JP2005329310A - 洗浄液からの鉛の除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Pb、Fe、SおよびClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄して得られる不溶性残渣から、鉛を分離し回収すること。
【解決手段】Pb、Fe、S及びClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄処理して得られる不溶性残渣を含有する洗浄液の処理方法において、該洗浄液を固液分離して得られた該不溶性残渣を、不活性ガス気泡を生成させた浮遊選鉱により、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛を含む部分とに分離する。炭素は還元性熱処理炉に返送し、不溶性硫化鉛は、鉛製錬の原料として利用する。
【選択図】 なし
【解決手段】Pb、Fe、S及びClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄処理して得られる不溶性残渣を含有する洗浄液の処理方法において、該洗浄液を固液分離して得られた該不溶性残渣を、不活性ガス気泡を生成させた浮遊選鉱により、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛を含む部分とに分離する。炭素は還元性熱処理炉に返送し、不溶性硫化鉛は、鉛製錬の原料として利用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、都市ごみや産業廃棄物を熱処理した際に発生するガスを洗浄して得られる重金属を含有する洗浄液から重金属を回収する方法に関する。
都市ごみや産業廃棄物などは、廃棄物処理場において焼却処理されて減容化され、最終的に排出される焼却残渣等の個異物は埋立処分場で埋立処分されている。また、それらの固形物の中でも、焼却または溶融処理した際に発生する飛灰には亜鉛、鉛などの重金属類が含まれていることから、飛灰は、セメント固化や薬剤処理等によって安定化処理された後に埋立処分されている。
しかしながら、このような処分方法は埋立処分場を必要とし、近年ではこのような処分場の確保が非常に困難となってきている。また、安定化処理した場合でも、超長期的には、埋立処分された飛灰から溶出する重金属が環境汚染の原因となるというリスクを抱えているばかりでなく、飛灰中には有用な金属資源が含まれているのに、これら有用な資源が利用されないという問題もある。
また、焼却処理は、廃棄物を焼却炉において酸化性雰囲気中での熱処理であり、廃棄物中に含まれる鉛が酸化鉛などとなって焼却灰中に残存するため、鉛の回収は困難となるばかりでなく、焼却灰中の鉛を更に処理する必要がある。
焼却灰の中でも特に飛灰については、従来より、重金属を除去回収する方法が種々提案されている。
特許文献1には、焼却炉から発生する塩素およびナトリウムを主とする塩類と、亜鉛、銅、鉛を主とする重金属とを含む飛灰の処理方法であって、上記飛灰に水と中和剤を添加して液のpHを8.0〜11.0に調製した後、固液分離する第一工程;得られた残渣に水を加えてリパルプしてpHを3以下に調製して亜鉛・銅を主成分とする重金属分を溶出せしめた後、鉛を主成分とする重金属を含む残渣をろ別する第二工程;および上記第一工程並びに第二工程で得られたろ液に中和剤を添加し、pH7以上に中和して亜鉛を主成分とする重金属の水酸化物を生成させると共に、必要に応じてこのろ液に硫化剤を添加して残りの重金属を硫化物として沈殿させ、これらの沈殿物をろ別する第三工程からなる処理を施すことにより、飛灰に含まれている重金属を、残渣(主に鉛を含有)、水酸化澱物(主に亜鉛を含有)、硫化澱物(主に鉛、亜鉛の硫化物)として分離して、それぞれ非鉄製錬原料として活用できるようにした方法が記載されている。
しかしながら、この方法によっては、重金属含有残渣中には塩素分が多く含まれており、これを非鉄製錬用の原料として使用した場合には、塩素分あるいは塩素化合物が種々の障害を引き起こすという問題がある。
