アンプ62a、65a、66a、71aに給電を施す給電部62a−s、65a−s、66a−s、71a−sとを含み、中継アンプ62b、65b、66b、71bに給電を施す給電部62b−s、65b−s、66b−s、71b−sを含む。
光分岐装置54は、給電経路の切り替えを行うスイッチSW1〜SW4を有する。スイッチSW1〜SW4の端子接続の関係は、a端子とe端子、b端子とc端子、d端子とf端子は固定ラインで接続する。また、スイッチSW4のh端子は接地される。
図のスイッチング状態は、スイッチSW1ではa端子に、スイッチSW2はオープン、スイッチSW3ではe端子にスイッチングされているので、給電ラインLs1と給電ラインLs3はつながり、給電装置51a(+)→給電装置52a(−)の方向に電流が流れて、中継器61、62、65、66に給電される。
また、スイッチSW4はh端子にスイッチングされているので、給電ラインLs5には、給電装置53a(+)→接地(GND)の方向に電流が流れて、中継器71が給電される。このような状態で、回線上のすべての中継器は稼動できるので、端局51、52、ブランチ局53間で光通信を行うことが可能になる。
図8は回線障害が発生した場合の給電経路の切り替え状態を示す図である。図に示す位置に回線障害が発生した場合には、すべての局間における通信が不通になる。このため、光分岐装置54では、スイッチSW1〜SW4のスイッチング切り替えを行って、通信が可能な範囲でサービスを継続しなければならない。
この場合、スイッチング状態としては、スイッチSW1ではb端子に、スイッチSW2はc端子に、スイッチSW4ではg端子にスイッチングが変更され、また、ブランチ局53内の給電装置53aはマイナス電源に変更する。
したがって、給電ラインLs1と給電ラインLs5がつながり、給電装置51a(+)→給電装置53a(−)の方向に電流が流れて、中継器61、62、71に給電され、端局51とブランチ局53間での通信が継続可能となる。
一方、中継器等で適用可能な光増幅機能の従来技術としては、希土類ドープファイバに励起光を入射し、残留励起光を反射させて、残留励起光も希土類ドープファイバに入射させて光増幅する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開平09−179152号公報(段落番号〔0072〕〜〔0090〕,第1図) 特開2001−117126号公報(段落番号〔0046〕〜〔0048〕,第1図)
上記で説明したような、海底光伝送システム50では、ブランチ回線L5、L6に中継器71、72があるため、ブランチ局53からの給電が必要となる。また、光分岐装置54では、回線障害が発生したような場合でも、通信サービスを可能な範囲で継続させるために、給電経路の切り替え制御を行っているので、常に高圧状態に置かれている。このため、光分岐装置54は、耐高圧製の構造及び耐高圧な電気リレー(真空リレー等)が必要になり、高価な装置となる。また、ブランチ局53には給電装置53aが存在するため、システム全体の価格が高価になる。
ここで、ブランチ回線L5、L6に中継器71、72を配置しないことが可能になれば、光分岐装置54内に給電切り替え機能が不要となり、またブランチ局53にも給電装置53aが不要になるので、安価なシステムが構築できることになる。
しかし、ブランチ局53と光分岐装置54とが、中継増幅なしに接続することになるため、ブランチ局53に設置される光送受信機能に要求される仕様が厳しくなる。これを回避するには、光分岐装置54をできるだけブランチ局53に近づけて伝送距離を短くすればよいが、海底の地形状態やケーブルルート上の問題から、現実的には光分岐装置54をブランチ局53に近づけることが難しい場合が多く、従来では、経済的な海底光伝送システムを構築することが困難であった。
一方、上記の従来技術(特開平09−179152号公報、特開2001−117126号公報)では、希土類ドープファイバに励起光を入射し、さらに残留励起光も使用することで、装置への入力光信号を増幅しているが、これらの技術は励起光の効率的な利用のみに着目しており、中継器を不要とするシステム構築についての考慮はなされていない。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、中継器を配置することなく伝送距離を伸長し、経済的で高品質の光伝送を行う光伝送システムを提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、光信号を分岐して、少なくとも3つ以上の局間で光信号の伝送を行う光伝送システム1において、分岐された後の受信光信号が流れる光ファイバに励起光を入射して、光ファイバを増幅媒体とした光増幅を行う光励起部31−1、31−2を含み、光分岐地点と無中継の光伝送を行うブランチ局30と、ブランチ局30が発出し、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局30からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体41cを励起させて、ブランチ局30からの送信光信号のパワーを増幅する光増幅部41−1、41−2と、ブランチ局30から送信された光信号の分岐及び他局から送信された光信号の分岐を行う光分岐部42と、から構成される光分岐装置40と、を有することを特徴とする光伝送システム1が提供される。
