JP2005326782A - 光偏向装置および光偏向装置の駆動方法 - Google Patents

光偏向装置および光偏向装置の駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ミラーの偏向角を剛性部材の弾性限界や破壊限界に依存することなく自由に設定する。
【解決手段】板状部材106の回転中心軸に対して左右対称に、電極103a、103b、103dを配置し、電極103aに電位V1、103bにV2、103dにV3を印加すると、板状部材106はフローティング電位Vmとなる。電極103a、103dと板状部材間の電位差が板状部材の駆動電圧となり、電極103aと電極103dの電位を変化させて、光反射領域を有する板状部材106の傾斜方向を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、入射光に対する出射光の方向を変える光偏向装置および光偏向装置の駆動方法に関し、例えば、電子写真方式のプリンタや複写機等の画像形成装置、投影プロジェクターやデジタルシアターシステム等の投影型画像映像表示装置に好適な技術に関する。
静電力を利用した光スイッチデバイスとしては、片持ち梁を静電力で撓ませて光の反射方向を変えてスイッチするデバイス及びそれを用いた光偏向システムが、K.E.Petersenにより1977年に発表されている(非特許文献1、特許文献1、2を参照)。またD.M.Bloomらが、回折格子を静電力で駆動して光スイッチする素子を発表している(非特許文献2を参照)。
さらに、光偏向システムを用いた画像装置としては、チボーらが、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を一次元または二次元に配置したものを提案している(特許文献3を参照)。
さらに、上記デジタルマイクロミラーデバイスの素子構造として、L.J.Hornbeckが、ねじり梁型やカンチレバー梁型のデジタルマイクロミラーデバイスを発表している(非特許文献3を参照)。L.J.Hornbeckが発表したねじり梁型やカンチレバー型のデジタルマイクロミラーデバイスは、本発明と同様、ミラー部は傾斜されて用いられるが、本発明の光偏向装置と異なり、ミラー部は少なくとも一箇所以上の固定端を有している構造となっている。
また、ゲルバートにより、両端固定型の梁を円筒状に撓み変形させて、高速に光偏向を行う素子が提案されている(特許文献4を参照)。
また、静電誘導方式でかつ剛性とのバランスでミラー位置を決める方式でない構造として、一部が絶縁物で囲まれた空間に、ミラーと距離をおいて上面を覆う透明電極と、さらにミラーの反対側に距離をおいて第2、第3の電極とを設け、透明電極と第2,第3の電極に電圧を印加し、ミラーの傾斜方向を変え、光を偏向する方式もある(例えば、特許文献5を参照)。
Applied Physics Letters,Vol.31,No.8,pp521〜pp523 Optics Letters,Vol.7,No.9,pp688〜pp690 Proc.SPIEVol.1150,pp.86-102(1989) 特許第2941952号公報 特許第3016871号公報 特開平6−138403号公報 特開2000−2842号公報 特許第3411014号公報
上記した片持ち梁を利用した光スイッチやカンチレバー梁型のデジタルマイクロミラーデバイスは、梁の安定性の確保が難しく、かつ応答速度も速くできない欠点があり、また、ねじり梁型のデジタルマイクロミラーデバイスは、ヒンジ部(ねじり梁)の機械的強度が長期使用時に劣化する欠点がある。また、特許文献1、2に示される光スイッチ素子は、入射光の波長が制限されるという欠点があり、特許文献4に開示されている素子、すなわち平行な空隙を電極間に有しその静電引力により両端固定梁を円筒状に撓ませる素子は、高速に変形することが可能で応答速度を速くできる利点があるが、両端が固定されているため、駆動電圧が片持ち梁型やカンチレバー梁型やねじり梁型のデバイスに比べ、低くできない欠点がある。
上記従来技術に開示されている光スイッチは、(a)捻り梁型、(b)カンチレバー型、(c)両端固定梁型の何れかの型である。これら従来の光スイッチは2〜3個の電極を具備し、平面で対向する電極間に異なる電位を印加して静電引力を作用させ、ミラー面を変位させ光偏向動作を行うデバイスである。それに対し、本発明の光偏向装置は、複数の電極(代表的には4個の電極)が同一平面上に形成され、それと対向して電気的に浮いている導電体層を有する板状部材が構成され、隣接する電極間に異なる電位を印加することにより、電気的に浮いている板状部材が任意の電位となり、該板状部材に静電引力が作用し、ミラー面を有する板状部材が支点部材を中心に傾斜変位し光偏向動作を行うデバイスである。