特許文献1には、焼却炉から発生する塩素およびナトリウムを主とする塩類と、亜鉛、銅、鉛を主とする重金属とを含む飛灰の処理方法であって、上記飛灰に水と中和剤を添加して液のpHを8.0〜11.0に調製した後、固液分離する第一工程;得られた残渣に水を加えてリパルプしてpHを3以下に調製して亜鉛・銅を主成分とする重金属分を溶出せしめた後、鉛を主成分とする重金属を含む残渣をろ別する第二工程;および上記第一工程並びに第二工程で得られたろ液に中和剤を添加し、pH7以上に中和して亜鉛を主成分とする重金属の水酸化物を生成させると共に、必要に応じてこのろ液に硫化剤を添加して残りの重金属を硫化物として沈殿させ、これらの沈殿物をろ別する第三工程からなる処理を施すことにより、飛灰に含まれている重金属を、残渣(主に鉛を含有)、水酸化澱物(主に亜鉛を含有)、硫化澱物(主に鉛、亜鉛の硫化物)として分離して、それぞれ非鉄製錬原料として活用できるようにした方法が記載されている。
しかしながら、この方法によっては、重金属含有残渣中には塩素分が多く含まれており、これを非鉄製錬用の原料として使用した場合には、塩素分あるいは塩素化合物が種々の障害を引き起こすという問題がある。
上記の問題を解決するために、特許文献2では、ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集された飛灰に水を加え、さらに必要に応じてアルカリを加えて、スラリーにし、このスラリーを固液分離して可溶性塩類が溶出した溶液と重金属を含む残渣とに分け、次いで分離された残渣を高温加熱処理することによって、残渣中の塩素分及びダイオキシン類を除去し、この処理物を重金属製錬用の原料として回収する方法が提案されている。しかしながら、この方法は別途高温加熱処理工程を設ける必要がある。
特許文献3には、焼却炉から排出される鉛などの重金属類を含有する飛灰に、酸を加えて鉛以外の重金属類を抽出した後、固液分離し、次いで、固液分離して得られた鉛を含む残渣に、可溶化剤を加えて鉛を抽出した後、固液分離し、さらに、固液分離して得られたろ液に、不溶化剤を加えて鉛を不溶化物とした後、固液分離することからなる飛灰中の鉛の回収方法が記載されている。
特許文献4には、飛灰に水を加え、必要に応じてアルカリを加えてpH7〜11のスラリーを調製した後、このスラリーを固液分離し、可溶性塩類が溶出した溶液と重金属が濃縮された残渣とに分け、この重金属が濃縮された残渣に水を加え、さらに硫酸を加えてpH4〜6のスラリーを調製し、このスラリーを固液分離して亜鉛を主体とする重金属を含む溶液と鉛を主体とする重金属を含む残渣とに分けることが記載されている。
しかしながら、上記の方法は、いずれも既に酸化鉛の形に変化した鉛を含む飛灰についての処理であり、一旦酸で溶解した後に再析出させて分離するという工程を含んでおり、操作が煩雑であるばかりでなく、新たに酸を必要とするため、経済的なものではなかった。
一方、近年では、上記した焼却処理に代わる廃棄物処理方法として、廃棄物を還元性熱処理炉で熱処理することが行われている。このような処理方法の例としてガス化改質方式(サーモセレクト方式)によるガス化溶融プロセスが注目されている。この方法は、高温反応炉から発生するガスを酸性水溶液によって洗浄する工程を含んでいるため飛灰は発生せず、しかも廃棄物を還元性雰囲気で熱処理するために酸化鉛の生成が抑えることができる。
一方、近年では、上記した焼却処理に代わる廃棄物処理方法として、廃棄物を還元性熱処理炉で熱処理することが行われている。このような処理方法の例としてガス化改質方式(サーモセレクト方式)によるガス化溶融プロセスが注目されている。この方法は、高温反応炉から発生するガスを酸性水溶液によって洗浄する工程を含んでいるため飛灰は発生せず、しかも廃棄物を還元性雰囲気で熱処理するために酸化鉛の生成が抑えることができる。
特許文献5には、上記のようなガス化改質方式による廃棄物処理において、高温反応炉から発生するガスを酸性水溶液によって洗浄して得られる亜鉛等の重金属を含有する洗浄水から亜鉛等の重金属類を回収する方法が提案されている。この方法は、廃棄物のガス化によって生成するガスを、2≦pH≦3に調製した酸性水溶液で冷却・洗浄した後、該冷却・洗浄に用いた酸性水溶液にアルカリを添加し、得られた処理液を、膜分離装置等の固液分離装置を用いて亜鉛等の重金属を含む固形物と分離水とに分離するというものである。
