しかしながら、上記従来技術では、次のような問題点を有している。
特許文献1に記載の画像形成装置では、現像器の非ロック状態では、現像器を固定するハンドルが完全に閉まらないため、このハンドルに保護カバーが当たって施蓋不能となるものである。しかし、現像剤カートリッジの装着位置が微小にずれたり、あるいはハンドルが適正な位置まで閉じられていないという微小なずれの場合、保護カバーを閉じることができ、現像剤カートリッジを装着不良のまま駆動するという問題点がある。
また、特許文献2に係る画像形成装置では、現像装置支持部材への現像装置の装着が適正でない場合に、押圧手段による現像装置支持部材の押圧を不能とするものであるが、現像装置の装着が適正でない場合に、現像装置が動作することはないにしても、ユーザーが現像装置の装着が適正でないことに気付かずに、コピーボタンを押してしまう虞れがある。このため、ユーザーに現像装置の装着が適正でないことを知らせるための手段が別途必要となるという問題点がある。
これらの問題点は現像剤カートリッジのみを画像形成装置に着脱する形態に留まらず、現像器全体を画像形成装置に着脱する形態でも同様である。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画像形成装置に使用される現像剤カートリッジ又は現像器が不完全な装着状態となるのを防止できるとともに、不完全な装着をユーザーに気付かせることができ、画像形成装置が動作して現像器や周囲の部品が損傷する虞れのない画像形成装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係る画像形成装置は、画像形成装置本体に回転自在に設けられた回転体と、前記回転体に着脱可能に設けられ少なくとも像担持体の潜像を現像する現像剤を収容する筐体と、前記筐体を前記回転体に着脱する際に操作する操作部と、前記筐体の着脱時に開閉されるカバーと、を備える画像形成装置であって、前記操作部の移動軌跡上に進退可能な突出部材と、前記突出部材を前記移動軌跡上から退避させる位置へ付勢する付勢部材と、前記突出部材を押圧し当該突出部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記移動軌跡上に進出させるレバー部材と、前記カバーに設けられ、前記カバーが閉止されたときに前記レバー部材を押圧し、前記突出部材を前記移動軌跡上まで進出させる押圧部と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の画像形成装置では、画像形成装置本体のカバーを開放し、筐体を回転体に着脱する。筐体を回転体に装着する際には操作部が操作され、操作部の移動軌跡上には突出部材が進退可能となっている。この突出部材は、付勢部材によって移動軌跡上から退避される位置へ付勢されており、レバー部材が移動することで、突出部材が付勢部材の付勢力に抗して押圧される。また、カバーには押圧部が設けられており、カバーが閉止されたときに押圧部がレバー部材を押圧する。
ユーザーが操作部を操作した後、カバーを閉止しようとすると、押圧部がレバー部材を押圧する。この押圧によってレバー部材が移動して突出部材を押圧し、突出部材は付勢部材による付勢力に抗して移動軌跡上に進出する。その際、操作部の移動が完了しているときは、突出部材が移動軌跡上に進出し、カバーが完全に閉止される。一方、操作部の移動が完了してないときは、カバーを閉止しようとしても、突出部材が移動軌跡上の操作部に当たり、レバー部材の回動が阻止される。このため、カバーを完全に閉止することができず、ユーザーは操作部の移動が不完全であることを認知できる。
請求項2に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記画像形成装置本体の少なくとも一方の側部に設けられ、前記筐体の着脱経路を構成する第1案内部材を有し、前記突出部材、前記付勢部材および前記レバー部材が前記第1案内部材に設けられていることを特徴としている。
請求項2に記載の画像形成装置では、第1案内部材に突出部材、付勢部材およびレバー部材が設けられているので、コンパクトに構成できる。また、第1案内部材に突出部材、付勢部材およびレバー部材を組付けてから第1案内部材を画像形成装置のフレーム等に装着できるので、組立性も向上する。
請求項3に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記突出部材は、当該突出部材が回動される回動軸と前記操作部に当接する当接部とを有し、前記回動軸は、前記突出部材の回動先端から前記当接部が前記操作部に当接する当接幅の2倍以内の位置に設けられていることを特徴としている。
請求項3に記載の画像形成装置では、回動軸を操作部の近傍に設けることができるので、突出部材の回動軌跡を小さくすることができ、小型化させることができる。また、突出部材を操作部の移動軌跡に進出させるための回転角度を大きくできるので、レバー部材または押圧部のストロークを大きくでき、部品交差や部品の変形歪み等によって操作部が正規の位置にないにも係わらずカバーが誤って閉止されてしまう恐れを軽減することができる。
