JP2005329585A - 積層シート、被覆構造、並びに、積層シートの製造方法 - Google Patents

積層シート、被覆構造、並びに、積層シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 廃棄物の燃焼の際などに有毒ガスが発生しにくい脱塩素系の材料を用いており、摩耗性や柔軟性に優れる積層シートを提供する。
【解決手段】 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとオレフィン系熱可塑性エラストマーとを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形した主層13と、繊維により構成された基材層10とを積層した積層シート1である。また、ポリウレタン系熱可塑性材料の硬さは前記オレフィン系熱可塑性材料よりも硬い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、物品などの表面に貼って物品の被覆に使用される積層シートや、シートを用いて被覆された被覆構造に関するものである。
従来より、家具、自動車用内装材、音響器材料、装丁材、靴、鞄、袋、玩具、文房具、あるいはその他雑貨類などの物品に合成樹脂などで製作されたシートが用いられている。
このようなシートは通常積層シートが用いられている。そして、この積層シートの構造は、繊維を用いた布地である基材層に樹脂シートなどを重ね合わせて積層されている。さらに、樹脂シートの一部を発泡シートからなる発泡層を設けて、風合いなどを向上させている。
また、樹脂シートの材質としては、成形性や柔軟性などの理由により成形しやすく可塑剤による可塑化が容易な塩化ビニル樹脂が用いられていた。
物品の表面にシートを設ける場合に、物品の製作後に縫製によって貼り付けたり、樹脂製の物品の成形の際に金型内に樹脂製のシートを配置して成形し、この樹脂製のシートが表面となるように製作されたりしていた。
近年、環境問題やリサイクル問題などの観点から、塩素を含む材料の焼却の問題や、塩化ビニルに使用される可塑剤の有害性の問題などが指摘されるようになり、塩化ビニルに変わる材料が使用されてきている。
また、この出願の発明に関連する先行技術文献情報として次のものがある。
特開2002−96426号公報
特許文献1には、ポリプロプレン系樹脂と、ビニル芳香族と共役ジエンとの共重合体の水添物との混合物とを用いた層を有する積層体が開示されている。
上記特許文献1に開示された積層体は塩化ビニルを使用しないので、廃棄物の燃焼時などの際に有毒ガスを発生しにくいものであるが、塩化ビニルなどに比べると、耐摩耗性などの性能が低くなりがちであった。
また、耐摩耗性や外観の向上のため、表面にウレタン系などの液状樹脂を塗布・乾燥して表層を形成することがあったが、特許文献1の積層体の場合、表層が塗布される部分の材質は、上記したようにオレフィン系であるので密着しにくかった。
そこで、本発明は、廃棄物の燃焼の際などに有毒ガスが発生しにくい脱塩素系であり、摩耗性に優れる積層シート、及び、シートを用いて物品の被覆が行われるものである被覆構造を提供することを課題とする。
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形した主層と、繊維により構成された基材層とを積層するものであり、前記主層の成形は、所定の成形温度まで材料を加熱した状態で成形されるものであり、前記オレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して、軟らかく、かつ、前記成形温度での粘性が高いものであることを特徴とする積層シートである。
請求項1に記載の発明によれば、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形した主層を有しているので、焼却などによって塩素系のガスを発生させることが無く、ポリウレタン系熱可塑性材料よりも軟らかいオレフィン系熱可塑性材料を用いているので柔軟にすることができる。また、オレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して成形の際の粘性が高いので、オレフィン系熱可塑性材料が島状でポリウレタン系熱可塑性材料が海状となっているいわゆる海島構造となりやすく、表面にウレタン成分を露出させやすく、耐摩耗性能を向上させやすい。
請求項2に記載の発明は、主層の成形は、所定の成形温度まで材料を加熱した状態でカレンダー加工によって成形されるものであり、前記主層に用いる材料には炭化水素系オイルが添加されて、炭化水素系オイルによりオレフィン系熱可塑性材料を可塑化するものであり、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、主層に用いるポリウレタン系熱可塑性材料に対して、軟らかく、かつ、カレンダー加工の成形温度でのトルクが150〜1000%であることを特徴とする請求項1に記載の積層シートである。
ここで、炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料と、ポリウレタン系熱可塑性材料との軟らかさを比較する温度は、常温(25℃)である。
また、「成形温度でのトルク」とは、主層の成形温度における各材料(オレフィン系、ウレタン系)を、成形の温度まで加熱して溶融状態で測定されたトルクである。そして、このトルク測定は、一定量の成分を攪拌するのに要する単位時問当たりのエネルギー(仕事率)を測定するものであり、混練時の温度条件における粘性を確認することができる。
このトルク測定の具体的な方法としては、株式会社東洋精機製作所製のLABO PLASTOMILL(MODEL 30C150)を用い、可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料、及び、ポリウレタン系熱可塑性材料のそれぞれについて、主層の成形温度(例えば200℃)で混練し、混練開始後、5分経過してトルクが安定した状態におけるトルクを測定する。そして、これらの大きさを比較して行う。
