JP2005330311A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 目的とする幅に裁断したときに、その最断されたエッジ部を、データの読み書きの基準として用いても、問題を起こすことのない二軸配向ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】 長手方向の弾性率EMD(GPa)が6.0GPa以上で、幅方向の弾性率ETD(GPa)が4.0GPa以上、かつEMDがETDと同じかそれよりも大きく、フィルムを構成するポリエステルの重量平均分子量が26000〜38000の範囲およびフィルムの厚みが2〜10μmの範囲にある二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、特に製膜方向に弾性率が高く、優れたスリット性を有する磁気記録媒体のベースフィルムに適した二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムは、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、表面特性、光学特性、また、耐熱性、耐薬品性などの性質を利用して、磁気記録媒体用、コンデンサー用、包装用など種々の用途に幅広く用いられている。
これらの用途に用いられるフィルムは通常その用途に応じた幅に裁断される。この裁断時に切り粉が生じたりすることを防ぐ技術として特開昭63−251221などが知られている。裁断時の問題を解決する手法としては特開昭63−95933などの技術が知られている。また、フィルムを裁断する際にカッターの周囲の温度を20℃以下の低温にして裁断するなどことにより対処してきた。
しかしながら、これらの用途製品の高品質化、コンパクト化などのニーズにしたがい、ポリエステルフィルムに対する要求特性もますます厳しくなってきている。上記の各用途の中でも、特に、磁気記録媒体用途では、高品質化とともに、長時間記録化、コンパクト化にともないベースフィルムは厚みが10μm以下というように薄膜化されてきている。
そして、これらのフィルムを、シェアーカッターなどを用いて裁断し、巻き取っていく時に、フィルムエッジが裁断面にそって盛り上がる「ハイエッジ」と呼ばれる現象が発生するという問題があった。このハイエッジが生じたままフィルムを巻き取っていくと、フィルムのエッジ部分のみが伸びてしまい、例えば、表面に磁性層を設けて磁気テープとしたような場合には、平面性が損なわれ、RF出力波形に乱れを生じたりする。この問題を解決するために、フィルムを構成するポリエステルの数平均分子量や固有粘度を特定の範囲にすることが、特開平7−6351号公報(特許文献1)や特開平10−214415号公報(特許文献2)で提案されている。
ところで、このハイエッジと言う問題は、特許文献2にも記載されているように、長手方向に比べて、幅方向の剛性を極めて高めたときに発生する、すなわち幅方向の合成が高いフィルム特有の問題であった。そのため、幅方向に比べて長手方向の剛性が同じかより高いフィルムにはもともとハイエッジという問題は存在せず、良好に使用されてきた。
特開平7−6351号公報 特開平10−214415号公報
ところが、近年の記録密度を高密度化した、例えばデータストレージなどに用いるフィルムでは、フィルムのエッジ部分の位置がデータを読み書きする際に基準とされることから、フィルムのエッジ部分の平面性を損なう「ハイエッジ」のような異常がないだけでは不十分で、さらにフィルムの裁断部分の形状も要求されるようになってきて、幅方向に比べて長手方向の剛性が同じかより高めたフィルムでも、十分な対応が取れなくなってきていた。
したがって、本発明の目的は、目的とする幅に裁断したときに、その最断されたエッジ部を、データの読み書きの基準として用いても、問題を起こすことのない二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
かくして本発明によれば、本発明の目的は、 長手方向の弾性率EMD(GPa)が6.0GPa以上で、幅方向の弾性率ETD(GPa)が4.0GPa以上でかつEMDがETDと同じかそれよりも大きく、フィルムを構成するポリエステルの重量平均分子量が26000〜38000の範囲およびフィルムの厚みが2〜10μmの範囲にある二軸配向ポリエステルフィルムによって達成され、またその好ましい態様として、ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレートであること、少なくとも一方のフィルム表面の中心線表面粗さが10nm以下であることおよび磁気記録媒体のベースフィルムに用いることの少なくともいずれかを具備する二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
上述の通り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向の弾性率が6.0GPa以上で、フィルムの長手方向および厚み方向に直交する方向の弾性率が4.0GPa以上、かつフィルムの長手方向の弾性率はフィルムの長手方向および厚み方向に直交する方向の弾性率と同じかそれよりも大きく、フィルムを構成するポリエステルの重量平均分子量が26000〜38000の範囲およびフィルムの厚みが2〜10μmの範囲である。なお、説明の便宜上、“フィルムの長手方向”を、製膜方向、縦方向、MD方向またはMD、“フィルムの長手方向および厚み方向に直交する方向”を、幅方向、横方向、TD方向またはTD、“弾性率”をヤング率、“長手方向の弾性率”をEMD、“幅方向の弾性率”をETD、“表面粗さ”をRa、“重量平均分子量”をMwと称することがある。
