JP2005328780A - 形質転換単子葉植物の選抜方法 - Google Patents

形質転換単子葉植物の選抜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 遺伝子導入細胞の選抜を確実かつ迅速にでき、植物体への再生効率もよい形質転換単子葉植物の選抜方法を提供すること。
【解決手段】 ブラストサイジンSデアミナーゼ(BSD)遺伝子と蛍光タンパク質遺伝子を連結した融合遺伝子を含む形質転換単子葉植物の選抜用マーカー、及び、該選抜用マーカーを単子葉植物に導入し、その植物を単独では選抜が困難な低濃度のブラストサイジンS含有培地にて培養し、蛍光タンパク質の発現を指標に、確実かつ迅速に形質転換体を選抜することを特徴とする、形質転換単子葉植物の選抜方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ブラストサイジンSデアミナーゼ(BSD)遺伝子と蛍光タンパク質を連結した融合遺伝子を含む形質転換単子葉植物の選抜用マーカー、及び該選抜用マーカーを用いた形質転換単子葉植物の選抜方法に関する。
イネなどの単子葉植物へ遺伝子を導入し、形質転換体を作出するにあたって、目的とする遺伝子が植物に確かに組み込まれたか否かを判断するために選抜マーカー遺伝子が用いられている。従来から選抜マーカー遺伝子としては、ビアラフォス耐性遺伝子(bar遺伝子)、ブラストサイジンS耐性遺伝子(カビ由来のBSD遺伝子、細菌由来のBSR遺伝子)などが広く用いられているが、いずれも作出に時間がかかる、エスケープが出るなどの問題がある。例えば、BSD遺伝子を選抜マーカーとして単子葉植物を形質転換する方法(特許文献1)においては、それぞれのカルスのブラストサイジンS(BS)対する個体差が大きい為に薬剤感受性がばらつき、実際には5〜10μg/ml濃度のBSでカルスを選抜しても薬剤選抜を逃れたエスケープが多数出現する。ところが、このようなエスケープの出現を回避するために、BSの濃度を上げたり選抜期間を長くしたりすると、遺伝子導入カルスの選抜効率や植物体への再生効率が著しく低くなるなどの重大な問題が生じる。
特開2000−106877号
従って、本発明は、遺伝子導入細胞の選抜を確実かつ迅速にでき、しかも植物体への再生効率もよい形質転換単子葉植物の選抜方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ブラストサイジンS耐性遺伝子であるBSD遺伝子の5’末端側に、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子を融合させた融合遺伝子を選抜マーカーとして用いることによって、早い段階で確実に遺伝子導入細胞を選抜でき、植物体への再生を効率よく行うことに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) ブラストサイジンSデアミナーゼ(BSD)遺伝子と蛍光タンパク質遺伝子を連結した融合遺伝子を含む、形質転換単子葉植物の選抜用マーカー。
(2) 蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein :GFP)、黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein :YFP)、赤色蛍光タンパク質(redfluorescent protein :RFP)、青色蛍光タンパク質(blue fluorescent protein :BFP)、又はこれらの誘導体である、(1)に記載の選抜用マーカー。
(3) 単子葉植物が、イネ科、ユリ科、又はショウガ科に属する植物である、(1)又は(2)に記載の選抜用マーカー。
(4) イネ科に属する植物が、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、及びヒエから成る群から選択される、(3)に記載の選抜用マーカー。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の選抜用マーカーを単子葉植物に導入し、その植物をブラストサイジンS含有培地にて培養し、ブラストサイジンS耐性と蛍光タンパク質の発現を指標に形質転換体を選抜することを特徴とする、形質転換単子葉植物の選抜方法。
(6) 単子葉植物が、イネ科、ユリ科、又はショウガ科に属する植物である、(5)に記載の選抜方法。
(7) イネ科に属する植物が、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、及びヒエから成る群から選択される、(6)に記載の選抜方法。
(8) 培地中のブラストサイジンSの濃度が5〜10μg/mlである、(5)〜(7)のいずれかに記載の選抜方法。
本発明の融合遺伝子を含む形質転換単子葉植物の選抜用マーカーによれば、遺伝子導入細胞の選抜を正確かつ迅速に行うことができ、しかも植物体への再生効率もよい。本発明の選抜方法によれば、蛍光タンパク質の発現によって早い段階で確実に遺伝子導入細胞のみを再分化培地に移すことができるため、より低い選択濃度(5〜10μg/mlブラストサイジンS)で形質転換植物体を短期間に作出することが可能となる。