また、炭化水素系オイルとは実質的に炭素原子と水素原子からなる分子によって構成され、常温常圧で揮発分が少ない液状のものである。炭化水素系オイルの例としては、パラフィンオイルがあり、このパラフィンオイルは、炭素の結合構造が鎖構造であるものを主成分とし、環状構造(ナフテン系、アロマ系)の成分が少ないものである。
請求項2に記載の発明によれば、主層にパラフィンオイルが添加され、パラフィンオイルがオレフィン系熱可塑性材料の可塑剤となるので、ジエステル油などの可塑剤などに対して比較的安全性の高いパラフィンオイルによりオレフィン系熱可塑性材料を柔軟にして、全体を柔軟にすることができる。
また、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して軟らかいので、積層シートの風合いがよい。すなわち、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料が前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して硬いと、主層が硬くなってしまうので、出来た製品の風合いが損なわれる。
さらに、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して、成形温度での溶融時のトルクが150〜1000%であるので、カレンダー加工が行いやすく耐摩耗性能に優れる。そして、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料のトルクが150%より小さいとオレフィン系熱可塑性材料が島状でポリウレタン系熱可塑性杖料が海状となっているいわゆる海島構造となりにくく、表面にウレタン成分を露出させにくく、耐摩耗性能が低下しやすい。また1000%より大きいとカレンダー加工時にカレンダーロール間で適切なバンクが出来ず、シートの厚み精度がでない。
請求項3に記載の発明は、主層に用いる材料は、ポリウレタン熱可塑性エラストマー100重量部に対しオレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルの混合物が20〜150重量部配合された材料であり、前記主層の成形にはカレンダー加工が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層シートである。
請求項3に記載の発明によれば、ポリウレタン熱可塑性エラストマー100重量部に対しオレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルの混合物が20〜150重量部配合されているので、主層の成形性がよく、積層シートの耐久性に優れる。
そして、オレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルの混合物が20重量部より少ないとカレンダー加工時にロールからのリリース性が悪くシートの厚み精度が出にくく、また、150重量部より多いと得られたシートの耐久性が低下してしまう。
請求項2、請求項3に記載の発明によれば、主層がカレンダー成形によって成形されているので、生産性がよい。
請求項4に記載の発明は、主層と基材層との間には、内部に発泡剤による空洞が設けられているシート状の発泡層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートである。
請求項4に記載の発明によれば、主層と基材層との間に、内部に発泡剤による空洞が設けられているシート状の発泡層が設けられているので、厚み方向に押しつけた場合に凹みやすく、感触がよい。
発泡層として熱可塑性材料を用いることができる(請求項5)。
また、発泡層としてオレフィン系熱可塑性材料を用いてもよい(請求項6)。さらに、この発泡層のオレフィン系熱可塑性材料と、主層に用いるオレフィン系熱可塑性材料とを同じ材料を用いることができる。
請求項7に記載の発明は、主層の内部状態は、オレフィン系熱可塑性材料は内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性材料がその隙間を埋める状態に存在するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートである。
この「オレフィン系熱可塑性材料は内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性材料がその隙間を埋める状態に存在」する状態は、いわゆる海島構造であり、オレフィン系熱可塑性材料が島状であり、ポリウレタン系熱可塑性材料が海状である。
請求項7に記載の発明によれば、主層の内部状態は、オレフィン系熱可塑性材料は内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性材料がその隙間を埋める状態に存在するものであるので、オレフィン系熱可塑性材料により全体を柔軟にしつつ、隙間を埋める状態に存在するポリウレタン系熱可塑性材料によって強度低下を減少させることができる。
また、オレフィン系熱可塑性材料が炭化水素系オイルにより可塑化されている場合には、ブリードアウトすることによる経時変化が小さい。これは、かかるオイルは、オレフィン系熱可塑性材料を可塑化しやすいが、ポリウレタン系熱可塑性材料は可塑化しにくい。そして、オレフィン系熱可塑性材料は、いわゆる島状に分散しているので、この島状の周りにはポリウレタン系熱可塑性材料が存在しているため、可塑剤が外部に移動しにくくなるからである。
請求項8に記載の発明は、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形し、前記シート状成形物を物品の表面に設けて被覆したものであり、前記オレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して軟らかく、かつ、成形の際の粘性が高いものであることを特徴とする被覆構造である。
請求項8に記載の発明によれば、ポリウレタン系熱可塑性材料と、ポリウレタン系熱可塑性材料よりも軟らかいオレフィン系熱可塑性材料を用いた混合物を溶融させてシート状に成形し、前記シート状成形物を物品の表面に設けて被覆したものであるので、かかる被覆を焼却などしても塩素系のガスを発生させることが無い。
