JP2005329345A - 超音波洗浄装置及び複合超音波洗浄装置 - Google Patents

超音波洗浄装置及び複合超音波洗浄装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構造を有しながらも、空中超音波を利用して、被洗浄物の広い範囲に亘って、これに付着した塵埃を適切に除去することができる超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】被洗浄面71を有し第1方向D1に搬送されるガラス基板70について、塵埃を除去する超音波洗浄装置10は、超音波振動子20、30と、被洗浄面71に向けて超音波を放射する超音波放射部55を含む超音波放射装置50とを有する。超音波放射部55は、超音波放射面57が、第1方向D1に直交する第2方向に延ばされた形状を有し、超音波振動子20により、超音波放射面57において、第2方向D2に腹部と節部とが交互に並んだ定在波を生じる形態を有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、超音波洗浄装置に関する。
従来、半導体ウェハ、液晶・ELディスプレイ用基板などの洗浄では、純水や各種溶剤など液体を用いた超音波洗浄装置が使用されていた。このタイプの超音波洗浄装置では、被洗浄物及び洗浄液が入った洗浄槽に超音波振動子を装着し、この超音波振動子により超音波を発生する。このとき、洗浄槽の洗浄液中では、真空状態の空洞であるキャビテーションの発生・消滅が繰り返される。すると、被洗浄物の表面についた付着物は、このキャビテーションの発生・消滅により強く揺動されて、被洗浄物の表面から剥離される。従って、このタイプの超音波洗浄装置では、容易にかつ適切に被洗浄物の洗浄を行うことができる。
しかしながら、半導体ウェハや基板などでは、近年、高集積化・小型化・高品質化が進められており、上述のタイプの超音波洗浄装置では、付着物を剥離すると同時に被洗浄面もダメージを受けてしまう虞があった。
そこで、液体中に発生するキャビテーションを利用した方法に代えて、空中超音波を発生する超音波振動体を用い、空気中におかれた被洗浄物を洗浄する超音波洗浄装置が考えられる。
この超音波洗浄装置では、被洗浄物の被洗浄面に向かって、超音波振動体から空中超音波を放射し、その直進流による放射圧で被洗浄面に付着した塵埃を剥離する。しかしながら、このタイプの超音波洗浄装置では、空中超音波の放射圧(押圧力)のみによって塵埃を剥離しようとしているため、十分に洗浄が行えない虞がある。
また、板状の基板など広い面積に亘って、洗浄しようとすると、時間が掛かる。あるいは多数の超音波振動子を並べた超音波洗浄装置を用いることとなり、高価で、装置の大きさも大きくなり、消費電力も大きくならざるを得ない。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、簡易な構造を有しながらも、空中超音波を利用して、被洗浄物の広い範囲に亘って、これに付着した塵埃を適切に除去することができる超音波洗浄装置を提供することを目的とする。
その解決手段は、略平面状の被洗浄面を有し上記被洗浄面に沿う第1方向に相対的に搬送される被洗浄物について、上記被洗浄面に付着した塵埃を除去する超音波洗浄装置であって、超音波振動を発生する超音波振動子と、上記超音波振動子の超音波振動により、超音波振動が励起されて、放射面から上記被洗浄面に向けて空中に超音波を放射する超音波放射部と、を備え、上記超音波放射部は、そのうちの上記放射面が、上記被洗浄面に沿い上記第1方向に交差する第2方向に長く延ばされた形状を有し、上記超音波振動子の超音波振動により、上記放射面において、上記第2方向に振動の腹部と節部とが交互に並んだ定在波を生じる形態を有する超音波洗浄装置である。
本発明の超音波洗浄装置では、超音波振動子で励振される超音波放射部を有しており、この超音波放射部は、第2方向に長く延ばされた形状を有し、その超音波放射面には、定在波が生じる形態となっている。このため、本発明の超音波洗浄装置では、被洗浄物の被洗浄面に付着していた塵埃は、超音波放射部の超音波放射面から放射された超音波により、剥離されるから、容易に除去できるようになる。しかも、多数の超音波振動子を第1方向に交差する方向(第2方向など)に並べる必要が無く、相対的に搬送される被洗浄物の被洗浄面に対し、放射面から超音波を放射することにより、被洗浄物の被洗浄面を、第2方向、あるいは第1方向に直交する方向の広い範囲に亘って洗浄することができる。かくして、簡易な構造で、安価、小型な超音波洗浄装置となる。
なお、第2方向は、被洗浄物が相対的に搬送される第1方向に交差する方向であればよいが、配置の容易さ等を考慮すると、第2方向を第1方向に直交する方向とするのが好ましい。
被洗浄物としては、ガラス板など所定寸法のもののほか、ローラに巻いた長尺のフィルム状のものを洗浄することもできる。
また、被洗浄物を相対的に搬送するとは、本発明の超音波洗浄装置に対して被洗浄物を相対的に移動させることをいう。従って、超音波洗浄装置を固定し、被洗浄物を第1方向に移動させる場合のほか、被洗浄物を固定し超音波洗浄装置を第1方向とは逆方向に移動させる場合、及び、超音波洗浄装置と被洗浄物の両者を移動させる場合を含む。具体的には、ガラス板など所定寸法のものを間欠的に第1方向に搬送する場合や、ローラに巻いた長尺のフィルム状のものを連続して第1方向に搬送する場合などが挙げられる。さらには、例えば、非常に薄いガラス基板など、搬送困難な被洗浄物について、これを固定し、超音波洗浄装置を移動させる場合が挙げられる。このようにして超音波洗浄を行うと、搬送る被洗浄物の破壊を防止できる。
さらに、上記の超音波洗浄装置であって、前記被洗浄面と前記放射面との間に浮遊する塵埃を除去する除塵手段を備える超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、被洗浄物の被洗浄面に付着していた塵埃は、超音波放射部の放射面から放射された超音波により、剥離されて超音波浮遊作用により、放射面と被洗浄面との間の空間に浮遊する。本発明の超音波洗浄装置では、除塵手段により、この塵埃を適切に取り除くことができる。
なお、除塵手段としては、被洗浄物の被洗浄面と超音波放射部の放射面との間に浮遊する塵埃を除去できるもので有れば良く、例えば、空気と共に塵埃を吸引することで塵埃を収集するバキューム式の集塵装置が挙げられる。また、この間に電界を掛けて塵埃を収集する電気集塵装置を用いることもできる。さらに、塵埃を吹き飛ばしたり、被洗浄面と放射面との間に、空気を供給する一方で排気をして、空気の流れを形成するようにしても良い。また、バキューム装置など空気を用いて塵埃を除去する場合には、被洗浄面から塵埃を剥離させ易くするため、被洗浄物に直流や交流の電界を掛けたり、イオン化ガスを供給することもできる。