ここで、ブランチ局30は、分岐された後の受信光信号が流れる光ファイバに励起光を入射して、光ファイバを増幅媒体とした光増幅を行う光励起部31−1、31−2を含み、光分岐地点と無中継の光伝送を行う。光分岐装置40は光増幅部41−1、41−2及び光分岐部42を有し、光増幅部41−1、41−2は、ブランチ局30が発出し、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局30からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体41cを励起させて、ブランチ局30からの送信光信号のパワーを増幅する。光分岐部42は、ブランチ局30から送信された光信号の分岐及び他局から送信された光信号の分岐を行う。
本発明の光伝送システムは、ブランチ局が発出し、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体を励起し、ブランチ局からの送信光信号のパワーを増幅させる構成とした。これにより、中継器を配置することなく伝送距離を伸長し、経済的で高品質の光伝送を行うシステムの構築が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の光伝送システムの原理図である。光伝送システム1は、光信号を分岐して、少なくとも3つ以上の局間で光信号の伝送を行うシステムであり、例えば、海底光伝送システム等に適用される。
光伝送システム1は、端局11、12、ブランチ局30、光分岐装置40を有し、端局11は、トランク回線L1、L2で光分岐装置40と接続し、端局12は、トランク回線L3、L4で光分岐装置40と接続し、また、ブランチ局30は、ブランチ回線L5、L6で光分岐装置40と接続する。
トランク回線L1上には中継器21、22が設置し、トランク回線L2上には中継器23、24が設置する。トランク回線L3上には中継器25、26が設置し、トランク回線L4上には中継器27、28が設置する。また、ブランチ回線L5、L6には、中継器は設置されず、無中継伝送が行われる。
ブランチ局30は、光励起部31−1、31−2を含み、光分岐装置40と無中継の光伝送を行う。光励起部31−1、31−2は、光分岐部42で分岐された後の光信号(ブランチ局30が受信する受信光信号)が流れる光ファイバに励起光を入射して、光ファイバを増幅媒体とした光増幅を行う。
光分岐装置40は、光増幅部41−1、41−2、光分岐部42から構成される。光増幅部41−1、41−2は、ブランチ局30が発出した、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局30からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体41cを励起させて、ブランチ局30からの送信光信号のパワーを増幅させる。
光分岐部42は、ブランチ局30から送信された光信号の分岐を行ったり(例えば、ブランチ局30から送信された増幅後の光信号を、端局11側へ分岐する)、他局から送信された光信号の分岐を行う(例えば、端局11→ブランチ局30の分岐、または端局11→端局12の分岐等)。
なお、光分岐部42は、光ファイバ毎に経路を分岐してもよいし(上述した図6のシステムのように)、またはシステムがWDM(Wavelength Division Multiplex)伝送を行う場合には、波長毎に分岐・挿入を行うOADM(Optical Add Drop Multiplex)制御を行ってもよい。すなわち、端局11、12間での波長多重信号に対して、その中の特定波長をブランチ局30へDropしたり、またはブランチ局30からの波長信号をAddしたりする。
次にブランチ局30と光分岐装置40の構成及び動作について説明する。図2はブランチ局30と光分岐装置40の構成を示す図である。なお、光増幅部41−1と光分岐部42を介して、端局11とブランチ局30とが分岐接続している構成部分のみ示す。
端局11と光分岐装置40は、トランク回線L2a、L2bで接続し、回線上には中継器23、24が設置する。中継器23は、中継アンプ23a、23bを含み、中継器24は、中継アンプ24a、24bを含む。ブランチ局30と光分岐装置40は、ブランチ回線L5a、L5bで接続する。