上記した請求項1〜7のいずれかに記載の積層シートを、基材層側が物品側となるように、物品の表面に被覆することができる(請求項9)。
請求項10に記載の発明は、請求項2〜7のいずれかに記載の積層シートの製造方法であって、主層の成形の際には、ポリウレタン系熱可塑性材料、オレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルを混合して行われることを特徴とする積層シートの製造方法である。
請求項10に記載の発明によれば、ポリウレタン系熱可塑性材料、オレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルを混合することにより、炭化水素系オイルによってオレフィン系熱可塑性材料の可塑化が行われるので、製作しやすい。なお、炭化水素系オイルとしてパラフィンオイルを用いることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項4〜7のいずれかに記載の積層シートの製造方法であって、基材層上に発泡剤を含んだ熱可塑性材料を用いて発泡剤の発泡温度以下でカレンダー成形して未発泡状態で発泡層を積層する工程と、主層を積層して発泡温度以上に加熱して発泡層の発泡を行いながら表面のエンボス加工を行う工程とを有することを特徴とする積層シートの製造方法である。
ここで、エンボス加工とは、凹凸の有するロールの間にシートを通過させるなどして、シートの表面に所定の凹凸を形成させる加工のことであり、熱可塑性材料などの場合には加熱した状態で行われる。
請求項11に記載の発明によれば、主層を積層した状態で発泡温度以上に加熱して発泡層の発泡を行った直後に表面のエンボス加工を行う工程とを有するので、生産ラインの統合によって生産性の向上を図ることができる。
本発明によれば、廃棄物の燃焼の際などに有毒ガスが発生しにくい脱塩素系であり、摩耗性に優れる積層シートを提供することができる。
本発明の積層シート1は、図1に示されるような層構成であり、基材層10、プライマー層11、発泡層12、主層13及び表層14が設けられている。
基材層10は、繊維により構成された織物、不織布、編物などの布地や紙などを使用することができる。そして、基材層10により所定の強度が付与されて、例えば、物品に積層シート1を縫いつけて物品の被覆を行う場合に、積層シート1が縫い付け部分から引き裂かれることを防ぐことができる。
プライマー層11は、基材層10の接着性を高めるために用いられるものであり、基材層10の上に積層する材質によってプライマー層11の種類が選定される。通常、使用前は液状であり、化学反応や溶剤揮発などにより塗布後に流動性が失われるものが用いられる。
なお、基材層10とそれに積層される層との接着性が高い場合には、プライマー層11を省略することができる。
発泡層12は、内部に発泡剤によって形成された空洞12aを有する層である。そして、発泡層12によって、積層シート1に適度な弾力を持たせることができ、このため風合いが向上する。
発泡層12の材質は、どのようなものでも良いが、熱可塑性樹脂材料が加工性がよいので望ましい。また、この熱可塑性樹脂として、分子中にハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性エラストマーを使用することができる。さらに、単一の材料でもよく、また、複数の材料を混合してもよい。発泡層12の材質の具体的な種類として、オレフィン系の熱可塑性エラストマーやオレフィン系の熱可塑性エラストマーにポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどを混合させたものなどを用いることができる。
発泡層12を形成する際に、成形時に発泡させてもよく、また、シート状に成形した後に加熱して発泡してもよい。
主層13は、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を用いて成形された層である。そして、この混合物は熱可塑性であり、加熱して溶融状態で成形される。そして、ポリウレタン系熱可塑性材料及びオレフィン系熱可塑性材料は、分子中にハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性エラストマーが望ましい。
このオレフィン系熱可塑性材料の硬さは、ポリウレタン系熱可塑性材料よりも軟らかい。したがって、軟らかいオレフィン系熱可塑性材料を用いているので、主層13を軟らかくすることができる。なお、この場合の基準となる硬さは、後述する可塑剤を含んだ状態であり、用いられる材料を別々に成形して測定された値である。
主層13にオレフィン系熱可塑性材料を可塑化する可塑剤を混合し、主層13を軟らかくすることができる。この可塑剤として、炭化水素系オイルであるパラフィンオイルなどを用いることができる。したがって、環境問題や安全性に問題視されている、塩化ビニルの可塑剤などに用いられるジエステル油等を用いることなく所定の硬さに調整することができる。
また、オレフィン系熱可塑性材料、ポリウレタン系熱可塑性材料及び一方の材料に対して可塑化する可塑剤を混合して成形することができる。このような場合には、上記硬さの比較は、可塑剤とその可塑剤によって可塑化される材料に混合した状態の硬さで比較される。
例えば、後述する実施例では、オレフィン系熱可塑性材料と、ポリウレタン系熱可塑性材料と、可塑剤としてパラフィンオイルとを混合した材料が用いられるが、パラフィンオイルはオレフィン系熱可塑性材料を可塑化するものであり、硬さの比較は、オレフィン系熱可塑性材料とパラフィンオイルとが混合されたものと、ポリウレタン系熱可塑性材料とを比較される。
発泡層12や主層13の成形は、公知の成形方法を用いることができるが、熱可塑性材料であるので、押し出し成形やカレンダー成形を用いることができる。
カレンダー成形は、図3に示されるような構造の装置90などを用いて行うものであり、材料96を上部にセットし、複数本の加熱ロ−ル91で圧延して一定厚みのフィルム94を作る成形方法である。また、図3のように、所定のシートである基材93上に、カレンダー成形によって成形されたフィルム94を成形しながら積層体92とすることができる。