ところで、廃棄物を還元性熱処理炉で処理すると炭素微粒子が生成するので、この炭素を有効利用するために、洗浄液を固液分離して得られる炭素微粒子を高温反応炉へ返送して炭素ガス化処理しているが、廃棄物中の鉛が多い場合には、鉛が酸不溶分として残り、炭素微粒子との混合固形物として存在するようになる。そして、この混合固形物を熱処理炉に返送すると、鉛が系内で濃縮され、ハンドリングが困難となるが、特許文献5には、これに対する対応策については記載がない。
また、廃棄物中に硫黄分が含まれていると、この硫黄分が硫化水素ガスになり、洗浄液中ではこれが硫化鉛として存在することが多くなる。この硫化鉛は塩酸水溶液ではpH2〜3でも溶解が困難であり、固体状態で存在しやすい。このため、前記特許文献5に開示されているような分離方法では鉛の回収は困難であった。
また、廃棄物中に硫黄分が含まれていると、この硫黄分が硫化水素ガスになり、洗浄液中ではこれが硫化鉛として存在することが多くなる。この硫化鉛は塩酸水溶液ではpH2〜3でも溶解が困難であり、固体状態で存在しやすい。このため、前記特許文献5に開示されているような分離方法では鉛の回収は困難であった。
本発明は、Pb、Zn、S及びClを含有する都市ごみや産業廃棄物(以下「廃棄物」ともいう)を還元雰囲気で熱処理した際に発生するガスを洗浄して得られる不溶性残渣から、鉛を分離し回収することを目的とする。
本発明者等は、上記の目的を達成する方法について鋭意検討を重ねた結果、廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生する炭素微粒子と鉛化合物とは浮遊選鉱によって分離できることができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次に記載する通りのものである。
(1)Pb、Fe、S及びClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄処理して得られる不溶性残渣を含有する洗浄液の処理方法において、該洗浄液を固液分離または固体濃縮して得られた該不溶性残渣を、不活性ガス気泡を生成させた浮遊選鉱により、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛を含む部分とに分離することを特徴とする洗浄液の処理方法。
(2)前記浮遊選鉱において、液状の炭化水素を浮選捕収剤として添加することを特徴とする上記(1)の洗浄液の処理方法。
(3)前記浮遊選鉱において、溶液の酸化還元電位が100mV以下で行うことを特徴とする上記(1)、(2)の洗浄液の処理方法。
(4)前記処理をpH4以下で実施することを特徴とする上記(1)〜(3)の洗浄液の処理方法。
(1)Pb、Fe、S及びClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄処理して得られる不溶性残渣を含有する洗浄液の処理方法において、該洗浄液を固液分離または固体濃縮して得られた該不溶性残渣を、不活性ガス気泡を生成させた浮遊選鉱により、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛を含む部分とに分離することを特徴とする洗浄液の処理方法。
(2)前記浮遊選鉱において、液状の炭化水素を浮選捕収剤として添加することを特徴とする上記(1)の洗浄液の処理方法。
(3)前記浮遊選鉱において、溶液の酸化還元電位が100mV以下で行うことを特徴とする上記(1)、(2)の洗浄液の処理方法。
(4)前記処理をpH4以下で実施することを特徴とする上記(1)〜(3)の洗浄液の処理方法。
本発明によれば、廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生する炭素と不溶性硫化鉛とを含む不溶性残渣を処理して、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛とを含む部分とに分離することにより、炭素を主に含有する部分を還元性熱処理炉に返送しても系内に鉛が濃縮されることがなく、また、不溶性硫化鉛とを含む部分を鉛製錬用原料として効率良く回収することができるという効果が奏される。