請求項4に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記レバー部材には、当該レバー部材の進出方向に延在する板状部と、前記板状部から前記進出方向と直交する方向に突出する突出部とが設けられていることを特徴としている。
請求項4に記載の画像形成装置では、第1案内部材を画像形成装置のフレーム等に装着した際、組付けが不正確でレバー部材が画像形成装置のフレーム等に接触してしまった場合であっても、レバー部材が進出する際に画像形成装置のフレーム等に当接する接触面積を小さくすることができ、摩擦を抑制してレバー部材の動作をスムーズにすることができる。
請求項5に記載の発明に係る画像形成装置は、画像形成装置本体に回転自在に設けられた回転体と、前記回転体に着脱可能に設けられ少なくとも像担持体の潜像を現像する現像剤を収容する筐体と、前記筐体の着脱時に開閉されるカバーと、を備える画像形成装置であって、回動可能に軸支され前記筐体の着脱経路に進退可能な突片と、前記画像形成装置本体に対し揺動可能に支持される揺動部材と、前記揺動部材の移動軌跡上に位置し、前記筐体に当接した突片に押圧されて前記揺動部材の揺動を阻止する位置へ移動する停止部材と、前記停止部材を前記揺動部材と干渉しない位置へ付勢する付勢部材と、前記カバーに設けられ、前記カバーが閉止されたときに前記揺動部材を押圧して揺動させる押圧部と、を有することを特徴としている。
請求項5に記載の画像形成装置では、画像形成装置本体のカバーを開放し、着脱経路に沿って筐体を挿入し、回転体に装着する。筐体の着脱経路には、回動可能に軸支された突起が進退可能となっている。この突片は、筐体の装着が不完全であると、着脱経路にある筐体に当接し、筐体の装着が完全であると(着脱経路から抜けていると)、筐体に当接しない。
また、揺動部材の移動軌跡上に位置する停止部材は、付勢部材によって揺動部材と干渉しない位置へ付勢されている。筐体の装着が不完全であると、筐体に当接した突片に停止部材が押圧され、停止部材は付勢部材の付勢力に抗して揺動部材の揺動を阻止する位置に移動する。この状態で、ユーザーがカバーを閉止しようとすると、カバーの押圧部が揺動部材を押圧するが、揺動部材が停止部材に当たって揺動が阻止される。このため、カバーを完全に閉止することができず、ユーザーは筐体の装着が不完全であることを認知できる。
一方、筐体の装着が完全であると、突片は筐体に当接せず、停止部材を押圧しない。このため、カバーを閉止する際には、押圧部に押されて揺動部材が停止部材と干渉することなく揺動する。これにより、カバーを完全に閉止することができる。
請求項6に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項5に記載の構成において、前記画像形成装置本体の少なくとも一方の側部に設けられ、前記筐体の着脱経路を構成する第2案内部材を有し、前記突片、前記揺動部材、前記停止部材および前記付勢部材が前記第2案内部材に設けられていることを特徴としている。
請求項6に記載の画像形成装置では、第2案内部材に突片、揺動部材、停止部材および付勢部材が設けられているので、コンパクトに構成できる。また、第2案内部材に突片、揺動部材、停止部材および付勢部材を組付けてから第2案内部材を画像形成装置のフレーム等に装着できるので、組立性も向上する。
請求項7に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項5又は請求項6に記載の構成において、前記揺動部材は、前記筐体の着脱経路へ前記突片が進出したときに前記停止部材の凹部に挿入され揺動可能となると共に、前記突片が前記筐体に当接したときに押圧されて移動した前記停止部材の凸部に当接して揺動が阻止される第1揺動部材と、前記第1揺動部材の前記押圧部の当接側へ揺動可能に支持され、前記第1揺動部材をロックすると共に、前記押圧部に押されて揺動し、前記第1揺動部材の揺動を許容する第2揺動部材と、前記第2揺動部材を前記押圧部の当接側へ付勢する付勢部材と、で構成され、前記押圧部は、前記カバーの裏面から突設されたツメ板であることを特徴としている。
請求項7に記載の画像形成装置では、揺動可能に設けられた第1揺動部材の押圧部の当接側に、第2揺動部材が揺動可能に支持されている。第2揺動部材は付勢部材によって押圧部の当接側へ付勢されており、カバーを閉止するときに、カバーの裏面から突設したツメ板(押圧部)で第2揺動部材が押圧される。ツメ板に押されて第2揺動部材が揺動を始めるが、その揺動時には第1揺動部材の揺動がロックされている。そして、第2揺動部材が揺動すると、第1揺動部材のロックが外れて第1揺動部材の揺動が許容される。