さらに、上記いずれかに記載の超音波洗浄装置であって、前記超音波放射部は、前記第2方向に直交する断面において、前記放射面が前記被洗浄面に向かって凹形状の円弧をなす形態を有し、上記円弧の仮想中心が、相対的に搬送される前記被洗浄物の前記被洗浄面の近傍に位置するように配置されてなる超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、超音波放射部は、放射面が被洗浄面に向かって凹形状の円弧をなしており、しかも、この円弧の仮想中心が、相対的に搬送される被洗浄物の被洗浄面の近傍に位置するように配置されている。このため、放射面から放射された超音波が、被洗浄面に近づくにつれて収束する。従って、被洗浄面に向けてより強力な超音波を照射することができるので、さらに確実に被洗浄面の塵埃を除去することができる。
また、上記いずれかに記載の超音波洗浄装置であって、前記被洗浄物は、前記被洗浄面の裏面が略平面状の第2被洗浄面である略平板状の形態を有し、前記超音波振動子の超音波振動により、超音波振動が励起されて、第2放射面から上記第2被洗浄面に向けて空中に超音波を放射する第2超音波放射部と、を備え、上記第2超音波放射部は、そのうちの上記第2放射面が、上記第2被洗浄面に沿い前記第2方向に長く延ばされた形状を有し、上記超音波振動子の超音波振動により、上記第2放射面において、上記第2方向に振動の腹部と節部とが交互に並んだ定在波を生じる形態を有する超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、共通する超音波振動子により、超音波放射部と第2超音波放射部に定在波を生じさせ、放射面から被洗浄面に超音波を放射すると共に、第2放射面から第2被洗浄面に超音波を放射する。かくして、この超音波洗浄装置によれば、被洗浄物の表と裏、即ち、被洗浄面と第2被洗浄面の両者を同時に洗浄することができる。
また、請求項4に記載の超音波洗浄装置であって、前記第2被洗浄面と前記第2放射面との間に浮遊する塵埃を除去する第2除塵手段を備える超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、被洗浄物の第2被洗浄面に付着していた塵埃は、第2超音波放射部の第2放射面から放射された超音波により、剥離されて超音波浮遊作用により、第2放射面と第2被洗浄面との間の空間に浮遊する。そこで、本発明によれば、第2除塵手段により、この塵埃を適切に取り除くことができる。
なお、第2除塵手段としては、前述の除塵手段と同様のものを用いることができる。
また、請求項4または請求項5に記載の超音波洗浄装置であって、前記第2超音波放射部は、前記第2方向に直交する断面において、前記第2放射面が前記第2被洗浄面に向かって凹形状の第2円弧をなす形態を有し、上記第2円弧の第2仮想中心が、相対的に搬送される前記被洗浄物の前記第2被洗浄面の近傍に位置するように配置されてなる超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、第2超音波放射部は、第2放射面が第2被洗浄面に向かって凹形状の第2円弧をなしており、しかも、この第2円弧の第2仮想中心が、相対的に搬送される被洗浄物の第2被洗浄面の近傍に位置するように配置されている。このため、第2放射面から放射された超音波が、第2被洗浄面に近づくにつれて収束する。従って、第2被洗浄面に向けてより強力な超音波を照射することができるので、さらに確実に第2被洗浄面の塵埃を除去することができる。
また、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の超音波洗浄装置であって、互いに平行に配置された前記超音波放射部及び第2超音波放射部と、上記超音波放射部及び第2超音波放射部の両端縁にそれぞれ位置して、両者の間に介在する第1介在部及び第2介在部と、からなる超音波放射体を有し、前記超音波振動子は、上記第1介在部及び第2介在部の少なくともいずれかを、直接または間接に超音波振動させる超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、超音波放射部及び第2超音波放射部の両端に位置する第1介在部及び第2介在部によって、超音波放射体が結合されている。従って、第1介在部又は第2介在部の少なくともいずれかを、直接または間接に超音波振動子で超音波振動させることで、超音波放射部と第2超音波放射部とを同時に駆動し、いずれからも超音波を放射させることができる。
また、上記の超音波洗浄装置であって、前記超音波振動子と同一周波数で駆動される第2超音波振動子を有し、上記超音波振動子は前記第1介在部を、上記第2超音波振動子は前記第2介在部を、直接または間接に超音波振動させる超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、第2超音波振動子を有し、超音波振動子は第1介在部を、第2超音波振動子は第2介在部を超音波振動させる。このため、超音波放射部及び第2超音波放射部には、両端から超音波振動が与えられるので、これらについて第2方向により均一で強力な定在波を生じさせることができる。従って、これらから被洗浄物の被洗浄面及び第2被洗浄面について、より均一で強力な超音波を放射させることができる。
また、請求項7または請求項8に記載の超音波洗浄装置であって、前記超音波放射部は、仮想軸線を中心とする断面円弧状で、この仮想軸線方向に延びる形態を有し、前記第2超音波放射部は、上記超音波放射部に対向し、上記仮想軸線を中心とする断面円弧状で、上記仮想軸線方向に延びる形態を有し、前記第1介在部及び第2介在部は、上記超音波放射部及び第2超音波放射部の両端縁にそれぞれ位置して、両者の間に介在する円筒状の形態を有する超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の超音波洗浄装置では、超音波放射部、第2超音波放射部、第1介在部及び第2介在部が上述の形状を有しているので、金属円筒を用いて容易に製作でき、取り扱いも容易である。
また、上記いずれかに記載の超音波洗浄装置であって、前記超音波振動子または前記超音波振動子と前記第2超音波振動子とは、ボルト締めランジュバン型超音波振動子である超音波洗浄装置とすると良い。
この発明の超音波洗浄装置では、超音波振動子、あるいは超音波振動子と第2超音波振動子に、ボルト締めランジュバン型超音波振動子を用いている。このタイプの超音波振動子は、振幅の大きい強力な超音波振動を効率よく発生させることができるため、空中に放射される超音波を強力なものとすることができる。ひいては、確実に塵埃を被洗浄面から剥離除去する超音波洗浄装置となし得る。
また、上記いずれかに記載の超音波洗浄装置であって、前記超音波振動子をまたは前記超音波振動子と前記第2超音波振動子とを超音波振動させる1又は複数の駆動電源装置を有し、上記駆動電源装置は、上記超音波振動子をまたは上記超音波振動子と上記第2超音波振動子とを間欠駆動する間欠駆動電源装置である超音波洗浄装置とすると良い。
