JP2005330887A - 排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法 - Google Patents

排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 硫黄酸化物で被毒したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化でき、有害ガスの排出を十分に抑制できる排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、希薄燃焼方式内燃機関4から排出される排ガスを流通させる排気部34、排気部34の下流側に接続され、NOx吸蔵還元型触媒を収容する触媒収容部36を備える排ガス浄化装置6において、排気部34に設けられ、エタノールを排気部34に導入する液体導入部40を備える。この排ガス浄化装置6によれば、液体導入部40により排気部34にエタノールが導入される。これによりNOx吸蔵還元型触媒からSOxが効率よく脱離される。またエタノールを用いることにより、触媒収容部36をHCやCO等の有害ガスが通過することが十分に防止される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法に係り、より詳細には、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から、自動車などの内燃機関から排出される排ガス中のCOが問題視され、CO削減手段として、燃料を空気過剰雰囲気で希薄燃焼させる、いわゆる希薄燃焼方式内燃機関が有望視されている。この希薄燃焼方式内燃機関では、燃費が向上するため燃料の使用が低減され、その燃焼排ガスであるCOの発生を抑制することができる。しかし、希薄燃焼時、即ち空燃比リーン時は、排ガスが酸素過剰雰囲気となっている。このため、この排ガス中に含まれるNOxは、空燃比が理論空燃比(ストイキ)となる排ガス中のCO、HC、NOxを同時に酸化・還元し浄化する従来の三元触媒では十分に還元除去することができない。このため、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガス中のNOxを高効率に浄化する触媒および浄化システムの開発が望まれている。
この要望に対し、NOx吸蔵還元型触媒(例えば下記特許文献1参照)が提案されている。NOx吸蔵還元型触媒は、アルミナ等の多孔質担体に、Pt等の貴金属と、アルカリ土類金属、アルカリ金属あるいは希土類元素を含む化合物とを担持した触媒である。この触媒は、空燃比リーン時に排ガス中のNOxを吸蔵して排ガスから除去し、燃料が短時間パルス状に導入される空燃比リッチ時(リッチスパイク時)に、吸蔵されたNOxを排ガス中のCOやHC等の還元性ガスと反応させ、Nへと浄化するものであり、この触媒により、希薄燃焼方式の内燃機関から排出される排ガスに対しNOxの高効率浄化が図られている。
しかし、前述したNOx吸蔵還元型触媒は、排ガスの高効率浄化を可能とするものの、燃料中に含まれる硫黄分に由来する硫黄酸化物(SOx)によって時間とともに被毒されるようになり、触媒によるNOxの浄化活性が経時的に低下する。これは、NOx吸蔵還元型触媒中のNOx吸蔵剤であるアルカリ土類金属、アルカリ金属あるいは希土類元素を含む化合物がSOxと反応して安定な硫酸塩を形成し、NOxを吸蔵できなくなるためである。
従って、NOx吸蔵還元型触媒を実際の自動車で使用するためには、一定時間あるいは一定走行距離ごとにNOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを高温の空燃比リッチの雰囲気、即ち還元性ガス雰囲気で還元し、脱離させる再生処理が必要である。
このとき使用される還元性ガスとしては一般的にはCOやHCが使用されており、特にディーゼルエンジンの場合、燃料であるHCが中心となる。
特開平5−317652号公報
しかしながら、本発明者らは、上記のような還元性ガスでNOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを還元しても、NOxの浄化率を高くすることができないことを見出した。即ち本発明者らは、硫黄酸化物で被毒したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができないことを見出した。