さらに、支点部材近傍の電極と板状部材間の静電容量を他の電極と板状部材間の静電容量より大きくする構造にする。例えば、板状部材の回転中心に対し、最外の電極から電極A、中央の支点近傍の電極を電極B、電極Aの反対側の最外電極を電極Dとする。電極Bと板状部材との距離を板状部材と電極Aや電極Dとの距離より短くし、電極Bと板状部材間の静電容量を電極Aや電極Dと板状部材との静電容量より大きくする。そうすると、板状部材の電位を支点近傍の電極に近づけることができる。板状部材が電極A側に傾いているとする。電極Aに0V、電極Bに0V、電極DにE(V)を印加したとすると、静電力で板状部材は電極D側に傾斜していく。電極Dと板状部材の静電容量が増加するが、電極Bと板状部材間の静電容量がより大きいので電極Dと板状部材の静電容量の板状部材の電位に対する寄与は小さく、電極Dに印加した電圧が駆動する電圧に近く、効率良く板状部材を駆動できる。
加えて、光偏向装置の駆動動作は通常、駆動電圧でミラーが定められた範囲で移動して光の反射方向を偏向し、電圧を戻すとミラーが元の位置に剛性により復元する。このため、ミラーが外れないように移動位置を限定するため、固定端に剛性を持つ部材で固定している。このような剛性を利用しているため、駆動速度を向上する場合は剛性を大きく設定するため、駆動電圧も増加してしまうという問題がある。また、剛性部材には弾性限界、破壊限界があり、移動範囲にも制限がある。
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、ミラーが剛性を利用しないため、偏向角を剛性部材の弾性限界や破壊限界に依存せずに自由に設定できる光偏向装置および光偏向装置の駆動方法を提供することにある。
本発明の光偏向装置は、複数の電極によるミラーで静電誘導により生じた電荷と電極間の静電力でミラーを移動する構成を採り、剛性を利用しないため、偏向角が剛性部材の弾性限界や破壊限界に依存せず、自由に設定できる特徴がある。
本発明は、光反射領域を有する部材が静電引力で変位することにより、該光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて偏向される光偏向装置であって、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極を有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は頂部を有して前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に前記光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記複数の電極は前記基板上にそれぞれ設けられ、前記板状部材の導電体層とほぼ対向している構成を有する光偏向装置において、前記複数の電極の内、主として支点部材近傍の電極により前記板状部材に静電誘導を生じ、板状部材電位を決めることを最も主要な特徴とする。
本発明(請求項1)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。
本発明(請求項2)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。支点部材近傍の電極が支点に近いほど傾斜方向によらず板状部材との距離が小さく、板状部材の電位変動をより抑制できる。
本発明(請求項3)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。電極数3の場合が最小の電極数で板状部材の電位変動を抑制できる。板状部材の回転軸に対し、電極が対称に配置されるので双安定の両方向に対し、同じ値の電位で制御できる。
本発明(請求項4)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。支点近傍に2つの電極を設け、板状部材を支点部材側に静電力で引き付けることができ、本装置を地表から傾けることや逆さにすることによる板状部材の影響を排除できる。
本発明(請求項5)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定り、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。支点近傍に2つの電極を設け、板状部材を支点部材側に静電力で引き付けることができ、本装置を地表から傾けることや逆さにすることにる板状部材の影響を排除できる。板状部材と支点近傍の2電極の静電容量を傾斜角によらず同じにでき、電位を与えやすい。