本発明は、ブラストサイジンSデアミナーゼ(以下、「BSD」という)をコードする遺伝子(以下、「ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子」又は「BSD遺伝子」という)と蛍光タンパク質をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を、形質転換単子葉植物の選抜用マーカー(以下、「マーカー遺伝子」ともいう)として使用することを特徴とするものである。
本発明に用いるBSD遺伝子は公知であり、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)よりクローニングされたものである。なお、BSD遺伝子は配列番号2に示すアミノ酸配列を有するBSDをコードし、その塩基配列は配列番号1に示すとおりである(特開2000−106877号;NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/) Accession No.D83710)。また、上記のBSD遺伝子は、その相同遺伝子であってもよく、例えば、BSDのアミノ酸配列おいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつブラストサイジンSデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。ここで、欠失、置換若しくは付加されてもよいアミノ酸の数としては、好ましくは、1個から数個である。また、相同遺伝子には、配列番号2に示すアミノ酸配列と70%以上の相同性を有する遺伝子であって、かつブラストサイジンSデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。上記70%以上の相同性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性をいう。
さらに、相同遺伝子には、BSD遺伝子の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつブラストサイジンSデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち配列番号1で表わされる塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく95%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が150〜900mM、好ましくは600〜900mMであり、温度が60〜68℃、好ましく65℃での条件をいう。
上記アミノ酸の欠失、付加、及び置換は、上記BSDをコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異が導入される。
一方、蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein :GFP)、特には、増強緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein :EGFP)、黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein :YFP)、赤色蛍光タンパク質(redfluorescent protein :RFP)、青色蛍光タンパク質(blue fluorescent protein :BFP)、又はこれらの誘導体が挙げられ、1個又は2個以上、好ましくは2個〜3個を適宜組み合わせて使用することができる。これらの蛍光タンパク質遺伝子は、PCR等で増幅して取得することもできるし、市販のものを用いることもできる。
この蛍光タンパク質遺伝子を、前記BSD遺伝子の発現制御領域を含むDNA断片の5’末端側に、BSD遺伝子の翻訳領域(ORF)の読みとり枠(トリプレットコドン)がずれないように結合することによってマーカー遺伝子となる本発明の融合遺伝子を作製することができる。
マーカー遺伝子となる上記融合遺伝子を対象となる植物に導入する場合、マーカー遺伝子は単独で導入してもよく、他の発現の目的遺伝子とともに導入してもよい。本発明のマーカー遺伝子を導入する植物は単子葉植物が好ましい。例えばイネ科(イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、ヒエ等)、ユリ科(アスパラガス、ユリ、タマネギ、ニラ、カタクリ等)、ショウガ科(ショウガ、ミョウガ、ウコン等)に属する植物が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明において、形質転換の対象とする植物材料としては、例えば、根、茎、葉、種子、胚、胚珠、子房、茎頂(植物の芽の先端の生長点)、葯、花粉等の植物組織やその切片、未分化のカルス、それを酵素処置して細胞壁を除いたプロプラスト等の植物培養細胞が挙げられる。またin planta法適用の場合、吸水種子や植物体全体も利用できる。