また本発明者らは、NOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを還元するために、上記のような還元性ガスを大量に供給しても有害ガスであるHCやCOが大量に排出されることも見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硫黄酸化物で被毒したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができ、有害ガスの排出を十分に抑制できる排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、排ガスに特定の液体を添加することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスを流通させる排気部と、前記排気部の下流側に接続され、NOx吸蔵還元型触媒を収容する触媒収容部とを備える排ガス浄化装置において、前記排気部に設けられ、エーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体を前記排気部に導入する液体導入部を備えることを特徴とする。
この排ガス浄化装置によれば、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスは、排気部を経て触媒収容部に導入される。このとき、排ガスは、触媒収容部に収容されているNOx吸蔵還元型触媒と接触する。これにより、排ガス中のNOxがNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵される。この後、排ガス中の空燃比を低くして燃料リッチの状態とすると、吸蔵されたNOxはNに還元される。こうして排ガスが浄化される。こうして排ガスを浄化すると、排ガス中にSOxが含まれている場合には、時間の経過と共にNOx吸蔵還元型触媒がSOxで被毒され、排ガスからのNOxの除去能力が低下してくる。このとき、本発明の排ガス浄化装置では、液体導入部により排気部に液体が導入される。ここで、液体としては、エーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体が用いられる。このとき、排ガスは内燃機関から排出されるため、一般に高温となっており、液体はこの排ガスによって気化され、気化された液体によって、NOx吸蔵還元型触媒からSOxが効率よく脱離される。このため、SOxの被毒により活性が低下したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができる。この理由は明らかではないが、上記のように分子中に酸素原子を含む液体が、HCやCO等に比べてSOxの脱離能力に優れているためではないかと考えられる。また上記液体を用いることにより、触媒収容部をHCやCO等の有害ガスが通過することが十分に防止される。この理由も明らかではないが、上記液体が燃料と比べてSOxの還元で消費される量が多いこと、及び消費されなかった液体が排ガス中のHOと反応してHとCOになることによるのではないかと考えられる。
上記排ガス浄化装置は、排気部に設けられ、希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料を供給する燃料供給部を更に備えることが好ましい。この場合、燃料供給部により、希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料を供給することが可能となる。この燃料は一般に、NOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを還元する能力はあまり高くないものの、排ガス中に含まれる酸素と反応して酸素を消費するため、上記液体が酸素により消費されるのを低減する。このため、排ガスに対し、上記液体のほかに燃料をも供給することで、上記液体の添加量を低減することができる。
また本発明は、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスを、NOx吸蔵還元型触媒と接触させることにより浄化する排ガス浄化方法において、前記排ガスに対してエーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体を添加する液体添加工程を含むことを特徴とする。