この発明の超音波洗浄装置では、間欠駆動電源装置を用いて、超音波振動子、あるいは超音波振動子及び第2超音波振動子を間欠駆動させる。このように超音波振動子を間欠駆動させると、駆動当初に、連続駆動の場合に比して、例えば1.5倍程度などの大きな電力を投入することができる。すると、放射面や第2放射面から衝撃的な超音波を放射させることができるので、より確実に塵埃を被洗浄面あるいは第2放射面から剥離し除去することができる。
さらに、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波洗浄装置を複数備える複合超音波洗浄装置であって、複数の上記超音波洗浄装置のうち、第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置とは、前記超音波放射部同士が、または上記超音波放射部同士及び前記第2超音波放射部同士のいずれもが、同一の波長λを有する定在波を生じる形態とされ、上記第1の超音波洗浄装置における前記第1方向と第2の超音波洗浄装置における前記第1方向とは同方向であり、上記第1の超音波洗浄装置における前記第2方向と第2の超音波洗浄装置における前記第2方向とは平行であり、上記第1方向に沿って上記第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置にかかる2つの上記超音波放射部、または2つの上記超音波放射部及び2つの上記第2超音波放射部を見たとき、これらに生じる定在波の節部と腹部の位置が、上記第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置において互いに逆の関係となるように配置されてなる複合超音波洗浄装置とすると良い。
本発明の複合超音波洗浄装置では、複数の超音波洗浄装置のうち、第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置とは、超音波放射部同士が、同一の波長λを有する定在波を生じる形態とされている。または、超音波放射部同士及び第2超音波放射部同士のいずれもが、同一の波長λを有する定在波を生じる形態とされている。
しかも、第1の超音波洗浄装置における第1方向と第2の超音波洗浄装置における第1方向とが同方向で、超音波洗浄装置における第2方向と第2の超音波洗浄装置における第2方向とが平行である。さらに、第1方向に沿って第1と第2の超音波洗浄装置にかかる2つの超音波放射部、または2つの超音波放射部及び2つの第2超音波放射部を見たとき、これらに生じる定在波の節部と腹部の位置が、第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置において互いに逆の関係となるように配置されてなる。つまり、第1方向に沿って見たとき、第1の超音波洗浄装置の超音波放射部の生じる定在波の節部の位置が、第2の超音波洗浄装置の超音波放射部の生じる定在波の腹部の位置になっている。同様に、第1の超音波洗浄装置の第2超音波放射部の生じる定在波の節部の位置が、第2の超音波洗浄装置の第2超音波放射部の生じる定在波の腹部の位置になっている。
ところで、一般に、超音波放射部からは、定在波の腹部において強力な超音波が放射される。一方、節部からはあまり超音波は放射されない。従って、単一の超音波洗浄装置を洗浄すると、被洗浄面のうち定在波の腹部に対応した部分は効率よく洗浄できる一方、節部に対応した部分は、あまり洗浄されない状態となることがある。
これに対し、本発明の複合超音波洗浄装置では、第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置で、上述のように定在波の節部と腹部の位置が互いに逆の関係となる。従って、両方の超音波洗浄装置で洗浄された後には、被洗浄面または被洗浄面と第2被洗浄面において、いずれの部分についても十分に洗浄できた状態とすることができる。
本発明にかかる超音波洗浄装置の実施例及び変形例を図面を参照して説明する。
まず、実施例1にかかる超音波洗浄装置10を、図1〜図6を参照して説明する。図1は、実施例1にかかる超音波洗浄装置10を示す斜視図である。図2は超音波放射装置50等の部分縦断面図、図3(a)は図2におけるBB矢視断面図、図3(b)は図2におけるCC矢視断面図である。図4は、実施例1にかかる超音波洗浄装置10を用いて、被洗浄物であるガラス基板70を洗浄する状態を示す斜視図である。図5は、図4に示す状態の超音波放射装置にかかり、(a)は第1介在部における横断面図、(b)は第1介在部近傍における縦断面図である。図6は、図3に示す状態の実施例1の超音波放射装置にかかり、図5(b)におけるEE矢視断面図である。
図1に示すように、超音波洗浄装置10は、超音波振動を発生する一対のボルト締めランジュバン型の超音波振動子20、30と、この超音波振動子20、30を駆動する駆動電源装置40と、超音波振動子20、30で発生させた超音波振動を空中超音波に変換して放射する超音波放射装置50と、公知のバキューム装置64、65及び搬送装置45(図6参照)を含む。
このうち、超音波放射装置50は、第2方向D2に延び両端が開いた金属製の中空円筒に、軸線AXを挟んで対向し、軸線AX方向に長い略長方形で、被洗浄物を挿通させる挿通孔59a、59bを形成した金属部材で構成されている。
この超音波放射装置50のうち、挿通孔59a、59bによって軸線AXに直交する断面が分断された円弧状の部分(図3(a)参照)は、軸線AXを挟んで対向する超音波放射部55及び第2超音波放射部56を成している。この超音波放射部55及び第2超音波放射部56のうち、それぞれ、円弧面をなすその内周面は、軸線AXに向けて超音波を空中に放射する超音波放射面57及び第2超音波放射面58となっている。
一方、超音波放射装置50の両端部分に位置し、挿通孔59a、59bによって軸線AX方向に直交する断面が分断されていない円筒形状の部分は、超音波放射部55及び第2超音波放射部56の間に介在し、これらを互いに平行に保持し、超音波振動を周方向に伝達する第1介在部52及び第2介在部54を成す。(図3(b)参照)
これらの第1介在部52及び第2介在部54の外周には、それぞれ、径方向外側に向かって突出するように(図3(b)中、下方向)、平板状の第1突出部51、第2突出部53が固着されてなる。
また、公知のボルト締めランジュバン型の超音波振動子20、30は、それぞれ、本体部22、32と、この本体部22、32の先端に締結され、テーパ状部分を含むホーン部21、31とを含む。この超音波振動子20、30は、ホーン部21、31の先端面21s、31sで、第1突出部51、第2突出部53に固着されてなる。(図3(b)参照)
さらに、超音波放射装置50の両端の開口部には、公知のバキューム装置64、65が、それぞれバキューム管60、61およびゴム製のパッキン62、63を介して取り付けられている(図1、図2参照)。このバキューム装置64、65を作動させることにより、図2に矢印VCで示すように、超音波放射装置50内の空気がバキューム装置64、65に向かって吸引される。