本発明(請求項6)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。支点近傍の電極と板状部材の静電容量を大きくすることができ、板状部材の電位がより安定する。
本発明(請求項7)では、反射領域を有する板状部材が剛性復元力を持たず、規制部材の規定する範囲で移動し、かつ支点部材により板状部材の傾斜角が定まり、支点近傍の電極で板状部材の電位変動を抑制し、板状部材に安定した駆動電位差を与えることができ、低い電圧で板状部材を傾斜して光を偏向できる。支点近傍の電極と板状部材の静電容量を大きくすることができ、板状部材の電位がより安定する。
本発明(請求項8)では、板状部材の傾斜方向の回転中心に最外の電極を延長したことで、最大傾斜角の状態から反対側に傾斜させる静電力を増加できる。
本発明(請求項9)では、電極上に絶縁膜を省くことができ、製造工程を簡素化できる。
本発明(請求項10、11)では、板状部材が駆動時に飛び出さないようにできる。
本発明(請求項12)では、板状部材の電位の変動を抑制でき、かつ支点近傍の電極には駆動用能動素子が不用になる。
本発明(請求項13)では、板状部材の電位変動を抑制でき、板状部材を支点部材側に引き付けることができ、かつ支点近傍の電極には駆動用能動素子が不用になる。
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る光偏向装置の構成を示す。図1(a)は、板状部材をはずし電極を現した電極構成図、(b)は光偏向装置の平面図、(c)は光偏向装置のA−B断面図である。
図1(a)、(c)に示すように、シリコン基板101上に酸化膜102を形成して絶縁し、かつ同時に支点部材105を作製し、複数の電極、例えば電極103(図1(a)を参照)を設け、酸化膜104など絶縁膜で覆う。支点部材105が支点となり、導電性の板状部材106をシーソーのように回転移動できる位置に配置する。例えば、規制部材108を板状部材106の各コーナーに配置し、板状部材106が飛び出さないように移動範囲を規制する。
電極群を回転方向の板状部材106の線対称な線に対しおおむね一列に電極A(103a),電極B(103b),電極D(103d)と配置する。双安定での駆動電圧を同じ値にでき、駆動回路を構成し易い。電極Bは板状部材106により接近させ配置する。板状部材106と電極B間の静電容量は電極Aや電極Dと板状部材間の最大静電容量より大きいことが好ましい。
電極Aと板状部材間静電容量をC1,電極Bと板状部材間静電容量をC2,電極Dと板状部材間静電容量をC4とする。静電容量は電極間距離に反比例する。
例えば、板状部材長を15μm、傾斜角を10°とすると、電極Aや電極Dと板状部材の最も接近する平均距離は0.65μmとなる。これを概算の静電容量計算に用いることにする。電極Aや電極Dと板状部材の距離を例えば0.65μmとすると、電極Bと板状部材との距離は0.15から0.1μm程度に設定できる。同じ面積なら、4倍から6倍の静電容量が得られる。
電極の面積が電極Aや電極Dの方が電極Bより二倍程度大きくとも板状部材と電極との距離では電極Bが4倍から6倍電極Aや電極Dより短いのでC2はC1やC4より2倍から3倍程度大きくすることが可能である。
板状部材のフローティング電位Vmは、次式で求められる(フローティング電位については、後述する図3(e)を参照)。
Vm=(C1V1+C2V2+C4V4)/(C1+C2+C4)
電極Aや電極Dと板状部材間の電位差が板状部材の駆動電圧となる。板状部材が電極A側に傾いている場合は、電極Aと板状部材間の静電容量C1が大きく、電極Dと板状部材間の静電容量C4は小さい。例えば駆動電圧として電極Aに0V、電極Bに0V、電極Dに10Vを印加した場合、上式により板状部材のフローティング電圧は、Vm=V4・(C4/(C1+C2+C4))
となり、C4/(C2+C4)が小さいほどVmは0Vに近くなる。板状部材が電極D側に傾いて行く場合でも板状部材の電位は0Vに近くなり、電極Dと板状部材間の電圧がV4すなわち10V近くに維持でき駆動電位差を充分、得ることができる。板状部材が電極D側に傾いている場合は、電極Aに10V,電極Bに0V,電極Dに0V加えると、板状部材には電極A側に傾く静電力が発生する。板状部材が電極Aに傾き、C1が増加してもC2が大きいので同様に、板状部材にはV1つまり10Vの大部分が働き、駆動に充分な静電力が得られる。
このようにして、電極Aと電極Dの2電極の電位を変化させて、光反射領域を有する板状部材の傾斜方向を制御し、光を偏向することができる。