筐体の装着が完全であると、着脱経路に突片が進出しており、第1揺動部材は停止部材に形成された凹部に挿入されて揺動する。これにより、カバーを完全に閉止できる。一方、筐体の装着が不完全であると、筐体に当接した突片に押圧され、停止部材の凸部が第1揺動部材の揺動を阻止する位置に移動する。これにより、第1揺動部材が停止部材の凸部に当接して揺動が阻止され、カバーを閉止することができない。
請求項8に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項7に記載の構成において、前記筐体が前記回転体の周方向に複数設けられ、前記筐体が前記像担持体と対向する現像領域に順次移動する画像形成装置であって、前記第1揺動部材に、前記カバーの開放時に前記回転体の回転ギアに噛み合い、前記カバーの閉止時に前記回転ギアとの噛み合いが解除される規制部が設けられていることを特徴としている。
請求項8に記載の画像形成装置では、筐体が周方向に複数設けられた回転体の回転によって、筐体が現像領域に順次移動する。第1揺動部材には、回転体の回転ギアと噛み合う規制部が設けられており、カバーの開放時には規制部が回転ギアと噛み合い、回転体の回転が阻止される。このため、カバーの開放時に回転体が回転し、現像器や周囲の部材(像担持体や帯電ロールなど)を損傷させることがない。また、カバーの閉止時には、第1揺動部材が揺動し、規制部と回転ギアとの噛み合いが解除される。このため、筐体を装着してカバーを完全に閉止したときのみ、回転体を回転させることが可能となる。また、第1揺動部材のツメ板(押圧部)の当接側へ第2揺動部材が設けられ、第2揺動部材が揺動するときに第1揺動部材がロックされているので、規制部と回転ギアとの噛み合いがすぐに解除されるのを防止できる。
請求項9に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の構成において、前記筐体が取り外されるときに、前記突片が前記着脱経路を移動する前記筐体に押されて前記筐体の取り外しを干渉しない位置まで回動し、前記筐体が取り外された後は前記着脱経路に進出する位置に戻ることを特徴としている。
請求項9に記載の画像形成装置では、筐体が取り外されるときに、突片が着脱経路を移動する筐体に押されて筐体の取り外しを干渉しない位置まで回動するので、突片が着脱経路で筐体の取り外しの邪魔になることがない。筐体が取り外された後、突片は着脱経路に進出する位置に戻り、筐体の装着時に誤動作することもない。このため、ユーザが突片を操作する必要がなく、筐体の着脱時の操作性を向上することができる。
請求項10に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項5から請求項9までのいずれか1項に記載の構成において、前記突片が回動したときに弾接して該突片を前記着脱経路に進出する位置へ回動させる弾性部材が設けられていることを特徴としている。
請求項10に記載の画像形成装置では、突片は回動したときに弾性部材に弾接し、筐体の着脱経路に進出する位置へ戻る。つまり、弾性部材は突片が正規の位置に戻るのを補助している。このため、筐体の装着が不完全であるときに突片を常に筐体に当接させることができ、筐体の装着が不完全な状態でカバーが閉止されるという誤作動を防止できる。また、突片を傷つけることもなく、突片が当接して音を出すこともない。
本発明に係る画像形成装置は、上記のようにカバーを閉止できない構成としたので、現像剤カートリッジ又は現像器の装着が不完全であることをユーザーに気付かせることができる。このため、現像剤カートリッジ又は現像器が不完全な装着状態となるのを未然に防止でき、画像形成装置が動作して現像器や周囲の部品などを損傷する虞がない。
以下、本発明に係る画像形成装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、最初に画像形成装置の構成の概要を説明し、次に、本発明の要部について説明する。
図1は、この実施形態の画像形成装置であるフルカラープリンタ1を示す概略構成図である。
このフルカラープリンタ1の内部には、中央よりもやや右上部に、像担持体としての感光体ドラム2が回転可能に配設されている。この感光体ドラム2は表面に感光体層が被覆されており、図示しない駆動手段により、矢印方向に回転駆動される。この感光体ドラム2の表面は、感光体ドラム2の略真下に配置された帯電ロール3によって所定の電位に帯電された後、この感光体ドラム2の真下の離れた位置に配置された露光手段としてのROS4(Raster Output Scanner)によって、レーザービーム(LB)が露光され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム2上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像器5Y、5M、5C、5Kを周方向に沿って配置した回転式現像装置5によって現像され、所定の色のトナー像となる。