また、超音波放射装置50の近傍には、被洗浄物であるガラス基板70をその被洗浄面71に沿う第1方向D1に搬送して、ガラス基板70を超音波洗浄装置10の挿通孔59a、59b内を挿通させるための搬送装置45が配置されている(図6参照)。この搬送装置45は、具体的には、複数の回転可能なローラを第1方向D1に直交する方向に並べて構成してなる。
次に、実施例1にかかる超音波洗浄装置10及び搬送装置45を用いた、被洗浄物であるガラス基板70の洗浄について、図4〜図6を参照して説明する。このガラス基板70は、その両面が略平面状の略平板形状を有し、被洗浄面71を上方に向け、その裏面である第2被洗浄面72を下方に向けた状態で、搬送装置45によって、搬送される。
超音波振動子20、30は、駆動電源装置40から所定の共振周波数(約20kHz)の交流電力が供給されて連続駆動されている。
なお、所定の共振周波数の交流電圧を、間欠的に供給して、超音波振動子20、30を間欠駆動することもできる。間欠駆動をすると、この超音波洗浄装置10では、駆動当初に、連続駆動の場合に比して、1.5倍程度の大きな電力を投入することができ、より強く超音波振動子20、30を超音波振動させ、衝撃的な超音波を照射することができる。
この超音波振動子20が駆動されると、図5(a)に示すように、本体部22から突出した中実円筒形状を有するホーン部21には、超音波振動子20の軸心AS方向に、超音波振動W1が発生する。この超音波振動W1は、超音波振動子20の先端面21sと固着してなる第1突出部51に伝達される。これにより、第1突出部51を第1介在部52の断面の中心方向に向かって進む超音波振動W2が励起され、さらに、この超音波振動W2により、第1介在部52の断面の円周方向に沿って進む超音波振動W3、W4が励起される。
さらに、図5(b)に示すように、超音波振動W3、W4は、超音波放射部55及び第2超音波放射部56に、第2方向D2に沿って進む超音波振動W5、W6を励起する。さらに、これらの超音波振動W5、W6は、他方の超音波振動子30によって、第2介在部54で生じた同一周波数の超音波振動と重畳され、あるいは、超音波放射部55及び第2超音波放射部56の他端側で生じる反射波と重畳されて、定在波90a、90bを発生させる。これにより、超音波放射部55の超音波放射面57及び第2超音波放射部56の第2超音波放射面58には、第2方向D2に沿って超音波振動の腹部と節部とが交互に並んだ定在波90a、90bが発生する。
図6は、上述で発生した定在波のうち腹部の位置における断面図(EE矢視断面図)である。超音波放射面57(第2超音波放射面58)に生じた超音波振動(定在波)により、超音波放射面57(第2超音波放射面58)に垂直に、つまり、軸線AXに向かって、空中超音波が放射される。従って、超音波放射面57からガラス基板70の被洗浄面71に向かって空中超音波が放射される。すると、放射された空中超音波により、被洗浄面71に付着していた塵埃が超音波により叩かれて剥離する。それと共に、この空中超音波により、ガラス基板70の被洗浄面71と超音波放射面57との間に、節部91を有する定在波を発生する。このような定在波が発生している空間では、塵埃など軽い物質であれば定在波の節部91の位置に集まって浮遊する超音波浮揚現象が生じる。同様に、第2超音波放射面58から放射された空中超音波により、第2被洗浄面72に付着していた塵埃を剥離し、さらに、第2被洗浄面72と第2超音波放射面58との間の定在波の節部91bの位置に集まって浮遊する。
本実施例の超音波洗浄装置では、超音波放射面57の第2方向D2に直交する断面は、図6に示すように被洗浄面71に向かって凹形状で、超音波放射装置50の軸線AX上の点を中心とする円弧の形態を有する。この超音波放射面57から放射された超音波は、軸線AXに集中するため、この軸線AX近傍に位置するガラス基板70の被洗浄面71においても、超音波が集中する。このため、被洗浄面71上の塵埃に、より強力な超音波を照射することができる。なお、第2超音波放射面58と第2被洗浄面72との関係も同様である。
この空中超音波により、被洗浄面71及び第2被洗浄面72から剥離された塵埃は、上述の超音波浮揚現象により、定在波の節部91、91bの位置に集まって浮遊する。そこで、本実施例では、この塵埃を、バキューム装置64、65を作動させ、バキューム管60、61を通じて吸引除去する。かくして、本実施例の超音波洗浄装置10を用いて、ガラス基板70の被洗浄面71及び第2被洗浄面72を適切に洗浄することができる。
さらに、本実施例1にかかる超音波洗浄装置10は、上述のように、ガラス基板70の被洗浄面71及び第2被洗浄面72について、第2方向D2に亘って洗浄すると共に、公知の搬送装置を用いて、第2方向D2に直交する第1方向D1にガラス基板70を搬送しているので、ガラス基板70の全面に亘って適切に洗浄することができる。
なお、本実施例1では、バキューム管60、61の両側からバキューム装置64、65で発生した吸引圧を利用して、塵埃を除去したが、例えば、バキューム装置64、65のいずれかを送風装置に代え、バキューム管60、61同士の間に空気の流れを形成して塵埃を除去しても良い。
(変形例1)
次に、変形例1にかかる超音波洗浄装置110について、図7を参照して説明する。
なお、超音波洗浄装置110は、実施例1の超音波洗浄装置10における超音波放射装置50及び超音波振動子20、30を、超音波放射装置150及び超音波振動子120、130に代えた点で相違する。そこで、以下では超音波放射装置150及び超音波振動子120、130についての相違部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
図7は、超音波洗浄装置110のうち、超音波放射装置150の中心付近から一端側の部分を示した部分破断断面図である。超音波放射装置150は、第2方向D2に延び両端が閉じた金属製の中空円筒に、軸線AXを挟んで対向し、軸線AX方向に長い略長方形で被洗浄物を挿通させる挿通孔159a、159bを形成した金属部材で構成されている。このうち、閉じた端部をそれぞれ第1端部151、第2端部153としている。さらに、超音波振動子120は、ホーン部121の先端面121sで、この第1端部151に固着されてなる。また、超音波放射装置150のうち他端側についても同様に、超音波振動子130は、ホーン部131の先端面131sで、第2端部153に固着されてなる。なお、図7において、他端側の部材には( )をつけて表示する。
次に、変形例1にかかる超音波洗浄装置110を用いたガラス基板70(図6参照)の洗浄について説明する。超音波洗浄装置110でも、ガラス基板70は、実施例1にかかる超音波洗浄装置10と同様の搬送装置45(図6参照)によって、挿通孔159a、159b内を搬送される。