このように、カレンダー成形では、基材93とフィルム94との接着を、フィルム94が成形された直後の温度の高い状態で行うことができるので、上記した発泡層12や主層13をカレンダー成形する際に積層しながら接着して高強度とすることができる。
表層14は、耐摩耗性や外観の向上のため形成される層であり、具体的には、ウレタン系などの液状樹脂が用いられて、肌触りや、つやなどを向上させる。具体的な表層14の形成は、液状樹脂を表面に塗布し、乾燥して形成される。
また、主層13の成形温度において、可塑剤によって可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の粘性は、ポリウレタン系熱可塑性材料に比べて高い。このため、可塑剤によって可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は独立状に分散し、ポリウレタン系熱可塑性材料は可塑剤によって可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の隙間を埋める状態に存在するか、これに近い状態になっていると予想される。言い換えると、ポリウレタン系熱可塑性材料が海状で、可塑剤によって可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料が島状となるいわゆる海島構造となるか、これに近い状態になると想像される。なお、可塑剤を入れない場合でも、成形温度においてオレフィン系熱可塑性材料の粘性がポリウレタン系熱可塑性材料に比べて高い場合には、同様な状態となる。
また、主層13に隣接するように形成される表層14には、ウレタン系などの液状樹脂が用いられている。主層13は、上記した様に、ポリウレタン系熱可塑性材料は可塑剤によって可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の隙間を埋める状態、又は、これに近い状態であって、主層13の表面はウレタン系熱可塑性材料が多く存在する状態であると思われるので、主層13と表層14との接着性がよく、耐久性に優れる。
積層シート1の製造方法について説明する。
まず、基材層10の上にプライマー層11を設ける。具体的には、液状のプライマーを基材層10の上に塗布し、その後に硬化させて行われる。このプライマーは、発泡層12の材質に合わせて使用され、具体的には、オレフィン系のものが用いられている。
基材層10はメリヤスの編物であり、長尺状にロール状に巻かれたものが用いられている。そして、上記のプライマー層11の形成は、ロールの繰り出し・巻き取りを行いながら連続的に行われる。
次に、発泡層12を形成する。この発泡層12の形成及び積層は、図3に示されるような装置90を用いてカレンダー成形によって行われる。
具体的には、発泡層12の材料として、発泡剤が添加されているオレフィン系の熱可塑性エラストマーの材料96をセットし、加熱ローラ91を材料96の融点付近に加熱しながら回転させて、フィルム94に成形する。また、基材層10とプライマー層11からなる積層物を、プライマー層11側が発泡層12側となるように基材93として供給し、基材層10、プライマー層11、発泡層12の順に積層された積層体92とする。
用いられる発泡剤の発泡温度は、発泡層12の材料に用いられるオレフィン系の熱可塑性エラストマーの融点よりも高く、発泡層12のカレンダー成形して積層した状態では未発泡状態である。
さらに、主層13の成形・積層についても、図3に示されるような装置90を用いてカレンダー成形によって行われる。
具体的には、主層13の材料として、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物が用いられる。そして、この材料96を図3に示されるようにセットし、加熱ローラ91を材料96の融点付近に加熱しながら回転させて、フィルム94に成形する。また、基材層10、プライマー層11及び発泡層12からなる積層物を基材93とし、発泡層12側が主層13側となるように基材93として供給し、基材層10、プライマー層11、発泡層12、主層13の順に積層された積層体92とする。
主層13の材料は、ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物であるが、主層13の内部状態はオレフィン系熱可塑性材料は内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性材料がその隙間を埋める状態に存在するものであることが望ましい。かかる場合には、表面にウレタン成分の露出が多くなり、後述するように、表層14をウレタン系材料により形成する場合に接着強度が高くなって摩耗しにくくなる。
主層13の材料として用いるポリウレタン系材料は、ジイソシアネート化合物と、直鎖ポリオールとを反応させて得ることができるものであり、使用する直鎖ポリオールに対応して分類され、ポリエステル系(カプロラクトン系、アジペート系)、ポリカーボネート系、ポリエーテル系のいずれもが使用可能である。
中でも、直鎖ポリオール、ジイソシアネート、鎖伸長剤から構成された、いわゆるソフトセグメントとハードセグメントからなるポリウレタン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
熱可塑性ポリウレタンの原料のジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソイアネートなどが用いられる。
また、直鎖ポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコールとの縮合反応物であるポリエステル系ポリオール、エチレンカーボネート等のカーボネートとグリコールとの反応物であるポリカーボネート系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリオール等が用いられる。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタン1,2ジオール、ブタン1,3ジオール、ブタン1,4ジオール、ブタン2,3ジオール、ヘキサンジオールなどの低分子多価アルコール、或いはジアミン、水などが用いられる。