この排ガス浄化方法によれば、希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスは、NOx吸蔵還元型触媒と接触される。これにより、排ガス中のNOxがNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵される。この後、排ガス中の空燃比を低くして燃料リッチの状態とすると、吸蔵されたNOxはNに還元される。こうして排ガスが浄化される。こうして排ガスを浄化すると、排ガス中にSOxが含まれている場合には、時間の経過と共にNOx吸蔵還元型触媒がSOxで被毒され、排ガスからのNOxの除去能力が低下してくる。このとき、本発明の排ガス浄化方法では、液体が添加される。ここで、上記液体としては、エーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体が用いられる。このとき、排ガスは内燃機関から排出されるため、一般に高温となっており、液体はこの排ガスによって気化され、気化された液体によって、NOx吸蔵還元型触媒からSOxが効率よく脱離される。このため、SOxの被毒により活性が低下したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができる。この理由は明らかではないが、上記のように分子中に酸素原子を含む液体が、HCやCO等に比べてSOxの脱離能力に優れているためではないかと考えられる。また上記液体を用いることにより、NOx吸蔵還元型触媒をHCやCO等の有害ガスが通過することが十分に防止される。この理由も明らかではないが、上記液体が燃料と比べてSOxの還元で消費される量が多いこと、及び消費されなかった液体が排ガス中のHOと反応してHとCOになることによるのではないかと考えられる。
上記液体添加工程においては、希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料をさらに供給することが好ましい。この場合、希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料を供給することが可能となる。この燃料は一般に、NOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを還元する能力はあまり高くないものの、排ガス中に含まれる酸素と反応して酸素を消費するため、上記液体が酸素により消費されるのを低減する。このため、排ガスに対し、上記液体のほかに燃料をも供給することで、上記液体の添加量を低減することができる。
本発明による排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法によれば、排ガス中のSOxにより被毒されたNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができる。また、HCやCO等の有害ガスの排出を十分に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の排ガス浄化装置の一実施形態を示す部分断面図であり、4気筒ディーゼルエンジンシステムを示している。図1に示すように、4気筒ディーゼルエンジンシステム2は、吸気装置3と、吸気装置3で吸気された空気と燃料とにより燃焼を起こして駆動力を発生させる希薄燃焼方式内燃機関4と、内燃機関4によって排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置6とを備えている。
吸気装置3は、吸気管8と、吸気管8に接続され吸気を行う第1過給器10と、第1過給器10に接続される吸入管12とを備えている。吸入管12には、吸入管12内の空気を冷却して高密度化するインタークーラ15が設置されている。
内燃機関4は、吸入管12に接続されるシリンダブロック収容部14を備えている。シリンダブロック収容部14には、4本のシリンダ14aが形成されたシリンダブロック16が収容されており、シリンダブロック収容部14は、シリンダブロック16によって流入空気収容室18と、排ガス収容室20とに分けられている。シリンダブロック16には、各シリンダ14a内に燃料を噴射する燃料噴射ノズル22が設けられており、各燃料噴射ノズル22は、燃料を供給するコモンレール24に接続され、コモンレール24に供給される燃料が各燃料噴射ノズル22に供給されるようになっている。コモンレール24及び燃料噴射ノズル22によりコモンレール式燃料噴射装置が構成されている。なお、本実施形態は、ディーゼルエンジンシステム2に係るものであるため、燃料としては、軽油が用いられる。
またシリンダブロック16の一側には、流入空気収容室18内の空気を各シリンダ14aに吸入するためのインテークマニホールド26が設けられており、シリンダブロック16の他側には、シリンダ14a内の排ガスを排ガス収容室20に排出するためのエグゾーストマニホールド28が設けられている。
またシリンダブロック16の他側には、排ガス収容室20に燃料を添加する燃料添加ノズル21が設置されており、燃料添加ノズル21には、コモンレール24から燃料が供給されるようになっている。また燃料添加ノズル21には燃料添加弁(図示せず)が設置されている。そして、燃料添加弁の開閉により、燃料添加ノズル21から排ガス収容室20内に燃料を添加することが可能となっている。なお、燃料添加ノズル21及び燃料添加弁により燃料供給部が構成されている。