もしC2がC1やC4に比べ小さい場合はVmはC1の増加で増大することになる。電極Aから電極D側に傾き出したときにVmが大きくなっていくと、電極Aの電位V1とVmに差が生じ板状部材が電極A側に引き戻す静電力が生じ始める。距離は電極Aと板状部材が近いので電極Dが板状部材を引く静電力に影響を与える。最悪の場合は電極D側に引く力を超え電極A側に引かれ傾斜変位が出来なくなる。また、電極D側に近づきつつある場合でもVmがV4に近くなり、駆動電位差が減少し駆動静電力が低下することになる。
図2は、本発明の実施例2に係る光偏向装置の構成を示す。実施例2では、さらに支点部材近傍の電極を板状部材の傾斜方向に垂直に電極B(103b),電極C(103c)に分割した形状について説明する。
図2の構造は図1と同様に、(a)は板状部材をはずし電極を現した図、(b)は平面図、(c)はA−B断面図である。(a)、(c)に示すように、シリコン基板101上に酸化膜102を形成して絶縁しかつ同時に支点部材105を作製し、複数の電極例えば電極A103a,電極B103b,電極C103c,電極D103d(図2(a)を参照)を設け、酸化膜104など絶縁膜で覆う。支点部材105が支点となり導電性の板状部材106をシーソーのように回転移動できる位置に配置する。電極群を回転方向の板状部材の線対称な線に対しおおむね一列に電極A103a,電極B103b,電極C103c,電極D103dと配置する。また、板状部材の回転軸に対し電極群を対称に配置する。板状部材の回転軸に垂直な板状部材の対称線に対し複数の電極の面積が対称に配置する。また、電極Bや電極Cと板状部材の距離を電極Aや電極Dと板状部材との距離より短くする構造としている。
例えば電極Aや電極Dと板状部材との平均距離を例えば0.65μmとすると、電極Bや電極Cと板状部材との距離は例えば0.15から0.1μm程度に設定できる。電極Bや電極Cと板状部材との静電容量は電極Aや電極Dと板状部材との静電容量に比較し2倍から3倍程度の静電容量が得られる(電極A,電極Dと電極B,電極Cの面積比は1/2であるが、板状部材との距離が短いので静電容量は大きくなる。静電容量は電極間の距離の逆数に比例するためである)。
この場合の板状部材のフローティング電位は次式で表される。
Vm=(C1V1+C2V2+C3V3+C4V4)/(C1+C2+C3+C4)
電極Aと板状部材の間の容量をC1,電極Bと板状部材間の容量をC2,電極Cと板状部材間の容量をC3,電極Dと板状部材間の容量をC4とする。また電極Aの電位をV1,電極Bの電位をV2,電極Cの電位をV3,電極Dの電位をV4とする。
板状部材はC1、C2、C3、C4の静電容量を介してのみ電源に接続されており、直接どの電位にも固定されておらず、板状部材の電位Vmは浮いている状態である。各電極電位と各静電容量に対し上記した式(電磁気学の一般的なコンデンサの計算から求められる)のように決まる電位Vmをフローティング電位と呼び、図3(e)の等価回路から算出した。
図3は、傾きの状態(a),(b),(c)を示し、以下、本発明装置の動作を説明する。なお、(d)は、傾きの状態(a)で各電極に印加する電位を示す。
(a)のように板状部材は電極A側に傾いているとする。板状部材の電位Vmは次式で表される。V2とV3に極性の異なる同電位E例えば、V2=10V,V3=−10Vを与え、さらにV1=0Vとする場合は、
Vm=C4V4/(C1+C2+C3+C4)
となる。
(b)板状部材が電極D側に傾きつつある場合は、C1は減少していくので影響がすくない。特にこの場合、V1=0VであるのでC1V1は0である。C4は増加するが、電極Aや電極Dと板状部材の距離より電極Bや電極Cの距離が明らかに小さく、C2,C3がC1,C4より大きい。VmはV4の数分の1程度である。
(c)板状部材が電極Dに接近した状態で、C4は最大に近くなっている。しかし、前実施例と同様にC2とC3の和の方がC4より数倍大きくでき、Vmの大きさは数分の一と小さくなる。C2,C3がC4より大きいほど小さくなり、このため、電極Dと板状部材間の電位差は
V4・(1−C4/(C1+C2+C3+C4))
となりV4に近い値を維持できる。
このようにして、板状部材と駆動電極間の電位差つまり駆動電圧が偏向角に影響されにくい特徴がある。V4により充分な板状部材駆動力が得られる。
また、板状部材が電極D側に傾いている場合は、同様にV1が駆動電位となる。この場合もC2,C3がC1より大きく、板状部材が電極A側に傾斜していき、C1が増加しても、Vmに対する影響は小さく、V1の大部分が駆動電位として働く。このようにして、板状部材が傾き入射光が偏向される。さらに、V2とV3を固定電圧Eとすることが可能で駆動能動素子により駆動する必要は必ずしもない。電極Bと電極Cに電位差を与えることで電極Bや電極Cと板状部材の間に静電力が生じ、本デバイスを地表に対し垂直や逆さに配置しても板状部材の支持部材に対し接触させることができる特徴がある。このようにして、電極Aと電極Dの2電極の電位を変化させて、光反射領域を有する板状部材を傾斜方向に対し制御し、光を偏向することができる。板状部材の回転軸に垂直な板状部材の対称線に対し複数の電極の面積が対称に配置したことで例えば電極Bと電極Cには極性の異なる同電位を与えることが可能になり、駆動電源が構成しやすい。