主層13の材料として用いるオレフィン系材料は、ビニル芳香族・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を構成するビニル芳香族化合物を用いることができる。
このビニル芳香族・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等があげられる。これらの中でもスチレン及びα−スチレン等のスチレン系が好ましい。ビニル芳香族化合物は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、水添ブロック共重合体を構成する化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、もしくはブタジエンとイソプレンの混合物が好ましく、イソプレンとブタジエンの混合物を用いる場合の形態としてはランダム、ブロック、テーパードのいずれでもよい。さらに、一般的にビニル結合と呼ばれる1,2結合及び3,4結合を導入することも可能である。
ブロック共重合体の製造方法としては、例えば、次の様な公知のアニオン重合法を採用することができる。すなわちアルキルリチウム化合物等を開始剤として不活性有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物と逐次重合させてブロック共重合体を形成する。次いで、得られたブロック共重合体を、公知の方法に従って不活性有機溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して、水添ブロック共重合体を合成することができる。この際、耐熱性、耐候性の観点から、水添前のブロック共重合体における共役ジエン化合物に由来する不飽和二重結合の70%以上を水素添加することが好ましい。
なお水添ブロック共重合体における重合体ブロックの不飽和二重結合の割合は、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、核磁気共鳴装置等により確認できる。
さらに、ビニル芳香族・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中に、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物、アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有してもよい。官能基を含有させる方法としては例えば無水マレイン酸を押出機中でラジカル反応させる方法や、重合後、活性末端のリチウムにエチレンオキサイドを付加させる方法が代表的である。
このオレフィン系熱可塑性材料は可塑剤によって可塑化して柔軟化することができる。この可塑剤として、パラフィンオイルなどの炭化水素系のオイルを用いることができる。そして、このようなオイルをポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料との混合物に添加することにより、ポリウレタン系熱可塑性材料をほとんど可塑化させずにオレフィン系熱可塑性材料を可塑化させることができる。
このポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを混合する場合には、必要に応じて一軸押出機、二軸押出機、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの混練機を用いて加熱溶融状態で混練することにより分散をよくすることができる。
主層13の内部状態は、オレフィン系熱可塑性エラストマーは内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーがその隙間を埋める状態に存在させるように、主層13を成形するには、これらの材料を混合する際に、溶融混合時のオレフィン系熱可塑性エラストマーの粘性をポリウレタン系熱可塑性エラストマーの粘性よりも高くすることにより、かかる状態とすることができる。
なお、オレフィン系熱可塑性エラストマーに対する可塑剤を添加する場合には、オレフィン系熱可塑性エラストマーと可塑剤を混合した状態での粘性が比較される。
なお、上記のカレンダー成形においても、ロールの繰り出し・巻き取りを行いながら連続的に行われる。なお、本実施形態の成形方法のように、熱可塑性の材料を用いて加熱溶融させて冷却して成形するので、反応型の樹脂や溶剤希釈樹脂を用いた方法に比べて成形しやすく、生産性がよい。
次に、基材層10、プライマー層11、発泡層12、主層13の順に積層された積層体92を加熱し、発泡層12の発泡剤の発泡温度よりも高い温度とし、発泡層12の発泡を行う。
また、この積層体92にエンボス加工を行う。エンボス加工は、表面に凹凸を有するロール間に加熱された積層体92を通過させて、積層体92の主層13側の表面に凹凸を形成させるものである。
本実施形態では、発泡させた直後にエンボス加工を行っている。発泡層12の発泡とエンボス加工は、いずれの工程も積層体92を加熱するものであるので、これらを1つの工程で行うことにより、加熱の際の効率化を図ることができる。
エンボス加工を行うと、ロールの表面に凹凸が転写されて、図1に示されるような凹部13aが形成される。この凹部13aの形状(深さ、大きさ、形等)は、使用用途や材質に応じて選定される。
さらに、表層14を形成する。表層14は、液状樹脂を表面に塗布して形成されるものであり、具体的には、ウレタン系の材料が用いられている。また極薄い層であるので、図1に示されるように、エンボス加工による凹凸状態に合わせて表面が形成される。
表層14の形成は、エンボス加工や発泡工程の前でも後でもよく、さらに、前後の両方で行ってもよい。
そうして、図1に示されるような層構造となり積層シート1が完成する。そして、この積層シート1を家具、自動車用内装材、音響器材料、装丁材、靴、鞄、袋、玩具、文房具、あるいはその他雑貨類に用いて、素材として使用されたり、表面を覆って被覆するために用いられる。