シリンダブロック収容部14には、排ガス収容室20と連通する第1排気管30が接続され、第1排気管30は、第2過給器32を介して第2排気管34に接続されている。そして、第2排気管34には、NOx吸蔵還元型触媒を収容する触媒収容部36が接続されている。ここで、NOx吸蔵還元型触媒としては、例えばγ型アルミナ等の多孔質酸化物担体に、Pt等の貴金属と、Ba、K、Li等のアルカリ金属やアルカリ土類金属あるいはアルカリ土類金属の酸化物を担持した触媒が用いられる。
なお、第1過給器10及び第2過給器32は隣り合って配置され、第2過給器32の回転軸と第1過給器10の回転軸とは、共通となっており、第1過給器10のタービンの回転に連動して第2過給器32のタービンが回転するようになっている。
第2排気管34には、第2過給器32の下流側に、第2排気管34内の排ガスに基づき空燃比(A/F)を検知する空燃比センサ38が設けられている。なお、空燃比センサ38は、燃料添加ノズル21の下流側に設けられている。これは、燃料添加ノズル21からの燃料供給量を空燃比センサ38により監視し、コントロールすることを考慮したものである。
また第2排気管34には、空燃比センサ38の下流側に、第2排気管34内に排ガスに対して液体を噴霧して導入する液体噴霧ノズル40が設置されており、液体噴霧ノズル40は、液体貯留タンク(図示しない)に接続されている。上記液体は、液体貯留タンクから液体噴霧ノズル40を経て第2排気管34内に導入することが可能である。ここで、上記液体としては、SOxの脱離性能、低コスト、安全性、取扱い容易性の点から、エタノールが好適に用いられる。なお、本実施形態では、上記液体噴霧ノズル40及び液体貯留タンクによって液体導入部が構成されている。また排ガス収容室20、第1排気管30及び第2排気管34によって排気部が構成されている。
第2排気管34は、第2過給器32に接続されるストレート部34aと、触媒収容部36に接続されるストレート部34bと、これらストレート部34a,34b間のコーナー部34cとから構成されている。そして、液体噴霧ノズル40は、コーナー部34cに設置され且つ液体の噴霧方向が触媒収容部36の方に向けられていることが好ましい。
液体噴霧ノズル40から噴射される液体の量は、空燃比センサ38で検知された空燃比に基づいて制御されるようになっており、コモンレール式燃料噴射装置によって各シリンダ14a内に噴射される燃料の量も、空燃比センサ38で検知された空燃比に基づいて制御されるようになっている。従って、各シリンダ14a内における空燃比が所望の値に制御されるようになっている。
なお、排ガス収容室20、燃料添加ノズル21、燃料添加弁、第1排気管30、第2過給器32、第2排気管34、空燃比センサ38、液体噴射ノズル40、液体貯留タンク、触媒収容部36及びNOx吸蔵還元型触媒によって排ガス浄化装置6が構成されている。
次に、上述したディーゼルエンジンシステム2を用いた排ガス浄化方法について説明する。
まず排ガス浄化方法の説明に先立って、ディーゼルエンジンシステム2の動作について説明する。第1過給器10が作動すると、強制的に吸気が行われる。このとき、空気は、吸気により吸気管8から第1過給器10を経て吸入管12に導入された後、インタークーラ15で冷却されて高密度化されてシリンダブロック収容部14内の流入空気収容室18内に流入される。そして、インテークマニホールド26を経てシリンダ14a内に導入される。
一方、コモンレール24に燃料が供給され、供給された燃料は、燃料噴射ノズル22から各シリンダ14a内に噴射される。このとき、シリンダ14a内で燃料と空気とが混合され燃焼が起こる。この燃焼により排ガスが発生する。ここで、排ガスの浄化は以下のようにして行われる。
燃焼により発生する排ガスは、シリンダ14aからエグゾーストマニホールド28を経て排ガス収容室20に排出される。このとき、第2過給器32を作動させる。すると、排ガス収容室20内の排ガスは、第1排気管30から第2過給器32を経て第2排気管34に導入され、触媒収容部36内に導入される。なお、本実施形態では、第1過給器10の作動に連動して第2過給器32も作動している。
そして、排ガスが、NOx吸蔵還元型触媒と接触する。これにより、排ガス中のNOxがNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵される。
NOx吸蔵還元型触媒にNOxを吸蔵させて一定時間経過した後は、燃料添加弁を開き、燃料添加ノズル21から噴射した燃料を排ガスに添加する。これにより、空燃比が低くなり、吸蔵されたNOxがNに還元される。こうして触媒収容部36で排ガスが浄化されて大気中に放出される。