本発明の方法を、前記したガス化改質方式を例にとって図に基づいて説明する。
まず、ガス化改質方式の一つの例を図1に基づいて説明する。
図1に示されたガス化改質方式は次のプロセスから構成されている。
まず、ガス化改質方式の一つの例を図1に基づいて説明する。
図1に示されたガス化改質方式は次のプロセスから構成されている。
1.プレス・脱ガスチャンネル
(1)ごみの圧縮、(2)乾燥・熱分解
2.高温反応炉・均質化炉
(3)ガス化溶融、(4)スラグ均質化、(5)ガス改質
3.ガス精製
(6)急冷(急冷・酸洗浄、酸洗浄)、(7)ガス精製(アルカリ洗浄、脱硫、除湿)
4.水処理
(8)水処理(沈殿、脱塩等)
(1)ごみの圧縮、(2)乾燥・熱分解
2.高温反応炉・均質化炉
(3)ガス化溶融、(4)スラグ均質化、(5)ガス改質
3.ガス精製
(6)急冷(急冷・酸洗浄、酸洗浄)、(7)ガス精製(アルカリ洗浄、脱硫、除湿)
4.水処理
(8)水処理(沈殿、脱塩等)
この方式の基本的な構成をフローに沿って説明すると次の通りである。
ピットに集積された都市ごみ等の廃棄物はプレス機で圧縮された後、乾燥熱分解工程で間接加熱により加熱乾留されて高温反応炉内に送られる。高温反応炉の下部にはバーナが配置され、このバーナによって炉内に燃料ガスと酸素が導入され、この酸素ガスが乾留物中の炭素をガス化し、一酸化炭素と二酸化炭素が生成する。また、高温水蒸気が存在する場合には、炭素と水蒸気とによる水性ガス反応により、一酸化炭素と水素が生成される。更に、有機化合物はガス改質により、一酸化炭素と水素が生成する。
上記の反応の結果、高温反応炉の炉頂部から粗合成ガスが排出される。
ピットに集積された都市ごみ等の廃棄物はプレス機で圧縮された後、乾燥熱分解工程で間接加熱により加熱乾留されて高温反応炉内に送られる。高温反応炉の下部にはバーナが配置され、このバーナによって炉内に燃料ガスと酸素が導入され、この酸素ガスが乾留物中の炭素をガス化し、一酸化炭素と二酸化炭素が生成する。また、高温水蒸気が存在する場合には、炭素と水蒸気とによる水性ガス反応により、一酸化炭素と水素が生成される。更に、有機化合物はガス改質により、一酸化炭素と水素が生成する。
上記の反応の結果、高温反応炉の炉頂部から粗合成ガスが排出される。
一方、高温反応炉下部で生成した溶融物は高温反応炉から均質化炉へ流れ出る。この溶融物には炭素や微量の重金属が含まれており、均質化炉において炭素は十分な酸素と水蒸気によってガス化されて二酸化炭素、一酸化炭素及び水素を生成する。均質化炉において金属溶融物は比重が大きいため、スラグの下部に溜まる。溶融物は水砕システムへ流れ落ちて、冷却固化され、メタル・スラグの混合物は、磁選によりメタルとスラグとに分離される。
高温反応炉から排出される粗合成ガスに対して、急冷装置で酸性水を噴射することによってガスの温度を約1200℃から約70℃にまで急速冷却し、ダイオキシン類の生成を阻止する。この時、酸性水によってガスが洗浄され、粗合成ガス中に含まれる亜鉛などの重金属成分と塩素分は洗浄液中に溶け込む。
酸洗浄された合成ガスは、必要に応じて更に酸洗浄を施されたのちアルカリ洗浄され残存する塩化水素ガス等の酸性ガスが中和除去される。次いで、脱硫洗浄装置でガス中の硫化水素が硫黄に転換されて硫黄ケーキとして回収される。次いで合成ガスは低温除湿工程で水分を除去された後、精製された燃料ガスとして利用される。
一方、洗浄液は水処理装置において、重金属分などが除去される。
一方、洗浄液は水処理装置において、重金属分などが除去される。
本発明は上記のような鉛と炭素微粒子とを含む洗浄水から鉛と炭素微粒子とを分離して回収するための構成に特徴がある。以下では、高温反応炉から発生するガスの洗浄方法及び洗浄水の処理方法についてより詳細に説明する。