なお、積層シート1は、基材層10、プライマー層11、発泡層12、主層13、表層14の順に積層されたシートであるが、この層構成から、一部を除いた構成であってもよい。
例えば、基材層10、発泡層12、主層13、表層14の順に積層されたシートで、プライマー層11が無い構成でもよい。
また、図2に示されるように、基材層10、プライマー層11、主層13、表層14の順に積層されたシートで、発泡層12が無い構成でもよい。なお、この場合のプライマー層11は、主層13に対応する材質が選択される。
基材層10、プライマー層11が無く、主層13のみ、又は発泡層12と主層13が積層されたシートでも構成でもよい。このようなものを縫製によって物品の表面に縫い付けると基材層10がなく縫製部分からちぎれやすいので、物品の成形時に被覆するなどの他の方法によって物品に被覆される。
以下に、実施例1、2及び比較例1〜3の積層シートについて説明する。以下の表1〜3は、実施例1、2、比較例1〜3に用いられる材料の配合を示したものである。
そして、詳細は後記するが、実施例1と比較例1〜3とは、主層13のみが異なるものである。さらに、実施例1と比較例1、2は、使用する原材料の種類は同じものを用い、配合割合を変更したものである。
Figure 2005329585
Figure 2005329585
Figure 2005329585
(実施例1)
以下に示すようにして実施例1の積層シート1を得た。
まず、表1に示す配合の樹脂配合物(a)をバンバリーミキサーにより5分間混練し、続いて2本ロールのウォームアップロールにより6分間混練する。しかるのち逆L字形4本ロールカレンダにより、上記配合物(a)をエステル・レーヨン製両面メリヤス編物(目付量 平方メートル当たり150g)の生地である基材層10にプライマー層11を設けたものに0.3mmの厚みに貼着して発泡層12を成形・積層した。
さらに、表2に示す配合の配合物(b)をバンバリーミキサーにより5分間混練し、続いて2本ロールのウォームアップロールにより6分間混練する。しかるのち逆L字形4本ロールカレンダにより上記配合物(b)を、基材層10、プライマー層11、発泡層12が積層されたシートの発泡層12側の上に、0.2mmの厚みに重ねて貼着することにより主層13を成形・積層した。
樹脂配合物(b)にはオレフィン系熱可塑性材料であるスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルが含まれており、パラフィンオイルがスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を可塑化している。また、樹脂配合物(b)にはポリウレタン系熱可塑性エラストマーが含まれているが、前記の可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、このポリウレタン系熱可塑性エラストマーに比べて軟らかく、混練時や成形時の温度での粘性が高い。
なお、この粘性の測定は、どのような方法を用いても良いが、以下のような方法を用いることができる。
株式会社東洋精機製作所製のLABO PLASTOMILL(MODEL 30C150)を用い、成形温度である200℃で混練し、混練開始後、5分経過してトルクが安定した状態におけるトルクを測定し、その大きさを比較する。このトルク測定は、一定量の成分を攪拌するのに要する単位時間当たりのエネルギー(仕事率)を測定するものであり、混練時の温度条件における粘性を確認することができる。
その結果、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルを20対15で混合した混合物を200℃で混練する際のトルクは、17.67N・m(1.803kgf・m)であった。またポリウレタン系熱可塑性エラストマーを添加した組成物を200℃で混練する際のトルクは、6.647N・m(0.6783kgf・m)であった。
このように、樹脂配合物(b)の、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルの混合物は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと比べて、トルクが大きく、粘性が高いことがわかる。また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーのトルクを基準として、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルの混合物のトルクは、約266%であり、150〜1000%であることが望ましい。
上記で得られた積層物において配合物(b)からなる層の表面に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製 商品名「CRISVON3354」100重量部と顔料5重量部の混合物を塗布(ドライ付量 平方メートル当たり2.5g)して乾燥した。しかるのち、この積層シートを温度210℃の発泡炉に2分間通して配合物(a)からなる層を発泡させながら表面にエンボス加工を施して、合計厚み0.9mmの皮革様のシボを形成した発泡シートとした。
更に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製 商品名「CRISVON3354」100重量部とマット剤(大日本インキ化学工業製 商品名「HAULAC MAT A−1008」5重量部の混合物を塗布(ドライ付量 平方メートル当たり2.5g)して乾燥して表層14を形成し、実施例1の発泡積層シート1を得た。
発泡積層シート1の各層(基材層10、プライマー層11、発泡層12、主層13、表層14)は薄いものであり、シート状である。
(実施例2)
上記実施例1の発泡層12を設けないで、基材層10、プライマー層11、主層13、表層14からなる積層シート1を用いた。具体的には、以下のようにして実施例2の積層シート1を得た。