こうして排ガスを浄化すると、排ガス中にSOxが含まれている場合には、時間の経過と共にNOx吸蔵還元型触媒がSOxで被毒され、排ガスからのNOxの除去能力が低下してくる。
そこで、エンジン始動から一定時間経過した後、NOx吸蔵還元型触媒につき再生処理を行う。本実施形態では、液体噴霧ノズル40から液体を噴霧して導入する。このとき、第2排気管34を排ガスが流れているため、排ガスに対し液体が添加されることになる(液体添加工程)。このような液体としては、上述したようにエタノールを用いる。
このとき、排ガスは内燃機関4から排出されるため、一般に高温となっており、液体はこの排ガスによって気化され、気化された液体によって、NOx吸蔵還元型触媒からSOxが効率よく脱離される。このため、SOxの被毒により活性が低下したNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができる。この理由は明らかではないが、エタノールのように、分子中に酸素原子を含む液体が、HCやCO等に比べてSOxの脱離能力に優れているためではないかと考えられる。
またエタノールを用いることにより、NOx吸蔵還元型触媒をHCやCO等の有害ガスが通過することが十分に防止される。つまり、排ガス浄化装置6からの有害ガスの排出が十分に抑制される。この理由も明らかではないが、エタノールが燃料と比べてSOxの還元で消費される量が多いこと、及び消費されなかったエタノールが排ガス中のHOと反応してHとCOになることによるのではないかと考えられる。
更に、NOx吸蔵還元型触媒の再生処理時にエタノールを使用すると、再生処理に使う燃料の消費量を低減できるため、燃費を向上させることも可能である。
NOx吸蔵還元型触媒につき再生処理を行う場合、上記液体の導入流量は、排ガスの流量に対して0.01〜10%であることが好ましい。0.01%未満では0.01%以上である場合に比べて、被毒したSOxが十分に離脱しなくなる傾向があり、10%を超えると、10%以下である場合に比べて、上記液体がそのまま排ガス浄化装置から排出される傾向がある。
NOx吸蔵還元型触媒につき再生処理を行う場合には、NOx吸蔵還元型触媒を加熱することが好ましい。これにより、NOx吸蔵還元型触媒からのSOxの脱離を促進することができる。ここで、NOx吸蔵還元型触媒は、550〜750℃の温度まで加熱することがより好ましい。550℃未満では550℃以上である場合に比べて、被毒したSOxが十分に離脱しない傾向があり、750℃を超えると、750℃以下の場合に比べてNOx吸蔵還元型触媒が熱劣化により性能低下する傾向がある。
またNOx吸蔵還元型触媒につき再生処理を行う場合には、エタノールの添加時に、燃料添加弁を開き、燃料添加ノズル21から燃料を添加することが好ましい。この場合、燃料添加ノズル21により、希薄燃焼方式内燃機関4で使用している燃料と同じ燃料を供給することが可能となる。この燃料は一般に、NOx吸蔵還元型触媒を被毒したSOxを還元する能力は低いものの、排ガス中の酸素と反応し、酸素を消費するので酸素によるエタノールの消費を低減することができる。このため、排ガスに対し、エタノールのほかに燃料をも供給することで、エタノールの添加量を低減することができる。このため、液体貯留タンクを低容量とすることができ、排ガス浄化装置6を自動車に搭載した場合、導入液体の一回の充填で長距離走行が可能となる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、液体噴霧ノズル40は、第2排気管34において、NOx吸蔵還元型触媒を収容する触媒収容部18の上流位置に設置されているが、液体噴霧ノズル40は、第2排気管34に限らず、第1排気管30又は排ガス収容室20に設置されても構わない。もっとも、液体の添加が空燃比に影響を与えない方が望ましいことを考えると、液体噴霧ノズル40は、上記実施形態のように、第2排気管34内であって空燃比センサ38と触媒収容部36入口との間の部分に設置されることが好適である。
また上記実施形態では、NOx吸蔵還元型触媒の再生処理時に第2排気管34内に導入する液体としてエタノールを用いているが、上記液体は、エタノールに限らず、メタノール、プロパノール、ブタノール等の他のアルコールでも構わない。これらを用いても、エタノールを用いた場合と同様の効果が得られる。また上記液体としては、アルコールのほか、エーテル、アルデヒド又はケトンであっても構わないし、これらを2種以上組み合わせたものであっても構わない。