図1において、高温反応炉の頂部から排出される廃棄物のガス化によって生成したガスは、ガス精製設備に送給される経路の途中で、酸性水溶液を噴射することによって急冷・酸洗浄処理される。廃棄物中に含まれる塩素は主として塩化水素として合成ガス中に存在し、この塩化水素は冷却・洗浄液中に溶け込む。この塩化水素を含む酸性水溶液によって粗合成ガスは洗浄され、炭素微粒子及び鉛等の重金属成分が除去される。酸性水溶液はpH2〜4とすることが好ましい。酸性水溶液をpH2〜4とすることにより重金属を冷却・酸洗浄水中に効果的に溶解・吸収させることができる。
次いで、固液分離装置を用いて洗浄液中の固形分を濃縮する。固液分離装置としては、沈殿槽、遠心分離機、ろ過装置等が適用できる。濃縮によって得た濃縮液を攪拌手段等によって攪拌して濃縮液中の粒子を微細分散させた後、不活性ガス気泡を生成させて浮遊選鉱する。気泡剤としては、MIBC(4-Methyl-2-pentanol)、ポリグリコールなどが使用できるが、気泡剤を使用しなくても、浮遊選鉱は可能である。
また、液状の炭化水素、例えば、ケロシン、軽油などを浮選捕収剤として使用することができるが、浮選捕収剤を使用しなくても、浮遊選鉱は可能である。液状の炭化水素を添加すると、疎水性の炭素微粒子に付着して、炭素微粒子同士を接着する効果があり、炭素凝集粒子を気泡による浮上を安定化させ、効率的に浮遊選鉱することが可能となる。この浮遊選鉱により炭素微粒子を不活性ガス気泡に捕捉させて分離する。分離した炭素微粒子はガス化改質炉に返送して合成ガスに転換する。
浮選捕収剤としてケロシンを用いて浮選実験を行った結果を図3に示す。
図3に示した小型実験では、後述の実施例で用いた装置を使用して約0.65kg/バッチで実験を行った。
スラッジ液100質量%に対してケロシンを0.77質量%添加した場合の浮遊選鉱実験結果を示す。ケロシンを加えた場合は、ケロシンを加えない場合に比べて浮上の状況が安定し、フロス中の炭素の累積割合は5分で87.5質量%、鉛の割合は30.1質量%となり、良好な鉛の濃縮効果が得られた。なお、前記の累積割合は、装入した炭素及び鉛をそれぞれ100質量%とした場合の、浮選されて、フロスとして回収された炭素及び鉛のそれぞれの質量%を示す。
図3に示した小型実験では、後述の実施例で用いた装置を使用して約0.65kg/バッチで実験を行った。
スラッジ液100質量%に対してケロシンを0.77質量%添加した場合の浮遊選鉱実験結果を示す。ケロシンを加えた場合は、ケロシンを加えない場合に比べて浮上の状況が安定し、フロス中の炭素の累積割合は5分で87.5質量%、鉛の割合は30.1質量%となり、良好な鉛の濃縮効果が得られた。なお、前記の累積割合は、装入した炭素及び鉛をそれぞれ100質量%とした場合の、浮選されて、フロスとして回収された炭素及び鉛のそれぞれの質量%を示す。
浮遊選鉱において、酸化還元電位が高いと、溶液中の第一鉄イオンが第二鉄イオンになり、酸性でも、水酸化第二鉄を析出し、これが、炭素微粒子表面に析出することにより、炭素微粒子の疎水性を低下させ、分離性を低下させる。さらには、水酸化第二鉄が析出することにより、鉛濃度も低下する。したがって、浮遊選鉱は、溶液の酸化還元電位を100mV以下として行うことが好ましい。
空気の気泡により捕捉させる場合は、空気中の酸素が水溶液に溶け込み、例えば、第一鉄イオンが第二鉄イオンになるなどの反応が起こり、pHの上昇が起これば、水酸化物の発生により、不純物の増加が起こる。このため、ガス気泡としては不活性ガスの気泡を用いる。また、pHを4以下に保って、水酸化物の生成を防ぐことが好ましい。
得られた炭素微粒子を除去した液を固液分離して、鉛濃縮物とすることができる。
得られた炭素微粒子を除去した液を固液分離して、鉛濃縮物とすることができる。
急冷・酸洗浄液から固形分を除去した後の液およびガス精製工程で発生する洗浄液には水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加してpH4〜7として酸化還元電位を調整し、水酸化鉄、水酸化アルミニウム等を選択的に沈殿させ、これを固液分離または固体濃縮した後、得られる固形分をガス化改質炉に返送する。固液分離装置としては、沈殿槽、遠心分離機、ろ過装置などが適用できる。好ましくは、凝集沈殿の後、フィルタープレスで固形分離するのが好ましい。