まず、表2に示す配合の樹脂配合物(b)をバンバリーミキサーにより5分間混練し、続いて2本ロールのウォームアップロールにより6分間混練する。しかるのち逆L字形4本ロールカレンダにより、上記配合物(b)をエステル・レーヨン製両面メリヤス編物(目付量 平方メートル当たり150g)の生地である基材層10にプライマー層11を設けたものに0.2mmの厚みに貼着して主層13を成形・積層した。
なお、実施例1と同様に主層13を樹脂配合物(b)を用いて成形しているので、可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、このポリウレタン系熱可塑性エラストマーに比べて軟らかく、混練時や成形時の温度での粘性が高い。
上記で得られた積層物において配合物(b)からなる層の表面に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製 商品名「CRISVON3354」100重量部と顔料5重量部の混合物を塗布(ドライ付量 平方メートル当たり2.5g)して乾燥し、合計厚み0.5mmのシートとした。
次いで上記シートの樹脂層表面に210℃の温度下でエンボス加工を施して皮革様のシボを形成し、更に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製 商品名「CRISVON3354」100重量部とマット剤(大日本インキ化学工業製 商品名「HAULAC MAT A−1008」5重量部の混合物を塗布(ドライ付量 平方メートル当たり2.5g)して乾燥して表層14を形成し、実施例2の非発泡の積層シート1を得た。
(比較例1)
上記実施例1において、表2の樹脂配合物(b)を樹脂配合物(c)に置き換え、以下実施例1と同様の条件で樹脂配合物(c)を支持体シートと樹脂配合物(a)とからなる発泡層12からなる層上に0.2mmの厚みに重ねて貼着することにより主層13を成形・積層した。
得られた積層物において配合物(c)からなる層の表面に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部と顔料5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥した。しかるのち、この積層シートを温度210 ℃の発泡炉に2分間通して配合物(a)からなる層を発泡させながら表面にエンボス加工を施して、合計厚み0.9mmの皮革様のシボを形成した発泡シートとした。
更に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部とマット剤(大日本インキ化学工業製商品名「HAULAC MAT A−1008」5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥して表層14を形成し、比較例1の発泡積層シートを得た。
(比較例2)
上記実施例1において表2の樹脂配合物(b)を樹脂配合物(d)に置き換え、以下実施例1と同様の条件で樹脂配合物(d)を支持体シートと樹脂配合物(a)とからなる発泡層12からなる層上に0.2mmの厚みに重ねて貼着することにより主層13を成形・積層した。さらに配合物(d)からなる層の表面に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部と顔料5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥した。しかるのち、この積層シートを温度210 ℃の発泡炉に2分間通して配合物(a)からなる層を発泡させながら表面にエンボス加工を施して、合計厚み0.9mmの皮革様のシボを形成した発泡シートとした。
更に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部とマット剤(大日本インキ化学工業製商品名「HAULAC MAT A−1008」5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥して表層14を形成し、比較例2の発泡積層シートを得た。
(比較例3)
上記実施例1において表2の樹脂配合物(b)を表5の樹脂配合物(e)に置き換え、以下実施例1と同様の条件で樹脂配合物(e)を支持体シートと樹脂配合物(a)とからなる発泡層12からなる層上に0.2mmの厚みに重ねて貼着することにより主層13を成形・積層した。
上記で得た積層物において配合物(e)からなる層の表面に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部と顔料5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥した。しかるのち、この積層シートを温度210 ℃の発泡炉に2分間通して配合物(a)からなる層を発泡させながら表面にエンボス加工を施して、合計厚み0.9mmの皮革様のシボを形成した発泡シートとした。
更に表層14となるウレタン系表面処理剤(大日本インキ化学工業製商品名「CRISVON3354」100重量部とマット剤(大日本インキ化学工業製商品名HAULAC MAT A−1008」5重量部の混合物を塗布(ドライ付量平方メートル当たり2.5g)して乾燥して表層14を形成し、比較例3の発泡積層シートを得た。
実施例1、2、及び比較例1、2について、硬さ、耐久性について確認した。
硬さの試験方法は、JISK−6253に規定されているデュロメーター、タイプAで行った。硬さ70未満を良好と判定した。
耐久性の試験方法は、安田精機製作所製テーバー摩耗試験機を用い、JISK7204に基づいて試験を行った。また、試験条件は、摩耗輪がCS−10、荷重が1kg、回数は3000回であり、評価は外観の状態によって判断した。
上記結果と、主層13のカレンダー成形での成形のし易さ(主層加工性)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100重量部に対するスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルの混合物の配合部数、及び、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの200℃混練時のトルクを基準としたスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びパラフィンオイルの混合物のトルク比率を、表4に示す。