超音波振動子120で発生させた超音波振動は、第1端部151を介して、第1介在部152に伝達され、さらに、超音波放射部155及び第2超音波放射部156に達し、これらを超音波振動させる。また、同様に他端側の超音波振動子130で発生させた超音波振動も、第2端部153から第2介在部154を介して超音波放射部155及び第2超音波放射部156に達する。これにより、超音波放射部155及び第2超音波放射部156では、それぞれその超音波放射面157及び第2超音波放射面158に、実施例1における超音波放射面57及び第2超音波放射面58と同様に、第2方向D2に腹と節が交互に並ぶ定在波が発生する。このため、超音波放射面157及び第2超音波放射面158から、挿通孔159a、159b内に挿通されたガラス基板(被洗浄物)に向かって空中超音波が放射される。かくして、実施例1にかかる超音波洗浄装置10と同様に、超音波洗浄装置110を用いてガラス基板70の洗浄を行うことができる。
本変形例1では、超音波振動子120、130が、第1端部151及び第2端部153で固着されているため、超音波洗浄装置110について、第1方向D1の寸法を小さくすることができる。このため、例えば、後述するように、複数の超音波洗浄装置を含む超音波複合洗浄装置を構成する場合に、この超音波洗浄装置110を用いれば、それぞれの超音波洗浄装置110を互いに近接して配置することができるので、全体としてさらにコンパクトな超音波複合洗浄装置を構成することができる。
なお、本変形例1の超音波洗浄装置110では、実施例1と同様のバキューム装置64、65を用いる場合、バキューム管60、61に代えて、挿通孔59a、59bを通して塵埃を吸引するように構成すると良い。
(変形例2)
次に、変形例2にかかる超音波洗浄装置210を、図8を参照して説明する。この超音波洗浄装置210は、実施例1の超音波洗浄装置10における超音波放射装置50及び超音波振動子20、30を、超音波放射装置250及び超音波振動子220、230に代えた点でのみ相違する。そこで、以下では超音波放射装置250及び超音波振動子220、230についての相違部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
図8は、超音波洗浄装置210のうち、超音波放射装置250の中心付近から一端側の部分を示した部分破断断面図である。超音波放射装置250のうち、第1介在部252、超音波放射部255、第2超音波放射部256、超音波放射面257、第2超音波放射面258、挿通孔259a、259b、超音波振動子220は、実施例1にかかる超音波洗浄装置10のうち超音波放射装置50の第1介在部52、超音波放射部55、第2超音波放射部56、超音波放射面57、第2超音波放射面58、挿通孔59a、59b、超音波振動子20と同様である。
また、超音波放射装置250のうち他端側についても、第2介在部254、超音波振動子230は、超音波放射装置50の第2介在部54、超音波振動子30と同様である。なお、図8において、他端側の部材には( )をつけて表示する。
ところで、実施例1にかかる超音波洗浄装置10のうち、超音波放射装置50は、第1介在部52及び第2介在部54の外周に、径方向に突出する平板状の第1突出部51、第2突出部53を有していた。そして、超音波振動子20、30は、この第1突出部51、第2突出部53に固着されてなる。
これに対して、本変形例2にかかる超音波洗浄装置210のうち超音波放射装置250では、超音波振動子220、230は、第1介在部252及び第2介在部254からその径方向に突出する形態で、これらにホーン221,231の先端面221s,231sで直接固着されてなる。
従って、本変形例2にかかる超音波洗浄装置210は、実施例1に比して、第1突出部51及び第2突出部53を形成すること必要がなく、簡単な構造で容易に製造することができる。
また、本変形例2にかかる超音波洗浄装置210では、超音波振動子220、230により、第1介在部252、第2介在部254に直接超音波振動を加えることができる。このため、超音波放射装置250では、実施例1の超音波放射装置50に比して、超音波放射部255の超音波放射面257、及び第2超音波放射部256の第2超音波放射面258により振幅の大きな定在波を生じさせることができ、これらからより強力な空中超音波を放射させることができる。従って、より確実にガラス基板を洗浄することができる。
次に、実施例2にかかる超音波洗浄装置310を、図9、図10を参照して説明する。図9は、実施例2にかかる超音波洗浄装置310を説明する斜視図であり、図10のうち、(a)はその横断面図、(b)は部分破断縦断面図である。
この超音波洗浄装置310は、図9に示すように、超音波振動を発生する一対の超音波振動子320、330、この超音波振動子320、330を駆動する駆動電源装置340及び空中超音波を被洗浄物に向けて放射する超音波放射装置350を含む。また、この超音波洗浄装置310は、除塵手段として、実施例1と同じく吸引圧を発生する公知のバキューム装置64、65及びバキューム管60、61(図1参照)のほか、これに接続された除塵フード360、361を備える。また、この超音波洗浄装置310は、略平板状のガラス基板370を被洗浄面371に沿って第1方向D1に搬送する実施例1と同様の搬送装置45(図6参照)を有する。
なお、この超音波洗浄装置310のうち、超音波振動子320、330、駆動電源装置340及びバキューム装置364、365は、実施例1における超音波振動子20、30、駆動電源装置40及びバキューム装置64、65と同様であるので、説明を省く。
実施例2にかかる超音波洗浄装置310のうち、超音波放射装置350は、図9に示すように、それぞれ長方形状の金属板からなる超音波放射部355と第2超音波放射部356とを有し、それぞれの両端部に正方形状の金属板からなる第1介在部352及び第2介在部354を溶接した、横長の開口部を持つロ字状枠体である。従って、この超音波放射装置350では、超音波放射部355及び第2超音波放射部356の両端に位置する第1介在部352及び第2介在部354によって全体が結合されている。
このうち、超音波放射部355は、空中超音波を対向する第2超音波放射部356側(図10(a)中、下方向)に向かって放射する超音波放射面357を有する。同様に、第2超音波放射部356は、空中超音波を対向する超音波放射部355側(図10(a)中、上方向)に向かって放射する第2超音波放射面358を有する。
また、図10(b)に示すように、第1介在部352には、超音波振動子320のホーン部321が固着されてなる。同様に、第2介在部354にも、超音波振動子330のホーン部331が固着されてなる。なお、図10(b)において、他端側の部材には( )をつけて表示する。
また、この超音波洗浄装置310では、実施例1と異なり、超音波放射装置350のうち、超音波放射部355を図9において上方から覆うように、また、第2超音波放射部356を図9において下方向から覆うように除塵フード360、361が配置されている。この除塵フード360、361は、その管接続部360b、361bが、バキューム管60、61にそれぞれ接続している。従って、バキューム装置64、65を作動させて吸気圧を発生させることで、バキューム管60、61を経て除塵フード360、361により、超音波放射面357と第2超音波放射面358に挟まれた空間及びその近傍の空気を吸引し、この領域に浮遊している塵埃を除去する。