図4、5を参照して本発明の製造工程を説明する。図は、板状部材の寸法15μm角、厚さ0.1μm、傾斜角10°の例を示す。
(a)Siウエハを基板101とする場合を例として説明する。酸化して1.7μmの酸化膜(SiO2)を形成する。または、SiH4とN2Oの混合ガスのCVD法でSiO2を形成する。有機レジストを用い階調をもつフォトマスクでフォトリソグラフィによりマスクを形成し、C4F8ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)によりSiO2を1.5μmエッチングして、支点部材となる突起105を形成する。他の残ったSiO2は絶縁膜102となる。
(b)電極103となるTiN膜をスパッタ法で150nm成膜し、有機レジストを用いフォトリソグラフィでパターンニングする。Cl2ガスによるRIEでエッチングし、電極を形成する。SiH4とN2Oの混合ガスによるプラズマCDV法により、保護絶縁膜104を250nm成膜する。
(c)SiH4の熱CVD法で犠牲層となるpoly−Siを3.0μm成膜する。CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、平坦化する。
(d)板状部材106となる金属膜、例えばAlやAl−Ti合金やCrなどを100nm成膜する。フォトリソグラフィ後、Cl2のRIEでエッチングしパターンニングする。これにより板状部材形状を形成することができる。
(e)アモルファスSiをSiH4とH2の混合ガスのプラズマCVD法で200nm成膜する。
(f)poly−SiとアモルファスSiをフォトリソグラフィとSF6とO2の混合ガスのRIEでパターンニングする。
(g)規制部材108となる部材、例えば酸化膜SiO2をSiH4とN2Oの混合ガスの熱CVD法やプラズマCVD法で500nm成膜する。フォトリソグラフィとCF4とH2の混合ガスのRIEでエッチングする。これにより規制部材のパターンが形成される。
(h)犠牲層であるpolySiとアモルファスSiをTMAH(トリメチル・アンモニューム・ハイドレイド)でエッチングする。これにより板状部材が自由になり、支点部材にシーソ状に横たわるようになる。
図6は、本発明の実施例3に係る光偏向装置の構成を示す。実施例3では、板状部材の傾斜方向に対し最外の電極を板状部材の支点近傍に伸ばした構造を示す。
図6は、実施例3の断面図(a)と平面図(b)を示す。シリコン基板101上に酸化膜102を形成して絶縁しかつ同時に支点部材105を作製し、複数の電極例えば電極103a,103b,103c,103d(図6(b)を参照)を設ける。支点部材105が支点となり、絶縁膜107と導電性部材が積層された板状部材106をシーソーのように回転移動できる位置に配置する。
板状部材の傾斜方向に対し最外の電極ここでは電極A103a,電極D103dが対応し、電極A103aと電極D103dを支点近傍まで伸ばした構造になっている。また、支点近傍の電極B103bや電極C103cを傾斜方向の外側に広げることで、面積の減少を防止している。例えば板状部材が電極A側に傾いているとする。電極Aや電極Dが支点近傍まで延長されたことで、板状部材を電極Dによる静電力で引く場合に、延長部分が電極D側に傾斜角が小さいときに対向する距離が短い部分が多くなり、静電力をより大きくすることができる。つまり、より駆動電圧を低減できる。
図7は、本発明の実施例4に係る、軸受け型規制部材の例を示す。(a)は平面図、(b)はミラーなしの電極構成図、(c)はA−B断面、(d)はミラー平面図、(e)はC−D断面、(f)はY−Z断面を示す。
シリコン基板101上に酸化膜102を形成して絶縁しかつ同時に支点部材105を作製し、複数の電極例えば電極103a,103b,103c,103d(板状部材なし電極構成図(b)を参照)を設ける。支点部材105が支点となり板状部材106をシーソーのように回転移動できる位置に配置する。規制部材108は板状部材の軸部材106bの軸受けとして働く。これにより、板状部材は回転の自由度を持ち、かつ飛び出しが防止される。
図8は、本発明の実施例5の構成を示す。実施例5では、板状部材を絶縁膜と導体膜の積層にし、電極上の絶縁膜を省いた場合の構造を示す。絶縁膜を板状部材に設けたことで、電極上の絶縁膜が不用になり工程が簡素化できる。フォトマスクを1工程省くことが可能であり、コストを低減できる。