Figure 2005329585
表4に示されるように、実施例1、2は、全ての項目において良好であった。また、比較例1〜3は、硬さ、耐久性、主層加工性のいずれかにおいて実施例1、2よりも劣っている。
具体的な内容は以下の通りである。
比較例1、2の主層13は、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物に対してパラフィンオイルの混合量が多く、可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の混練時の粘性がウレタン系熱可塑性エラストマーに対して小さいものである。そのため、成形後の状態は可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料が海状であり、ウレタン系熱可塑性エラストマーが島状の海島構造となりやすい。
したがって、比較例1のように、可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の割合が多くなると表層14との接着性が低下して耐久性が低下し、また、溶融時の粘性が低下してカレンダー成形時、カレンダーロールからリリース性が悪くシートに伸びが生じ、厚み精度が出ないなど、カレンダー成形性が劣る。また、比較例2のように、可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料の割合が少なくなると、主層13が硬くなってしまう。
比較例3の主層13は、実施例1、2のようにウレタン系熱可塑性エラストマーを用いておらず、ポリプロピレンを用いているものである。そのため、主層13の成形後の表面には、実施例1、2の表面のようにウレタン成分のような極性成分がないので、表層14との接着性が低下して耐久性が低下する。また、カレンダー成形時、樹脂の流れが悪く、成形性が悪く、物性も劣る。
本発明の積層シートの発泡層構造を示した断面図である。 本発明の積層シートの非発泡層構造を示した断面図である。 カレンダー成形の例を示した模式図である。
符号の説明
1、2、3 積層シート
10 基材層
11 プライマー層
12 発泡層
12a 空洞
13 主層
14 表層

Claims (11)

  1. ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形した主層と、繊維により構成された基材層とを積層するものであり、前記主層の成形は、所定の成形温度まで材料を加熱した状態で成形されるものであり、前記オレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して、軟らかく、かつ、成形温度での粘性が高いものであることを特徴とする積層シート。
  2. 主層の成形は、所定の成形温度まで材料を加熱した状態でカレンダー加工によって成形されるものであり、前記主層に用いる材料には炭化水素系オイルが添加されて、炭化水素系オイルによりオレフィン系熱可塑性材料を可塑化するものであり、前記炭化水素系オイルにより可塑化されたオレフィン系熱可塑性材料は、主層に用いるポリウレタン系熱可塑性材料に対して、軟らかく、かつ、カレンダー加工の成形温度でのトルクが150〜1000%であることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
  3. 主層に用いる材料は、ポリウレタン熱可塑性エラストマー100重量部に対しオレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルの混合物が20〜150重量部配合された材料であり、前記主層の成形にはカレンダー加工が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 主層と基材層との間には、内部に発泡剤による空洞が設けられているシート状の発泡層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 発泡層は熱可塑性材料が用いられていることを特徴とする請求項4に記載の積層シート。
  6. 発泡層はオレフィン系熱可塑性材料が用いられていることを特徴とする請求項5に記載の積層シート。
  7. 主層の内部状態は、オレフィン系熱可塑性材料は内部で独立状に分散して、ポリウレタン系熱可塑性材料がその隙間を埋める状態に存在するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
  8. ポリウレタン系熱可塑性材料とオレフィン系熱可塑性材料とを必須成分とした混合物を溶融させてシート状に成形し、前記シート状成形物を物品の表面に設けて被覆したものであり、前記オレフィン系熱可塑性材料は、前記ポリウレタン系熱可塑性材料に対して、軟らかく、かつ、成形の際の粘性が高いものであることを特徴とする被覆構造。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層シートを、基材層側が物品側となるように、物品の表面に被覆したことを特徴とする被覆構造。
  10. 請求項2〜7のいずれかに記載の積層シートの製造方法であって、主層の成形の際には、ポリウレタン系熱可塑性材料、オレフィン系熱可塑性材料及び炭化水素系オイルを混合して行われることを特徴とする積層シートの製造方法。
  11. 請求項4〜7のいずれかに記載の積層シートの製造方法であって、基材層上に発泡剤を含んだ熱可塑性材料を用いて発泡剤の発泡温度以下でカレンダー成形して未発泡状態で発泡層を積層する工程と、主層を積層して発泡温度以上に加熱して発泡層の発泡を行いながら表面のエンボス加工を行う工程とを有することを特徴とする積層シートの製造方法。
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