まず、EMDが下限未満であると、磁気テープの縦方向強度が弱くなり、記録・再生時に長手方向に強い力がかかると、容易に破断したり、伸びてしまう。一方、ETDが下限未満であると、リニアトラック方式の磁気テープとした場合、温湿度変化時の幅方向の寸法変化が大きくなり、トラックずれによる記録・再生のエラーが発生してしまう。好ましいEMDは、7GPa以上、さらに8GPa以上である。また、好ましいETDは、5GPa以上、さらに6GPa以上である。
また、リニアトラック方式の磁気テープ用として供したときの長手方向の伸びを少なくする点から、EMDはETDと同じかより大きいことが必要である。EMDはETDよりも1GPa以上、さらに2GPa以上、特に3GPa以上大きいことが、ハイエッジの問題を解消しつつ、さらに分子鎖が長手方向により配向して、長手方向、すなわち製膜方向のスリット性を向上できることから好ましい。
なお、EMDとETDの和は、10〜22GPa 、さらには12〜20GPaであることが好ましい。EMDとETDの和が下限未満であると、磁気テープの強度が弱くなり、テープが容易に破断したり、また温湿度変化時の寸法変化が大きくなり、トラックずれによる記録・再生のエラーが発生しやすくなり、一方、上限を超えると、フィルム製膜時、延伸倍率が高くなり、フィルム破断が多発し、製品歩留りが著しく悪くなる。
さらに、フィルムを構成するポリエステルのMwが、上限を超えると、長手方向に剛性が向上させられたフィルムであることからハイエッジのような異常は発生しないものの、切断面がフィルムの幅方向に向かって膨らみ、データを読み書きする際の基準としては不十分なものとなってしまう。一方、下限を下回ると、十分な力学特性が得られず、製膜が困難になる。好ましいMwは、29000〜35000の範囲、さらに31000〜34000の範囲である。
最後に、フィルムの厚みが上限を超えると、磁気記録媒体としたときに、カートリッジ内に納めることができる磁気記録媒体の磁性層の表面積が減少し、十分な記録容量が得られなくなる。一方、フィルムの厚みが下限を下回ると、磁気テープとして記録・再生したときに、長手方向に強い力がかかると、容易に破断したり、伸びてしまう。
本発明によれば、EMDが6GPa以上、ETDが4GPa以上およびEMDがETDと同じかそれよりも大きく、かつフィルムを構成するポリエステルのMwが26000〜38000の範囲にある二軸配向ポリエステルフィルムであることによって、寸法安定性に優れながらもスリット性をも兼備する磁気記録媒体用支持体が提供される。
そして、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとして磁気記録媒体に用いると、トラックずれによるエラーレートの発生がなく、出力特性に優れ、長時間使用に耐えるデジタルデータストレージテープとして有用な磁気記録媒体を得ることができる。
以下、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体について説明する。
<ポリエステル>
本発明におけるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレート、ポリエチレン―α、β―ビス(2―クロルフェノキシ)エタン―4,4′―ジカルボキシレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、繰返し単位が、他の第3成分に変更された共重合体でも、ブレンド体であってもよい。これらポリエステルの中でも、強度を比較的高く発現させやすいことから、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレン―2,6―ナフタレート(以下、PENと称することがある。)が好ましく、特に高強度化という観点から、PENが最も好ましい。もちろん、ここでいうPENは、単独でも、他のポリエステルとの共重合体や、2種以上のポリエステルの混合体であってもかまわない。具体的には、その繰返し構造単位が実質的にエチレン―2,6―ナフタレートのみならず、繰返し構造単位を基準として、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下が他の第3成分であるPEN共重合体及びポリマー混合物であってもよい。また、ポリエチレンテレフタレートにポリイミドなどの機能剤を添加して、強度を向上させたポリエチレンテレフタレートも好ましい。
該ポリエステルは、フィルムにしたときのMwが、前述の範囲に入るものであれば、特に制限されない。好ましくは、フィルムに製膜する前のポリエステルのMwが、28
000〜56000、さらに30000〜52000のポリエステルフィルムを用いるか、Mw34000〜56000のポリエステルと、Mw23000〜38000のポリエステルとを2種類併用することなどが挙げられる。フィルムに製膜する前のポリエステルのMwが過度に高いと、製膜時に過剰に熱分解を惹き起こさなくては、フィルムでのMwが前述の範囲まで低下せず、他方、フィルムに製膜する前のポリエステルのMwが過度に低いと、製膜時の熱分解によって、フィルムでのMwが前述の範囲よりも小さくなりやすい。
本発明で使用するポリエステルは、特にその製法を限定されず、それ自体公知の方法を任意に採用することができる。例えば、ポリエチレン―2,6―ナフタレートの場合酸成分のエステル形成性誘導体、例えば、ジ低級アルキル―2,6―ナフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させてから重縮合反応させることで製造でき、通常これらの反応は触媒の存在下で反応させる。
本発明で使用するポリエステルには、製膜時のフィルムの巻取り性や、フィルムの搬送性等を良くするため、滑剤として有機又は無機の不活性粒子を含有させてもよい。