なお、トランク回線L2a、L2b上の中継器23、24の中継区間(以下、通常スパン長と呼ぶ)を60km、中継器24と光分岐装置40間の間隔を30km、ブランチ回線L5a、L5bのブランチ局30と光分岐装置40との間隔を通常スパン長と同じ60kmとする(従来システムでは、ブランチ回線上に中継器を必要とするが、本発明では不要となる)。
ブランチ局30は、光励起部31−1、光受信部32、光送信部33から構成される。光励起部31−1は、励起光源31aと合波器31bを含む。光分岐装置40は、光増幅部41−1、光分岐部42から構成される。光増幅部41−1は、分波器41a、合波器41b、増幅媒体41cを含む。
ここで、ブランチ局30の受信端の直前には、光信号D1と励起光Rを合波する合波器31bを設け、受信する光信号D1とは逆方向に励起光Rが流れるように(後方励起を行うように)、励起光源31aをつなげる。励起光Rはブランチ回線L5a上を流れ、この励起光Rにより、ブランチ回線L5aの伝送路であるファイバ中で光信号D1はラマン増幅を得る。また、光信号D1は合波器31bを介して、光受信部32で受信される。
ラマン増幅とは、物質内の振動現象により入射光と異なる波長の光が散乱される物理現象を利用して、光ファイバ伝送路全体に強い励起光を入射させて、光ファイバの伝送路自体を増幅媒体として光増幅を行うものである。
ラマン散乱による利得のピークは、長波長側に約100nm周波数がシフトした位置になる。すなわち、入射する励起光の約100nm長波長側の光信号を励起することになるので、例えば、1.55μmの波長の光信号を増幅するためには、励起光は約100nm短波側の1.45〜1.48μm帯付近の波長の励起光を、光ファイバ伝送路に入射させることになる。
励起光Rは、ラマン増幅ですべて消費されるわけではなく、余った光はそのまま光ファイバ(ブランチ回線L5a)中を伝送して、光分岐装置40の光増幅部41−1へ入力される。
光増幅部41−1内の分波器41aでは、ブランチ局30から送信された励起光Rを分波器41aと合波器41bをつなぐラインL0へ分波する。合波器41bは、分波された励起光R(ラマン増幅後に余った励起光)を、対回線(ブランチ回線L5b)から送信される光信号D2と合波する。このとき、励起光Rと光信号D2の伝送方向は互いに逆向きになるように合波する。
また、ブランチ回線L5b上には、希土類元素をドープしたファイバ(例えば、エルビウム(Er3+)を添加したEDF(Erbium-Doped Fiber)など)を、折り返し励起光Rが入射される位置に設置する(以下、増幅媒体41cをEDF41cと呼ぶ)。
ここで、EDFにpump光を照射して光信号を進行させると、そのとき生じる誘導放出によって、光信号のレベルは増幅する。本発明では、ラインL0を流れる折り返し励起光R1を、EDF41cのpump光として使用することで、ブランチ局30から送信される光信号D2のパワーを増幅させる。
このように、本発明によれば、ブランチ回線L5aを流れる光信号D1は、励起光Rによるラマン増幅が施され、ブランチ回線L5bを流れる光信号D2は、折り返し励起光R1が入射するEDF41cによって増幅されるので、光分岐装置40とブランチ局30を接続するブランチ回線上には中継器が不要となる。このため、従来設置されていた光分岐装置40内の高価な給電スイッチや、ブランチ局30内の給電装置も不要となり、従来システムと比べ大幅にコストダウンを図ることができ、経済的なシステムの構築が可能になる。
なお、上記で説明した従来技術(特開平09−179152号公報、特開2001−117126号公報)でも、折り返し励起光(残留励起光)をEDFに入射する構成を持つが、従来技術の場合は、励起光源から発出された励起光(EDF用pump光)をEDFに入射して、EDFの一端から出力した励起光をミラーで反射させて、EDFに再入射させるものである。したがって、回線上を流れてきたラマン励起光を利用しているのではなく、EDFのpump光を装置内で折り返して再び使用して、1本の回線上の光信号の増幅のみを行っている。
これに対して、本発明では、一方の回線から流れてきたラマン励起光を、他方の対回線側へ折り返して、対回線側に設置してあるEDFに折り返し励起光を入射するものであり、このような構成にすることで、上り回線と下り回線の光増幅を相互に関連付けた増幅制御が可能となり、上り/下り回線に対して、一方の回線はラマン増幅、他方の回線はEDFによる光増幅が行われるので、両回線が効率よく光増幅され、結果として上り/下り回線上に中継器が不要となるものである。
次に図2で示したシステムに対して、具体的な数値を示して、励起光Rによるラマン増幅を行った場合と行わない場合との動作を示して、ブランチ回線上に中継器が不要となる理由について説明する。
図3は初期条件として与える設定値を示す図である。光ファイバ伝送路の損失、通常スパン長、中継器入力/出力パワー、ブランチ局入力/出力パワーを図に示すような値に決めておく。