実施例2にかかる超音波洗浄装置310を用いて、超音波洗浄を行う方法を以下に説明する。
搬送装置45で、略平面状の被洗浄面371及び第2被洗浄面372を有するガラス基板370を、超音波放射装置350の超音波放射部355と第2超音波放射部356との間を通るように、被洗浄面371に沿う第1方向D1に搬送する。超音波洗浄装置310は、この第1方向D1に直交する第2方向D2に超音波放射装置350の長手方向を一致させた状態で、被洗浄面371及び第2被洗浄面372が、超音波放射面357及び第2超音波放射面358と互いに平行になるように配置されている。
超音波振動子320、330で超音波振動を発生させると、、第1介在部352及び第2介在部354が超音波振動させられ、さらに超音波放射部355、第2超音波放射部356にもその超音波振動が伝わる。このため、これら超音波放射部355及び第2超音波放射部356には、それぞれ第2方向D2に、超音波振動の腹部と節部が交互に並んだ定在波が発生する。さらに、この超音波放射部355の超音波放射面357、及び、第2超音波放射部356の第2超音波放射面358から、それぞれ放射面に垂直な方向に向けて、空中超音波が放射される。この空中超音波に叩かれて、被洗浄面371及び第2被洗浄面372に付着していた塵埃が剥離する。剥離した塵埃は、超音波の放射圧により、被洗浄面371と超音波放射面357の間に生じる定在波の節部に集まるようにして空中に浮遊する。そこで、この塵埃を、バキューム装置64を作動させて、除塵フード360及び管接続部360bを通じて吸い取り内除去する。第2被洗浄面372から剥離した塵埃も、同様にして除塵フード361及び管接続部361bを通じてバキューム装置65で吸い取り除去する。
このようにして、実施例2にかかる超音波洗浄装置310でも、ガラス基板370の被洗浄面371あるいは第2被洗浄面372に付着していた塵埃を除去し、洗浄することができる。
次に実施例3にかかる複合超音波洗浄装置400を図11〜図13を参照して説明する。この複合超音波洗浄装置400は、前側超音波洗浄装置410及び後側超音波洗浄装置510を含む。なお、前側超音波洗浄装置410及び後側超音波洗浄装置510の詳細については、実施例1にかかる超音波洗浄装置10と同様であるので、説明を省略あるいは簡略化する。
本実施例3にかかる複合超音波洗浄装置400では、図11に示すように、前側超音波洗浄装置410のうち、超音波振動子420、430、第1突出部451、第1介在部452、第2突出部453、第2介在部454、超音波放射部455、第2超音波放射部456、超音波放射面457、第2超音波放射面458、挿通孔459a、459b、バキューム管460、461は、実施例1にかかる超音波洗浄装置10の超音波振動子20、30、第1突出部51、第1介在部52、第2突出部53、第2介在部54、超音波放射部55、第2超音波放射部56、超音波放射面57、第2超音波放射面58、挿通孔59a、59b、バキューム管60、61にそれぞれ相当する。なお、説明を省略するが、同様に、後側超音波洗浄装置510の各部も、超音波洗浄装置10の対応する各部に相当する。
さらに、複合超音波洗浄装置400は、各超音波振動子420、430、520、530に接続する駆動電源装置440、各バキューム管460、461、560、561に接続されるバキューム装置、及び被洗浄物であるガラス基板470を第1方向D01に搬送するための搬送装置を含む。
次いで、実施例3にかかる複合超音波洗浄装置400を用いて、ガラス基板470を第1方向D01に搬送し、挿通孔459a、459b及び挿通孔559a、559b内を挿通させて洗浄を行う場合について説明する。
図12に示すように、複合超音波洗浄装置400では、前側超音波洗浄装置410において、ガラス基板470を搬送する第1方向D41は、複合超音波洗浄装置400の搬送方向である第1方向D01に一致している。また、後側超音波洗浄装置510において、ガラス基板470を搬送する第1方向D51も、第1方向D01に一致している。つまり、前側超音波洗浄装置410における第1方向D41と、後側超音波洗浄装置510の第1方向D51とは互いに一致(同方向)となるように配置されている。
さらに、前側超音波洗浄装置410において、第1方向D41と第2方向D42とは直交し、後側超音波洗浄装置510において、第1方向D51と第2方向D52とも直交している。このため、前側超音波洗浄装置410における第2方向D42と、後側超音波洗浄装置510における第2方向D52とは、互いに平行にされている。つまり、前側超音波洗浄装置410の超音波放射部455と後側超音波洗浄装置510の超音波放射部555は、互いに平行に配置されている。
さらに、この複合超音波洗浄装置400では、前側超音波洗浄装置410の前側超音波放射装置450に対し、後側超音波洗浄装置510の後側超音波放射装置550が、その第2方向D52(第2方向D42)に沿って、超音波放射部455、555に生じる定在波の波長λの1/4分の寸法(λ/4)だけずれて配置されている。例えば、挿通孔459a、559aの端点(図11参照)の位置で比較すると、前側超音波放射装置450の挿通孔459aの端点459atと、後側超音波放射装置550の挿通孔559aの端点559atとが、互いに第2方向D42(第2方向D52)にλ/4分だけずれるように、前側超音波放射装置450と後側超音波放射装置550が配置されている。このため、搬送方向である第1方向D01から見ると、図13(a)及び(c)に示すように、これらの前側超音波放射装置450及び後側超音波放射装置550では、超音波放射面457に生じる定在波492の位置と、超音波放射面557の定在波592の位置とが、第2方向D42(第2方向D52)に、互いにλ/4ずれていることとなる。このため、第1方向D01から見ると、定在波492と定在波592とでは、節部と腹部の位置が互いに逆の関係となっている。即ち、定在波492の腹部492hと定在波592の節部592fとが重なり、逆に、定在波492の節部492fと定在波592の腹部592hとが重なって見える関係になっている。
次いで、実施例3にかかる複合超音波洗浄装置400を用いて、ガラス基板470を第1方向D01に搬送し、挿通孔459a、459b及び挿通孔559a、559b内を挿通させて洗浄を行う場合について説明する。
実施例1にかかる超音波洗浄装置10と同様に、前側超音波洗浄装置410では、ガラス基板470の被洗浄面471が前側超音波放射装置450の超音波放射面457に対向する位置まで、ガラス基板470が搬送されると、超音波放射面457から放射される超音波の放射圧によりガラス基板470の被洗浄面471上の塵埃が剥離される。剥離された塵埃は超音波放射面457とガラス基板470の被洗浄面471との間に生ずる定在波による超音波浮揚現象によりその節部493付近に集められ、さらにバキューム感460,461を通じ、バキューム装置(64、65:図1参照)により吸引される。