また上記実施形態では、燃料添加ノズル21は、排ガス収容室20内であってエグゾーストマニホールド28の外側に設置されているが、エグゾーストマニホールド28の内側に設置されてもよい。また燃料添加ノズル21は、排ガス収容室20に限らず、第1排気管30又は第2排気管34に設置することも可能である。燃料添加ノズル21を第2排気管34に設置する場合は、液体噴霧ノズル40より上流側であっても下流側であってもよい。
更に上記実施形態では、排ガス浄化装置がディーゼルエンジンシステム2に適用されているが、本発明の排ガス浄化装置は、ガソリンエンジンに適用することも可能である。この場合でも、排ガス中のSOxにより被毒されたNOx吸蔵還元型触媒を十分に再活性化することができる。また、NOx吸蔵還元型触媒をHCやCO等の有害ガスが通過することを十分に防止できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
γ−アルミナ粉末(比表面積220m/g)100g、チタニアジルコニア固溶体粉末(比表面積100m/g)100g、セリア粉末(比表面積30m/g)20g、1重量%のRhを担持したジルコニア(比表面積80m/g)50g、アルミナゾルバインダ(固形分8.95重量%)136gおよびイオン交換水300gを混合し、ボールミルを用いて粒度10μm以下になるまで粉砕しスラリーを得た。得られたスラリーを、体積2000cmのコージェライト製ハニカムモノリス基材に、基材体積1000cm当たり150gの割合でコーティングした後、500℃で3時間焼成した。その後、所定濃度のPt(NO(NH水溶液中に含浸させ、300℃で3時間焼成することによりPtを担持させた。Pt担持量は基材体積1000cm当たり1.5gとした。さらにその後、所定濃度の酢酸リチウム、酢酸バリウムおよび酢酸カリウムの混合水溶液に含浸させて、300℃で3時間焼成することによりBa、K、およびLiを担持させた。Ba、K、およびLiの担持量は基材体積1000cmあたり0.3mol、0.05molおよび、0.025molとした。こうしてNOx吸蔵還元型触媒を得た。
NOx吸蔵還元型触媒を、図1に示す過給器付きディーゼルエンジンシステムの触媒収容部に充填し、触媒収容部に触媒床を形成した。また、第2排気管の途中であって触媒収容部の入口から0.8mの位置に、エタノールを一定流速で添加する加圧噴霧ノズルを設置した。この加圧噴霧ノズルには、液体貯留タンクを接続した。なお、ディーゼルエンジンシステムにおいては、総排気量を2.0リットルとし、シリンダ数を4本とした。
はじめに、ディーゼルエンジンシステムを通常走行時と同様の条件で運転させた。即ち、ディーゼルエンジンシステムにおいて、空燃比約35で30秒間運転させる工程と空燃比12で3秒間運転させる工程とを交互に繰り返した。このとき、空燃比の制御は、空燃比センサを用いて行った。こうして走行距離約100km相当までディーゼルエンジンを運転した。このとき平均運転条件は、回転数1500rpm、トルク60Nmとした。
その後、以下のようにしてNOx吸蔵還元型触媒の再生処理(1回目)を行った。すなわち、ディーゼルエンジン気筒内のマルチ噴射、および燃料供給部から排気管への燃料供給により、空燃比14で触媒床温度を600℃まで昇温し、そこへエタノールを7.5ml/分で添加し、10分間保持した。このときのディーゼルエンジンシステムの運転条件は、回転数2000rpm、トルク25Nmとした。またエタノール添加量は排ガス流量の約0.5%に相当する量であった。
その後、通常走行、再生処理(2回目)、通常走行の順に繰り返した。通常走行は上記と同様にして行い、2回目の再生処理は1回目と同様にして行った。
(実施例2)
再生処理時に、空燃比を16とし、エタノールを15ml/分で添加したこと以外は、実施例1と同様にしてディーゼルエンジンシステムから排出される排ガスの浄化処理を行った。このとき、消費される燃料の容量とエタノールの容量の合計は、実施例1の燃料の容量とエタノールの容量の合計とほぼ同じである。
(比較例1)
再生処理時に、空燃比を13とし、エタノールは添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジンシステムから排出される排ガスの浄化処理を行った。このとき、消費される燃料の容量は、実施例1で用いた燃料の容量とエタノールの容量との合計とほぼ同じである。
(硫黄酸化物離脱性)
1回目と2回目の再生処理時の実施例1と2および比較例1のNOx吸蔵還元型触媒からのSOx脱離量を以下のようにして測定した。即ち、再生処理時の触媒からの出ガス中に含まれるSOx濃度をSOx分析計を用いて測定し、再生処理の10分間で測定したSOx濃度を積算して求めた。結果を図2に示す。