<ポリエステルフィルム>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前述の通り、少なくとも一方の表面、すなわち磁性層が形成される側の表面粗さ(Ra)が0.1〜10nm、さらに1〜9nm、特に2〜8nmの範囲にあることが好ましい。該表面粗さ(Ra)が、上限を超えると、磁気テープとしたとき磁性層面が粗化し、電磁変換特性が低下しやすく、他方下限未満だと巻取り性が難しくなる。
このような表面粗さ(Ra)は、フィルムを構成するポリエステルに、不活性微粒子を含有させたり、微細凹凸を形成する表面処理例えば易滑塗剤のコーティング処理によって調整することができる。不活性粒子としては、例えば周期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する無機微粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン等の如き耐熱性の高い高分子よりなる微粒子などが挙げられる。不活性粒子をフィルムを構成するポリエステルに含有させる場合、粒子の平均粒径は0.05〜1.0μm、更には0.1〜0.8μmであることが好ましく、また添加量は、不活性粒子が添加されるポリエステルの重量を基準として、0.05〜0.5重量%(対ポリマー)、さらには0.1〜0.3重量%(対ポリマー)であることが好ましい。また、平均粒径の異なる2種類以上の不活性粒子を用いてもよい。
また、前記ポリエステルフィルムの他方の表面、すなわち磁性層が形成されない側の表面は、表面粗さ(Ra)が3〜30nm、更には5〜15nmの範囲であることが好ましい。Raが下限未満であると、フィルム製造時の巻取り性が悪く、巻き姿の良い製品を得ることが困難である。また、Raが上限を超えると磁性面の粗さに影響し、電磁変換特性が低下するので好ましくない。このような表面粗さは、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの表面粗さを前述の磁性層側表面と他方の表面の両方を満足する範囲にすることや、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに不活性粒子を含有する塗膜層や別のポリエステルフィルムを積層したりすることで達成できる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向の湿度膨張係数(以下、αh渡渉することがある。)が0〜15ppm/%RH、さらに3〜10ppm/%RHであることが好ましい。αhが、上記範囲を外れると、湿度変化による寸法変化が大きくなり、トラックずれが発生してエラーとなる。このような湿度膨張係数は、幅方向の弾性率を高めることなどによって調整できる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向の温度膨張係数(以下、αtと称することがある。)が−10〜10ppm/℃であることが好ましい。αtが−10ppm/℃より小さい、または10ppm/℃より大きいと、温度変化による寸法変化が大きくなり、温度が変化したときにトラックずれが発生し、エラーとなる。このようなαtは、ヤング率を上記範囲内にしつつ、熱固定処理によって熱寸法安定性を付与することなどによって調整できる。
<製造方法>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば以下のような方法で製造することができる。まず、前述のフィルムに製膜する前の重量平均分子量を有するようなポリエステルペレットを、要すれば高濃度の不活性粒子を含有するポリエステルペレットをさらに混合し、乾燥後、溶融温度280℃〜330℃で押出し機よりTダイを経て押出し、冷却ドラム上に流延し冷却固化して未延伸フィルムを作成する。ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィルムの場合、この未延伸フィルムを縦方向に100〜170℃の温度で5〜8倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向、すなわち幅方向に115〜180℃の温度で4〜7倍の倍率で延伸する。または必要に応じて縦また横方向の延伸を2段階以上に分割実施してもよい(縦多段延伸、縦−横−縦の3段延伸、縦−横−縦−横の4段延伸等)。また同時二軸延伸にて実施してもよい。このようにして全延伸倍率は、面積延伸倍率として10〜60倍、更には20〜50倍が好ましい。この際、ポリエステルフィルムによるスリット性向上効果を発現させるため、縦方向の延伸倍率から横方向の延伸倍率を差し引いた値は0.5倍以上あることが好ましい。また二軸配向フィルムは180〜250℃の温度で熱固定することが好ましく、更には200〜230℃で熱固定するのが好ましく、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
なお、二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合は、2台の押出し機を用い、2層またはそれ以上の層を押出せる多層ダイから未延伸フィルムを押出せばよく、その後の工程は、上記と同様な操作を繰り返せばよい。また、塗膜層を形成する場合は、前記した未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を、それ自体公知の方法で塗布することが好ましく例示できる。
<磁気記録媒体>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、寸法安定性に必要な弾性率を有しながら、しかも優れたスリット性も兼備することから、高密度磁気記録媒体、特にディジタル記録型磁気機記録媒体のベースフィルムとして好ましく用いられる。
本発明の磁気記録媒体は、上記本発明の支持体の片側表面(積層の場合は平坦側表面)に、磁性層を塗布、あるいは真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に磁性層と反対側の表面にバックコート層を設けることにより、形成される。