一方、固液分離後の液には水酸化ナトリウムを添加してpH7〜11に調整することによって水酸化亜鉛を主体とする金属水酸化物を沈殿させ、これを固形分として回収する。得られた亜鉛分を含む固形分は製錬所の亜鉛原料として利用する。
[比較例1]
鉛、亜鉛、鉄、硫黄、塩素を含有する廃棄物を図1に示したガス化改質炉で処理した。得られた粗合成ガスをpH2〜3の酸性水溶液で急冷・酸洗浄処理した。急冷・酸洗浄後のガスを更にガス精製処理を行って精製合成ガスを得た。
急冷・酸洗浄後の洗浄液とガス精製処理工程で生じた際に発生した洗浄液とを合わせて、これに水酸化ナトリウムを添加してpH5とし、酸化還元電位を調整して、水酸化鉄、水酸化アルミニウム等を析出させ、凝集沈殿後にフィルタープレス法により固形分を分離した。
次に、第1固液分離装置で固形分を除去された液に水酸化ナトリウムを添加してpH9とすることによって、水酸化亜鉛、水酸化鉛等を析出させ、析出した固形分を第2固液分離装置で分離し、回収した。
第2固液分離装置で固形分を除去された液から、脱カルシウムし、次いで塩製造装置において再生処理水と混合塩を得た。
前記第1固液分離装置で分離された固形分中には、炭素微粒子、水酸化鉄、水酸化アルミニウムだけでなく、硫化鉛も含まれており、この鉛の濃度は乾ベースで10質量%であった。
鉛、亜鉛、鉄、硫黄、塩素を含有する廃棄物を図1に示したガス化改質炉で処理した。得られた粗合成ガスをpH2〜3の酸性水溶液で急冷・酸洗浄処理した。急冷・酸洗浄後のガスを更にガス精製処理を行って精製合成ガスを得た。
急冷・酸洗浄後の洗浄液とガス精製処理工程で生じた際に発生した洗浄液とを合わせて、これに水酸化ナトリウムを添加してpH5とし、酸化還元電位を調整して、水酸化鉄、水酸化アルミニウム等を析出させ、凝集沈殿後にフィルタープレス法により固形分を分離した。
次に、第1固液分離装置で固形分を除去された液に水酸化ナトリウムを添加してpH9とすることによって、水酸化亜鉛、水酸化鉛等を析出させ、析出した固形分を第2固液分離装置で分離し、回収した。
第2固液分離装置で固形分を除去された液から、脱カルシウムし、次いで塩製造装置において再生処理水と混合塩を得た。
前記第1固液分離装置で分離された固形分中には、炭素微粒子、水酸化鉄、水酸化アルミニウムだけでなく、硫化鉛も含まれており、この鉛の濃度は乾ベースで10質量%であった。
[比較例2]
鉛、亜鉛、鉄、硫黄、塩素を含有する廃棄物を図1に示したガス化改質炉で処理した。得られた粗合成ガスをpH2〜3の酸性水処理水溶液で急冷・酸洗浄処理した。急冷・酸洗浄後のガスについては更にガス精製処理を行って精製合成ガスを得た。
急冷・酸洗浄後の洗浄液を沈殿濃縮処理して、濃縮固形分液を得た。溶液中には第一鉄イオンが存在した。この濃縮固形分液を攪拌して固形粒子を微細化分散させた後、空気の気泡による浮遊選鉱により炭素微粒子を分離した。該液の酸化還元電位は、170mVであった。分離した炭素固形分はガス化改質炉に返送して、燃料ガスに転換した。空気による酸化作用により、第二鉄イオンになり、水酸化鉄を析出した。該スラリーを固液分離して鉛の濃度を分析すると、乾ベースで12質量%であり、鉛の濃縮効果が少なかった。
鉛、亜鉛、鉄、硫黄、塩素を含有する廃棄物を図1に示したガス化改質炉で処理した。得られた粗合成ガスをpH2〜3の酸性水処理水溶液で急冷・酸洗浄処理した。急冷・酸洗浄後のガスについては更にガス精製処理を行って精製合成ガスを得た。
急冷・酸洗浄後の洗浄液を沈殿濃縮処理して、濃縮固形分液を得た。溶液中には第一鉄イオンが存在した。この濃縮固形分液を攪拌して固形粒子を微細化分散させた後、空気の気泡による浮遊選鉱により炭素微粒子を分離した。該液の酸化還元電位は、170mVであった。分離した炭素固形分はガス化改質炉に返送して、燃料ガスに転換した。空気による酸化作用により、第二鉄イオンになり、水酸化鉄を析出した。該スラリーを固液分離して鉛の濃度を分析すると、乾ベースで12質量%であり、鉛の濃縮効果が少なかった。
鉛、亜鉛、鉄、硫黄、塩素を含有する廃棄物を図1に示したガス化改質炉で処理した。得られた粗合成ガスをpH2〜3の酸性水処理水溶液で急冷・酸洗浄処理した。急冷・酸洗浄後のガスについては更にガス精製処理を行って精製合成ガスを得た。