その際、感光体ドラム2の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。回転式現像装置5は、対応する色の現像器5Y、5M、5C、5Kが、感光体ドラム2と対向する現像領域に移動する。例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム2の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム2の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。
感光体ドラム2上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム2の外周に中間転写ベルト6が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト6上に互いに重ね合わされた状態で、一次転写ロール7によって一次転写される。この中間転写ベルト6上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙9上に、二次転写ロール8によって一括して二次転写される。記録用紙9は、フルカラープリンタ1の下部に配置された給紙カセット10から、ピックアップロール11によって送り出されるとともに、フィードロール12及びリタードロール13によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール14によって中間転写ベルト6上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト6の二次転写位置へと搬送される。
この中間転写ベルト6は、感光体ドラム2における回動方向の上流側にて中間転写ベルト6のラップ位置を特定するラップインロール15と、先述の一次転写ロール7と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト6のラップ位置を特定するラップアウトロール16と、二次転写ロール8に中間転写ベルト6を介して当接するバックアップロール17と、中間転写ベルト6のクリーニング装置18に対向する第1のクリーニングバックアップロール19と、第2のクリーニングバックアップロール20とによって、所定の張力で張架されている。この中間転写ベルト6は、感光体ドラム2の回転に伴って従動される。
なお、この中間転写ベルト6は、感光体ドラム2や帯電ロール3などを含めて、一体的に像形成ユニット21を構成しており、フルカラープリンタ1の上部カバー22を開くことによって、像形成ユニット21の全体がフルカラープリンタ1に対して着脱自在となるように構成されている。また、中間転写ベルト6の上部には、中間転写ベルト6上に形成されたトナーのパッチを検出する反射型フォトセンサからなる位置センサ23が配設されている。
また、中間転写ベルト6のクリーニング装置18は、第1のクリーニングバックアップロール19によって張架された中間転写ベルト6の表面に当接するように配置されたスクレーパ24と、第2のクリーニングバックアップロール20によって張架された中間転写ベルト6の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ25とを備え、これらのスクレーパ24やクリーニングブラシ25によって除去された残留トナーや紙粉は、クリーニング装置18の内部に回収されるようになっている。なお、クリーニング装置18は、揺動軸26を中心にして、図中反時計周り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト6の表面から離間した位置に退避しているとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト6の表面に当接するように構成されている。
さらに、中間転写ベルト6からトナー像が転写された記録用紙9は、定着器27へと搬送され、この定着器27によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙9上に定着され、片面プリントの場合には、排出ロール28によってフルカラープリンタ1の上部に設けられた排出トレイ29上にそのまま排出される。
一方、両面プリントの場合には、定着器27によりトナー像が定着された記録用紙9を、排出ロール28によって排出トレイ29上にそのまま排出せずに、排出ロール28によって記録用紙9の後端部を挟持した状態で、排出ロール28を逆転させるとともに、記録用紙9の搬送径路を両面用の用紙搬送路30に切り替え、この両面用の用紙搬送路30に配設された搬送ロール31によって、記録用紙9の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト6の二次転写位置へ搬送して、記録用紙9の裏面に画像を形成するようになっている。