図2に示すように、1回目と2回目ともに、実施例1及び実施例2のSOx脱離量はそれぞれ、比較例1のSOx脱離量よりも約2.0倍、約2.5倍多かった。このことから、再生処理時にエタノールを添加すると、SOx脱離性が大幅に向上することがわかった。
(HCとCOの排出量)
また、2回目の再生処理時の実施例1、実施例2および比較例1のNOx吸蔵還元型触媒からの排ガス中のHCとCOの濃度を以下のようにして測定した。即ち、再生処理時の触媒からの出ガス中のHC濃度とCO濃度をHC分析計とCO分析計を用いて測定し、再生処理の10分間で測定したHC濃度とCO濃度をそれぞれ積算して求めた。結果を図3に示す。
図3に示すように、実施例1と実施例2の排ガス中のHCとCOの濃度は、比較例1のものより低かった。エタノールは、燃料であるHCと比べて、SOxの還元で消費される量が多かったため、そして、消費されなかったエタノールが排ガス中のHOと反応して、HとCOになったためではないかと考えられる。
(NOx浄化活性)
1回目と2回目の再生処理後の走行時の実施例1、実施例2および比較例1の排ガス浄化方法によるNOx浄化率を以下のようにして測定した。即ち、空燃比35で30秒間と空燃比12で3秒間を繰り返した場合の、触媒への入ガス中のNOx濃度の時間平均値と触媒からの出ガス中のNOx濃度の時間平均値から算出した。結果を図4に示す。なお、このときの触媒床温度はいずれの場合も約300℃であった。
図4に示すように、1回目と2回目ともに、実施例1と実施例2のNOx浄化率はそれぞれ、比較例1より約1.7倍、約2.0倍高かった。このことから、再生処理時にエタノールを添加すると、NOx吸蔵還元型触媒を高効率で再生できることがわかった。これは、硫黄酸化物脱離性が向上したことによる結果と考えられる。
(エタノール消費量)
実施例1と実施例2の排ガス浄化方法では、約100km走行相当の運転をするごとに、エタノールを7.5ml/分と15ml/分で10分間添加している。例えば、エタノールを10リットル搭載すると、実施例1及び実施例2ではそれぞれ、約13000km、約6600kmの走行中の再生処理を行うことが可能であり、この試算から再生処理のためのエタノール添加が十分実現可能であることがわかった。
本発明による排ガス処理装置の一実施形態を示す模式構成図である。 実施例1、2及び比較例1の再生処理時のSOx脱離量を示すグラフである。 実施例1、2及び比較例1の再生処理時の排ガス中のHC濃度とCO濃度を示すグラフである。 実施例1、2及び比較例1の再生処理後のNOx浄化率を示すグラフである。
符号の説明
4…希薄燃焼方式内燃機関、6…排ガス浄化装置、14…シリンダブロック収容部(希薄燃焼方式内燃機関)、14a…シリンダ(希薄燃焼方式内燃機関)、20…排ガス収容室(排気部)、21…燃料添加ノズル(燃料供給部)、22…燃料噴射ノズル(希薄燃焼方式内燃機関)、30…第1排気管(排気部)、32…第2過給器(排ガス浄化装置)、34…第2排気管(排気部)、36…触媒収容部、38…空燃比センサ(排ガス浄化装置)、40…液体噴霧ノズル(液体導入部)。

Claims (4)

  1. 希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスを流通させる排気部と、
    前記排気部の下流側に接続され、NOx吸蔵還元型触媒を収容する触媒収容部とを備える排ガス浄化装置において、
    前記排気部に設けられ、エーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体を前記排気部に導入する液体導入部を備えることを特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 前記排気部に設けられ、前記希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料を前記排気部に供給する燃料供給部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化装置。
  3. 希薄燃焼方式内燃機関から排出される排ガスを、NOx吸蔵還元型触媒と接触させることにより浄化する排ガス浄化方法において、
    前記排ガスに対してエーテル、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む液体を添加する液体添加工程を含むことを特徴とする排ガス浄化方法。
  4. 前記液体添加工程において、前記排ガスに対して、さらに前記希薄燃焼方式内燃機関で使用可能な燃料を供給することを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化方法。
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