急冷・酸洗浄後の洗浄液を沈殿濃縮処理して、濃縮固形分液を得た。溶液中には第一鉄イオンが存在した。この濃縮固形分液を攪拌して固形粒子を微細化分散させた後、不活性ガスである窒素の気泡による浮遊選鉱により炭素微粒子を分離した。該液の酸化還元電位は、−10mVであった。分離した炭素固形分はガス化改質炉に返送して、燃料ガスに転換した。該スラリーを固液分離して鉛の濃度を分析すると、乾ベースで20質量%であり、鉛の濃縮効果が確認された。
浮選機としては、機械式浮遊選鉱装置を用いた。この装置は、浮選槽の中央に竪軸が取り付けられ、竪軸の下端に羽を有するインペラが取り付けてある。そして、このインペラの撹拌により、給液を吸い込み、不活性ガスを吸い込み気泡を発生し、この気泡により、疎水性固形物が付着し、浮上分離される。
本実施例では、装入量:約40kg/min、滞留時間:10min、連続式4槽で実施した。
急冷・酸洗浄後の洗浄液を沈殿濃縮処理して、濃縮固形分液を得た。溶液中には第一鉄イオンが存在した。この濃縮固形分液を攪拌して固形粒子を微細化分散させた後、不活性ガスである窒素の気泡による浮遊選鉱により炭素微粒子を分離した。該液の酸化還元電位は、−10mVであった。分離した炭素固形分はガス化改質炉に返送して、燃料ガスに転換した。該スラリーを固液分離して鉛の濃度を分析すると、乾ベースで20質量%であり、鉛の濃縮効果が確認された。
浮選機としては、機械式浮遊選鉱装置を用いた。この装置は、浮選槽の中央に竪軸が取り付けられ、竪軸の下端に羽を有するインペラが取り付けてある。そして、このインペラの撹拌により、給液を吸い込み、不活性ガスを吸い込み気泡を発生し、この気泡により、疎水性固形物が付着し、浮上分離される。
本実施例では、装入量:約40kg/min、滞留時間:10min、連続式4槽で実施した。
本発明は、廃棄物から有価物である鉛を効果的に回収することができるので、廃棄物の排出量の削減、資源リサイクルの観点から見てその利用性は高い。
Claims (4)
- Pb、Fe、S及びClを含有する廃棄物を還元性熱処理炉で処理した際に発生するガスを洗浄処理して得られる不溶性残渣を含有する洗浄液の処理方法において、該洗浄液を固液分離または固体濃縮して得られた該不溶性残渣を、不活性ガス気泡を生成させた浮遊選鉱により、炭素を主に含有する部分と不溶性硫化鉛を含む部分とに分離することを特徴とする洗浄液の処理方法。
- 前記浮遊選鉱において、液状の炭化水素を浮選捕収剤として添加することを特徴とする請求項1記載の洗浄液の処理方法。
- 前記浮遊選鉱において、溶液の酸化還元電位が100mV以下で行うことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄液の処理方法。
- 前記処理をpH4以下で実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄液の処理方法。
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JP2004148968A JP2005329310A (ja) | 2004-05-19 | 2004-05-19 | 洗浄液からの鉛の除去方法 |
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JP2017205690A (ja) * | 2016-05-16 | 2017-11-24 | Jx金属株式会社 | コークスの回収方法 |
JP2018118235A (ja) * | 2017-01-27 | 2018-08-02 | 太平洋セメント株式会社 | 焼却灰の重金属回収方法及び焼却灰の重金属回収処理システム |
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2004
- 2004-05-19 JP JP2004148968A patent/JP2005329310A/ja active Pending
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