さらに、フルカラープリンタ1には、オプションによって、フルカラープリンタ1の側面に手差しトレイ32が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ32上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙9は、給紙ロール33によって給紙され、搬送ロール31及びレジストロール14を介して、中間転写ベルト6の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙9にも画像を形成することが可能となっている。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム2の表面は、感光体ドラム2が1回転する毎に、感光体ドラム2の斜め下方に配置されたクリーニング装置34のクリーニングブレード35によって、残留トナーなどが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
図3は、この実施形態に係るフルカラープリンタ1に適用される回転式現像装置5及びカバー37付近の構成を示す分解斜視図である。また、図4は、回転式現像装置5を示す断面図である。
この回転式現像装置5は、図3に示すように、中心部に長手方向に沿って配設された円筒状の回転軸部材41と、回転軸部材41の長手方向手前側の端部に配設されたフランジ部材42と、長手方向奥側の端部に配設された回転ギア43とを備えている。この回転ギア43は、図示しないモータから駆動力が伝達され、回転軸部材41を回転させるように構成されている。また、フランジ部材42と回転ギア43の間には、これらによって形成される円筒形状の空間Sを90度毎に4つに仕切る仕切り部材44が設けられている。
この回転式現像装置5は、図4に示すように、回転軸部材41を中心にして、矢印方向(反時計回り)に回転可能にフルカラープリンタ1に取り付けられている。この回転式現像装置5には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの現像器5Y、5M、5C、5Kが、周方向に沿って実装されているとともに、これらの現像器5Y、5M、5C、5Kに対応してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの現像剤カートリッジ45Y、45M、45C、45Kが、周方向に沿って実装されている。これらの現像器5Y、5M、5C、5Kは、すべて同様に構成されているので、ここでは、イエロー(Y)の現像器5Yを例にして説明する。
現像器5Yの内部には、図4に示すように、一部が露出するように配置された現像ロール48と、この現像ロール48の斜め下方の背面側に位置し、現像ロール48と平行に延びる2本のスパイラルオーガ49、50が配設されている。スパイラルオーガ50の背面側には、後述する供給口61(図6参照)から補給された現像剤を攪拌しながら搬送するスパイラル状のアジテータ51が配設されている。スパイラルオーガ50は、アジテータ51によって搬送されて現像器5Y内に収容されている現像剤を一方向に攪拌しながら搬送する。スパイラルオーガ49は、スパイラルオーガ50の搬送方向とは逆方向に現像剤を攪拌しながら搬送し、現像剤を現像ロール48に均等に供給する。現像ロール48の表面に供給された現像剤は、層厚規制部材53によって層厚が規制され、現像ロール48の回転に伴って、感光体ドラム2(図1参照)と対向する現像領域へと搬送される。なお、この実施形態では、現像剤として、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しているが、現像剤としては、少なくともトナーを含んでいればよく、トナーのみからなる一成分の現像剤を使用しても勿論良い。
図2、図3及び図5に示すように、イエロー(Y)の現像器5Yには、イエロー(Y)の現像剤が収容された現像剤カートリッジ45Yが着脱可能に配置されている。フルカラープリンタ1の側部には、カバー37が下方部の支軸37Aを中心に回動可能に支持されており、カバー37を開放することによって、現像器5Yに対して現像剤カートリッジ45Yの着脱が可能である。
図6に示すように、現像器5Yの上部に形成された円弧状の取付け部60には、現像剤カートリッジ45Yから新しい現像剤が供給される供給口61と、使用済み現像剤100を現像剤カートリッジ45Yに回収する排出口62とが設けられている。供給口61と排出口62の上面には、これらと対応する位置に切欠き64と排出用開口65が形成された円弧状のシャッター部材63が矢印方向にスライド可能に取付け部60に支持されている。このシャッター部材63が矢印方向にスライドすることによって、切欠き64に対応した供給口61が開閉されると共に、排出用開口65に対応した排出口62が開閉される。供給口61の内部には、先述のアジテータ51(図4参照)が配設され、補給された現像剤が一定方向に搬送される(図4参照)。