また、本発明において形質転換植物体とは、植物体全体、植物器官(例えば根、茎、葉、花弁、種子、種子、実等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞のいずれをも意味するものである。
カルスなどの植物培養細胞を対象とする場合において、得られた形質転換細胞から形質転換体を再生させるためには既知の組織培養法により器官又は個体を再生させればよい。このような操作は、植物細胞から植物体への再生方法として一般的に知られている方法により、当業者であれば容易に行うことができる。植物細胞から植物体への再生については、例えば、以下のように行うことができる。
まず、形質転換の対象とする植物材料してカルスを用いる場合、植物組織又はプロトプラストを無機要素、ビタミン、炭素源、エネルギー源としての糖類、植物生長調節物質(オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモン)等を加えて滅菌したカルス形成用培地中で培養し、不定形に増殖する脱分化したカルスを形成させる(以下「カルス誘導」という)。このように形成されたカルスに上記のマーカー遺伝子を導入する。
マーカー遺伝子を植物に導入するにあたり、マーカー遺伝子を単独で導入する場合は、プラスミド又はファージに連結して組換えベクターを調製する。一方、マーカー遺伝子と発現の目的遺伝子とを共に導入する場合は、マーカー遺伝子を目的の遺伝子とともに同一のプラスミド又はファージに連結させて組換えベクターを調製する。あるいは、マーカー遺伝子をプラスミド又はファージに連結して得られる組換えベクターと、目的遺伝子をプラスミド又はファージに連結して得られる組換えベクターとを別々に調製してもよい。別々に調製した場合は、各ベクターを宿主にコトランスフェクトし(共導入)する。
また、マーカー遺伝子又は目的遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、ベクターには、マーカー遺伝子又は目的遺伝子の上流、内部、あるいは下流に、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリA付加シグナル、5'-UTR配列、選抜マーカー遺伝子などを連結することができる。
「プロモーター」としては、植物細胞において機能し、植物の特定の組織内あるいは特定の発育段階において発現を導くことのできるDNAであれば、植物由来のものでなくてもよい。具体例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来ユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来PRタンパク質プロモーター等が挙げられる。
エンハンサーとしては、例えば、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域などが挙げられる。
ターミネーターとしては、プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよく、例えば、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子のターミネーター、オクトピン合成酵素(OCS)遺伝子のターミネーター、CaMV 35S RNA遺伝子のターミネーター等が挙げられる。
上記ベクターを植物に導入する方法には、パーティクルガン法、電気刺激により導入する方法(エレクトロポレーション法)、マイクロインジェクション法、リポソーム法、ポリエチレングリコール法、アグロバクテリウム法、PEG−リン酸カルシウム法、直接塗布法などが挙げられる。
アグロバクテリウム法を用いる場合は、プロトプラストを用いる場合、組織片を用いる場合、及び植物体そのものを用いる場合(in planta法)がある。プロトプラストを用いる場合は、Tiプラスミドをもつアグロバクテリウムと共存培養する方法、スフェロプラスト化したアグロバクテリウムと融合する方法(スフェロプラスト法)、組織片を用いる場合は、対象植物の無菌培養葉片(リーフディスク)に感染させる方法やカルスに感染させる等により行うことができる。また種子あるいは植物体を用いるin planta法を適用する場合、すなわち植物ホルモン添加の組織培養を介さない系では、吸水種子、幼植物(幼苗)、鉢植え植物などへのアグロバクテリウムの直接処理等にて実施可能である。
マーカー遺伝子を導入したカルスは、オーキシン等の植物生長調節物質を含む新しい培地に移しかえて更に増殖(継代培養)させる。カルスの継代培養のためにいわゆる裏ごし操作を行うことが好ましい。裏ごし操作とは、金属メッシュ上でカルスをすりつぶし、カルスをより細かい細胞片にすることを意味する。