このようにして得られた磁気記録媒体は、優れた寸法安定性とスリット性を有することから、テープの高容量化を実現するために、線記録密度のアップ、トラック密度のアップ、テープの長尺化がなされている、特にQIC、DLT、更に高容量のスーパーDLT、LTOなどのリニアトラック方式を採用するデータストレージ用途に好適に使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに説明する。尚、本発明における種々の物性値及び特性は、以下のようにして測定されたものであり、かつ定義される。
(1)ヤング率
東洋ボールドウイン(株)の引張試験機「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に調節された室内において、フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分で引張り、得られる荷重―伸び曲線の立ち上り部の接線よりヤング率を計算する。
(2)表面粗さ(Ra)
小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(サーフコーダ30C)を用いて針の半径2μm、触針用30mgの条件下でチャート(フィルム表面粗さ曲線)をかかせる。フィルム表面粗さ曲線から、その中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、次式で与えられるRa(μm)をフィルム平均粗さとして定義する。
Figure 2005330311
本発明では、測定長を1.25mmとし、カットオフ値を0.08mmとして、5回測定した平均値をRaとする。
(3)不活性粒子の平均粒径
島津製作所製CP―50型セントリフュグルパーティクルサイズアナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線をもとに算出する各粒径の粒径とその存在量との累積曲線から、50マスパーセント(mass percent)に相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とする。
(4)温度膨張係数(αt)
フィルムサンプルを幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温し、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が試料の長手方向であり、10回測定し、その平均値を用いた。
Figure 2005330311
ここで、L40:40℃のときのサンプル長(mm)
60:60℃のときのサンプル長(mm)
△T:20(=60−40)℃
0.5×10−6:石英ガラスの温度膨張係数である。
(5)湿度膨張係数(αh)
フィルムサンプルを幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の雰囲気下で、窒素雰囲気下から、湿度30%RH、および湿度70%RHの一定に保ち、その時のサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が試料の長手方向であり、10個の試料について行い、その平均値をαhとした。
Figure 2005330311
ここで、L30:30%RHのときのサンプル長(mm)
70:70%RHのときのサンプル長(mm)
△H:40(=70−30)%RHである。
(6)トラックずれ(エラーレート)
ヒューレットパッカード社製、LTO1のドライブを用いて、10℃、10%RHの温湿度下で記録した後30℃、80%RHの温湿度下で再生し、温湿度変化による磁気テープの磁気ヘッドに対するトラックずれ幅を測定し、以下の基準で評価した。
◎:800nm以下
○:800nmを超え1200nm以下
×:1200nmを超える。
これらのずれ幅の絶対値が少ないほど良好であることを示す。
(7)ポリエステルフィルムの厚み
フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。
(8)スリット性
二軸配向ポリエステルフィルムをシェアカッターを用いて、製膜方向に裁断し、フィルムの製膜方向から走査型電子顕微鏡で裁断面を観察し、以下のとおり評価した。
A.ハイエッジ
フィルムの厚み方向に、フィルム表面から突き出した高さ(H)を10点測定し、その平均値を以下の基準で評価した。
◎:0.1μm以下
○:0.1μmを超え、0.2μm以下
×:0.2μm以上
B.端面形状
フィルムの幅方向に、フィルムのシェアカッターによる切断開始点よりも突き出した幅(p)高さを10点測定し、その平均値を、以下の基準で評価した。
◎:フィルムの厚み(t)に対して、10%以下
○:フィルムの厚み(t)に対して、10%を超え15%以下
×:フィルムの厚み(t)に対して、15%を超える
(9)重量平均分子量
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノールとオルソクロロフェノールの混合溶媒を用い、さらに移動相としてクロロホルムを用いて、GPCにて測定した。
[実施例1]
平均粒径0.5μmのシリコーン粒子を0.02重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.30重量%含有した、重量平均分子量30000のポリエチレン―2,6―ナフタレート(以下、PENと称することがある。)と重量平均分子量45000のPENとの、重量比50:50の樹脂組成物1を、180℃で5時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、300℃で溶融し、T型押出ダイを用いて、表面仕上げ0.3S、表面温度60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめて、未延伸フィルムを得た。
このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より830℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して5.4倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、125℃にて横方向に4.8倍延伸した。さらに引き続いて225℃で3秒間熱固定し、厚み6μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムのヤング率は縦方向8GPa、横方向7GPaであった。
一方、下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性塗料とした。
磁性塗料の組成:
針状Fe粒子 100重量部
塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体 15重量部
(積水化学製エスレック7A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部
酸化クロム 5重量部
カーボンブラック 5重量部
レシチン 2重量部
脂肪酸エステル 1重量部
トルエン 50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
シクロヘキサノン 50重量部
この磁性塗料を上述のポリエチレン―2,6―ナフタレートフイルムの片面に乾燥後の塗布厚さ0.5μmとなるように塗布し、次いで2500ガウスの直流磁場中で配向処理を実施し、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー処理(線圧200kg/cm、温度80℃)をして巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン中に3日間放置した。
さらに下記組成のバックコート層塗料を、磁性層を形成していない側の表面に、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し、乾燥させ、さらに6.35mm(=1′/4)に裁断し、磁気テープを得た。
バックコート層塗料の組成:
カーボンブラック 100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部
イソシアネート化合物 18重量部
(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル 0.5重量部
メチルエチルケトン 250重量部
トルエン 50重量部
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例2]
樹脂組成物1を、平均粒径0.1μmのシリカ粒子を0.1重量%含有した、重量平均分子量30000のPENと重量平均分子量45000のPENとの、重量比25:75の樹脂組成物2に変更し、かつ延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例3]
樹脂組成物1を、平均粒径0.5μmのシリコーン粒子を0.02重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.30重量%含有した、重量平均分子量30000のPENと重量平均分子量45000のPENとの、重量比10:90の樹脂組成物3に変更し、かつ延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例1]
樹脂組成物1を、平均粒径0.5μmのシリコーン粒子を0.02重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.30重量%含有した、重量平均分子量45000のPENの樹脂組成物4に変更し、かつ延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例2]
樹脂組成物1を、平均粒径0.5μmのシリコーン粒子を0.02重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.30重量%含有した、重量平均分子量27000のPENの樹脂組成物5に変更し、かつ延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例3および4]
延伸倍率を変更した以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。
Figure 2005330311

Claims (5)

  1. 長手方向の弾性率EMDが6.0GPa以上で、幅方向の弾性率ETDが4.0GPa以上でかつEMDがETDと同じかそれよりも大きく、フィルムを構成するポリエステルの重量平均分子量が26000〜38000の範囲およびフィルムの厚みが2〜10μmの範囲にあることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 少なくとも一方のフィルム表面の中心線表面粗さが10nm以下である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 磁気記録媒体のベースフィルムに用いることを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルムとその片面に積層された磁性層とからなる磁気記録媒体。
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