図7(A)及び図7(B)に示すように、現像剤カートリッジ45Yの側方には、カバー部材73が矢印方向に回動可能に装着されている。図8に示すように、カバー部材73の内側の現像剤カートリッジ45Yには、現像器5Yに新しい現像剤を供給する補給口71と、現像器5Yから使用済み現像剤100が回収される回収口72とが設けられている。カバー部材73には、補給口71と回収口72と対向する位置に補給用開口74と回収用開口75が形成されている。そして、カバー部材73を図7(A)に示す位置から図7(B)に示す位置に回動することによって、補給用開口74と対応した補給口71が開放されると共に、回収用開口75と対応した回収口72が開放される。なお、補給口71と回収口72の間には、現像剤が混ざらないようにするための仕切り板(図示せず)が設けられている。
そして、図5に示すように、現像剤カートリッジ45Yを現像器5Yに装着し、カバー部材73を図7(A)中の矢印方向に回動させると、カバー部材73の回動に伴ってシャッター部材63が開放され、供給口61と補給口71が挿通されると共に、排出口62と回収口72が挿通される(図6及び図8参照)。
図3に示すように、フルカラープリンタ1のカバー37の内部には、現像剤カートリッジ45Yの長手方向手前側の端部の着脱経路を案内する第1案内部材80が、図示しないフレームに取り付けられている。また、第1案内部材80と対向する位置には、長手方向奥側の端部の着脱経路を案内する第2案内部材110が、図示しないフレームに取り付けられている。
図9及び図11に示すように、第1案内部材80の内側(現像剤カートリッジ45Yの取り付け側)には、現像剤カートリッジ45Yの着脱時にカバー部材73の側部が摺動される傾斜部81が形成されている。そして、現像剤カートリッジ45Yは傾斜部81を摺動しながら挿入され、現像器5Yに装着される。
図9及び図10に示すように、傾斜部81の後方(挿入方向側)には、突起82が縦方向の回転軸83に軸支され、回動可能となっている。図11に示すように、現像剤カートリッジ45Yが現像器5Yに装着されると、カバー部材73を矢印方向に回動させるが、突起82は回動によりカバー部材73の移動軌跡上に進退する。図10及び図12に示すように、突起82の回転軸83には、突起82を移動軌跡上から退避させる位置へ付勢するコイルばね84が巻き掛けられている。
また、第1案内部材80には、上方の支軸85を中心に揺動する揺動部材86が設けられている。この揺動部材86の下方の取付部86Aと第1案内部材80の下方の取付部87には、スプリング88が横方向に張架されている。揺動部材86の中央部には、開口89が形成されており、この開口89に第1案内部材80から突設されたピン90が挿通している。そして、揺動部材86は、支軸85を中心にスプリング88の作用により、開口89がピン90と当接する位置間を揺動可能となっている。揺動部材86には、突起82の軸支部82Aを押圧する突出部91が形成されており、揺動部材86の揺動により軸支部82Aを押圧することで、突起82がカバー部材73の移動軌跡上に進出する。
図9及び図11に示すように、第1案内部材80には、カバー37の側に開口部92が形成されており、揺動部材86の内側(現像剤カートリッジ45Yの取り付け側)に設けられた凸部93が開口部92内を移動可能となっている。また、カバー37の裏面には、つめ板からなる押圧部37Aが突設されており、カバー37を閉止する際に、押圧部37Aが凸部93を押圧する。これにより、図10に示すように、揺動部材86が支軸85を中心に矢印B方向に揺動する。
図13に示すように、第2案内部材110の内側(現像剤カートリッジ45Yの取り付け側)には、現像剤カートリッジ45Yの側部が着脱時に摺動される傾斜部111が形成されている。そして、現像剤カートリッジ45Yは傾斜部111を摺動しながら挿入され、現像器5Yに装着される。第2案内部材110には、傾斜部81の上方に突片112が縦方向に軸支され、フリーな状態で矢印方向に回動可能となっている。この突片112は、回動により現像剤カートリッジ45Yの着脱経路に進退する。
図15に示すように、第2案内部材110の外側(現像剤カートリッジ45Yの取り付け側と反対側)には、支軸113を中心に矢印D方向に揺動する第1揺動部材114が設けられている。この第1揺動部材114に延設された取付部115と第2案内部材110の下方の取付部116には、スプリング117が縦方向に張架されている。また、第1揺動部材114の下方部には、回転軸部材41(図3参照)の回転ギア43と噛み合う規制部118が設けられている。この規制部118は、回転ギア43と噛み合うことで、回転軸部材41の回転を阻止し、第1揺動部材114の矢印D方向への揺動により回転ギア43との噛み合いが解除される。