なお、カルス誘導は寒天等の固型培地で行い、継代培養は例えば液体培養で行うと、それぞれの培養を効率良くかつ大量に行うことができる。
本発明においては、上記の継代培養において、遺伝子導入を行ったカルスを、単独では選択が困難な低い濃度(5〜10μg/ml)のブラストサイジンS(BS)の存在下で培養する。このことによって、蛍光タンパク質の発現を指標とした効率的なカルス選抜が可能になる。すなわち、BSによるストレスを最小限に抑えて、蛍光タンパク質の発現が認められたカルスのみを採取し、次の再分化誘導に用いる。
次に、上記の継代培養において選抜したカルスを適当な条件下で培養することにより器官の再分化を誘導し(以下、「再分化誘導」という)、植物組織培養において通常採用されている方法により最終的に完全な植物体を再生させる。再分化誘導は、培地におけるオーキシンやサイトカイニン等の植物生長調節物質、炭素源等の各種成分の種類や量、光、温度等を適切に設定することにより行うことができる。かかる再分化誘導により、不定胚、不定根、不定芽、不定茎葉等が形成され、更に完全な植物体へと育成させる。あるいは、完全な植物体になる前の状態(例えばカプセル化された人工種子、乾燥胚、凍結乾燥細胞及び組織等)で貯蔵等を行ってもよい。
上記の手法で選抜されたカルス又は植物体にはegfp:bsd遺伝子、又は目的遺伝子及びegfp:bsd遺伝子の両者が組込まれている。これらの遺伝子が植物体に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、ウェスタンブロッティング法等により行うことができる。例えば、形質転換植物体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRを行った後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法でもよい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
(参考例)試薬と使用培地の調製
後記実施例で用いる試薬と培地の調製方法について説明する。
1.試薬
(1) 2,4-D ストック溶液(1mg/ml)
1N-NaOH(nacalai tesque)5mlに、2,4-D(2,4-Dichlorophenoxy acetic acid)(Wako)を10mg加え、溶解した。蒸留水5ml加え、10mlにし、0.20μm Minisart-plus (sartorius)でフィルター滅菌し、これをストック溶液とした。ストック溶液は、50 mlチューブ(Falcon)にて4℃で保存した。
(2) ブラストサイジンSストック溶液(50mg/ml)
ブラストサイジンSを蒸留水で 50mg/mlになるように調整し、0.20μm Minisart-plusでフィルター滅菌した。これをストック溶液とし、4 ℃で保存した。
(3) ナフタレン酢酸ストック溶液(0.5mg/ml)
1N-NaOH 5mlにナフタレン酢酸 (Alpha-naphthalene acetic acid)(Wako)10mgを加え、溶解した。蒸留水5mlを加えて10mlにし、0.20μm Minisart-plusでフィルター滅菌した。これをストック溶液とし、4℃で保存した。
(4) ベンジルアデニンストック溶液(0.5mg/ml)
6-ベンジルアデニン(6-Benzylaminopurine)(Wako)10mgを蒸留水8mlに加え、1N-NaOH 10mlを少量ずつ加えて、完全に溶解した。その後、蒸留水を加えて10mlにフィルアップし、0.20 μmMinisart-plusでフィルター滅菌した。これをストック溶液とし、4 ℃で保存した。
2.培地
(1)基本培地の調製
Murasige Minimal Organics Medium(GIBCO)を4.57g/l 、スクロース(nacalai tesque)30g/lになるように蒸留水で調整し、121℃にて20 分間オートクレーブした。
(2)カルス誘導培地
基本培地に、2,4-D(2μg/l)、ジェランガム(2.5g/l)(Wako)を添加した。ジェランガムは培地調製時に、2,4-Dはオートクレーブ後に50℃ぐらいに冷めてから添加した。
(3)マンニトール含有培地
基本培地に、2,4-D(2μg/l)、ジェランガム(2.5g/l)、マンニトール(D-Mannitol)(0.4M)(nacalai tesque)を添加した。ジェランガムとマンニトールは培地調製時に、2,4-Dはオートクレーブ後に50℃位に冷めてから添加した。
(4) 選抜培地
基本培地に、2,4-D(2μg/l)、ジェランガム(2.5 g/l)、ブラシトサイジンS(10mg/l)を添加した。ジェランガムは培地調製時に、2,4-DとブラシトサイジンSはオートクレーブ後に50℃位に冷めてから添加した。
(5) 再分化培地