ところで、超音波放射面457から放射される空中超音波の強度は、定在波492のうち腹部492hの位置で強く、節部492fで弱くなる。従って、ガラス基板470の被洗浄面471のうち、この腹部492hに対応する第1照射部471aにある塵埃は、強力な超音波により確実に除去される。
しかしながら、ガラス基板470の被洗浄面471のうち、定在波492の節部492fに対応する第2照射部471bにある塵埃は、節部492fから放射される超音波の強度が小さいために、十分除去できない場合がある。
ところが、ガラス基板470の被洗浄面471が後側超音波放射装置550の超音波放射面557に対向する位置まで、ガラス基板470が搬送されると、被洗浄面471のうち、第2照射部471bは、超音波放射面557に発生する定在波592のうち腹部592hに対応する位置に搬送される。従って、第2照射部471bに付着している塵埃も被洗浄面471から剥離され、超音波放射面557とガラス基板470の被洗浄面471との間に生ずる定在波による超音波浮揚現象によりその節部593付近に集められて、確実に除去される。
なお、ガラス基板470の第2被洗浄面472と、第2超音波放射面458、558にそれぞれ生じる定在波との関係も同様である。
かくして、実施例3にかかる複合超音波洗浄装置400では、被洗浄物の搬送方向である第1方向D01から見て、超音波放射面457、557(第2超音波放射面458、558)に生じる定在波492、592の腹部と節部の位置が互いに逆の関係となっている前側超音波洗浄装置410及び後側超音波洗浄装置510を備えるので、被洗浄物をムラ無く適切に洗浄できる。
以上において、本発明を実施例1〜3及び変形例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1〜3及び変形例1、2では、除塵手段としてバキューム装置を例示したが、超音波で剥離した塵埃を除去できれば良い。例えば、一方から送風し他方で吸気(吸引)することで空気の流れを形成して、この流れに塵埃を載せて除塵する方法が挙げられる。また、このような空気の流れによらず、あるいはこれに加えて、電界を掛けて集塵する、いわゆる電気集塵装置を使用しても良い。これらの場合、イオン化したガスを使用したり電界を掛けたりするなどすると、塵埃が洗浄面から剥離しやすくなるのでなお良い。
また、実施例等ではいずれも、超音波放射装置50等に、一対の超音波振動子20、30等を用いた例を示したが、例えば、実施例1において、超音波振動子20のみを使用するなど、1つの超音波振動子で超音波放射装置を駆動、励振するようにしても良い。但し、超音波放射面57(第2超音波放射面58)に生じる超音波振動(定在波)の強度が、超音波振動子から離れるほど低下する、このため、第2方向D2に沿って見たときに、放射される空中超音波の強度が均一にならない傾向が生じる。したがって、実施例1等のように、一対の超音波振動子20、30等を用いるのが好ましい。
また、実施例1等では、超音波放射部55と第2超音波放射部56とを、共通する超音波振動子20、30等で励振し、超音波振動を生じさせた。しかし、被洗浄物の被洗浄面に向けて超音波を放射する超音波放射部と、第2被洗浄面に向けて超音波を放射する第2超音波放射部とを、別の超音波振動子で励振しても良い。またこの場合には、互いの超音波振動子の周波数や位相を異ならせるようにしても良い。
さらに、実施例1等では、被洗浄物(ガラス基板70)の被洗浄面71のみならず、第2被洗浄面72についても洗浄できる超音波洗浄装置10等について例示した。しかし、対象とする被洗浄物に応じ、一方の被洗浄面のみを洗浄する超音波洗浄装置とすることもできる。
さらに、実施例3では、2つの超音波洗浄装置(前側超音波洗浄装置410、後側超音波洗浄装置510)を備える複合超音波洗浄装置400について例示したが、さらに多数の超音波洗浄装置を複合した複合超音波洗浄装置とすることもできる。この場合には、互いに対になる超音波洗浄装置について、被洗浄物の搬送方向である第1方向に沿って見たときに、超音波放射面に生じる定在波の節部と腹部の位置が互いに逆の関係となっているようにすればよい。従って、他の対の超音波洗浄装置との間では、位置や超音波振動の周波数が適宜異なっていても良い。
実施例1にかかる超音波洗浄装置を示す斜視図である。 実施例1にかかる超音波放射装置の縦断面図である。 実施例1に係る超音波放射装置にかかり、(a)は図2におけるBB矢視断面図、(b)は図2におけるCC矢視断面図である。 実施例1にかかる超音波洗浄装置でガラス基板を洗浄する状態を示す斜視図である。 図4に示す状態の超音波放射装置にかかり、(a)は第1介在部における横断面図、(b)は第1介在部近傍における縦断面図である。 図3に示す状態の実施例1の超音波放射装置にかかり、図5(b)におけるEE矢視断面図である。 変形例1にかかる超音波洗浄装置のうち、超音波放射装置と超音波振動子の関係を示す説明図である。 変形例2にかかる超音波洗浄装置のうち、超音波放射装置と超音波振動子との関係を示す説明図である。 実施例2にかかる超音波洗浄装置を示す斜視図である。 実施例2の超音波洗浄装置にかかり、(a)は中央部における横断面図、(b)は第1介在部近傍における部分破断縦断面図である。 実施例3にかかる複合超音波洗浄装置を示す斜視図である。 実施例3の複合超音波洗浄装置のうち、前側超音波洗浄装置と後側超音波洗浄装置との位置関係を説明するための説明図である。 実施例3の複合超音波洗浄装置にかかり、(a)は前側超音波放射装置450の超音波放射面457に生じる定在波の振幅を示すグラフであり、縦方向は振幅、横方向は位置を示す。(b)は前側超音波放射装置450の超音波放射部455(超音波放射面457)とガラス基板470の被洗浄面471の洗浄具合を示す説明図である。(c)は後側超音波放射装置550の超音波放射面557に生じる定在波の振幅を示すグラフであり、縦方向は振幅、横方向は位置を示す。(d)は後側超音波放射装置550の超音波放射部555(超音波放射面557)とガラス基板470の被洗浄面471の洗浄具合を示す説明図である。
符号の説明
10、110、210、310 超音波洗浄装置
20、30、120、130、220、230、320、330、420、430、520、530 超音波振動子
40、340、440 駆動電源装置
45 搬送装置
50、150、250、350、450、550 超音波放射装置
52、152、252、352、452、552 第1介在部
54、154、254、354、454、554 第2介在部
55、155、255、355、455、555 超音波放射部
56、156、256、356、456、556 2超音波放射部
57、157、257、357、457、557 超音波放射面
58、158、258、358、458、558 第2超音波放射面
64、65、364、365 バキューム装置(除塵手段、第2除塵手段)