図13及び図14に示すように、第2案内部材110には、突片112の軸支部112Aと同軸上に回動可能に軸支される停止部材120が設けられている。また、停止部材120の支持軸121には、停止部材120を第1揺動部材114と干渉しない位置へ付勢するコイルばね122が巻き掛けられている。停止部材120には、凹部120Aが形成されており、第1揺動部材114が凹部120Aに挿入されることで、停止部材120と干渉することなく揺動可能となる。この凹部120Aの先端側(支持軸121と反対側)には、第1揺動部材114側に突出した凸部120Bが形成されている。
図13及び図18に示すように、現像器5Yに対する現像剤カートリッジ45Yの装着が不完全で、現像剤カートリッジ45Yが着脱経路に位置している(図13中の点線参照)と、突片112が現像剤カートリッジ45Yに当接し、この突片112に延設された突出部112Bが回動して停止部材120を押圧する。これにより、停止部材120がコイルばね122の付勢力に抗して第1揺動部材114の移動軌跡上に回動し、停止部材120の凸部120Bに第1揺動部材114が当たることで揺動が阻止される。
図14に示すように、カバー37には、爪板からなる押圧部37Bが設けられており、第1揺動部材114の押圧部37Bの当接側には、第2揺動部材125が支軸126を中心に回動可能に軸支されている。また、第2揺動部材125の支軸126には、第2揺動部材125を押圧部37Bの側へ付勢するコイルばね127が巻き掛けられている。第2揺動部材125は、カバー37が閉止されるときに、押圧部37Bに押されて、第2案内部材110の当接部133に当接しながら矢印C方向に回動する。そして、図15に示すように、第2揺動部材125の縁に形成された突出部125Aが第1揺動部材114の縁部114Aに当接すると、第2揺動部材125の回動が止まる。これとともに、第2揺動部材125と当接部133との当接が外れ、第1揺動部材114の揺動が開始される。そして、第1揺動部材114は、押圧部37Bに押されて支軸113を中心に矢印D方向に回動し、この第1揺動部材114の回動により、規制部118と回転ギア43との噛み合いが解除される。
また、図13に示すように、第2案内部材110の内側(現像剤カートリッジ45Yの着脱経路側)には、突片112が回動して弾接する位置に弾性部材130が取り付けられている。突片112は、弾性部材130に弾接すると、その弾性により回動し、着脱経路側へ戻る。
次に、この実施形態のフルカラープリンタ1の作用について説明する。
この実施形態のフルカラープリンタ1では、現像器5Y、5M、5C、5Kは、すべて同様に構成されているので、ここでは、イエロー(Y)の現像器5Yを例にして説明する。
図2に示すように、現像剤カートリッジ45Yの交換時には、フルカラープリンタ1のカバー37を開放することによって、現像剤カートリッジ45Yを取り外す。図2及び図3に示すように、新しい現像剤カートリッジ45Yを現像器5Yに取り付ける際には、現像剤カートリッジ45Yを第1案内部材80の傾斜部81(図9参照)と第2案内部材110の傾斜部111(図13参照)に摺動させながら矢印方向に挿入する。これにより、現像剤カートリッジ45Yが現像器5Yの装着位置へ案内される。現像剤カートリッジ45Yを装着位置に挿入した後、カバー部材73を図11に示す矢印方向に回動させる。その後、カバー37を閉止することで現像剤カートリッジ45Yの装着が完了する。
図9に示すように、カバー37を閉止する際には、押圧部37Aが揺動部材86の凸部93を押圧する。これにより、図10に示すように、揺動部材86が支軸85を中心に矢印B方向に回動する。この揺動部材86の回動に伴い、突出部91が突起82の軸支部82Aを押圧し、突起82が回転軸83を中心に矢印A方向に回動してカバー部材73の移動軌跡上に進出する(図9参照)。そして、押圧部37Aの押圧により、揺動部材86は開口89の後方がピン90と当接するまで回動し、これに伴いカバー37が完全に閉止される。
一方、図11に示すように、現像剤カートリッジ45Yのカバー部材73の回動が不完全であると、カバー部材73は移動軌跡上に位置している。この状態で、カバー37を閉止しようとすると、図12に示すように、押圧部37Aが揺動部材86の凸部93を押圧し、突出部91が突起82の軸支部82Aを押圧する。そして、突起82は回転軸83を中心に回動してカバー部材73の移動軌跡上に進出しようとするが、図11に示すように、突起82がカバー部材73に当たり、突起82の回動が阻止される。このため、カバー37は途中で止まり、完全に閉止することができない。これにより、ユーザーはカバー部材73の回動が不完全であることを認知できる。
このような第1案内部材80では、突起82の自由端と回転軸83との間を短く設定することができる。この回転軸83は、突起82の自由端から突起82がカバー部材73と当接する当接幅の2倍以内の位置に設けられている。これにより、突起82の回動角度を大きくでき、突起82をカバー部材73の移動軌跡上に大きく進出させることができる。このため、カバー部材73の回動が不完全であるときに、カバー37の閉止を確実に阻止できる。したがって、現像剤カートリッジ45Yの誤装着を防止でき、現像器5Yなどを損傷させたり、現像剤の供給不良や現像剤漏れなどの発生を防止できる。また、突起82の移動軌跡を小さくすることができ、小型化が可能である。