基本培地にナフタレン酢酸(1mg/l)、ベンジルアデニン(2mg/l)、ソルビトール(D-Glucitol)(30g/l)(nacalai tesque)、ZN-Amine(Wako)(2g/l)、ジェランガム(0.32%)を添加した。ソルビトール、ZN-Amine、ジェランガムは培地調製時に、ナフタレン酢酸、ベンジルアデニンはオートクレーブ後に50℃位に冷めてから添加した。
(実施例1)単子葉植物への遺伝子導入
1. カルス誘導
胚盤由来カルスに遺伝子導入を行うために、胚盤からカルス誘導を行った。イネ種子の殻をむき、種子を滅菌水(0.1% tween 20)(nacalai tesque)で十分に洗浄した。その後、70%エタノール(0.1% tween 20)で約1分間濯ぎ、40%次亜塩素酸ナトリウム(nacalai tesque)溶液(有効塩素濃度 4.4%, 0.1% tween 20)を用いて約3時間100rpmで振とうして滅菌した。以後、無菌操作で作業をした。滅菌水で種子を5回洗浄した後、種子をカルス誘導培地1プレートあたり、25個を置床し、26℃にて暗所で7日間カルスを誘導した。なお、並べる際には、カルスの誘導に必要なホルモン(2,4-D)と空気を取り入れやすくするため、胚が培地と空気の両方に接するようにおいた。図1に、上記の工程(A.種子の滅菌、B.カルス誘導、C.胚盤摘出)の写真、及び胚の培地への置きかたの図を示す。
2. 遺伝子導入
イネ胚盤由来カルスへの遺伝子導入は、パーティクルガン法を用いて以下のようにして行った。
(1) 金粒子の滅菌
0.6μm金粒子70mgをはかり取り、100%EtOH 1mlにvortexにてよく懸濁した。その後、遠心により、金粒子を沈殿させ、エタノールを除去した。その後、滅菌水1mlを加え、よく懸濁した後遠心分離をして、滅菌水を取り除いた。この滅菌水による洗浄を計3回行った後、最終的に950μlの滅菌水を加えて、滅菌金粒子懸濁液とした。
(2) DNAのコーティング
egfp::bsd遺伝子を含むプラスミド(pAct1-egfp::bsd)(図2)を1.5 mlサンプリングチューブに1shotあたり2μgになるように入れた。その後、滅菌金粒子含有溶液を1shotあたり10μl入れ、vortexを用いて激しく攪拌した。次に1shot あたりCaCl2(nacalai tesque)(2.5M)10μlを入れ、攪拌した後、Spermidin(Wako)(0.1M)4μlを順に入れ、再び攪拌した。ここまでの操作はすべて氷上にて行った。30分室温にて放置後、上清を除去し、70%エタノールで洗浄した。軽く攪拌し、遠心分離して上清を除去した。100%エタノールを1shotあたり10 μl添加してよく懸濁した。クリーンベンチ内でマクロキャリアーの中央に注ぎ、風乾させた。
(3) 導入
イネ種子を7日間培養後、カルス化している胚盤を摘出し、胚盤側が上になるようにマンニトール含有培地に円周上に並べて移植した(図3A)。移植4時間後に遺伝子を撃ち込んだ。パーティクルガンは、Model PDS-1000/He Biolistic Particle Delivery System(BIO-RAD)を使用し、撃ち込み時の圧力は1100psiとした。
3. 遺伝子導入細胞の増殖誘導と選抜
パーティクルガンで遺伝子導入24時間後、蛍光顕微鏡下(ライカFilter sets : GFP-Plant 450-490 nm excitation, 495nm emission, and 500-550nm emission barrier) でGFPの一過的な発現が観察できた(図3B)。その後、ブラストサイジンSを10mg/l含有した選抜培地に移植し、26℃、暗所にて培養した。カルスは2週間後に新しい選抜培地に移植した。プラストサイジンSを単独では選抜が困難な低濃度で用いても、EGFPの蛍光観察(可視的観察)と組み合わせることにより、確実で効率な形質転換体の取得が可能となった。
2週間後、egfp::bsd遺伝子が組み込まれ、増殖した細胞のクラスター(直径2mm程度)がEGFP 蛍光により、観察できた(図3C)。さらに2週間後、このクラスターは大きいものでは直径1センチ程度にまで生長した(図3D)。
4. 再生
EGFPの蛍光を示す形質転換カルスが5mm以上に生長したところで(導入後3週間〜1.5ヶ月)、光っている部分のみを蛍光顕微鏡下で摘出し、再分化培地に移植した。培養条件を明所、26 ℃にして、再分化を促し、2週間毎に新しい培地に継代した。
1.5〜2ヶ月後、不定胚が誘導され、シュートになったところで、試験管(LS培地)に移植し、さらに生長を促した(図4A)。
シュートが試験管内で地上部10センチ程に生長したところで、クミアイ粒状培土D(呉羽化学 )を入れたポットに植え換え、適度な湿度を保たせながら馴化させた。再生シュートにおいてEGFP蛍光を確認した(図4D)。
イネが生長するに従い、順次大きい鉢に植え換えた。約4ヶ月後には地上部50cm程度に生長した(図4B)。導入から約8ヶ月後、種子が収穫できた(図4C)。
(実施例2)遺伝子導入の確認及び導入効率
1.遺伝子導入の確認