70、370、470 ガラス基板
71、371、471 被洗浄面
72、372、472 第2被洗浄面
90a、90b、492、592 定在波
400 複合超音波洗浄装置
410 前側超音波洗浄装置
450 前側超音波放射装置
510 後側超音波洗浄装置
550 後側超音波放射装置
λ (超音波放射面に生じた定在波の)波長
D1、D01、D41、D51 第1方向
D2、D42、D52 第2方向

Claims (12)

  1. 略平面状の被洗浄面を有し上記被洗浄面に沿う第1方向に相対的に搬送される被洗浄物について、上記被洗浄面に付着した塵埃を除去する超音波洗浄装置であって、
    超音波振動を発生する超音波振動子と、
    上記超音波振動子の超音波振動により、超音波振動が励起されて、放射面から上記被洗浄面に向けて空中に超音波を放射する超音波放射部と、を備え、
    上記超音波放射部は、
    そのうちの上記放射面が、上記被洗浄面に沿い上記第1方向に交差する第2方向に長く延ばされた形状を有し、
    上記超音波振動子の超音波振動により、上記放射面において、上記第2方向に振動の腹部と節部とが交互に並んだ定在波を生じる形態を有する
    超音波洗浄装置。
  2. 請求項1に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記被洗浄面と前記放射面との間に浮遊する塵埃を除去する除塵手段を備える
    超音波洗浄装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記超音波放射部は、
    前記第2方向に直交する断面において、前記放射面が前記被洗浄面に向かって凹形状の円弧をなす形態を有し、
    上記円弧の仮想中心が、相対的に搬送される前記被洗浄物の前記被洗浄面の近傍に位置するように配置されてなる
    超音波洗浄装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記被洗浄物は、前記被洗浄面の裏面が略平面状の第2被洗浄面である略平板状の形態を有し、
    前記超音波振動子の超音波振動により、超音波振動が励起されて、第2放射面から上記第2被洗浄面に向けて空中に超音波を放射する第2超音波放射部と、を備え、
    上記第2超音波放射部は、
    そのうちの上記第2放射面が、上記第2被洗浄面に沿い前記第2方向に長く延ばされた形状を有し、
    上記超音波振動子の超音波振動により、上記第2放射面において、上記第2方向に振動の腹部と節部とが交互に並んだ定在波を生じる形態を有する
    超音波洗浄装置。
  5. 請求項4に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記第2被洗浄面と前記第2放射面との間に浮遊する塵埃を除去する第2除塵手段を備える
    超音波洗浄装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記第2超音波放射部は、
    前記第2方向に直交する断面において、前記第2放射面が前記第2被洗浄面に向かって凹形状の第2円弧をなす形態を有し、
    上記第2円弧の第2仮想中心が、相対的に搬送される前記被洗浄物の前記第2被洗浄面の近傍に位置するように配置されてなる
    超音波洗浄装置。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の超音波洗浄装置であって、
    互いに平行に配置された前記超音波放射部及び第2超音波放射部と、上記超音波放射部及び第2超音波放射部の両端縁にそれぞれ位置して、両者の間に介在する第1介在部及び第2介在部と、からなる超音波放射体を有し、
    前記超音波振動子は、上記第1介在部及び第2介在部の少なくともいずれかを、直接または間接に超音波振動させる
    超音波洗浄装置。
  8. 請求項7に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記超音波振動子と同一周波数で駆動される第2超音波振動子を有し、
    上記超音波振動子は前記第1介在部を、上記第2超音波振動子は前記第2介在部を、直接または間接に超音波振動させる
    超音波洗浄装置。
  9. 請求項7または請求項8に記載の超音波洗浄装置であって、
    前記超音波放射部は、
    仮想軸線を中心とする断面円弧状で、この仮想軸線方向に延びる形態を有し、
    前記第2超音波放射部は、
    上記超音波放射部に対向し、上記仮想軸線を中心とする断面円弧状で、上記仮想軸線方向に延びる形態を有し、
    前記第1介在部及び第2介在部は、
    上記超音波放射部及び第2超音波放射部の両端縁にそれぞれ位置して、両者の間に介在する円筒状の形態を有する
    超音波洗浄装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の超音波洗浄装置であって、
    前記超音波振動子または前記超音波振動子と前記第2超音波振動子とは、ボルト締めランジュバン型超音波振動子である
    超音波洗浄装置。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の超音波洗浄装置であって、
    前記超音波振動子をまたは前記超音波振動子と前記第2超音波振動子とを超音波振動させる1又は複数の駆動電源装置を有し、
    上記駆動電源装置は、上記超音波振動子をまたは上記超音波振動子と上記第2超音波振動子とを間欠駆動する間欠駆動電源装置である
    超音波洗浄装置。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の超音波洗浄装置を複数備える複合超音波洗浄装置であって、
    複数の上記超音波洗浄装置のうち、第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置とは、
    前記超音波放射部同士が、または上記超音波放射部同士及び前記第2超音波放射部同士のいずれもが、同一の波長λを有する定在波を生じる形態とされ、
    上記第1の超音波洗浄装置における前記第1方向と第2の超音波洗浄装置における前記第1方向とは同方向であり、
    上記第1の超音波洗浄装置における前記第2方向と第2の超音波洗浄装置における前記第2方向とは平行であり、
    上記第1方向に沿って上記第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置にかかる2つの上記超音波放射部、または2つの上記超音波放射部及び2つの上記第2超音波放射部を見たとき、これらに生じる定在波の節部と腹部の位置が、上記第1の超音波洗浄装置と第2の超音波洗浄装置において互いに逆の関係となるように配置されてなる
    複合超音波洗浄装置。
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