さらに、揺動部材86の外縁には、回動方向と直交する方向(回動方向に対して外側方向)にリブ97が突出している。このリブ97によって揺動部材86がフレーム(図示せず)に当接するのが軽減され、揺動部材86の揺動をスムーズに行うことができる。
一方、図14に示すように、第2案内部材110の側では、カバー37を閉止しようとすると、押圧部37Bが第2揺動部材125を押圧する。これにより、第2揺動部材86が当接部133と当接しながら支軸126を中心に矢印C方向に回動する。このとき、第1揺動部材114はロックされている。図15に示すように、第2揺動部材125が回動して突出部125Aが第1揺動部材114の縁部114Aに当接すると、第2揺動部材125の回動が停止する。これとともに、第2揺動部材125と当接部133との当接が外れ、第1揺動部材114の揺動が開始される。なお、当接部133を設けなくても、第2揺動部材125の支軸126の位置と回動方向を調整することで、第2揺動部材125が回動する間、第1揺動部材114をロックすることが可能である。
図16に示すように、第1揺動部材114は、ロックが解除された後、押圧部37Bに押されて支軸113を中心に矢印D方向に回動する。このとき、図13中の実線で示すように、現像剤カートリッジ45Yが現像器5Yの装着位置に完全に装着されていると、突片112は、現像剤カートリッジ45Yの着脱経路に進出している。そのため、図16に示すように、停止部材120は、コイルばね122によって第1揺動部材114と干渉しない位置に付勢されており、第1揺動部材114は停止部材120の凹部120Aに挿入されて矢印D方向に回動する。この第1揺動部材114の回動に伴ってカバー37が完全に閉止される。また、第1揺動部材114の矢印D方向に回動により、規制部118と回転ギア43との噛み合いが解除され、回転ギア43の回転が可能となる。このため、回転軸部材41の駆動により、回転式現像装置5の移動が可能となる。
一方、図13中の点線で示すように、現像剤カートリッジ45Yの装着が不完全であると、現像剤カートリッジ45Yが突片112に当接し、突片112が後方に回動する。図17に示すように、突片112の回動により突出部112Bが停止部材120を押圧する。これにより、停止部材120がコイルばね122の付勢力に抗して矢印E方向に回動し、停止部材120の凸部120Bが第1揺動部材114の移動軌跡上に移動する。そして、カバー37を閉止しようとすると、押圧部37Bが第2揺動部材125を押圧し、第2揺動部材86が当接部133と当接しながら支軸126を中心に矢印C方向に回動する。図18に示すように、第2揺動部材125の突出部125Aが第1揺動部材114の縁部114Aに当接すると、当接部133との当接が外れ、第1揺動部材114が回動しようとするが、第1揺動部材114が停止部材120の凸部120Bに当たり、回動が阻止される。このため、カバー37は途中で止まり、完全に閉止することができない。これにより、ユーザーは現像剤カートリッジ45Yの現像器5Yへの装着が不完全であることを認知できる。
また、第1揺動部材114の回動が阻止されることで、規制部118と回転ギア43との噛み合いが解除されることはない。したがって、現像剤カートリッジ45Yの装着が不完全な状態で回転ギア43が回転することがなく、回転式現像装置5が移動するのを防止できる。このため、現像器5Yや周囲の部材を損傷させる虞がない。
また、図13に示すように、第2案内部材110の内側には弾性部材130が取り付けられており、突片112が弾接すると、突片112が回動し現像剤カートリッジ45Yの着脱経路側に戻る。このため、現像剤カートリッジ45の取り出し時に突片112が弾性部材130と当接する位置に回動しても、突片112が当接位置にとどまることがない。このため、現像剤カートリッジ45Yの装着が不完全なときに突片112が停止部材120を押圧しないという誤動作が防止され、カバー37が誤って閉止されるのを防止できる。
なお、この実施形態では、イエロー(Y)の現像剤カートリッジ45Yを例として説明したが、他の現像剤カートリッジ45M,45C,45Kも同様に動作することは言うまでもない。
なお、この実施形態では、現像剤カートリッジ45Yの装着時の動作として説明したが、現像器5を装着する際にも本発明を適用できる。
なお、この実施形態のフルカラープリンタ1は4サイクル方式のプリンタであったが、このような構成に限定するものではない。例えば、タンデム方式のフルカラープリンタにおいて、各色の現像剤カートリッジを各色の現像器に着脱可能とした構成や、単色のプリンタにおいて、現像剤カートリッジを現像器に着脱可能とした構成においても同様に適用できる。