まず、ブランチ局30に入力する光信号D1のパワー(図2の位置P1におけるブランチ局入力パワー)について考える。
(a)励起光Rによるラマン増幅が行われない場合
ブランチ局入力パワーは、(中継アンプ24aの出力パワー)−(中継器24からブランチ局30までの光ファイバ伝送路の距離)×(光信号伝送時のファイバ損失)であるから、+13dBm−(30km+60km)×0.21dB/km=−5.9dBmとなる。
(b)励起光Rによるラマン増幅が行われる場合
ブランチ局入力パワーは、(中継アンプ24aの出力パワー)−(中継器24からブランチ局30までの光ファイバ伝送路の距離)×(光信号伝送時のファイバ損失)+(励起光Rを入射したときの光信号D1が受けるゲイン)である。
ここで、本発明のシステムで入射すべき励起光Rのパワーについて説明する。図4は励起光パワー(W)とラマン増幅利得(dB)の関係を示す図である。横軸が励起光パワー(W)、縦軸がラマン増幅利得(dB)である。
−20dBm程度のパワーの小さい光信号に対して、後方ラマン励起(信号光の向きとは逆方向に励起光を入射する)を行った際の、励起光パワーとラマン増幅のゲインとの関係を曲線K1に示す。
曲線K1から例えば、励起光パワーが1Wのとき、光信号は20dBのゲインを受けることがわかる(光信号は20dB分パワーが高くなるということ。すなわち、−20dBmのパワーの入力光信号は、−20dBm→0dBm(=−20dBm+20dB)と大きくなる)。このように、光信号パワーが充分に小さい場合(−20dBm以下)は、1Wの励起光に対して、20dB以上のゲインが得られる。
一方、図2のシステムで励起光がない場合には、上記の(a)で示したように、光信号パワーは−5dBm程度であり、パワーの比較的大きな光信号D1が入力するため、同じ励起光パワーでもゲインは小さくなる。この場合、10dB以下と推定すると、−5dBm程度のパワーの大きな光信号に対して、後方ラマン励起を行った際の、励起光パワーとラマン増幅のゲインとの関係は曲線K2(予想曲線)で表せる。曲線K2から、励起光パワーが1Wのとき、光信号は10dBのゲインを受けることがわかる。
したがって、励起光Rによるラマン増幅が行われる場合、“励起光Rを入射したときの光信号D1が受けるゲイン”は、励起光源31aの出力を1Wとしたときには10dBとなる。
したがって、ブランチ局入力パワーは、(中継アンプ24aの出力パワー)−(中継器24からブランチ局30までの光ファイバ伝送路の距離)×(光信号伝送時のファイバ損失)+(励起光Rを入射したときの光信号D1が受けるゲイン)=+13dBm−(30km+60km)×0.21dB/km+10dB=+4.1dBmとなり、図3の初期条件で示したブランチ局入力パワー(+3dBm)を超えているので、中継増幅せずにブランチ局入力条件を満たしており、ブランチ回線L5a上には中継器なしに光伝送できることが示された。
次に中継アンプ24bの入力パワー(図2の位置P2におけるパワー)について考える。なお、1Wの励起パワーを発出する励起光源31aを使用したものとする。
(a)励起光Rによるラマン増幅が行われない場合
中継アンプ入力パワーは、(ブランチ局30からの光信号D2の送信出力パワー)−(ブランチ局30から中継器24までの光ファイバ伝送路の距離)×(光信号伝送時のファイバ損失)であるから、+13dBm−(60km+30km)×0.21dB/km=−5.9dBmとなる。
(b)励起光Rによるラマン増幅が行われる場合
最初に、EDF41cへ入射される折り返し励起光R1のゲインを求める。折り返し励起光R1のゲインは、(励起光パワー)−(ブランチ回線長)×(励起光伝送時のファイバ損失)−(分波器41aと合波器41bによる損失)で求まり、“分波器41aと合波器41bによる損失”を0.5dBとすると、30dB−60km×0.3dB−0.5dB=11.5dBとなる。
ここで、励起光パワーの1Wをデシベルに換算して30dBmとした。なお換算式は、YdBm=10×Log10(XmW/1mW)である。例えば、1mWならばX=1として、Y=10×Log101=10×0=0dBm、2mWならばX=2として、Y=10×Log102=10×0.301・・・=3dBmとなる。したがって、1WならばY=10×Log10(1/10-3)=10×Log10103=30dBmである。
次に折り返し励起光R1をEDF41cに入射したときのEDF41cのゲインを求める。図5は励起光パワー(mW)とEDFのゲイン(dB)の関係を示す図である。横軸に励起光パワー(mW)、縦軸にEDFのゲイン(dB)をとる。曲線K3は、光信号入力が0dBmで励起光波長1.48μm帯のときの、励起光パワーに対するEDFゲインを示している。