上記実施例1に従って、egfp::bsd遺伝子を含むプラスミド(pAct1-egfp::bsd)とともに、トリコテセン不活化遺伝子Tri101を共導入し、ブラストサイジンS耐性とEGFP発現にて選抜を行い、再生した植物体における導入遺伝子の確認をサザンブロット法にて行った。
比較としてビアラフォス抵抗性遺伝子(bar遺伝子)を含むプラスミド(pAct-bar)とトリコテセン不活化遺伝子Tri101を共導入し、ビアラフォス耐性にて選抜を行い、再生した植物体における導入遺伝子の確認をサザンブロット法にて行った。
ブラストサイジンS耐性とEGFP発現で選抜された再生体は、共導入をしたTri101遺伝子も導入されていたことが確認できたが、ビアラフォス耐性で選抜された再生体は、Tri101遺伝子の導入されていないものが存在し(#16及び#40)、エスケープがあると考えられた(図5)。
2. 従来の方法との遺伝子導入効率の比較
マーカー遺伝子としてegfp::bsd遺伝子を用いた場合(ブラストサイジンS耐性とEGFP発現で選抜)と、bar遺伝子を用いた場合(ビアラフォス耐性で選抜)とで、形質転換効率と形質転換植物体作出の速度を比較した。結果を表1及び図6に示す。
Figure 2005328780
egfp::bsd遺伝子を用いたとき、形質転換カルスを得るまでの時間(選抜時間)はbar遺伝子を用いたときの1/3程度である21〜28日でほぼ終了し、効率も20%とbar遺伝子の効率と同等又はそれ以上であった。
また、カルスから幼植物体への再生率が、bar遺伝子を用いた場合では、68%であるのに対し、egfp::bsd遺伝子を用いた場合では95%再生した。再生にかかる時間のばらつきも、bar遺伝子を用いたときに比べて小さく、安定した再生能力を示した。
これは、通常、カルスでの培養時間が短いほど再生能力が強いことに加え、egfp::bsd遺伝子を用いると薬剤にさらす時間が短期間で済むため、細胞に与えるダメージが抑えられたことによると考えられる。
種子の滅菌、カルス誘導、胚盤摘出の写真、及び胚の培地への置きかたの図を示す。 egfp::bsd 遺伝子を含むプラスミド(pAct1-egfp::bsd)の構造を示す。 融合遺伝子導入から一定時間経過後にブラストサイジンSとEGFPで選抜された形質転換カルスの蛍光顕微鏡写真を示す。 再生体の形態変化を示す写真(A〜C)、及び再生シュートのEGFP発現の蛍光顕微鏡写真(D)を示す。 ブラストサイジンSとEGFPで選抜した系統における共導入遺伝子(Tri101)の発現をサザンブロット法にて確認した電気泳動写真を示す。 ビアラフォス、又はブラストサイジンSとEGFPによる選抜・再生・成長の速度、及びカルスから幼植物体への再生効率のグラフを示す。

Claims (8)

  1. ブラストサイジンSデアミナーゼ(BSD)遺伝子と蛍光タンパク質遺伝子を連結した融合遺伝子を含む、形質転換単子葉植物の選抜用マーカー。
  2. 蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein :GFP)、黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein :YFP)、赤色蛍光タンパク質(redfluorescent protein :RFP)、青色蛍光タンパク質(blue fluorescent protein :BFP)、又はこれらの誘導体である、請求項1に記載の選抜用マーカー。
  3. 単子葉植物が、イネ科、ユリ科、又はショウガ科に属する植物である、請求項1又は2に記載の選抜用マーカー。
  4. イネ科に属する植物が、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、及びヒエから成る群から選択される、請求項3に記載の選抜用マーカー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の選抜用マーカーを単子葉植物に導入し、その植物をブラストサイジンS含有培地にて培養し、ブラストサイジンS耐性と蛍光タンパク質の発現を指標に形質転換体を選抜することを特徴とする、形質転換単子葉植物の選抜方法。
  6. 単子葉植物が、イネ科、ユリ科、又はショウガ科に属する植物である、請求項5に記載の選抜方法。
  7. イネ科に属する植物が、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、及びヒエから成る群から選択される、請求項6に記載の選抜方法。
  8. 培地中のブラストサイジンSの濃度が5〜10μg/mlである、請求項5〜7のいずれかに記載の選抜方法。
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WO2020203806A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 日本たばこ産業株式会社 単離された植物細胞の凝集を抑制する方法

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