シリコン基板101上に酸化膜102を形成して絶縁しかつ同時に支点部材105を作製し、複数の電極例えば電極103(板状部材なし電極構成図(b)を参照)を設ける。支点部材105が支点となり絶縁膜107と導電性部材が積層された板状部材106をシーソーのように回転移動できる位置に配置する。電極と板状部材の導電性部分とは板状部材の絶縁膜が絶縁する構造となっている。
図4(d)に示す製造方法において、次のように行う以外は同様に製作できる。例えば絶縁膜としてSi窒化膜をSiH4とNH3の混合がガスによる熱CVD法で100nm成膜し、次に導電性膜である金属例えばAlやAl−Ti合金やCrなどを100nmスパッタ法で成膜する。フォトリソグラフィ後Cl2のRIEで金属膜をエッチングする。CF4とH2の混合ガスのRIEでSi窒化膜をエッチングする。
本発明の実施例1の構成を示す。 本発明の実施例2の構成を示す。 実施例2の動作を説明する図である。 本発明の製造工程を説明する図である。 図4の続きである。 本発明の実施例3の構成を示す。 本発明の実施例4の構成を示す。 本発明の実施例5の構成を示す。
符号の説明
101 シリコン基板
102、104 酸化膜
103 電極
105 支点部材
106 板状部材
108 規制部材

Claims (13)

  1. 光反射領域を有する部材が静電引力で変位することにより、該光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて偏向される光偏向装置であって、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極を有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は頂部を有して前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に前記光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記複数の電極は前記基板上にそれぞれ設けられ、前記板状部材の導電体層とほぼ対向している構成を有する光偏向装置において、前記複数の電極の内、主として支点部材近傍の電極により前記板状部材に静電誘導を生じ、板状部材電位を決めることを特徴とする光偏向装置。
  2. 前記支点は、板状部材に静電誘導を生ずる前記電極上または前記電極で囲まれた頂部であることを特徴とする請求項1記載の光偏向装置。
  3. 前記支点部材近傍の電極を中心とし、板状部材の回転中心軸に対して最外の2つの電極が対称に並ぶことを特徴とする請求項1または2記載の光偏向装置。
  4. 前記板状部材に静電誘導を生ずる電極を支点近傍に少なくとも2つ配置したことを特徴とする請求項1または2記載の光偏向装置。
  5. 前記板状部材の回転軸に垂直な板状部材の対称線に対し複数の電極の面積が対称に配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  6. 前記支点部材近傍の電極と板状部材間の静電容量が板状部材と他の電極間の容量より大きいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  7. 前記支点部材近傍の電極と板状部材の距離が他電極と板状部材の距離より短いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  8. 前記板状部材の回転中心に対し最外の電極の形状が板状部材の回転中心側に延長されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  9. 前記板状部材は絶縁性部材と導電性部材の積層であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  10. 前記規制部材は板状部材の周辺にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  11. 前記板状部材に軸を設け、周辺に軸受け状の規制部材があることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の光偏向装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一つに記載の光偏向装置において、前記支点部材近傍の電極に固定電位を与えることを特徴とする光偏向装置の駆動方法。
  13. 請求項4乃至11のいずれか一つに記載の光偏向装置において、前記支点部材近傍にある2つの電極に極性の異なる同電位を与えることを特徴とする光偏向装置の駆動方法。
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