ここで、折り返し励起光R1のゲイン11.5dBをW単位に換算すると、11.5dB=10×Log10(XmW/1mW)であるから、11.5/10=Log10(XmW/1mW)⇔1011.5/10=XmW/1mWとなり、X=1mW×14.1・・・=14mWとなる。
図5の横軸の14mWに対応する縦軸の値を見ると、6.9dB程度となる。すなわち、1Wの励起光源31aを使用したときに、60kmの回線を流れた後の折り返し励起光R1によるEDF41cのゲインは6.9dBと求められた。
したがって、中継アンプ24bの入力パワーは、(ブランチ局30からの光信号D2の送信出力パワー)−(ブランチ局30から中継器24までの光ファイバ伝送路の距離)×(光信号伝送時のファイバ損失)+(EDF41cのゲイン)であるから、EDF41cのゲインを6.0dBとすると(条件を厳しくして6.9よりも小さい値とした)、+13dBm−(60km+30km)×0.21dB/km+6.0dB=0.1dBmとなる。図3の初期条件で示した中継器入力パワー(+0.1dBm)と同じ値であるので、中継増幅せずに中継アンプ入力条件を満たしており、ブランチ回線L5b上には中継器なしに光伝送できることが示された。
以上説明したように、本発明によれば、ブランチ局30に高出力の励起光源31aを配置して、受信信号光をラマン増幅し、さらに光分岐装置40内のブランチ局30からの送信側ラインにEDF41cを配置して、励起光を装置内で折り返して、EDF41cに入射することにより、ブランチ局30からの送信光信号パワーを増幅させる構成とした。
これにより、ブランチ回線L5の距離が、通常スパン長程度あっても、ブランチ回線L5に中継器を配置せずに、かつブランチ局30への光信号入力パワーのレベルを下げずに、さらにブランチ局30からの送信パワーを大きくすること無く、中継アンプ24bへの光入力パワーレベルを保つことができる。
また、ブランチ局30の入力光信号をラマン増幅させるための励起光及びブランチ局30からの送信光信号パワーを光分岐装置40内に配置したEDFで増幅させるための励起光は共通化でき、その励起光源31aはブランチ局30に配置するため、ブランチ回線L5に給電する必要が無く、経済的なシステムを構築することが可能になる。
本発明の光伝送システムの原理図である。 ブランチ局と光分岐装置の構成を示す図である。 初期条件として与える設定値を示す図である。 励起光パワーとラマン増幅の関係を示す図である。 励起光パワーとEDFのゲインの関係を示す図である。 従来の海底光伝送システムの構成を示す図である。 従来の海底光伝送システムの構成を示す図である。 回線障害が発生した場合の給電経路の切り替え状態を示す図である。
符号の説明
1 光伝送システム
11、12 端局
21〜28 中継器
30 ブランチ局
31−1、31−2 光励起部
40 光分岐装置
41−1、41−2 光増幅部
41c 増幅媒体
42 光分岐部
L1〜L4 トランク回線
L5、L6 ブランチ回線

Claims (3)

  1. 光信号を分岐して、少なくとも3つ以上の局間で光信号の伝送を行う光伝送システムにおいて、
    分岐された後の受信光信号が流れる光ファイバに励起光を入射して、光ファイバを増幅媒体とした光増幅を行う光励起部を含み、光分岐地点と無中継の光伝送を行うブランチ局と、
    ブランチ局が発出し、回線上を流れてきた励起光を、ブランチ局からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体を励起させて、ブランチ局からの送信光信号のパワーを増幅する光増幅部と、ブランチ局から送信された光信号の分岐及び他局から送信された光信号の分岐を行う光分岐部と、から構成される光分岐装置と、
    を有することを特徴とする光伝送システム。
  2. 光信号の伝送を行う光分岐装置において、
    局が発出した回線上を流れてきた励起光を、局からの送信光信号が流れる対回線側へ折り返して、対回線上に設置した光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体を励起させて、局からの送信光信号のパワーを増幅する光増幅部と、
    局から送信された光信号の分岐を行う光分岐部と、
    を有することを特徴とする光分岐装置。
  3. 光信号の増幅を行う光増幅装置において、
    局が発出した回線上を流れてきた励起光を、局からの送信光信号が流れる対回線側へ分波して励起光を折り返す分波器と、
    対回線上に設置し、折り返された励起光と、局からの送信光信号とを合波する合波器と、
    対回線上に設置し、前記合波器から出力された折り返し励起光を受けて、局からの送信光信号を励起してパワーを増幅する、光増幅用の活性物質をドープした増幅媒体と、
    を有することを特徴とする光増幅装置。
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